ワルプルギスの夜
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~shadow vision~
影A
『手に入ったか』
影B
『もちろん』
二人の間にある机の上にゴトリと載せられたのは、翼の携帯。
影B
『出勤して来た時、出入口で擦れ違いざまにバッグから抜き盗った』
影A
『まさか、警視庁の中で、歩いている時に盗まれたとは思わないだろう』
薄暗く狭い部屋の中で交わされている会話は、日本語ではない。
影A
『彼女とHozumiが交際している事に間違いはないな?』
問われた影が、ニヤリと笑う。
影B
『間違いない。庁内では知られていないが、履歴を見れば、この電話で彼女とHozumiが勤務時間外に連絡を取り合っているのは、一目瞭然だ』
返事を聞いた影も、唇の端を吊り上げた。
影A
『では、取引開始といこう』
呟きながら携帯を開き、データフォルダを展開して、また、唇を歪めて笑う。
影はフラップを開いたまま、手にしていた携帯を机の上に置いた。
薄暗い部屋に、携帯の画面だけが光を放つ。
輝く画面の中では、振り返った瞬間を撮影されたらしい穂積泪が、やわらかな笑顔をこちらに向けていた。
影B
『さあ、諸君。Rui Hozumiを、ワルプルギスの夜に招待しようじゃないか』
二つの影の含み笑いに、さらに幾つかの低い笑い声が加わる。
携帯のバックライトが消えるとともに、部屋は闇に包まれた。