『非公式Twitter』

番外編から零れたふたり~JS編~

2016/07/09 12:14

約束のカフェでのランチタイムに、JSは先に来て待っていてくれた。

##IMGLU83##
「ごめんなさい、お待たせ」

私の姿を見るとJSはごく自然に立ち上がって、私の為に椅子を引いてくれる。

##IMGU170##
「きみを待ってる間に、二人の女性から相席に誘われたよ。最近は日本の女性も積極的になったんだね」

「え」

驚いて見上げると、彼は、ふふ、と微笑んだ。

「いいね。妬いてる顔だ」

JSに隠し事は出来ない。

上目遣いに睨んだら、彼は目を細めた。

「『ごめんなさい、ワタシ、実はオカマでコッチの人なの』って言っておいたよ」

「あなた、そんな事まで知ってるの?!」

室長の声真似がそっくりで、私はぎょっとする。

JSは笑いながら、私の向かい側の席に戻って座った。

「ルイルイのオカマ宣言でしょ?警視庁の中では有名なセリフみたいだったよ」

「はあ…」

道理で、周囲のテーブルからの女性たちの目線が生温い。

JSは、綺麗だ。

こんな綺麗なオカマと待ち合わせしてるなんて、私は何だと思われてるのだろう。あまり考えたくないけど。

「ステーキのセットでいいかな」

JSが、ランチメニューを差し出してくる。

受け取ってざっと眺めただけで、私は頷いた。

昼休みだから長居は出来ないし、そもそも、彼と一緒にいる所を捜査室メンバーに見られたら大変だ。

正直、食事よりも、早く話がしたい。

ウェイターさんが去るのを待って、私は本題を切り出した。

「ジョン、あなた、今週は日本にいる?」

「きみが望むなら」

「週末に休みが取れたの。だから、一緒に過ごしたい」

「おや、きみにしては積極的なお誘いだね。もちろん、大歓迎だよ」

断られなくて、ひとまずはほっとする。

「天気予報は良くないけど…」

「雨だと良くないの?」

JSの問い掛けに、私は返答に詰まった。

言われてみれば、どうして、雨の日を「天気が悪い」っていうんだろう。

「よく降るね」

JSは窓の外を見た。

「僕は雨が好きだよ」

「そうなの?」

「傘の下では皆、内省的な顔になる」

彼の視線が、窓枠の向こうを、傘をさして雨を避けながら行き交う人々に向けられる。

無声映画を観ているような愉しげな眼差しの彼は、彼らを見ながら何を考えているのだろうか。

知りたい、と思った。

同時に、知りたくない、とも。

彼といると、私はいつも、相反する気持ちの間で揺れ続けている。

「あなたを知るのは怖い」

JSが、視線を私に戻した。

「僕に恋をしてるんだね」

冷ややかに外を見ていた時とは違う眼差しで、彼は私を見つめた。

私は知ってる。

彼の目の奥には、小さな火が、静かに燃えている。

彼は、火を点けたのは私だと言う。

その火は、私への、欲だと。

きっと今、彼には見えている。

私の内にある、同じ火が。

「いけないよ、マルガレーテ」

私はハッとした。

いつの間にか、ウェイターさんがすぐそこに来ていて、私の前にステーキを置くところだった。

「こういう事は秘めやかでなくてはね」

JSは意味深に微笑んでから、血の滴るようなステーキにたっぷりと濃厚なフルーツソースを絡めて、優雅に口に運んだ。

***

予報通りの大雨に、私は溜め息をつきながら、玄関のサンダルを合皮のパンプスに替えた。

もう一度窓の外の空を見上げて、今度はそれをレインシューズに取り替える。

せっかくのデートだから、たまのプライベートだから、夏らしくおしゃれしたかったのになあ。

やっぱり、雨の日は天気が悪いよ、JS。

心の中で独り言を呟いていると、ドアにノックの音がした。

(誰だろう。もう出掛けなきゃいけない時間なんだけど…)

腕時計で時刻を確かめ、溜め息をつきながらインターホンの画面を覗くと、なんと、JSが笑顔で手を振っていた。

「じ」

『来ちゃった』

無邪気に言う声に、慌てて玄関を開けて、とりあえず中に引っ張り込む。

来ちゃった、じゃ、ないでしょ!

「ここ、警察の女子寮だよ?!」

扉の内側で声を殺して怒鳴るけど、JSはどこ吹く風。

「寮監さんにはちゃんとご挨拶をして入って来たよ。はいお花」

ピンク色の可憐なブーケをお土産に手渡されると、焦りも怒りも萎んでしまう。

「上がっていいかな」

JSの笑顔を見ていると、自分だけ慌てているのが馬鹿馬鹿しくなってしまう。

きっとこの詐欺師は、後で痕跡を辿ろうとしても綺麗さっぱり何も無いよう、用意周到にしてから来ているに決まってるのだ。

「…どうぞ」

「きみのお城は小さくて可愛いねえ」

脱いだ靴をきちんと揃えてから、JSが私の部屋を見回した。

この人はいつでも、何を見ても楽しそうだ。

ブーケを花瓶に挿し、お茶を淹れて戻って来ると、JSはその場に行儀よく正座をして待っていた。

「どうしたの?意外?僕は、手当たり次第に他人の部屋を散らかすような事はしないよ」

折り畳み式の小さなテーブルを開いて、ティーポットと温めたカップを置く。

「足は崩して楽にして。胡座が辛ければ、ベッドに腰掛けてもいいし」

「きみのベッドに?」

JSの声が色を含んだ気がしてドキリとしたけど、それも一瞬だけ。

「助かるな。正座は苦手」

笑いながら素直に立ち上がったJSは、私のベッドに腰を下ろした。

「きみの香りがする」

「紅茶の香りじゃない?」

「そうかも」

JSは仰向けにベッドに横たわり、天井を見上げた。

「落ち着く香りだ。居心地が良い」

ふと、私はJSの寝顔を見たことがない、と思った。

好奇心に負けて静かに立ち上がり、近付いてそっと覗き込む。

瞼を閉じたJSは、やっぱりとても綺麗だった。

もう、少しだけ…。

顔を近付けた、次の瞬間。

緑の目が開いた。

あっと思う間もなく腕を掴まれ、引き寄せられる。

「!」

身体が反転してベッドに倒されると、長い黒髪が、私の頬を撫でた。

服の上から、彼の手が私の稜線をなぞる。

「今日のきみの装いは、僕の為のものだよね」

優しい唇が下りてきて、耳元でそっと囁く。

彼の目の奥に、炎が宿っていた。

「ぅん…っ」

受け入れた接吻が深くなるたびに、服がはだけ、私が暴かれてゆく。

秘め事は強い雨音に掻き消されて、心地よい愛撫は現実の境を曖昧にする。

怖くて、だから、縋りついてしまう。

彼の常套手段だと分かっていても、それでも。

「好き…」

高い波に呑み込まれ、爪を立てた瞬間、彼の舌が私の涙を舐めとった。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんばんは。

JSといると翼ちゃんが積極的な気がしますね。

自分からデートに誘ったり?

しかし、JSはとうとう警察の女子寮にまで上がり込みましたか(笑)

しかもそこで……なんて(*^^*)

意外と強者だな、JS。

名前:JS&小春&翼
本文:
JS
「ジュンさんこんばんは。実は都内某所にある僕のアジトで目隠しプレ(ピー)という選択肢もあったんですけど、それは微妙に家デートではないと小春さんが」

小春
「警察の寮で(ピー)とか、室長にバレたら(ピピー)されますよ?」
 
JS
「マルガレーテが申告しなければバレませんよ」


「…(怖くて出来ません…)」

名前:冬子
本文:「僕に恋をしてるんだね」

きゃーっ、冬子ぞくぞくしちゃうっ

こんな台詞アニさんなら絶対言えないし

明智さんなら倒れちゃうかもっ


JSも大人ですねーっ

女子寮で、ですか。


それにしても綺麗なオカマJS……

JSが あら、ヤダとか言い出したらこっちが あら?ですね

名前:アニ&明智&冬子
本文:
アニ
「うっかり聞き流すところだったが、我々に対して失礼ではないのか冬子は」

明智
「確かにJSのようなセリフは言える気がしませんが…」

アニ
「不甲斐ない奴だな」

明智
「すると藤守検察官は言う事が出来ると」

アニ
「出来ん。いや、出来るが敢えてここでは言わないのだと言っておこう」

冬子
「えー?」

アニ
「失礼なヤツだな貴様は!」

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