『非公式Twitter』

番外編『秘密のお花見大作戦』より~如月編~

2016/05/01 14:51

##IMGU64##
「気温が上がってきたからか、最近事件の件数が増えてきたよね」

如月さんと繁華街を徒歩で巡回中。

「翼ちゃんも気をつけた方がいいよ。特に繁華街は、変な人と危ない人だらけだ」

##IMGLU83##
「私は大丈夫ですよ。この前も、如月さんと訓練したばかりじゃないですか」

急に真面目な顔になると、如月さんは私の手を掴んだ。

「ねえ、今俺の手を振りほどける?」

問われるまま、ほどこうと動かしてみるけど、本気でやっても全然離せない。

「ね?男と女だと、これだけ力の差があるって事」

「でも、如月さんは、柔道の有段者じゃないですか」

「そうだけど、俺よりも強い人が翼ちゃんを襲ってきたら?相手に出来る?」

「…難しいかもしれません」

「分かってくれればいいんだ」

手を掴む力が緩むと同時に、如月さんの顔に笑みが浮かんだ。

「だから、俺も、毎日鍛え続けてるよ。いざという時、翼ちゃんを守れるようにね」

「そんなに想われて、私すごく幸せ」

「もうひとつは、煩悩を振り払う為でもある」

「?」

「こういうこと」

笑みを浮かべると同時に、如月さんは私の手を前方に引いた。

突然のことでバランスを崩す私を抱き、そのまま近くの路地裏へ。

「君といると、すぐにキスしたくなる」

壁に押しつけ、唇を奪われる。

「最近デートも出来ないし、気を紛らわそうと身体動かしてたんだけど、もう限界だよ」

「こーちゃん…」

「花見大会の後、デートしよう」

「うん」

顔を見合わせて約束すると、私たちは笑いながら仕事に戻った。

***

花見大会の会場で、気がつけば、周りには誰もいなくなっていた。

小笠原さんは早々に帰ったし、藤守さんや明智さんは前の課の人たちのところ。

如月さんは事務課の子に呼ばれて、室長は挨拶回りに行ったきり戻ってこない。

私もうまく逃げたいけど、長々と喋ってる偉い人たちが、みんな視線をこっちに向けるから逃げられない。

暗い気持ちになっているところへ、やっと室長が戻ってきた。

「あら、何で櫻井しかいないの?」

「お疲れ様です。みんな、他の課のところへ行ってしまったんです」

「この空気の重さと固さに耐えられなかったのね」

「そうだと思います。でも、如月さんは仕事で呼ばれただけなので…」

「だからって、アンタを置いていくなんて…あいつらは後でしめる!」

指をパキポキと鳴らす室長に、思わず苦笑い。

「まあいいわ、お酌しなさい」

「はい…って、この状況で飲むんですか?」

「大丈夫よ、話を聞きながらでも飲めるわ。アンタも飲みなさい」

室長には逆らえず、お酌する。

でも、私はこの後如月さんとデートだから、酔ってしまうわけにはいかない。

「お偉いさんを気にしてるの?まあ、アンタが飲まないなら全部ワタシが飲むからいいんだけど」

「全部って…これ全部飲んだらさすがに飲み過ぎです」

「こんな堅苦しいの、飲まなきゃやってられないわよ」

室長は宣言通り、あったお酒をたちまち全部空にしてしまった。

足りないから買ってきて、と言われたところへ、如月さんが戻ってきた。

「室長、俺が買ってきますよ。荷物持ちに翼ちゃんを連れて行っていいですか」

「いいわよ」

***

署の花見大会を離れると、少し気が緩む。

「酒を買って室長に届けたら、そのままデートしようか」

「うん、そうだね。でも、どこに行こうか…この前行ったショッピングモールは?」

「ああ、あそこは良いよね。遊ぶとこもあるし、俺、欲しい服があったんだ」

「じゃあ、そうする?」

「一旦、俺の寮へ寄って、それから車で行こう」

「うん」

顔を見合わせて笑いながら、酒屋への道を歩いていく。

話しながら歩いているからか、気がつくと周りには誰もいなかった。

「せっかくだから、手をつなごうよ」

両脇に咲いた桜は時折風に揺れ、青い空を気持ち良さそうに舞っている。

「翼ちゃん、頭に桜の花びらがついてるよ」

「風が強くなってきたんだね」

「桜も散り始めた。でもさ、これがワビサビってやつなんだよね」

その時、一際強い風が辺りに吹きつけた。

「わっ…!」

「翼ちゃん!」

風に当たらないよう、如月さんは壁になるように私を抱きしめてくれる。

「大丈夫?」

「平気だよ。ちょっと髪が乱れたくらい」

「こーちゃんこそ、平気?」

「オレは全然平気」

「…その割には、手ぐしで髪の毛セットし直すんだね」

「当たり前だろ。髪は男の命!」

(気にしなくても良いのになあ)

でも、そんなところが愛しいと思える。

「それにしても、強い風だったね」

「あんな風が吹いたら、桜の花が全部散っちゃうんじゃない?」

気になって視線を前に向けると、私たちが歩くはずの道は桜の花びらで埋め尽くされていた。

「わあ、すごい…」

「レッドカーペットならぬ、桜のカーペットだね。あ、ちょっとそこで待ってて」

如月さんはその辺りに捨ててあった木の棒を拾うと、桜の上で何かを書き始めた。

(何してるんだろう?)

不思議に思っていると、そこに「好き」という文字を描いてくれる。

「明日には、明日の気持ちをあげる。俺、毎日、好きだって気持ちを伝えるよ」

「うん。私も」

「毎月、毎年…来年も、さ来年も好きだって言うよ」

両手を掴んで、そっとおでこをくっつける。

「だから、ずっと俺のそばにいてほしい」

すぐ近くに見える瞳は、私だけを映している。

その目に頷いて、私は私の気持ちを伝えるように、笑みを浮かべた。

「はい。いつまでも、こーちゃんの傍にいます」

「じゃあ、いつか翼ちゃんの苗字が如月になった時も……傍にいて、好きだって言ってくれる?」

「もちろん。こーちゃんは?」

「当然。翼ちゃんが奥さんになっても、子どもが出来ても、好きだって言ってキスをするよ」

付き合い始めて一年経つ今だからこそ、確かめたい。

だから、繋いだ手に力を込めて…私たちはキスを交わした。

「もうちょっとだけ……」

「もう、これ以上はダメだよ。人がきたら」

「人が来なければ、いいの?」

問いかけながら、キスを繰り返す。

「そういうことなら、今すぐ翼ちゃんをホテルへ連れ込むよ」

「そ、それは……」

「嫌じゃない、でしょ」

満面の笑みを浮かべながら、如月さんの唇がキスをくれた。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんばんは。

昨日は澪さんのお誕生日だったんですね。

おめでとうございます。

こーちゃんはいつもストレートに好きって想いをぶつけてくれますよね。

でも、路地裏に連れ込まれちゃったり、道端でキスされちゃうのはちょっと恥ずかしいですね。

名前:エミ
本文:
遅くなりましたが、澪さんお誕生日おめでとうございまーす!!


如月さんは時々小悪魔だけど、やっぱ若いよねぇ~。オネーサン、微笑ましく見守っちゃうわ~。うふふ。

名前:冬子
本文:
よ~く考えたら、お酒を買いにいくってのは業務命令じゃないし、抜け出してもOKですよね。

あとが怖いですけどね。

こーちゃんと一緒にいたら、明るくって楽しくって、大事にしてくれるし、幸せですよね。

冬子もこーちゃんと訓練したいわあ

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