『非公式Twitter』

~番外編「ホワイトバレンタイン」より~如月編~

2016/02/12 10:01
如月さんが、満面の笑みで駆け寄ってきた。

##IMGU64##

「翼ちゃん、手伝ってくれない?」

「はい?」

危うく名前を呼ぶところだったのを、グッと堪える。

「資料室の片付け。オレが関わったものだけのつもりだったのに、ルイルイがさー」

「全部やれー!って言ったんですね。想像出来ます」

「分かってくれる?ありがと~、ホント助かるよ!」

両手を合わせる如月さんに、思わず苦笑いを浮かべてしまった。

資料室に入ると、カギを閉める音が聞こえた。

(ん?)

「翼ちゃーん!」

キョロキョロしてたら、突然後ろから如月さんに抱きつかれてしまう。

「如月さん!? あ、あの…」

「今は、名前で呼んでよ。ふたりきりなんだから」

「もう、このために呼んだの?」

「そうじゃないけど…たまにはいいじゃん。オレたち、年明けから、ろくに休んでないんだよ」

力強く抱かれ、仕方ないと思いながらも、身体を預けてしまう。

確かに、二人でデートどころか、一人で映画に行く時間と気力さえなかった。

「そんな翼ちゃんに、プレゼント」

如月さんは胸ポケットから、2枚のチケットを取り出した。

「14日は休みだから、映画、一緒に見に行かない?」

それは、私が見たがっていた映画のチケット。

覚えていてくれたんだ。

唇が触れるだけのキスが、何度も落ちてきた。それはとても甘くて、あったかくて…ドキドキする。

「ヤバイ…止まらなくなりそう」

奪うようにキスをされ、息が止まりそうになった。激しい口付けに、頭はクラクラして、めまいがする。

「こーちゃん、これ以上はダメだよ…っ」


***


それから数日後。

大雪で交通機関がすべてマヒして(中略)私は室長の車で繁華街へと到着すると、そこはちょっとした騒ぎになっていた。

雪の影響でバスが動かないことに腹を立てて暴れた人がいるそうで、かなり怪我人は出てるし、止めに入った人や煽る人もいて、先に駆け付けていた交番巡査も、事態を収拾出来ずに困っている。

穂積
「それで? 元凶はどこよ」

巡査
「実は、あそこでまだ…」

巡査が指を差す路地裏で、人が暴れていた。

今は誰かにケンカを売っているわけではなく、ゴミ箱に八つ当たりしているみたい。

穂積
「あんたも警察官なら、止めなさいよ」

巡査
「すみません、止めたんですが…」

巡査さんの頬に切り傷が出来ているのを見れば、状況は何となく想像出来る。

穂積
「仕方ないわね…櫻井、応援呼んで、ケガ人を全員警察病院で手当てさせるよう手配して」

「了解です」

穂積
「私は、あれを黙らせてくるわ」

室長は満面の笑みで路地へと消えていき、間もなく戻ってきた。

…ちょっと不自然なケガをしている犯人を連れて。

穂積
「何よその顔。さすがの私も、傷害罪で捕まるような事はしないわよ」

…これ以上は聞けない。

でも、雪とケガ人の数のせいで、搬送のパトカーが足りない。

「事件の当事者だけでも、室長の車で…」

「嫌」

「え?」

思わず聞き返した私に、室長はいたって真面目な顔を向けた。

「私の車に男乗せるとか、絶対嫌。汚れる」

結局、別の捜査が終わった如月さんと藤守さんの車を借りて、搬送したのだった…


空が白み始めた頃、やっと私たちの手から捜査が離れた。

穂積
「如月と櫻井は今日休みよね。帰って休んで良いわよ」

「はい…あれ?」

「如月なら、さっき帰ったわよ」

「え…」



室長たちと別れ、ケータイを出そうか迷っていると、突然着信音が鳴った。

如月
『翼ちゃん、お疲れ。そのまま歩いて』

すると、進路先に、ケータイを耳に押し当てた如月さんがいた。

「人ごみの中で、ケータイ片手に出会うってやつ、やってみたかったんだ」

無邪気に笑う如月さんに手を引かれて、約束通り映画館へ。

大雪のせいで中はガラガラだけど、貸し切りみたいで、嬉しくなった。

映画を見ている間、手を握っていてくれたのも嬉しかった。まさかキスされるとは思わなかったけど…。

映画の後、如月さんは私をホテルに誘った。

街の真ん中にある、一流のホテルだ。

「久しぶりのデートだし、今日はバレンタインだから、予約しておいたんだ。それに、ホテルなら思い切り休める!」

「うん!」

「明日の出勤時間まで、ふたりでのんびりしてようね」

「そうだね。今日は全員徹夜だったし……さすがに眠いよね」

「みんなも眠いだろうね」

お互いに、まだ働いている仲間のことを思い出し、ふたり揃って笑い声を上げた。

「ハイ、仕事の話はここまで。今は恋人同士なんだからさ」

如月さんが窓辺に向かって、カーテンを開ける。

夜景がすごく綺麗。

「オレからの、バレンタインプレゼント」

振り返ると、如月さんが大きなバラの花束を差し出した。

「わぁ……!ありがとう、こーちゃん。こんなに抱えきれないくらい大きいの、はじめて見た
よ」

「喜んでくれて良かった」

「すごく嬉しいよ。こんなサプライズがあるなんて……」

「翼ちゃんの喜ぶ顔が見たかったんだ」

花束に感動していると、そこにメッセージカードが挟まっていた。

取り上げると、そこには「To my goddess」と書かれてある。

「オレの気持ちだよ。翼ちゃんは、オレだけの女神だから」

「こーちゃん……本当にありがとう」

如月さんは大きく腕を広げ、花束ごと私を抱きしめた。

「オレの女神様、その笑顔は反則です。可愛すぎだよ」

身体を離したと思ったら、そのまま、花束の中で口付けされる。

「さっきの続き、しようか」

「さっき?」

「映画館での続き」

映画館……それを思い出した瞬間、顔が熱くなった。

そんな私を、如月さんは花束ごと、ベッドの上へ横たえた。

そして、優しくキス。

「キスだけで、そんな、物欲しそうな顔されちゃうと困るな」

「やだ……恥ずかしいよ……」

「隠しちゃダメだよ。すっごく可愛いから、もっと見せて」

両手を押さえ、何度もキスを重ねていく。

如月さんの口づけに、顔の火照りが収まらない。

唇だけじゃない。

如月さんのキスで、身体中が熱に浮かされる。

「翼ちゃんの声聞いてるだけで、興奮してくる。ねえ、もっと求めて」

「もう……イジワル言わないで……」

「イジワルじゃないよ。だって、聞きたいんだ」

如月さんのすべてが、私を包み込んでいく。

「オレだけを、欲しがって」

如月さんの全部に飲み込まれて、私はシーツの波へと沈んだ……



~終わり~
追記
名前:代休中のせつな
本文:
せつな
「こんなワガママ室長じゃない」

JS
「番外編あるあるですよ。挫けない挫けない(笑)」

名前:ジュン
本文:
こんにちは。

室長、男を乗せると車が汚れるって(笑)

でも、室長なら言いそう。

仕事だから渋々乗せそうだけど。

如月さんはすごくスマートですよね。

映画にホテルに大きな花束。

両手に抱えきれないくらいの花束なんてもらってみたーい。

名前:小春
本文:
小春
「ですよねー。小野瀬さんに対して『お前を乗せると汚れる(けがれる)』とか言うなら分かりますけど」

JS
「小春さん、それはそれで、おのほづセンサーをお持ちの皆さんに誤変換されそうですよ」

名前:冬子
本文:
おのほづセンサー‥( ´艸`)


はっ、いけない今日はこーちゃんの日でした。

こーちゃんったら相変わらずイジワルもするのね。

でも、愛もたっぷりね。

こーちゃんにはまったら、ちょっと大変なことになりそう‥

名前:澪
本文:
こんばんは。

なんか、如月さんもカッコイイ正統派な展開ですね。

日本よりアメリカ式のバレンタインみたいです。

うんうん、室長は文句言いながらも仕事だと乗せてさっさと片付けそう。

小野瀬さんだとそっちの展開ですよねヾ(@⌒ー⌒@)ノ

名前:エミ
本文:
壁|ω・)
私の おのほづセンサーが反応しましたよ(笑)

乗るのは小野瀬さんですよね!←誰に聞いてるんだ(笑

名前:センサー反応中のせつな
本文:

ワタクシも、小野瀬さんが乗る方だと・・・ゲフンゲフン

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