『非公式Twitter』

番外編『雨の日は家デート』より~小野瀬編~

2016/06/23 12:30
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「ここのカフェ、晴れていればあのテラスでもお茶が出来るんだよ」

私と小野瀬さんは、近くのカフェに来ていた。

「今度は晴れた日に来よう」

「うん」

彼は、いつも私が退屈しないように、色々と考えてくれる。

雨続きでデート出来なくても、あちこち素敵なお店を探してはこうしてランチに誘ってくれるから、私は幸せ。

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「いつも本当にありがとう」

「俺はきみのその笑顔が見たいだけ」

彼はそう言いながら、ご飯を食べる手を止めて、優しく頭を撫でてくれる。

「雨でなければ、もっと連れ出してあげたいのにな。そもそもあまりデート出来ない上にこの雨で…つまらないだろ?」

「私は、葵の傍にいられるだけでいいの」

「きみはいつも可愛い事言ってくれるな」

あまりに嬉しそうに笑うから、少し照れくさい。

「じゃあ、お言葉に甘えて、今度のデートは俺の家でもいい?」

「もちろん」

小野瀬さんは最後の一口を食べ終わると、紙ナプキンで口端を拭った。

「実は、少し疲れてて、のんびりしたいと思ってたんだ。きみが気の利く女性で、嬉しいよ」

食後のコーヒーを飲みながら、ほっと一息つく彼。

きっと忙しくて、食事を終えたらすぐに戻らなくてはならないのだろう。

それが寂しくて、私はコーヒーに手をつけるのに少し間を開けてしまう。

「どうしたの、お腹いっぱい?」

「ううん…」

気が利く、と言われたばかりなのに、「まだ一緒にいたいから」なんて、わがまますぎて言葉に出来ない。

でも、食事が終わってしまえば、彼とはまたしばらく会えなくなる。

「この店って、チーズケーキが美味しいらしいよ」

不意に、小野瀬さんが言った。

「ひとつ頼もうか」

「え、でも…」

「ふたりで半分こしよう?」

メニュー表を取り上げる小野瀬さんの口元には、優しげな笑みが浮かんでいる。

きっと、私がまだ一緒にいたいと思ってる事に、気付いていたんだ。

恥ずかしかったけど、とても嬉しくて口元がほころぶ。

「どうする?」

「うん、食べる」

私が頷くと、小野瀬さんは早速、チーズケーキをひとつ注文した。

二人きりの時間を延ばしてくれた彼の気遣いと優しさが嬉しくて、私の胸の中は幸せで満たされていった…。

***

数日後、私は如月さんと傘を並べて、住宅街を徒歩でパトロールしていた。

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「こんなに雨降りに歩きでパトロールなんて…濡れるし蒸し暑いし」

##IMGLU83##
「雨のせいで事故や犯罪が増えてるんだから、そこを調べるのは仕方ないんですけどね」

如月さんが貸してくれた携帯用うちわで風を送りながら、標識を確認したり、路地裏を覗いたり。

「翼ちゃんのそれ、レインブーツだよね。こういう時でも、女性はオシャレ出来るからいいな」

他愛ない事を話しながら歩くうち、雨が弱まってきた。

「俺さ、雨が傘に落ちてくるこの音が好きなんだよね。聴いてると、心が穏やかになる」

耳を澄まして聴くと、確かに風情があって、落ち着いてくる音だ。

「この音を聞くためだったら、雨も悪くないかなって思えるよ」

苦手な雨も、見方を変えれば好きになれる。

如月さんの言葉を聞いたら、そんな風に思えた。

***
誰かに名前を呼ばれた気がしてゆっくりと目を開けると、頭を優しく撫でられた。

「お寝坊さんだな。ほら、起きて」

額に触れた小野瀬さんの唇の感触で、一瞬にして目が覚めた。

(そっか、私、ゆうべ小野瀬さんのお家にお泊まりしたんだった)

「おはよう。俺の腕枕は、気持ち良かったかな?」

そんな事を聞かれたら、顔が赤くなっちゃう。

小さく頷くと、小野瀬さんは嬉しそうにもう一度キスしてくれた。

「きみは可愛いな」

お互い笑みを浮かべ、布団の中で抱きしめ合う。

そのまま顔を寄せると、唇を重ねた。

いつも通りの、でもなかなか味わえない日常に、胸が高鳴る。

小野瀬さんは私が作る朝ご飯を喜んで食べてくれ、「頑張って料理勉強してくれてるよね」と褒めてくれる。

いつもより時間をかけて朝食を摂り終えれば、並んで食器を洗ってくれる。

改めてリビングへ戻れば、

「前に見損なった映画のDVDを借りてきたから、一緒に観よう」

そう言いながら冷蔵庫から出してきた小さな箱を掲げ、

「きみが教えてくれた、美味しい店のケーキも買ってきたよ」

と微笑んでくれる。

「何だかすっごく贅沢な事をしてる気分」

「良いんだよ、たまには贅沢しても」

そう言われると本当に何でも許されるような気がするから、小野瀬さんの言葉はまるでマジックのよう。

窓の外は大雨だということも、すっかり忘れてしまう。

ケーキを並べ、コーヒーも準備して、ソファへ腰掛けると、洋画が始まった。

最初は喋りながら見ていたけれど、物語が深くなっていくにつれて、私はだんだん映画に集中してゆく。

「はい、あーん」

「あーん」

無意識のうちに開けた口にケーキが入ってきて、その甘さに、やっと我に返った。

いつの間にか小野瀬さんに食べさせてもらっていた事に気付いて慌てるけれど、彼は笑うだけ。

「たまには良いだろう。ほら、あーん」

「もう…」

少し恥ずかしいけど、ふたりきりだし…と、口を開けると、今度は、少し大きめにカットされたケーキが放り込まれた。

「んっ…ちょっと大きい…」

「ああ、口の端にクリームつけちゃった」

ごめんね、と言いながら、小野瀬さんは顔を近付け、舌でクリームを舐め取る。

「…っ!」

「大丈夫、俺に任せて…」

優しい声音に安堵し、私は彼の背中に腕を回す。

その後何度も身体を重ね、気がつくとお昼をとっくに過ぎていた。



汗に濡れた身体をシャワーで洗い流し、小野瀬さんのシャツを借りてリビングへ。

「おいで、髪乾かしてあげるよ」

「ありがとう」

「これが終わったら、さっきのDVD、もう一度観よう」

ドライヤーを当ててくれる小野瀬さんの指先の温もりを感じていると、彼は、少しだけ寂しそうに呟いた。

「一緒に観ようと思ったのに、きみの目が俺以外のものに向けられてるのが悔しくて、最後まで観ていられなかった」

「ごめんね」

そんな小野瀬さんが愛しくて、私は謝りながら彼を引き寄せた。

キスを重ねながら、小野瀬さんの手が服の中へと滑り込んできて、私を知り尽くした指と声が、迷う事なく、私の弱い部分をなぞる。

「映画が終わったら俺だけを見て、お姫様」

今夜もまた小野瀬さんと過ごせると考えたら、それだけで、本当に贅沢だと思えた。


~終わり~
追記
名前:澪
本文:
こんにちは。いや~大人週間な番外編ですね( ´ ▽ ` )

小野瀬さんの言葉はまるでマジックのよう、に思わずニヤリとしちゃいました。さすがマジシャン。

しかもさりげなく彼シャツまで(〃∇〃)

お互いにべた惚れでラブラブな二人が可愛くて眩しくてもう目が開けられません(笑)

名前:穂積&小春
本文:
穂積
「DVDに嫉妬とか(笑)」

小春
「室長、声が大きいです!」

名前:ジュン
本文:
こんにちは。

何度も体を重ね……なんて!

小野瀬さんもケダモノですね(笑)

DVDに嫉妬しちゃうなんて小野瀬さんらしくて可愛いですね。

優しい小野瀬さんとならお家デートも幸せ一杯ですね。

名前:穂積&小春
本文:
穂積
「聞いたか小春、ジュンが、『DVDに嫉妬なんて小野瀬さんらしい』だって!あっはっはっはっやっぱりな」

小春
「ぷっくっ室長、声が大きいですってば…」

名前:冬子
本文:
いよっ マジックの小野瀬!

DVDにヤキモチなんて、まだまだ若いな~

( ´艸`)

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