##IMGLU83##翼

まだ７月なのに、毎日暑くて嫌になっちゃう……

うん！

こういう時は、楽しい事を考えよう！

まーくんの夏のお楽しみと言ったら、何？

##IMGU60##明智

はは、翼は前向きで偉いな。

そうだな……

逆に、暑い道場で柔道の鍛練をして、汗をかくのもいいかもしれない。

その後の風呂は最高だ。

##IMGLU83##翼

あー……気持ち良さそう！

でも、その前の柔道がツラいかも……！

ご褒美があれば頑張れるかもだけど……

##IMGU60##明智

ははは。

翼は、運動より食べる方がいいか？

食べ物なら、そうめんかな。

麺を茹でたり、出しを取って汁をこしらえたり、作っている時のコンロの前は、エアコンをかけていても地獄のようだが……

やはり、夏の定番だな。

##IMGLU83##翼

そうめん食べたくなってきちゃった……

##IMGU60##明智

翼の為なら、喜んで地獄の大鍋の前に立つさ。

…………家でそうめんを作る時は、３人の姉たちと戦争だぞ。

先に出汁を取って調味した汁を作って冷ますんだが、まず、冷めるまで待てない。

熱いままの汁を器に注いで、俺の背後でバスケットボールみたいにぴょこぴょこしながら、隙を突いては麺に菜箸を伸ばしてくる。

麺を茹でるのだって、ほんの２分なのに、それも待てないんだ。

鍋に突っ込まれる菜箸をブロックしながら、とにもかくにも茹であげて水にさらせば、その時点でもう３分の１くらい減ってる。

立ったまま食うなよ……

明智家では、麺を水切りザルのまま、受け皿の上に出すんだぞ。

味気無いにも程があるが、猛獣には「待て」が出来ないんだからやむを得ない。

しかも、テーブルに置いて背を向けるのとほぼ同時に、「まーくんおかわり！」の声が飛んでくる。

お前らは手品師か？！

##IMGLU83##翼

まーくん落ち着いて。

##IMGU60##明智

だが、逆らうと空になったザルが飛んで来そうだから、急いで次を茹で始める。

俺の方も分かっているから、あらかじめ、２つ目の大鍋にも湯が沸いているんだ。

ふっ。

そこに麺を投入すると、再び背後から、菜箸を持った刺客が襲い掛かってくる。

奪われていくそうめん、飛び散る熱湯、アブナイからやめろと叫ぶ俺、傾く大鍋、自分の足に汁をこぼしてしまう姉、薬味のネギを撒き散らす姉、それでも食べ続ける姉、さながら阿鼻叫喚だ。

その攻防が、姉たちが満腹になるまで延々と繰り返されるんだぞ。

地獄絵図だろ。

もう、そうめんが食いたければ、茹でずに乾麺のまま、市販のストレートつゆにつけてバリバリ食えと言いたい。

##IMGLU83##翼

ふふ、でも、毎年作ってあげるんだね。

まーくんは、やっぱり優しいな。

……頑張ってるまーくんに、私、ご褒美、あげたいな……

##IMGU60##明智

ご褒美？

##IMGLU83##翼

ご褒美になるか、分からないけど……

そうめんを作ってあげて、それから……


ちゅっ。

##IMGU60##明智

！