『非公式Twitter』

番外編「ムーンライトセレナーデ」より~穂積編~

2016/10/28 17:45
「お邪魔しまーす…」

以前もらった合鍵を使って室長の部屋に入ったけれど、彼の姿はどこにもなく、呼び掛けても返事がない。

(おかしいな、いないのかな…?)

「泪さん?」

室長は外出着のまま、ベッドで静かな寝息を立てていた。

整った顔は寝顔でもキレイで、思わず見とれてしまう。

(泪さん、仕事で疲れてるんだね。私、帰った方が良いのかも…)

どうしたものか迷っていると、室長の目が薄く開いた。

##IMGU61##
「……ああ、翼か」

「ごめんなさい、起こした?」

「…いや…すまん。お前が来たら外出するつもりで、少しだけ横になったら…」

「私はいいから、ちゃんと眠ってほしいな」

「それも嬉しいが…」

室長は何とか眠い目を開き、こちらへ手を伸ばした。

「翼、おいで」

「え…」

戸惑う私の腕を掴んで、室長は強引にベッドへ引き寄せた。

私の身体は、簡単に室長の腕の中へと沈んでしまう。

(そ、そんな…会っていきなり…!?)

「泪さん…」

「お前も、触れてほしかったんだろ?」

「それは…でも…泪さん眠いんじゃ…」

「まだ平気だ」

言いながら、室長の唇が首筋に触れた。

「あっ…」

思わず声を上げる私を、室長は力強く抱きしめる。

「泪さん、私…」

「……」

(ね、寝てる!?)

私を抱きしめたまま、室長はまた寝てしまっていた。

動いたら起こしてしまいそうで、動けない。

(泪さん、本当に疲れているんだ…)

そう思ったのも束の間、さっきの友だちの言葉を思い出す。

(…それとも…私の相手をするより寝ていたいとか?これが、マンネリ?どうしよう…?!)

必死に考えているところへ、室長のケータイが突如鳴り響いた。



明智
「室長、休みなのにすみません」

既に閉鎖された遊園地では、明智さん以下、全員が待っていた。

「構わないわ。遊園地内で一斉に軽犯罪が多発となったら、人数が必要でしょう」

「置き引き、盗撮、ひったくりに爆破予告。おかげで俺まで出動だ」

仕方ないね、と小野瀬さんがぼやく。

「さっさと捕まえてさっさと終わらせるわよ」

私は、如月さん、小野瀬さんと共に置き引き犯を追う、チームH。

お化け屋敷の前までやって来ると、入り口でお化けのエキストラたちが待機をしていた。

恐いのが苦手な私は思わず身震いしてしまうけど、如月さんと小野瀬さんが情報収集してくれる。

イベント会場付近で怪しい人を目撃したという情報を元にそちらへ向かったけれど、誰もいない。

かわりに、私の視界に入ったのは、座席の下にあった紙袋だった。

「忘れ物かもしれませんけど…」

「ちょっと、ふたりとも下がっていて」

小野瀬さんが手袋をはめて、慎重に紙袋を開ける。

中から出てきたのは小ビンで、そこには怪しい液体が入っている。

小野瀬さんは冷静に懐から簡易検査キットを取り出すと、慣れた手つきで、その液体を検査していく。

「…どうやらこれは危険なものではなく、栄養ドリンクらしいね。念のため、持ち帰って再検査をするけど」

小野瀬さんは密閉袋にビンを入れ、丁寧にしまった。

「人騒がせだなあ」

その後、無事ひったくり犯を別のチームが捕まえたという連絡が入ってきた。

***

事件が無事解決して全員が戻った時には、辺りはすっかり暗くなっていた。

「みんな、ご苦労様。最後に、不審人物や不審なものがないか、もう一回りしたら解散よ」

口々に文句を言いながらも、真面目なみんなは、最後の見回りをする為、それぞれ散って行った。

残った私は、「行くぞ」と歩き出す室長を追って、隣に並ぶ。

お化け屋敷まで来ると、さっきのエキストラが外に立っていた。

「刑事さん!」

「どうしたんですか?」

「実は、その…今日はもう帰宅していいと言われたんですが、大事な指輪を落としてしまって、帰れないんですよ」

エキストラは、室長に手を合わせた。

「責任者の人ももう帰っちゃったし、私は契約上、営業してない時間にはアトラクションに入れないし、困ってるんです!刑事さん、取ってきてもらえませんか?!」

なんだか嫌な予感がした。

「…あの、アトラクションって、もしかして」

「もちろん、お化け屋敷です」

「引き受けましょう」

「ありがとうございます!」

イヤー!

「櫻井、これも仕事だ」

「真っ暗なので、電源入れますね。その方が見やすいですし、せっかくですから」

そう言うとエキストラは操作室へ向かってしまった。

そんなせっかくは要らない!

室長に引っ張られて中に入ると、出だし3秒でお化けが襲ってきた。

「きゃー!」

驚いて悲鳴を上げる私の隣で、室長は眉をピクリとも動かさない。

「電気で動く作り物だぞ。凶悪犯の方がよっぽど怖いと思うけどな」

「それは、そうなんだけど…怖いものは怖いんだよ…!」

先へ進むたび、次から次へとお化けが襲ってくる。

私はパニック寸前だった。

「怖がりすぎだ」

「だ、だって…!」

「じゃあ、俺だけ見てれば怖くないだろ」

「え…?」

室長は私の肩を抱いて、顎を持ち上げた。

強制的に、私の視界は室長でいっぱいになる。

「ほら」

「そ…そんな事しても、ま、まだ怖いですよ…」

「じゃあ、こうしたら…?」

「……ん……」

唇を塞がれて、私の視界以外も室長でいっぱいになる。

「ずっとこうしたかったんだ…」

口づけを重ね、舌を絡ませれば、唇からも、私の頭を撫でる指先からも、室長からの愛情が伝わってくる。

「良かった…私、泪さんに飽きられたんじゃないんだね」

安堵しすぎて、思わず口に出してしまう。

室長は申し訳ない顔で、私を見つめた。

「…不安にさせたか?悪かったな」

「泪さん…」

「安心しろ。俺が翼に飽きるなんて事はない」

そう言って、室長はまた私にキスをした。

その感触に、身体の芯から火照ってくる。

「うっとりした顔して…まだキスしかしてないぞ?」

「だ、だって……」

「続きは帰ってからだ」

最後に頬へキスをして、室長はまた歩き出す。

私もいつの間にか、怖さを忘れていた。

お化け屋敷を出ると、先ほどのエキストラが駆け寄ってきた。

室長は出口の近くで見つけた指輪を彼に手渡し、彼も大喜びして、万事解決。

お化け屋敷を後に歩き出すと、室長に手を握られた。

「泪さん…?」

「翼を失いたくないからな」

嬉しさに表情が緩んでしまう。

満月の光の中で、私たちは愛を確かめ合うようにキスを交わした。

~終わり~
追記
名前:小春&穂積
本文:小春
「お化け屋敷の中での『翼の傍にいる事が幸せで……それは当たり前なんだと、享受していた』、『飽きるなんて事はない。翼の唇はこんなに美味いんだからな』も泣く泣く切りましたけど、外へ出てからも室長は名セリフ連発でしたね」

穂積
「そうか?普通だろ?」

***

「良く覚えておけ。俺は、捕まえたものは逃がすつもりはない」

「うん、知ってる」

「なら、覚悟しておけ」

「そんなの、前から覚悟してるよ」

「いい度胸だ」

室長は口元に笑みを浮かべ、私の髪を掻き上げた。

「仕事も翼も、全て手に入れてやる」

「泪さんらしいよ」

「良く分かっているじゃないか。それが俺だ。わがままで、欲が深い男なんだよ」

私のおでこに、室長の唇が触れる。

「俺の傍を離れるなよ、翼」

引き寄せられ、私は大きく頷いた。

「いい子だ」

***

小春
「これぞ穂積泪です」

穂積
「お前がこのサイトの俺に言わせすぎなんだよ」

アニ
「小春、次は俺だ。これは陳情書ではなく命令書だぞ!」

小春
「隣の窓口に行ってくださーい」

名前:ジュン
本文:
こんにちは。

室長は強引でわがままで格好いいですね。

あっ、誉めてますよ。

室長が隣で寝てたらずっと見惚れてしまうだろうな。

でもキレイすぎて女としての自信を失いそう(笑)

名前:小春&穂積
本文:
穂積
「ワタシに対するジュンの誉め言葉から『エロい』が消えたわ…」

小春
「元気出してください!室長はエロいですよ!」

小野瀬
「だからそれ誉め言葉じゃないと思うよ…」

名前:ジュン
本文:
大丈夫ですよ!室長!

室長はもちろんエロいです!

ただ、今回は賢史くんの方がエロ格好良かったかなっと(笑)

名前:小春&穂積
本文:
穂積
「確かに今回の藤守のエロさにはさすがのワタシも敵わないわね」

小春
「そうですね、残念でしたね」

藤守
「……」

小野瀬
「藤守くん大丈夫。あれ誉め言葉じゃないから」

藤守
「……」

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