Tokyo☆アブナイ☆week
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小笠原
「俺の推理も同じ結論に達した」
小笠原さんが、冷静に呟いた。
小野瀬
「確かに穂積なら、万が一、襲撃されたとしても対処できるはずだ。だが……」
小笠原さんと小野瀬さんの言葉が遠くに聴こえる。
……身代わりに。
……泪さんが……。
藤守
「そんなん、絶対あかん!」
藤守さんの大きな声に、私は現実に引き戻された。
藤守
「室長は、そんなブランドに関係あらへん!それやのに身代わりやなんて、ナンセンスや!」
小野瀬
「落ち着いて、藤守くん。まだ推論だから」
小野瀬さんが、冷静に藤守さんを諭そうとする。
明智
「その通りだ」
いつの間にか、全員が、一人だけ座っている小笠原さんを囲むようにして、向き合っていた。
明智
「それに、今回の俺たちの任務は、『ブラン・ノワール』スタッフ警護への協力だ。潜入捜査を命じられているのは、室長だけ」
明智さんは腕組みをして、軽く握った拳を口元に当てた。
藤守
「あくまでも、任務は警護。俺らに出来る事は無い、言うんですか」
藤守さんが唸る。
明智さんは頷いた。
明智
「少なくとも室長が、納得して身代わりを務める以上は、な」
明智さんは拳を開き、藤守さんの肩を叩いてから、静まり返ってしまった、私たち全員を見渡した。
明智
「……だが、そうと知って、みすみす室長だけを危険にさらすわけにはいかない。時間の許す限り、俺たちなりに脅迫の背景を調べ、警備計画を立ててみよう」
遠回しにだけど、明智さんが『自分たちにも出来る事があるはずだ』と言及した事で、藤守さんも溜飲を下げたようだ。
藤守
「室長の手助けをする方法を考えてもいい、いう事ですか」
明智
「派手に動くと、服務規程に引っ掛かる。あくまでも極秘で、だがな」
明智さんの言葉に、藤守さんは小笠原さんや如月さんとも顔を見合わせた。
全員の表情が、たちまち明るくなる。
小野瀬さんが私の耳元で、私にしか聴こえない声で囁いた。
小野瀬
「命令違反だね。……さすが、穂積の部下だ」
明智
「ただし、全ては、現在の継続案件を片付けてからだ。各自さっそく、それぞれの捜査に取り掛かってくれ」
さっきまで声を潜めていた明智さんが、全員を見渡して、声を張った。
明智
「終わるまで、捜査室でファッションショーの話は無しだ。いいな?」
全員
「はい!」
明智さんの言葉に従って、私は極力、ファッションショーの事を考えないようにしながら一日を過ごした。
どうしても、悪い事ばかり考えてしまいそうだったから。
夕方まで如月さんと下着泥棒の証拠固めをして戻って来ると、帰り支度をした明智さんと藤守さんが、通用口から出てくるところだった。
翼
「お疲れ様です」
私と如月さんは、並んで頭を下げた。
如月
「お疲れさまでーす」
こちらに歩いて来ながら、明智さんが軽く手を挙げる。
明智
「お帰り。お前たちがまだだったのに、悪いな」
藤守
「ホンマ、悪いな。これから、明智さんとデートやねーん」
藤守さんが大きな身体を曲げて、明智さんと腕を組んだ。
藤守
「ちなみに、小笠原は小野瀬さんとデートらしいで」
囁く藤守さんはおどけた様子だけど、私たちにはピンと来ていた。
如月
「下調べに行くんですか?」
二人も、苦笑いを隠さない。
藤守
「まぁ、広い意味で、やな」
藤守さんが身体を起こす。
明智
「お前たちと違って、俺たちはファッションショーの知識が皆無だからな。藤守とお勉強だ」
藤守さんを親指で示した明智さんに、藤守さんも肩をすくめた。
藤守
「何しろ、セレブな小笠原はともかく、俺ら、プレタポルテの意味も分からへんレベルや。とりあえずDVDとか雑誌とか見てみよか言う事になってな」
翼
「無理もないですよ。普段着るのとは全く違う服ですもん。私だって、実際にショーの会場に行った事なんて無いですし」
如月
「だよねー。俺も、総務の女の子たちとでも情報交換してみようかな。もう、開催が話題になってるもんね」
明智
「くれぐれも、室長の話はするなよ」
怖い顔をする明智さんに、如月さんは背筋を伸ばして敬礼した。
如月
「了解ですっ」
私たちは笑いあって、そこで解散した。
如月さんは本当にそのまま「直帰するって言っといて」と言い残して総務へ向かってしまったので、私は一人で捜査室に戻った。
そこには室長だけがいて、席から「お帰り」と声を掛けてくれた。