『アブナイ☆恋の逆転捜査室』
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12/07(Thu) 12:15
ジュンさんと被ったヽ( ̄▽ ̄)ノ←うれしい
小春
その夜、警視庁。
猫のエミ捜索本部である緊急特命捜査室にメンバー全員が揃い、空振りに終わったどころか、新たに発生した難題について話し合っていた。
なにしろ、今度は全員に突然、髪の色と同じ毛並みの猫耳と尻尾が出現したのだ。
しかも、いままで男女逆転の影響を受けていなかった、白河親子にまで。
とも父
「これはやはり、魔法の石に、新しい命令が下ったという事やろな……とも、笑てる場合か!」
とも
「お父ん、勘弁して…猫耳で真顔はやめて……私のツボを押さんといて……」
如月
「室長、刑事部から『猫耳と尻尾追加でセクシーさ倍増したはずの穂積を見たい』って電話が鳴り止みません!」
穂積
「『動物用麻酔銃で撃たれたくなかったら、真面目に刑事の仕事をしろ』と言ってやりなさい!」
小笠原
「どこかで誰かが猫のエミを使って魔法をかけた確率、99%」
小笠原の呟きに、小野瀬が乗っかる。
小野瀬
「それがJSである確率は?」
小笠原
「20%」
藤守
「え、JSやないんか?」
藤守の問いかけに、小笠原は頷いた。
小笠原
「可能性はゼロとは言えないけど、JSなら、あの石を見つけたら、まずは真弓さんの元に現れそうな気がする」
明智
「なるほど」
如月
「じゃあ、石を使ったのは別の誰か、ですか」
小笠原
「しかも、『猫耳猫尻尾』だなんて、石の効き目をテストした感じさえする」
明智
「なるほど」
魔法石の効果を確認した人物が、エミを手にしている。
その事がもたらす可能性は……
穂積
「ひゃあっ!」
突然、穂積が奇声をあげた。
櫻井
「あっ、す、すみません!」
穂積
「いきなり尻尾を掴まないでちょうだい!」
真っ赤になって穂積が怒鳴っている。
櫻井
「すみません、目の前に綺麗な尻尾があったものですから、つい」
藤守
「櫻井、気持ちは分かるけどな」
小野瀬
「穂積って敏感なんだね」
穂積
「お前が言うと何かイカガワシイからやめろ!」
とも父
「遊んでる場合やないで」
とも父の指摘に、一同の顔が引き締まった。
とも父
「ネコは夜行性やからな。捜査再開や!」
一同
「イエス、ボス!」
とも
「せやからその姿で真顔は堪忍して…」
翼
「室長、もう一回だけ」
穂積
「やめてよ、地味にメンタルにダメージあるのよ!」
小笠原
「はあ…くだらない…」
すると、とも父が、思い出したようにパン!と手を叩いた。
とも父
「おっとそうや、出動の前に腹ごしらえしとかなあかんやんか!」
如月
「この時間なら『さくら庵』ですよね。電話で出前頼みますよ」
澪
「小春さん、これからどうします?」
小春
「とりあえず、明日の午前中の出前の時にでも、エミさんは真弓さんのお宅まで送り届けるつもり」
さくら庵は年中無休で24時間営業。
夜も忙しく働きながら、厨房の小春とフロアー係の澪は、仕事の合間を捉えては会話をしていた。
澪
「小春さんたら、せっかく諏訪野さんと親しくなるチャンスだったのに。エミさんに『さっきの無し』なんて言ってお願いを取り消ししちゃって。もったいない」
澪がぷう、と頬を膨らます。
小春
「魔法で仲良くなってもらっても、嬉しくないでしょ?それに、私には太郎さんがいるし」
澪
「あー、はいはい。そうでしたね」
惚気話を聞かされるのはごめんです、と笑いながら、澪は、出来上がった料理を持って足早に厨房を出ていった。
それと入れ替わるように、『さくら庵』の電話が鳴った。
[削除]
12/07(Thu) 16:04
JSは小春に弱いって事でよろしく(←やりたい放題)
小春
JS
「こんな時刻に出前ですか?小春さん」
如月からの出前依頼の電話を聞き終え、厨房に注文を伝えた小春の耳に、穏やかな声が吹き込まれた。
振り返れば、男女逆転には巻き込まれなかったはずなのに、姿も声もどこか中性的な、小春の想い人が微笑んでいる。
小春
「はい。お客様のご希望ですから」
JS
「当ててみせましょう、ずばり、警視庁の緊急特命捜査室」
小春
「わあ凄い!」
どうして分かったのかと目を輝かせる小春に、JSは楽しげに目を細めただけだった。
JS
「実は、彼らと探し物競争をしていましてね。負けるわけにはいかないので、僕もまだ休めません」
小春
「こんなに遅くまで?太郎さん、いくら怪盗さんでも悪い事はいけませんよ」
声のトーンを落としたJSに、小春も声を潜めて返す。
JS
「あなたにそう言われるから、悪さはしません。ただのゲームですよ」
JSは、小春の頬に軽く唇を当てた。
JS
「小春さんは、白鳥の君にも目移りしないでくれましたしね」
小春
「太郎さんは黒鳥みたいに綺麗ですよ」
澪
「小春さあん!お料理揃いましたあ!出前お願いします」
二人の甘い雰囲気に、澪が困ったあげく大声で割って入って出前を告げた。
小春
「あっ、はーい」
JS
「やれやれ…さて、僕ももうひと頑張りしますか…では、小春さん、また近いうちに」
JSの唇が、そっと小春の唇に触れる。
瞼を開いた時にはもう、JSの姿は小春の前から消えていた。
小春
「毎度ありがとうございます!さくら庵です!」
如月
「わあ、やっぱり小春ちゃんも、猫耳男子になってる!」
小春
「……」
穂積
「どうしたの、小春?」
小春
「……あ、いえ」
捜査室に出前を頼まれた料理をミーティングテーブルに並べながら小春の動きが鈍ったのは、もしかしてエミの事を穂積に話す方がいいのではないか、と思い付いたからだ。
小春
「……あの、突然こんな話をすると、おかしいと思われるかもしれないんですけど」
穂積
「なあに?今なら、どんな荒唐無稽な話でも、たぶん信じるわよ」
金色の耳と尻尾を揺らしながら、絶世の美女となっている穂積が小春に笑顔を向けた。
確かに。
小春は思いきって、今日の不思議な体験を打ち明けようと口を開いた。
エミの事、ネックレスの石の事、願い事をした事、猫耳と猫尻尾の事……
小春
「あの、実は、今日、うちの店にお客様の飼っているネコが来て」
その時、ジュンが動いた。
***
ジュンさんは最初にJSに何かされてましたね。
というところで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
01/21(Sun) 12:54
JSの仕掛け
小春
ジュン
「小春さん、何か気になる事があるなら、室長さんより先に相談する人がいるんじゃない?」
効果はてきめんだった。
小春は、急に自分の言葉を遮ったジュンに一瞬戸惑ったものの、そのまま口を噤んでしまった。
一方で、やはりジュンの行動は不自然だったのか、藤守が心配そうにジュンに声をかける。
藤守
「どうしたんや、ジュン?」
けれどそれは、ジュン本人にとっても不自然だったようで。
ジュン
「ええと…何でだろう?室長さんに話し掛ける小春さんを見たら、口が勝手に」
穂積
「……小春、今、ネコの話をしかけたわね。続けてちょうだい」
今回の逆転騒動、真弓みきの持っていた石が原因だというのはもちろん、その紛失にネコのエミが絡んでいることは、警視庁の中でも、今、この緊急特命捜査室にいるメンバーしか知らない。
何も知らないはずの小春がネコの話をする事には、意味がありそうだと穂積以下一同は思った。
小春
「……」
穂積
「小春?」
だが、ジュンの一言で、小春は思い出していたのだ。
恋人の太郎が、捜査室のメンバーと競争しているのだと。
それは悪事ではなくゲームだと。
小春
「あの、やめておきます」
小春はそそくさと帰り支度をはじめた。
小春
「器は明日下げに伺います!」
穂積
「あっ、こら小春!」
元々小柄ですばしこい小春が、猫耳男子化して
さらに動きが速い。
あっという間に逃げられてしまった。
困惑するメンバーがジュンを振り返ると、ジュンもまた、藤守に追い詰められていた。
藤守
「ジュン、お前…」
答えたのは、ジュンではなく小笠原だった。
小笠原
「藤守さん」
小笠原が、人差し指を立てて唇にあて、紙に走り書きする。
≪ジュンさんに盗聴器がつけられている確率90%≫
すると、穂積がさらにその紙に書き加えた。
≪小春を追って、我々もさくら庵に行くわよ。ジュンにつけられた盗聴器は、上手く使えばJSを出し抜けるはず≫
全員、声を出さずに頷いた後、穂積が、空気を変えるように声を出した。
穂積
「とにかく、まずは腹ごしらえよ!」
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Mon) 14:59
アニ、ごめんなさい。
ジュン
穂積
「まずは腹ごしらえよ。」
その一言でメンバーは平静を装いながら各々移動を開始する。
まず明智と小笠原、翼が静かに捜査室を出てさくら庵に向かう。
藤守と如月はジュンの隣に陣取っていつも通りの食事を開始。
ジュンの向かいでは普通に話をしながら穂積と小野瀬が筆談で作戦を練っていた。
ジュンは藤守と如月に話を合わせながらも手の震えが止まらない。
ジュンは自分にいつ盗聴器が仕掛けられたのかわからなかった。
あの不思議な人物と会ったことさえ覚えてはいないのだ。
藤守がそっとジュンの手に手を重なる。
声を出さないように『だいじょうぶ。』と口を動かした。
穂積
「さて、腹ごしらえも終わったし、エミの捜索に戻るわよ~。」
小野瀬
「お前は相変わらず食べるのが早いね。」
穂積が立ち上がり様に藤守と如月にもこれからの行動を指示したメモを手渡す。
JSを出し抜くには一分一秒が大事になる。
全員が気合いを入れて捜査室を後にした。
・・・誰もいなくなった捜査室に取り残された一人。
「ぷはっ!」
そのにいたのはアニ・・・
ジュンに盗聴器が付けられているとわかった瞬間、動揺し大声を出しかけたアニを藤守と小野瀬が素早くガムテープで口と手足を拘束したのだ。
アニ
「アイツら俺をなんだと思っているのだ!しかも俺を置いていくとは何事だ!」
なんとか自分で拘束をといたアニは一人で怒鳴り続けていた。
アニ
「はっ、こうしてはおれん。急いでさくら庵に向かわなくてはな。うむ、真のヒーローは一番最後に現れると言うしな。」
走って捜査室を出ていくアニの背中はどこか寂しげだった。
JSを出し抜く案が思い浮かばずそこは濁して…(^_^;)
アニが可哀想なことになっちゃったけど、アニは明智さん以上に演技が下手そうなのでこういう展開になりました。
あとはパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
01/30(Tue) 12:40
ジュンさんありがとうございます
小春
~さくら庵、厨房の裏口~
澪
「小春さんでしたら、お寿司とパンプキンパイの出前を配達に出掛けました、けど…」
時計が示す時刻を眺めて、澪の前で穂積と小野瀬がため息をつく。
小野瀬
「行き違いか」
穂積
「あの子はいったいいつ寝ているのかしら」
小野瀬
「澪さん、連絡取れるかな……いや、きみでもいい。この店に、ネコが来たはずなんだけど、その事で何か知ってる?」
小野瀬に顔を寄せられて、澪が頬を染めた。
澪は控え目なので自ら明かしてはいないが、彼女が小野瀬に思いを寄せている事は、周りからは一目瞭然である。
澪
「ネコって……エミさんの事ですか?」
澪の視線が一瞬、裏口の近くにあるペットケージに向けられたのを見逃すような穂積と小野瀬ではない。
素早く走り込んだ穂積が、片膝をつき、身を屈めるようにしてケージの中を覗き込む。
穂積
「いない」
小野瀬
「穂積!スカートなんだから動きに気を遣えって何回言わせるんだよ!下着が見えてるだろ!」
穂積
「澪、小春はエミをJSに渡したの?」
穂積はそんな小野瀬からのクレームを右から左に受け流す。
澪
「いいえ。小春さんは太郎さんにも、他の誰にも、エミさんの話はしてないはずです」
穂積と小野瀬は顔を見合わせた。
小春と澪は、どうやらエミの秘密を知っている。
だが二人がそれを知ったのは偶然で、だから、穂積たちとJSが共にエミを探していると知らないまま、小春は捜査室で穂積に相談しようとした。
けれど、そこにはジュンがいた。
おそらく、ジュンには、事前に催眠術がかけられていたのだろう。
常に真弓か、穂積、藤守らのそばにいて、そこに届く情報があれば、JSに伝えるように、と。
ジュン本人には、全く自覚がないままに。
中でも、多くの情報源を持ち、行動範囲も広い恋人の小春に関しては、逆に、穂積への情報を遮断するよう、先手を打ってあったのだ。
その為に、ジュンの一言で、エミは、穂積の手に渡る直前、小春の手元で止まってしまった……。
澪
「皆さんを猫耳猫尻尾にしたのは、私です」
澪は、穂積たちが驚く事を口にした。
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01/30(Tue) 12:45
小春
澪
「小春さんは、エミさんが魔法の力を持っている事に気付いて、私に荒唐無稽な願い事を試させたんです」
小野瀬
「順応が速いね」
澪
「小春さん、SFファンですから。どんな奇天烈な事も現実に起こりうると思ってるんです」
穂積
「……SFファンて凄いわね」
小野瀬
「穂積、頼むから足を閉じて」
穂積
「それで?小春はエミをどうするつもり?」
澪
「予定では、明日、飼い主の真弓さんのお宅に送り届けるつもりだったんですけど。小春さん、『ゲームらしいから、邪魔しちゃ悪いし、でも、フェアにしないといけないし』って言って悩んでました」
穂積
「悩む所そこか」
小野瀬
「日本中が大変な事になってるんだけどな。小春さん自身、猫耳男子のままなのに」
穂積
「SFファンて怖いわね」
小野瀬
「具体的には、どうしようと?」
澪
「『とりあえずその辺に置いてこようかなあ』なんて」
穂積、小野瀬
「「やめてくれーー!!」」
小春
「もちろん、エミさんをその辺に置き去りにしたりしないから安心してね」
エミ
「にゃーん」
小春
「私が考えるに、そのネックレスの石が怪しいと思うの」
エミ
「にゃーん」
小春
「たくさん仲間のいる諏訪野さんちのお庭か、薄○記さんちのお庭か、それとも、やっぱり真弓さんちのお庭がいいかなあ……?」
エミ
「んなんな」
小春
「え?違う?」
助手席のエミはケージの隙間から前足を出し、爪をひっこめた指の先で、小春の仕事用ノートパソコンをとんとんと叩きはじめた。
エミ
「んなー」
小春
「?もしかして、エミさんキーボード打てるの?」
信号で一時停止した小春がフラップを開いてワードを立ち上げてやると、エミは器用にキーボードを叩いて、画面に文字を綴りはじめた。
エミは何を考え、どこへ行き、何をしたいと小春に伝えるのか?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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02/13(Tue) 20:46
小春
実は小春は、エミの持つ魔法の力に気付いてから、一人で小さな実験を行っていた。
ひとつは、澪に願ってもらった、「猫耳猫尻尾」の、「取り消し」。
もうひとつは、「今すぐ太郎さんが私にプロポーズしに来てくれますように」。
結論から言えば、願い事は二つとも、叶わなかった。
小春
「これは、あくまでも私の仮説なんだけど。魔法を使える回数は、一人一回と決まっているんじゃないかな」
小春はハンドルを握ったまま、うーん、と唸った。
そうしてさらにぶつぶつ呟く。
小春
「だけど、私が、諏訪野さんと仲良くなるのにズルしたくない、と思って願いを取り消ししたら、それは叶ったんだよね」
そう。
諏訪野は小春が願い事を取り消すと間もなく、何事も無かったように「じゃあまたね」と、手を振って帰って行ったのだ。
小春
「だから、『自分がした願い事を取り消す事は出来るけど、他人の願い事を取り消したり、欲張って二個目の願い事をしても叶わない』んじゃないのかな」
キーボードを猫手で叩くエミを横目に、小春は、考えを整理するような独り言を続けた。
小春
「……もしもそうだとしたら、猫耳猫尻尾の魔法を解けるのは澪さんだけ……もしくは、他の人が、新しい願い事として、猫耳猫尻尾を解除するしかない……あれ?そういえば、男女逆転の魔法をかけたのは誰だろう?……普通に考えたら、飼い主の真弓さんだけど……」
エミ
「にゃーん」
小春の思考の流れを、もう少しで正解に辿り着きそう、というところでエミが遮った。
小春
「?」
小春はハンドルを切って車を道の端に停めると、パソコンに視線を向けた。
エミがキーボードを叩いた結果がパソコンの画面に反映されたのを見た小春は、そこに打ち出された文字が、ちゃんと文章になっている事に驚いた。
しかし、それが偶然ではなく、エミの能力なのかもしれないとすぐに納得するあたりが、小春の小春たるところであった。
小春
「……エミさん」
そうして、車を停めた小春は、穂積とJSのアドレスに宛てて、メールを送信した。
【エミさんが、魔法の件で、捜査室の皆さんと太郎さんに会いたいと言っています】
***
本当に会いたいだけだったりして(笑)。
ここでタリッキーにパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
02/25(Sun) 13:12
繋ぎます
小春
~捜査室~
穂積
「待ち合わせの場所は真弓邸、時間は、正午」
穂積が、改めて、小春からのメールを声に出して読んだ。
小野瀬
「その時間に、小春さんがエミさんを連れてきてくれるという事かな」
穂積
「そうね」
ようやく猫捜索から解放された小野瀬が、欠伸を噛み殺すのを横目に、穂積が頷いた。
小春からのメールが来たのは、午前五時だった。
それから全員で対策を練り、今は午前六時だ。
穂積
「白河捜査官、そういう事でしたら、待ち合わせの時間まで、部下たちに仮眠を取らせたいのですが」
とも父
「せやな。……しかし、警視庁はフル稼働中で、一度に全員は仮眠室に入りきれん。庁内で、分散して、昼まで休んでくれ」
明智
「俺は、捜査室の床でも構いません」
穂積
「アンタが床に寝たら、下の連中が困るわ。せめてソファーで寝てちょうだい」
明智
「分かりました」
小野瀬
「俺は鑑識に戻って休むよ。小笠原くんも来る?」
小笠原
「行く」
穂積
「じゃあ、藤守と如月が仮眠室を使いなさい」
如月
「はい!」
藤守
「ほな遠慮なく」
とも父
「穂積くんはどないすんのや」
穂積
「わたしは、自分の車の車内がフルフラットになります。布団も常備してますし、そこで休みますよ」
とも
「そしたら櫻井さんは、うちとお父んが泊まってるホテルに行こか?真弓さんちにも近いし」
とも父
「とも、野暮な事言うたらあかん」
とも
「へ?」
苦笑いするとも父の言葉に、ともは、翼の視線が穂積と自分とを往き来している事に気付いてあっと声を上げた。
とも
「そうか!ごめんやで櫻井さん!」
翼
「いえ、あの、とんでもないです。お気遣いすみません」
謝られるのも恥ずかしい……。
真っ赤になる翼の指先に、穂積の指先がさりげなく触れた。
とも父
「ほな、全員、十一時まで休憩や」
[削除]
02/25(Sun) 13:23
繋ぎます
小春
穂積
「櫻井、大丈夫?床、硬くない?」
翼
「はい。仮眠室より快適なくらいです」
実際、アスリートも使うという有名なエアーマットが敷かれたそこは、とても車内とは思えないほどの寝心地。
掛布に包まれていると、隣に穂積が横になって、翼を抱き寄せてくれる。
穂積
「疲れたでしょ。眠りなさい」
フロントと運転席、助手席のガラスにはサンシェード、周りのガラスはブラインドガラス。
外から覗かれる不安もなく、翼は軽く目を閉じてみた。
すぐに、睡魔に連れていかれてしまいそうだ。
でも……
翼
「睡魔より、悪魔のそばにいたいです」
ふふふ、と穂積が笑った。
穂積
「抱いて寝てあげる」
唇が重なる。
翼
「室長…泪さん、て呼んでいいですか」
穂積
「駄目だ。抑えきれなくなるから」
駄目だと言いながらも口調が恋人のそれに変わり、深い口づけを繰り返す。
穂積
「……女の身体も、正直なんだな」
翼
「私に感じてくれてるんですか?」
仰向けになった翼の身体に、体重をかけないように穂積が身体を重ねた。
穂積
「パンツに手を入れてみてもいいぞ」
くすくす笑う穂積は、美女なのに愛らしい。
パンツに手を入れるかわりに、翼はプライベートのスマホを取り出して、穂積にカメラを向けた。
パシャ。
翼
「可愛い」
穂積
「あまり、今の自分の姿を想像したくないんだが」
パシャ。
翼
「ん?」
ふと、ファインダーを覗き込んでいた、翼の表情が変わった。
穂積
「どうし」
穂積も、すぐに違和感に気付く。
穂積
「なん、」
その声が、変わった。
男の声に。
穂積
「あ」
翼
「あ!」
驚く二人の声が、シンクロした。
穂積の身体が、猫耳猫尻尾はそのままに、男性に戻っていたのだ。
02/25(Sun) 13:34
エミハーレム暴走開始か?
小春
~諏訪野家の庭~
小春とエミは、諏訪野邸の中庭にいた。
芝生に正座してパソコンを膝に乗せた小春の周りには、たくさんの犬や猫が集まっている。
早朝の訪問にも関わらず、主の諏訪野はにこやかに小春を迎えてくれ、「好きなように過ごしていいよ」と言ってくれた。
小春は、ここに来るまでに自分が考えていた仮説が間違っているのではないかと思ったほどだ。
けれど、それを証明する術もない。
エミが到着すると庭には猫たちが集まりだし、エミとにゃーにゃー鳴き合ったかと思うと、次々にパソコンを打ち始めたのだ。
最初はもちろん、エミだった。
エミが『男性に戻った警視庁イケメンツートップのおのほづが見たい』という主旨の願いごとを打ち込んで、「にゃごにゃごにゃおーん」と鳴いた直後、首から下げたネックレスの石が輝いたのを、小春は確かに見た。
***
いやいや、止めろよ小春。
というところで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
02/27(Tue) 10:48
素直な小野瀬さんと賢史くん
ジュン
捜査室のドアがバタバタと開き、メンバーが勢揃いした。
穂積
「みんな元の性別に戻ってるわね。」
小笠原
「猫耳と尻尾はそのままだけど。」
とも父
「誰かがまた願い事を叶えたゆうことやな。」
如月
「小春ちゃんでしょうか?今、猫のエミと一緒なのは小春ちゃんなんですよね?」
パシャっ!
小野瀬
「あははっ。穂積の女装写真ゲット!」
藤守
「室長、男の姿でその格好は反則ですわ~。あ~、腹痛い。」
穂積
「アンタたち・・・」
穂積は人間とは思えない速さで藤守に一撃を食らわし、小野瀬からスマホを取り上げた。
明智
「とにかく誰が願い事をしたかは分かりませんが着替えましょう。」
笑いを噛み殺しながらあくまで冷静に明智が穂積を促した。
全員が着替えを済ませ再び仮眠に戻るのだった。
男の姿で超スリット、ガーターベルトの室長。
貴重だな~。
少しですけどここでパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
[削除]
04/03(Tue) 12:11
ジュンさんさんありがとうございます
小春
猫耳と尻尾は残っているものの、とりあえず元の性別に戻ったメンバーは、それぞれ仮眠を終え、捜査室に再集合していた。
とも父
「おお、男に戻っても、全員やっぱり男前やなあ」
とも
「櫻井さんも女の子に戻れたんやな。やっぱり可愛いわあ」
白河父娘はのんきな事を言っているが、実は、性別逆転が解決したのは捜査室のメンバーだけで、日本中の混乱はまだ続いている。
穂積
「とりあえず、JSとの正午の待ち合わせに向かいましょう。白河捜査官たちは、こちらで待機してください。ワタシたちは、真弓邸に…」
穂積が、そこまで言った時。
穂積
「あ?」
小野瀬
「ん?」
突然、穂積と小野瀬の姿が消えた。
と思った、次の瞬間。
翼の足元に、金色の猫と、赤みがかった茶色の長毛の犬が出現した。
翼
「しっ?」
如月
「えっ?!室長と小野瀬さんが、猫と犬になっちゃった?!」
如月の素っ頓狂な叫びをよそに、金色の猫は翼を見上げると目を細め、ひょい、と跳び上がって翼の腕に抱かれる。
翼
「えっ?えっ?室長……ですよね?」
パニックになりかける翼をよそに、金色の猫はにゃあ、と鳴いて、翼の頬をべろりと舐めた。
一方、諏訪野邸の庭には、猫耳と尻尾の消えた穂積と小野瀬が出現し、エミに跳びつかれていたのだが……
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
05/02(Wed) 13:58
小春
身体に変化を感じるのと、初めて体験する浮遊感は同時だった。
捜査室から、まさしく一瞬の間に諏訪野家の庭に移動した穂積と小野瀬だったが、既に何度も体験しただけあって、魔法が使われたのだと理解するのも速かった。
エミ
「にゃーん!」
穂積
「捕まえた!」
穂積は、飛びついてきたエミをしっかりと抱き抱えた。
冷静だったのは小野瀬も同じ。
小野瀬
「小春さん、困るなあ」
めっ、と小野瀬にたしなめられて、小春が、小さい身体をさらに小さくする。
小春
「ごめんなさい。……でも……あれ?」
小春がなぜか首を傾げる。
小野瀬
「どうしたの?」
小春
「エミさんのリクエストは、たしか……」
小野瀬
「?」
小野瀬が首をかしげた、次の瞬間。
穂積
「……小野瀬……」
小野瀬
「ん?」
何だろう。
急に、周りの空気がピンク色に染まったような……
振り向いた小野瀬のすぐ目の前に、穂積の綺麗な顔がどアップで迫っていた。
小野瀬
「うわ」
穂積
「小野瀬……いや、葵、と呼んでいいか?……俺の事も、泪、と、呼んで欲しい……」
なんだこれ。
小野瀬は焦ったが、いつになく穂積が頬を染めてもじもじしているものだから、ふざけんなと一喝するわけにもいかないし、どう対応すればいいのか分からない。
穂積
「……葵」
小野瀬
「る、泪」
名前で呼んでやると、穂積はぽっと顔を明るくして小野瀬に近付き、恥じらうように小野瀬の胸元に指先でハートを描くような仕草を繰り返した。
理由が分からないが、しかし、もともと穂積はとんでもない美貌の持ち主だ。
どんな姿も絵になるし、いつもの憎たらしさからは想像もつかないような可憐さなのだ。
猫のエミはいつの間にか穂積の背中に移り、肩越しに穂積と小野瀬を見て楽しんでいるようだ。
エミ。
穂積の色気に悩殺されてしまいそうだった小野瀬は、ハッと我にかえった。
小野瀬
「お、落ち着け穂積」
穂積
「俺は落ち着いてる。なぜ、そんな風に言うんだ?俺が嫌いか?……キスした仲なのに」
悲しげな表情で言われて、数年前の記憶が蘇る。
確かにキスした。
人妻に追い詰められたからだったが、穂積に抱き締められて、濃厚なキスをされた。
穂積の腕は力強くて、胸は広くて温かくて、唇も吐息も甘くて柔らかで、あのあと、数えきれないほどの女性とキスを交わしたけれど、穂積を超える衝撃を与えてくれた相手はいない……
そこまで考えて、小野瀬はぶんぶんと頭を振った。
しっかりしろ俺。
穂積は男なんだから、キスされて衝撃的だったのは当たり前だ!
穂積
「……葵……?」
小野瀬は、きっ、と、エミを睨み付けた。
小野瀬
「もういいだろう?穂積を元に戻してくれ」
エミは首を傾げる。
小野瀬
「俺の」
小野瀬は、穂積のシャツの襟首を握り締めて揺さぶった。
小野瀬
「俺の好きな、誇り高い穂積を返してくれ!」
エミ
「にゃおーん」
すると。
穂積が、ぱちんと瞬きをした。
穂積
「……あれ?」
小野瀬
「穂積!」
正気に戻った穂積の身体をぎゅっと抱き締めた小野瀬は、次の瞬間、穂積にごちんと叩かれていた。
穂積
「なんで抱きついてるんだ?!離れろ馬鹿!」
小野瀬
「あはは、ごめんごめん」
穂積の肩の上で、エミが、にゃーん、と満足そうに鳴いた。
[削除]
05/03(Thu) 05:39
小春
おっと。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
ジュンさんと被ったヽ( ̄▽ ̄)ノ←うれしい
小春
その夜、警視庁。
猫のエミ捜索本部である緊急特命捜査室にメンバー全員が揃い、空振りに終わったどころか、新たに発生した難題について話し合っていた。
なにしろ、今度は全員に突然、髪の色と同じ毛並みの猫耳と尻尾が出現したのだ。
しかも、いままで男女逆転の影響を受けていなかった、白河親子にまで。
とも父
「これはやはり、魔法の石に、新しい命令が下ったという事やろな……とも、笑てる場合か!」
とも
「お父ん、勘弁して…猫耳で真顔はやめて……私のツボを押さんといて……」
如月
「室長、刑事部から『猫耳と尻尾追加でセクシーさ倍増したはずの穂積を見たい』って電話が鳴り止みません!」
穂積
「『動物用麻酔銃で撃たれたくなかったら、真面目に刑事の仕事をしろ』と言ってやりなさい!」
小笠原
「どこかで誰かが猫のエミを使って魔法をかけた確率、99%」
小笠原の呟きに、小野瀬が乗っかる。
小野瀬
「それがJSである確率は?」
小笠原
「20%」
藤守
「え、JSやないんか?」
藤守の問いかけに、小笠原は頷いた。
小笠原
「可能性はゼロとは言えないけど、JSなら、あの石を見つけたら、まずは真弓さんの元に現れそうな気がする」
明智
「なるほど」
如月
「じゃあ、石を使ったのは別の誰か、ですか」
小笠原
「しかも、『猫耳猫尻尾』だなんて、石の効き目をテストした感じさえする」
明智
「なるほど」
魔法石の効果を確認した人物が、エミを手にしている。
その事がもたらす可能性は……
穂積
「ひゃあっ!」
突然、穂積が奇声をあげた。
櫻井
「あっ、す、すみません!」
穂積
「いきなり尻尾を掴まないでちょうだい!」
真っ赤になって穂積が怒鳴っている。
櫻井
「すみません、目の前に綺麗な尻尾があったものですから、つい」
藤守
「櫻井、気持ちは分かるけどな」
小野瀬
「穂積って敏感なんだね」
穂積
「お前が言うと何かイカガワシイからやめろ!」
とも父
「遊んでる場合やないで」
とも父の指摘に、一同の顔が引き締まった。
とも父
「ネコは夜行性やからな。捜査再開や!」
一同
「イエス、ボス!」
とも
「せやからその姿で真顔は堪忍して…」
翼
「室長、もう一回だけ」
穂積
「やめてよ、地味にメンタルにダメージあるのよ!」
小笠原
「はあ…くだらない…」
すると、とも父が、思い出したようにパン!と手を叩いた。
とも父
「おっとそうや、出動の前に腹ごしらえしとかなあかんやんか!」
如月
「この時間なら『さくら庵』ですよね。電話で出前頼みますよ」
澪
「小春さん、これからどうします?」
小春
「とりあえず、明日の午前中の出前の時にでも、エミさんは真弓さんのお宅まで送り届けるつもり」
さくら庵は年中無休で24時間営業。
夜も忙しく働きながら、厨房の小春とフロアー係の澪は、仕事の合間を捉えては会話をしていた。
澪
「小春さんたら、せっかく諏訪野さんと親しくなるチャンスだったのに。エミさんに『さっきの無し』なんて言ってお願いを取り消ししちゃって。もったいない」
澪がぷう、と頬を膨らます。
小春
「魔法で仲良くなってもらっても、嬉しくないでしょ?それに、私には太郎さんがいるし」
澪
「あー、はいはい。そうでしたね」
惚気話を聞かされるのはごめんです、と笑いながら、澪は、出来上がった料理を持って足早に厨房を出ていった。
それと入れ替わるように、『さくら庵』の電話が鳴った。
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12/07(Thu) 16:04
JSは小春に弱いって事でよろしく(←やりたい放題)
小春
JS
「こんな時刻に出前ですか?小春さん」
如月からの出前依頼の電話を聞き終え、厨房に注文を伝えた小春の耳に、穏やかな声が吹き込まれた。
振り返れば、男女逆転には巻き込まれなかったはずなのに、姿も声もどこか中性的な、小春の想い人が微笑んでいる。
小春
「はい。お客様のご希望ですから」
JS
「当ててみせましょう、ずばり、警視庁の緊急特命捜査室」
小春
「わあ凄い!」
どうして分かったのかと目を輝かせる小春に、JSは楽しげに目を細めただけだった。
JS
「実は、彼らと探し物競争をしていましてね。負けるわけにはいかないので、僕もまだ休めません」
小春
「こんなに遅くまで?太郎さん、いくら怪盗さんでも悪い事はいけませんよ」
声のトーンを落としたJSに、小春も声を潜めて返す。
JS
「あなたにそう言われるから、悪さはしません。ただのゲームですよ」
JSは、小春の頬に軽く唇を当てた。
JS
「小春さんは、白鳥の君にも目移りしないでくれましたしね」
小春
「太郎さんは黒鳥みたいに綺麗ですよ」
澪
「小春さあん!お料理揃いましたあ!出前お願いします」
二人の甘い雰囲気に、澪が困ったあげく大声で割って入って出前を告げた。
小春
「あっ、はーい」
JS
「やれやれ…さて、僕ももうひと頑張りしますか…では、小春さん、また近いうちに」
JSの唇が、そっと小春の唇に触れる。
瞼を開いた時にはもう、JSの姿は小春の前から消えていた。
小春
「毎度ありがとうございます!さくら庵です!」
如月
「わあ、やっぱり小春ちゃんも、猫耳男子になってる!」
小春
「……」
穂積
「どうしたの、小春?」
小春
「……あ、いえ」
捜査室に出前を頼まれた料理をミーティングテーブルに並べながら小春の動きが鈍ったのは、もしかしてエミの事を穂積に話す方がいいのではないか、と思い付いたからだ。
小春
「……あの、突然こんな話をすると、おかしいと思われるかもしれないんですけど」
穂積
「なあに?今なら、どんな荒唐無稽な話でも、たぶん信じるわよ」
金色の耳と尻尾を揺らしながら、絶世の美女となっている穂積が小春に笑顔を向けた。
確かに。
小春は思いきって、今日の不思議な体験を打ち明けようと口を開いた。
エミの事、ネックレスの石の事、願い事をした事、猫耳と猫尻尾の事……
小春
「あの、実は、今日、うちの店にお客様の飼っているネコが来て」
その時、ジュンが動いた。
***
ジュンさんは最初にJSに何かされてましたね。
というところで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/21(Sun) 12:54
JSの仕掛け
小春
ジュン
「小春さん、何か気になる事があるなら、室長さんより先に相談する人がいるんじゃない?」
効果はてきめんだった。
小春は、急に自分の言葉を遮ったジュンに一瞬戸惑ったものの、そのまま口を噤んでしまった。
一方で、やはりジュンの行動は不自然だったのか、藤守が心配そうにジュンに声をかける。
藤守
「どうしたんや、ジュン?」
けれどそれは、ジュン本人にとっても不自然だったようで。
ジュン
「ええと…何でだろう?室長さんに話し掛ける小春さんを見たら、口が勝手に」
穂積
「……小春、今、ネコの話をしかけたわね。続けてちょうだい」
今回の逆転騒動、真弓みきの持っていた石が原因だというのはもちろん、その紛失にネコのエミが絡んでいることは、警視庁の中でも、今、この緊急特命捜査室にいるメンバーしか知らない。
何も知らないはずの小春がネコの話をする事には、意味がありそうだと穂積以下一同は思った。
小春
「……」
穂積
「小春?」
だが、ジュンの一言で、小春は思い出していたのだ。
恋人の太郎が、捜査室のメンバーと競争しているのだと。
それは悪事ではなくゲームだと。
小春
「あの、やめておきます」
小春はそそくさと帰り支度をはじめた。
小春
「器は明日下げに伺います!」
穂積
「あっ、こら小春!」
元々小柄ですばしこい小春が、猫耳男子化して
さらに動きが速い。
あっという間に逃げられてしまった。
困惑するメンバーがジュンを振り返ると、ジュンもまた、藤守に追い詰められていた。
藤守
「ジュン、お前…」
答えたのは、ジュンではなく小笠原だった。
小笠原
「藤守さん」
小笠原が、人差し指を立てて唇にあて、紙に走り書きする。
≪ジュンさんに盗聴器がつけられている確率90%≫
すると、穂積がさらにその紙に書き加えた。
≪小春を追って、我々もさくら庵に行くわよ。ジュンにつけられた盗聴器は、上手く使えばJSを出し抜けるはず≫
全員、声を出さずに頷いた後、穂積が、空気を変えるように声を出した。
穂積
「とにかく、まずは腹ごしらえよ!」
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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01/29(Mon) 14:59
アニ、ごめんなさい。
ジュン
穂積
「まずは腹ごしらえよ。」
その一言でメンバーは平静を装いながら各々移動を開始する。
まず明智と小笠原、翼が静かに捜査室を出てさくら庵に向かう。
藤守と如月はジュンの隣に陣取っていつも通りの食事を開始。
ジュンの向かいでは普通に話をしながら穂積と小野瀬が筆談で作戦を練っていた。
ジュンは藤守と如月に話を合わせながらも手の震えが止まらない。
ジュンは自分にいつ盗聴器が仕掛けられたのかわからなかった。
あの不思議な人物と会ったことさえ覚えてはいないのだ。
藤守がそっとジュンの手に手を重なる。
声を出さないように『だいじょうぶ。』と口を動かした。
穂積
「さて、腹ごしらえも終わったし、エミの捜索に戻るわよ~。」
小野瀬
「お前は相変わらず食べるのが早いね。」
穂積が立ち上がり様に藤守と如月にもこれからの行動を指示したメモを手渡す。
JSを出し抜くには一分一秒が大事になる。
全員が気合いを入れて捜査室を後にした。
・・・誰もいなくなった捜査室に取り残された一人。
「ぷはっ!」
そのにいたのはアニ・・・
ジュンに盗聴器が付けられているとわかった瞬間、動揺し大声を出しかけたアニを藤守と小野瀬が素早くガムテープで口と手足を拘束したのだ。
アニ
「アイツら俺をなんだと思っているのだ!しかも俺を置いていくとは何事だ!」
なんとか自分で拘束をといたアニは一人で怒鳴り続けていた。
アニ
「はっ、こうしてはおれん。急いでさくら庵に向かわなくてはな。うむ、真のヒーローは一番最後に現れると言うしな。」
走って捜査室を出ていくアニの背中はどこか寂しげだった。
JSを出し抜く案が思い浮かばずそこは濁して…(^_^;)
アニが可哀想なことになっちゃったけど、アニは明智さん以上に演技が下手そうなのでこういう展開になりました。
あとはパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
01/30(Tue) 12:40
ジュンさんありがとうございます
小春
~さくら庵、厨房の裏口~
澪
「小春さんでしたら、お寿司とパンプキンパイの出前を配達に出掛けました、けど…」
時計が示す時刻を眺めて、澪の前で穂積と小野瀬がため息をつく。
小野瀬
「行き違いか」
穂積
「あの子はいったいいつ寝ているのかしら」
小野瀬
「澪さん、連絡取れるかな……いや、きみでもいい。この店に、ネコが来たはずなんだけど、その事で何か知ってる?」
小野瀬に顔を寄せられて、澪が頬を染めた。
澪は控え目なので自ら明かしてはいないが、彼女が小野瀬に思いを寄せている事は、周りからは一目瞭然である。
澪
「ネコって……エミさんの事ですか?」
澪の視線が一瞬、裏口の近くにあるペットケージに向けられたのを見逃すような穂積と小野瀬ではない。
素早く走り込んだ穂積が、片膝をつき、身を屈めるようにしてケージの中を覗き込む。
穂積
「いない」
小野瀬
「穂積!スカートなんだから動きに気を遣えって何回言わせるんだよ!下着が見えてるだろ!」
穂積
「澪、小春はエミをJSに渡したの?」
穂積はそんな小野瀬からのクレームを右から左に受け流す。
澪
「いいえ。小春さんは太郎さんにも、他の誰にも、エミさんの話はしてないはずです」
穂積と小野瀬は顔を見合わせた。
小春と澪は、どうやらエミの秘密を知っている。
だが二人がそれを知ったのは偶然で、だから、穂積たちとJSが共にエミを探していると知らないまま、小春は捜査室で穂積に相談しようとした。
けれど、そこにはジュンがいた。
おそらく、ジュンには、事前に催眠術がかけられていたのだろう。
常に真弓か、穂積、藤守らのそばにいて、そこに届く情報があれば、JSに伝えるように、と。
ジュン本人には、全く自覚がないままに。
中でも、多くの情報源を持ち、行動範囲も広い恋人の小春に関しては、逆に、穂積への情報を遮断するよう、先手を打ってあったのだ。
その為に、ジュンの一言で、エミは、穂積の手に渡る直前、小春の手元で止まってしまった……。
澪
「皆さんを猫耳猫尻尾にしたのは、私です」
澪は、穂積たちが驚く事を口にした。
[削除]
01/30(Tue) 12:45
小春
澪
「小春さんは、エミさんが魔法の力を持っている事に気付いて、私に荒唐無稽な願い事を試させたんです」
小野瀬
「順応が速いね」
澪
「小春さん、SFファンですから。どんな奇天烈な事も現実に起こりうると思ってるんです」
穂積
「……SFファンて凄いわね」
小野瀬
「穂積、頼むから足を閉じて」
穂積
「それで?小春はエミをどうするつもり?」
澪
「予定では、明日、飼い主の真弓さんのお宅に送り届けるつもりだったんですけど。小春さん、『ゲームらしいから、邪魔しちゃ悪いし、でも、フェアにしないといけないし』って言って悩んでました」
穂積
「悩む所そこか」
小野瀬
「日本中が大変な事になってるんだけどな。小春さん自身、猫耳男子のままなのに」
穂積
「SFファンて怖いわね」
小野瀬
「具体的には、どうしようと?」
澪
「『とりあえずその辺に置いてこようかなあ』なんて」
穂積、小野瀬
「「やめてくれーー!!」」
小春
「もちろん、エミさんをその辺に置き去りにしたりしないから安心してね」
エミ
「にゃーん」
小春
「私が考えるに、そのネックレスの石が怪しいと思うの」
エミ
「にゃーん」
小春
「たくさん仲間のいる諏訪野さんちのお庭か、薄○記さんちのお庭か、それとも、やっぱり真弓さんちのお庭がいいかなあ……?」
エミ
「んなんな」
小春
「え?違う?」
助手席のエミはケージの隙間から前足を出し、爪をひっこめた指の先で、小春の仕事用ノートパソコンをとんとんと叩きはじめた。
エミ
「んなー」
小春
「?もしかして、エミさんキーボード打てるの?」
信号で一時停止した小春がフラップを開いてワードを立ち上げてやると、エミは器用にキーボードを叩いて、画面に文字を綴りはじめた。
エミは何を考え、どこへ行き、何をしたいと小春に伝えるのか?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
02/13(Tue) 20:46
小春
実は小春は、エミの持つ魔法の力に気付いてから、一人で小さな実験を行っていた。
ひとつは、澪に願ってもらった、「猫耳猫尻尾」の、「取り消し」。
もうひとつは、「今すぐ太郎さんが私にプロポーズしに来てくれますように」。
結論から言えば、願い事は二つとも、叶わなかった。
小春
「これは、あくまでも私の仮説なんだけど。魔法を使える回数は、一人一回と決まっているんじゃないかな」
小春はハンドルを握ったまま、うーん、と唸った。
そうしてさらにぶつぶつ呟く。
小春
「だけど、私が、諏訪野さんと仲良くなるのにズルしたくない、と思って願いを取り消ししたら、それは叶ったんだよね」
そう。
諏訪野は小春が願い事を取り消すと間もなく、何事も無かったように「じゃあまたね」と、手を振って帰って行ったのだ。
小春
「だから、『自分がした願い事を取り消す事は出来るけど、他人の願い事を取り消したり、欲張って二個目の願い事をしても叶わない』んじゃないのかな」
キーボードを猫手で叩くエミを横目に、小春は、考えを整理するような独り言を続けた。
小春
「……もしもそうだとしたら、猫耳猫尻尾の魔法を解けるのは澪さんだけ……もしくは、他の人が、新しい願い事として、猫耳猫尻尾を解除するしかない……あれ?そういえば、男女逆転の魔法をかけたのは誰だろう?……普通に考えたら、飼い主の真弓さんだけど……」
エミ
「にゃーん」
小春の思考の流れを、もう少しで正解に辿り着きそう、というところでエミが遮った。
小春
「?」
小春はハンドルを切って車を道の端に停めると、パソコンに視線を向けた。
エミがキーボードを叩いた結果がパソコンの画面に反映されたのを見た小春は、そこに打ち出された文字が、ちゃんと文章になっている事に驚いた。
しかし、それが偶然ではなく、エミの能力なのかもしれないとすぐに納得するあたりが、小春の小春たるところであった。
小春
「……エミさん」
そうして、車を停めた小春は、穂積とJSのアドレスに宛てて、メールを送信した。
【エミさんが、魔法の件で、捜査室の皆さんと太郎さんに会いたいと言っています】
***
本当に会いたいだけだったりして(笑)。
ここでタリッキーにパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
02/25(Sun) 13:12
繋ぎます
小春
~捜査室~
穂積
「待ち合わせの場所は真弓邸、時間は、正午」
穂積が、改めて、小春からのメールを声に出して読んだ。
小野瀬
「その時間に、小春さんがエミさんを連れてきてくれるという事かな」
穂積
「そうね」
ようやく猫捜索から解放された小野瀬が、欠伸を噛み殺すのを横目に、穂積が頷いた。
小春からのメールが来たのは、午前五時だった。
それから全員で対策を練り、今は午前六時だ。
穂積
「白河捜査官、そういう事でしたら、待ち合わせの時間まで、部下たちに仮眠を取らせたいのですが」
とも父
「せやな。……しかし、警視庁はフル稼働中で、一度に全員は仮眠室に入りきれん。庁内で、分散して、昼まで休んでくれ」
明智
「俺は、捜査室の床でも構いません」
穂積
「アンタが床に寝たら、下の連中が困るわ。せめてソファーで寝てちょうだい」
明智
「分かりました」
小野瀬
「俺は鑑識に戻って休むよ。小笠原くんも来る?」
小笠原
「行く」
穂積
「じゃあ、藤守と如月が仮眠室を使いなさい」
如月
「はい!」
藤守
「ほな遠慮なく」
とも父
「穂積くんはどないすんのや」
穂積
「わたしは、自分の車の車内がフルフラットになります。布団も常備してますし、そこで休みますよ」
とも
「そしたら櫻井さんは、うちとお父んが泊まってるホテルに行こか?真弓さんちにも近いし」
とも父
「とも、野暮な事言うたらあかん」
とも
「へ?」
苦笑いするとも父の言葉に、ともは、翼の視線が穂積と自分とを往き来している事に気付いてあっと声を上げた。
とも
「そうか!ごめんやで櫻井さん!」
翼
「いえ、あの、とんでもないです。お気遣いすみません」
謝られるのも恥ずかしい……。
真っ赤になる翼の指先に、穂積の指先がさりげなく触れた。
とも父
「ほな、全員、十一時まで休憩や」
[削除]
02/25(Sun) 13:23
繋ぎます
小春
穂積
「櫻井、大丈夫?床、硬くない?」
翼
「はい。仮眠室より快適なくらいです」
実際、アスリートも使うという有名なエアーマットが敷かれたそこは、とても車内とは思えないほどの寝心地。
掛布に包まれていると、隣に穂積が横になって、翼を抱き寄せてくれる。
穂積
「疲れたでしょ。眠りなさい」
フロントと運転席、助手席のガラスにはサンシェード、周りのガラスはブラインドガラス。
外から覗かれる不安もなく、翼は軽く目を閉じてみた。
すぐに、睡魔に連れていかれてしまいそうだ。
でも……
翼
「睡魔より、悪魔のそばにいたいです」
ふふふ、と穂積が笑った。
穂積
「抱いて寝てあげる」
唇が重なる。
翼
「室長…泪さん、て呼んでいいですか」
穂積
「駄目だ。抑えきれなくなるから」
駄目だと言いながらも口調が恋人のそれに変わり、深い口づけを繰り返す。
穂積
「……女の身体も、正直なんだな」
翼
「私に感じてくれてるんですか?」
仰向けになった翼の身体に、体重をかけないように穂積が身体を重ねた。
穂積
「パンツに手を入れてみてもいいぞ」
くすくす笑う穂積は、美女なのに愛らしい。
パンツに手を入れるかわりに、翼はプライベートのスマホを取り出して、穂積にカメラを向けた。
パシャ。
翼
「可愛い」
穂積
「あまり、今の自分の姿を想像したくないんだが」
パシャ。
翼
「ん?」
ふと、ファインダーを覗き込んでいた、翼の表情が変わった。
穂積
「どうし」
穂積も、すぐに違和感に気付く。
穂積
「なん、」
その声が、変わった。
男の声に。
穂積
「あ」
翼
「あ!」
驚く二人の声が、シンクロした。
穂積の身体が、猫耳猫尻尾はそのままに、男性に戻っていたのだ。
02/25(Sun) 13:34
エミハーレム暴走開始か?
小春
~諏訪野家の庭~
小春とエミは、諏訪野邸の中庭にいた。
芝生に正座してパソコンを膝に乗せた小春の周りには、たくさんの犬や猫が集まっている。
早朝の訪問にも関わらず、主の諏訪野はにこやかに小春を迎えてくれ、「好きなように過ごしていいよ」と言ってくれた。
小春は、ここに来るまでに自分が考えていた仮説が間違っているのではないかと思ったほどだ。
けれど、それを証明する術もない。
エミが到着すると庭には猫たちが集まりだし、エミとにゃーにゃー鳴き合ったかと思うと、次々にパソコンを打ち始めたのだ。
最初はもちろん、エミだった。
エミが『男性に戻った警視庁イケメンツートップのおのほづが見たい』という主旨の願いごとを打ち込んで、「にゃごにゃごにゃおーん」と鳴いた直後、首から下げたネックレスの石が輝いたのを、小春は確かに見た。
***
いやいや、止めろよ小春。
というところで、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
02/27(Tue) 10:48
素直な小野瀬さんと賢史くん
ジュン
捜査室のドアがバタバタと開き、メンバーが勢揃いした。
穂積
「みんな元の性別に戻ってるわね。」
小笠原
「猫耳と尻尾はそのままだけど。」
とも父
「誰かがまた願い事を叶えたゆうことやな。」
如月
「小春ちゃんでしょうか?今、猫のエミと一緒なのは小春ちゃんなんですよね?」
パシャっ!
小野瀬
「あははっ。穂積の女装写真ゲット!」
藤守
「室長、男の姿でその格好は反則ですわ~。あ~、腹痛い。」
穂積
「アンタたち・・・」
穂積は人間とは思えない速さで藤守に一撃を食らわし、小野瀬からスマホを取り上げた。
明智
「とにかく誰が願い事をしたかは分かりませんが着替えましょう。」
笑いを噛み殺しながらあくまで冷静に明智が穂積を促した。
全員が着替えを済ませ再び仮眠に戻るのだった。
男の姿で超スリット、ガーターベルトの室長。
貴重だな~。
少しですけどここでパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
[削除]
04/03(Tue) 12:11
ジュンさんさんありがとうございます
小春
猫耳と尻尾は残っているものの、とりあえず元の性別に戻ったメンバーは、それぞれ仮眠を終え、捜査室に再集合していた。
とも父
「おお、男に戻っても、全員やっぱり男前やなあ」
とも
「櫻井さんも女の子に戻れたんやな。やっぱり可愛いわあ」
白河父娘はのんきな事を言っているが、実は、性別逆転が解決したのは捜査室のメンバーだけで、日本中の混乱はまだ続いている。
穂積
「とりあえず、JSとの正午の待ち合わせに向かいましょう。白河捜査官たちは、こちらで待機してください。ワタシたちは、真弓邸に…」
穂積が、そこまで言った時。
穂積
「あ?」
小野瀬
「ん?」
突然、穂積と小野瀬の姿が消えた。
と思った、次の瞬間。
翼の足元に、金色の猫と、赤みがかった茶色の長毛の犬が出現した。
翼
「しっ?」
如月
「えっ?!室長と小野瀬さんが、猫と犬になっちゃった?!」
如月の素っ頓狂な叫びをよそに、金色の猫は翼を見上げると目を細め、ひょい、と跳び上がって翼の腕に抱かれる。
翼
「えっ?えっ?室長……ですよね?」
パニックになりかける翼をよそに、金色の猫はにゃあ、と鳴いて、翼の頬をべろりと舐めた。
一方、諏訪野邸の庭には、猫耳と尻尾の消えた穂積と小野瀬が出現し、エミに跳びつかれていたのだが……
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
05/02(Wed) 13:58
小春
身体に変化を感じるのと、初めて体験する浮遊感は同時だった。
捜査室から、まさしく一瞬の間に諏訪野家の庭に移動した穂積と小野瀬だったが、既に何度も体験しただけあって、魔法が使われたのだと理解するのも速かった。
エミ
「にゃーん!」
穂積
「捕まえた!」
穂積は、飛びついてきたエミをしっかりと抱き抱えた。
冷静だったのは小野瀬も同じ。
小野瀬
「小春さん、困るなあ」
めっ、と小野瀬にたしなめられて、小春が、小さい身体をさらに小さくする。
小春
「ごめんなさい。……でも……あれ?」
小春がなぜか首を傾げる。
小野瀬
「どうしたの?」
小春
「エミさんのリクエストは、たしか……」
小野瀬
「?」
小野瀬が首をかしげた、次の瞬間。
穂積
「……小野瀬……」
小野瀬
「ん?」
何だろう。
急に、周りの空気がピンク色に染まったような……
振り向いた小野瀬のすぐ目の前に、穂積の綺麗な顔がどアップで迫っていた。
小野瀬
「うわ」
穂積
「小野瀬……いや、葵、と呼んでいいか?……俺の事も、泪、と、呼んで欲しい……」
なんだこれ。
小野瀬は焦ったが、いつになく穂積が頬を染めてもじもじしているものだから、ふざけんなと一喝するわけにもいかないし、どう対応すればいいのか分からない。
穂積
「……葵」
小野瀬
「る、泪」
名前で呼んでやると、穂積はぽっと顔を明るくして小野瀬に近付き、恥じらうように小野瀬の胸元に指先でハートを描くような仕草を繰り返した。
理由が分からないが、しかし、もともと穂積はとんでもない美貌の持ち主だ。
どんな姿も絵になるし、いつもの憎たらしさからは想像もつかないような可憐さなのだ。
猫のエミはいつの間にか穂積の背中に移り、肩越しに穂積と小野瀬を見て楽しんでいるようだ。
エミ。
穂積の色気に悩殺されてしまいそうだった小野瀬は、ハッと我にかえった。
小野瀬
「お、落ち着け穂積」
穂積
「俺は落ち着いてる。なぜ、そんな風に言うんだ?俺が嫌いか?……キスした仲なのに」
悲しげな表情で言われて、数年前の記憶が蘇る。
確かにキスした。
人妻に追い詰められたからだったが、穂積に抱き締められて、濃厚なキスをされた。
穂積の腕は力強くて、胸は広くて温かくて、唇も吐息も甘くて柔らかで、あのあと、数えきれないほどの女性とキスを交わしたけれど、穂積を超える衝撃を与えてくれた相手はいない……
そこまで考えて、小野瀬はぶんぶんと頭を振った。
しっかりしろ俺。
穂積は男なんだから、キスされて衝撃的だったのは当たり前だ!
穂積
「……葵……?」
小野瀬は、きっ、と、エミを睨み付けた。
小野瀬
「もういいだろう?穂積を元に戻してくれ」
エミは首を傾げる。
小野瀬
「俺の」
小野瀬は、穂積のシャツの襟首を握り締めて揺さぶった。
小野瀬
「俺の好きな、誇り高い穂積を返してくれ!」
エミ
「にゃおーん」
すると。
穂積が、ぱちんと瞬きをした。
穂積
「……あれ?」
小野瀬
「穂積!」
正気に戻った穂積の身体をぎゅっと抱き締めた小野瀬は、次の瞬間、穂積にごちんと叩かれていた。
穂積
「なんで抱きついてるんだ?!離れろ馬鹿!」
小野瀬
「あはは、ごめんごめん」
穂積の肩の上で、エミが、にゃーん、と満足そうに鳴いた。
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05/03(Thu) 05:39
小春
おっと。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○