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番外編『二年目の強化合宿』より~穂積編~

2016/09/13 08:57
初日の訓練を終えた後、室長の部屋を訪ねると、室長はベッドに寝転んでいて、私を見上げた。

##IMGU61##
「…約束を忘れずに来たんだな」

「ごめんなさい、寝てた?」

「大丈夫だ、が、疲れた」

室長は上半身を起こし、私を手招きした。

隣に腰掛けると、室長はゆっくりとした動きで頭を私の肩に乗せる。

彼の珍しい行動に、甘えられたような気がしてドキドキしてしまう。

「今回の合宿、俺は延々講師だよ。交渉術から心理学まで、なんで俺ばかり」

「泪さんの講義は面白いからでしょ。分かりやすいし、聞きやすいもの」

「俺自身は、お前に特別な講義をしてやる方が面白いんだけどな」

室長は短くため息を吐いた。

「特別な講義」の意味が分からないほど私も子供じゃない。

冗談めかした言葉の中に、私への気遣いが込められているのも分かる。

でも…忙しい室長の負担になりたくないから…二人きりになる時間が無くて寂しい、という言葉は飲み込んだんだけど。

「最終日なら、散歩するくらいの時間は作れるぞ」

「いいの?!」

「ああ」

「嬉しい。泪さんは、私を喜ばせるのが上手だね」

「そうか?」

私の肩から頭を起こした室長は、柔らかい笑みを浮かべて、線の細い指先で、私の顎を持ち上げる。

そのまま唇を奪われた私は、柔らかくて、温かい感触に自然と目を閉じた。

「…ん…」

(……やっぱり泪さんは、私を喜ばせるのが上手だな……)

***

合宿2日目。私は如月さんたちと、朝から体術の訓練を受けていた。

男性職員
「櫻井さん、きみ、強いね」

声を掛けてくれたのは、さっきの組手の相手。

誉められるのは光栄だけど、私は彼に見事に投げ飛ばされただけなのに。

そう答えると、彼はますます言い募ってきた。

「俺を相手にあそこまで健闘するなんて、驚いたよ。俺、そういうのに惹かれるんだ…」

「え?」

すると、目の前に急に如月さんが現れた。

如月
「へえ。強いのに惹かれるなら、俺と組んでみる?」

男性職員
「ええ!?」

いきなり現れた如月さんに、男性職員は簡単に投げ飛ばされた。

「よし! 次!」

(すごい……あんなに大きな人を簡単に投げちゃうなんて)

男性職員B
「やっぱ如月さんすげぇな。あの身のこなし」

男性職員C
「そうだな。さっき100キロ級の奴を背負い投げしていたぞ」

皆が如月さんに注目する中、如月さんは、息ひとつ上げないで私の元に来た。

「如月さん、凄いです」

「そう?嬉しいな。でもオレ、翼ちゃんと組んだら負けるかも。いや、絶対負けるね。寝技なんてされたら、もう勝てる気がしないよ」

「まさか」

「だって、ドキドキして集中できないよ」

「ふふっ、冗談ばっかり」

「いや、本気だし。翼ちゃん、今日の訓練では絶対寝技なんかしちゃダメだよ」

「なぜですか?」

「そんな事したら、他の課の奴らがこぞって翼ちゃんと組手したがるじゃん」

「そ、そんなこと…」

「そいつらを、オレは千切っては投げ、千切っては投げ……考えただけでも大変そうだ」

あまりに真剣な顔で冗談を言うので、私は吹き出してしまった。

「俺は本気で言ってるのに!」

なおも真顔の如月さんに、私は謝りながらも笑い続けてしまった。

***

最後の訓練が終わり、シャワーで汗も流し、帰り支度も済ませた私は、待ち合わせ場所のウッドデッキで、室長を待っていた。

男性職員
「櫻井さん、お疲れ様」

「あ…お疲れ様です」

声を掛けてきたのは、体術訓練で組手をした男性職員だった。

「この前はありがとうね。俺、すごく刺激になったよ」

「こちらこそ、ありがとうございました」

彼は笑顔のまま、でも、真剣な眼差しで私を見つめた。

「あの…櫻井さん。俺、もっと強くなるから。そうしたら…」

「?」

「俺と付き合ってほしい。ずっときみの事が好きだった」

「え!?」

突然の告白に、声を上げてしまった。

でも、彼の真剣な瞳に、私も真面目に答えなければ、と感じる。

「ごめんなさい。好きな人がいるので、付き合えません」

男性職員
「…そっか」

その後の気まずい雰囲気を破ったのは、思いがけない人物の声だった。

穂積
「あら!櫻井、こんなところにいたの?さっさと片付け手伝ってちょうだい」

現れた室長はまだ立ち尽くしている男性職員をそのままに、私の腕を掴むと、合宿所の部屋に連れて戻った。


「すまないな。最後まで聞いていられなかった」

「いつから見ていたの?」

「アイツが告白するところから」

「私、ちゃんと断ったよ。付き合えないって」

「それは聞いてた」

「好きな人がいるって」

「それは聞く前から知ってる」

室長は少し強引に、私をベッドに押し倒した。

「お前が好きなのは俺だと、知ってる。信じてる」

私の瞳を覗き込んだ室長は、そのまま、先程とは違う優しい力で私を抱き締める。

「お前を疑ったりはしないし、奪われない自信もある。だけど…」

「…」

「アイツに腹が立った。俺の女に何してるんだって思った」

「泪さんの気持ち、すごく嬉しい」

妬いてもらえたのが幸せで、室長の背中に手を回してぎゅうっと抱き締めると、応えるように優しくキスをされた。

唇を舐められる感覚に、室長の指が私の首筋を撫でる感覚に…思わず身体が小さく反応してしまう。

「…そう言や、こういうの久々だな。最近忙しかったし」

「…うん。…って、ダメだよ!もうすぐ出発だし…」

室長の指は止まらず、優しく身体をなぞっていく。

柔らかい笑顔で、じっと見つめられると、負けそうになるけれど。

「ね、もう準備しないと…室長がいなかったら騒ぎになるし」

室長は部屋の時計を見て、大きくため息を吐いた。

「なぁ、『蛇の生殺しは人を噛む』って言葉、知っているか?」

「人を噛む?」

「蛇は生命力が強く、半殺しにされてもまだ生きていて、何をするか分からない。つまり、物事の決着をうやむやにしておくと、後で害を受けることがあるって例えだ。今の俺がそれ」

「る、泪さん…」

「別に怖がらなくていい。俺の場合は甘噛みだからな」

「え…?」

室長はそのまま、私の首筋を優しく噛んだ。

(こんな事されたら、私の方が生殺し…)

室長は笑みを浮かべながら、噛んだ部分を舐め上げる。

「ん…っ!」

「そんな声出すなよ」

「だって、泪さんが…」

「俺を困らせた罰だからな。このまま我慢しろよ。後でたっぷり可愛がってやる」

耳元で囁く声に、私は顔を真っ赤にさせて頷いた。


~終わり~
追記
名前:穂積&如月
本文:
穂積
「櫻井を守った今回の働きに免じて、如月の『昼から半ピー罪』は許してあげましょう」

如月
「ありがとうございます!」

藤守
「(小声)それより明智さん、室長がまさかのNOピーですよ」

明智
「(小声)室長は講義より実践指導の方が好きだからな。毎時間講師で疲れてたのは間違いないがそれにしても」

穂積
「どうやら藤守くんと明智くんは、ワタシに体術の実践指導をして欲しいみたいねえ?」

藤守、明智
「げ」

如月
「室長、道場の予約入れました!」

穂積
「よろしい。全員、着替えて道場に集合。ワタシが徹底的に鍛え直してあ、げ、る」

藤守、明智
「如月、裏切り者!!」

小笠原
「文句を言いたいのは巻き添えになった俺なんだけど!」

穂積
「(小声)お前には特別に寝技を実践指導してやるからな♪」


「えっ?!」

全員
「あーーーーっ!!」

名前:冬子
本文:
あれ~ 室長は外ピーではない?

あら、やっぱり年…

いえいえいえ、大人の分別ってやつでございますわね。


それで、おがさーらさんも道場に行くの?

冬子も行って、見てていいですか?

あ、ワタクシのことはおかまいなく。

見てるだけ~で、すみの方でおとなしーくしてますから!

名前:エミ
本文:
普段はヤンチャな大型猫が甘えてきたら嬉しくてたまりませんよねぇ。ムツ●ロウさん並みにワシャワシャしたい!

あ、私も隅っこで見学しまーす!

名前:ジュン
本文:
こーちゃん、大活躍でしたね。

室長は生殺しのまま夜までお預けなんてさすがドSですね(笑)

道場できたえなおしですか?

賢史くん、救急箱用意してるから頑張ってね。

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