女心は秋の空
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新装開店してから間もない、カフェテリアのテラス席。
少し冷たくなり始めた風を受けながら、私は、交通課時代からの仲良しの女の子たちと一緒に、恒例のランチタイムを楽しんでいた。
そうそう、今回からは、新しい仲間も増えたのよ。
小日向
「デザートはケーキにしようかなー、それともアイスにしようかなー」
翼
「小春ちゃん、私のケーキ、半分あげる」
小日向
「わあ、本当?そしたら、この、2色アイスにする。翼ちゃんに1個あげる」
通信指令センターに異動した後も、私と小日向さんの関係は続いていた。
呼び方も「小春ちゃん」に戻って、前よりももっと仲良く過ごしている。
キャリアで異動慣れしているからなのか、私の仲間たちとも、すぐに馴染んだのはさすがだ。
「ねえ、小春ちゃんは、短い間だったけど、翼と一緒の職場にいたんだよね?翼の彼氏って、誰か知ってる?」
小日向
「翼ちゃんが言わないなら、教えられないな」
「えっ?ていう事は、知ってるんだ!ねえ、どんな人?」
小春ちゃんは私の表情をちらりと確かめてから、例によって、にっこり笑った。
小日向
「素敵な人だよ。でも、そうだな、ちょっとだけ、やきもち妬きかな?」
「えー?翼、ホントー?」
翼
「うん。……でもね、私も、やきもち妬きだから、ちょうどいいのかも」
「え、なんか意外。そうだった?」
私は、噂好きの友だちの耳目を集めながら、「そうだよ」と頷いた。
翼
「だって、やきもちを妬くのって、その人を好きだからでしょ?」
小日向
「きゃー!」
翼
「私には、彼の代わりはいないの」
小日向
「きゃー!もう、みんな、今の聞いた?」
私の言葉に、真っ先に大喜びした小春ちゃんに同調して、周りにいるみんなも、きゃあきゃあと華やいだ歓声を上げてからかってくる。
頬を染めたり、羨ましがったり。かしましくも明るく優しい冷やかしや応援の声が、お昼休みの霞が関の空に響いて消えていく。
私は、祝福してくれるみんなの声に包まれながら、真っ青に澄んだ秋空を見上げて、そこに、大好きな人の笑顔を思い描いていた。
~END~