恋心
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上司と部下の距離
~恋心 ・ PSPversion~
~穂積vision~
定時をまわり、明智を皮切りに、それぞれの仕事が終わった者から順に帰り支度を始める。
俺は、書類を書き終えて俺の元に提出に来た櫻井に声をかけた。
穂積
「櫻井」
翼
「はい、何でしょうか?」
穂積
「悪いけど、この後、少し残ってもらえるかしら」
翼
「あ、はい、大丈夫です。けど……何か……?」
今の書類に不備があったか、と思案するような表情。
だが、櫻井はまだ新人でも、事務の能力に問題はない。
俺は、自分の手元の資料をトントンと叩いた。
穂積
「今日中に資料のまとめ直しをしたいから、ちょっと手伝って欲しいの」
櫻井は、明らかにホッとした顔をした。
実に分かりやすい。
翼
「……」
穂積
「じゃ、読み上げるから、それを打ち込んで……」
顔を上げると、目が合った。
翼
「……」
穂積
「?」
何だ、この間は。
俺は静かに立ち上がり、櫻井の顎を掴んで上向かせた。
穂積
「何で、そんなにワタシの顔を見てるの?」
いえ別にそんなことは、などと言いながらも、完全に目が泳いでいる櫻井に向かって、俺は少し凄んでみせた。
穂積
「言わないと、アンタの想像が追っつかないような方法で無理矢理吐かせるわよ。それでもいいの?」
櫻井の顔色が変わった。
翼
「いっ、言います!し、室長は本当に女性に興味がないのかと思いまして!」
……何かと思えばそんな事か。
穂積
「……もう少し気の利いたこと言いなさいよ。それこそ残業の疲れが吹き飛ぶくらい」
俺は完全に拍子抜けしてしまった。
顎をつかんでいた手を離して、椅子に深く座り直す。
穂積
「興味がないと、あんたが何か困るわけ?」
翼
「い、いえ、そういうわけじゃないですけど、そしたら、いったいどういう種類の人のことが好きなのかなと思いまして」
何か頭痛がしてきた。
穂積
「あんたはどうだと思ってるの?」
翼
「マッチョがダメで、女性もダメなら、美少年とか?」
穂積
「てめえ、本気で東京湾に沈むか?!アナゴに食われてみるか?!」
翼
「すみませんでした!」
櫻井は慌てて席へ戻って行く。
つい本気で怒鳴ってしまった。
が。
ふざけんな。
俺が美少年好きでどうする。
櫻井はまだちらちらとこちらを盗み見ているので、もう一度睨みつけてやった。
俺が好きなのはお前だよ。
そう言ってしまえたらどんなに楽か。
たぶんあいつは今、俺が美少年好きで、図星をさされて動揺したと思い込んでいるはず。
俺の気持ちになんか、これっぽっちも気付かずに。
ああ。
こんなガキに片想いしてるなんて、我ながら笑える。
~END~