『非公式Twitter』

番外編から零れたふたり~アニ編~

2016/01/16 11:52
##IMGU75##

「そうか、急に初詣警備とは、警察も難儀だな」

私と慶史さんは、久し振りに待ち合わせをして、レストランで一緒の夕食を摂っていた。

本当なら、二人で、初めて過ごす年末年始の計画を立てるつもりだったのに。

##IMGLU83##

「こんな事になって、ごめんなさい」

アニ
「お前が悪いのではない」

慶史さんは慰めてくれたけど、少しだけ寂しそう。

アニ
「気にするな。今まで毎年、一人で過ごしてきたのだ。それに、どうせお前と会えないなら、帰省するつもりだしな」

「大阪に?」

アニ
「長男は忙しいのだぞ」

年越し特有の煩わしい家事からすぐに逃げ出そうとする父親、義理堅くて付き合いが広く、あれこれ用事を言いつける母親。

はては世話好きが高じて近所の独居老人から謎の親戚まで現れて、藤守家はてんやわんやなのだそうだ。

大変そうだけど、想像するとちょっと笑ってしまう。

「楽しそう」

アニ
「お前の所はあれだろう?家族揃って『ゆく年くる年』かなんかを見て、除夜の鐘を聴きながら日付がかわればお屠蘇など出して、丁寧に新年の挨拶を交わした後、家長である父親が『一年の計は元旦にあり』なんて訓辞を垂れて、全員が今年の誓いを立ててみたりするのだろう?」

「そ、そこまで厳格では…でも、近いかな…」

アニ
「俺の実家など、年賀状を届けに来た郵便局のアルバイト学生が、オカンに引き留められて玄関先でおせち料理を食っていた事まであるぞ」

それはともかく、と、慶史さんはコーヒーを飲み干した。

アニ
「俺の事は気にするな。お前は自分の仕事を全うしろ」

「はい」


レストランを出て駅まで歩きながら、慶史さんが、ふと思い出したように呟いた。

アニ
「しかし…お前が初詣警備だということは、愚弟も一緒か」

「捜査室のみんなも、小野瀬さんも一緒ですよ。持ち場はバラバラだけど」

アニ
「そうか…」

「いっそ、慶史さんも、大晦日に神社に来ませんか?そしたら一緒にいられるし、終わったら初詣して、それから帰省でも…」

アニ
「お前、俺と帰省してくれるのか」

「警備が終わればそのまま解散してお休みですから」

アニ
「…悪くないな」

慶史さんの顔がようやく綻ぶのが嬉しくて、私は彼に腕を絡めた。

私の行動に慶史さんは一瞬驚いた様子で、でも、繋いだ手に、ぎゅっと力を込めてくれる。

「悪くない、ですよね」

慶史さんとの初詣も、大阪での賑やかな新年も。

慶史さんのお家で割烹着を着た私と、隣でハラハラしながら世話を焼いてくれる慶史さんや、おおらかに笑って場を仕切るお母さんの姿を思い浮かべて、私は気の早い笑顔を堪えるのだった。

*****

大晦日。

##IMGU61##

「あらアニ、いいとこに来たわ。人手が足りないのよ、アンタも警備手伝ってちょうだい。まずはあそこの酔っ払いたちのケンカの仲裁から」

##IMGU75##

「話が違うぞー!!」



~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんにちは。

慶史さん、結局、初詣警備に駆り出されちゃいましたか……お疲れさまです。

でも、藤守家のお正月は楽しそうですね。

慶史さんも賢史くんもなんやかんや面倒見がいいからあちこちに駆り出されてそう。

私も賢史くんにくっついて藤守家に帰省したいなぁ。

名前:澪
本文:
こんばんは。

なんだか微笑ましい思いで読んでいたのに…

室長、ですよね!(笑)

アニさんのツッコミも冴え渡ってます(笑)

名前:冬子
本文:
アニさ~ん、お久しぶりですね!

喧嘩の仲裁ってどんな風にするのかな?

条例とか刑法とか読み上げちゃうの?

冬子もアニさんと大阪に行きたーい

アニさんの子供の頃の話を聞いて今年も笑い転げたい!

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