『アブナイ☆恋のウェディング・ベル』
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01/24(Fri) 06:23
アブナイ☆恋のウェディング・ベル
小春
小さい頃からの夢は、誰かの役に立つ人になること。
その夢は叶って、私は警察官になった。
もうひとつの夢は、大好きな人のお嫁さんになること。
その夢は、もうすぐ、叶おうとしている。
***
翼
「明智さん、これ、味見してみてくれますか?先週教わった浅漬け、挑戦してみたんです」
そう言いながら私が差し出した小鉢を大きな手で受け取って、まーくんは端正な顔立ちを綻ばせた。
明智
「勉強熱心だな。……いただきます」
微笑みながら、上手に箸を使って漬け物を口に入れる。
明智
「うん、美味い」
翼
「本当?」
良かった!
明智
「ああ。うちの味だ。これなら、いつでも……」
穂積
「いっただきー!」
明智
「うわ!」
まーくんの背後からいきなり割り込んで来たのは、我らが緊急特命捜査室の穂積室長。
穂積
「あら美味しいわ。櫻井、上手に漬けたわねえ」
そう言うと、漬け物をつまみ食いした指を、舌の先でぺろりと舐める。
お行儀は悪いけど、そんな仕草まで絵になるんだから、美男は得だな。
翼
「ありがとうございます。室長に褒めてもらえて嬉しいです」
穂積
「ところで?アンタたちは?いつまで?朝の給湯室で?イチャついてるつもり、なのかしら?」
にっこり笑った室長の放つデコピンが、疑問符のたびに、まーくんと私の額をぴんぴんぴんぴんぴん、と順番に弾いた。
明智
「痛!」
翼
「痛!」
穂積
「結婚秒読みだからって、浮かれてたらシメるわよ!」
翼
「はっ、はいいっ!」
明智
「申し訳ありませんでした!」
一回多くデコピンされたまーくんとともに額を赤くしながら、私は、急いでお茶を入れ、捜査室に戻った。
***
現在、私とまーくんが担当しているのは、とある地域で連続して発生している、不審者案件。
現場は団地が建ち並び、250以上の世帯が集まっているという巨大な住宅地だ。
敷地内には保育園のほかにスポーツセンターや医療センターなどもあって施設は充実しており、住民同士のコミュニティもたくさんある。
テレビでも紹介されるほど住みやすいと評判で、入居待ちが出ているぐらい人気のある集合団地だ。
ところが最近、周辺で、遊んでいる幼児や登下校中の小中学生に声をかける不審者が出没するようになったのだという。
私とまーくんは、その案件を解決するように命じられて、団地にやって来た。
もうすぐ、結婚式。
それまでに、解決しなくちゃ。
私はまーくんの隣で建ち並ぶ団地を見渡しながら、ぎゅっ、と、拳を握り締めて気合いを入れた。
時刻は10時、まずは保育園周辺の聞き込みから始めよう。
***
というところから、スタートです。
もちろんノープランでタリッキー。
さあ、翼ちゃんは、無事にまーくんとウェディング・ベルの音を聞く事が出来るのか?
まーくんは、今度こそ幸せになれるのか?!
それは、続きを考えてくれるあなたしだい!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/24(Fri) 07:23
始まりましたね、リレー(^-^)
ジュン
保育園の周辺にある団地の部屋を一件一件回って情報を集める。
多発している声かけ案件とあって皆、協力的だ。
「黒のジャージを着た男らしいわよ。」、「黒い服の女の人って聞いたわ。」、「黒い帽子の怪しい若い男を見たことがあります。」
情報が錯綜しているのか住民の発言はまちまちだった。
翼
「共通しているのは黒いって所ですね。」
明智
「情報がごちゃごちゃになっているのか、それとも本当に複数いるのか・・・まだ、わからないな。」
有力と言うまでの情報は得られなかったがそろそろ昼御飯の時間だ。
明智
「そろそろ昼御飯を食べよう。午後は学校を回って教師から情報収集だからな。」
翼
「そうですね。約束の時間もあるし早めに食べましょうか。」
早く解決はしたいが焦っても良くない。今後の方針を決めるためにもふたりは近くのカフェに入った。
そこで意外な人物に遭遇する事になるとは。
意外な人物って誰!?それは私にはわからない!
ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/24(Fri) 08:29
ジュンさんさすがの神対応
小春
「おや」
カフェの扉をくぐった途端、二人の視界に入った窓際の席。
そこには、黒いハイネックのシャツに細身の黒いパンツ、それに黒いジャケットを羽織った、黒髪の若い人物が腰掛けていた。
一見しただけでは、男性か女性か区別がつかない。
「これはマルガレーテと、ムッツリさん。こんにちは」
翼
「ジョン・スミス!」
反射的に緊張してしまったのもそのはず。
その人物は、外事課と検察庁が犯罪者である証拠を掴もうと躍起になっている、詐欺師にして怪盗、ジョン・スミスだった。
明智
「全身黒い不審人物だな」
翼
「もうこの人逮捕しちゃいましょうか」
JS
「乱暴だなあ」
文句を言いながらも、表情には余裕がある。
JS
「僕、まだ何もしてませんよ」
翼
「どう見ても場違いなんだけど」
JS
「あのキッチンカーを眺めていただけですよ」
JSはそう言って、窓の外に視線を移した。
明智と翼もつられるように、同じ方向に目を向ける。
団地の建物と建物の間に設けられた芝生のスペースに、なるほど、桜色のキッチンカーが停まっていた。
どうやら、丼に入った食べ物を売っているらしい。
「そば」「うどん」などというのぼりが微風に揺れ、近くに置かれたベンチやテーブル席は満員で、芝生に座って蕎麦をすすっているお年寄りたちもいる。
JS
「『さくら庵』の出張店舗ですよ。あそこに、僕の想い人がいるんです」
翼
「小春ちゃんの事?」
明智
「次回はあっちで食べよう」
流されるまま相席する形になってしまったJSのテーブルに、店員が、明智と翼の分の注文を取りに来た。
適当に頼んで、本題に戻る。
明智
「JS、黒い服装の不審人物を見なかったか?」
JS
「さっき鏡の前にいましたよ」
翼
「それはもう謝るから」
JSは澄ました顔で、皿の上からクラッカーを一枚つまんだ。
JS
「幼稚園児に声をかけている人物なら、見ました」
明智
「そういうのだ」
JS
「保護者だと思いましたよ。……ああ、でも」
翼
「でも?」
JS
「もう一人、黒い女性が、いましたね。ロングスカートでした。幼稚園児の親にしては不自然だな、と思って気になったので覚えてます」
翼
「なるほど、確かにちょっと変かも」
JS
「キッチンカーが来る日には、僕もここに来ます。また、何かあればお知らせしますよ」
テーブルに代金を置いて立ち上がったJSに、明智が急いで礼を言う。
明智
「ありがとう、助かる」
JS
「もうひとつ、お教えしますよ」
立ち去り際に振り返ったJSは、明智の耳元で、囁くように告げた。
JS
「ここの料理はどれも、食べられたものじゃありません」
***
JSと小春登場。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
01/26(Sun) 10:48
まだまだ序盤です
小春
明智
「……東京郊外に『さくらが丘団地』が新設され、居住が開始されたのは5年前。
デザイン性と居住性の高さから人気がクチコミで広がり、初年度からほぼ全棟で満室。
その後も評判は良く、不審者の噂が流れ始めたのはつい最近で、1ヶ月ほど前からだそうです」
穂積
「今日の聞き込みの成果は、噂されている『黒い服装の人物』は単なるデマではなく、どうやら実在する、という事ね」
明智
「はい。……まだ、被害状況の全容も把握出来ませんし、犯人像も不明ではありますが」
室長机を挟んで直立不動で立つ明智を見ながら、穂積は、キイ、と椅子の背もたれを鳴らした。
穂積
「JSがいた事も気になるし」
明智の隣から、翼が小さく手を挙げた。
翼
「あの、私、明智さんと話し合ったんです。JSは確かに不審者ですけど、今回の不審者とは関係無いんじゃないかと」
穂積
「そう思う根拠は?」
穂積はゆっくりと椅子を回す。
翼
「JSは骨董品をターゲットにしています。犯罪のジャンルがまるで違います」
明智
「逆に、穿って考えると、JSはむしろ別の理由があって『さくらが丘団地』に来ているのかもしれません。小春を隠れ蓑にして」
穂積
「一理あるわ」
穂積はひとつ頷いてから、明智に顔を向けた。
穂積
「JSは、何て?」
明智
「はい?」
不意に聞き返されて、明智が、弾かれたように顔を上げた。
穂積
「あいつはいけすかない奴だけど、洞察力はあるわ。会話の中に、何かヒントがあるかもしれない」
明智
「ええと……」
それほど長い会話をしたわけでもない。
明智と翼は、JSとの会話を思い出しながら、穂積の前で再現した。
穂積
「ふうん」
明智
「あいつの言うとおり、カフェの料理は不味かったです」
穂積
「なぜ、不味いのかしら。いつから、不味いのかしら」
明智
「はい?」
穂積
「『さくらが丘団地』は、非常に評判がいいんでしょう?立地の良さ、建物や部屋の使い勝手、住民の雰囲気、周辺施設の充実ぶり」
明智
「はい」
穂積
「そんな中で、住民が集まるだろうカフェの料理が不味いのはおかしいわ」
小笠原
「『さくらが丘団地』の自治会が作っているホームページによると、数件あるカフェは、どれも、特長のあるメニューで人気だ」
横から補足したのは、小笠原だ。
翼が首をかしげる。
翼
「言われてみれば、あのカフェ、お客さんが少なかったですね。ランチメニューもあるのに」
明智
「ホームページの更新に間に合わないほど最近、味が変わったという事か。経営事情か、料理人か……」
穂積
「明日からは、藤守と如月も応援に行かせるわ」
藤守
「はい」
如月
「了解でぇっす」
名指しされた二人が、立ち上がって敬礼する。
内勤は苦手なので、冬でも外に出たいのだ。
穂積
「小笠原は調査報告をまとめて、ワタシに送ってちょうだい」
小笠原
「分かった……です」
小笠原は穂積に睨まれて、おかしな敬語で、答えた。
***
黒いロングスカートの女性、
ジョン・スミス、
そしてカフェの味。
全部謎のまま、ここでパース
ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/27(Mon) 14:01
諦めきれない心
ジュン
翌日は朝早くから現場に直行した4人。明智と翼はカフェについて調べることに、藤守と如月は登校中の小中学生に声をかける人間がいないか目を光らせることになった。
明智と翼が並んで去っていくと藤守はその後ろ姿を見て溜め息をついた。
如月
「藤守さん、また溜め息ついてますよ!」
藤守
「あっ、ああ。すまん。」
それでもまた一つ藤守は溜め息をついた。
如月
「まだ翼ちゃんのこと吹っ切れないんですかぁ?」
如月の言葉に苦笑いを浮かべる藤守。
如月
「翼ちゃんはもうすぐ結婚するんですよ?明智さんと!」
藤守
「わかっとる!そんなんわかってんねん!!けど、そんな急には吹っ切れへんというか・・・」
藤守は翼に淡い恋心を抱いていた。もちろん、明智と付き合っていることにも気づいていたし、婚約したことも知っている。それでも踏ん切りがつかないでいた。
藤守
「アカンなぁ、俺・・・」
落ち込む藤守の背中を叩いて如月が励ます。
如月
「新しい出会いを探しましょうよ!この事件が区切りついたら合コンしましょう?合コン!ねっ、藤守さん。」
藤守
「そうやな。新しい出会いを探さんとな!ありがとうな、如月。気ぃ使わせて悪い。」
笑顔を浮かべて藤守が如月を見る。如月も満面の笑顔を浮かべた。
如月
「じゃあ、お仕事頑張りましょう!」
二人はまた、学生の登校を注意深く見守った。
その頃、明智と翼は昨日のカフェの周辺で聞き込みをしていた。
住民
「そういえば、そこのカフェ1ヶ月くらい前にオーナーが替わったって聞いたわね。」
明智
「1ヶ月前ですか?」
住民にお礼を言って一旦カフェから離れる。
翼
「1ヶ月前からというと不審者情報が上がり始めたくらいと時期が一致しますね。」
明智
「ああ、だがオーナーが替わったことと不審者が繋がるか、まだわからないな。」
二人でいくつかの推論を上げてみるが所詮憶測の域を出ない。
明智
「小笠原に連絡してオーナーについて調べてもらうか。」
明智はスマホを取り出し小笠原に連絡を入れる。その時、翼が黒い帽子をかぶった男に目を止めた。何気なく目で追うとカフェの中に入っていく。
翼
「明智さん!」
明智も気づいたのか翼に首を縦に振って答える。
明智
「しばらく張ってみるか。」
如月と藤守も合流してカフェを1日見張ってはみたがカフェが閉店してもその黒い帽子の男は出てこなかった。
そしてどうなる?思い付かないのでここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/27(Mon) 14:20
ジュンさんナイスフラグです
小春
何も打ち合わせしていないのにこの展開。
ジュンさんありがとう。
そのまま、藤守さんに諦めさせないでください。
読者の皆さまにはもう、私の企みがお分かりですね?
ヒントは『ストロベリー☆パニック』。
さあ来い!(笑)
明智さんも藤守さんも頑張って運命を変えろ!
というわけで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Wed) 09:06
だがまだ明智さんのターンである
小春
穂積
「お疲れ様。……でも、4人で一軒のカフェを何時間も張り込みしていたとは、ちょっと非効率かもね」
結局、何も得られないまま今日も室長机の前に戻ってきた明智以下のメンバーに、報告を聞いた穂積は呆れたように言った。
明智
「申し訳ありません」
穂積
「まだそのオーナーがホシと決まったわけでもないし、人質を取って立てこもったわけでもないし」
明智が大きな身体を竦める。
穂積が溜め息をついた。
穂積
「明智も櫻井も真面目で辛抱強いから張り込みには向いてるけど、融通が利かないのが難点ね……」
藤守
「あの、室長!」
不意に、藤守が手を挙げた。
藤守
「ほな明日は、俺と櫻井を組ませてくれませんか?」
翼
「えっ?」
藤守
「俺、今日張り込んでみて気付いたんですわ。小春のキッチンカーの方角からやったら、あのカフェの出入口を見張れます」
明智
「……あ」
明智は、カフェの窓からキッチンカーがよく見えた事を思い出した。
藤守
「カフェは通学路に面してますし、出張さくら庵は繁盛してて、幅広い年代の住民が大勢来ます。そこで情報収集もすれば、一石二鳥やないかなと思て」
穂積
「明智がそれをしなかったのは、カフェのオーナー、もしくは犯人に、こちらの動きを気付かせないためだったかもしれないわよ?」
藤守
「あ」
こちらから見えると言うことは、あちらからも見えると言うこと……。
藤守
「すんません」
藤守は顔を赤くして、口をつぐんだ。
明智の方がおろおろしている。
「藤守……」
穂積
「まあ、いいわ。藤守の案を採用しましょう」
藤守
「え、こっちの動きを悟られてもええんですか?」
穂積は明智と藤守の顔を順番に見てから、微笑んだ。
穂積
「カフェのオーナーが犯人の一人だったとしたら、アンタたちが聞き込みを開始した時点で警戒し始めているはずよ。それで声かけ事案が抑止されたなら、ひとつの成果だわ」
穂積の口調に、翼が首をかしげた。
翼
「……もしかして、室長は、声かけ事案には犯人が複数いると考えてるんですか?」
穂積は、にっ、と笑った。
穂積
「土曜、日曜にかけて、藤守と櫻井のピュアコンビは、子供たちを中心に聞き込み。どんな言葉をかけられたのか、具体的に内容を調べてくれるかしら」
翼と組める、と聞いて藤守の表情が輝く。
穂積
「そのオーナーが犯人なら、意外と簡単に解決しちゃうかもよ」
翼
「はあ……」
翼の方は、穂積の指示の意味を考えるのに忙しいようだが。
穂積
「明智と如月の脳筋コンビは」
如月
「そのコンビ名はヤダなあ……」
穂積
「小笠原が周辺の防犯カメラ画像を集めて、それらしい黒い人物を絞り込んでいるわ。全員の身元を当たって欲しいの」
如月
「そんなにいるんですか?」
小笠原
「だいぶ絞り込んだんだよ」
明智
「分かりました。……藤守、櫻井を、頼むな」
藤守
「頼まれんでも」
櫻井は俺が守ります、という言葉を、藤守は飲み込んだ。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Wed) 10:16
どっち?
ジュン
ん?これは賢史くんのターンになるのかな?
でも、まだ明智さんがイイオモイしてないし・・・
どっち?
01/29(Wed) 10:24
まだ明智さんのターンです
小春
ジュンさんご明察、まだ明智さんのターンです。
今回のチェンジ条件は「ウェディング・ベル」です。
(我ながらこれはひどいと思う)
ではよろしくお願いします!
パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Wed) 12:52
じれったい思い
ジュン
土曜日、藤守と翼のピュアコンビは実際に声をかけられた子供の自宅を訪ねていた。
気さくな藤守と優しい翼の問いかけに初めは警察と聞いて緊張していた親子も質問に問題なく答えていった。
何件か回り一度情報を整理しようと近くの公園のベンチに座った。
翼
「声をかけられた児童は男女も学年も様々でしたね。」
藤守
「そうやな。声かけの時間も登校中やったり公園で遊んでるときや、塾の帰り。色々やったな。」
どうにもおかしい。これだけバラバラな情報が挙がるとは。
藤守
「室長の言う通り複数いると考えた方がいいな。」
ひとつの場所に複数の不審者が集まっている。その事はとても怖いことだ。無意識に翼は手をぎゅっと握り締めていた。
それに気づいた藤守は無意識に翼の手を握ろうと手を伸ばした。だが、すんでのところで手を引っ込める。
(俺は何しようとしてんのや!櫻井は明智さんの婚約者やぞ!)
頭の中で必死に自分に言い聞かすが、好きな相手を気遣いたいと思う気持ちは自然なものではないだろうか。
藤守
「櫻井、気ぃ張りすぎたらアカンで?」
翼
「は、はい。でも・・・」
藤守は穗積がいつもするように翼の頭をポンポンと撫でた。
藤守
「今のところ被害は出てない。だから安心せぇって訳じゃないけど、被害を出さへんように俺らが不審者を捕まえたらいいだけや。なっ?」
藤守の力強い笑顔に翼もつられて笑顔になった。
翼
「はい、頑張りましょう!藤守さん。」
藤守
「おう!じゃあ、次のお宅に話聞きに行こか。」
じれったい感じが少しでも出てますように(^^;
ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/29(Wed) 16:11
どんどん進むよ
小春
昼休み。
さくらが丘団地の藤守と翼から午前中の聞き込みの成果が報告されると、小笠原はそれに明智と如月が集めてきた情報を加えて、整理する。
小笠原
「室長、ここまでの声かけ事案を分類してみた」
穂積
「上司を呼びつけるんじゃないわよ……」
ぶつぶつ言いながらも、せっかちな穂積はすぐに立ち上がって、小笠原の席へ向かう。
小笠原
「室長の勘が当たってるかも」
穂積
「どれどれ?」
≪事例1、幼稚園児
『かわいいね』
『おなかすいてない?(実際にみかんなどを差し出す場合もある)』
『いっしょにあそぼうか(実際に遊んでもらった幼児もいる)』……
☆幼児がひとりの時に近付いて来ることが多い。
☆怖いと感じた幼児はいない。
☆胸はこのくらい(園児画参照)。
☆黒い服の優しそうな女性。
事例2、小学校低学年
『どんな食べ物が好き?』
『お父さんやお母さんと、外では何をよく食べる?』
『サンドイッチとハンバーガーはどちらが好き?』
☆数人でいる時に声をかけられた児童が多い。
☆メモのようなものを持っていた。
☆何か食べさせようとする。(実際に食べた児童もいる。『ケーキみたいだったけど美味しくなかった』)
☆黒い服の若い男性。
3……≫
穂積
「あっはっはっはっ!」
途中まで読んで、穂積が笑い出した。
穂積
「一人めは、JSが目撃した女のようね。そして二人めは……」
穂積は笑いをおさめると、小笠原の頭を撫でてから、さくらが丘団地にいる明智に電話をかけた。
穂積
「……ああ、明智?アンタ、例のカフェに行って、オーナーの相談に乗ってあげてちょうだい。厨房にこもって、悩んでいるはずだから。……は?意味が分からない?じゃあ、そうねえ。ケーキを作って食べさせてあげてちょうだい」
明智はまだ意味が分からないらしく電話の向こうで何か言っていたが、かまわず穂積は通話を切った。
穂積
「……ああ、藤守?さくらが丘団地には、保育園がふたつあったわよね?声かけされた幼児を、普段通っていない方の保育園に連れていってみてちょうだい。もしかしたら、そこに、黒い服を着た、面倒見の良い女性保育士がいるかもしれないわ」
こちらの通話も言いたいことだけ言って切ると、穂積は、小笠原の報告書の続きに目をやった。
その美貌から、笑顔が消えてゆくのを小笠原が見ている。
穂積
「ここからは、慎重にいかないとね」
***
何人いるんだ。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/30(Thu) 15:44
例の美女登場
小春
翼
「綺麗な女の人でしたね」
藤守
「まあ、せやな。しかし意外やったわ、黒い女の正体は、団地の中にある保育園の理事長やったとはな」
翼
「新任の理事長さんらしいし、保育士さんたちと違って子供たちに接する機会が少ないから、保護者とも面識がなかったのかもしれませんね」
藤守
「しかも、自分の子供が通う園とは違う、もうひとつの保育園の理事長やからな」
翼
「結果として不審者ではなかったですし、良かったです」
翼と話をしながら歩く道は楽しい。
たとえ、仕事の最中だとしても。
藤守
(油断すると、しまらない顔になってしまうな。気をつけんと。明智さんみたいに、きりっと、ぴしっと……)
翼
「あ、ま……明智さん」
いつの間にか、待ち合わせ場所のカフェまで来ていた。
カフェの窓から見える店内に、翼の言う通り、明智の姿がある。
翼の表情が花開くようにほころんで、藤守の胸が、また、ちくりと痛んだ。
しかし……
翼
「……あれ?」
小笠原からの連絡によれば、あのカフェのオーナーは1ヶ月ほど前に経営を引き継いだばかりだという。
ところが、それまでのシェフはなぜか急にやめてしまい、本人は料理の腕がまるで無く、困ってしまった。
そこで、外食の機会が多い小学生の意見を参考にしようと、メモを片手に通学路で声かけをしていたらしいのだが……
穂積の提案で、料理の上手な明智が、アドバイスに来ていたはずなのだが……
翼
「……オーナーは、男の人のはずでは?」
翼の表情が曇る。
それもそのはずで、店内で明智にくっつきそうな勢いで迫っているのは、ピンクのフリルをつけたエプロン姿の、アイドルのような可愛い女性。
藤守
「櫻井、見たらあかん!たぶん、あれや、ほら、な、事情があるんや!」
翼
「明智さん……どうして?」
藤守
「あんなアイドルみたいなんより、櫻井の方が、可愛いで!……あれ?けど……あの子、どっかで見たような……ていうか、テレビでめっちゃ見るような……あ!
『桃井イチゴ』や!」
不審者ではなかったものの、おのほづに会ったら何かに目覚めてしまいそうな保育園理事長。
そして、男の姿でカフェのメニューをリサーチしていた人気アイドル。
続きはタリッキー!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/28(Sat) 00:30
お待たせし過ぎm(_ _)m
小春
居住者たちの満足度の高さからSNSで評判となり、その後、情報番組や雑誌などでも取り上げられて、現在、大人気の『桜ヶ丘団地』。
その敷地内に、まるでケーキのような外観の、可愛らしいカフェが建っている。
店の名前は『イチゴドルチェ&バッナーナ』。
しかし、ビタミンカラーをふんだんに採り入れた内装の明るい雰囲気とは裏腹に、黒いスーツ姿の明智は、冷や汗をかきながら、迫りくる貞操の危機と戦っていた。
明智
「お、オーナー!近くないですか?!もう少し離れてください!」
若い女性のオーナーにすり寄られ、壁に追い詰められながらも、真面目な明智は、相手に触れないように両手を挙げている。
そうして懸命に拒否の姿勢を見せているにも関わらず、相手は全く意に介そうとしない。
桃井イチゴ(カフェのオーナー)
「だって、イチゴ、感動しちゃったんだもん!」
積極的に迫ってくるオーナー、桃井イチゴからは、美味しそうな甘い香りが漂う。
さっき、明智が作って、イチゴに食べさせた、ショートケーキのクリームの香りだ。
イチゴ
「明智さんのケーキ、最高!イチゴ、あんな美味しいケーキ食べたの初めて!」
明智
「スポンジ焼いてクリームでデコレーションしただけの、簡単なケーキですよ!」
イチゴ
「ケーキだけじゃなくて、明智さんも最高!カッコイイのにお料理得意とか、超萌える!」
明智
「お言葉はありがたいですが、燃えないでください!それより、お話をうかがわせてください!」
どうも噛み合わない。
明智としては、穂積からの
「『イチゴドルチェ&バッナーナ』のオーナーに、アンタの作ったケーキを食べさせてみてちょうだい」
という命令に従っただけのつもりなのだ。
ところが、言われた通りにカフェに来て、オーナーであるイチゴに許可を得て厨房と材料を使わせてもらい、ケーキを作って食べさせた途端に、この事態になったのだ。
明智
(参ったな……)
明智は柔道有段者であるし、本気になれば簡単に押し返せるだろう。
だが、有段者だからこそ、こんな小柄で、若くて可憐な女性を相手に、力ずくで応じるのは気が進まない。
なにしろこのオーナーときたら、まるでアイドルのような可愛らしさなのだ。
色白で目が大きく、腕も身体も細くて華奢だし、すんなり伸びた足だって、間違って蹴飛ばしでもすれば、ポキンと折れてしまいそうだ。
11/28(Sat) 00:32
小春
かといって、相手の機嫌を損ねないよう、言葉巧みに説得して、傷付けることなく追い払うなどという、小野瀬のような芸当は明智には出来ない。
明智は途方にくれた。
イチゴ
「イチゴ、お料理は大好きだけど苦手なの!だから、明智さんのケーキを一口食べて、衝撃!」
オーナーの桃井イチゴはそう言いながら、明智にしっかりと抱きついてきた。
イチゴ
「しかも、明智さんてば、超イケメンでイケボでナイスバディで、イチゴ、カンペキに一目惚れしちゃったんだってば~!」
明智
「いけめんでいけぼでないすばでぃ?」
意味がわからない。
とりあえず押し返そうとしたところで、明智は、ふと、違和感を感じた。
動かない。
元・特殊部隊で現役警察官である明智の腕力をもって押しても、びくともしないのだ。
まさか。
明智はぎょっとしながら、イチゴを見つめた。
まさか、このオーナーが、この、少女漫画みたいな見た目に反して、ありえないほどの怪力の持ち主だとは。
イチゴ
「明智さんお願い、結婚して!イチゴ、美味しいケーキやお料理をお客さんに食べてもらいながら、そこのステージで、歌って踊って楽しませるのが夢なの!」
明智
「結婚しません!自分には婚約者が、あ、いや……そもそも、どうしてオーナーが歌って踊るんですか?!ここは、カフェ、でしょう?!」
明智は、生真面目で、几帳面な反面、突然のアドリブや、予想外のアクシデントに弱い。
そして、三つ子の姉たちの影響で、強気な女性の強引な押しにも、めっぽう弱い。
明智の額に浮かぶ汗は演技ではなかった。
明智
「俺は警察官です!そういう事なら、パティシエを雇ってください!」
イチゴ
「最初はいたんだよ、ダンディなシェフと可愛いパティシエが!でもでも、二人とも、イチゴの秘密を教えたら、次の日辞めちゃって!それってひどくない?」
明智
「秘密?何ですか?」
イチゴ
「知りたい?じゃあね、明智さんだから、特別に教えてあげる!イチゴ、実は『オ、ト、コ、ノ、コ』なの♥」
明智
「……は?」
イチゴ
「イチゴ、学生時代は、相撲部だったんだ。だから、明智さんみたいな、腹筋割れてて強そうな男の人、超タイプ!きゃ~☆言っちゃった!でもこれ、芸能界にはナイショだよ?」
明智
「……男?!……相撲部?!……芸能界?!」
混乱を極め、イチゴに抱きつかれたまま立ち尽くす明智。
[削除]
11/28(Sat) 00:38
小春
そこへ、藤守と、翼が入って来た。
藤守
「明智さん、応援に来ましたよ!……って、え?!」
翼
「……明智さん……どうして、女の子と抱き合ってるんですか?」
イチゴ
「誰?」
明智
「つっ……、櫻井!誤解だ!」
拳を握り締める翼と、狼狽える明智とを交互に見比べて、イチゴの目が輝いた。
イチゴ
「…ふぅ~ん?」
翼ちゃんと明智さんの恋、早くもピンチ?
藤守さんは、いつ、ウェディングベルを響かせて自分のターンに持ち込めるの?
そして事件の行方は?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/28(Sat) 08:41
ジュン
イチゴ
「ふ~ん、あなたが…?」
翼
「えっ?」
翼の疑問を余所にイチゴは翼の頭から足までじっくりと見つめた。その間も明智はイチゴを押し返そうとするがイチゴは微動だにしない。抱きつくイチゴの両肩をしっかりと掴む明智は翼や藤守から見るとただならぬ関係のように見えてしまう。
明智
「ち、違う!本当に違うんだ!」
そうは叫ぶが明智自身が状況を整理しきれていない。
明智
(とにかく女だろうが男だろうが相撲部だろうが離れてもらわないと!)
必死でイチゴを剥がそうとしている明智だがイチゴは更にきつく抱きつき明智の胸に顔を埋めた。そして…
イチゴ
「何も違わないよ~?明智さんは私と結婚するんだから。ねっ?」
明智を見上げてイチゴが微笑む。それでもイチゴから離れない明智を見て翼は涙を浮かべている。それを見ていた藤守は翼を庇うように立ち怒りを露にした。
藤守
「明智さん…どういうつもりですか!?こんなん櫻井が!」
可哀想や!と続けようとした所に今までどこにいたのか脳筋コンビの片割れ如月がひょいっと顔を出した。
如月
「あれ?皆どうしたんですか?」
ただならぬ雰囲気の中、藤守やイチゴから口々に語られる状況に如月が笑い出した。
如月
「藤守さん、翼ちゃん、ここのオーナー桃井イチゴちゃんは男の娘ですよ。」
翼・藤守
「えっ???」
事態が飲み込めない2人に如月は更に言う。
如月
「だからイチゴちゃんは正真正銘の男性ってこと。」
如月はニコッと笑って断言した。
何も浮かばない…orzなのでここでパース(><*)ノ⌒〇?
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11/28(Sat) 09:39
ジュン
如月が笑顔で『イチゴは男』だと断言した。しかし、翼と藤守はそれを事実とは受け止められなかった。この目の前にいる華奢な美少女だアイドルである桃井イチゴが男?とても信じられない。この雰囲気を変えようとした如月の冗談では?そんな疑問さえ浮かんだときに
イチゴ
「え~?如月さん気づいてたの~?」
明智から離れはしないもののイチゴは如月を振り返ってそう答えた。
藤守
「えっ?じゃあホンマにイチゴちゃんって男なん?」
イチゴ
「違うよ!イチゴは男の娘なの!」
本人が自分は『オトコノコ』だと言っているのに何が「違う!」のか翼と藤守には理解ができなかったが多分恐らく『女の子』ではないのだろう…。
藤守
「えっ?でも明智さんと結婚って?」
イチゴ
「今は同姓でも結婚できるもん。」
明智
「…確かに世田谷区ま同姓パートナー宣誓の制度がある。」
イチゴが顔をキラキラさせて明智を見上げる。
イチゴ
「なら問題ないよね。」
明智
「いや!問題はある!というか俺はオーナーとは結婚しません!藤守、如月、オーナーを引き離すのを手伝ってくれ!」
明智に言われるがまま藤守と如月はなんとかイチゴを明智から引き離した。さすがのイチゴもこの三人には敵わない。明智はイチゴから離れてホッと息を吐いた。
明智
「つ、櫻井。誤解させてすまなかった。」
頭を下げる明智を翼はまだ混乱した面持ちで見つめた。
イチゴ
「でも如月さんっていつからイチゴが男の娘だって気づいてたの?」
イチゴが首を傾げる横で藤守も不思議そうに如月を見ていた。
如月
「この間、イチゴちゃんのグラビア写真を見た時からだよ。」
藤守
「この間って俺と一緒に見た雑誌か?」
今度は藤守が首を傾げる。確かにイチゴの水着グラビアを見た。けれど自分には普通の女の子に見えたのだ。
如月
「あの水着グラビアの写真の胸元を見た時にピンっときたんだ。」
如月は少し得意気に笑んだ。
如月
「ところでイチゴちゃん?どうして男の格好で子供に声を掛けてたの?メモを取りながら子供に声掛けてたのってイチゴちゃんでしょ?」
確かにメモを取りながら声掛けをした男性がいたはず。あまり美味しくない物を食べさせられた子供もいたはずだ。
イチゴ
「だって~、この格好で聞いたらすぐにアイドルのイチゴってバレちゃうし、アイドルのイチゴはお菓子作りが趣味ってなってるの。作るのは好きなんだけど美味しくないってイメージダウンになっちゃったら困るし~。」
カフェの男性オーナーが市場調査(?)のために声かけをしていた。というのは間違いなかったようだ。一応不審者と間違われるので気を付けるよう注意を促し4人はカフェを後にした。翼の心に少しの陰を落としたまま…。
さて、どーなる?ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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11/28(Sat) 11:56
ウェディングベルが鳴りますよ
小春
閑古鳥の鳴いていた『ドルチェ&バッナーナ』を後にした明智、藤守、如月、翼の4人は、今日も団地の中庭にワゴン車を停めて営業していた『出張さくら庵』に立ち寄っていた。
如月だけが元気で、
「小春ちゃん、おにぎりセット4人前ね!唐揚げ付けて!」
と、メニューにない品物を大きな声で注文している。
もっとも、注文を受ける側の小春も「おにぎりセット、唐揚げ付きで4人前ですね!」と返しているから、多分、作れるのだろう。
一方で、明智は疲れた顔のまままだ情報を整理している様子。
翼はその明智を心配そうに見つめ、その翼を、藤守が心配そうに見つめていた。
芝生の上に点々と置かれた屋外用のテーブルセットは満席で、イチゴの店とは対照的に、この中庭は、賑やかな声で溢れていた。
ところが。
「えっ?!」
突然、藤守の近くの席から、驚いたような声が上がった。
「どないしたん?」
反射的に、藤守が声の方を振り返る。
そこにいたのは、子連れの若い夫婦。
子供がまだ幼稚園のランドセルを背負っているところを見ると、お迎えに行ってきた帰りで、帰宅前に一休みという感じか……
だが、観察もそこまでだった。
「あ!いえ、すみません驚かせてしまって。実は、今、ネットニュースを見てたら、イチゴちゃんが……!」
そう言うと、若い夫はスマホからイヤホンを抜いて、藤守に画面を向けた。
≪…のグラビアでブレイクし、今や国民的なアイドルとなっている桃井イチゴさんについて、『結婚を意識している男性が現れた』という情報が、つい先程SNSに流れ、話題になっています。
このスクープを発信したのはイチゴさんに近い人物とみられますが、愛されタレントのイチゴさんだけに、SNS上では、早くも、祝福のメッセージが多数、寄せられているとのことです。
今後の展開が気になるところですが、ここは慌てず騒がず、イチゴさんの恋が成就するまで、温かく見守ってあげたいものですね≫
そして、そのアナウンサーの言葉が終わるタイミングに合わせて、演出の効果音らしいウェディング・ベルが、高らかに響き渡ったのだった……
明智さーん!
というところで、
パース(><*)ノ⌒〇←(気に入ったらしい)
アブナイ☆恋のウェディング・ベル
小春
小さい頃からの夢は、誰かの役に立つ人になること。
その夢は叶って、私は警察官になった。
もうひとつの夢は、大好きな人のお嫁さんになること。
その夢は、もうすぐ、叶おうとしている。
***
翼
「明智さん、これ、味見してみてくれますか?先週教わった浅漬け、挑戦してみたんです」
そう言いながら私が差し出した小鉢を大きな手で受け取って、まーくんは端正な顔立ちを綻ばせた。
明智
「勉強熱心だな。……いただきます」
微笑みながら、上手に箸を使って漬け物を口に入れる。
明智
「うん、美味い」
翼
「本当?」
良かった!
明智
「ああ。うちの味だ。これなら、いつでも……」
穂積
「いっただきー!」
明智
「うわ!」
まーくんの背後からいきなり割り込んで来たのは、我らが緊急特命捜査室の穂積室長。
穂積
「あら美味しいわ。櫻井、上手に漬けたわねえ」
そう言うと、漬け物をつまみ食いした指を、舌の先でぺろりと舐める。
お行儀は悪いけど、そんな仕草まで絵になるんだから、美男は得だな。
翼
「ありがとうございます。室長に褒めてもらえて嬉しいです」
穂積
「ところで?アンタたちは?いつまで?朝の給湯室で?イチャついてるつもり、なのかしら?」
にっこり笑った室長の放つデコピンが、疑問符のたびに、まーくんと私の額をぴんぴんぴんぴんぴん、と順番に弾いた。
明智
「痛!」
翼
「痛!」
穂積
「結婚秒読みだからって、浮かれてたらシメるわよ!」
翼
「はっ、はいいっ!」
明智
「申し訳ありませんでした!」
一回多くデコピンされたまーくんとともに額を赤くしながら、私は、急いでお茶を入れ、捜査室に戻った。
***
現在、私とまーくんが担当しているのは、とある地域で連続して発生している、不審者案件。
現場は団地が建ち並び、250以上の世帯が集まっているという巨大な住宅地だ。
敷地内には保育園のほかにスポーツセンターや医療センターなどもあって施設は充実しており、住民同士のコミュニティもたくさんある。
テレビでも紹介されるほど住みやすいと評判で、入居待ちが出ているぐらい人気のある集合団地だ。
ところが最近、周辺で、遊んでいる幼児や登下校中の小中学生に声をかける不審者が出没するようになったのだという。
私とまーくんは、その案件を解決するように命じられて、団地にやって来た。
もうすぐ、結婚式。
それまでに、解決しなくちゃ。
私はまーくんの隣で建ち並ぶ団地を見渡しながら、ぎゅっ、と、拳を握り締めて気合いを入れた。
時刻は10時、まずは保育園周辺の聞き込みから始めよう。
***
というところから、スタートです。
もちろんノープランでタリッキー。
さあ、翼ちゃんは、無事にまーくんとウェディング・ベルの音を聞く事が出来るのか?
まーくんは、今度こそ幸せになれるのか?!
それは、続きを考えてくれるあなたしだい!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/24(Fri) 07:23
始まりましたね、リレー(^-^)
ジュン
保育園の周辺にある団地の部屋を一件一件回って情報を集める。
多発している声かけ案件とあって皆、協力的だ。
「黒のジャージを着た男らしいわよ。」、「黒い服の女の人って聞いたわ。」、「黒い帽子の怪しい若い男を見たことがあります。」
情報が錯綜しているのか住民の発言はまちまちだった。
翼
「共通しているのは黒いって所ですね。」
明智
「情報がごちゃごちゃになっているのか、それとも本当に複数いるのか・・・まだ、わからないな。」
有力と言うまでの情報は得られなかったがそろそろ昼御飯の時間だ。
明智
「そろそろ昼御飯を食べよう。午後は学校を回って教師から情報収集だからな。」
翼
「そうですね。約束の時間もあるし早めに食べましょうか。」
早く解決はしたいが焦っても良くない。今後の方針を決めるためにもふたりは近くのカフェに入った。
そこで意外な人物に遭遇する事になるとは。
意外な人物って誰!?それは私にはわからない!
ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/24(Fri) 08:29
ジュンさんさすがの神対応
小春
「おや」
カフェの扉をくぐった途端、二人の視界に入った窓際の席。
そこには、黒いハイネックのシャツに細身の黒いパンツ、それに黒いジャケットを羽織った、黒髪の若い人物が腰掛けていた。
一見しただけでは、男性か女性か区別がつかない。
「これはマルガレーテと、ムッツリさん。こんにちは」
翼
「ジョン・スミス!」
反射的に緊張してしまったのもそのはず。
その人物は、外事課と検察庁が犯罪者である証拠を掴もうと躍起になっている、詐欺師にして怪盗、ジョン・スミスだった。
明智
「全身黒い不審人物だな」
翼
「もうこの人逮捕しちゃいましょうか」
JS
「乱暴だなあ」
文句を言いながらも、表情には余裕がある。
JS
「僕、まだ何もしてませんよ」
翼
「どう見ても場違いなんだけど」
JS
「あのキッチンカーを眺めていただけですよ」
JSはそう言って、窓の外に視線を移した。
明智と翼もつられるように、同じ方向に目を向ける。
団地の建物と建物の間に設けられた芝生のスペースに、なるほど、桜色のキッチンカーが停まっていた。
どうやら、丼に入った食べ物を売っているらしい。
「そば」「うどん」などというのぼりが微風に揺れ、近くに置かれたベンチやテーブル席は満員で、芝生に座って蕎麦をすすっているお年寄りたちもいる。
JS
「『さくら庵』の出張店舗ですよ。あそこに、僕の想い人がいるんです」
翼
「小春ちゃんの事?」
明智
「次回はあっちで食べよう」
流されるまま相席する形になってしまったJSのテーブルに、店員が、明智と翼の分の注文を取りに来た。
適当に頼んで、本題に戻る。
明智
「JS、黒い服装の不審人物を見なかったか?」
JS
「さっき鏡の前にいましたよ」
翼
「それはもう謝るから」
JSは澄ました顔で、皿の上からクラッカーを一枚つまんだ。
JS
「幼稚園児に声をかけている人物なら、見ました」
明智
「そういうのだ」
JS
「保護者だと思いましたよ。……ああ、でも」
翼
「でも?」
JS
「もう一人、黒い女性が、いましたね。ロングスカートでした。幼稚園児の親にしては不自然だな、と思って気になったので覚えてます」
翼
「なるほど、確かにちょっと変かも」
JS
「キッチンカーが来る日には、僕もここに来ます。また、何かあればお知らせしますよ」
テーブルに代金を置いて立ち上がったJSに、明智が急いで礼を言う。
明智
「ありがとう、助かる」
JS
「もうひとつ、お教えしますよ」
立ち去り際に振り返ったJSは、明智の耳元で、囁くように告げた。
JS
「ここの料理はどれも、食べられたものじゃありません」
***
JSと小春登場。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
01/26(Sun) 10:48
まだまだ序盤です
小春
明智
「……東京郊外に『さくらが丘団地』が新設され、居住が開始されたのは5年前。
デザイン性と居住性の高さから人気がクチコミで広がり、初年度からほぼ全棟で満室。
その後も評判は良く、不審者の噂が流れ始めたのはつい最近で、1ヶ月ほど前からだそうです」
穂積
「今日の聞き込みの成果は、噂されている『黒い服装の人物』は単なるデマではなく、どうやら実在する、という事ね」
明智
「はい。……まだ、被害状況の全容も把握出来ませんし、犯人像も不明ではありますが」
室長机を挟んで直立不動で立つ明智を見ながら、穂積は、キイ、と椅子の背もたれを鳴らした。
穂積
「JSがいた事も気になるし」
明智の隣から、翼が小さく手を挙げた。
翼
「あの、私、明智さんと話し合ったんです。JSは確かに不審者ですけど、今回の不審者とは関係無いんじゃないかと」
穂積
「そう思う根拠は?」
穂積はゆっくりと椅子を回す。
翼
「JSは骨董品をターゲットにしています。犯罪のジャンルがまるで違います」
明智
「逆に、穿って考えると、JSはむしろ別の理由があって『さくらが丘団地』に来ているのかもしれません。小春を隠れ蓑にして」
穂積
「一理あるわ」
穂積はひとつ頷いてから、明智に顔を向けた。
穂積
「JSは、何て?」
明智
「はい?」
不意に聞き返されて、明智が、弾かれたように顔を上げた。
穂積
「あいつはいけすかない奴だけど、洞察力はあるわ。会話の中に、何かヒントがあるかもしれない」
明智
「ええと……」
それほど長い会話をしたわけでもない。
明智と翼は、JSとの会話を思い出しながら、穂積の前で再現した。
穂積
「ふうん」
明智
「あいつの言うとおり、カフェの料理は不味かったです」
穂積
「なぜ、不味いのかしら。いつから、不味いのかしら」
明智
「はい?」
穂積
「『さくらが丘団地』は、非常に評判がいいんでしょう?立地の良さ、建物や部屋の使い勝手、住民の雰囲気、周辺施設の充実ぶり」
明智
「はい」
穂積
「そんな中で、住民が集まるだろうカフェの料理が不味いのはおかしいわ」
小笠原
「『さくらが丘団地』の自治会が作っているホームページによると、数件あるカフェは、どれも、特長のあるメニューで人気だ」
横から補足したのは、小笠原だ。
翼が首をかしげる。
翼
「言われてみれば、あのカフェ、お客さんが少なかったですね。ランチメニューもあるのに」
明智
「ホームページの更新に間に合わないほど最近、味が変わったという事か。経営事情か、料理人か……」
穂積
「明日からは、藤守と如月も応援に行かせるわ」
藤守
「はい」
如月
「了解でぇっす」
名指しされた二人が、立ち上がって敬礼する。
内勤は苦手なので、冬でも外に出たいのだ。
穂積
「小笠原は調査報告をまとめて、ワタシに送ってちょうだい」
小笠原
「分かった……です」
小笠原は穂積に睨まれて、おかしな敬語で、答えた。
***
黒いロングスカートの女性、
ジョン・スミス、
そしてカフェの味。
全部謎のまま、ここでパース
ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/27(Mon) 14:01
諦めきれない心
ジュン
翌日は朝早くから現場に直行した4人。明智と翼はカフェについて調べることに、藤守と如月は登校中の小中学生に声をかける人間がいないか目を光らせることになった。
明智と翼が並んで去っていくと藤守はその後ろ姿を見て溜め息をついた。
如月
「藤守さん、また溜め息ついてますよ!」
藤守
「あっ、ああ。すまん。」
それでもまた一つ藤守は溜め息をついた。
如月
「まだ翼ちゃんのこと吹っ切れないんですかぁ?」
如月の言葉に苦笑いを浮かべる藤守。
如月
「翼ちゃんはもうすぐ結婚するんですよ?明智さんと!」
藤守
「わかっとる!そんなんわかってんねん!!けど、そんな急には吹っ切れへんというか・・・」
藤守は翼に淡い恋心を抱いていた。もちろん、明智と付き合っていることにも気づいていたし、婚約したことも知っている。それでも踏ん切りがつかないでいた。
藤守
「アカンなぁ、俺・・・」
落ち込む藤守の背中を叩いて如月が励ます。
如月
「新しい出会いを探しましょうよ!この事件が区切りついたら合コンしましょう?合コン!ねっ、藤守さん。」
藤守
「そうやな。新しい出会いを探さんとな!ありがとうな、如月。気ぃ使わせて悪い。」
笑顔を浮かべて藤守が如月を見る。如月も満面の笑顔を浮かべた。
如月
「じゃあ、お仕事頑張りましょう!」
二人はまた、学生の登校を注意深く見守った。
その頃、明智と翼は昨日のカフェの周辺で聞き込みをしていた。
住民
「そういえば、そこのカフェ1ヶ月くらい前にオーナーが替わったって聞いたわね。」
明智
「1ヶ月前ですか?」
住民にお礼を言って一旦カフェから離れる。
翼
「1ヶ月前からというと不審者情報が上がり始めたくらいと時期が一致しますね。」
明智
「ああ、だがオーナーが替わったことと不審者が繋がるか、まだわからないな。」
二人でいくつかの推論を上げてみるが所詮憶測の域を出ない。
明智
「小笠原に連絡してオーナーについて調べてもらうか。」
明智はスマホを取り出し小笠原に連絡を入れる。その時、翼が黒い帽子をかぶった男に目を止めた。何気なく目で追うとカフェの中に入っていく。
翼
「明智さん!」
明智も気づいたのか翼に首を縦に振って答える。
明智
「しばらく張ってみるか。」
如月と藤守も合流してカフェを1日見張ってはみたがカフェが閉店してもその黒い帽子の男は出てこなかった。
そしてどうなる?思い付かないのでここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/27(Mon) 14:20
ジュンさんナイスフラグです
小春
何も打ち合わせしていないのにこの展開。
ジュンさんありがとう。
そのまま、藤守さんに諦めさせないでください。
読者の皆さまにはもう、私の企みがお分かりですね?
ヒントは『ストロベリー☆パニック』。
さあ来い!(笑)
明智さんも藤守さんも頑張って運命を変えろ!
というわけで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Wed) 09:06
だがまだ明智さんのターンである
小春
穂積
「お疲れ様。……でも、4人で一軒のカフェを何時間も張り込みしていたとは、ちょっと非効率かもね」
結局、何も得られないまま今日も室長机の前に戻ってきた明智以下のメンバーに、報告を聞いた穂積は呆れたように言った。
明智
「申し訳ありません」
穂積
「まだそのオーナーがホシと決まったわけでもないし、人質を取って立てこもったわけでもないし」
明智が大きな身体を竦める。
穂積が溜め息をついた。
穂積
「明智も櫻井も真面目で辛抱強いから張り込みには向いてるけど、融通が利かないのが難点ね……」
藤守
「あの、室長!」
不意に、藤守が手を挙げた。
藤守
「ほな明日は、俺と櫻井を組ませてくれませんか?」
翼
「えっ?」
藤守
「俺、今日張り込んでみて気付いたんですわ。小春のキッチンカーの方角からやったら、あのカフェの出入口を見張れます」
明智
「……あ」
明智は、カフェの窓からキッチンカーがよく見えた事を思い出した。
藤守
「カフェは通学路に面してますし、出張さくら庵は繁盛してて、幅広い年代の住民が大勢来ます。そこで情報収集もすれば、一石二鳥やないかなと思て」
穂積
「明智がそれをしなかったのは、カフェのオーナー、もしくは犯人に、こちらの動きを気付かせないためだったかもしれないわよ?」
藤守
「あ」
こちらから見えると言うことは、あちらからも見えると言うこと……。
藤守
「すんません」
藤守は顔を赤くして、口をつぐんだ。
明智の方がおろおろしている。
「藤守……」
穂積
「まあ、いいわ。藤守の案を採用しましょう」
藤守
「え、こっちの動きを悟られてもええんですか?」
穂積は明智と藤守の顔を順番に見てから、微笑んだ。
穂積
「カフェのオーナーが犯人の一人だったとしたら、アンタたちが聞き込みを開始した時点で警戒し始めているはずよ。それで声かけ事案が抑止されたなら、ひとつの成果だわ」
穂積の口調に、翼が首をかしげた。
翼
「……もしかして、室長は、声かけ事案には犯人が複数いると考えてるんですか?」
穂積は、にっ、と笑った。
穂積
「土曜、日曜にかけて、藤守と櫻井のピュアコンビは、子供たちを中心に聞き込み。どんな言葉をかけられたのか、具体的に内容を調べてくれるかしら」
翼と組める、と聞いて藤守の表情が輝く。
穂積
「そのオーナーが犯人なら、意外と簡単に解決しちゃうかもよ」
翼
「はあ……」
翼の方は、穂積の指示の意味を考えるのに忙しいようだが。
穂積
「明智と如月の脳筋コンビは」
如月
「そのコンビ名はヤダなあ……」
穂積
「小笠原が周辺の防犯カメラ画像を集めて、それらしい黒い人物を絞り込んでいるわ。全員の身元を当たって欲しいの」
如月
「そんなにいるんですか?」
小笠原
「だいぶ絞り込んだんだよ」
明智
「分かりました。……藤守、櫻井を、頼むな」
藤守
「頼まれんでも」
櫻井は俺が守ります、という言葉を、藤守は飲み込んだ。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Wed) 10:16
どっち?
ジュン
ん?これは賢史くんのターンになるのかな?
でも、まだ明智さんがイイオモイしてないし・・・
どっち?
01/29(Wed) 10:24
まだ明智さんのターンです
小春
ジュンさんご明察、まだ明智さんのターンです。
今回のチェンジ条件は「ウェディング・ベル」です。
(我ながらこれはひどいと思う)
ではよろしくお願いします!
パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Wed) 12:52
じれったい思い
ジュン
土曜日、藤守と翼のピュアコンビは実際に声をかけられた子供の自宅を訪ねていた。
気さくな藤守と優しい翼の問いかけに初めは警察と聞いて緊張していた親子も質問に問題なく答えていった。
何件か回り一度情報を整理しようと近くの公園のベンチに座った。
翼
「声をかけられた児童は男女も学年も様々でしたね。」
藤守
「そうやな。声かけの時間も登校中やったり公園で遊んでるときや、塾の帰り。色々やったな。」
どうにもおかしい。これだけバラバラな情報が挙がるとは。
藤守
「室長の言う通り複数いると考えた方がいいな。」
ひとつの場所に複数の不審者が集まっている。その事はとても怖いことだ。無意識に翼は手をぎゅっと握り締めていた。
それに気づいた藤守は無意識に翼の手を握ろうと手を伸ばした。だが、すんでのところで手を引っ込める。
(俺は何しようとしてんのや!櫻井は明智さんの婚約者やぞ!)
頭の中で必死に自分に言い聞かすが、好きな相手を気遣いたいと思う気持ちは自然なものではないだろうか。
藤守
「櫻井、気ぃ張りすぎたらアカンで?」
翼
「は、はい。でも・・・」
藤守は穗積がいつもするように翼の頭をポンポンと撫でた。
藤守
「今のところ被害は出てない。だから安心せぇって訳じゃないけど、被害を出さへんように俺らが不審者を捕まえたらいいだけや。なっ?」
藤守の力強い笑顔に翼もつられて笑顔になった。
翼
「はい、頑張りましょう!藤守さん。」
藤守
「おう!じゃあ、次のお宅に話聞きに行こか。」
じれったい感じが少しでも出てますように(^^;
ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/29(Wed) 16:11
どんどん進むよ
小春
昼休み。
さくらが丘団地の藤守と翼から午前中の聞き込みの成果が報告されると、小笠原はそれに明智と如月が集めてきた情報を加えて、整理する。
小笠原
「室長、ここまでの声かけ事案を分類してみた」
穂積
「上司を呼びつけるんじゃないわよ……」
ぶつぶつ言いながらも、せっかちな穂積はすぐに立ち上がって、小笠原の席へ向かう。
小笠原
「室長の勘が当たってるかも」
穂積
「どれどれ?」
≪事例1、幼稚園児
『かわいいね』
『おなかすいてない?(実際にみかんなどを差し出す場合もある)』
『いっしょにあそぼうか(実際に遊んでもらった幼児もいる)』……
☆幼児がひとりの時に近付いて来ることが多い。
☆怖いと感じた幼児はいない。
☆胸はこのくらい(園児画参照)。
☆黒い服の優しそうな女性。
事例2、小学校低学年
『どんな食べ物が好き?』
『お父さんやお母さんと、外では何をよく食べる?』
『サンドイッチとハンバーガーはどちらが好き?』
☆数人でいる時に声をかけられた児童が多い。
☆メモのようなものを持っていた。
☆何か食べさせようとする。(実際に食べた児童もいる。『ケーキみたいだったけど美味しくなかった』)
☆黒い服の若い男性。
3……≫
穂積
「あっはっはっはっ!」
途中まで読んで、穂積が笑い出した。
穂積
「一人めは、JSが目撃した女のようね。そして二人めは……」
穂積は笑いをおさめると、小笠原の頭を撫でてから、さくらが丘団地にいる明智に電話をかけた。
穂積
「……ああ、明智?アンタ、例のカフェに行って、オーナーの相談に乗ってあげてちょうだい。厨房にこもって、悩んでいるはずだから。……は?意味が分からない?じゃあ、そうねえ。ケーキを作って食べさせてあげてちょうだい」
明智はまだ意味が分からないらしく電話の向こうで何か言っていたが、かまわず穂積は通話を切った。
穂積
「……ああ、藤守?さくらが丘団地には、保育園がふたつあったわよね?声かけされた幼児を、普段通っていない方の保育園に連れていってみてちょうだい。もしかしたら、そこに、黒い服を着た、面倒見の良い女性保育士がいるかもしれないわ」
こちらの通話も言いたいことだけ言って切ると、穂積は、小笠原の報告書の続きに目をやった。
その美貌から、笑顔が消えてゆくのを小笠原が見ている。
穂積
「ここからは、慎重にいかないとね」
***
何人いるんだ。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/30(Thu) 15:44
例の美女登場
小春
翼
「綺麗な女の人でしたね」
藤守
「まあ、せやな。しかし意外やったわ、黒い女の正体は、団地の中にある保育園の理事長やったとはな」
翼
「新任の理事長さんらしいし、保育士さんたちと違って子供たちに接する機会が少ないから、保護者とも面識がなかったのかもしれませんね」
藤守
「しかも、自分の子供が通う園とは違う、もうひとつの保育園の理事長やからな」
翼
「結果として不審者ではなかったですし、良かったです」
翼と話をしながら歩く道は楽しい。
たとえ、仕事の最中だとしても。
藤守
(油断すると、しまらない顔になってしまうな。気をつけんと。明智さんみたいに、きりっと、ぴしっと……)
翼
「あ、ま……明智さん」
いつの間にか、待ち合わせ場所のカフェまで来ていた。
カフェの窓から見える店内に、翼の言う通り、明智の姿がある。
翼の表情が花開くようにほころんで、藤守の胸が、また、ちくりと痛んだ。
しかし……
翼
「……あれ?」
小笠原からの連絡によれば、あのカフェのオーナーは1ヶ月ほど前に経営を引き継いだばかりだという。
ところが、それまでのシェフはなぜか急にやめてしまい、本人は料理の腕がまるで無く、困ってしまった。
そこで、外食の機会が多い小学生の意見を参考にしようと、メモを片手に通学路で声かけをしていたらしいのだが……
穂積の提案で、料理の上手な明智が、アドバイスに来ていたはずなのだが……
翼
「……オーナーは、男の人のはずでは?」
翼の表情が曇る。
それもそのはずで、店内で明智にくっつきそうな勢いで迫っているのは、ピンクのフリルをつけたエプロン姿の、アイドルのような可愛い女性。
藤守
「櫻井、見たらあかん!たぶん、あれや、ほら、な、事情があるんや!」
翼
「明智さん……どうして?」
藤守
「あんなアイドルみたいなんより、櫻井の方が、可愛いで!……あれ?けど……あの子、どっかで見たような……ていうか、テレビでめっちゃ見るような……あ!
『桃井イチゴ』や!」
不審者ではなかったものの、おのほづに会ったら何かに目覚めてしまいそうな保育園理事長。
そして、男の姿でカフェのメニューをリサーチしていた人気アイドル。
続きはタリッキー!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/28(Sat) 00:30
お待たせし過ぎm(_ _)m
小春
居住者たちの満足度の高さからSNSで評判となり、その後、情報番組や雑誌などでも取り上げられて、現在、大人気の『桜ヶ丘団地』。
その敷地内に、まるでケーキのような外観の、可愛らしいカフェが建っている。
店の名前は『イチゴドルチェ&バッナーナ』。
しかし、ビタミンカラーをふんだんに採り入れた内装の明るい雰囲気とは裏腹に、黒いスーツ姿の明智は、冷や汗をかきながら、迫りくる貞操の危機と戦っていた。
明智
「お、オーナー!近くないですか?!もう少し離れてください!」
若い女性のオーナーにすり寄られ、壁に追い詰められながらも、真面目な明智は、相手に触れないように両手を挙げている。
そうして懸命に拒否の姿勢を見せているにも関わらず、相手は全く意に介そうとしない。
桃井イチゴ(カフェのオーナー)
「だって、イチゴ、感動しちゃったんだもん!」
積極的に迫ってくるオーナー、桃井イチゴからは、美味しそうな甘い香りが漂う。
さっき、明智が作って、イチゴに食べさせた、ショートケーキのクリームの香りだ。
イチゴ
「明智さんのケーキ、最高!イチゴ、あんな美味しいケーキ食べたの初めて!」
明智
「スポンジ焼いてクリームでデコレーションしただけの、簡単なケーキですよ!」
イチゴ
「ケーキだけじゃなくて、明智さんも最高!カッコイイのにお料理得意とか、超萌える!」
明智
「お言葉はありがたいですが、燃えないでください!それより、お話をうかがわせてください!」
どうも噛み合わない。
明智としては、穂積からの
「『イチゴドルチェ&バッナーナ』のオーナーに、アンタの作ったケーキを食べさせてみてちょうだい」
という命令に従っただけのつもりなのだ。
ところが、言われた通りにカフェに来て、オーナーであるイチゴに許可を得て厨房と材料を使わせてもらい、ケーキを作って食べさせた途端に、この事態になったのだ。
明智
(参ったな……)
明智は柔道有段者であるし、本気になれば簡単に押し返せるだろう。
だが、有段者だからこそ、こんな小柄で、若くて可憐な女性を相手に、力ずくで応じるのは気が進まない。
なにしろこのオーナーときたら、まるでアイドルのような可愛らしさなのだ。
色白で目が大きく、腕も身体も細くて華奢だし、すんなり伸びた足だって、間違って蹴飛ばしでもすれば、ポキンと折れてしまいそうだ。
11/28(Sat) 00:32
小春
かといって、相手の機嫌を損ねないよう、言葉巧みに説得して、傷付けることなく追い払うなどという、小野瀬のような芸当は明智には出来ない。
明智は途方にくれた。
イチゴ
「イチゴ、お料理は大好きだけど苦手なの!だから、明智さんのケーキを一口食べて、衝撃!」
オーナーの桃井イチゴはそう言いながら、明智にしっかりと抱きついてきた。
イチゴ
「しかも、明智さんてば、超イケメンでイケボでナイスバディで、イチゴ、カンペキに一目惚れしちゃったんだってば~!」
明智
「いけめんでいけぼでないすばでぃ?」
意味がわからない。
とりあえず押し返そうとしたところで、明智は、ふと、違和感を感じた。
動かない。
元・特殊部隊で現役警察官である明智の腕力をもって押しても、びくともしないのだ。
まさか。
明智はぎょっとしながら、イチゴを見つめた。
まさか、このオーナーが、この、少女漫画みたいな見た目に反して、ありえないほどの怪力の持ち主だとは。
イチゴ
「明智さんお願い、結婚して!イチゴ、美味しいケーキやお料理をお客さんに食べてもらいながら、そこのステージで、歌って踊って楽しませるのが夢なの!」
明智
「結婚しません!自分には婚約者が、あ、いや……そもそも、どうしてオーナーが歌って踊るんですか?!ここは、カフェ、でしょう?!」
明智は、生真面目で、几帳面な反面、突然のアドリブや、予想外のアクシデントに弱い。
そして、三つ子の姉たちの影響で、強気な女性の強引な押しにも、めっぽう弱い。
明智の額に浮かぶ汗は演技ではなかった。
明智
「俺は警察官です!そういう事なら、パティシエを雇ってください!」
イチゴ
「最初はいたんだよ、ダンディなシェフと可愛いパティシエが!でもでも、二人とも、イチゴの秘密を教えたら、次の日辞めちゃって!それってひどくない?」
明智
「秘密?何ですか?」
イチゴ
「知りたい?じゃあね、明智さんだから、特別に教えてあげる!イチゴ、実は『オ、ト、コ、ノ、コ』なの♥」
明智
「……は?」
イチゴ
「イチゴ、学生時代は、相撲部だったんだ。だから、明智さんみたいな、腹筋割れてて強そうな男の人、超タイプ!きゃ~☆言っちゃった!でもこれ、芸能界にはナイショだよ?」
明智
「……男?!……相撲部?!……芸能界?!」
混乱を極め、イチゴに抱きつかれたまま立ち尽くす明智。
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11/28(Sat) 00:38
小春
そこへ、藤守と、翼が入って来た。
藤守
「明智さん、応援に来ましたよ!……って、え?!」
翼
「……明智さん……どうして、女の子と抱き合ってるんですか?」
イチゴ
「誰?」
明智
「つっ……、櫻井!誤解だ!」
拳を握り締める翼と、狼狽える明智とを交互に見比べて、イチゴの目が輝いた。
イチゴ
「…ふぅ~ん?」
翼ちゃんと明智さんの恋、早くもピンチ?
藤守さんは、いつ、ウェディングベルを響かせて自分のターンに持ち込めるの?
そして事件の行方は?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/28(Sat) 08:41
ジュン
イチゴ
「ふ~ん、あなたが…?」
翼
「えっ?」
翼の疑問を余所にイチゴは翼の頭から足までじっくりと見つめた。その間も明智はイチゴを押し返そうとするがイチゴは微動だにしない。抱きつくイチゴの両肩をしっかりと掴む明智は翼や藤守から見るとただならぬ関係のように見えてしまう。
明智
「ち、違う!本当に違うんだ!」
そうは叫ぶが明智自身が状況を整理しきれていない。
明智
(とにかく女だろうが男だろうが相撲部だろうが離れてもらわないと!)
必死でイチゴを剥がそうとしている明智だがイチゴは更にきつく抱きつき明智の胸に顔を埋めた。そして…
イチゴ
「何も違わないよ~?明智さんは私と結婚するんだから。ねっ?」
明智を見上げてイチゴが微笑む。それでもイチゴから離れない明智を見て翼は涙を浮かべている。それを見ていた藤守は翼を庇うように立ち怒りを露にした。
藤守
「明智さん…どういうつもりですか!?こんなん櫻井が!」
可哀想や!と続けようとした所に今までどこにいたのか脳筋コンビの片割れ如月がひょいっと顔を出した。
如月
「あれ?皆どうしたんですか?」
ただならぬ雰囲気の中、藤守やイチゴから口々に語られる状況に如月が笑い出した。
如月
「藤守さん、翼ちゃん、ここのオーナー桃井イチゴちゃんは男の娘ですよ。」
翼・藤守
「えっ???」
事態が飲み込めない2人に如月は更に言う。
如月
「だからイチゴちゃんは正真正銘の男性ってこと。」
如月はニコッと笑って断言した。
何も浮かばない…orzなのでここでパース(><*)ノ⌒〇?
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11/28(Sat) 09:39
ジュン
如月が笑顔で『イチゴは男』だと断言した。しかし、翼と藤守はそれを事実とは受け止められなかった。この目の前にいる華奢な美少女だアイドルである桃井イチゴが男?とても信じられない。この雰囲気を変えようとした如月の冗談では?そんな疑問さえ浮かんだときに
イチゴ
「え~?如月さん気づいてたの~?」
明智から離れはしないもののイチゴは如月を振り返ってそう答えた。
藤守
「えっ?じゃあホンマにイチゴちゃんって男なん?」
イチゴ
「違うよ!イチゴは男の娘なの!」
本人が自分は『オトコノコ』だと言っているのに何が「違う!」のか翼と藤守には理解ができなかったが多分恐らく『女の子』ではないのだろう…。
藤守
「えっ?でも明智さんと結婚って?」
イチゴ
「今は同姓でも結婚できるもん。」
明智
「…確かに世田谷区ま同姓パートナー宣誓の制度がある。」
イチゴが顔をキラキラさせて明智を見上げる。
イチゴ
「なら問題ないよね。」
明智
「いや!問題はある!というか俺はオーナーとは結婚しません!藤守、如月、オーナーを引き離すのを手伝ってくれ!」
明智に言われるがまま藤守と如月はなんとかイチゴを明智から引き離した。さすがのイチゴもこの三人には敵わない。明智はイチゴから離れてホッと息を吐いた。
明智
「つ、櫻井。誤解させてすまなかった。」
頭を下げる明智を翼はまだ混乱した面持ちで見つめた。
イチゴ
「でも如月さんっていつからイチゴが男の娘だって気づいてたの?」
イチゴが首を傾げる横で藤守も不思議そうに如月を見ていた。
如月
「この間、イチゴちゃんのグラビア写真を見た時からだよ。」
藤守
「この間って俺と一緒に見た雑誌か?」
今度は藤守が首を傾げる。確かにイチゴの水着グラビアを見た。けれど自分には普通の女の子に見えたのだ。
如月
「あの水着グラビアの写真の胸元を見た時にピンっときたんだ。」
如月は少し得意気に笑んだ。
如月
「ところでイチゴちゃん?どうして男の格好で子供に声を掛けてたの?メモを取りながら子供に声掛けてたのってイチゴちゃんでしょ?」
確かにメモを取りながら声掛けをした男性がいたはず。あまり美味しくない物を食べさせられた子供もいたはずだ。
イチゴ
「だって~、この格好で聞いたらすぐにアイドルのイチゴってバレちゃうし、アイドルのイチゴはお菓子作りが趣味ってなってるの。作るのは好きなんだけど美味しくないってイメージダウンになっちゃったら困るし~。」
カフェの男性オーナーが市場調査(?)のために声かけをしていた。というのは間違いなかったようだ。一応不審者と間違われるので気を付けるよう注意を促し4人はカフェを後にした。翼の心に少しの陰を落としたまま…。
さて、どーなる?ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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11/28(Sat) 11:56
ウェディングベルが鳴りますよ
小春
閑古鳥の鳴いていた『ドルチェ&バッナーナ』を後にした明智、藤守、如月、翼の4人は、今日も団地の中庭にワゴン車を停めて営業していた『出張さくら庵』に立ち寄っていた。
如月だけが元気で、
「小春ちゃん、おにぎりセット4人前ね!唐揚げ付けて!」
と、メニューにない品物を大きな声で注文している。
もっとも、注文を受ける側の小春も「おにぎりセット、唐揚げ付きで4人前ですね!」と返しているから、多分、作れるのだろう。
一方で、明智は疲れた顔のまままだ情報を整理している様子。
翼はその明智を心配そうに見つめ、その翼を、藤守が心配そうに見つめていた。
芝生の上に点々と置かれた屋外用のテーブルセットは満席で、イチゴの店とは対照的に、この中庭は、賑やかな声で溢れていた。
ところが。
「えっ?!」
突然、藤守の近くの席から、驚いたような声が上がった。
「どないしたん?」
反射的に、藤守が声の方を振り返る。
そこにいたのは、子連れの若い夫婦。
子供がまだ幼稚園のランドセルを背負っているところを見ると、お迎えに行ってきた帰りで、帰宅前に一休みという感じか……
だが、観察もそこまでだった。
「あ!いえ、すみません驚かせてしまって。実は、今、ネットニュースを見てたら、イチゴちゃんが……!」
そう言うと、若い夫はスマホからイヤホンを抜いて、藤守に画面を向けた。
≪…のグラビアでブレイクし、今や国民的なアイドルとなっている桃井イチゴさんについて、『結婚を意識している男性が現れた』という情報が、つい先程SNSに流れ、話題になっています。
このスクープを発信したのはイチゴさんに近い人物とみられますが、愛されタレントのイチゴさんだけに、SNS上では、早くも、祝福のメッセージが多数、寄せられているとのことです。
今後の展開が気になるところですが、ここは慌てず騒がず、イチゴさんの恋が成就するまで、温かく見守ってあげたいものですね≫
そして、そのアナウンサーの言葉が終わるタイミングに合わせて、演出の効果音らしいウェディング・ベルが、高らかに響き渡ったのだった……
明智さーん!
というところで、
パース(><*)ノ⌒〇←(気に入ったらしい)
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