『非公式Twitter』
番外編『秘密のお花見大作戦』より~小野瀬編~
2016/04/28 14:58小野瀬さんからの依頼で鑑識室に入ると、机の上にたくさんのダンボールと書類の束。
##IMGU65##
「ここにある書類を、検査結果のリストと照合して、元の棚に戻してほしいんだ」
##IMGLU83##
「これ、全部ですか…」
小野瀬さんと二人での片付けは、真面目にやってるのになかなか捗らない。
何故なら…
「ごめんね、俺以外の職員が全員出払っちゃってさ」
「そういえば、誰もいませんね」
「そうだよ。この鑑識室には、俺ときみの二人きり」
「二人きり…」
「今、いやらしいこと考えただろ」
なんて言って来る。
「か、考えてません!」
資料を上の棚に乗せようとすると、すぐ来てくれるのはいいけれど、わざわざ後ろから私を抱きしめるような格好で支える。
「だ、誰か戻ってくるかも…」
「戻ってくる時は連絡あるから大丈夫。それに、鑑識のドアには鍵をかけたしね」
こんな調子。
(用意周到というか…)
気を抜いた途端に、小野瀬さんの息が耳にかかった。
その瞬間、背筋がゾワッと震えて、心臓を直接掴まれたような衝撃が走る。
「あ、葵!」
「やっと名前呼んだね」
…この人の恋人でいると、心臓がもたない。
「休憩にして、外出しようよ。開店したばかりで、桜をモチーフにしたデザートがオススメのカフェがあるんだ」
「桜の季節だもんね」
「花を見ながらご飯ってのは風流で好きだけど」
桜から署の花見大会を連想したのか、溜め息をつく。
「花見で酒を勧められるのはなあ」
「上司のお酒を断るのとか大変だよね」
「だから、協力して途中で抜け出そう。なかなかデート出来ないんだから、二人きりの花見を楽しもう」
「うん」
頷くと、小野瀬さんは「約束」と口付けをしてくれた。
***
花見大会当日、署内の数十人が集まって、キレイな桜の下で正座。
「で、あるからして……」
(長い!長いよ、署長の話!)
偉い人が次々と出てきては、何十分も話をしている。
これは花見なのか説教大会なのか、さっぱり分からない。
(みんなが言ってた意味が、よく分かった……)
「翼ちゃん、大丈夫?」
隣から如月さんが、こっそりと耳打ちで尋ねてくれる。
「何とか。如月さんは、案外辛くなさそうですね」
「実はもう飲んでるんだー」
「いいんですか?」
「藤守さんなんて、もう酔っ払って潰れてるよ」
見れば、確かに酒瓶を抱えたまま横になっている。
「明智さんは、前のメンバーに誘われてどっか行ったし、ルイルイなんて挨拶回りで顔すら見てない」
「あれ?小笠原さんは?」
「まさか…」
顔を見合わせてから、慌てて電話をかけてみる。
「…小笠原さん、もう捜査室に戻ってた。帰るなら、誘ってくれればいいのになあ。つまり、今ここにいるのは、俺たちだけってことだよ」
「ですね」
「そういうわけだからさ、こっそり飲もうよ」
「じゃあ、少しだけ」
「飲まないとやってられないよ。ほら、飲もう飲もう」
ぐいぐい勧めてくる如月さんに押されて、私もかなり飲まされてしまった。
「いーい飲み、っぷり…だね、翼…ちゃ…」
散々笑ったと思ったら、如月さんは次第に静かになっていき、やがて眠ってしまった。
***
「…すでに酔っ払いが二人もいるのか、ここは」
小野瀬さんは転がっている藤守さんと如月さんを見ながら、ふらふらの私が立ち上がるのに手を貸してくれた。
「きみもだいぶ酔ってるね」
「ごめんなさい…」
「おいで」
私は優しく手を引く小野瀬さんに従って、一緒に花見会場を後にした。
***
「はい、こっちだよ」
小野瀬さんは自分の部屋に私を通すと、そのままベッドへ寝かせてくれた。
「大丈夫なのに…」
「そんな可愛い顔して拗ねてもダメだよ。今日は無理しない」
「でも…」
「デートしたかった?」
「…うん」
「俺もだよ」
小野瀬さんはベッドの縁へ腰かけ、私の頭を優しく撫でた。
「でも、無理しても楽しくないからね。それに、急ぐ必要はないよ。この先、何百回でもデート出来るんだから」
「…うん」
小野瀬さんに優しく諭されて、私は薬を飲み、横になった。
「大丈夫。俺はここにいるから…安心しておやすみ」
小野瀬さんの唇がおでこに触れる感触に安堵して、私は、そのまま眠りの底へと落ちていった。
***
次に目を開けると、すでに部屋は真っ暗。
しかも、同じベッドの中に小野瀬さんが寝ている。
「え!?」
「…起きた?」
私が思わず声を上げてしまったので、小野瀬さんが瞼を開いた。
「変なことはしてないよ」
「寝てる時だもん、当たり前…」
「じゃあ、寝てない時なら良いの?」
向かい合ったまま、小野瀬さんの手が腰に回された。
そのまま身体のラインを撫でられ、思わず震えてしまう。
「寝起きだから、感度が良いのかな」
「そんなこと、分からない…っ」
「じゃあ、試してみる?」
「…」
「したいだろ?」
少し強引な言葉に胸が高鳴る。
小野瀬さんの唇が頬に、首筋に…
「ほら、固くならないで……いい子にして」
「あ……葵……」
「ずっと我慢してたから、少し激しくなるかも」
それ以上は私に喋らせず、深く口付けをしてくる。
その感触に溺れ、小野瀬さんを感じながら目を閉じた。
***
それから、数時間後――。
シャワーから出てリビングへ行くと、小野瀬さんは部屋の飾りつけをしていた。
「花見大会の会場設営だよ。花屋で桜の木を売ってたから、買ってきたんだ」
それは、生け花や花びんに飾るために売られてる桜の枝。
「すごい、可愛い」
「だろう?これも充分花見になると思って。きみが喜んでくれてよかった」
「ありがとう。でも、いつも何かしてもらってばかりだね」
「きみは笑顔で、毎日俺を元気にしてくれてるよ」
さらりと優しいことを言ってくれる、そんなところが小野瀬さんの素敵なところ。
「実は、桜餅と、大福と、おはぎもある」
私が緑茶の準備をして湯飲みにお茶を注ぐと、小野瀬さんが言った。
「ここに、面白いことをしようか」
「?」
「桜の花びらを1枚、乗せるんだ。雰囲気出るでしょ?」
「綺麗…」
「よかった」
小野瀬さんはいつも、私を喜ばせる事を考えていてくれる。
ゆったり二人きりの時間を過ごせる事はめったにないけど、だからこそ、今、この時が幸せ。
顔を上げると、小野瀬さんの指が顔を包んで…そのまま、唇へキスをくれた。
~終わり~
##IMGU65##
「ここにある書類を、検査結果のリストと照合して、元の棚に戻してほしいんだ」
##IMGLU83##
「これ、全部ですか…」
小野瀬さんと二人での片付けは、真面目にやってるのになかなか捗らない。
何故なら…
「ごめんね、俺以外の職員が全員出払っちゃってさ」
「そういえば、誰もいませんね」
「そうだよ。この鑑識室には、俺ときみの二人きり」
「二人きり…」
「今、いやらしいこと考えただろ」
なんて言って来る。
「か、考えてません!」
資料を上の棚に乗せようとすると、すぐ来てくれるのはいいけれど、わざわざ後ろから私を抱きしめるような格好で支える。
「だ、誰か戻ってくるかも…」
「戻ってくる時は連絡あるから大丈夫。それに、鑑識のドアには鍵をかけたしね」
こんな調子。
(用意周到というか…)
気を抜いた途端に、小野瀬さんの息が耳にかかった。
その瞬間、背筋がゾワッと震えて、心臓を直接掴まれたような衝撃が走る。
「あ、葵!」
「やっと名前呼んだね」
…この人の恋人でいると、心臓がもたない。
「休憩にして、外出しようよ。開店したばかりで、桜をモチーフにしたデザートがオススメのカフェがあるんだ」
「桜の季節だもんね」
「花を見ながらご飯ってのは風流で好きだけど」
桜から署の花見大会を連想したのか、溜め息をつく。
「花見で酒を勧められるのはなあ」
「上司のお酒を断るのとか大変だよね」
「だから、協力して途中で抜け出そう。なかなかデート出来ないんだから、二人きりの花見を楽しもう」
「うん」
頷くと、小野瀬さんは「約束」と口付けをしてくれた。
***
花見大会当日、署内の数十人が集まって、キレイな桜の下で正座。
「で、あるからして……」
(長い!長いよ、署長の話!)
偉い人が次々と出てきては、何十分も話をしている。
これは花見なのか説教大会なのか、さっぱり分からない。
(みんなが言ってた意味が、よく分かった……)
「翼ちゃん、大丈夫?」
隣から如月さんが、こっそりと耳打ちで尋ねてくれる。
「何とか。如月さんは、案外辛くなさそうですね」
「実はもう飲んでるんだー」
「いいんですか?」
「藤守さんなんて、もう酔っ払って潰れてるよ」
見れば、確かに酒瓶を抱えたまま横になっている。
「明智さんは、前のメンバーに誘われてどっか行ったし、ルイルイなんて挨拶回りで顔すら見てない」
「あれ?小笠原さんは?」
「まさか…」
顔を見合わせてから、慌てて電話をかけてみる。
「…小笠原さん、もう捜査室に戻ってた。帰るなら、誘ってくれればいいのになあ。つまり、今ここにいるのは、俺たちだけってことだよ」
「ですね」
「そういうわけだからさ、こっそり飲もうよ」
「じゃあ、少しだけ」
「飲まないとやってられないよ。ほら、飲もう飲もう」
ぐいぐい勧めてくる如月さんに押されて、私もかなり飲まされてしまった。
「いーい飲み、っぷり…だね、翼…ちゃ…」
散々笑ったと思ったら、如月さんは次第に静かになっていき、やがて眠ってしまった。
***
「…すでに酔っ払いが二人もいるのか、ここは」
小野瀬さんは転がっている藤守さんと如月さんを見ながら、ふらふらの私が立ち上がるのに手を貸してくれた。
「きみもだいぶ酔ってるね」
「ごめんなさい…」
「おいで」
私は優しく手を引く小野瀬さんに従って、一緒に花見会場を後にした。
***
「はい、こっちだよ」
小野瀬さんは自分の部屋に私を通すと、そのままベッドへ寝かせてくれた。
「大丈夫なのに…」
「そんな可愛い顔して拗ねてもダメだよ。今日は無理しない」
「でも…」
「デートしたかった?」
「…うん」
「俺もだよ」
小野瀬さんはベッドの縁へ腰かけ、私の頭を優しく撫でた。
「でも、無理しても楽しくないからね。それに、急ぐ必要はないよ。この先、何百回でもデート出来るんだから」
「…うん」
小野瀬さんに優しく諭されて、私は薬を飲み、横になった。
「大丈夫。俺はここにいるから…安心しておやすみ」
小野瀬さんの唇がおでこに触れる感触に安堵して、私は、そのまま眠りの底へと落ちていった。
***
次に目を開けると、すでに部屋は真っ暗。
しかも、同じベッドの中に小野瀬さんが寝ている。
「え!?」
「…起きた?」
私が思わず声を上げてしまったので、小野瀬さんが瞼を開いた。
「変なことはしてないよ」
「寝てる時だもん、当たり前…」
「じゃあ、寝てない時なら良いの?」
向かい合ったまま、小野瀬さんの手が腰に回された。
そのまま身体のラインを撫でられ、思わず震えてしまう。
「寝起きだから、感度が良いのかな」
「そんなこと、分からない…っ」
「じゃあ、試してみる?」
「…」
「したいだろ?」
少し強引な言葉に胸が高鳴る。
小野瀬さんの唇が頬に、首筋に…
「ほら、固くならないで……いい子にして」
「あ……葵……」
「ずっと我慢してたから、少し激しくなるかも」
それ以上は私に喋らせず、深く口付けをしてくる。
その感触に溺れ、小野瀬さんを感じながら目を閉じた。
***
それから、数時間後――。
シャワーから出てリビングへ行くと、小野瀬さんは部屋の飾りつけをしていた。
「花見大会の会場設営だよ。花屋で桜の木を売ってたから、買ってきたんだ」
それは、生け花や花びんに飾るために売られてる桜の枝。
「すごい、可愛い」
「だろう?これも充分花見になると思って。きみが喜んでくれてよかった」
「ありがとう。でも、いつも何かしてもらってばかりだね」
「きみは笑顔で、毎日俺を元気にしてくれてるよ」
さらりと優しいことを言ってくれる、そんなところが小野瀬さんの素敵なところ。
「実は、桜餅と、大福と、おはぎもある」
私が緑茶の準備をして湯飲みにお茶を注ぐと、小野瀬さんが言った。
「ここに、面白いことをしようか」
「?」
「桜の花びらを1枚、乗せるんだ。雰囲気出るでしょ?」
「綺麗…」
「よかった」
小野瀬さんはいつも、私を喜ばせる事を考えていてくれる。
ゆったり二人きりの時間を過ごせる事はめったにないけど、だからこそ、今、この時が幸せ。
顔を上げると、小野瀬さんの指が顔を包んで…そのまま、唇へキスをくれた。
~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんばんは。
賢史くんは今日も酔い潰れてるんですね(笑)
小野瀬さんに手を引かれて花見会場から抜け出すなんて!
他の女性職員には見つからなかったのかしら?
小野瀬さんのお部屋で二人きりのお花見なんて贅沢の極みですね。
名前:冬子
本文:
ほんとだ!藤守さん酔っ払い率高い。
きっと如月さんあたりがどんどん飲ませたに違いない。
小野瀬さんは女の子が喜ぶツボをしっかり押さえてきますねー
いやいや、エッロイ話じゃないですよ、いやん。
本文:
こんばんは。
賢史くんは今日も酔い潰れてるんですね(笑)
小野瀬さんに手を引かれて花見会場から抜け出すなんて!
他の女性職員には見つからなかったのかしら?
小野瀬さんのお部屋で二人きりのお花見なんて贅沢の極みですね。
名前:冬子
本文:
ほんとだ!藤守さん酔っ払い率高い。
きっと如月さんあたりがどんどん飲ませたに違いない。
小野瀬さんは女の子が喜ぶツボをしっかり押さえてきますねー
いやいや、エッロイ話じゃないですよ、いやん。