『非公式Twitter』

番外編「ムーンライトセレナーデ」~如月編~

2016/10/27 17:48
如月さんの家へ行くと、玄関でいきなり抱きしめられた。

##IMGU64##
「待ってたよ! 翼ちゃん!」

「ど、どうしたの?」

「別にどうもしないよ。恋人と会えて嬉しいだけ!」

いつもよりも明るい笑顔で、抱きしめる手に力を込める如月さんの笑顔につられて、私も笑みを浮かべる。

「やっと二人きりになれたね。最近忙しかったもんなぁ」

ビングにあるソファへ腰かけると、如月さんは大きく伸びをした。

「こーちゃん、すごく頑張ってるよね」

「翼ちゃん、オレの事ちゃんと見てくれてるんだ」

隣に座ると、顔を近づけながら、私に問い掛けてくる。

「でも、どうして見てるの?」

「それは…こーちゃんが好きだから」

「好きだから…気になっちゃう?」

耳元で囁かれ、顔が火照ってしまう。

「オレも、翼ちゃんの事好きだから、いつも見てるよ。仕事してる姿もすごくステキだよ」

如月さんの息が、頬に触れた。

更に顔が近付く気配に、自然と目を閉じ、如月さんを待つ体勢を取る。

「翼ちゃんのまつげ、ふるふるして可愛いな」

如月さんはそう言葉にしただけで、私にキスをせず離れてしまった。

(あれ…?今、どうしてキスしてくれなかったんだろう…)

友だちの言った「マンネリ」という言葉が頭に浮かび、不安が押し寄せる。

(もしかして、私に飽きた?でも、好きって言ってくれてるし…)

眉を寄せて考えていると、私のケータイが鳴り響いた。

「室長からだ!」



室長に呼び出されたのは、とある遊園地。

「二人とも、休みなのに悪いわね。実は、この遊園地内で、置き引き、盗撮、爆破予告という3つの事件が同時に発生したの。園は閉鎖し客は退出させてあるから、早速捜査開始してちょうだい」

というわけで、私は、明智さん、小笠原さんと共に、チームMとして爆発物を探す。

怪しい物がないか、トイレや遊具の中など、奥の奥まで探していく。

「威力が分からない爆弾だから、無いに越した事はないが、どこにも見当たらないな…」

「やっぱり、一連の爆破予告と同じで、冗談なのかも。俺たちにとっては冗談じゃないけど」

「でも、最後まで油断出来ませんね」

話し込んでいると、この遊園地の従業員が駆けてきた。

変な男を見かけた、と言うのでその辺りに向かうと、ちょうど、人影が従業員の更衣室に入っていくところだった。

物陰に隠れて室内を覗き見ると、薄暗い中で、ロッカーの上に、何かをつけているような…

(まさか、本当に爆弾…!?)

自然と全員に、緊張が走る。

「…小笠原、突入するぞ」

「了解」

「櫻井はこの出入り口で見張っているように」

「了解です」

明智さんと小笠原さんが、同時に従業員の更衣室へと入った。

無事を祈っていると、やがて、二人が、犯人と思われる人物を連れて出て来た。

「犯人は犯人でも、盗撮犯の方だった」

爆弾じゃなく、カメラを仕掛けようとしていたんだ。

「櫻井さん、室長へ逮捕の連絡をお願い」

「分かりました」

ケータイを取り出して室長へ電話すると、爆弾が無事発見された、との情報を聞く事が出来た。

***
それから数時間後、すべての事件が解決し、捜査は終了。

念のため、私と如月さんで最後の見回りを行う事になった。

「明かりのない遊園地って、何だかワクワクするね」

「…そうですね…」

朝、キスしてもらえなかった事から始まった不安が頭から離れず、如月さんと上手く話せない。

「翼ちゃん、疲れた?元気ないね。それに、二人きりなんだから、普段の話し方で良いのに」

「でも、仕事中ですから」

「真面目だねー。まあ、そういうところが好きなんだけど」

(「好き」とは言ってくれるんだよね…)

いちいち疑ってしまう自分が嫌になる。

「翼ちゃん、大ブランコに行ってみようよ。俺、あれ好きなんだ」

それは、ブランコが自動でグルグル回転しながら高く上がっていくという遊具。

座席の下に爆弾が設置されてるかもね、なんて話しながら一つ一つ確認していると、先ほどの従業員もやってきて、システムの点検を始めた。

「俺が調べた方には無かったよ。翼ちゃんは?」

「こちらも特にありませんね。じゃあ、他の遊具は…」

二人並んで歩こうとした時。

突然大ブランコが動き出し、私の足に当たった。

弾みで、尻餅をつくようにブランコへ座ってしまうけど、機械は止まらない。

「ど、どうしよう…!」

「翼ちゃん!」

如月さんが、懸命に走って私の座ったブランコに追い付いて、隣に座って安全バーを下ろしてくれる。

かなりの高さまで浮き上がったところで、先ほどの従業員が駆けつけて大きな声を上げた。

「すみません!作動確認でうっかり押してしまって!停止するのは危険なので、最後まで乗ってもらえますか?」

「そんな…」

「まあ、良いじゃん。オレたちのせいじゃないんだし」

そうこうするうち、回転速度はもう従業員が追い付けない速度になり、ブランコははるか上空へ。

こうなってはどうしようもない。

「翼ちゃん、見てみて!街の明かりが見えるよ」

「わあ…!すごい高さ!風が気持ち良いね!」

ジェットコースターとはまた違う、穏やかな風が頬を撫でる。

「足が浮いてるのも楽しいね。何だか、ワクワクするよ」

「翼ちゃんは、やっぱり、困った顔より、笑った顔の方が可愛いね」

「え?」

顔を向けると、如月さんは申し訳なさそうな顔をしていた。

「ほんとはもっと、焦らしたかったんだけど」

「え?……え?」

「だって、翼ちゃんすごく悲しい顔するんだもん」

「そ、それって、もしかして」

「キスのおあずけ…でも、オレの方が我慢できそうにないや」

(…じゃあ、わざとキスしなかったって事?!)

理由を聞いて、怒るより先に安堵がやってきた。

「良かった…嫌われたんじゃなくて」

「そんなわけないよ」

如月さんは私の手をそっと握りしめて、頬にキスをしてくれる。

「ごめんね。もう意地悪はしない。あの月に誓うよ」

小指を絡めて約束し、顔を寄せて、唇を重ね合わせた。

「翼ちゃんとキスすると、いつも幸せな気分になるよ」

今度は深く、とろけるような口付け。

「今日の夜は、いっぱいキスしてあげるね」

如月さんは微笑みながら、最後におでこへキスしてくれた。

~終わり~
追記
名前:小春&如月
本文:
小春
「如月さん、そーんなトコでキスしたら危ないですよ!あと、その遊具は一般的には『回転ブランコ』というものらしいですよ!私、『大ブランコ』で検索したら、すっごい大規模な振り子式のブランコが出たのでびっくりしました!」

如月
「もー小春ちゃん、ムード台無しー!文句は降りてから聞くからー!」

小春
「でも『翼ちゃんとの恋に、当たり前なんてないって事、教えてあげるよ』とか、『俺はこれからも毎日、翼ちゃんに恋するんだ』とかのセリフはいいなあ。翼ちゃんが心配するまでもなく、如月さんは、マンネリ防止に積極的だって事ですよね」

如月
「恥ずかしいから解説やめてー!」

名前:冬子
本文:
まあ、おがさーらさんが突入を??

すごい!成長した!


はっ、今日はこーちゃんの日でしたっ

こーちゃんと翼ちゃんって微笑ましくって大好きですよ。

そして相変わらず意地悪……

でも一生懸命走って大ブランコ?回転ブランコに乗ってきてくれたんですね。

いざという時、頼りになるんですよね、こーちゃんって。

大胆なことやったりするしね。

名前:ジュン
本文:
こんにちは。

こーちゃんは相変わらず意地悪だなぁ。

わざとキスをお預けするなんて。

でも、そんなこーちゃんとならマンネリはないですね。

いつまでも仲良く意地悪く過ごすんだろうな。

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