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初めてのクリスマス*番外編『幸福のジングルベル』より~如月編~

2015/12/14 14:20

##IMGU64##
「今日は、ルイルイから忘年会の対策会議の為に会議室のセッティングをするよう言いつけられちゃってさ。

おかげで、苦手な書類整理から逃げられたのはいいけど、このままじゃ、全然書類が片付かないよ」

 そう言いながら夕暮れの会議室を出て来た如月さんと、私は、終業後、レストランで食事をしていた。

##IMGLU83##
「私は何とか、期日に間に合いそうかな。年内に片付けないと、休めないよね」

(如月さん、ルイルイって言った……室長が聞いてないと思って……)

ひやひやする私をよそに、如月さんは溜め息をついてみせた。

如月
「小笠原さんや翼ちゃんは書類整理が得意でいいなあ。ねえ、手伝ってくれない?」


「少しだけなら構わないけど……」

如月
「やった!それなら藤守さんより先に終われる。これで明日の昼メシ代が浮いた!」


「え?」

如月
「藤守さんと賭けてたんだよ。どっちが先に、書類整理が終わるか」


「賭け!?だったら、私が手伝うのは不正にならない?」

如月
「大丈夫。誰かに手伝ってもらったらダメ、なんてルールは作ってないからね」


「そ、そうなの?」

如月
「いやあ、翼ちゃんのおかげで助かったよ~」

本当に嬉しそうな如月さんを見ていると、私まで嬉しくなってしまう。

でも、本当にいいのかな…?

如月
「お礼に、何かひとつ、翼ちゃんの願いを叶えてあげる」

急に言われても思い付かなくて考えていると、不意に、店内からクリスマスソングが流れてきた。

如月
「翼ちゃんは、クリスマスどう過ごすの?」


「いつもは、家族だったり、友だちと過ごしたりしてるよ」

如月
「じゃあ、今年は俺と過ごそう!イブの日からクリスマスまでずっと、二人で過ごすんだ。どう?」


「とっても素敵だね」

如月
「じゃあ、それで決まり。それから、欲しい物があれば、それをプレゼントするよ。書類整理のお礼も兼ねて」


「特に欲しいものは……」

如月
「……じゃあ、プレゼントは、お互い簡単なものを交換しよう。どこに行くかも、俺が決めていい? 実は、行きたいところがあるんだよね」


「いいよ」

如月
「了解。じゃあ、俺が全部決めるね」


「よろしくお願いします」

如月
「翼ちゃんて、優しいよね」

如月さんは手を伸ばして、テーブルの上に置かれていた私の手を、きゅっと握った。

如月
「ほら。今だって本当は恥ずかしいのに、俺が嫌がると思って、離さない」

如月さんは繋いだ手を持ち上げ、指にキスを落とした。

如月
「俺、翼ちゃんが困ってるその顔を見たいんだ。だって、可愛いんだもん」


「こーちゃんの、イジワル」

真っ直ぐに見つめてくる如月さんの顔は、整っていてとても綺麗で、こんな時なのに見とれてしまう。

如月
「俺はそういう男だよ。翼ちゃんは、それを知ってて付き合ったんでしょ?」

クスクス、と小さな笑い声を零し、如月さんは私の指先を口に咥えた。


「!」

ビックリしたのと恥ずかしいので、もう頭が回らない。

如月
「翼ちゃん、顔真っ赤。可愛い」

手をつないだまま、如月さんは無邪気にはしゃいだ。


*****

暗くなりはじめたクリスマスイブの街角を、如月さんと一緒に並んで歩く。


「こうして、イルミネーションの中を歩くって、なんだかいいね」

如月
「そうだね。まるで、星の中を歩いてるみたいでしょ」


「うん。いつも見てるはずなのに、いつもより綺麗に見える」

如月
「うん、俺もそう思う」

目を細めて見つめていると、ふいに手を掴まれた。


「?」

如月
「そろそろ、夕食にしない?」


「え?でも、まだ少し早いような…」

如月
「大丈夫。きっといい時間になってるからさ」


「いい時間?」

首を傾げる私を引っ張り、如月さんは次の場所へと向かった。

如月
「ここだよ」


「……ペンション?」

如月
「うん。山の中で、落ち着いたペンションだろ?ここからだと、星がたくさん見えるんだ」


「本当、小さな星まで見えて……落ちてくるみたい」

如月
「イルミネーションもいいけど、たまには本物もいいでしょ」


「うん」

満面の笑みを浮かべる如月さんに連れられてペンションへチェックインし、そのまま、外のテラスで夕食、ということに。

如月
「……翼ちゃん、デザート食べながらでいいから、俺からのプレゼント、受け取ってくれる?」

渡されたのは、小さなクマのぬいぐるみ。


「可愛い」

如月
「翼ちゃんくらい大きなぬいぐるみと迷ったんだけど、持って帰るの大変かと思って、こっちにしたんだ」


「すごく嬉しい。さっそく部屋に飾るね。じゃあ、私からは……これ」

私が差し出した包みを、如月さんが開ける。

そこから出て来るのは、以前如月さんが欲しがっていた、腕時計。

如月
「ありがとう!……でも、こんなにいい腕時計貰ったら、ぬいぐるみと釣り合い取れないや」


「そんなことないよ」

如月
「いや、俺が納得いかない」

如月さんは不満そう。

如月
「あ!そうだ!翼ちゃん、あの星をあげるよ」

そう言うと如月さんは、えい!と言って、星を捕まえる仕草をした。

如月
「捕まえたよ」


「え? 本当に?」

ほら、と言って、如月さんは両手をそっと開いてみせた。


「これ……」

微笑む如月さんの手には、星をかたどったネックレス。

如月
「翼ちゃんにプレゼント」

ビックリする私の首元へ、如月さんがネックレスをつけてくれる。

如月
「うん、よく似合うよ」


「こーちゃん……」

如月
「これで、釣り合い取れたかな?」


「取れるどころか、余るくらいだよ。だって、こんなに素敵なネックレス……」

如月
「実は雑誌で見て、翼ちゃんに絶対似合うって思ったんだ。本当の星じゃなくて、ごめんね」


「……私には、本当の星以上に輝いてみえるよ」

如月
「そっか。翼ちゃんがそう言ってくれるなら、よかったよ。初めてのクリスマスだもん、これくらいさせてよ」


「こーちゃん……」

如月
「さあ、部屋に戻って、今度はふたりきりで乾杯しよう」


「うん」

如月
「朝まで、ずっと一緒だよ」

つないだ手は、すごくあったかくて……。私たちは、満点の星空の下、そっとキスを交わした。


~終わり~
 
追記
名前:ジュン
本文:
こーちゃん、こんにちは。

ペンションに泊まるなんて素敵ですね。

やっぱり、こーちゃんは大自然が似合うのかな?

星を掴まえてペンダントにしてくれるなんて最高の演出だね。

多少の意地悪は許したくなっちゃうね。

名前:澪
本文:こんばんは。

如月さん、さすが小悪魔!

いつの間にか振り回されちゃいますね(笑)

ペンションで二人きりのクリスマス、

とってもロマンチック~(^ν^)

星を捕まえてネックレスに、の流れもすごいです!

そして満天の星空の下でキス…贅沢なクリスマスですね♪

名前:Twitterこたつ部屋
本文:
穂積
「ジュンも澪も騙されちゃだめよ。

如月ってば、山の中のペンションを選んだ理由が『ここなら絶対に捜査室のメンバーには会わないから、ずっと翼ちゃんに触れていられる』だったのよ。

都内のレストランで櫻井の指をしゃぶっておきながら、何を言っているのかしらねアイツは!」

ジュン
「し、室長、落ち着いてください……」
 

「やっぱり小悪魔なのかな……」

名前:冬子
本文:
こーちゃん、さすが!

女子の喜ぶツボがわかってるねー

さすがベッキー!

そして、相変わらず大胆で意地悪…

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