ワルプルギスの夜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~穂積vision~
藤守の声
「おらあぁあっ!!」
如月の声
「動くな!警察だ!」
懐かしい声を、俺は虚ろな意識の中で聞いた。
部屋の出入口近くにいた男の呻くような声がしたと思ったら、紛れもない如月の声がそれに重なった。
如月
「21:10分、確保!」
その声に続いて、藤守がベッドルームに飛び込んで来た。
痛む頭を動かすと、俺を探す藤守と目が合った。
藤守
「うおおっ!」
途端に藤守が一声吼えて、俺を撫でまわしていた男に掴みかかる。
体当たりで弾き飛ばした男の上に馬乗りになり、藤守は、滅茶苦茶にそいつを殴り始めた。
藤守
「んだらぁっ!」
こんな、逆上した藤守を見るのは初めてだ。
藤守
「この人はな!この人はなぁっ!おどれらみたいな輩が手を出していい相手と違う!それを!それを!!」
相手を殴りながら、藤守は泣いていた。
やめろ。
やめろ、藤守。
撲殺したら庇いきれない。
如月
「藤守さん!」
続いて駆け込んで来た如月が、藤守を突き飛ばすようにして、止めた。
藤守
「どけ如月!」
如月
「藤守さん、それ以上はダメです!それより、こんな奴より、室長を頼みます!」
如月は藤守の腰から無理やり手錠をもぎ取り、さっきまで殴られていた男を捕らえた。
如月
「21:15分、確保!」
残りは二人。
ベッドルームから逃げ出そうとした二人の男は、踏み込んで来た明智と櫻井と、ほとんど出会い頭に衝突した。
すかさず主犯格の男に足払いを掛けた明智はさすがだが、櫻井がニヤけ男の襟を取り、見事な背負い投げを決めた事に俺は目をみはった。
明智
「21:17分!」
翼
「21:18分、確保!」
次々に響き渡る確保の声を聞きながら、俺は、傍らで静かに泣く藤守に視線を戻す。
藤守は俺の服を直し、ジャケットから手錠の鍵を探し出して、俺の戒めを解いてくれていた。
身体を起こしてもらって、猿轡が外され、最後に、足のタオルもほどかれる。
穂積
「ありがとう、藤守」
藤守はただただ泣きながら、俺をきつく抱き締めた。
穂積
「……痛えよ、藤守」
そこでようやく、俺は笑った。