『アブナイ☆恋の逆転捜査室』
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05/26(Sat) 18:54
小春
如月
「翼ちゃん……」
穂積と小野瀬の姿が、突然、猫と犬の姿に変化してしまった後。
猫の姿に変わり果てた穂積を、翼が抱き締めて離さない。
藤守
「櫻井……」
心配そうに寄り添って翼の顔を覗き込む如月や藤守に向かって、翼は唇を噛み締めてから、毅然と顔を上げた。
翼
「大丈夫です、真弓さんのお宅に向かいましょう」
明智と小笠原の間には、犬に姿を変えた小野瀬が大人しくお座りしている。
明智
「そうだな。とにかく、待ち合わせの場所へ急ごう。小春がエミを連れてくるはずだ」
小笠原
「エミさんの持つ石さえ手に入れば、全部元通りに出来るはずだから」
翼
「はい。……大丈夫です、室長。絶対、絶対、元に戻してあげます。万が一失敗しても、私が一生、そばにいますからね」
翼に見つめられた金色の猫が、にゃーん、と鳴いて喉を鳴らす。
翼
「私が冴えなくて頼りない男になっても、猫耳を生やしても、室長は変わらず愛して守ってくれました。だから、今度は私の番です」
翼は周囲の目も気にせず、猫の唇にちゅっ、と自分の唇を当てた。
童話なら魔法が解けるはずなのに、キスをされても猫は猫のままだ。
涙が滲みそうになるのをこらえて、翼は明智たちとともに捜査室を駆け出して行った。
[削除]
05/26(Sat) 20:56
小春
真弓邸。
その屋敷の広い応接室に入ると、意外にも、真弓みきとJSが歓談していた。
真弓
「あははは!」
こんなに朗らかに笑う真弓を、全員が初めて見る。
JS
「……ところが、その指環がとんだ代物でしてね。なんと、形見として譲り受けた孫娘を、常人の7倍のパワーを持つ戦隊ヒーローに変身させてしまうという」
真弓
「まさか!」
JS
「ですよね。まさかと思いますよね。ですが真弓さん、事実は小説より奇なり、です。その証拠に」
「わん!」
話に夢中になっていた真弓を振り向かせようと思ったのか、小野瀬(犬)が、まるで呼び掛けるように吠えたので、真弓とJSが、部屋の入り口に立つ捜査室メンバーを振り返った。
真弓
「あっ、気付かなくて申し訳ありませんでした」
真弓が慌てて立ちあがり、メンバーをソファーへと促してくれる。
穂積と小野瀬が猫と犬になっているので、明智が口火を切った。
明智
「ジョンスミス、小春さんと猫は?」
JS
「まだです。おや?その猫と犬は?」
JSが翼の抱く穂積(猫)に手を伸ばそうとしたのを、翼は身体を捻って拒んだ。
翼
「室長に触らないでください」
JS
「おやおや。ルイルイ、今度は猫になってしまったんですか」
JSの方も魔法慣れしていて、普通に会話が成り立ってしまう。
JS
「我がライバルがこれでは、やれやれ、興醒めですねえ。魔法石が戻ってきたら、もうひと騒ぎ起こしたかったのに」
翼
「もう充分でしょう」
そう言ったところで、翼の心にふと、疑問が浮かんだ。
翼
「そう言えば……JS、あなたはまだ、魔法石に願いをかけていないのね。それに、魔法石を手にしたら、真弓さんと、何か取引をするつもりだったのよね?」
JSは肩をすくめた。
JS
「実は、ですね。あの石は元々、僕の祖父のコレクションだったのです」
全員
「えっ?!」
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05/26(Sat) 21:34
小春
JSの言葉は、真弓を含む全員を驚かせた。
JS
「僕の祖父が、真弓さんのご両親の熱心さに負けて、魔法石をお貸ししたんです。羊皮紙に記録が残っていました」
真弓
「そんな……」
JS
「ですから、僕は、今回の逆転劇が起こった瞬間に、真弓家の誰かが石の魔力を使ったのだとすぐに分かった」
明智
「……それで、予告状を?」
JS
「そうです。万が一、僕以外にも魔法石の存在を知るものがいた時に、真弓さんが危険な目に遭わないように、警察を利用したんです」
翼
「じゃあ、あの文面は……」
JS
「間違ってはいなかっただろう?真弓さんの輝かしい成功は、あの石があったからこそ現在の形になった。あれが無ければ、真弓さんの人生は全く違う形になっていたはずだ」
真弓
「……確かに、その通りです」
思慮深く頷く真弓に、全員の視線が集まった。
真弓
「山田さん、あの石はあなたにお返しします」
頷くJSに、真弓はしかし、もうひと言付け足す。
真弓
「……全てを解決した後で」
その真弓の声に、小春とエミの到着を告げる玄関からのチャイムのが重なった。
ここでひとまず、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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06/01(Fri) 12:16
どっちが本物?
ジュン
真弓が玄関に向かい小春を迎え入れた。
真弓と小春が戻ってくるまでその場にいる全員が一言も言葉を発することが出来ないほどの緊張感に包まれていた。
真弓に引き続き小春がリビングに入ってくる。
しかし、その腕の中にはエミはいなかった。
翼はゴクンと喉を鳴らした。
エミがいなければ穂積を元に戻すことは出来ない。
涙が滲んで視界が掠れる。
その時
小野瀬
「こら、エミさんじっとしていてくれないかな?」
穂積
「おわっ。急にこっちに飛び付くなよ、エミ。」
その声と同時に肩にエミを乗せた穂積と小野瀬がリビングに入ってきた。
藤守
「しっ、室長?小野瀬さん?」
如月
「えっ?じゃあ、この室長猫と小野瀬さん犬は?」
捜査室のメンバーは軽くパニックに陥ってしまったのだった。
小春さん、一人にしちゃってごめんなさい(>_<)任せきりになっちゃってますね。今回も少しだけでごめんなさい。
ここでパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
[削除]
06/05(Tue) 22:15
ジュンさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春
穂積
「室長猫?」
小野瀬とともに一瞬怪訝な表情を浮かべた穂積が、翼にしっかりと抱かれている金色の猫に目を止める。
藤守
「捜査室で、突然、室長と小野瀬さんが猫と犬になってしもたんですわ。あれ?でも、室長も小野瀬さんもここにおるやん。そしたら、あれ?」
小野瀬
「俺と穂積は、突然、諏訪野の家の庭に飛ばされたんだよ。そこで、小春さんとエミさんに会って、ここに来たんだ」
如月
「え?じゃあ、この猫と犬は?」
ジュン
「まさか、どちらかが偽者……だとか……」
全員、度重なる魔法のせいで何が起きても驚かない反面、疑心暗鬼になっていて、なかなか正解に辿り着かない。
穂積
「……櫻井」
しばらく黙っていた穂積が、翼の前に立つと、上半身を倒してその顔を覗き込んだ。
穂積
「ワタシの目を見て」
翼
「……」
恐る恐る、翼が、穂積の眼差しを受け止める。
綺麗な碧色の虹彩、さらに深い紺碧の瞳。
それは、力の抜けた翼の腕からするりと飛び下りた猫の、月の形をした瞳とは違う、確かな円い瞳。
どんな変装の名人でも、生まれ持った目の色を変えることは出来ない。
その事に気付いて、翼は息を飲んだ。
翼
「室長」
穂積
「そう」
間近で、穂積が微笑む。
穂積
「ワタシが、アンタの室長よ」
アンタの、という部分に力の込められたその言葉に、翼の顔が輝いた。
私もとりあえずちょっとだけで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
06/17(Sun) 02:37
魔法が解けるよ
小春
そこからは各々の証言を全員で慎重に考察しながら、現在起きている現象を正常な状態に戻す作業が行われた。
最新の願い事から順に、ひとつずつ。
エミと共に諏訪野家にいた室長猫ルイと小野瀬犬アオイが、穂積と小野瀬の二人と瞬時に入れ替わったのは、室長猫が『人間社会に入ってみたい』とPCに打ち込んだからだ。
願い方が曖昧だったので、実際には位置が入れ替わっただけだったのだが、捜査室メンバーがルイとアオイを穂積と小野瀬だと思い込んだのだから、放置すれば事態はもっと悪化したかもしれない。
これはエミがルイとにゃごにゃご話し合って、ルイがにゃおん、と鳴いたら魔法石がちかちか瞬いたので、解除されたと見なされた。
捜査室メンバーの性別だけが元に戻ったのは、犬のアオイが犬なりに心配しての事だったらしい。
犬のアオイも苦労症のようだ。
これも、アオイが「わん」と鳴いたら元に戻った……という事はつまり、再び、捜査室メンバーの男女逆転が発生し、ひと騒ぎ起きた、のだが。
小野瀬(女)
「次はエミさんがした願い事だけど、これは叶ったから、相殺されたと思っていい」
穂積(女)
「エミの願いは何だったの?」
小野瀬(女)
「お前は知らなくていいよ」
穂積(女)
「?」
小春(男)
「私が試した『諏訪野さんと仲良くなりたい』も、二度目の『やっぱり今の無しにして』って願いで帳消しになったみたいです」
JS(女?)
「小春さんには僕がいるからいいんですよ、白鳥の君とは今以上に親しくならなくても」
不愉快そうに唇を尖らせたJSに向かって、小春は思い出したように首をかしげた。
小春(男)
「そういえば私、『太郎さんが今すぐプロポーズしてくれますように』って願い事もしてみたんですけど、太郎さん、そんな気分にはなりませんでしたか?」
JS(女?)
「何て事を訊くんです!」
今度は顔を手で覆って、JSが天を仰いだ。
JS(女?)
「……なりませんでしたけど……いつもそうしたいと思ってますのに……貴女という人はどうしてそう僕を……」
溜め息をつくJSの耳が赤くなっている。
見かねて、小野瀬が助け船を出した。
エミを抱き上げてから、「さくら庵」にいる澪に電話をかけたのだ。
小野瀬(女)
「澪さん、猫耳と猫尻尾を解除する、と、魔法石に言ってもらえるかな」
澪(男)
『はい』
携帯のスピーカーから、澪の声が応えた。
澪(男)
『魔法石さん、私が願った、猫耳と猫尻尾の魔法を解除してください』
ちかちか、と石が瞬いた、次の瞬間。
藤守(女)
「おお、耳と尻尾が消えた!」
如月(女)
「不思議だけど凄いですねえ!」
小野瀬(女)
「これで残ったのは、真弓さんの願い事だけだね」
猫耳と猫尻尾が消えてはしゃいでいたメンバーが、小野瀬の言葉で静かになった。
穂積(女)
「真弓さん、決めましたか?」
真弓みきは頷いた。
真弓(男)
「はい」
悩みましたが……と呟いて、真弓は、呼び寄せたエミの首からネックレスごと魔法石を外して握り締めた。
真弓(男)
「私は、このまま、本来あるべき姿である男性として、新しい人生を始めます。私以外の、今回の逆転を体験した皆様については、その人が、本当に心からそうありたいと願う姿に、性別を戻して欲しいと思います。どうでしょうか」
一同の表情を見渡して、真弓は目を閉じた。
真弓(男)
「では魔法石さん、お願いします」
ちかちか、と石が瞬く。
そうして、逆転していた世界は、秩序を取り戻したのだった。
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06/17(Sun) 15:59
エピローグ
小春
翌朝。
恋する相手の寝室で目を覚ました翼は、腕枕を貸してくれている彼彼の、朝の陽射しに煌めく、きれいな横顔と金色の髪とにみとれていた。
穂積
「ん……」
身動ぎした穂積が、静かに瞼を開く。
穂積
「……おはよう」
翼
「おはよう、泪さん」
優しく引き寄せられて、口づけを交わす。
穂積が微笑んだ。
穂積
「……やっぱり、お前が女で良かった」
翼
「私も、泪さんが男の人で、良かった」
再び口づけを交わして、二人は抱き合う。
翼
「大きな混乱も無く治まってくれて、良かったですね」
穂積
「ああ」
日本じゅうで起きていた逆転騒ぎは、元に戻った時をピークに、急速に沈静の方向に向かって行った。
皆、終わった事の原因を究明するより、取り戻した時間を消化する方に心を向けたからだ。
真弓みきが両親に会いに行ったように。
穂積と翼、藤守とジュンが、互いの相手を確かめたいと思ったように。
あるいは、白河父娘が颯爽と次の仕事に向かったように。
JSが小春に夕飯を作って欲しいとねだったように。
猫のエミでさえ、ルイとアオイを連れて、ハーレムの待つ諏訪野の庭へと帰っていった。
今までと同じようでいて、何でもないと思っていた毎日がどれほど稀有なものだったのかを思い知った後の、新しく生まれ変わった人生へと。
穂積
「逆転も、悪くはなかったな」
少なくとも穂積と翼は、逆転を経験した事によって、互いへの理解が深まったと感じている。
翼が穂積に抱いていたコンプレックスは、穂積がどんな時にも翼を慈しみ続けた事で、信頼へと昇華した。
穂積もまた、万事控え目な翼が、実はどれほど自分を深く慕ってくれているか、知る機会となった。
女装も猫耳も勘違いも、いまはもう笑える思い出だ。
穂積
「この先また何が起きても、変わらずにお前を愛し続ける」
その言葉には説得力があった。
翼
「はい。信じて一緒に生きてゆきます」
穂積
「ああ、ついて来い」
感慨に耽りながら、二人はまた、どちらからともなく抱き合い、唇を重ねた。
世の中の多くの男女がそうしたように。
生まれたままの、そして、自らが望んだ姿で。
~『アブナイ☆恋の逆転捜査室』END~
長々お付き合いありがとうございました!
執筆に加わってくださったエミさん、ジュンさん、ともさんはもちろん、最後まで読んでくださった全ての皆さんに感謝します。
どうもありがとうございました!
[削除]
06/18(Mon) 15:48
お疲れさまでした(^-^)
ジュン
小春さん、皆さま、完結おめでとうございます。
お疲れさまでした。
あまりお力になれず申し訳ないm(__)m
大阪の地震は皆さま大丈夫でしたか?
被災された方にお見舞い申し上げます。
[削除]
06/18(Mon) 20:43
ジュンさん、ありがとうございました
小春
大阪の地震、ビックリしました。
被災された方々にお見舞い申し上げます。
静岡県は地震が多く、慣れて麻痺してしまっている部分がありますでので、改めて備えなければと再認識いたしました。
さてリレーですが、最後まで辿り着けたのはジュンさんの存在があったからだということは、読者の皆さんが認めるところだと思います。
もっと藤守さんたちを活躍させたかったけど、力及ばずですみません。
たぶんもう次はないと思うけど(毎回言ってる気がする)、もしまたうっかり始めちゃったらその時はよろしくお願いします。
大好き!(´ 3`)ちゅー❤
[削除]
06/22(Fri) 07:57
お疲れさまでした!
とも
小春さん、皆さまお久しぶりです!
リレー完結、お疲れさまでした!
もうほとんどを小春さんやジュンさんで進めてくださっていて、私なんか登場人物増やしただけで誰にも絡めずorz
大阪の地震はほぼ収まってきていますが、まだ油断できへん感じですね。
私は通勤途中の地下鉄の中で地震にあいました。会社まで歩ける距離やったのでまだよかったんですが、その日は会社に来れない人もいました。
いつどこで起こるかわからないので、皆さんも気をつけていてくださいね。
とりあえず無事のご報告でしたヽ(*´∀`)
06/22(Fri) 09:23
ともさんありがとうございました
小春
ともさん、おはようございます。
ともさんのご無事を聞いてひと安心しましたが、大変な思いをされましたね。
そのような大変な時期に、私の事にまでお心遣いいただきありがとうございます。
リレーSSは、二次創作の楽しさを、サイトに来てくださる同好の方々と作品を作り上げる事で分かち合いたいという主旨で始めたものです。
ですから、一文でも参加してくださる方、展開に感想や応援をくださる方、また、読んで楽しんでくださる方……私にとっては、全員ががとても大切で、愛しいのです。
ともさんは勘の良い方で、いつも、ストーリーに魅力的な人物を加えたり、展開に変化をつけたりしてくださいます。
私は毎回感謝しております。
頻度は減りましたが、サイトにお声を寄せてくださるたびに、サイトを続ける勇気をいただきます。
どうぞ、私とこのサイトを思い出していただけた時には、ご無理の無い範囲で、これからもお声をかけてくださったら嬉しいです。
地震に関してもまだまだ予断を許さない情況でしょうから、引き続きお気を付けて、ご自愛くださいませね。
[削除]
06/24(Sun) 19:26
お疲れさまでした。
エミ
遅くなりましたが、完結お疲れ様です。
これまでで一番キテレツなストーリーに、どうなるのか楽しみでした。
毎度のことですが、書く方は早々に離脱でゴメンナサーイ。
ともさん、地震大変でしたね。ご無事で何よりです。
( ´Д`)ノ
[削除]
06/24(Sun) 20:22
エミさん、ありがとうございました
小春
エミさん、こんばんは。
リレー執筆に加わっていただいてありがとうございました。
いつの間にかリレーでのエミさんには魔性キャラが定着してしまいました(笑)
毎回、快く魔性キャラに甘んじて、温かくフォローしてくださって感謝しております。
さらに、エミさんが来てくださると、室長推しの味方を得た私が室長の出番を増やしてしまうという展開もお約束。
楽しく妄想させていただきました。
またキテレツな事を思い付いたらリレー始めちゃうかも。
そのせつはよろしくお願いします(´ 3`)ちゅー
[削除]
12/21(Sat) 12:27
こちらのスレッドはここまでです
小春
次のスレッド37より、『アブナイ☆恋をもう一度』を開始するため、こちらはここまでになります。
お付き合いありがとうございました。
新スレッドでのリレーもよろしくお願いします。
゚.+:。∩(・ω・)∩゚.+:。
小春
如月
「翼ちゃん……」
穂積と小野瀬の姿が、突然、猫と犬の姿に変化してしまった後。
猫の姿に変わり果てた穂積を、翼が抱き締めて離さない。
藤守
「櫻井……」
心配そうに寄り添って翼の顔を覗き込む如月や藤守に向かって、翼は唇を噛み締めてから、毅然と顔を上げた。
翼
「大丈夫です、真弓さんのお宅に向かいましょう」
明智と小笠原の間には、犬に姿を変えた小野瀬が大人しくお座りしている。
明智
「そうだな。とにかく、待ち合わせの場所へ急ごう。小春がエミを連れてくるはずだ」
小笠原
「エミさんの持つ石さえ手に入れば、全部元通りに出来るはずだから」
翼
「はい。……大丈夫です、室長。絶対、絶対、元に戻してあげます。万が一失敗しても、私が一生、そばにいますからね」
翼に見つめられた金色の猫が、にゃーん、と鳴いて喉を鳴らす。
翼
「私が冴えなくて頼りない男になっても、猫耳を生やしても、室長は変わらず愛して守ってくれました。だから、今度は私の番です」
翼は周囲の目も気にせず、猫の唇にちゅっ、と自分の唇を当てた。
童話なら魔法が解けるはずなのに、キスをされても猫は猫のままだ。
涙が滲みそうになるのをこらえて、翼は明智たちとともに捜査室を駆け出して行った。
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05/26(Sat) 20:56
小春
真弓邸。
その屋敷の広い応接室に入ると、意外にも、真弓みきとJSが歓談していた。
真弓
「あははは!」
こんなに朗らかに笑う真弓を、全員が初めて見る。
JS
「……ところが、その指環がとんだ代物でしてね。なんと、形見として譲り受けた孫娘を、常人の7倍のパワーを持つ戦隊ヒーローに変身させてしまうという」
真弓
「まさか!」
JS
「ですよね。まさかと思いますよね。ですが真弓さん、事実は小説より奇なり、です。その証拠に」
「わん!」
話に夢中になっていた真弓を振り向かせようと思ったのか、小野瀬(犬)が、まるで呼び掛けるように吠えたので、真弓とJSが、部屋の入り口に立つ捜査室メンバーを振り返った。
真弓
「あっ、気付かなくて申し訳ありませんでした」
真弓が慌てて立ちあがり、メンバーをソファーへと促してくれる。
穂積と小野瀬が猫と犬になっているので、明智が口火を切った。
明智
「ジョンスミス、小春さんと猫は?」
JS
「まだです。おや?その猫と犬は?」
JSが翼の抱く穂積(猫)に手を伸ばそうとしたのを、翼は身体を捻って拒んだ。
翼
「室長に触らないでください」
JS
「おやおや。ルイルイ、今度は猫になってしまったんですか」
JSの方も魔法慣れしていて、普通に会話が成り立ってしまう。
JS
「我がライバルがこれでは、やれやれ、興醒めですねえ。魔法石が戻ってきたら、もうひと騒ぎ起こしたかったのに」
翼
「もう充分でしょう」
そう言ったところで、翼の心にふと、疑問が浮かんだ。
翼
「そう言えば……JS、あなたはまだ、魔法石に願いをかけていないのね。それに、魔法石を手にしたら、真弓さんと、何か取引をするつもりだったのよね?」
JSは肩をすくめた。
JS
「実は、ですね。あの石は元々、僕の祖父のコレクションだったのです」
全員
「えっ?!」
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05/26(Sat) 21:34
小春
JSの言葉は、真弓を含む全員を驚かせた。
JS
「僕の祖父が、真弓さんのご両親の熱心さに負けて、魔法石をお貸ししたんです。羊皮紙に記録が残っていました」
真弓
「そんな……」
JS
「ですから、僕は、今回の逆転劇が起こった瞬間に、真弓家の誰かが石の魔力を使ったのだとすぐに分かった」
明智
「……それで、予告状を?」
JS
「そうです。万が一、僕以外にも魔法石の存在を知るものがいた時に、真弓さんが危険な目に遭わないように、警察を利用したんです」
翼
「じゃあ、あの文面は……」
JS
「間違ってはいなかっただろう?真弓さんの輝かしい成功は、あの石があったからこそ現在の形になった。あれが無ければ、真弓さんの人生は全く違う形になっていたはずだ」
真弓
「……確かに、その通りです」
思慮深く頷く真弓に、全員の視線が集まった。
真弓
「山田さん、あの石はあなたにお返しします」
頷くJSに、真弓はしかし、もうひと言付け足す。
真弓
「……全てを解決した後で」
その真弓の声に、小春とエミの到着を告げる玄関からのチャイムのが重なった。
ここでひとまず、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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06/01(Fri) 12:16
どっちが本物?
ジュン
真弓が玄関に向かい小春を迎え入れた。
真弓と小春が戻ってくるまでその場にいる全員が一言も言葉を発することが出来ないほどの緊張感に包まれていた。
真弓に引き続き小春がリビングに入ってくる。
しかし、その腕の中にはエミはいなかった。
翼はゴクンと喉を鳴らした。
エミがいなければ穂積を元に戻すことは出来ない。
涙が滲んで視界が掠れる。
その時
小野瀬
「こら、エミさんじっとしていてくれないかな?」
穂積
「おわっ。急にこっちに飛び付くなよ、エミ。」
その声と同時に肩にエミを乗せた穂積と小野瀬がリビングに入ってきた。
藤守
「しっ、室長?小野瀬さん?」
如月
「えっ?じゃあ、この室長猫と小野瀬さん犬は?」
捜査室のメンバーは軽くパニックに陥ってしまったのだった。
小春さん、一人にしちゃってごめんなさい(>_<)任せきりになっちゃってますね。今回も少しだけでごめんなさい。
ここでパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
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06/05(Tue) 22:15
ジュンさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春
穂積
「室長猫?」
小野瀬とともに一瞬怪訝な表情を浮かべた穂積が、翼にしっかりと抱かれている金色の猫に目を止める。
藤守
「捜査室で、突然、室長と小野瀬さんが猫と犬になってしもたんですわ。あれ?でも、室長も小野瀬さんもここにおるやん。そしたら、あれ?」
小野瀬
「俺と穂積は、突然、諏訪野の家の庭に飛ばされたんだよ。そこで、小春さんとエミさんに会って、ここに来たんだ」
如月
「え?じゃあ、この猫と犬は?」
ジュン
「まさか、どちらかが偽者……だとか……」
全員、度重なる魔法のせいで何が起きても驚かない反面、疑心暗鬼になっていて、なかなか正解に辿り着かない。
穂積
「……櫻井」
しばらく黙っていた穂積が、翼の前に立つと、上半身を倒してその顔を覗き込んだ。
穂積
「ワタシの目を見て」
翼
「……」
恐る恐る、翼が、穂積の眼差しを受け止める。
綺麗な碧色の虹彩、さらに深い紺碧の瞳。
それは、力の抜けた翼の腕からするりと飛び下りた猫の、月の形をした瞳とは違う、確かな円い瞳。
どんな変装の名人でも、生まれ持った目の色を変えることは出来ない。
その事に気付いて、翼は息を飲んだ。
翼
「室長」
穂積
「そう」
間近で、穂積が微笑む。
穂積
「ワタシが、アンタの室長よ」
アンタの、という部分に力の込められたその言葉に、翼の顔が輝いた。
私もとりあえずちょっとだけで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
06/17(Sun) 02:37
魔法が解けるよ
小春
そこからは各々の証言を全員で慎重に考察しながら、現在起きている現象を正常な状態に戻す作業が行われた。
最新の願い事から順に、ひとつずつ。
エミと共に諏訪野家にいた室長猫ルイと小野瀬犬アオイが、穂積と小野瀬の二人と瞬時に入れ替わったのは、室長猫が『人間社会に入ってみたい』とPCに打ち込んだからだ。
願い方が曖昧だったので、実際には位置が入れ替わっただけだったのだが、捜査室メンバーがルイとアオイを穂積と小野瀬だと思い込んだのだから、放置すれば事態はもっと悪化したかもしれない。
これはエミがルイとにゃごにゃご話し合って、ルイがにゃおん、と鳴いたら魔法石がちかちか瞬いたので、解除されたと見なされた。
捜査室メンバーの性別だけが元に戻ったのは、犬のアオイが犬なりに心配しての事だったらしい。
犬のアオイも苦労症のようだ。
これも、アオイが「わん」と鳴いたら元に戻った……という事はつまり、再び、捜査室メンバーの男女逆転が発生し、ひと騒ぎ起きた、のだが。
小野瀬(女)
「次はエミさんがした願い事だけど、これは叶ったから、相殺されたと思っていい」
穂積(女)
「エミの願いは何だったの?」
小野瀬(女)
「お前は知らなくていいよ」
穂積(女)
「?」
小春(男)
「私が試した『諏訪野さんと仲良くなりたい』も、二度目の『やっぱり今の無しにして』って願いで帳消しになったみたいです」
JS(女?)
「小春さんには僕がいるからいいんですよ、白鳥の君とは今以上に親しくならなくても」
不愉快そうに唇を尖らせたJSに向かって、小春は思い出したように首をかしげた。
小春(男)
「そういえば私、『太郎さんが今すぐプロポーズしてくれますように』って願い事もしてみたんですけど、太郎さん、そんな気分にはなりませんでしたか?」
JS(女?)
「何て事を訊くんです!」
今度は顔を手で覆って、JSが天を仰いだ。
JS(女?)
「……なりませんでしたけど……いつもそうしたいと思ってますのに……貴女という人はどうしてそう僕を……」
溜め息をつくJSの耳が赤くなっている。
見かねて、小野瀬が助け船を出した。
エミを抱き上げてから、「さくら庵」にいる澪に電話をかけたのだ。
小野瀬(女)
「澪さん、猫耳と猫尻尾を解除する、と、魔法石に言ってもらえるかな」
澪(男)
『はい』
携帯のスピーカーから、澪の声が応えた。
澪(男)
『魔法石さん、私が願った、猫耳と猫尻尾の魔法を解除してください』
ちかちか、と石が瞬いた、次の瞬間。
藤守(女)
「おお、耳と尻尾が消えた!」
如月(女)
「不思議だけど凄いですねえ!」
小野瀬(女)
「これで残ったのは、真弓さんの願い事だけだね」
猫耳と猫尻尾が消えてはしゃいでいたメンバーが、小野瀬の言葉で静かになった。
穂積(女)
「真弓さん、決めましたか?」
真弓みきは頷いた。
真弓(男)
「はい」
悩みましたが……と呟いて、真弓は、呼び寄せたエミの首からネックレスごと魔法石を外して握り締めた。
真弓(男)
「私は、このまま、本来あるべき姿である男性として、新しい人生を始めます。私以外の、今回の逆転を体験した皆様については、その人が、本当に心からそうありたいと願う姿に、性別を戻して欲しいと思います。どうでしょうか」
一同の表情を見渡して、真弓は目を閉じた。
真弓(男)
「では魔法石さん、お願いします」
ちかちか、と石が瞬く。
そうして、逆転していた世界は、秩序を取り戻したのだった。
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06/17(Sun) 15:59
エピローグ
小春
翌朝。
恋する相手の寝室で目を覚ました翼は、腕枕を貸してくれている彼彼の、朝の陽射しに煌めく、きれいな横顔と金色の髪とにみとれていた。
穂積
「ん……」
身動ぎした穂積が、静かに瞼を開く。
穂積
「……おはよう」
翼
「おはよう、泪さん」
優しく引き寄せられて、口づけを交わす。
穂積が微笑んだ。
穂積
「……やっぱり、お前が女で良かった」
翼
「私も、泪さんが男の人で、良かった」
再び口づけを交わして、二人は抱き合う。
翼
「大きな混乱も無く治まってくれて、良かったですね」
穂積
「ああ」
日本じゅうで起きていた逆転騒ぎは、元に戻った時をピークに、急速に沈静の方向に向かって行った。
皆、終わった事の原因を究明するより、取り戻した時間を消化する方に心を向けたからだ。
真弓みきが両親に会いに行ったように。
穂積と翼、藤守とジュンが、互いの相手を確かめたいと思ったように。
あるいは、白河父娘が颯爽と次の仕事に向かったように。
JSが小春に夕飯を作って欲しいとねだったように。
猫のエミでさえ、ルイとアオイを連れて、ハーレムの待つ諏訪野の庭へと帰っていった。
今までと同じようでいて、何でもないと思っていた毎日がどれほど稀有なものだったのかを思い知った後の、新しく生まれ変わった人生へと。
穂積
「逆転も、悪くはなかったな」
少なくとも穂積と翼は、逆転を経験した事によって、互いへの理解が深まったと感じている。
翼が穂積に抱いていたコンプレックスは、穂積がどんな時にも翼を慈しみ続けた事で、信頼へと昇華した。
穂積もまた、万事控え目な翼が、実はどれほど自分を深く慕ってくれているか、知る機会となった。
女装も猫耳も勘違いも、いまはもう笑える思い出だ。
穂積
「この先また何が起きても、変わらずにお前を愛し続ける」
その言葉には説得力があった。
翼
「はい。信じて一緒に生きてゆきます」
穂積
「ああ、ついて来い」
感慨に耽りながら、二人はまた、どちらからともなく抱き合い、唇を重ねた。
世の中の多くの男女がそうしたように。
生まれたままの、そして、自らが望んだ姿で。
~『アブナイ☆恋の逆転捜査室』END~
長々お付き合いありがとうございました!
執筆に加わってくださったエミさん、ジュンさん、ともさんはもちろん、最後まで読んでくださった全ての皆さんに感謝します。
どうもありがとうございました!
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06/18(Mon) 15:48
お疲れさまでした(^-^)
ジュン
小春さん、皆さま、完結おめでとうございます。
お疲れさまでした。
あまりお力になれず申し訳ないm(__)m
大阪の地震は皆さま大丈夫でしたか?
被災された方にお見舞い申し上げます。
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06/18(Mon) 20:43
ジュンさん、ありがとうございました
小春
大阪の地震、ビックリしました。
被災された方々にお見舞い申し上げます。
静岡県は地震が多く、慣れて麻痺してしまっている部分がありますでので、改めて備えなければと再認識いたしました。
さてリレーですが、最後まで辿り着けたのはジュンさんの存在があったからだということは、読者の皆さんが認めるところだと思います。
もっと藤守さんたちを活躍させたかったけど、力及ばずですみません。
たぶんもう次はないと思うけど(毎回言ってる気がする)、もしまたうっかり始めちゃったらその時はよろしくお願いします。
大好き!(´ 3`)ちゅー❤
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06/22(Fri) 07:57
お疲れさまでした!
とも
小春さん、皆さまお久しぶりです!
リレー完結、お疲れさまでした!
もうほとんどを小春さんやジュンさんで進めてくださっていて、私なんか登場人物増やしただけで誰にも絡めずorz
大阪の地震はほぼ収まってきていますが、まだ油断できへん感じですね。
私は通勤途中の地下鉄の中で地震にあいました。会社まで歩ける距離やったのでまだよかったんですが、その日は会社に来れない人もいました。
いつどこで起こるかわからないので、皆さんも気をつけていてくださいね。
とりあえず無事のご報告でしたヽ(*´∀`)
06/22(Fri) 09:23
ともさんありがとうございました
小春
ともさん、おはようございます。
ともさんのご無事を聞いてひと安心しましたが、大変な思いをされましたね。
そのような大変な時期に、私の事にまでお心遣いいただきありがとうございます。
リレーSSは、二次創作の楽しさを、サイトに来てくださる同好の方々と作品を作り上げる事で分かち合いたいという主旨で始めたものです。
ですから、一文でも参加してくださる方、展開に感想や応援をくださる方、また、読んで楽しんでくださる方……私にとっては、全員ががとても大切で、愛しいのです。
ともさんは勘の良い方で、いつも、ストーリーに魅力的な人物を加えたり、展開に変化をつけたりしてくださいます。
私は毎回感謝しております。
頻度は減りましたが、サイトにお声を寄せてくださるたびに、サイトを続ける勇気をいただきます。
どうぞ、私とこのサイトを思い出していただけた時には、ご無理の無い範囲で、これからもお声をかけてくださったら嬉しいです。
地震に関してもまだまだ予断を許さない情況でしょうから、引き続きお気を付けて、ご自愛くださいませね。
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06/24(Sun) 19:26
お疲れさまでした。
エミ
遅くなりましたが、完結お疲れ様です。
これまでで一番キテレツなストーリーに、どうなるのか楽しみでした。
毎度のことですが、書く方は早々に離脱でゴメンナサーイ。
ともさん、地震大変でしたね。ご無事で何よりです。
( ´Д`)ノ
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06/24(Sun) 20:22
エミさん、ありがとうございました
小春
エミさん、こんばんは。
リレー執筆に加わっていただいてありがとうございました。
いつの間にかリレーでのエミさんには魔性キャラが定着してしまいました(笑)
毎回、快く魔性キャラに甘んじて、温かくフォローしてくださって感謝しております。
さらに、エミさんが来てくださると、室長推しの味方を得た私が室長の出番を増やしてしまうという展開もお約束。
楽しく妄想させていただきました。
またキテレツな事を思い付いたらリレー始めちゃうかも。
そのせつはよろしくお願いします(´ 3`)ちゅー
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12/21(Sat) 12:27
こちらのスレッドはここまでです
小春
次のスレッド37より、『アブナイ☆恋をもう一度』を開始するため、こちらはここまでになります。
お付き合いありがとうございました。
新スレッドでのリレーもよろしくお願いします。
゚.+:。∩(・ω・)∩゚.+:。
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