『非公式Twitter』

~番外編「ホワイトバレンタイン」より~穂積編~

2016/02/13 09:58
##IMGU61##
「櫻井」

呼び止められた声に振り向くと、室長が立っていた。

周りに他の職員もいたので、私は一礼して駆け寄る。

「お呼びですか」

「アンタにしか出来ない、すごーく大変な仕事を頼みたいんだけど。一緒に来てくれるかしら」

「…私にしか?はい、もちろん行きます」

「よろしい。じゃあ、さっそく現場に行きましょう」

室長は満面の笑みを浮かべると、私を追い抜き、先に立ってさっさと廊下を歩き出した。



室長の車に乗って着いた先で、私は呆然とする。

だって……

「ここが事件現場」

「……室長のお家ですけど」

室内に入ると、室長は不遜な態度でソファに腰掛けた。

「お前の仕事は、俺の飯を作ることだ」

自宅に戻って、室長の口調も男に戻る。

「……それだけ?」

「それだけ。なんだ、もっと別の仕事がいいか?」

「別の、って……」

二人きりになって、私が彼を恋人として意識した事を察したのか、彼は色気のある笑みを浮かべた。

「わかってるんだろ」

「ご、ご飯作ります!」

私は慌ててキッチンへ向かった。

ありあわせでありったけの夕食を作ると、室長と並んで座って、一緒に食べる。

「まあまあだな」

「じゃあ、もっと頑張るね」

ガッツポーズの私に優しい笑みを浮かべ、室長は優しく頭を撫でた。

「ああ。頑張れば嫁にしてやる。そうしたら、幸せにしてやるぞ」

頑張ったらいつか……その言葉が、私の心を幸せで満たしてくれた。


食後のテレビに映ったのは、チョコレートのCM。

「泪さんも、いっぱいもらいそうだな。いくらおかまで通ってても、かっこいいし……」

「俺はいらない。甘いの嫌いだし、バレンタインなんて製菓業界の陰謀だ。興味ない」

(うーん、何もあげずに、普段通り過ごした方がいいのかな?)

「それより、お前、14日休みだったよな。なら、13日はホテルに行くぞ。招待券もらったんだ」

室長が見せた封筒には、とある高級ホテルの名前が書かれてあった。

「行くだろ?まあ、無理やりでも連れていくが」

「すごい楽しみ!」

「それまでは、我慢しろよ」

何を?って聞く前に、室長は私の唇を塞ぐ。

そのまま何度も唇を重ねられて、私の身体は熱く火照った。


*****


けれど約束の13日、幸せな気持ちは一気に下がった。

私の足が半分埋まるほどの大雪で(中略)一旦帰宅しかけた私は、呼び戻されて藤守さんと交通整理に駆り出されていた。

二人でカイロの凄さを褒め称えながら、車を誘導していく。

その間にも他の場所で事故が多発し、捜査室全員が外で徹夜コースになる事が確定。

(ホテルは……なしだよね……)

手はハタを動かしながら、心の中で深いため息をつく。

そこへ、数人の人たちがやってきた。

「あの、バスが全然来ないんですけど……」

「この雪ですから、バスは動きませんよ」

藤守さんが上手く対応していたけれど、携帯が繋がらない、タクシー呼んで、と、だんだんエスカレートして、しまいには、交通整理の私にまで。

当然、渋滞が起きて、四方からクラクションが鳴る。

「藤守さーん! 助けて下さい!」

「俺も無理ー!」

私たちの叫び声は、クラクションに掻き消された。

明け方になり、私はやっと交通整理から解放された。

捜査室に戻ると、他の皆は既に仮眠室に行ったらしく、迎えてくれたのは、見るからに不機嫌な室長だけ。

デスクへ戻ろうとすると、立ち上がった室長に腕を掴まれた。

穂積
「ついてこい」

そのまま連れ出されて着いたのは、普通と違って、雰囲気のある…いわゆる、そういうホテル。

戸惑っていると、室長は私を強引にベッドへ押し倒した。

「ま、待って!せめて、シャワーくらい…」

「そんなもの、後だ」

室長は顔をしかめて、私を抱きしめた。

「雪のせいで昨夜はキャンセル。報告書を作る為に今日の俺の休日は返上だ。お前、慰めろ。どうすればいいか分かるだろ」

分かるからこそ恥ずかしい。

躊躇していると室長が、唇を重ねてきた。

息継ぎをして、今度は私から唇を重ねると、舌まで奪われる。

その感触に、めまいがしそうになった。

しばらくキスに酔っていると、室長もベッドへ横になった。

手を握ると、険しかった表情が和らぐ。

「お前は我儘を言わないんだな」

「仕事と私どっちが大切?なんて言って、迷惑かけたくないだけ」

「お前が大切に決まってる」

そう言われると嬉しくて、涙が出そう。

「私、その気持ちだけで、充分」

室長が、胸ポケットから、細長い箱を出した。

入っていたのは素敵な、小さなハート型のペンダントだ。

「つけてやる」

「こういうデザイン、すごく好き」

「知ってる」

いつも素っ気無いけど、室長はちゃんと私のことを見てくれてるんだな。

「チョコも、好きだろ?」

私の為に買ったというチョコを、ひとつ口に入れてくれる。

「すごく美味しい」

「へぇ、じゃあ味見」

まだチョコが口の中にあるのに、室長はそのままキスをする。

ゆっくりと、堪能するような長いキス。

「確かに、上品な味だな」

「もう……」

「お前は、俺の欲しいものが分かるか?」

私の頬や、首筋を撫でる室長の手が、くすぐったい。

「そ、それは……」

「教えてやろうか?」

身体を起こし、私を見下ろす顔に浮かぶのは、優しくてイジワルな笑み。

「お前の、全部」

「泪、さん…」

さっきまでとは比べものにならないくらいの激しいキスに、息が出来なくなる。

室長の舌が耳たぶに触れて、ゆっくりと首筋を舐め上げられる。

「チョコよりよっぽど美味い」

「泪、さんっ……」

「俺好みだ」

荒い息を吐き出すと、室長はまた奪うようにキスをした。いつもより遠慮がなくて、荒々しい手つき。

「ほら、もっと感じさせろ。強引なのは嫌いか?」

「……泪さんのイジワル」

「イジワルなのも知ってるだろ」

「……うん、知ってるよ。知ってて、好きになったから」

だから、彼の与えてくれるすべてに身体が反応する。この胸が高鳴るのも、頬が赤くなるのも、指先が震えるのも。

全部、室長が好きだから。

「いっぱい、泪さんを感じたい」

恥ずかしいけど、おねだりする。

だって、それは彼が教えてくれたことだから。

「いい子だ」

口端に満足げな笑みを浮かべ、また唇を重ね合わせた。

そのキスはまだチョコ味で……

口付けを交わすたびに、身体の奥まで、甘い味が広がっていった……。


~終わり~
追記
名前:せつな
本文:
小春さん、V.D番外編、全UPありがとうございました!


全キャラ通して、V.Dなのに、カレの方が尽くしてくれるストーリーでしたね。

澪さんが、「日本よりアメリカ式のバレンタインみたいです」と言ってたけど、同意です。

これだと、W.Dの番外編はどうなるんんでしょう?

まぁ、どっちにしても、イチャコラダイスキーだからいいんですけど( *´艸`)


せつな
「でも、こんな八つ当たり室長じゃない」

JS
「ははは、たしかに。あの大魔王は、仕事とマルガレーテを同じ秤にかけたりしないでしょうね。大丈夫。お嬢さん方は分かってますよ。・・・そうですね、僕なら・・・。いえ、何でも」


・・・きっと、番外編から零れたお二人の、すぺしゃるーーな番外編がある、はず、ですよ、ね|д゚)グフフフ←オイ

名前:ジュン
本文:
こんにちは。

室長、お疲れさまです。

でも、なんかそういうホテルを室長が使うなんて意外な気がするです。

でも!意地悪でエロい室長は大好きですよ。

名前:ジュン
本文:
こんにちは。

室長、お疲れさまです。

でも、なんかそういうホテルを室長が使うなんて意外な気がするです。

でも!意地悪でエロい室長は大好きですよ。

名前:冬子
本文:
毎日長編ありがとうございますっ

( ̄^ ̄)ゞ 敬礼!


しつちょー、冬子もわがままいいませんよ

おすすめ物件です。 ←何を言ってるのやら


明日はバレンタインデーだというのに、天気は本当に荒れるらしいですね~

おまわりさん、お仕事大変だ。

も一度

( ̄^ ̄)ゞ 敬礼!

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