『非公式Twitter』

番外編『秘密のお花見大作戦』より~プロローグ~

2016/04/26 15:01
~翼vision~

暖かくなった南風が警視庁を満たし、出勤する私の足取りも軽い。

署内ではあちこちに、研修中の新人らしい姿がちらほらと目につく。

すっかり、春爛漫だ。

自分の新人時代を思い出しながら捜査室に向かう角を曲がると、自販機の前で何やら揉めている、明智さんと小笠原さんを見つけた。

「おはようございます、どうしたんですか?」

「……」

「ああ、おはよう。いや、小笠原が、今年の警視庁の花見大会に出たくないって駄々をこねていてな」

「駄々こねてるわけじゃない。行きたくないだけ」

「行きたくないって…」

「それを駄々って言うんですよ、小笠原さん」

「せやな」

私の後ろから、如月さんと藤守さんも加わった。

「明智さん、お花見大会って何ですか?小笠原さんがこんなに嫌がるなんて、もしかして、年末の忘年会のような……?」

「お前、花見会に出た事無いのか。忘年会のような酒乱製造現場とは違う。普通の花見だ」

「それなら…」

「花見なんてしたくない」

話は堂々巡りで、私は困ってしまった。

「小笠原さん、職場のお付き合いですから、お花見があるなら少しだけでも参加しないと…」

「そうよ。嫌でも顔だけ出しなさい」

急に後ろから別の声が掛かって、全員が一斉に振り返る。

そこには、室長と小野瀬さんが立っていた。

「花見会なんて、ただ集まって酒飲むだけなんだから」

「俺は飲めないけど、花見って何か楽しいよね」

私は小野瀬さんに尋ねた。

「花見会って、飲み会なんですか?」

「そうよ」

答えたのは室長。

「別名、タダ酒飲める会」

小野瀬さんは室長の言葉に苦笑いしてから、続ける。

「確かに飲み食いはタダだけど……あの雰囲気は苦手だな」

「小野瀬さんも?」

「うーん。お偉いさんたちが来るから、場が暗いんだよね」

「お通夜みたいで、俺なんか早く帰りたいですよ」

と、如月さん。

「俺は行きたくもない」

小笠原さんはますます不機嫌。

「せやけど、他の課の連中とも飲める、楽しい面もあるんやで」

「署長たちの訓話が長すぎて料理が冷めるのがなあ」

「でもタダ酒タダ飯よ」

藤守さん、明智さん、室長…、みんなの意見を聞いても、なかなか想像が出来ない。

「……つまり、お堅いお花見なんですね」

「その通り」

捜査室メンバー全員の声が一つになった。

小笠原さんを視界に入れながら、室長が補足する。

「花見会は旧年度の慰労会でもあり、新年度からの新人歓迎会、さらに懇親会でもあるのよ。だから、確かにくだけた宴会ではないけど、なるべく全員が参加するように言われているの」

「ああ、なるほど」

室長の説明に、私は頷いた。

だから、管理職の人たちが参加して、挨拶や長い訓話をするわけだ。

「一応、ビンゴみたいなイベントもあるんだよ。すっごく静かだけど」

小野瀬さんが笑う。

静かなビンゴとかちょっと想像つかない。

まだぐずる小笠原さんを励ましながら、私は、初めて参加する事になる花見大会に思いを巡らせていた。



でもその前に、今は仕事を頑張らなくちゃ。

私は一日の仕事を終えると、捜査室を出た……。
 
*****

……続く……
 
追記
名前:ジュン
本文:
こんにちは。

4月の番外編と言えばお花見ですよね。

でも、静かなお花見……いつもみたいに賑やかにはいかないのかな?

捜査室の皆が静かに大人しく飲んでるなんて想像が出来ない(笑)

どんな展開になるのか楽しみです。

名前:冬子
本文:
う~ん、お偉いさんの来る静かなお花見

私もちょっとイヤかも……

しつちょーはただ酒飲んで、酔っ払った偉い人の弱みを聞き出したりして、色々実のある飲み会なんでしょうね。

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