『アブナイ☆恋の逆転捜査室』
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08/31(Thu) 08:35
検察庁では…
ジュン
明智
「思い出の品…何か心当たりはありますか?」
明智さんの質問に真弓さんは首を振った。
とりあえず、カードが届いた状況などを聞き、今日は解散となった。
小野瀬さんと小笠原さんはラボに戻ってカードを調べるのだけれど。
穂積
「今日も家へ来るか?」
帰り際、皆には聞こえないように泪さんが耳打ちをしてきた。
私は少し悩んだが今日は寮へ戻ることにした。
~~検察庁~~
捜査室のメンバーとアニが真弓のもとを訪れていた間、ジュンは検察庁に戻って出張の間のことを纏めるためPCに向かっていた。
ジュン
「ふう、ちょっと休憩。」
席を立ちコーヒーを淹れ自分の席に戻る。
しかし、ジュンの席にはすでに誰かが腰を掛けている。
背中を向けているので顔は見えない。
ジュンは首を傾げながら近付き声をその背中に向かってかけた。
ジュン
「あの…?」
ジュンの声に振り返ったのは男性とも女性ともわからない人物。
「あなたを待っていたんです。」
ごく軽い口調でそう言った人物は立ち上がりジュンに握手を求めた。
しかし、ここは検察庁のアニの部屋。
部外者が入ってこれるわけがない。
本来、アニの事務官としてのジュンはしっかり者。
恋人に見せる可愛い面は検察庁では見られない。
だからいつもならすぐに警備員を呼びに走っただろう。
その前に声をかけるなんてこともしなかったはずだ。
しかし今日は違った。
この人物の背中を見た瞬間から本来の思考はできずにいた。
差し出された手をすっと握り返す。
「あなたにはこれから少し僕のために働いてもらうことになるかもしれないね。よろしく。」
次にジュンの思考が戻ったのは淹れたコーヒーがすっかり冷めた頃。
ジュン
「あれ?私、何してたんだっけ?」
JSに接触したジュン。
これからどう動くことになるのか!?
それは全くわからない~(笑)
とりあえず、パース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
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09/01(Fri) 21:36
ジュンさんありがとうございます、(´ 3`)ちゅー
小春
真弓邸で解散した後、沈んだ様子で警視庁の女子寮に帰った翼を除く捜査室メンバーたちは、そのままだらだらと居酒屋に流れていた。
ただし、勤務時間内ではないものの、非常事態宣言が発令されているため、厳密には待機中。
口にするのが許可されているのは、基本的にはノンアルコール飲料だけだ。
当然酔えないし、アルコールの力に頼って愚痴る事も出来ない。
穂積
「……」
乾杯する気分でもなく、穂積は自分の前に置かれた、ノンアルコールビールの泡を見つめていた。
小野瀬
「穂積、気持ちは分かるけど溜め息はやめて。お前が凹むと士気に関わるよ」
小野瀬に言われて、ようやく自分が溜め息をついていた事を知るような有り様だった。
穂積
「…その通りだわ。みんな、ごめんね」
謝る穂積に、藤守も如月も慌てて手を振り回す。
藤守
「いえ、そんな。室長のせいと違います、悪いのはアニキや」
如月
「俺だって、気持ちとは裏腹に身体がオトコに反応したら、混乱しちゃいますもん」
アニ
「黙って聞いていれば俺が加害者のような言われようだぞ」
不本意だな、と口をへの字に曲げるアニを横に、心配そうな明智が穂積の顔を覗き込んだ。
明智
「……室長、今は一応プライベートな時間ですから、敢えてお聞きしてもいいでしょうか?」
穂積
「いいわよ」
明智
「…室長が、今、一番戸惑っているのは、…櫻井の事ですよね?」
明智らしい直球の問い掛けに、さすがの穂積も苦笑を浮かべる。
それは肯定と同じ意味だった。
穂積
「アニに触られて身体が反応しした事、櫻井に伝えたのはまずかったかしらねえ」
はあ、と、今度は大きく分かりやすく、穂積は溜め息を吐き出した。
小野瀬
「でも、その前に櫻井さんが白河さんに触られた時、彼女も驚いたような反応をしたように俺には見えたよ。だからこそ穂積だって、櫻井さんに、自分も同じ体験をしたと伝えたんだろう?」
穂積
「そうなんだけど」
うーん、と、穂積は腕組みをした。
穂積
「なんだか、ワタシが男の身体だった時より、女性化した今の方が、櫻井はワタシと付き合っている事に対して気後れしているように思えるわ」
二人が婚約まで交わしている仲なのは、捜査室の中ではもう周知の事実だ。
藤守
「あ、でもそれは見てて感じますわ。ジュンでさえ、今の俺は自分よりナイスバディや言うてむくれてましたもん。ましてや櫻井の場合、パーフェクトボディの室長が相手ですやん。落ち込むのも道理ですわ」
穂積
「意味が分かんない。そんなに、他人からの見た目が気になる?ワタシって、そんなに櫻井と釣り合わない?それとも、今のワタシ、女の身体が求めるままに、他の誰かやアニと浮気するかもしれない、とでも思われてるの?」
アニ
「しないのか」
穂積
「しないわよ」
小野瀬
「穂積の最初で最後の男は俺なんだからね」
穂積
「ややこしい対抗意識を燃やすんじゃないわよ」
穂積は小野瀬を小突いたものの、ツッコミにも今一つ元気がない。
穂積
「…ああ、櫻井に元気を取り戻して欲しいわ」
また溜め息をつきかけて、ふと、その溜め息が止まった。
穂積
(……最初の男……最後の男……ねえ……)
***
翌日。
出勤してきた全員が捜査室に揃うなり、穂積が切り出した。
穂積
「今朝早く、真弓さんから連絡があったわ。例の、JSからの予告状に書かれていた文章について、思い当たった事があると言うの」
明智
「では、早速」
穂積
「藤守、ジュンに連絡して、真弓邸に来てくれるよう頼んでくれるかしら」
藤守
「へ?…そら構わんですけど、なんでまた、ジュン?アニキは?」
穂積
「理由は分からないけど、真弓さんからのご指名なのよ。アニはどっちでもいいわ」
藤守
「はあ…分かりました」
電話をかけるために、藤守が廊下に出ようとした時。
???
「おっと、失礼」
ちょうど、捜査室の扉を開けようとしていた人物とぶつかりそうになって、相手が声を上げた。
???
「おお、これは、ともから聞いて想像していた以上や!べっぴんさんばっかりで、えらい壮観やなあ!」
眩しいほどの笑顔を浮かべて両手を広げたのは、FBI特別捜査官・白河こと、とも父であった。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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10/16(Mon) 20:18
なぜ呼ばれたのか!?
ジュン
ジュン
「あの、どうして私が呼ばれたんでしょう?」
藤守に呼ばれたジュンが穂積たちを前に戸惑った表情をしている。
心配したアニも一緒に来ていた。
とも父
「それは行ってみないとなぁ。」
捜査官の白河父、ともも同席している。
とにかく真弓さんのところへ向かおうと皆が立ち上がる。
そんな中、顔色があまりよくない翼の隣にそっと穂積が近付いた。
穂積
「不安になるな。」
そう小声で呟いて一瞬翼の手を握る。
すぐに離れた手だったが翼の胸は高鳴った。
ほんのすこ~しだけ書いてみました。
続きをパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
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10/17(Tue) 14:28
ジュンさんありがとうございます
小春
携帯の故障で下書きが消えたおかげで、全く違う展開に(笑)
***
~真弓邸~
真弓
「こんなお忙しい時に、何度もお越しいただいて恐縮です」
今日の真弓みきは、ダークブラウンのスーツ。
その姿を離れた場所から眺めて、翼は溜息をついた。
もともと男装が趣味なだけあって、本当の男性の身体になった今は、完全にダンディなおじさまにしか見えない。
真弓は文句のつけようがないほど格好いいし、優しく上品で素敵な人だけれど、女性になった穂積の傍に寄り添う時だけは不愉快だ。
けれど翼がどう思おうと、穂積は真弓と話をしないわけにはいかない。
穂積
「いいえ。それより、予告状のことで思い出した事がある、というお話でしたが。『あなたを彩った思い出の品』についてでしょうか?」
穂積の隣には白川捜査官(とも父)が立ち、明智がメモを構える。
すると真弓は全員に向かって、いきなり、深々と頭を下げた。
真弓
「申し訳ありませんでした!」
全員
「えっ?!」
真弓
「…実は、最初から分かっていたのです。ですが、あまりにも荒唐無稽な話で、信じていただけないと思って…それで、口に出せなかったのです」
短い沈黙の後、穂積が口を開いた。
穂積
「…ご説明をお願いします」
真弓
「はい」
真弓は促されて顔を上げ、一同がソファに座るのを待って、話し始めた。
真弓
「…実は、私は、男として生まれたのです」
如月
「えっ?!」
小笠原
「しっ」
素っ頓狂な声を上げかけた如月を、小笠原が素早く制した。
真弓
「…驚かれるのも、無理はありません。わたしはずっと、女性として生きてきましたから」
真弓は静かに続けた。
真弓
「わたしのこれまでの人生については、今、重要ではないので割愛しますが…ざっくり言いますと、わたしの親は、女の子が欲しかったのです。そこで世界中をまわって、不思議な力を秘めた石を見つけました」
とも父
「ほお、石」
思わずとも父が声を漏らした。
真弓
「はい。その石を手にして願うと、望みが叶うのです。そこで、わたしの親は、石に願いをかけました。『自分の息子を、娘にしてください』と。そして、望みが叶い…つまり、わたしが娘になったところで、その石は封印されたのです」
穂積
「…話が見えてきたわね。なるほど、JSの好きそうな事件だわ」
穂積は誰に言うともなく呟いた。
が、翼には、まだ、真弓の話の結論も、事件の解決方法も、見えてはこない。
穂積以外の捜査室メンバーも、どうも、釈然としない表情をしているように見える。
真弓
「けれど、当のわたしは、自分が男として生まれたことも、石の力も、いいえ、そんな石が存在することすらも、知らなかったのです」
とも父
「その石が、この事件の発端や、と?いや、そしたら真弓さん、もしやあんたが、この事件を起こしたんか?」
どうやら、真弓の言う「荒唐無稽」を受け入れた順に、事件の全貌が見えてくるらしい。
真弓
「…はい。わたしが、この事件を起こした犯人です」
10/17(Tue) 15:53
エミさん登場
小春
真弓の告白は、その場にいた全員を驚かせた。
だってそうだろう。
どんな魔法か知らないが、たった一個の石が、日本中の男女の性別を、一夜にして逆転させた、というのだから。
真弓
「先日、久しぶりに実家を訪れた時の事です。年老いた両親が真剣な顔で待っていて、私に、魔法の石の話を、私の性別を逆転させたことを、打ち明けてくれました」
穂積
「…その時は、驚かれたでしょうね」
真弓
「すぐには信じられませんでした」
真弓は頷く。
真弓
「けれど、その石は封印されていた、と申し上げましたが、実は、ずっと、私の元にあったのです」
そういうと、真弓は、サイドボードの上に置かれていた小さな写真立てを手にし、穂積に向けて差し出した。
そこには、真っ白いネコを膝に乗せた、美しい女性の姿の真弓が写っている。
真弓
「この写真で、わたしは、金色の鎖のネックレスをしていますね。これには、ちょうどピンクダイヤのように見える、2cmくらいの石が付いているのですけれど」
なるほど、写真の中の真弓の胸元には、ピンク色のペンダントヘッドが煌めいている。
とも父
「ほな、それが?」
穂積から写真立てを受け取ったとも父が、唸るように言った。
真弓
「はい。…両親から謝罪と説明を受け、わたしには、自分の性別を選択する機会が与えられました。わたしは悩みましたが…石に、願いをかけてみることにしました」
とも父
「そうして…あの日、か」
真弓は頷いて、その時を再現するかのように、目を閉じた。
真弓
「わたしは石を握りしめ、願いました。…『性別を逆転させてください』」
全員
「「「あああああああああーーーーーーー!!」」」
真弓
「…と、いうわけなのです」
全員が頭を抱えている中、翼が口を開いた。
翼
「つまり、真弓さんは、『わたしの性別を』と限定するのをうっかり忘れたまま、願いをかけてしまった…?」
真弓
「本当に、本当に、申し訳ありません…!!」
とも父
「事実は小説よりも奇なり…やな」
明智
「しかし、そうと気付いた時、すぐにやり直せばよかったのでは?」
明智がもっともな事を言う。
真弓
「それが…わたしが、自分の身に起こった変化に驚いている間に…エミが」
藤守
「エミ?」
真弓
「写真に写っているネコです。その子が、ネックレスをくわえて、どこかへ飛び出して行ってしまって」
全員が改めて、写真を見つめた。
如月
「じゃあ…俺たちの仕事は、このネコを探すこと?!」
小野瀬
「たかがネコ…と思うなかれ、だよ。この石の価値を知る人間に悪用されたら、さらに深刻なことになる」
翼
「少なくともJSは、石の価値を知っていると思っていいですね」
穂積
「そうね。知っていて、もしかしたらすでに手に入れていて、真弓さんと何らかの取引をしようとしている…」
穂積の呟きに、皆が表情を引き締めた。
とも父
「よっしゃ!みんなでネコのエミを探すでえ!」
全員
「了解!!」
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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10/19(Thu) 11:41
もうちょっと追加
小春
~警視庁、捜査室~
真弓邸を出た捜査室メンバーは、一旦、警視庁に戻って対策を練り直す事にした。
捜査室のミーティングテーブルを囲んで、穂積が指示を出す。
穂積
「全員で闇雲に動いたところで、ネコが見つかるとも思えないわ。チームを作って、手分けして探しましょう」
とも父
「そうやな。…ほな、俺とともが本部として警視庁に残るわ。ここにいて、都内の地図を用意して、みんなからの報告をまとめて、捜索範囲を絞っていく事にしよか」
穂積
「お願いします」
穂積は白河親子に頭を下げた。
穂積
「真弓さんの話によれば、エミは賢いネコで、電車やバス、タクシーにも乗り込んで移動する事があるそうよ。だから、捜索は都内全域を対象とするわ」
如月がうぇぇ…と声を出す。
穂積
「明智と如月は、東から。藤守兄弟とジュンは、西から。小野瀬と小笠原は、南から。ワタシと櫻井は北から、しらみ潰しにエミを探しましょう」
全員
「はい」
穂積
「もちろん、全域の警察の生活安全部と交番に協力してもらえるよう、真弓さんの名前で、エミの捜索願いを出してもらうわ」
小野瀬
「それでも、途方もない捜索になるだろうけどね…」
藤守
「まだ、男女逆転の大混乱の真っ最中ですしね」
アニ
「山田太郎がまだ魔法の石を手に入れていなければ、あいつと競争、という事になる場合もあるぞ」
明智
「全く関係の無い第三者の手に渡る危険だけは避けたいですね」
如月
「そうか、少なくともJSには、真弓さんに石を返す気持ちがあるんですもんね」
小笠原
「でも、あいつは気紛れだ。早くしないと気が変わるかも」
穂積
「そういう事。さあ、気合い入れていくわよ。では、白河捜査官、お願いします」
とも父
「え?…いいんか穂積くん?俺、いっぺんやってみたかったんや!ほな!」
とも父の満面の笑みを受けて、全員が背筋を伸ばす。
とも父
「緊急特命捜査室、出動!」
全員
「「イェッサー、ボス!」」
~刑事部廊下~
身仕度をして廊下に出た翼が目にしたのは、一足先に出ていた穂積が、刑事部の刑事たち数人と話をしている姿だった。
もちろん、翼から見れば、全員が女性だ。
けれど、同時に、全員が男性でもある事を翼は知っている。
「聞いたぞ穂積、ネコを探すんだってな?」
「この大変な時に、さすが雑用室だな」
彼らは普段から、穂積や捜査室に対して敵愾心を剥き出しにしている。
その嫌味な態度にも腹が立つ。が、今日、翼を苛つかせたのは、彼らの好色な目だった。
穂積の美しい顔に胸に腰に脚に注がれる視線に、穂積は知らん顔をしているが、翼には耐え難かった。
だから、声が出た。
翼
「室長、お待たせしてすみません!」
穂積が振り向いて、頬笑む。
「お、櫻井か?なんだ、どこの子供かと思ったぞ」
「男になっても非力そうだな!」
翼
「…!…」
一転して自分に向けられたからかいの言葉に反論出来ず、翼は声を失う。
穂積
「櫻井の才能は、魅力は、見た目でも馬鹿力でもありませんよ」
近付いてきた涼しい声の主に肩を抱かれて、翼は穂積を見上げた。
穂積
「さ、行くわよ櫻井」
翼
「…はい」
穂積に促され、刑事たちに会釈してから、小走りにエレベーターにへ乗り込む。
扉が閉まり、駐車場に向かうために行き先階のボタンを押そうと伸ばした翼の手を、穂積の手が掴んで止めた。
翼
「室長……」
穂積
「こんな場所だけど、いいか?」
低い声。
何を訊かれたのかは、すぐに分かった。
翼は身体の向きを変えて、穂積を見上げる。
視界が、潤んでいた。
瞬きすると涙が溢れそうだ。
穂積
「泣くな」
穂積の腕が翼を抱き寄せ、そのまま、唇が重なった。
穂積が翼の身体を抱き締めて、口づけが深くなる。
翼もまた、腕を伸ばして、穂積の肩を頭を、抱き寄せた。
互いに求め合う口づけの交歓の合間に、穂積が囁いた。
穂積
「早く、石を見つけような」
涙を溢しながら、翼が頷く。
穂積
「俺はこの身体のまま、お前に抱かれるのも悪くないと思ってるけど」
頬を寄せる穂積が、自分を笑わせようとしてくれているのは、翼にも分かった。
けれど、ずっと抑えてきた涙は、穂積の腕の中で、堰を切ったように止まらなかった。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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10/23(Mon) 17:39
ぶはっ(*゚∀゚)・∴
エミ
あのキャラ登場って誰だろう?とワクワクして来てみれば…(笑)
**********
真弓邸で飼われているエミの生活スタイルは自由そのもの。
行動範囲も広く、猫や犬だけでなく人間も含め、顔馴染みは数知れず。
突然フラッと出掛けたり、一日中寝ていたり、何日も帰ってこなかったり。風の吹くまま気の向くまま、北へ南へ西へ東へ。
そんなエミは、とある瀟洒な洋館の庭に来ていた。
庭に設えてある池の辺に猫の背中がふたつ。ひとつはエミで、もうひとつは金髪に近い毛をしたルイ。
ルイはこの界隈のボス的存在であり、賢くて多くの仲間がおり、皆に慕われているイケメン猫。
エミはルイと情報交換をするために数日おきに此処へ来ていた。完全家猫とは違い、外を自由に出歩く猫には猫なりの事情があるのだ。
しばらくすると、大型の洋犬・アオイが優雅な足取りで猫たちの傍らまでやって来て、ルイの頬をペロリと舐めた。
ルイは、嫌そうに顔をしかめてアオイの鼻先を軽くパンチする。この庭でのいつもの光景である。
アオイは、知識が豊富で賢くて、優しい物腰と見た目の優雅さでモテモテな犬。
散歩へ出ると、犬や猫だけでなく、散歩をさせている飼い主や道行く女性までもがアオイに近寄ってくるので、いつも大変だと洋館の主がボヤいていたのをエミは知っている。
二匹がじゃれ合う様子を堪能したエミは洋館を後にした。
先ほどの洋館からだいぶ離れた場所にある、純和風の家。エミはそこの竹垣を勝手知ったる様子でくぐり抜け、縁側で寛ぐ二匹の猫の元へとやって来た。
ニャーと挨拶を交わし、ひらりと縁側へ飛び乗る。
縁側にいたのは、毛繕い中の黒猫のトシゾーと、お気に入りの座布団の上で日向ぼっこをしている茶トラのソージ。
この家には他にも数匹の犬がいて、いつもならワンワンキャンキャン賑やかだが、散歩の時間で留守なのか静まり返っている。
彼らは彼らでこの地域を仕切っている軍団で、こちらも情報に長けていたり喧嘩も強かったりで頼りになる存在。そして、洋館の犬猫コンビと同じく美形揃い。
ソージがエミの喉元に前足を伸ばし、チョチョイっと触れた。
組紐でできた首輪に重ねるように金色の鎖のネックレスが着けられ、ピンク色の石が揺れている。
数日前に会った時にはそんな物は着いていなかったよね?とでも問うように、ソージは首を傾けた。
**********
男女逆転は人間限定でいいですよね?←ここまで書いといて今更(笑)
トシゾーとソージは薄●鬼です。原画集を眺めていたら登場させたくなってしまいました(笑)
大型の洋犬アオイはボルゾイを思い浮かべてください。
ほとんどストーリーと関係無い内容でゴメンナサイね~(汗)
さて、エミにネックレスを着けてあげたのは誰なのかしら?
パース(*^∀^)ノ⌒○
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10/26(Thu) 07:37
エミさんありがとうございます♪
小春
「にゃーん」
「あ、小春さん。エミさんが来ましたよ」
桜田門駅前、そば屋『さくら庵』。
厨房の勝手口から外に出て、大量の玉ねぎの皮を剥く作業をしていた澪が、エミに気付いて、店内に向かって声をかけた。
その間にエミは生け垣の上から地面に飛び下りると、低い椅子に腰掛けている澪の足に甘えるように、白い身体を擦り寄せる。
澪
「待っててね、エミさん……はい、いつもの。今日は『ディナー』だね」
立ち上がった澪が、傍らにある小さな冷蔵庫から取り出したのは、様々な種類の肉や魚が、色とりどりの小さな切れ端になって盛り合わされた、一枚の皿。
中トロ、サーモン、レタス、うずらの卵、焼き魚、ローストビーフ…
茹でたマカロニをもぐもぐ食べ始めたエミを眺めて目を細めてから、澪は玉ねぎの皮を剥く作業に戻った。
「こんにちは、エミさん」
厨房から出てきて、エミに挨拶したのは、さくら庵の店主の娘、小春。
今は揃って桜色の作務衣を着た青年の姿をしている澪も小春も、本来は女性だ。
小春の方が少し年上だけれど、見た目は澪の方がすらりと長身で、大人びて見える。
それでも、アルバイトで入ったばかりで礼儀正しい澪は、客のどんな注文にも笑顔と心意気で応じる「さくら庵」のスタッフと、その中心的人物である小春を慕っていた。
小春たちの方も聡明な澪を可愛がっていて、二人は姉妹のように仲の良い、凸凹コンビだ。
「諏訪野さんのお庭で遊んで来たの?」
「にゃーん」
小春の質問に頷くように鳴いた後、澪がくれたメインデイッシュを空にしたエミは、今度は小春が置いた深皿に入っているミルクに舌を伸ばして、喉を鳴らす。
澪
「小春さんが首輪にしてあげたネックレス、ちゃんと着けてますね」
小春
「エミさんは綺麗だから、よく似合うよ。あちらのお庭には、アオイくんのお友達のイケメン猫が集まるんだもの。おめかししなくちゃ」
「にゃーん」
澪
「きっと真弓さんのネックレスだから、無くさないようにって工夫して着けたけど。どこかに引っ掛けないよう気を付けてね」
「にゃーん」
ミルク皿も空にしたエミの口元をおしぼりで拭いてやってから、エミを膝に乗せた小春が、ネックレスの石を掌の上で玩ぶ。
澪
「小春さん、諏訪野さんのお家の庭って、広いんですか?」
小春
「出前の時に見せていただいた事があるけど、洋風で池もあって、綺麗なお庭だよ。一度、犬のアオイくんと猫たちと、諏訪野さんがフリスビーやってたな」
澪
「…結構広いですね」
小春
「お母さんも息子さんも、とっても綺麗で優しい人でね。…少ししかお話しした事無いけど、もし、向こうが嫌じゃなかったら、仲良くなりたいなあ」
膝の上で小春に撫でられながら、にゃーん、と鳴いたエミの胸で、ピンクの石が静かに輝いたのを、見ていた者は誰もいなかった……
***
お馴染みの役で小春登場(笑)
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
12/02(Sat) 14:42
澪さんのせいではない(笑)
小春
厨房の勝手口を出た裏庭で、ネコのエミを交えて短い休憩時間を過ごしていた澪と小春の耳に、ふと、「さくら庵」店内からのざわめきが聞こえてきた。
澪
「何でしょう?賑やかですね。誰か芸能人が来たのかな?」
有名店なので、グルメ番組の取材や著名人のお忍び来店も珍しくない。
けれど、小春の頭の中にある予約帳によれば、今日はそんな来客は無かったはず。
もちろん飛び込みで来てくれる可能性もあるが…、
誰であれ騒がれて他のお客様に迷惑がかかりそうなら、速やかに別室にお通ししなければならない。
二人がそんな事を考えていると、今度は明らかに、接客係の従業員が小春の名前を呼ぶ声がした。
接客係
「小春さん、お客様です」
小春
「はい、ちょっと待ってくださいね」
エミを膝から下ろしながら、小春が立ち上がった。
素早くエプロンを新しいものと取り替え、綺麗に手を洗って店内に戻る。
すると、そこには、目が眩みそうなほど美しい、長身の女性が小春を待っていた。
「…諏訪野さん」
長い髪も、肌も、真っ白。
ブリーチではなくいわゆるアルビノで、生まれつき全身の色素が薄いのだと聞いたことがある。
白いチノパンもシャツもジャケットも男物をそのまま着ていて、どうやら女装する気は無いらしい。
それでもその美貌ときたら、店内の視線が全てそこに集まっているほどだ。
つい今しがた話題にしたばかりの相手の来訪に、小春が内心驚いていると、その女性…本来は男性だが…諏訪野が、悪戯っぽく微笑んだ。
諏訪野
「来ちゃったよ」
小春
「お電話下さったら出前に伺いますのに。でも、来店して下さって、嬉しいです」
諏訪野
「出前も美味しいけど、店で食べるならきっともっと美味しいと思ってね。それに」
諏訪野は小柄な小春の前で、上半身を折るようにして長身を屈めた。
諏訪野
「きみに会いたかったし」
小春
「……」
小春の頬が、ぽっと染まる。
けれど、その表情はどこか硬い。
諏訪野を席に案内して厨房に戻った小春の元に、澪が小走りに寄って来た。
澪
「凄いタイミングですね、小春さん」
小春
「…澪さん、エミさんはまだ裏にいる?」
澪
「はい」
小春
「ちょっと、来て」
小春は澪を引っ張って、エミの所へ戻ってきた。
澪
「どうしたんですか小春さん。せっかく、憧れの諏訪野さんが来てくれたのに」
小春
「澪さん、エミさんを撫でながら、何か、お願いをしてみてくれる?」
澪
「お願い?小春さんに、ですか?お給料の事とか?」
小春
「…分かった来月から少し上げる。じゃなくて。出来るだけ、突拍子もない願い事がいい」
澪
「急に言われても……」
小春に急かされた澪は、エミの白い背中の毛を撫でながら、戸惑いぎみに呟いた。
澪
「じゃあ、可愛い猫耳と尻尾が生えますように!で、どうですか?」
エミのネックレスが煌めいた、次の瞬間。
いまだ男女逆転に揺れている日本列島に再び激震が走り、同時に、小春の手が、エミを、来客のペットを一時預かりする為のケージに放り込んでいた。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
12/07(Thu) 07:46
猫耳~
ジュン
「!!!」
穂積と並んで猫のエミを探していた翼は隣の穂積を見て悲鳴にならない悲鳴をあげた。
綺麗な穂積の金髪から綺麗な猫の耳が生えていたのだ。
穂積
「櫻井?どうかしたの?」
猫の居そうな車の下を覗き込んでいた穂積が翼の異変に気づき顔をあげた。
穂積
「櫻井、あんた…」
穂積が見たものも翼に生えた猫の耳。それに可愛らしい尻尾だった。
一瞬、何が起こったのか、目の錯覚かと思ったが穂積はすぐにある答えにたどり着いた。
穂積
「誰かが石を使ったのね。」
翼
「えっ?まさか真弓さん?」
穂積
「いや、真弓さんのところにエミが帰っているなら連絡があるだろう。」
石に願いを叶えさせたのは誰なのか?
JSが自分達より先に手に入れてしまったのか?それとも別の第三者か。
穂積
「急いだ方がよさそうね。」
その頃の藤守チームは……
藤守
「ジューン!めっちゃかわええ。猫耳さんやん。尻尾もかわええなぁ。」
アニ
「何を呑気なことを言ってるのだ!愚弟!!」
ジュン
「賢史くんも慶史さんも猫耳似合いますね。」
アニ
「俺が猫耳…」
落ち込むアニときゃっきゃっとはしゃぐ賢史とジュンであった。
室長は猫耳が生えても綺麗でしょうね。
これからどうなっていくのか?
捜査室メンバーは無事にエミを見つけられるのか!
ここでパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
検察庁では…
ジュン
明智
「思い出の品…何か心当たりはありますか?」
明智さんの質問に真弓さんは首を振った。
とりあえず、カードが届いた状況などを聞き、今日は解散となった。
小野瀬さんと小笠原さんはラボに戻ってカードを調べるのだけれど。
穂積
「今日も家へ来るか?」
帰り際、皆には聞こえないように泪さんが耳打ちをしてきた。
私は少し悩んだが今日は寮へ戻ることにした。
~~検察庁~~
捜査室のメンバーとアニが真弓のもとを訪れていた間、ジュンは検察庁に戻って出張の間のことを纏めるためPCに向かっていた。
ジュン
「ふう、ちょっと休憩。」
席を立ちコーヒーを淹れ自分の席に戻る。
しかし、ジュンの席にはすでに誰かが腰を掛けている。
背中を向けているので顔は見えない。
ジュンは首を傾げながら近付き声をその背中に向かってかけた。
ジュン
「あの…?」
ジュンの声に振り返ったのは男性とも女性ともわからない人物。
「あなたを待っていたんです。」
ごく軽い口調でそう言った人物は立ち上がりジュンに握手を求めた。
しかし、ここは検察庁のアニの部屋。
部外者が入ってこれるわけがない。
本来、アニの事務官としてのジュンはしっかり者。
恋人に見せる可愛い面は検察庁では見られない。
だからいつもならすぐに警備員を呼びに走っただろう。
その前に声をかけるなんてこともしなかったはずだ。
しかし今日は違った。
この人物の背中を見た瞬間から本来の思考はできずにいた。
差し出された手をすっと握り返す。
「あなたにはこれから少し僕のために働いてもらうことになるかもしれないね。よろしく。」
次にジュンの思考が戻ったのは淹れたコーヒーがすっかり冷めた頃。
ジュン
「あれ?私、何してたんだっけ?」
JSに接触したジュン。
これからどう動くことになるのか!?
それは全くわからない~(笑)
とりあえず、パース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
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09/01(Fri) 21:36
ジュンさんありがとうございます、(´ 3`)ちゅー
小春
真弓邸で解散した後、沈んだ様子で警視庁の女子寮に帰った翼を除く捜査室メンバーたちは、そのままだらだらと居酒屋に流れていた。
ただし、勤務時間内ではないものの、非常事態宣言が発令されているため、厳密には待機中。
口にするのが許可されているのは、基本的にはノンアルコール飲料だけだ。
当然酔えないし、アルコールの力に頼って愚痴る事も出来ない。
穂積
「……」
乾杯する気分でもなく、穂積は自分の前に置かれた、ノンアルコールビールの泡を見つめていた。
小野瀬
「穂積、気持ちは分かるけど溜め息はやめて。お前が凹むと士気に関わるよ」
小野瀬に言われて、ようやく自分が溜め息をついていた事を知るような有り様だった。
穂積
「…その通りだわ。みんな、ごめんね」
謝る穂積に、藤守も如月も慌てて手を振り回す。
藤守
「いえ、そんな。室長のせいと違います、悪いのはアニキや」
如月
「俺だって、気持ちとは裏腹に身体がオトコに反応したら、混乱しちゃいますもん」
アニ
「黙って聞いていれば俺が加害者のような言われようだぞ」
不本意だな、と口をへの字に曲げるアニを横に、心配そうな明智が穂積の顔を覗き込んだ。
明智
「……室長、今は一応プライベートな時間ですから、敢えてお聞きしてもいいでしょうか?」
穂積
「いいわよ」
明智
「…室長が、今、一番戸惑っているのは、…櫻井の事ですよね?」
明智らしい直球の問い掛けに、さすがの穂積も苦笑を浮かべる。
それは肯定と同じ意味だった。
穂積
「アニに触られて身体が反応しした事、櫻井に伝えたのはまずかったかしらねえ」
はあ、と、今度は大きく分かりやすく、穂積は溜め息を吐き出した。
小野瀬
「でも、その前に櫻井さんが白河さんに触られた時、彼女も驚いたような反応をしたように俺には見えたよ。だからこそ穂積だって、櫻井さんに、自分も同じ体験をしたと伝えたんだろう?」
穂積
「そうなんだけど」
うーん、と、穂積は腕組みをした。
穂積
「なんだか、ワタシが男の身体だった時より、女性化した今の方が、櫻井はワタシと付き合っている事に対して気後れしているように思えるわ」
二人が婚約まで交わしている仲なのは、捜査室の中ではもう周知の事実だ。
藤守
「あ、でもそれは見てて感じますわ。ジュンでさえ、今の俺は自分よりナイスバディや言うてむくれてましたもん。ましてや櫻井の場合、パーフェクトボディの室長が相手ですやん。落ち込むのも道理ですわ」
穂積
「意味が分かんない。そんなに、他人からの見た目が気になる?ワタシって、そんなに櫻井と釣り合わない?それとも、今のワタシ、女の身体が求めるままに、他の誰かやアニと浮気するかもしれない、とでも思われてるの?」
アニ
「しないのか」
穂積
「しないわよ」
小野瀬
「穂積の最初で最後の男は俺なんだからね」
穂積
「ややこしい対抗意識を燃やすんじゃないわよ」
穂積は小野瀬を小突いたものの、ツッコミにも今一つ元気がない。
穂積
「…ああ、櫻井に元気を取り戻して欲しいわ」
また溜め息をつきかけて、ふと、その溜め息が止まった。
穂積
(……最初の男……最後の男……ねえ……)
***
翌日。
出勤してきた全員が捜査室に揃うなり、穂積が切り出した。
穂積
「今朝早く、真弓さんから連絡があったわ。例の、JSからの予告状に書かれていた文章について、思い当たった事があると言うの」
明智
「では、早速」
穂積
「藤守、ジュンに連絡して、真弓邸に来てくれるよう頼んでくれるかしら」
藤守
「へ?…そら構わんですけど、なんでまた、ジュン?アニキは?」
穂積
「理由は分からないけど、真弓さんからのご指名なのよ。アニはどっちでもいいわ」
藤守
「はあ…分かりました」
電話をかけるために、藤守が廊下に出ようとした時。
???
「おっと、失礼」
ちょうど、捜査室の扉を開けようとしていた人物とぶつかりそうになって、相手が声を上げた。
???
「おお、これは、ともから聞いて想像していた以上や!べっぴんさんばっかりで、えらい壮観やなあ!」
眩しいほどの笑顔を浮かべて両手を広げたのは、FBI特別捜査官・白河こと、とも父であった。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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10/16(Mon) 20:18
なぜ呼ばれたのか!?
ジュン
ジュン
「あの、どうして私が呼ばれたんでしょう?」
藤守に呼ばれたジュンが穂積たちを前に戸惑った表情をしている。
心配したアニも一緒に来ていた。
とも父
「それは行ってみないとなぁ。」
捜査官の白河父、ともも同席している。
とにかく真弓さんのところへ向かおうと皆が立ち上がる。
そんな中、顔色があまりよくない翼の隣にそっと穂積が近付いた。
穂積
「不安になるな。」
そう小声で呟いて一瞬翼の手を握る。
すぐに離れた手だったが翼の胸は高鳴った。
ほんのすこ~しだけ書いてみました。
続きをパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇
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10/17(Tue) 14:28
ジュンさんありがとうございます
小春
携帯の故障で下書きが消えたおかげで、全く違う展開に(笑)
***
~真弓邸~
真弓
「こんなお忙しい時に、何度もお越しいただいて恐縮です」
今日の真弓みきは、ダークブラウンのスーツ。
その姿を離れた場所から眺めて、翼は溜息をついた。
もともと男装が趣味なだけあって、本当の男性の身体になった今は、完全にダンディなおじさまにしか見えない。
真弓は文句のつけようがないほど格好いいし、優しく上品で素敵な人だけれど、女性になった穂積の傍に寄り添う時だけは不愉快だ。
けれど翼がどう思おうと、穂積は真弓と話をしないわけにはいかない。
穂積
「いいえ。それより、予告状のことで思い出した事がある、というお話でしたが。『あなたを彩った思い出の品』についてでしょうか?」
穂積の隣には白川捜査官(とも父)が立ち、明智がメモを構える。
すると真弓は全員に向かって、いきなり、深々と頭を下げた。
真弓
「申し訳ありませんでした!」
全員
「えっ?!」
真弓
「…実は、最初から分かっていたのです。ですが、あまりにも荒唐無稽な話で、信じていただけないと思って…それで、口に出せなかったのです」
短い沈黙の後、穂積が口を開いた。
穂積
「…ご説明をお願いします」
真弓
「はい」
真弓は促されて顔を上げ、一同がソファに座るのを待って、話し始めた。
真弓
「…実は、私は、男として生まれたのです」
如月
「えっ?!」
小笠原
「しっ」
素っ頓狂な声を上げかけた如月を、小笠原が素早く制した。
真弓
「…驚かれるのも、無理はありません。わたしはずっと、女性として生きてきましたから」
真弓は静かに続けた。
真弓
「わたしのこれまでの人生については、今、重要ではないので割愛しますが…ざっくり言いますと、わたしの親は、女の子が欲しかったのです。そこで世界中をまわって、不思議な力を秘めた石を見つけました」
とも父
「ほお、石」
思わずとも父が声を漏らした。
真弓
「はい。その石を手にして願うと、望みが叶うのです。そこで、わたしの親は、石に願いをかけました。『自分の息子を、娘にしてください』と。そして、望みが叶い…つまり、わたしが娘になったところで、その石は封印されたのです」
穂積
「…話が見えてきたわね。なるほど、JSの好きそうな事件だわ」
穂積は誰に言うともなく呟いた。
が、翼には、まだ、真弓の話の結論も、事件の解決方法も、見えてはこない。
穂積以外の捜査室メンバーも、どうも、釈然としない表情をしているように見える。
真弓
「けれど、当のわたしは、自分が男として生まれたことも、石の力も、いいえ、そんな石が存在することすらも、知らなかったのです」
とも父
「その石が、この事件の発端や、と?いや、そしたら真弓さん、もしやあんたが、この事件を起こしたんか?」
どうやら、真弓の言う「荒唐無稽」を受け入れた順に、事件の全貌が見えてくるらしい。
真弓
「…はい。わたしが、この事件を起こした犯人です」
10/17(Tue) 15:53
エミさん登場
小春
真弓の告白は、その場にいた全員を驚かせた。
だってそうだろう。
どんな魔法か知らないが、たった一個の石が、日本中の男女の性別を、一夜にして逆転させた、というのだから。
真弓
「先日、久しぶりに実家を訪れた時の事です。年老いた両親が真剣な顔で待っていて、私に、魔法の石の話を、私の性別を逆転させたことを、打ち明けてくれました」
穂積
「…その時は、驚かれたでしょうね」
真弓
「すぐには信じられませんでした」
真弓は頷く。
真弓
「けれど、その石は封印されていた、と申し上げましたが、実は、ずっと、私の元にあったのです」
そういうと、真弓は、サイドボードの上に置かれていた小さな写真立てを手にし、穂積に向けて差し出した。
そこには、真っ白いネコを膝に乗せた、美しい女性の姿の真弓が写っている。
真弓
「この写真で、わたしは、金色の鎖のネックレスをしていますね。これには、ちょうどピンクダイヤのように見える、2cmくらいの石が付いているのですけれど」
なるほど、写真の中の真弓の胸元には、ピンク色のペンダントヘッドが煌めいている。
とも父
「ほな、それが?」
穂積から写真立てを受け取ったとも父が、唸るように言った。
真弓
「はい。…両親から謝罪と説明を受け、わたしには、自分の性別を選択する機会が与えられました。わたしは悩みましたが…石に、願いをかけてみることにしました」
とも父
「そうして…あの日、か」
真弓は頷いて、その時を再現するかのように、目を閉じた。
真弓
「わたしは石を握りしめ、願いました。…『性別を逆転させてください』」
全員
「「「あああああああああーーーーーーー!!」」」
真弓
「…と、いうわけなのです」
全員が頭を抱えている中、翼が口を開いた。
翼
「つまり、真弓さんは、『わたしの性別を』と限定するのをうっかり忘れたまま、願いをかけてしまった…?」
真弓
「本当に、本当に、申し訳ありません…!!」
とも父
「事実は小説よりも奇なり…やな」
明智
「しかし、そうと気付いた時、すぐにやり直せばよかったのでは?」
明智がもっともな事を言う。
真弓
「それが…わたしが、自分の身に起こった変化に驚いている間に…エミが」
藤守
「エミ?」
真弓
「写真に写っているネコです。その子が、ネックレスをくわえて、どこかへ飛び出して行ってしまって」
全員が改めて、写真を見つめた。
如月
「じゃあ…俺たちの仕事は、このネコを探すこと?!」
小野瀬
「たかがネコ…と思うなかれ、だよ。この石の価値を知る人間に悪用されたら、さらに深刻なことになる」
翼
「少なくともJSは、石の価値を知っていると思っていいですね」
穂積
「そうね。知っていて、もしかしたらすでに手に入れていて、真弓さんと何らかの取引をしようとしている…」
穂積の呟きに、皆が表情を引き締めた。
とも父
「よっしゃ!みんなでネコのエミを探すでえ!」
全員
「了解!!」
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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10/19(Thu) 11:41
もうちょっと追加
小春
~警視庁、捜査室~
真弓邸を出た捜査室メンバーは、一旦、警視庁に戻って対策を練り直す事にした。
捜査室のミーティングテーブルを囲んで、穂積が指示を出す。
穂積
「全員で闇雲に動いたところで、ネコが見つかるとも思えないわ。チームを作って、手分けして探しましょう」
とも父
「そうやな。…ほな、俺とともが本部として警視庁に残るわ。ここにいて、都内の地図を用意して、みんなからの報告をまとめて、捜索範囲を絞っていく事にしよか」
穂積
「お願いします」
穂積は白河親子に頭を下げた。
穂積
「真弓さんの話によれば、エミは賢いネコで、電車やバス、タクシーにも乗り込んで移動する事があるそうよ。だから、捜索は都内全域を対象とするわ」
如月がうぇぇ…と声を出す。
穂積
「明智と如月は、東から。藤守兄弟とジュンは、西から。小野瀬と小笠原は、南から。ワタシと櫻井は北から、しらみ潰しにエミを探しましょう」
全員
「はい」
穂積
「もちろん、全域の警察の生活安全部と交番に協力してもらえるよう、真弓さんの名前で、エミの捜索願いを出してもらうわ」
小野瀬
「それでも、途方もない捜索になるだろうけどね…」
藤守
「まだ、男女逆転の大混乱の真っ最中ですしね」
アニ
「山田太郎がまだ魔法の石を手に入れていなければ、あいつと競争、という事になる場合もあるぞ」
明智
「全く関係の無い第三者の手に渡る危険だけは避けたいですね」
如月
「そうか、少なくともJSには、真弓さんに石を返す気持ちがあるんですもんね」
小笠原
「でも、あいつは気紛れだ。早くしないと気が変わるかも」
穂積
「そういう事。さあ、気合い入れていくわよ。では、白河捜査官、お願いします」
とも父
「え?…いいんか穂積くん?俺、いっぺんやってみたかったんや!ほな!」
とも父の満面の笑みを受けて、全員が背筋を伸ばす。
とも父
「緊急特命捜査室、出動!」
全員
「「イェッサー、ボス!」」
~刑事部廊下~
身仕度をして廊下に出た翼が目にしたのは、一足先に出ていた穂積が、刑事部の刑事たち数人と話をしている姿だった。
もちろん、翼から見れば、全員が女性だ。
けれど、同時に、全員が男性でもある事を翼は知っている。
「聞いたぞ穂積、ネコを探すんだってな?」
「この大変な時に、さすが雑用室だな」
彼らは普段から、穂積や捜査室に対して敵愾心を剥き出しにしている。
その嫌味な態度にも腹が立つ。が、今日、翼を苛つかせたのは、彼らの好色な目だった。
穂積の美しい顔に胸に腰に脚に注がれる視線に、穂積は知らん顔をしているが、翼には耐え難かった。
だから、声が出た。
翼
「室長、お待たせしてすみません!」
穂積が振り向いて、頬笑む。
「お、櫻井か?なんだ、どこの子供かと思ったぞ」
「男になっても非力そうだな!」
翼
「…!…」
一転して自分に向けられたからかいの言葉に反論出来ず、翼は声を失う。
穂積
「櫻井の才能は、魅力は、見た目でも馬鹿力でもありませんよ」
近付いてきた涼しい声の主に肩を抱かれて、翼は穂積を見上げた。
穂積
「さ、行くわよ櫻井」
翼
「…はい」
穂積に促され、刑事たちに会釈してから、小走りにエレベーターにへ乗り込む。
扉が閉まり、駐車場に向かうために行き先階のボタンを押そうと伸ばした翼の手を、穂積の手が掴んで止めた。
翼
「室長……」
穂積
「こんな場所だけど、いいか?」
低い声。
何を訊かれたのかは、すぐに分かった。
翼は身体の向きを変えて、穂積を見上げる。
視界が、潤んでいた。
瞬きすると涙が溢れそうだ。
穂積
「泣くな」
穂積の腕が翼を抱き寄せ、そのまま、唇が重なった。
穂積が翼の身体を抱き締めて、口づけが深くなる。
翼もまた、腕を伸ばして、穂積の肩を頭を、抱き寄せた。
互いに求め合う口づけの交歓の合間に、穂積が囁いた。
穂積
「早く、石を見つけような」
涙を溢しながら、翼が頷く。
穂積
「俺はこの身体のまま、お前に抱かれるのも悪くないと思ってるけど」
頬を寄せる穂積が、自分を笑わせようとしてくれているのは、翼にも分かった。
けれど、ずっと抑えてきた涙は、穂積の腕の中で、堰を切ったように止まらなかった。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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10/23(Mon) 17:39
ぶはっ(*゚∀゚)・∴
エミ
あのキャラ登場って誰だろう?とワクワクして来てみれば…(笑)
**********
真弓邸で飼われているエミの生活スタイルは自由そのもの。
行動範囲も広く、猫や犬だけでなく人間も含め、顔馴染みは数知れず。
突然フラッと出掛けたり、一日中寝ていたり、何日も帰ってこなかったり。風の吹くまま気の向くまま、北へ南へ西へ東へ。
そんなエミは、とある瀟洒な洋館の庭に来ていた。
庭に設えてある池の辺に猫の背中がふたつ。ひとつはエミで、もうひとつは金髪に近い毛をしたルイ。
ルイはこの界隈のボス的存在であり、賢くて多くの仲間がおり、皆に慕われているイケメン猫。
エミはルイと情報交換をするために数日おきに此処へ来ていた。完全家猫とは違い、外を自由に出歩く猫には猫なりの事情があるのだ。
しばらくすると、大型の洋犬・アオイが優雅な足取りで猫たちの傍らまでやって来て、ルイの頬をペロリと舐めた。
ルイは、嫌そうに顔をしかめてアオイの鼻先を軽くパンチする。この庭でのいつもの光景である。
アオイは、知識が豊富で賢くて、優しい物腰と見た目の優雅さでモテモテな犬。
散歩へ出ると、犬や猫だけでなく、散歩をさせている飼い主や道行く女性までもがアオイに近寄ってくるので、いつも大変だと洋館の主がボヤいていたのをエミは知っている。
二匹がじゃれ合う様子を堪能したエミは洋館を後にした。
先ほどの洋館からだいぶ離れた場所にある、純和風の家。エミはそこの竹垣を勝手知ったる様子でくぐり抜け、縁側で寛ぐ二匹の猫の元へとやって来た。
ニャーと挨拶を交わし、ひらりと縁側へ飛び乗る。
縁側にいたのは、毛繕い中の黒猫のトシゾーと、お気に入りの座布団の上で日向ぼっこをしている茶トラのソージ。
この家には他にも数匹の犬がいて、いつもならワンワンキャンキャン賑やかだが、散歩の時間で留守なのか静まり返っている。
彼らは彼らでこの地域を仕切っている軍団で、こちらも情報に長けていたり喧嘩も強かったりで頼りになる存在。そして、洋館の犬猫コンビと同じく美形揃い。
ソージがエミの喉元に前足を伸ばし、チョチョイっと触れた。
組紐でできた首輪に重ねるように金色の鎖のネックレスが着けられ、ピンク色の石が揺れている。
数日前に会った時にはそんな物は着いていなかったよね?とでも問うように、ソージは首を傾けた。
**********
男女逆転は人間限定でいいですよね?←ここまで書いといて今更(笑)
トシゾーとソージは薄●鬼です。原画集を眺めていたら登場させたくなってしまいました(笑)
大型の洋犬アオイはボルゾイを思い浮かべてください。
ほとんどストーリーと関係無い内容でゴメンナサイね~(汗)
さて、エミにネックレスを着けてあげたのは誰なのかしら?
パース(*^∀^)ノ⌒○
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10/26(Thu) 07:37
エミさんありがとうございます♪
小春
「にゃーん」
「あ、小春さん。エミさんが来ましたよ」
桜田門駅前、そば屋『さくら庵』。
厨房の勝手口から外に出て、大量の玉ねぎの皮を剥く作業をしていた澪が、エミに気付いて、店内に向かって声をかけた。
その間にエミは生け垣の上から地面に飛び下りると、低い椅子に腰掛けている澪の足に甘えるように、白い身体を擦り寄せる。
澪
「待っててね、エミさん……はい、いつもの。今日は『ディナー』だね」
立ち上がった澪が、傍らにある小さな冷蔵庫から取り出したのは、様々な種類の肉や魚が、色とりどりの小さな切れ端になって盛り合わされた、一枚の皿。
中トロ、サーモン、レタス、うずらの卵、焼き魚、ローストビーフ…
茹でたマカロニをもぐもぐ食べ始めたエミを眺めて目を細めてから、澪は玉ねぎの皮を剥く作業に戻った。
「こんにちは、エミさん」
厨房から出てきて、エミに挨拶したのは、さくら庵の店主の娘、小春。
今は揃って桜色の作務衣を着た青年の姿をしている澪も小春も、本来は女性だ。
小春の方が少し年上だけれど、見た目は澪の方がすらりと長身で、大人びて見える。
それでも、アルバイトで入ったばかりで礼儀正しい澪は、客のどんな注文にも笑顔と心意気で応じる「さくら庵」のスタッフと、その中心的人物である小春を慕っていた。
小春たちの方も聡明な澪を可愛がっていて、二人は姉妹のように仲の良い、凸凹コンビだ。
「諏訪野さんのお庭で遊んで来たの?」
「にゃーん」
小春の質問に頷くように鳴いた後、澪がくれたメインデイッシュを空にしたエミは、今度は小春が置いた深皿に入っているミルクに舌を伸ばして、喉を鳴らす。
澪
「小春さんが首輪にしてあげたネックレス、ちゃんと着けてますね」
小春
「エミさんは綺麗だから、よく似合うよ。あちらのお庭には、アオイくんのお友達のイケメン猫が集まるんだもの。おめかししなくちゃ」
「にゃーん」
澪
「きっと真弓さんのネックレスだから、無くさないようにって工夫して着けたけど。どこかに引っ掛けないよう気を付けてね」
「にゃーん」
ミルク皿も空にしたエミの口元をおしぼりで拭いてやってから、エミを膝に乗せた小春が、ネックレスの石を掌の上で玩ぶ。
澪
「小春さん、諏訪野さんのお家の庭って、広いんですか?」
小春
「出前の時に見せていただいた事があるけど、洋風で池もあって、綺麗なお庭だよ。一度、犬のアオイくんと猫たちと、諏訪野さんがフリスビーやってたな」
澪
「…結構広いですね」
小春
「お母さんも息子さんも、とっても綺麗で優しい人でね。…少ししかお話しした事無いけど、もし、向こうが嫌じゃなかったら、仲良くなりたいなあ」
膝の上で小春に撫でられながら、にゃーん、と鳴いたエミの胸で、ピンクの石が静かに輝いたのを、見ていた者は誰もいなかった……
***
お馴染みの役で小春登場(笑)
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
12/02(Sat) 14:42
澪さんのせいではない(笑)
小春
厨房の勝手口を出た裏庭で、ネコのエミを交えて短い休憩時間を過ごしていた澪と小春の耳に、ふと、「さくら庵」店内からのざわめきが聞こえてきた。
澪
「何でしょう?賑やかですね。誰か芸能人が来たのかな?」
有名店なので、グルメ番組の取材や著名人のお忍び来店も珍しくない。
けれど、小春の頭の中にある予約帳によれば、今日はそんな来客は無かったはず。
もちろん飛び込みで来てくれる可能性もあるが…、
誰であれ騒がれて他のお客様に迷惑がかかりそうなら、速やかに別室にお通ししなければならない。
二人がそんな事を考えていると、今度は明らかに、接客係の従業員が小春の名前を呼ぶ声がした。
接客係
「小春さん、お客様です」
小春
「はい、ちょっと待ってくださいね」
エミを膝から下ろしながら、小春が立ち上がった。
素早くエプロンを新しいものと取り替え、綺麗に手を洗って店内に戻る。
すると、そこには、目が眩みそうなほど美しい、長身の女性が小春を待っていた。
「…諏訪野さん」
長い髪も、肌も、真っ白。
ブリーチではなくいわゆるアルビノで、生まれつき全身の色素が薄いのだと聞いたことがある。
白いチノパンもシャツもジャケットも男物をそのまま着ていて、どうやら女装する気は無いらしい。
それでもその美貌ときたら、店内の視線が全てそこに集まっているほどだ。
つい今しがた話題にしたばかりの相手の来訪に、小春が内心驚いていると、その女性…本来は男性だが…諏訪野が、悪戯っぽく微笑んだ。
諏訪野
「来ちゃったよ」
小春
「お電話下さったら出前に伺いますのに。でも、来店して下さって、嬉しいです」
諏訪野
「出前も美味しいけど、店で食べるならきっともっと美味しいと思ってね。それに」
諏訪野は小柄な小春の前で、上半身を折るようにして長身を屈めた。
諏訪野
「きみに会いたかったし」
小春
「……」
小春の頬が、ぽっと染まる。
けれど、その表情はどこか硬い。
諏訪野を席に案内して厨房に戻った小春の元に、澪が小走りに寄って来た。
澪
「凄いタイミングですね、小春さん」
小春
「…澪さん、エミさんはまだ裏にいる?」
澪
「はい」
小春
「ちょっと、来て」
小春は澪を引っ張って、エミの所へ戻ってきた。
澪
「どうしたんですか小春さん。せっかく、憧れの諏訪野さんが来てくれたのに」
小春
「澪さん、エミさんを撫でながら、何か、お願いをしてみてくれる?」
澪
「お願い?小春さんに、ですか?お給料の事とか?」
小春
「…分かった来月から少し上げる。じゃなくて。出来るだけ、突拍子もない願い事がいい」
澪
「急に言われても……」
小春に急かされた澪は、エミの白い背中の毛を撫でながら、戸惑いぎみに呟いた。
澪
「じゃあ、可愛い猫耳と尻尾が生えますように!で、どうですか?」
エミのネックレスが煌めいた、次の瞬間。
いまだ男女逆転に揺れている日本列島に再び激震が走り、同時に、小春の手が、エミを、来客のペットを一時預かりする為のケージに放り込んでいた。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
12/07(Thu) 07:46
猫耳~
ジュン
「!!!」
穂積と並んで猫のエミを探していた翼は隣の穂積を見て悲鳴にならない悲鳴をあげた。
綺麗な穂積の金髪から綺麗な猫の耳が生えていたのだ。
穂積
「櫻井?どうかしたの?」
猫の居そうな車の下を覗き込んでいた穂積が翼の異変に気づき顔をあげた。
穂積
「櫻井、あんた…」
穂積が見たものも翼に生えた猫の耳。それに可愛らしい尻尾だった。
一瞬、何が起こったのか、目の錯覚かと思ったが穂積はすぐにある答えにたどり着いた。
穂積
「誰かが石を使ったのね。」
翼
「えっ?まさか真弓さん?」
穂積
「いや、真弓さんのところにエミが帰っているなら連絡があるだろう。」
石に願いを叶えさせたのは誰なのか?
JSが自分達より先に手に入れてしまったのか?それとも別の第三者か。
穂積
「急いだ方がよさそうね。」
その頃の藤守チームは……
藤守
「ジューン!めっちゃかわええ。猫耳さんやん。尻尾もかわええなぁ。」
アニ
「何を呑気なことを言ってるのだ!愚弟!!」
ジュン
「賢史くんも慶史さんも猫耳似合いますね。」
アニ
「俺が猫耳…」
落ち込むアニときゃっきゃっとはしゃぐ賢史とジュンであった。
室長は猫耳が生えても綺麗でしょうね。
これからどうなっていくのか?
捜査室メンバーは無事にエミを見つけられるのか!
ここでパース(⌒∇⌒)ノ⌒〇