『非公式Twitter』
番外編『秘密のお花見大作戦』より~明智編~
2016/04/27 15:00明智さんの車に乗り込み、空き巣の被害届があった現場へと移動する途中。
##IMGU60##
「お前と組むのは、久しぶりだな」
##IMGLU83##
「そうですね。頑張ってお仕事しますから、よろしくお願いします」
「…今は二人きりなのに。真面目だな」
「公私混同はいけないと思って」
「そうか。今日は食事にでも誘おうかと思ってたんだが…止めておこう。仕事中だから」
「そんな!」
「はは、冗談だよ。真剣な顔だったから、ちょっとからかいたくなっただけ」
「もう……」
「今日、俺の家に来ないか。美味しいふりかけを作ったから」
私の頭を撫でてから、明智さんはハンドルを握りなおした。
「それに実は、最近、姉たちに彼氏が出来た。だから、静かに過ごせるんだ」
良かったね、と言うと、明智さんは「長続きするといいけどな」と苦笑した。
「今日も彼氏と花見デートだそうだ。…ああ、そうだ。俺たちも、署の花見大会の後、二人だけで花見をしないか?」
「いいの?嬉しい」
「せっかくの花見だし、弁当でも作って…と言いたいが、捜査室メンバーに貪り尽くされるのがオチか」
「お弁当なんてなくても、私は、二人で桜を見られるだけで嬉しい」
「そうか。じゃあ、みんなに気付かれないようにしないと」
「うん」
赤信号で停まると、明智さんの手がまた頭を撫でる。
「おっと、仕事中だからほどほどに、だったな」
「うん……じゃなくて、はい」
「よし。じゃあ、櫻井。気を引き締めて現場に行くぞ」
「了解です、明智さん」
私たちは車の中で笑い合った。
*****
署の花見大会も終盤に差し掛かって、やっと堅苦しい雰囲気から解放された。
「お偉いさんたち、みんな長い挨拶やったなー」
こっそりと伸びをしたのは、藤守さん。
「そうですね。でも、挨拶が終われば普通のお花見と一緒ですね」
見渡せば全員が同じようにほっとした顔で、お酒や料理に手を出している。
私は室長にお酒を渡したり、如月さんにお皿を渡したり、青ざめた小笠原さんに横になってもらったり。
(これが終われば、明智さんとデート出来る)
私がそんな不純な動機でせっせと働いているとは知らない藤守さんは、しきりに褒めてくれる。
「お前はほんま優しいなー」
「だって一番下ですもん、普通ですよ」
「いや!優しい!」
「普通ですってば」
「何だか櫻井と藤守って、お姉さんと弟って感じよね」
「確かに。櫻井の方が落ち着いているせいですね」
私たちを見て、室長と明智さんが笑っている。
「櫻井、これお食べ。酒も飲んでええんやで」
新しい皿に次々と食べ物を乗せ、藤守さんが手渡してくれる。
「ありがとうございます…藤守さん、随分匂いますよ。飲み過ぎてませんか?」
藤守さんの周囲を見てみると、案の定、凄い量の酒瓶が転がっていた。
「…だいぶ酔ってますね」
「俺は酔ってませんよ、酔うてへんがな~」
(関西弁が適当になってる…)
「櫻井…ぐすん、ぐすん」
(笑い上戸かと思ったら、泣き上戸?)
「藤守さん?」
「…気持ち悪い」
「やっぱり!薬買ってきますから、大人しくしてて下さいね」
藤守さんを寝かせると、私は急いで花見大会を抜け出した。
***
薬屋さんを探しながら並木道を歩いていると、不意に肩を叩かれた。
振り返ると、息を切らした明智さんがいたのでびっくりする。
「どうした?いきなりいなくなるから、心配したぞ」
「ご、ごめんなさい。藤守さんが酔って気持ち悪いって、だから薬を」
「ああ、それなら、事務課の職員が介抱してまわっているから大丈夫だ」
「じゃあ、買いに行かなくても大丈夫ですか?」
「ああ。だからもう、このまま抜け出そう。じきにお開きになるしな」
そう言いながら、私の頭を撫でてくれる明智さんの空いた方の手には、巾着袋が握られていた。
「それ何?」
「秘密。後で教えてやる」
気になるけど、そう言われたら頷くしかない。
やがて一般の花見客の集まるエリアまで歩いて来ると、一気に花も人も増えた。
人波に流されるように歩くうち、いきなり、知らない誰かに手を捕まれた。
「よう、姉ちゃん!」
「え?」
「一緒に飲もうぜ~」
「困ります、離してください!」
酔っ払いの男性に強く手を引かれた瞬間、明智さんがその男の手を掴んだ。
「俺の女に何してる?」
「い、痛たたっ!な、なんだ男付きかよ、悪かったよ!」
赤かった顔を蒼くして、男性はその場を立ち去る。
「大丈夫か?」
明智さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「うん。少し手を掴まれただけで、まーくんが助けてくれたから。ありがとう」
明智さんの手が、私の手を掴んだ。
「もう、ここから離れよう。俺のお気に入りの場所に、案内してやる」
そう言って明智さんが私を案内してくれたのは、喧騒から離れた、かなり奥まった場所。
「わあ…!」
大きな岩を回り込んだ途端、急に視界が開けて、満開の桜の木の下に出た。
「…桜の屋根みたいになってて、素敵な場所」
「こじんまりしてるけど、穴場なんだ」
明智さんは適当な場所にビニールシートを広げて、さっきの、秘密の巾着の紐を解いた。
「大したものじゃないけど、これで、二人で花見しよう」
巾着から出したのは、小さめの重箱。
蓋を開けると、中から桜餅とおはぎが出てきた。
「お前が美味しそうに食べてくれる姿を思い浮かべながら作ったんだ」
「ありがとう!」
シートに腰を下ろして、桜を見上げながら、手作りの美味しい桜餅とおはぎを頬張る。
ふと、明智さんの口の端にあんこがついているのが見えた。
「まーくん」
手を伸ばして、あんこを指ですくい取ってあげる。
すると、その手を明智さんが掴んだ。
「動くなよ」
何かと思ったら、明智さんは私の指を咥え、あんこを舐め取った。
「っ!」
「動くなって…ほら…」
動くなと言われても、舌の感触がくすぐったくて、身体が反応してしまう。
(でもこれ、くすぐったいだけじゃなくて…)
「翼、顔が赤いな。どうした?」
「…分かってて言ってるでしょう」
「さあ、分からないな」
「もう…」
ゆっくり、明智さんの顔が近付いた。
「…キスだけ」
すぐ傍で囁きながら、明智さんの唇が私の唇を塞ぐ。
「もう一度……」
今度は優しくて、でも少し強引なキス。
「やばいな、ちょっと止まらなくなりそうだ」
明智さんは楽しそうに笑いながら、私の首筋に桜色の印をつけた。
~終わり~
##IMGU60##
「お前と組むのは、久しぶりだな」
##IMGLU83##
「そうですね。頑張ってお仕事しますから、よろしくお願いします」
「…今は二人きりなのに。真面目だな」
「公私混同はいけないと思って」
「そうか。今日は食事にでも誘おうかと思ってたんだが…止めておこう。仕事中だから」
「そんな!」
「はは、冗談だよ。真剣な顔だったから、ちょっとからかいたくなっただけ」
「もう……」
「今日、俺の家に来ないか。美味しいふりかけを作ったから」
私の頭を撫でてから、明智さんはハンドルを握りなおした。
「それに実は、最近、姉たちに彼氏が出来た。だから、静かに過ごせるんだ」
良かったね、と言うと、明智さんは「長続きするといいけどな」と苦笑した。
「今日も彼氏と花見デートだそうだ。…ああ、そうだ。俺たちも、署の花見大会の後、二人だけで花見をしないか?」
「いいの?嬉しい」
「せっかくの花見だし、弁当でも作って…と言いたいが、捜査室メンバーに貪り尽くされるのがオチか」
「お弁当なんてなくても、私は、二人で桜を見られるだけで嬉しい」
「そうか。じゃあ、みんなに気付かれないようにしないと」
「うん」
赤信号で停まると、明智さんの手がまた頭を撫でる。
「おっと、仕事中だからほどほどに、だったな」
「うん……じゃなくて、はい」
「よし。じゃあ、櫻井。気を引き締めて現場に行くぞ」
「了解です、明智さん」
私たちは車の中で笑い合った。
*****
署の花見大会も終盤に差し掛かって、やっと堅苦しい雰囲気から解放された。
「お偉いさんたち、みんな長い挨拶やったなー」
こっそりと伸びをしたのは、藤守さん。
「そうですね。でも、挨拶が終われば普通のお花見と一緒ですね」
見渡せば全員が同じようにほっとした顔で、お酒や料理に手を出している。
私は室長にお酒を渡したり、如月さんにお皿を渡したり、青ざめた小笠原さんに横になってもらったり。
(これが終われば、明智さんとデート出来る)
私がそんな不純な動機でせっせと働いているとは知らない藤守さんは、しきりに褒めてくれる。
「お前はほんま優しいなー」
「だって一番下ですもん、普通ですよ」
「いや!優しい!」
「普通ですってば」
「何だか櫻井と藤守って、お姉さんと弟って感じよね」
「確かに。櫻井の方が落ち着いているせいですね」
私たちを見て、室長と明智さんが笑っている。
「櫻井、これお食べ。酒も飲んでええんやで」
新しい皿に次々と食べ物を乗せ、藤守さんが手渡してくれる。
「ありがとうございます…藤守さん、随分匂いますよ。飲み過ぎてませんか?」
藤守さんの周囲を見てみると、案の定、凄い量の酒瓶が転がっていた。
「…だいぶ酔ってますね」
「俺は酔ってませんよ、酔うてへんがな~」
(関西弁が適当になってる…)
「櫻井…ぐすん、ぐすん」
(笑い上戸かと思ったら、泣き上戸?)
「藤守さん?」
「…気持ち悪い」
「やっぱり!薬買ってきますから、大人しくしてて下さいね」
藤守さんを寝かせると、私は急いで花見大会を抜け出した。
***
薬屋さんを探しながら並木道を歩いていると、不意に肩を叩かれた。
振り返ると、息を切らした明智さんがいたのでびっくりする。
「どうした?いきなりいなくなるから、心配したぞ」
「ご、ごめんなさい。藤守さんが酔って気持ち悪いって、だから薬を」
「ああ、それなら、事務課の職員が介抱してまわっているから大丈夫だ」
「じゃあ、買いに行かなくても大丈夫ですか?」
「ああ。だからもう、このまま抜け出そう。じきにお開きになるしな」
そう言いながら、私の頭を撫でてくれる明智さんの空いた方の手には、巾着袋が握られていた。
「それ何?」
「秘密。後で教えてやる」
気になるけど、そう言われたら頷くしかない。
やがて一般の花見客の集まるエリアまで歩いて来ると、一気に花も人も増えた。
人波に流されるように歩くうち、いきなり、知らない誰かに手を捕まれた。
「よう、姉ちゃん!」
「え?」
「一緒に飲もうぜ~」
「困ります、離してください!」
酔っ払いの男性に強く手を引かれた瞬間、明智さんがその男の手を掴んだ。
「俺の女に何してる?」
「い、痛たたっ!な、なんだ男付きかよ、悪かったよ!」
赤かった顔を蒼くして、男性はその場を立ち去る。
「大丈夫か?」
明智さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「うん。少し手を掴まれただけで、まーくんが助けてくれたから。ありがとう」
明智さんの手が、私の手を掴んだ。
「もう、ここから離れよう。俺のお気に入りの場所に、案内してやる」
そう言って明智さんが私を案内してくれたのは、喧騒から離れた、かなり奥まった場所。
「わあ…!」
大きな岩を回り込んだ途端、急に視界が開けて、満開の桜の木の下に出た。
「…桜の屋根みたいになってて、素敵な場所」
「こじんまりしてるけど、穴場なんだ」
明智さんは適当な場所にビニールシートを広げて、さっきの、秘密の巾着の紐を解いた。
「大したものじゃないけど、これで、二人で花見しよう」
巾着から出したのは、小さめの重箱。
蓋を開けると、中から桜餅とおはぎが出てきた。
「お前が美味しそうに食べてくれる姿を思い浮かべながら作ったんだ」
「ありがとう!」
シートに腰を下ろして、桜を見上げながら、手作りの美味しい桜餅とおはぎを頬張る。
ふと、明智さんの口の端にあんこがついているのが見えた。
「まーくん」
手を伸ばして、あんこを指ですくい取ってあげる。
すると、その手を明智さんが掴んだ。
「動くなよ」
何かと思ったら、明智さんは私の指を咥え、あんこを舐め取った。
「っ!」
「動くなって…ほら…」
動くなと言われても、舌の感触がくすぐったくて、身体が反応してしまう。
(でもこれ、くすぐったいだけじゃなくて…)
「翼、顔が赤いな。どうした?」
「…分かってて言ってるでしょう」
「さあ、分からないな」
「もう…」
ゆっくり、明智さんの顔が近付いた。
「…キスだけ」
すぐ傍で囁きながら、明智さんの唇が私の唇を塞ぐ。
「もう一度……」
今度は優しくて、でも少し強引なキス。
「やばいな、ちょっと止まらなくなりそうだ」
明智さんは楽しそうに笑いながら、私の首筋に桜色の印をつけた。
~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんにちは。
賢史くん、飲みすぎちゃダメじゃない(笑)
明智さんの桜餅とおはぎは美味しそうですね。
仕事中の車でイチャイチャも微笑ましいなぁ。
明智さん、お姉さんに彼氏が出来て良かったですね。
名前:冬子
本文:
まあ、明智さんってふりかけまで作るのね、すごーい
と、思った直後です。
「姉たちに彼氏が出来た」
えええ~っ
あの三人のお姉様方に彼氏が?カラシとかいうオチでもなく?
この強烈なパンチのおかげで美しい桜も小さな重箱も全て上の空……
今でも「お姉さんに彼氏が出来た」が頭の中をグルグルまわっています。
恐るべしお姉様方…
本文:
こんにちは。
賢史くん、飲みすぎちゃダメじゃない(笑)
明智さんの桜餅とおはぎは美味しそうですね。
仕事中の車でイチャイチャも微笑ましいなぁ。
明智さん、お姉さんに彼氏が出来て良かったですね。
名前:冬子
本文:
まあ、明智さんってふりかけまで作るのね、すごーい
と、思った直後です。
「姉たちに彼氏が出来た」
えええ~っ
あの三人のお姉様方に彼氏が?カラシとかいうオチでもなく?
この強烈なパンチのおかげで美しい桜も小さな重箱も全て上の空……
今でも「お姉さんに彼氏が出来た」が頭の中をグルグルまわっています。
恐るべしお姉様方…