『非公式Twitter』

~番外編「ホワイトバレンタイン」より~藤守編~

2016/02/11 10:05

##IMGU62##

「お前、また料理上手くなったんじゃないか?」

「そう、かな?」


 ここは藤守さんの家。

 今は私が作った夕食を、一緒に食べているところ。


「前よりも、俺好みの味になってる。こりゃ、お前が俺の嫁になる日も近いな」

「賢史くんの、お嫁さん……」

「なるだろ?」

「……うん」

嬉しそうに頷く私に、藤守さんも楽しそうに笑った。

「安心しろ。まずはお父さんに認めてもらってからだからさ」

「う、うん」

「まあ、先は長いだろうけど……それまで傍にいてくれるか?」

「もちろん」

「よしよし、お前は良い子やな」

頭を撫でる感触に、うっとりと目を閉じる。

藤守さんとこうして触れ合う時間は、私にとってなによりのごほうびだ。

「こうして一緒に飯食うのも、ホント久しぶりだな。それに、デートも行ってない。ごめんな、連れて行けなくて」

「仕方ないよ。それに、私は一緒にいれるだけで嬉しいから」

「いいや!それじゃダメだ。お前を楽しませたい」

藤守さんはグッと顔を近づけて、私の目を覗き込んだ。

「14日は休みが重なるからさ、デート行こう。お前の行きたい所に」

「デートは、ふたりで楽しむのが1番楽しいと思う」

「……うん、そうだな」

箸をテーブルに置いた藤守さんは、両手を広げて優しく抱きしめてくれた。

「14日は、夜までお前を離さへん」

「それって……」

「意味、分かるだろ?」

藤守さんの唇が、近づく。

高鳴る心臓に震えながら目を閉じれば、柔らかなキスが落ちてきた。

それはとっても優しくて、とろけるような口付け。

「お前の唇、柔らかいな。止まらなくなりそう」

何度も囁きながら、その度にキスを繰り返す。もう何回目? なんて、数えられないくらい。

「賢史、くん……」

「好きや…」

その言葉の後にとろけるようなキスをされ、胸の鼓動はまたひとつ、跳ね上がった。


*****


13日の夜9時過ぎ。

一度は寮へ戻った私を、室長の電話が捜査室へ戻らせた。

大雪のせいで、東京の全ての交通機関は悲鳴をあげている。

私たちはそれに対処するために呼び戻されたのだ。

如月
「雪に対して、もっと前もって対策しないからですよ」

怒る如月さんの声を、室長の声が遮った。

穂積
「交通課からの要請よ。全員、交通整理の応援をお願い」

「はい」

如月
「はーい。じゃあ、さっそく行こうか」

私は如月さんとペアを組んで、外に飛び出した。

雪が吹きつける中、信号代わりのハタを持って車を誘導する。

如月
「北海道じゃ毎日降ってるけど、雪で信号が壊れたりはしないよ」

「そうですよね」

「まあ、こっちじゃ、こんなに降るのは一年に一度あるかないかだから、その為だけに、人を雇ったり機材や重機を整備しておく訳にもいかないよね」

如月さんはそんな話をしながらも、胸を張って楽しそうに交通整理をしている。

失礼だけどこんなに楽しそうに仕事をする如月さん、はじめて見るかも。

「もっと雪が積もって、かまくらとか作れると良いよね!」

寒さに震える私と、楽しそうな如月さん。

そんな私たちの横を、徐行運転する車が通り過ぎていった。


仕事が終わったのは、明け方。

疲れてヘトヘトになっていたけれど、それでも、一旦帰宅して着替えた後、私と藤守さんは約束したデートに向かった。

開園してすぐの動物園は、想像以上に静か。

まだ雪も積もっているからか、お客さんも数人しかいない。

藤守さんの伸ばした手が、私の手をしっかりと掴む。

そのままギュッと力が入ると、
嬉しくて笑顔になる。

「よし、今日はゆっくり見て回ろうか」

「そうだね」

珍しい鳥、大きなゾウ、ライオン。

でも、雪景色の動物園の動物たちは、みんな寒さで縮こまっている。

「ごめんな。こんな雪の日に動物見たって、面白くないよな」

ガックリと肩を落としている藤守さんを見ていると、胸が苦しくなった。

「賢史くんのせいじゃない。それに、一緒にいれるだけでも楽しいのに、賢史くんが私のためにいろいろ考えてくれてる。それが、何よりも嬉しいの」

「ホント……お前には敵わんな」

藤守さんの口元に、笑みが浮かぶ。

「だから好きなんや」

その言葉と同時に、勢いよく抱きしめられた。

「け、賢史くん!?」

人前じゃないけど、外で抱きしめられるとビックリする。

ドキドキするのを感じながら、藤守さんの顔を覗き込んだ。

「好きや」

「う、うん……私も、好きだよ」

藤守さんは私の身体を離すと、自分の巻いてたマフラーを私につけてくれた。

さっきまで藤守さんが巻いてたから、すごくあったかい。

「さあ、行こうか。俺が貸切にしたから、この動物園は、今だけはお前のもんや!」

本当は雪のせいなのに。

両手を広げて宣言する藤守さんに、思わず笑い声を上げてしまう。

そんな私たちを、ライオンが目を細めて優しく見つめていた。



動物園を見て回った後、藤守さんに連れられてきたのは、海辺のホテルだった。

部屋へ入ると、ベッドの上には紫色の花がいくつも飾ってあった。

「今日はバレンタインやろ。別に男からもプレゼントがあっても良いと思ってな」

「すごく嬉しい……! 本当に、お姫様みたいなベッドだね」

続いてホテルマンが持ってきたのは、ワインクーラーとグラス。

クーラーの中には、赤ワインが1本入っている。

そして、ホールのイチゴケーキ。

「これが、俺からのサプライズその2」

「すごい……!」

「今も、これからも、俺はずっとお前だけを愛してるからな」

テーブルの上で、指を絡ませる。

「これから先どんなことがあっても、この手は離さへんよ」

「うん。私も、絶対に離さない」

愛の確認をするように、そっと唇を重ねる。

お酒が入ったからか、お互いに少し火照ってるみたい。

それが気持ちに火をつけ、キスが深くなっていった。

「こっち来い」

「うん……」

イスから立ち上がって傍に行くと、そのまま太ももの上に座らされた。

「この体勢の方が、お前にたくさん触れられる」

「け、賢史くん!?」

「嫌じゃないだろ? ほら……」

藤守さんの唇が、私のいろんなところにキスを落とす。

その度にビクリと身体が跳ね、熱い息を吐き出した。

「ほら、俺だけ見て」

「んっ……」

両手を掴まれたまま、視線を合わせる。

それが合図となって、私たちはそのまま熱いキスを交わした。


~終わり~
追記
名前:小春
本文:
小春
「こんなイケメン藤守さんじゃない」

藤守
「お前はホンマ失礼なやっちゃな!」
 
名前:冬子
本文:
うーん、たしかに藤守さんっぽくはないかもしれないけど、藤守さんだって決めるときは決めるんですよ、きっと。


雪の動物園だっていい思い出ですよね。

人が少ないってのが何よりなにより。


ベッドの紫の花、赤ワインとイチゴのケーキ…雑誌とか読んで研究したのかと思うとかわいいですよね!

名前:澪
本文:
こんばんは。

藤守さん、さすが雑誌に載ってそうです。

雪のせいでも、貸切にしたからとか言って笑わせてくれるところが藤守さんらしい(^∇^)

そしてなんだか優しく見つめてくれるライオンにキュンとしました。

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