『非公式Twitter』

初めてのクリスマス*番外編『幸福のジングルベル』より~藤守編~

2015/12/13 14:23

警視庁からの帰り道。

##IMGU62##
「なあ、本屋寄っていい?」

##IMGLU83##
「本屋?うん、いいよ?」

(毎月出るという、時刻表でも買うのかな?)

本屋へ立ち寄ってからレストランで食事を済ませ、私は、誘われるままに藤守さんの部屋へお邪魔した。

藤守
「なあ、この雑誌、一緒に見ようや」


「それ、さっき買った本?」

藤守
「そうや。じゃーん、『クリスマスの恋人との過ごし方特集』」


「そっか。もうクリスマスだね」

藤守さんは、張り切ってページを捲り始めた。

二人で過ごす初めてのクリスマスだから、最高の思い出にしたい。

そう言いながら、藤守さんはあれこれと提案してくれる。

藤守
「豪華ナイトクルーズと、豪華なディナーなんて、どうや?」


「すごい、夜景を海から見るんだね。でも、電車じゃなくていいの?」

藤守
「そら、寝台特急のスイートに乗るのもええけどな。今年は、とにかくお前に喜んでもらえるようなのがええと思ったんや。どうする?クルージング、予約するか?」

何よりも私のことを考えてくれる。そんな藤守さんの優しさに、胸が熱くなった。


「豪華な旅行じゃなくても、賢史くんとゆっくり過ごせれば、私はそれでいいかなって」

藤守
「ゆっくり、か…」

藤守さんはちょっと考え込む。


「わがまま言って、ごめんなさい」

藤守
「わがままやないよ。一緒に過ごすクリスマスを、一緒に考えてるんや。めっちゃ楽しいやん」


「うん、楽しい」

ソファで隣りあって座り、雑誌を覗き込む。

遊園地…登山…映画、プラネタリウム……

藤守
「イルミネーションは外さんとして、後は……」

雑誌の記事を指差しては、ああでもないこうでもない、と考える。

藤守
「いっそのこと、1日中部屋で過ごしてみよか?」


「え!?」

藤守
「ふたりでべったりくっついて、ベッドでピロートークして。……そない恥ずかしがることないやろ?いつもやってる事や。こうやって……」

藤守さんは腕を伸ばし、正面から私に抱きついてきた。

そのまま勢いよく、ソファの上へ押し倒されてしまう。

藤守
「どうや?」

言いながら、今度は頬にキスをくれる。


(こんな過ごし方もいいけど……私の心臓がもたないよ)

あまりにドキドキしすぎて、破裂するんじゃないかと思ってしまう。

藤守
「この前残しておいた、キスマーク、もう消えてるな。もう一回つけとくわ」

藤守さんは口元に笑みを浮かべ、首筋に唇を這わせた。

その感触に、身体がビクリと反応する。

藤守
「嫌か?」


「嫌じゃないけど……困るかも」

藤守
「お前が困るなら、別のプランを考えなあかんな」

藤守さんは最後に唇へキスを落として、私から離れた。

藤守
「二人とも納得するデートやないと、意味ないもんな」

私の手を掴んだ彼の手が、優しく起こしてくれる。

藤守
「そうや!ここにあるデートプラン、全部やってしまおう!」


「え!?」

藤守
「悩むなら、このプランをまんまやれば問題ない。まあ、超ベタやけどな。ベタすぎて、普段は絶対しないことすれば、思い出になるはずや」


*****

駅前の見慣れた銅像も、今日はクリスマス色に染まっている。


(気のせいじゃなく、カップルも多いし……やっぱり、イブだなあ)

街中を眺めていると、向かいから、藤守さんが手を振りながらやってきた。

藤守
「すまん!」


「全然。私も、今来たところだから」

藤守
「お前は優しいな」

藤守さんは口元に笑みを浮かべると、綺麗にセットしてきた私の髪を乱さないように、頭を撫でてくれた。

(賢史くんの方が、ずっと優しいよ)

撫でてくれる感触が、私を幸せで包み込んでくれる。

藤守
「じゃあ、さっそく行こうか」


「うん」


最初に向かったのは…


藤守
「スケートはまずバランスが大切やぞー。ほら、俺が手、握ってやるから。ゆっくり滑ろうな」


「ぜ、絶対離さないでね」

冬の間だけ、NYのように、街中に出来たスケート場。

リンクの上には、同じようなカップルや、親子連れの姿があった。

藤守
「プレートの部分を、ハの字にして……そうそう、上手や。飲み込み早いなー」


「賢史くんの教え方が上手だからだよ」

手をつないで、はしゃぎながらのスケートは本当にベタだったけど、そんなこと忘れるくらいに楽しくて……。

私も藤守さんも、ずっと笑いっぱなしだった。

スケートを終えて、レストランに入ると、私たちは窓側の席に通された。

藤守さんはグラスを私の方へ傾け、笑みを浮かべる。

藤守
「君の瞳に乾杯」


「え!?」

藤守
「ほら、せっかくベタなことしてるんやから、ベタなセリフも言おうかと思ったんや」


「そ、そうなんだ」

自分でもハッキリ分かるほど、顔が熱くなってきてる。

藤守
「あれ?今の、笑うトコやったんやけど…もしかして……アリだった?」


「……はい」

藤守
「うわ……そ、そうか。それは……よかったわ」

「ベタなデート」を意識した会話に、笑ったり、時に議論したり。

美味しい食事を楽しみながら、私たちは時を過ごした。

藤守
「もう、デザートか。あっという間やったな」

楽しい時間は過ぎるのが早い。

もうすぐ、藤守さんと「さようなら」しなくちゃいけない。

藤守
「翼、食が進まないやん。デザート、美味くないか?」


「ううん……」

藤守
「交換してもらおうか」


「え? そんな、大丈夫だよ」

藤守
「まあまあ、ちょっと待っといて」

笑みを浮かべた藤守さんが合図をすると、店員さんが、銀の盆を捧げ持ってやってきて、皿を覆っていた蓋を開けた。

そこには、見覚えのある形の腕時計が…。


(これ……私がずっと欲しがっていた、腕時計……!)

藤守さんは盆から時計を取り、私の腕にはめてくれた。


「覚えててくれたんだね」

藤守
「お前のことなら、なんでも覚えてるで」

さらに藤守さんは、綺麗な花束を私にくれた。

藤守
「さて、ここで最後のベタが待ってます」

感無量の私の前で、藤守さんが、姿勢を正した。

藤守
「クリスマスプレゼント……俺、お前が欲しい」

それはつまり、まだ離れなくていいってことで……。


「……うん」

戸惑いながらも頷くと、藤守さんは満面の笑みを浮かべた。
 

~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
賢史くん、賢史くん、賢史くーん。ぎゅっ←抱きついた

賢史くんとのクリスマスは凄く楽しそう!

スケートはほとんどしたことがないけど賢史くんに手を引かれながら滑りたいな。

転びかけて抱きついちゃったり(〃∇〃)

でも、一日中賢史くんの部屋にいるのもいいな。

ずっと抱き合ってたいもん。

ケダモノモードでクタクタになっちゃうかな?

名前:澪
本文:こんばんは。

二人でクリスマスデート特集の雑誌を見るっていいですね!

二人の楽しいクリスマスのために二人で考える。

藤守さんらしくてほっこりしました(^∇^)

そしてベタなデートもステキ!

なんだか照れちゃいますがたまにはいいですよね。

ごちそうさまでした~v(^_^v)♪

名前:冬子
本文:
こんばんは~

藤守さん、頑張ってますねー

クリスマスに彼女を喜ばそうと、雑誌まで買って調べるなんて、心がほっこりしました。

そして、冬子はスケート靴をはいたら、地上でさえ立てなかったことを思い出しました(笑)

名前:Twitterこたつ部屋
本文:
穂積
「みんな、ベタなデート嫌いじゃないのね。

クリスマスイブの魔術かしら」

ジュン
「賢史くんと一緒ならベタでもベタベタでも幸せです」

冬子
「スケートはさりげなくスキンシップ出来るし、上手ならポイント高いですよね」


「雑誌を見てキャッキャうふふしながら計画を練る段階でもう楽しいですし」

穂積
「そうね。

ただ、雑誌で勉強して影響を受けたせいか、藤守の奴、実はデート中ところどころ喋り方がイケメン過ぎてむしろ怪しかったみたいじゃない。

藤守だから許されるけど、やっぱり借り物は危険ね」

ジュン
「レストランの窓から空を見て『いつもは仕事ばっかりで、空を見上げることもなかったからな。今日くらいは、一日を満喫するのも悪くない』なんて言ってましたもんね。

でも、そんな賢史くんも素敵でしたよ」

穂積
「はいはい」

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