『非公式Twitter』

番外編『秘密のお花見大作戦』より~藤守編~

2016/04/30 14:53
##IMGU62##
「よっしゃ!任務修了!」

犯人をパトカーに乗せると、藤守さんは大きく背伸びをした。

##IMGLU83##
「お疲れ様です」

「おう!お前のフォローのお陰や。ありがとな」

「力になれたなら、嬉しいです」

大きく頷いた藤守さんが、ポンポンと私の頭を軽く叩いた。

犯人を送り届けてから、署の近くに出来た新しいカフェで昼食。

なかなかデート出来ないから、こうして一緒にいられるだけでも嬉しい。

「何か、不思議なんだよな」

「?」

「付き合ったばかりの頃は、もっと一緒にいたい、ベタベタしたいってそればかり思ってた。だけどこうして一年経つと、一緒にいれるだけで良いかなって思えるんや」

藤守さんが私と同じ事を考えていた事が、それを穏やかな顔で伝えてくれる事が、嬉しい。

「私も」

「俺たち、同じ気持ちなんやな。…何か、そういうのって、ええな」

「うん」

「俺、お前とはそういう優しい時間を過ごせる夫婦になりたい」

「賢史くん…」

「時々ケンカするけど、いつも穏やかで笑顔の絶えない家庭がええなって思う」

「うん、私もだよ」

視線が絡み合い、目が離せなくなる。

テーブルの下に伸ばしていた手を、藤守さんが掴んだ。

「あ…」

「……翼」

「お待たせしました、桜のお花見ケーキでございます!」

見つめ合ったところで、陽気な声の店員さんが食後のデザートを持ってきた。

慌てて離れる藤守さんの手。

「あ、ありがとうございます」

「ごゆっくりどうぞ!」

店員さんが去ると、仕切り直し、というように、藤守さんが口を開けた。

「翼、あーん」

苦笑しながらも、つい、甘やかしてしまう。

「うん、美味い。…署の花見大会も、こんな風に楽しかったらええのにな」

「本当にそんな堅苦しいの?」

藤守さんは真顔で頷きながら、私にもあーんしてくれる。

「お前を長く置いときたくない場所やで。早目に抜け出そうな?」

もう一度手を繋いで問われ、私は大きく頷いた。

***

花見大会当日。

「櫻井さん、お邪魔させてもらうよ」

署長の長広舌にうんざりしていると、不意に、抑えた笑い声が聞こえ、爽やかな香りが辺りを包んだ。

「あれ、小野瀬さん?鑑識課の皆さんはどうしたんですか?」

「鑑識は外で飲む機会が少ないから、つい飲み過ぎちゃったのかな。酔っ払って、寝ちゃったよ。疲れも出たんだろうね」

「ああ、なるほど」

「だから、こっちに来たんだ。話し相手になってくれるかな」

「はい」

「あれっ、きみも烏龍茶?良かった。こういう時は、やっぱり酒を飲まない者同士が一番だね」

「無理に勧められても、断るのが大変ですよね」

小野瀬さんは本当に嬉しそうにニコニコして、いつもよりもよく喋る。

「そうなんだよ。新人時代には、よく先輩から酒に誘われたんけどさ…」

小野瀬さんは機嫌良く話しながら、紙コップに手を伸ばした。

「それでね…うっ…何だ、これ」

どうやら、誰かのウイスキーのコップと間違えてしまったらしい。

明智さんと如月さんがすぐに異変に気付いてそばに来て、小野瀬さんを寝かせ、世話を始めてくれる。

私は三人に心の中で謝りながら、花見会場を抜け出した。

***

並木通りを、藤守さんと並んでのんびりと歩いていく。

青い空と桜のコントラストは特に目を引いて、いつまでも見ていたくなる。

目を細めてその景色を楽しんでいると、藤守さんが私の手を引いた。

「お前に、ちょっと面白いもん見せたいんや」

首を傾げる私を、藤守さんは楽しそうに引っ張っていく。

連れられた先は、小さな屋形船。

「屋形船なんて、初めて!」

「実は俺も」

乗り込んでみると、中はちょっと天井が低いけど、旅館の部屋みたいな雰囲気で、畳の匂いもして、何だか落ち着く。

私たちを乗せた屋形船は、ゆっくりと川を下り始めた。

「もしかして、乗客は私たちだけ?屋形船を貸切なんて、賢史くん、すごい…!」

「気に入ってくれたら、良かったわ…もうひとつ、とっておきのものをお前に見せたい」

藤守さんは窓になっている障子に手をかけると、一気に開いた。

そこから見えるのは、川沿いに連なる満開の桜。

「すごい、特等席だね」

「そうやろ。この近くの道を歩いてた時に気付いて、これはお前に見せたいと思ってな」

「ありがとう!」

さらに、藤守さんが徳利やお猪口を並べて、座敷に花見酒の支度を整えてくれる。

「すごく贅沢だね」

「俺には、お前との時間を過ごせる事が一番の贅沢や。大会の間もそのあとも、二人きりになる事ばかり考えてた」

「賢史くん…それは、私も、同じ気持ちだったよ」

そうか、と、藤守さんは嬉しそうに笑ってくれる。

「…ふぅ…」

「翼…お前、酔ったか?」

「うん…、少し、身体が熱くなってきたかも」

そんな私を、彼は手招きする。

「こっちに来い。介抱してやる」

「うん」

フラフラとした足取りで傍へ寄ると、藤守さんに、包み込まれるように抱きしめられる。

大きな手が、慈しむように頭を撫でてくれる。

「一緒にいれるだけでも嬉しいけど、やっぱり、こうしてお前に触れられるのが一番好きやな」

「賢史くん……」

顔を上げると、頬を包み込まれた。

「じゃあ、今日はたくさんお前に触れてもええか?」

「うん」

包み込んだまま、指先で何度も頬を撫でる藤守さん。

その感触がくすぐったくて、目を細める。

「翼……」

囁きながら、藤守さんの唇が触れた。

それはとても優しく、身体の芯から火照るようなキス。

「…お前とは、人前でキス出来ひんな」

「どうして?」

「そんな顔、他の奴に見せたくない」

「え?そ、そんなに変な顔かな」

「いや、むしろすごい色っぽくて…そそる」

障子を閉めながら、ゆっくりと優しく押し倒される。

「お前の色っぽい顔、もっと見たくなってきた」

「でも…船の人に気付かれたら…」

「向こうとココは、つながってないから大丈夫。それに、俺が限界」

藤守さんが与えてくれる熱に浮かされながら、大きく背中を反らした。

「んっ……けん、じく……」

「その可愛い声は、抑え目にな」

私の身体を抱きしめ、藤守さんはもう一度キスしてくれる。

そんな私たちの横を、入り込んだ桜の花びらが舞っていた。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんにちは。

賢史くんとなら一緒にいるだけで幸せです(*´∀`*)

でも、屋形船なんてスゴい!

私は乗ったことないなぁ。

ましてや屋形船の中で……なんて(*≧∀≦*)

いやーん、照れちゃう(〃∇〃)

名前:小春
本文:
ジュンさんこんにちは。

藤守さんたら船の上で……なんて、転覆したらどうするの?←

んもうケダモノなんだから(笑)。



今日は澪さんのお誕生日ですね。おめでとうございます!

名前:冬子
本文:
藤守さんは乗り物系かな?と思っていたら、まさか屋形船貸切とは!

すごーい、気合入ってる。

船の上で…すごい揺れてたらどうしましょうっ

(///(エ)///) いやん、ばかん



澪さんお誕生日ですか?

おめでとうございます!

今年も良い一年が過ごせますよう、画面の向こうで祈ってますよ。

そして、これからも仲良くしてくださいね☆

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