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番外編『二年目の強化合宿』より~明智編~

2016/09/01 09:18

初日の訓練が終わり、私は夕焼けを浴びながら、合宿所の裏手にあって人目につかない林へと向かう。

そこで明智さんが待っていてくれた。

「お疲れ様。今年も容赦なかっただろう?」

「うん、去年よりも酷くなってる気がする…」

そんな会話をしていたら、不意に、明智さんが私の肩を掴んで引き寄せた。

そのまま、私と立ち位置を入れ替わる。

不思議に思って見上げると、明智さんの顔に西日が当たっていて、私は彼の意図に気付いた。

「ありがとう」

口元に笑みを浮かべた明智さんの手が、私の頭を撫でる。

「外に出る訓練も多いから、日焼けには気をつけろよ」

「うん」

「他にも気をつける事はあるぞ。ここには今、女がお前ひとりしかいない。いろいろと危ないが、俺が付きっきりでいるわけにもいかない」

「心配してくれてるんだね、嬉しいな」

恥ずかしいのか、明智さんは微かに染まった顔を背けた。

「最終日までしっかり訓練を受けきったら、残り時間に散歩でもするか」

「うん。短い時間でも、まーくんと一緒にいられたら嬉しい」

明智さんと指を絡めるようにして手を繋ぐと、胸の奥が弾んだ。

「じゃあ3日目の昼過ぎに、ここで会おう。それまでは、訓練頑張れよ」

「ご褒美が待ってるから、頑張れそう」

「頑張るのはいいが、無理はしないように」

繋いだ手を引きあって、私たちはキスを交わした。

***

2日目、合宿所にあるコンピュータ室。

署内にあるコンピュータ室より狭いかも…と思いながら立っていると、背後から小笠原さんの声がした。

「櫻井さん、入らないの?」

「あっ、すみません」

私が道を開けると、小笠原さんは眼鏡を押し上げながら室内に入った。

それに続いて、私も中に入る。

「小笠原さんには訓練の必要なさそうですけど……」

「今日は受講の為じゃなく、新人講師の手際を見るように科捜研の先輩から言われて来たんだ」

さすが小笠原さんだと感心していると、講師や職員たちが入ってきた。

講師
「今回はパソコンソフトを使って、素早く人物の居場所を特定する方法を…」

小笠原さんが言う通り、講師の人は初心者らしくて、説明がたどたどしい。

講師
「…ここまでで、何か分からないところはありますか?」

「はい」

小笠原さんが手を挙げたので、私はビックリしてしまった。

「今のやり方はまわりくどい。もっと簡単で効率のいい方法がある」

小笠原さんはそう言って、自分の席のパソコンのキーボードを叩き始めた。

講師だけじゃなく、他の職員たちも、小笠原さんの高速タイピングを見つめている。

やがて、小笠原さんの手が止まった。

「ここでこのツールを使えば……」

講師
「あっ、ほ、本当だ。…ですが、そのツールには、場所に誤差が出る可能性が」

「確かにそれはあった。ただし、その誤差は、二週間前に、複数の衛星を使用して位置情報を修正する機能をつけた事で修正した」

講師
「修正した?…もしかして…」

「このソフト、俺が作ったから」

小笠原さんは淡々と言ったけど、会場はどよめいた。

講師
「でしたら、ぜひ、講師になっていただけませんか?」

小笠原さんは嫌だと断ったものの、講師に懇願され、なぜか私がアシストする事を条件に、講義を手伝う事になったのだった…。

***
3日目の昼過ぎ、ようやく全ての研修が終了した。

最後の柔道でかいた汗を流し、着替えも済ませて待ち合わせの湖へ向かうと、そこには明智さんが先に来て待っていてくれた。

ところが、彼はなんだか真剣な顔で考え事をしている様子。

何と声を掛けようか迷っていると、明智さんの視線がこちらに向いた。

「ああ、来てたのか」

「うん、お待たせ」

「…散歩でもしようか」

何か言いたそうな態度が気になったけれど、本当に話したい事があれば、きっと自分から言ってくれると思い、彼の隣に並んで歩く。

別々に受けた訓練の話をお互いに報告しながらしばらく歩いたけど、明智さんは、まだ考え事をしている感じ。

やがて、辺りは夕焼けに包まれた。

「…湖が夕日に染まって、綺麗だね。この景色を、またいつか、まーくんと一緒に見たいな」

「俺と?…そうか?」

安堵の息を吐いた明智さんが、少し恥ずかしそうに鼻頭を指で掻いた。

「お前がそう言ってくれると、安心する。…心配だったんだ」

「え…?」

「お前、さっき、若い職員と笑顔で話していただろう」

「あの人は後輩で、柔道で落とした髪留めを拾って届けてくれただけだよ。その時、ちょっとよろけたのを支えてもらっただけ」

「うん、分かってる。たまたま通り掛かって、全部見ていたから。でも、不安だったんだ」

「まーくん…」

明智さんの胸にそっと手を置くと、彼の薄い唇が触れてきた。

「お前が他の男に触れられているのを見たら、頭の中が真っ白になった」

「…嫉妬してくれたの?」

「…ああ」

私は、抱き締めてくる明智さんの胸に頬を押し当てた。

「私、嬉しい。そんなに、私の事が好きだなんて」

「当たり前だろう。俺は、誰よりもお前を愛してるんだから」

明智さんの手が、少し乱暴に頭を撫でる。

そのまま後頭部を掴まれ、そっと明智さんの方へと引き寄せられた。

唇が重なり、明智さんの指先がうなじを撫でる感触に、身体が震えた。

「あ…こ、こんなところで…だ、ダメっ…」

「明るい場所でお前のそんな顔見ると、何かドキドキする」

そう言いながら、今度は指先で背中をなぞる。

「…っ、意地悪…」

「お前が可愛すぎるのがいけない」

そして、唇を耳元へ。

「ここには誰も来ないから、少しくらい平気だよ」

「そ、そういう問題じゃないよ」

明智さんは小さな声を立てて笑いながら、耳たぶを甘噛みしてきた。

「あ…っ!?」

その瞬間、私の身体に電気が走ったような快感が走る。

「声、出てるぞ」

「それは…!」

「俺のせい、だろ?」

「…そうだよ…」

「じゃあ、もう止めようか」

意外にもあっさり身体を離す明智さんに、目を丸くする。

「え…?」

「もっと触れてほしい、って顔だな」

「…うん…」

明智さんは手を伸ばし、私の鼻頭をちょん、と撫でた。

「でも、ここではちょっと…だろ?だから、続きは、俺の家に帰ってからだ。姉さんたちがいたら、ホテルを予約しよう」

どこか恥ずかしそうな顔で笑う明智さんに、私もつられて笑みを浮かべた。

「今、すごく、お前と一緒にいたい」

「私も…離れたくない」

明智さんの手が、私の手を握る。

そのまま私たちは、そっと指を絡めた。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんにちは。

合宿は今回も大変そうですね。

しかし、小笠原さんが凄い!

講師の代理しちゃうなんて成長しましたね。

明智さん、焼きもち妬いちゃったんですね。

そりゃ、女の子が翼ちゃん一人なんて心配になりますよね。

誰も来ないからってお外でピーするのかと思っちゃいました。

大胆だなっと…

明智さんに限ってさすがにそれはないですよね。

名前:明智&穂積
本文:
穂積
「やーねえ、ジュン、その通りよ。明智に限って野外プレイだなんて、ねえ?」

明智
「は、はあ…(汗)」

穂積
「まあ、去年みたいに?二人きりで朝まで倉庫に隠れたりすれば?どうなるかわからないけど?」

明智
(やっぱりばれてた…(滝汗))

名前:エミ
本文:
明智さん…汗もスゴいですけど、トリ肌もスゴいですよ。大丈夫ですか?
(*´艸`*)フフフ

名前:明智&穂積
本文:
穂積
「あら、鳥肌?おっかしーわねえなぜかしら。だって去年、明智は最終日に人前で水着になれたのよ?それって、前の晩に?万が一(ピー)していたとしても?痕跡は残ってなかったって事になるでしょ?証拠も無いのに疑っちゃ悪いわよ、ねえ明智?」

明智
「…(汗も鳥肌も止まらない)…」

名前:冬子
本文:
まあ、小笠原さんったら講師になったのね。

立派になって…涙涙


あらやだ、今日は明智さんの日ね。

それなのに、室長とお話ししてるだけなのに、鳥肌と汗なんですかー 

えー どーしてぇ 冬子わっかんなーい 


きっとお姉さん達がいて、いいホテルもとれなくって、色々大変なんでしょうねー

30うん才、明智さん。頑張ってねん☆

名前:24TH
本文:小笠原さん…………
いや、もう、なんと言えばいいのやら……

名前:明智&穂積
本文:
穂積
「明智の番外編なのに、みんな小笠原に持っていかれちゃったみたいねえ。やっぱり外ピーしとけば良かったんじゃない?おっと失礼、明智はそんな野蛮な事しないわよねえ。ホテルは予約取れた?」

明智
「………(もう逃げ出したい)………」

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