『非公式Twitter』

~番外編「ホワイトバレンタイン」より小野瀬編~

2016/02/09 10:09
声を掛けてくれたのは、やっぱり小野瀬さんだった。

##IMGU65##

「さあ、お嬢様。ディナーへと参りましょうか」

「もう、お嬢様なんて……」

照れ笑いを浮かべるけど、やっぱり嬉しくて、小野瀬さんのエスコートを受けた。

小野瀬さんの家の近くにあるレストランへ行くと、少し奥の席に通される。

「ここのスイーツ、すごく美味しいよね」

「うん。この前も、きみは美味しそうに食べてたもんね。甘いの好きなら、今日もらったチョコ、あげるよ」

小野瀬さんの言葉に、昼間のことを思い出した。

「それは、葵がもらったんだから、私は食べちゃダメだよ」

「……もしかして、嫉妬?」

「そ、そんなことない」

……あるけど。

「嫉妬してるんだ。俺が、他の子にチョコもらったから」

何も言えないでいると、小野瀬さんの手が頭を撫でた。

「嬉しいな、きみが嫉妬してくれるなんて。安心して。たとえ100個のチョコをもらっても、俺はきみからのチョコしかいらないから」

嬉しくて大きく頷く私に、小野瀬さんも嬉しそうに笑った。

「やっと、きみが俺の名前をちゃんと呼んでくれるようになったしね」

「あ……」

「二人きりになったら名前を呼ぶよう、言い続けたからね。俺のしつけの成果かな」

「しつけって……私、犬みたい?」

「まさか。むしろ、俺がきみの犬になりたい。そうすれば、甘えられるから」

「もう……」

「俺もご主人様の笑顔のために、たくさん甘えるからね」

テーブルの上に置いた手を、するり、と絡めとられた。

また当分デートはなしだけど……。

小野瀬さんがこうして時間を作ってくれるから、問題ない。


*****


13日午後6時。

ひと仕事を終えて、まったりした時間を過ごしていた捜査室の電話が鳴り響いた。

穂積
「大雪で、信号のトラブルがあったからって交通整理の応援依頼よ」

電話を受けての室長の言葉に、全員が、渋々と言う顔で立ち上がる。

私は明智さんとペアを組む事になった。

現場へ到着すると、辺りにはか
なりの雪が積もっていた。

「すごい雪ですね。確かに、これじゃあ交通機関もマヒしますよ」

明智
「そうだな。普段は降らないから、みんな車にチェーンもつけてないし……このままだと、いつ事故を起こしてもおかしくないぞ」

「私、元交通課ですもん。頑張って交通整理します!」

「頼もしい言葉だな。よし、やるか」

二人並んで励ましの声を掛け合いながら雪かきに勤しんでいたけれど、途中から、明智さんの声が聞こえなくなった。

視線を向けると、明智さんは真剣な眼差しで何かを見ている。

(一体、何を見てるんだろう。視線の先には……OLさん?)

スラリとしたキレイめのOLさんを見つめる明智さん。まさか、一目惚れ?

「……欲しい……」

(えっ?!)

「あの本」

「本?…あのOLさんが持ってる、料理のレシピ本ですか?」

「あれ、絶版でもう手に入らないんだ」

よほど欲しいのか、明智さんはフラフラとOLさんを追いかけようとする。

「ま、待って下さい!きっと再版されますから、我慢しましょう!」

「……欲しいんだけどな……」

まだ諦めきれないらしく、明智さんはOLさんがいなくなるまで見つめていた……
 

交通整理が終わると、もう朝の5時になっていた。

小野瀬さんはこれから1課に検査結果を届け、そのまま会議に参加すると言う。

だから家で待ってて、と頭を撫でられて、私は、合鍵を使って、一足先に、部屋で、小野瀬さんを待つ事にした。



「この前、このソファで膝枕したんだっけ…」

思い出を振り返ったり、掃除や料理をしながら待っていると、小野瀬さんが帰ってきた。

私はふと、今日帰宅する彼の手にあるはずのものがないことに気づく。

「あれ?葵……チョコは?」

「ああ、全部断ったよ」

「え!? どうして……」

「だって、嫉妬する顔もいいけど、やっぱりきみは笑顔の方が可愛いからね」

満面の笑顔で、小野瀬さんの唇がおでこに触れる。

「あの…夕食、お鍋を支度しておいたよ。今日は、寒かったから」

私が言うと、小野瀬さんは笑った。

「バレンタインに鍋つつくとは思わなかったな。こんなの、初めてだよ」

「……あ。私……ごめんなさい。鍋なんて、ムードがなかったよね」

「ムード?そんなこと、気にしないの。俺は嬉しいんだよ。だってきみは、寒いから、鍋にしたって言ったじゃないか。それは、外から帰ってきた俺のことを考えて、鍋にしたってことだろう?」

「……葵……」

「それに、ムードなら作れる」

そう言うと、小野瀬さんは、ポケットから、小さな粒が並んだチョコを出した。

「男性の同僚からもらった、ゲームの景品だよ。よりによってバレンタインにくれるから、鑑識内で大爆笑」

その光景を思い浮かべたら、私まで可笑しくなって笑ってしまった。

「笑ったな」

「だって」

小野瀬さんは箱からチョコを取り出して半分くらい口に咥えると、そのまま私に口移しで食べさせた。

「おしおき」

甘くて深い口付けが、私の胸を熱く燃やす。

「…ん…」

「やっぱりキスするなら、甘い方が良いね」

小野瀬さんは満足げに頷くと、私を一気に抱き上げた。

「今日は待たせたお詫びと、鍋の礼もあるから、覚悟して」

「え? 覚悟って……」

「たっぷり可愛がってあげる」

お姫様みたいに抱え上げられたまま、何度もキスを繰り返す小野瀬さん。

その足は、ベッドルームへ。

「……し、食器洗ってからでもいいんじゃない?」

「それこそ後でいいよ。今は、ムードの方が大事だからね」

「じゃあ、その……私、明日仕事だから、優しく……」

「それは無理だよ。だって、何日我慢したと思ってるんだ?」

「それは、その……」

「大丈夫。きみにも満足してもらうからさ」

「それが大丈夫じゃないんだよ」

「良いじゃないか。ほら、黙って俺に身体を預けてごらん」

「イジワル」

「きみが可愛いからいけないんだよ」

「もう……」

小野瀬さんには、いつだって敵わない。

その事を改めて思い知らされながら、私は小野瀬さんのキスに酔いしれた。


~終わり~
追記
名前:澪
本文:
こんにちは。

小春さん、今回も難民救済ありがとうございます!

そりゃ彼氏が他の子にチョコもらったらヤキモチやきますよね>_<

しかもバレンタインに渡せないからわざわざ持ってくるって本命っぽいですし…

小野瀬さんは甘えられたいイメージが強いけど、甘え甘えられなら尚よしですね。

明智さんのレシピ本への執着がすごい(笑)

古本屋とか再販とか、手に入る機会があるといいですが…

続きも楽しみに待ってまーす(^◇^)

名前:ジュン
本文:
こんばんは。

数多のチョコを全部断ってきてくれちゃうなんて、小野瀬さん、男前~。

彼女からしてみたら申し訳ないと思いつつも嬉しいですよね。

口移しでチョコを食べさせてくれて直ぐにベッドだなんて(〃∇〃)

小野瀬さんに溶けちゃうバレンタインですね。

名前:澪
本文:
こんばんは。

続きありがとうございます*\(^o^)/*

小野瀬さん(* ´ д ` *)

たくさん貰えてしまう他の人のチョコを断ってきて、

笑顔のほうが可愛いとか言って、

チョコを口移しでキス(* ´ д ` *)

定番でも小野瀬さんがやると素敵すぎます(* ´ д ` *)

幸せしかないバレンタインですね(* ´ д ` *)

名前:ただ今帰宅のせつな
本文:

お、お、お、小野瀬さんたらッッ

☆:・゚.*~(〃゚艸゚〃)~*.゚・:☆



カッコよすぎる
ステキすぎる
エロすぎる~~~~~~っっっっ!!!


(* ̄ii ̄*)←あっ

名前:冬子
本文:
小野瀬さんったら、素敵!

さすがですね、甘い甘い


ところで、どうしつけられてもなかなか葵とは呼べない冬子ですが、

その場合、どんなお仕置きが待っているのかな~

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