『非公式Twitter』

番外編から零れたふたり~クリスマス編~

2015/12/17 13:07
##IMGLU83##

こんにちは慶史さん、クリスマスのご予定はがら空きですよね?

##IMGU75##

その顔で開口一番、心を抉るような発言をするのはやめろ!

##IMGLU83##

おや、この顔はお気に召しませんでしたか?

夢を見せて差し上げようと思ったのに。

##IMGU75##

いらん気遣いをするな。

確かに俺にはクリスマスの予定は何も無いが、本物のその顔の女は人気者だ。

23日の忘年会世話係から始まって、クリスマス前後は大忙しのはずなのだ。

だから、たとえお前がその顔の女に変装して俺とクリスマスを過ごしてくれたとしても、俺は本物のその顔の女はここにはいないと分かっているわけで…ややこしいわ!!

##IMGLU83##⇒ペリペリ…⇒##IMGLU78##

分かりました。

愛しい女性を素直に誘う事も出来ず、寂しい男性を慰めてくれるビジネスを利用する事も出来ない我が心の友の為に、僕が一肌脱ぎましょう。

##IMGU75##

今一枚脱いだではないか。

##IMGLU78##

まあ、お任せあれ。

必ずやあなたに、彼女と二人きりになれるチャンスを差し上げます。

じゃあ、予定空けておいてくださいね。

絶対に他の予定を入れちゃダメですよ。

##IMGU75##

どこかで聞いたようなセリフだな……

*****
 本文:*アニ編*


~12月23日、深夜~

「(…つ、疲れた…。忘年会が、こんなに疲れるものだとは…)」

へとへとになって警視庁の職員通用口を出、歩道を歩き出したところで、私は、後方から近付いてきた車にクラクションを鳴らされた。

車道側へ寄り過ぎたかと思って、よろよろと歩道の端に退いてお辞儀をすると、その車は私の横に停まって、窓を開けた。

「おい」

「?」

聞き覚えのある声に顔を上げると、そこにいたのは、慶史さん。

「慶史さん?!どうしたんですか、こんな夜中に?」

「阿呆。夜中だから迎えに来てやったのだろうが」

つっけんどんな態度だけど、頬が赤い。

慶史さんは、本当はとても優しい人なのだ。

「早く乗れ。寒いだろうが」

「はい」

私は嬉しくて緩む顔を隠しながら、助手席に乗る。

私がシートベルトを着けるまで待って、慶史さんはアクセルを踏み込んだ。

「忘年会の世話係だったそうだな。噂には聞いているが、苦労したのではないか」

「しました。聞いてください!」

慶史さんは軽く聞いてみただけのつもりだったかもしれない。

でも、疲れと眠気のピークを通り越し、酔っ払いと身内であるメンバーに対してまで鬱憤を抱えた私の思考は、勝手に口を動かして、溜まった不平不満を噴出させた。

そしてそれは、私の脳裏に新しい愚痴の文句が浮かばなくなり、いつの間にか車を停めていた慶史さんが若干引き気味に「……苦労したのだな」と呟くまで続いた。

「……」

「……」

「……」

ざあっ、と血の気が引いた。

「す!すすすすすみません!関係のない慶史さんに、延々とつまらない愚痴なんかを聞かせてしまって!」

「いや、面白かった。お前、自分を抑えて堪え忍ぶタイプだとばかり思っていたからな。よく喋るし、表情も豊かなのだな」

あああ、穴があったら入りたい。

引いた血が逆流して、今度は顔から火が出そう。

すると、その熱い頬に、大きな手が当てられた。

顔を上げると、そこには…慶史さん。

「俺はこう見えて、人の話を聞くのが仕事だ。裁判で被告が語る身勝手な理屈や、弁護人の苦し紛れのお涙頂戴を聞くのに比べたら、お前の愚痴など可愛いものだ。いくらでも、聞いてやる」

そう言って、慶史さんは頬に当てた手で、そっと私を撫でてくれた。

「だからな。…関係ない、とか、言うな。…俺だって、少しは、傷付く、のだぞ」

「…」

どうしよう、泣きそう。

「ごめんなさい」

「だから、その。そういう時は、『ごめんなさい』とかでは、なくてだな」

「大好きです」

頬を撫でる手に私の手を重ねると、慶史さんの身体が、びくりと跳ねた。

「……それでいい」

私はくすりと笑うと身体を伸ばして、慶史さんの頬にキスをした。

驚く慶史さんが可愛くて、キスを繰り返す。

「そうではなくて!」

とうとう真っ赤になった慶史さんが、叫んだ。

「こういう時は、その」

「はい」

「……黙って、目を閉じるものだ!」


微笑んで目を閉じたから、時刻はもう分からない。

でも、きっともう日付はクリスマスイブに変わっているはず。

私はシートベルトを外されて抱き寄せられながら、不器用で温かな口付けを受け入れていた。


~終わり~

*****

*JS編*


~12月25日深夜~


仲良しの友達とのクリスマス女子会を終えて、私は白い息を吐きながら帰路についていた。

遅い時間なのに普段より人の多い駅前通りを歩いていると、クリスマスのディスプレイを外す作業をしているお店がちらほら見える。

もう、そろそろこの赤と緑と金色の、華やかな雰囲気ともお別れなんだな。

そしたら今度はお正月、また新しい一年が始まる……。

「気の早いマルガレーテ」

不意に掛けられた声に振り返れば、いつの間にか、隣を歩いているのはジョン・スミス。

彼は私に、左腕の甲に着けている、銀の時計を示して見せた。

JS
「魔法の解ける時刻まで、まだもう少し余裕があるよ」

差し出された手に逆らわず、指を絡めてしまったのは、彼の言うように、クリスマスの魔法のせいかしら。


「このままずっとクリスマスならいいのに」

プレゼント、パーティー、イルミネーション……楽しかったクリスマスを思い出しながら、私は溜め息をついた。

明日からはまた、年末の慌ただしさに追われなければならないのだ。

目を閉じて頭を彼の腕に預けると、ジョン・スミスはくすりと笑った。

JS
「少し酔ってるみたいだね、マルガレーテ」

彼は私の手を引いて、歩道に置かれたベンチに誘う。

並んで座って肩を寄せ合うと、彼の長い髪がさらさらと頬に触れるのが気持ちいい。

JS
「肩を抱いても、いい?」

こくん、と、頷いた。

肩を抱かれると、彼から伝わる温もりと、胸の鼓動が心地好い。

何だか身体がふわふわしてきて、時間の感覚もおかしくなりそう。

存在を確かめるようにうっすらと目を開き、もう一度、瞼の重さに負けて目を閉じる。


「ねえ、時計を見せて…私、もう、帰らなきゃ」

うとうとしながら呟くと、JSは私に、さっきの腕時計を見せた。

その文字盤を見て、私は一気に覚醒した。

さっきと全く同じ時間!

目を見開き、額がくっつくほどの距離で文字盤を覗き込むと、こち、と音がして、秒針が動き出した。

時が流れ始めた途端、私は急に寂しさと後悔に襲われた。

ああ。

せっかくの魔法だったのに。


「ごめんなさい!」

ジョン・スミスが噴き出す。

JS
「閉ざされた時間の中に生きるなんて、やっぱり、きみには相応しくないよ」

繋がれたままだった手に、力が込められた。

JS
「代わりの魔法をかけてあげよう。君が、幸せな新しい年を迎えられるように」

引き寄せられて、唇が重なる。

JS
「来年もまた、素敵なクリスマスを迎えられるように、ね」

夢か現か分からなくなる、それは、本当に、魔法のようなキスだった。


~終わり~
追記
名前:澪
本文:こんばんは。

…番外編から零れたふたり、なんですよね。

零れたというのは、普通、残念なものなはずですが

これは、零れて正解かもΣ(・□・;)

小春さん、やっぱり公式様のライターになるべきじゃ…

アニさんもJSも、素敵なクリスマスを描いてもらえてよかったですね。

名前:ジュン
本文:
慶史さん、JS、こんばんは。

二人ともクリスマスの予定がなかったんですね。

可哀想に……。

でも、慶史さんもJSも素敵なクリスマスを過ごしたんですね。

JSの魔法かな?

名前:冬子
本文:
JSは魔法使いなのか~じゃアニさんの仲間なんだね

とかアブナイ妄想をしてしまった

アニさんみたいに冬子の愚痴をいっぱい聞いてくれたら、それが何よりのクリスマスプレゼントです

お返しに冬子も色々お話聞いてあげます

ささ、お二人ともなんでも喋ってね!

名前:エミ
本文:

いやん、アニもJSも真面目に恋人らしいクリスマスしててニヤニヤが止まらんっ!
(*´艸`*)

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