『アブナイ☆恋をもう一度』
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05/24(Fri) 12:00
リレーSS専用スレッド・38
小春
おかげまでスレッド増設です。
こちらではただいま、リレーSS『アブナイ☆恋をもう一度』を開催しています。
引き続き執筆者募集中です。
お気軽に書き込んでくださいませ。
ここまでの流れは、スレッド37で復習してきてね!
***
穂積
「JSと小春は?……それに、いつの間にか、諏訪野とともさんもいない」
一同がはっとする。
そうだ、今日は、ともがプレゼントしてくれた、デートの日だったのだ。
一緒に立ち止まっていてはぐれるはずはないから、その二組は、自主的にいなくなった事になる。
穂積
「……悪いことをしてしまったな」
ジュン
「気を取り直して、グループデート再開しましょう!ねっ、賢史くん?」
明るく言って、ジュンが、藤守の腕をつかまえて抱きついた。
***
諏訪野ととも、JSと小春はどこへ?
もちろんノープラン。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
05/29(Wed) 15:49
とりあえずアトラクションへ(まだ入口だった)
小春
すると、その時、藤守のスマホが鳴った。
藤守
「あれ?ともからや」
ジュンの顔つきが変わる。
ジュン
「賢史くん!いつの間に、ともさんとアドレス交換してたの?!」
藤守
「ちょ、待、落ち着けやジュン!」
ともの声
『もしもしー?ジュンさーん?浮気の心配なんか要らへんよー?!』
どうやら、ジュンの声が大きかったために、藤守の受話器が拾ったらしい。
電話越しに、笑いを含んだともの声が、ジュンの耳に返ってくる。
ともの声
『うちには、諏訪野さんいうスーパーダーリンがおるんやからー!いや~んどないしよう、言うてもうたわ~!』
諏訪野の声
『聞こえちゃったよ、ともさん』
藤守
「……いややいやや言いながら、惚気ているようにしか聞こえへんな」
ジュン
「賢史くんに興味が無いと言われるのもそれはそれで……」
むくれながらブツブツ言うジュンだが、ひとまず悋気の火は消えたらしい。
藤守
「とも、それよりどないした?お前らどこにおるんや?」
とも
『アニマル・アドベンチャーやで。うち、そのアトラクションのキャストやねん。言うてなかった?』
藤守
「あっ!そやったな」
とも
『ボート貸し切りで乗せたるから、混まないうちに早よ来てやー!』
藤守は通話を切ると、今の会話を、穂積と小野瀬に報告した。
小野瀬
「それなら急いで行かなくちゃね」
翼
「アニマル・アドベンチャーって……大蛇とか出てくるんですよね?」
如月
「翼ちゃん、怖いの?大丈夫だよ!AAにはたくさん動物が出てくるけどさ、あれ、よく出来てる作り物だし」
翼
「それは知ってるんですけどね……」
穂積
「怖いアトラクションなのか?」
翼
「ジャングルの中を流れる川を、ガイドさんが操る小さいボートに乗って冒険するというものなんです」
如月
「そうそう」
翼
「機械仕掛けの動物が襲ってきたら、ガイドさんがライフルで追い払ってくれるのも演出のひとつなんです。大人気のアトラクションなんですけど」
穂積
「けど?」
翼
「……」
如月
「カップルで乗ると別れる、って都市伝説があるんですよ」
小笠原
「厳密には『二人のうちのどちらかが、乗船中に、相手以外の異性の名前を呼んでしまうと別れる』というものだけどね」
翼
「……」
ジュン
「翼ちゃん、そんな噂、気にしなくて大丈夫だよ。だって、普通に考えたら、デートの最中に他の相手の名前を呼ぶなんて、あり得ない状況だもん。ねっ、賢史くん」
藤守
「そ、そやな。ありえないわな」
ジュンはもう一度、「ありえないわよ」と念を押した。
どうやら、さっき、藤守がともの連絡先を知っていた事が、かなり気になっているらしい。
ジュン
「さあ、ともさんが待ってるから行きましょう!」
何故か藤守&ジュンペアにも不穏な空気が。
『エミ』は何かを仕掛けてくるのか?
JSと小春はどこで何を?
穂積の記憶はいつ戻る?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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06/22(Sat) 18:48
全然進んでいませんが(;>_<;)
ジュン
穂積
「ここか?」
アトラクションの前で一同が立ち止まる。
藤守とジュンは腕を組んで入るものの会話は少ない。
アトラクションの中からともが出てきた。
とも
「待ってたで~。楽しんでいってな。」
一同は船へと乗り込んだ。
その頃、小春とJSはアニマルアドベンチャーの近くの建物の間に身を隠すように佇んでいた。
小春
「太郎さん、ここで何するんですか?」
JS
「シーっ。少し黙っていて?ね?」
JSは小春に向かってウインクをする。
顔を赤くした小春の後ろから不満の声が聞こえる。
明智
「こんなところに隠れて何をする気だ?」
JS
「おや?ムッツリさんも付いてきたんですか?」
二人の間に火花が散り小春がオロオロと二人を見つめていた。
JS
「まあ、見ていてください。」
そう言うJSの視線の先には綺麗な女性が周囲を伺っているのが見えた。
アニマル・アドベンチャーで何が起こるのか!?
ここでパース(⌒0⌒)/⌒〇
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06/29(Sat) 12:00
エミさんの狙いは誰と誰のツーショット?……?小春わかんなーい
小春
JSの視線を追った明智が、遠目に見える岩陰に身を潜めるように屈んでいる美女に気付いて、目を凝らした。
明智
「JS、あれが『エミ』か?」
明智は視界に女を捉えたまま、低い声でJSに尋ねる。
明智
「……なんとか言う女優に似てるな」
JSはそんな明智に、いつものように感情の読めない笑みを口元に浮かべたまま、首をかしげて見せた。
JS
「さあ、彼女がエミさんかどうかは、分かりません。……ただ、あんなところに大人の女性が迷い込むなんて、不自然な気がしましてね。来てみたんです」
確かに。
小春を連れたJSが入り込めるくらいだから、アニマル・アドベンチャーの施設内は、一般の客が立ち入れない場所ではない。
けれど、エミがいる辺りは、曲がりくねった流れの中流域にある、動物スポットの裏側だ。
いざという時、警察官である明智たちならどうにか言い訳が立つが、エミがスタッフでないとしたら、明らかに不法侵入である。
明智が考えを巡らせていると、小春が首をかしげた。
小春
「でも、あれがエミさんだとすると、あの場所から室長さんを撮影する事に、きっと、何か意味があるんですよね?」
明智
「意味がある?」
すると、明智と小春の間に、JSが割って入る。
JS
「僕、調べましたよ小春さん。あそこは、船が通るとき、水中からカバが顔を出すんです」
小春
「さすが太郎さん」
明智
「……!……」
JS
「僕が考えるに、カバが出現する瞬間、船内では、誰かが誰かに接近するチャンスなのではないでしょうか」
小春
「なるほど」
明智
「こら!JS!小春に近付きすぎだ!」
小春の隣を争う明智とJSを見比べながら、小春は内心、まだ納得出来ずにいた。
小春
(誰かが誰かに接近する事が、楽しみ……?室長さんを撮りたいだけじゃなくて?……太郎さんにはエミさんの目的が分かってるみたいだけど……私がわからないだけなのかな?)
***
その頃、船の上では、到着したメンバーたちが、誰が誰の隣に座るかで、ちょっとした揉め事が起きていた……
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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07/14(Sun) 12:31
この設定は使う日が来るのか来ないのか
小春
~アニマル・アドベンチャー~
一方、その頃。
ともの待つ船着き場に到着した捜査室のメンバーたちは、何度かジャンケンをしたあとで、ようやく船に乗り込んでいた。
自分たちだけの貸し切りなのだから、広々と使ってもいいのに、何故か、三人ずつ並んで座る事に。
藤守
「よっしゃ!櫻井とジュンの間の席ゲット!賢史くん、ラッキー!」
ジュン
「賢史くんが嬉しそうで私も嬉しい」
翼
(ほんとは泪さんの隣が良かったな……私が、ジャンケンで負け続けちゃったから仕方ないんだけど……)
如月
「いいなあ藤守さん。でもまあ、オレは最前列で、ガイドのともちゃんと諏訪野さんと一緒の特等席だもんね!諏訪野さん、お邪魔します!」
諏訪野
「ははは、邪魔だなんてとんでもない。歓迎するよ。よろしくね、如月くん」
笑顔の諏訪野の次の列で、すでに青い顔をしている小笠原が、隣の小野瀬を振り返る。
小笠原
「小野瀬さん……俺が船酔いしたら、また、面倒みてほしい」
小野瀬
「乗船したばかりで不吉な事を言わないで!バス旅行の時みたいに吐かないでね?!ほらもうビニール袋持って!」
アニ
「……そういうことならちょっと待て。俺は穂積の隣に座る事にする」
小野瀬
「あっ、ずるいよアニ。ジャンケンで決めた席なんだからね!」
穂積
「俺は構いませんよ」
アニ
「そうだろうそうだろう、一人は寂しいよな?お兄ちゃんが隣に座ってやろう」
従順な穂積の態度に気をよくして、アニが最後尾の席の穂積の隣に移る。
とも
「もうええ?時間いっぱいや、出発するで!」
小春
「あっ、船が来ましたよ。お」
JS
「おっと小春さん、呼び掛けちゃだめですよ」
川を進んできた船に手を振りかけた小春の動きを、横からJSの手が遮る。
小春は慌てて声を抑え、ついでに自分の手で口を塞いだ。
小春
「ごめんなさい。……どうしてですか?」
JS
「このアトラクションに限らず、TDLでは、一緒に来ている恋人以外の異性の名前を呼ぶのは別れに繋がるジンクスとされているんです」
明智
「初耳だ」
JS
「僕が今作った話じゃありませんよ。有名な都市伝説です。さらに、『もしも、呼んだ異性が呼びかけに答えてしまうと、確実に別れる』なんてバージョンもあるぐらいです」
明智
「ありえない事はないな」
小春は、会話する明智とJSを交互に見た。
小春
「そうか。私がここから声をかけて、船に乗ってる捜査室の皆さんがそれに応えて私を呼んで、そのせいで恋人と別れちゃったら大変ですもんね」
気を付けます、と神妙な顔をする小春を見て、明智とJSは溜め息をついた。
JS
「……だから、小春さんにも他の男の名前を呼んでほしくない、と思ってるんですが……やはり、言わないと分からないでしょうか」
小春
「エミさんがいませんよ」
明智
「小春だからな。とりあえず、こいつには、俺たち以外の男の名前を呼ばせないように気を付けよう」
小春
「ねえ、エミさんがいませんよ」
JS・明智
「え?……しまった!」
船は、ベストショット・ポイントの目前にまで迫っていた。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
08/17(Sat) 13:35
逃げられた!
小春
穂積の携帯が鳴った。
穂積
「穂積だ」
素早く通話に出た穂積の隣から、アニも聞き耳を立てる。
明智
『申し訳ありません、室長。エミを見失いました……』
穂積は、船の上から辺りを見回した。
明智は、先程から、小春やJSと共に姿を消していた。
もちろん、意味のある別行動だと思ってはいたが……
穂積
「そうか、仕方ない。深追いする必要も無い」
その時。
船の横の水面が突然盛り上がり、巨大なカバが大きな口を開いた。
アニ
「わっ!」
穂積
「?!」
穂積にしがみつくようにしていたアニが、カバに驚いて身を引いた。
それに引き摺られる格好で、穂積はアニとともに座席から滑り落ちる。
小野瀬
「穂積!」
穂積の怪我は完治したわけではない。
そう気付いた小野瀬が、飛び込むようにして、穂積の下敷きになった。
穂積
「小野瀬?!」
小野瀬
「あ痛たたた……」
小野瀬の挺身のおかげで、幸いにも、穂積は転倒を免れた。
穂積
「小野瀬!」
穂積は慌てて、自分を庇ってくれた小野瀬を助け起こした。
穂積
「すまん、大丈夫か小野瀬」
小野瀬
「平気、平気」
カシャカシャカシャカシャ✨
穂積
「……今の、聞こえたか?」
小野瀬
「何を?」
船底にぶつけた頭を擦り擦り、小野瀬が聞き返す。
起き上がる小野瀬に手を貸しながら、穂積は呟いていた。
穂積
「確かに、シャッターを連写する音がした……」
TDLの中で追いかけっこ開始。
ここでパース。ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/21(Wed) 12:41
バカップルとアニ
ジュン
なんとか無事に船を降りた一行。すぐに明智たちも合流した。
明智
「すみません、室長。」
エミを見失ったことをまだ気にかけているようだった。
穂積
「気にするなと言ったろう?」
穂積は励ますように明智の肩を叩く。
如月
「気を取り直して次のアトラクションに行きましょうよ。パスも取ってきてあるんで。」
如月がパスを手に自慢げに胸を張る。
如月のあとに続いて一行は移動しアトラクションをいくつか回ることになった。その間も気を付けていたがシャッター音のような音は聞こえなかった。
(気のせいだったか?しかし・・・)
穂積が少し考え込んでいると穂積の唇に何か甘い匂いがするものが当てられた。
翼
「泪さんもチュロス、一口どうですか?」
穂積が目を向けると少し顔を赤くした翼がキャラクターの形をした棒状のお菓子を自分に向けていた。そんな翼が可愛くて頬が緩む。普段は甘いものを好まない穂積だが一口小さくかじりついた。
穂積
「ありがとう。旨いな。」
翼の頭をぽんぽんっと叩いて微笑み合う。
小野瀬
「穂積、俺のも一口食べてみる?」
いい雰囲気なのを珍しくからかってくるような小野瀬の言葉に少しムッとしながら「いや、いい。」と返事を返すが執拗に食べさせようとする小野瀬とじゃれ合うように取っ組み合うことになってしまう。
『カシャカシャカシャカシャ!』
カメラの連写音が聞こえ穂積と小野瀬は同時にそちらに顔を向けた。しかし、そこには誰もいない。
穂積
「逃げ足が速いな。」
ふうっと穂積がため息を吐いた。
その頃
ジュン
「はい、賢史くん、あ~ん?」
藤守
「あ~ん。うん、うまいなぁ。じゃあ、ジュンもあ~ん?」
ジュン
「あ~ん。」
アニ
「おい!愚弟!貴様だけ何をしているんだ!その、なんだ。ジュンがどうしてもと言うなら俺もあ~んしてもいいんだぞ。いや、別に羨ましいとかそんなワケでは」
依然として姿を掴めないエミ!そしてそんなことをすっかり忘れているかのような藤守兄弟&ジュン!←天罰が下りそう(笑)
ここでパース( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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08/22(Thu) 12:18
ジュンさんのフラグ回収です
小春
チュロスから始まった、藤守とアニの兄弟喧嘩。
それを、慣れた様子で微笑みながら見ていたジュンは、ふと、視線の端で、穂積と小野瀬と諏訪野の三人が話しているのに気付いた。
彼らは肩を並べて、アトラクションの列に並ぶともと翼を静かに見守りながら、小声で言葉を交わしあっている。
何かを相談しているのだろうか。
ジュン
(それにしても、キレイな顔をした人たちだなあ。『エミ』が見たら喜びそう)
そんなことを考えながら、なんとなく近付いていくと、意外なことに、三人はジュンに気付くと微笑んだ。
小野瀬
「ジュンさん、きみのナイトの藤守くんはどうしたの?」
諏訪野
「こっちにおいで。一人になってはいけないよ」
ジュン
「はあい。うふふ、小野瀬さんと諏訪野さんにお迎えしてもらえるなんて贅沢」
笑いながら二人の間に入ると、今度は穂積が、ジュンの耳元に口を寄せてきた。
前にいる翼もともも、話に夢中で、こちらを振り向こうともしない。
穂積の息が、ジュンの耳にかかった。
くすぐったい、と思った、その時。
穂積
「落ち着いて聞いてくれ。……近くにストーカーがいる」
穂積は、とんでもないことを、ジュンの耳に吹き込んだ。
ジュン
「……どういう事ですか?」
勘の良いジュンは内心の動揺を隠し、リラックスした表情のまま、翼たちに聞こえないよう、声を潜めて穂積に尋ねた。
穂積
「最初に、『エミ』が櫻井に送ってきた写真を見ただろう?」
ジュン
「はい。室長さんと、翼ちゃんが、手を繋いだ写真ですよね?『デートを楽しんで』ってメッセージがついていた……」
ジュンが言うと、穂積はわずかに頬を赤らめたものの、真顔で続けた。
穂積
「そうだ。あの写真は、明らかに、小柄な『エミ』が『俺』にピントを合わせて撮影したものだった。だから、俺は櫻井に『心配しなくていい』と話した」
小野瀬
「さっき俺が説明した、ストーカーについての小笠原くんの調査報告も、警視庁としての正式な見解だしね」
ジュンは首をかしげた。
ジュン
「つまり、『エミ』がストーカーだった、って話でしたよね?」
小笠原
「そう。だけど、疑惑も残ってるんだよね」
突然割り込んだ小笠原の声に、ジュンは飛び上がった。
[削除]
08/22(Thu) 13:00
小春
たぶんずっと近くにいたのだろう。
派手な三人に気をとられて気付かなかったこっちもこっちだけれど、控え目にも程がある。
小笠原
「で、その写真の話に戻るけど。室長と櫻井さんの後方、ピンボケしかかってる辺りをよく見て」
言われるまま、ジュンは、小笠原が差し出したタブレットの画面を覗きこんだ。
翼に来たメールを転送したのだろう、確かにさっき見た写真だ。
ジュン
「!」
小笠原が指差した人物は、一見、隣のアトラクションの行列に並んでいるうちの一人にしか見えない。
けれど、注意して見てみると、その人物は、穂積と翼の視野の外から、翼にカメラを向けているのがはっきり分かる。
首からはカメラを2台提げ、手にしたデジカメを二人に、いや、『翼に』向けている。
穂積
「こいつが、怪しい」
この写真を見た時、穂積は、自分たちを写したエミに気付くと同時に、一目でこの人物の不自然さに気付いた。
けれど、二人のストーカーからカメラで狙われている、などと明かして、翼を無駄に怖がらせたくなかった。
だから、あえてエミだけを意識するように、話したのだ。
ジュン
「……実は、私も、霞が関で翼ちゃんといて、視線を感じた事、ありました」
穂積
「そうか」
小野瀬
「気をつけて、ジュンさん。まだ、櫻井さんだけが狙いだと決まったわけじゃないよ」
ジュン
「あ」
言われてみれば、確かに。
霞が関の噂は、不特定の女性たちから発生していた……。
諏訪野
「藤守くんから離れてはいけないよ」
諏訪野は、さっきの言葉を噛み砕いて、繰り返した。
小笠原
「この際、アニメガネでもいいからさ。絶対、一人にはならないで」
ジュン
「はい」
ジュンは自分の周りを見回した。
どこへ行ったのかJSと小春はいないが、他の捜査室メンバーは揃っている。
それにとも、諏訪野。
頼もしい仲間たちだ。
自分たちの話に夢中になっていた、ともと翼が振り返った。
無邪気な笑顔に応えて、ジュンも二人に笑顔を向けた。
ジュン
「このアトラクションから出たら、みんなでお昼食べようね!」
一同が、ジュンに同意の返事を返してくれる。
ジュン
(……あれ?……そういえば、『エミ』は、どうして、わざわざ翼ちゃんにメール送ってきたんだろう?……もしかして……?)
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/17(Sun) 12:59
停滞させててすみません。進めますよ♪
小春
キャストのサービスが行き届いたレストランで昼食を食べた後も、如月自慢のファストパスの活躍で、一行は次々と人気アトラクションを体験していった。
藤守、ジュン、とも、翼
「♪地図は無ーいけれどー♪」
如月
「♪こぉ~んぱすお~ぶゆあは~♪」
穂積
「さっきのアトラクションの歌だな」
小野瀬
「お前よくわかるね。如月くんだけ違う歌みたいなのに」
小笠原
「やっと、デートらしくなってきたかな」
アニ
「ふん、俺は一向に面白くないがな」
小笠原
「ポップコーン2杯目だよねメガネ」
エミの発していると思われるシャッターの発する連続音も、しばらく鳴りを潜めていた。
そろそろ諦めたのだろうか、と小野瀬は思う。
小野瀬
(でも、まだ、櫻井さんは緊張した顔をしているね)
ずっと穂積の近くにはいるけれど、付かず離れずというところ。
仲の良い上司と部下の距離ではあるものの、藤守たちと比較するまでもなく、恋人どうしとしてはやや遠い。
穂積の方も、あえて距離を詰めようともしない。
エミやストーカーの存在を意識しているからだろうか。
それにしても、櫻井さんはこのところ心配続きだった。
きっと、穂積とのデートを楽しみにしていただろうに。
誰が見ているか分からないとはいえ、もう少し恋人らしくしてやってもいい。
小野瀬
「穂積」
小野瀬はそっと、穂積の袖をひいた。
穂積
「どうした?」
カシャカシャカシャ。
穂積は小野瀬に耳を寄せたまま、視線だけを鋭く動かした。
穂積
「エミか」
低く呟く。
小野瀬は舌打ちした。
タイミングが悪い。
穂積
「……さっきから思っていたんだが」
小野瀬
「何?」
穂積
「どうやら間違いない。お前と俺が近付くと、シャッターの音が聞こえる」
小野瀬
「それって……」
その時。
翼
「きゃっ!」
翼の短い悲鳴に、穂積と小野瀬は揃って声のした方向を見た。
翼は、すでに諏訪野の背に庇われている。
その前に立ち塞がったともが、黒い服の男の腕を掴んだところだった。
とも
「何すんねん!返事によっては、このまま投げ飛ばすで!」
藤守とアニも、男の背後に回り込んで退路を塞ぐ。
さらに如月と小笠原がその包囲網に加わる。
もう、逃がすはずがなかった。
11/17(Sun) 13:54
ストーカーの正体
小春
明智
「あの男が、不意に近付いてきたんです。おそらく、室長と小野瀬さんの注意が櫻井から逸れるのを、近くで見計らっていたんでしょう」
明智の説明に、穂積と小野瀬が頷いた。
穂積と小野瀬が櫻井から目を離したのはほんの数秒。せいぜい十数秒だ。
そんな僅かな隙を突いて近付くとは、何か、明らかな目的を感じる。
明智
「何者だ」
男の表情は、はキャップとサングラスとマスクに覆われて伺い知れない。
穂積
「明智、ここはパークの大通りだ。人目がある。事を荒立てるな」
明智
「あ、はい」
人混みから少し離れた場所に一行を連れて移動した穂積は、改めて、黒ずくめの男に相対した。
男は、いくつも首からカメラを提げている。
エミから送られてきた写真に映っていた男に間違いなかった。
穂積
「お話を伺っても?」
男
「……」
男は答えない。
だが、小野瀬はふと、デジャ・ビュに近いような違和感を感じた。
この感じは何だろう?
静かに男を見つめる穂積の表情には変化がない。
では、この感覚は自分だけ?
明智
「……あれ?」
不意に、隣の明智が声を漏らした。
明智
「お前……いや……、あなたは……まさか……」
明智の顔色が変わり、次の瞬間、凄い速さで小野瀬を振り向いた。
明智
「まさか……」
ただならぬ明智の反応を見て、小野瀬もまた確信する。
明智
「小野瀬さん……この方は……」
俺は、俺たちは、この男を知っている。
明智
「……室長の……トラウマの……!」
そう。
穂積のトラウマ。
それは、穂積たちが勤める警視庁の、その中でも雲の上の方にいるお偉いさんである人物の人妻が、穂積に惚れてしまった事件。
その人妻に追いかけまわされ、背に腹は変えられなくなった穂積が、小野瀬にキスしてオカマをカミングアウト(偽装)するはめになった、伝説の事件。
いま、目の前にいるのは、その、人妻の夫。
つまり……
明智
「け、けいっ、☆¢§$★%£#*◆!」
明智が、男に向かって、ばっと敬礼した。
それを見て、その場の警察官が一斉に敬礼する。
記憶の無い穂積だけが、やや遅れて敬礼の姿勢をとった。
男
「……」
職場では雲の上にいるはずの男は、気まずそうに、一同に敬礼を返した。
[削除]
11/17(Sun) 14:50
小春
~小野瀬vision~
今一つピンと来ていない穂積を下がらせて、俺はお偉いさんの前に出た。
小野瀬
「……どういうことですか?なぜ、櫻井さんを?我々は正式に公休を取っていますし、それに、そのカメラは」
男
「……妻に、せがまれたのだ」
大勢に囲まれ、観念したのか、お偉いさんは肩を落とした。
男
「すまん、櫻井。二人で話をしたかっただけで、乱暴する気など毛頭無かった」
深々と頭を下げたはるかな上司に、櫻井さんの方が慌てている。
翼
「いえ、そんな。やめてください。それより……お話って、何ですか?」
男
「穂積との事だ」
櫻井さんの背中が、びくっと震えた。
お偉いさんは注目されている中での発言に迷ったようだったが、やがて開き直ったように口を開いた。
男
「実は、妻に、確かめてきてくれと可愛く頼まれてしまって」
翼
「はい?」
男
「小野瀬はもちろん、明智も知っていると思うが、わたしのハニーは穂積の事が好きでね。もう何年も前に可哀想に片想いで終わった話なんだが」
言葉の端々から、奥さんへの隠しきれない愛情がだだ漏れだ。
男
「穂積が事故に遭って記憶を失ったと知って、心優しい彼女は心配しているんだよ」
ふと、俺の中でアラーム音が鳴った気がした。
ろくでもない事に巻き込まれそうな時に感じる、第六感アラーム。
男
「穂積が、最愛の小野瀬への想いまで忘れてしまったんじゃないか。そして、その隙に、誰かが穂積に言い寄ったりはしないだろうか、とね。ああ、なんて崇高なんだろう。かつて自分を悲しませた二人の男の、男どうしの愛を、マイスイートハートは大切に守りたいと言うのだよ」
翼
「……」
小野瀬
「もしかして、そのために、変装して、カメラを構えて、我々の行動を見張っていたのですか?」
男
「そうとも」
お偉いさんは頷いた。
男
「だが、どうもよく分からない。というのは、小野瀬と穂積は仲良しに見えるが、穂積と櫻井もまた、同じぐらい仲良しに見える。それで、仕方なく、直接、櫻井に訊ねてみようと思ったのだ」
こんな人だったかな。
間違いなくもっと人格者のはずなんだが、奥さんが絡むとどうしようもないなこの人は。
翼
「……そんな……聞かれても……」
櫻井さんは戸惑っている。
それはそうだろう、二人の婚約はまだ捜査室のメンバーと俺以外には秘密だし、……よりによって、あの奥さんに本当の事を話すわけにはいかない。
翼
「……あの……」
小野瀬
「櫻井さん、……俺から話すよ」
俺は、一歩前に出た。
とは言ったものの、何も思い付かない。
小野瀬
「俺は……」
そう言った時、すぐ近くにいる穂積と目が合った。
小野瀬
「俺と、穂積は……」
ほとんど無意識に言い直した。
俺は、この窮地を抜け出す方法を知っている。
それはかつて、穂積が、俺にしたのと同じ方法。
小野瀬
「こういう仲です!」
俺は、思いきり引き寄せた穂積の身体を抱き締めた。
穂積は驚きに目を見開いたまま、俺からのキスを受け止めた。
ここでパスしてみるー。ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
11/18(Mon) 16:31
目撃者藤守!
ジュン
~藤守vision~
目の前で起きていることに頭が追い付いたんは十数秒は経ってからやと思う。
小野瀬さんが室長を抱き締めてキスをしてる。
その事にすぐに反応できた人間は一人だけ。
パシャパシャっと少し離れた所から聞こえるシャッター音。
その人物以外は咄嗟には理解できてない。
理解した頃には小野瀬さんは室長の肩を抱き「お分かり頂けましたか?」と声を発していた。
当のお偉いさんは口をあけて呆然としていたが理解が追い付くと顔を赤くして何度も頷いていた。
男
「そ、そうか。マイハニーの心配は杞憂だったのだな。穂積の記憶が失くなっても二人の関係は変わらなかったのだな。」
小野瀬さんはお偉いさんにはわからんようにホッと息を吐き出した。
室長に至っては自分の身に何が起こったのかやっと理解したようで顔を赤くして小野瀬さんに詰め寄ろうと・・・はギリギリせんかった。室長のことやから小野瀬さんが意味のないことをする人やないって理解したんやろう。
皆も突然のことで顔を赤くしてたけどお偉いさんが納得してくれたことに安堵したみたいやった。
アニキだけが未だに口をパクパクさせてるけどな。
男
「いや、マイスイートの頼みとはいえ後をつけたりして悪かった。私はもう帰るよ。スイートに二人の仲は大丈夫だと早く教えてあげたいからな。」
皆で敬礼をして去っていこうとするお偉いさんにホッと胸を撫で下ろそうとした。が、いきなり振り返り
「すまない、写真を撮るのを忘れたからもう一度お願いできるかね?」
室長の強張った顔と声にならない悲鳴やか怒号やかに俺はこっそり合掌した。
賢史くん視点で書いてみました(笑)
今回も少しだけで申し訳ない(;>_<;)
ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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11/19(Tue) 16:25
~翼vision~
小春
穂積
「……頭が痛い」
『証拠写真』を撮り終えた「お偉いさん」が、愛しい奥様の待つお宅に帰っていった後、泪さんは崩れ落ちるようにしてベンチに腰を下ろし、両手で顔を覆ってしまった。
小野瀬
「……あー……その、穂積……」
藤守
「小野瀬さん、今は声をかけん方がええんちゃいますか……?」
藤守さんに言われて、「……それもそうだね」と呟きながら、小野瀬さんは所在なさそうに泪さんから離れる。
自身も落ち込む小野瀬さんを、諏訪野さんが慰めるようによしよしと抱き寄せていた。
その時も、カシャカシャという音が聞こえたのは気のせいかしら。
翼
「室長……」
おずおずと声をかけながら近付くと、泪さんがわずかに顔を上げて、私を見た。
その顔色が真っ青で、私はびっくりしてしまう。
息を飲む間に泪さんは緩慢な動作でポケットを探って、頓服薬らしい錠剤を取り出した。
私はうろたえながらも、急いでバッグからミネラルウォーターを出して、泪さんに差し出す。
穂積
「ありがとう」
力無く微笑んで、鎮痛剤を飲み下す泪さんが弱々しく見えた。
薬を飲み終えると、泪さんは、また、うなだれるように頭を抱えてしまった。
穂積
「……すまないが、頭痛がおさまるまで休んでいたい。お前たち、俺の事は気にしないで廻ってきてくれ」
明智
「そう、言われましても、室長が心配で……」
明智さんに言われて、泪さんが悲しそうな顔をする。
穂積
「大丈夫だ」
重ねて言っても、泪さんの顔色は、誰が見ても悪い。
明智さんは自分も残る、と言ってなかなか納得しない。
成り行きを見守っていた私と、溜め息をついた泪さんの視線がぶつかった。
すると、泪さんが何か閃いたように、そうだ、と呟いた。
穂積
「櫻井が、特効薬を持ってる」
翼
「特効薬?」
泪さんはきょとんとする私を横目に、明智さんを小さく手招きした。
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11/19(Tue) 16:33
小春
膝をついて自分に顔を寄せた明智さんに、泪さんが何事かをささやく。
一瞬怪訝な顔をしたものの、明智さんはすぐに立ち上がり、藤守さんや如月さんたちを集める。
それから、身振りも交えて何かを指示した。
指示が行き渡ると、男性陣が全員集まってきて、私と泪さんのいるベンチを、ぐるりと囲むようにして立つ。
ベンチに背中を向けたみんなは、そのまま、隣同士と腕を組んで肩を寄せ合った。
まるで、人間の壁を作って、私と泪さんを、周囲の目から遮断するように。
壁が出来上がると、こちらに背を向けたまま、明智さんが泪さんに声をかけてきた。
明智
「……これでよろしいですか、室長?」
穂積
「ああ、ありがとう」
泪さんは明智さんの後ろ姿にお礼を言うと、今度は、私をベンチに座らせて、私の手を握った。
穂積
「……やっぱり、お前の方がいいな」
その手を、引かれた。
翼
「え」
まさか、と思う間もなく。
唇が重ねられた。
こんな、大勢の人がいる場所で。
背中を向けているとはいえ、捜査室のみんながいる場所で。
ああ、でも、
翼
「ん……」
泪さんのキスは相変わらず魔法のように気持ちよくて、優しく誘われれば逆らえない。
角度を変えながら、浅く深く、吸われた舌を絡めとられて。
指で髪を梳かれ、頬を撫でられ、大きな温かい手に頭を包まれて……
ぼうっとして、何も考えられなくなりそう……
繰り返される甘く濃厚な接触に、私は徐々に、泪さんとのキスに夢中になっていった。
小野瀬
「……穂積、気分は?」
小野瀬さんの声にハッとして瞼を開けば、まだ0距離の泪さんと目が合った。
瞼を開いた泪さんの眼差しが、ふ、と和らげられる。
それで、私はようやく、長い長いキスから、目が覚めた。
穂積
「だいぶ良くなった」
小野瀬
「みたいだね」
呆れたように小野瀬さんが笑った。
リレーSS専用スレッド・38
小春
おかげまでスレッド増設です。
こちらではただいま、リレーSS『アブナイ☆恋をもう一度』を開催しています。
引き続き執筆者募集中です。
お気軽に書き込んでくださいませ。
ここまでの流れは、スレッド37で復習してきてね!
***
穂積
「JSと小春は?……それに、いつの間にか、諏訪野とともさんもいない」
一同がはっとする。
そうだ、今日は、ともがプレゼントしてくれた、デートの日だったのだ。
一緒に立ち止まっていてはぐれるはずはないから、その二組は、自主的にいなくなった事になる。
穂積
「……悪いことをしてしまったな」
ジュン
「気を取り直して、グループデート再開しましょう!ねっ、賢史くん?」
明るく言って、ジュンが、藤守の腕をつかまえて抱きついた。
***
諏訪野ととも、JSと小春はどこへ?
もちろんノープラン。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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05/29(Wed) 15:49
とりあえずアトラクションへ(まだ入口だった)
小春
すると、その時、藤守のスマホが鳴った。
藤守
「あれ?ともからや」
ジュンの顔つきが変わる。
ジュン
「賢史くん!いつの間に、ともさんとアドレス交換してたの?!」
藤守
「ちょ、待、落ち着けやジュン!」
ともの声
『もしもしー?ジュンさーん?浮気の心配なんか要らへんよー?!』
どうやら、ジュンの声が大きかったために、藤守の受話器が拾ったらしい。
電話越しに、笑いを含んだともの声が、ジュンの耳に返ってくる。
ともの声
『うちには、諏訪野さんいうスーパーダーリンがおるんやからー!いや~んどないしよう、言うてもうたわ~!』
諏訪野の声
『聞こえちゃったよ、ともさん』
藤守
「……いややいやや言いながら、惚気ているようにしか聞こえへんな」
ジュン
「賢史くんに興味が無いと言われるのもそれはそれで……」
むくれながらブツブツ言うジュンだが、ひとまず悋気の火は消えたらしい。
藤守
「とも、それよりどないした?お前らどこにおるんや?」
とも
『アニマル・アドベンチャーやで。うち、そのアトラクションのキャストやねん。言うてなかった?』
藤守
「あっ!そやったな」
とも
『ボート貸し切りで乗せたるから、混まないうちに早よ来てやー!』
藤守は通話を切ると、今の会話を、穂積と小野瀬に報告した。
小野瀬
「それなら急いで行かなくちゃね」
翼
「アニマル・アドベンチャーって……大蛇とか出てくるんですよね?」
如月
「翼ちゃん、怖いの?大丈夫だよ!AAにはたくさん動物が出てくるけどさ、あれ、よく出来てる作り物だし」
翼
「それは知ってるんですけどね……」
穂積
「怖いアトラクションなのか?」
翼
「ジャングルの中を流れる川を、ガイドさんが操る小さいボートに乗って冒険するというものなんです」
如月
「そうそう」
翼
「機械仕掛けの動物が襲ってきたら、ガイドさんがライフルで追い払ってくれるのも演出のひとつなんです。大人気のアトラクションなんですけど」
穂積
「けど?」
翼
「……」
如月
「カップルで乗ると別れる、って都市伝説があるんですよ」
小笠原
「厳密には『二人のうちのどちらかが、乗船中に、相手以外の異性の名前を呼んでしまうと別れる』というものだけどね」
翼
「……」
ジュン
「翼ちゃん、そんな噂、気にしなくて大丈夫だよ。だって、普通に考えたら、デートの最中に他の相手の名前を呼ぶなんて、あり得ない状況だもん。ねっ、賢史くん」
藤守
「そ、そやな。ありえないわな」
ジュンはもう一度、「ありえないわよ」と念を押した。
どうやら、さっき、藤守がともの連絡先を知っていた事が、かなり気になっているらしい。
ジュン
「さあ、ともさんが待ってるから行きましょう!」
何故か藤守&ジュンペアにも不穏な空気が。
『エミ』は何かを仕掛けてくるのか?
JSと小春はどこで何を?
穂積の記憶はいつ戻る?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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06/22(Sat) 18:48
全然進んでいませんが(;>_<;)
ジュン
穂積
「ここか?」
アトラクションの前で一同が立ち止まる。
藤守とジュンは腕を組んで入るものの会話は少ない。
アトラクションの中からともが出てきた。
とも
「待ってたで~。楽しんでいってな。」
一同は船へと乗り込んだ。
その頃、小春とJSはアニマルアドベンチャーの近くの建物の間に身を隠すように佇んでいた。
小春
「太郎さん、ここで何するんですか?」
JS
「シーっ。少し黙っていて?ね?」
JSは小春に向かってウインクをする。
顔を赤くした小春の後ろから不満の声が聞こえる。
明智
「こんなところに隠れて何をする気だ?」
JS
「おや?ムッツリさんも付いてきたんですか?」
二人の間に火花が散り小春がオロオロと二人を見つめていた。
JS
「まあ、見ていてください。」
そう言うJSの視線の先には綺麗な女性が周囲を伺っているのが見えた。
アニマル・アドベンチャーで何が起こるのか!?
ここでパース(⌒0⌒)/⌒〇
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06/29(Sat) 12:00
エミさんの狙いは誰と誰のツーショット?……?小春わかんなーい
小春
JSの視線を追った明智が、遠目に見える岩陰に身を潜めるように屈んでいる美女に気付いて、目を凝らした。
明智
「JS、あれが『エミ』か?」
明智は視界に女を捉えたまま、低い声でJSに尋ねる。
明智
「……なんとか言う女優に似てるな」
JSはそんな明智に、いつものように感情の読めない笑みを口元に浮かべたまま、首をかしげて見せた。
JS
「さあ、彼女がエミさんかどうかは、分かりません。……ただ、あんなところに大人の女性が迷い込むなんて、不自然な気がしましてね。来てみたんです」
確かに。
小春を連れたJSが入り込めるくらいだから、アニマル・アドベンチャーの施設内は、一般の客が立ち入れない場所ではない。
けれど、エミがいる辺りは、曲がりくねった流れの中流域にある、動物スポットの裏側だ。
いざという時、警察官である明智たちならどうにか言い訳が立つが、エミがスタッフでないとしたら、明らかに不法侵入である。
明智が考えを巡らせていると、小春が首をかしげた。
小春
「でも、あれがエミさんだとすると、あの場所から室長さんを撮影する事に、きっと、何か意味があるんですよね?」
明智
「意味がある?」
すると、明智と小春の間に、JSが割って入る。
JS
「僕、調べましたよ小春さん。あそこは、船が通るとき、水中からカバが顔を出すんです」
小春
「さすが太郎さん」
明智
「……!……」
JS
「僕が考えるに、カバが出現する瞬間、船内では、誰かが誰かに接近するチャンスなのではないでしょうか」
小春
「なるほど」
明智
「こら!JS!小春に近付きすぎだ!」
小春の隣を争う明智とJSを見比べながら、小春は内心、まだ納得出来ずにいた。
小春
(誰かが誰かに接近する事が、楽しみ……?室長さんを撮りたいだけじゃなくて?……太郎さんにはエミさんの目的が分かってるみたいだけど……私がわからないだけなのかな?)
***
その頃、船の上では、到着したメンバーたちが、誰が誰の隣に座るかで、ちょっとした揉め事が起きていた……
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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07/14(Sun) 12:31
この設定は使う日が来るのか来ないのか
小春
~アニマル・アドベンチャー~
一方、その頃。
ともの待つ船着き場に到着した捜査室のメンバーたちは、何度かジャンケンをしたあとで、ようやく船に乗り込んでいた。
自分たちだけの貸し切りなのだから、広々と使ってもいいのに、何故か、三人ずつ並んで座る事に。
藤守
「よっしゃ!櫻井とジュンの間の席ゲット!賢史くん、ラッキー!」
ジュン
「賢史くんが嬉しそうで私も嬉しい」
翼
(ほんとは泪さんの隣が良かったな……私が、ジャンケンで負け続けちゃったから仕方ないんだけど……)
如月
「いいなあ藤守さん。でもまあ、オレは最前列で、ガイドのともちゃんと諏訪野さんと一緒の特等席だもんね!諏訪野さん、お邪魔します!」
諏訪野
「ははは、邪魔だなんてとんでもない。歓迎するよ。よろしくね、如月くん」
笑顔の諏訪野の次の列で、すでに青い顔をしている小笠原が、隣の小野瀬を振り返る。
小笠原
「小野瀬さん……俺が船酔いしたら、また、面倒みてほしい」
小野瀬
「乗船したばかりで不吉な事を言わないで!バス旅行の時みたいに吐かないでね?!ほらもうビニール袋持って!」
アニ
「……そういうことならちょっと待て。俺は穂積の隣に座る事にする」
小野瀬
「あっ、ずるいよアニ。ジャンケンで決めた席なんだからね!」
穂積
「俺は構いませんよ」
アニ
「そうだろうそうだろう、一人は寂しいよな?お兄ちゃんが隣に座ってやろう」
従順な穂積の態度に気をよくして、アニが最後尾の席の穂積の隣に移る。
とも
「もうええ?時間いっぱいや、出発するで!」
小春
「あっ、船が来ましたよ。お」
JS
「おっと小春さん、呼び掛けちゃだめですよ」
川を進んできた船に手を振りかけた小春の動きを、横からJSの手が遮る。
小春は慌てて声を抑え、ついでに自分の手で口を塞いだ。
小春
「ごめんなさい。……どうしてですか?」
JS
「このアトラクションに限らず、TDLでは、一緒に来ている恋人以外の異性の名前を呼ぶのは別れに繋がるジンクスとされているんです」
明智
「初耳だ」
JS
「僕が今作った話じゃありませんよ。有名な都市伝説です。さらに、『もしも、呼んだ異性が呼びかけに答えてしまうと、確実に別れる』なんてバージョンもあるぐらいです」
明智
「ありえない事はないな」
小春は、会話する明智とJSを交互に見た。
小春
「そうか。私がここから声をかけて、船に乗ってる捜査室の皆さんがそれに応えて私を呼んで、そのせいで恋人と別れちゃったら大変ですもんね」
気を付けます、と神妙な顔をする小春を見て、明智とJSは溜め息をついた。
JS
「……だから、小春さんにも他の男の名前を呼んでほしくない、と思ってるんですが……やはり、言わないと分からないでしょうか」
小春
「エミさんがいませんよ」
明智
「小春だからな。とりあえず、こいつには、俺たち以外の男の名前を呼ばせないように気を付けよう」
小春
「ねえ、エミさんがいませんよ」
JS・明智
「え?……しまった!」
船は、ベストショット・ポイントの目前にまで迫っていた。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
08/17(Sat) 13:35
逃げられた!
小春
穂積の携帯が鳴った。
穂積
「穂積だ」
素早く通話に出た穂積の隣から、アニも聞き耳を立てる。
明智
『申し訳ありません、室長。エミを見失いました……』
穂積は、船の上から辺りを見回した。
明智は、先程から、小春やJSと共に姿を消していた。
もちろん、意味のある別行動だと思ってはいたが……
穂積
「そうか、仕方ない。深追いする必要も無い」
その時。
船の横の水面が突然盛り上がり、巨大なカバが大きな口を開いた。
アニ
「わっ!」
穂積
「?!」
穂積にしがみつくようにしていたアニが、カバに驚いて身を引いた。
それに引き摺られる格好で、穂積はアニとともに座席から滑り落ちる。
小野瀬
「穂積!」
穂積の怪我は完治したわけではない。
そう気付いた小野瀬が、飛び込むようにして、穂積の下敷きになった。
穂積
「小野瀬?!」
小野瀬
「あ痛たたた……」
小野瀬の挺身のおかげで、幸いにも、穂積は転倒を免れた。
穂積
「小野瀬!」
穂積は慌てて、自分を庇ってくれた小野瀬を助け起こした。
穂積
「すまん、大丈夫か小野瀬」
小野瀬
「平気、平気」
カシャカシャカシャカシャ✨
穂積
「……今の、聞こえたか?」
小野瀬
「何を?」
船底にぶつけた頭を擦り擦り、小野瀬が聞き返す。
起き上がる小野瀬に手を貸しながら、穂積は呟いていた。
穂積
「確かに、シャッターを連写する音がした……」
TDLの中で追いかけっこ開始。
ここでパース。ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/21(Wed) 12:41
バカップルとアニ
ジュン
なんとか無事に船を降りた一行。すぐに明智たちも合流した。
明智
「すみません、室長。」
エミを見失ったことをまだ気にかけているようだった。
穂積
「気にするなと言ったろう?」
穂積は励ますように明智の肩を叩く。
如月
「気を取り直して次のアトラクションに行きましょうよ。パスも取ってきてあるんで。」
如月がパスを手に自慢げに胸を張る。
如月のあとに続いて一行は移動しアトラクションをいくつか回ることになった。その間も気を付けていたがシャッター音のような音は聞こえなかった。
(気のせいだったか?しかし・・・)
穂積が少し考え込んでいると穂積の唇に何か甘い匂いがするものが当てられた。
翼
「泪さんもチュロス、一口どうですか?」
穂積が目を向けると少し顔を赤くした翼がキャラクターの形をした棒状のお菓子を自分に向けていた。そんな翼が可愛くて頬が緩む。普段は甘いものを好まない穂積だが一口小さくかじりついた。
穂積
「ありがとう。旨いな。」
翼の頭をぽんぽんっと叩いて微笑み合う。
小野瀬
「穂積、俺のも一口食べてみる?」
いい雰囲気なのを珍しくからかってくるような小野瀬の言葉に少しムッとしながら「いや、いい。」と返事を返すが執拗に食べさせようとする小野瀬とじゃれ合うように取っ組み合うことになってしまう。
『カシャカシャカシャカシャ!』
カメラの連写音が聞こえ穂積と小野瀬は同時にそちらに顔を向けた。しかし、そこには誰もいない。
穂積
「逃げ足が速いな。」
ふうっと穂積がため息を吐いた。
その頃
ジュン
「はい、賢史くん、あ~ん?」
藤守
「あ~ん。うん、うまいなぁ。じゃあ、ジュンもあ~ん?」
ジュン
「あ~ん。」
アニ
「おい!愚弟!貴様だけ何をしているんだ!その、なんだ。ジュンがどうしてもと言うなら俺もあ~んしてもいいんだぞ。いや、別に羨ましいとかそんなワケでは」
依然として姿を掴めないエミ!そしてそんなことをすっかり忘れているかのような藤守兄弟&ジュン!←天罰が下りそう(笑)
ここでパース( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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08/22(Thu) 12:18
ジュンさんのフラグ回収です
小春
チュロスから始まった、藤守とアニの兄弟喧嘩。
それを、慣れた様子で微笑みながら見ていたジュンは、ふと、視線の端で、穂積と小野瀬と諏訪野の三人が話しているのに気付いた。
彼らは肩を並べて、アトラクションの列に並ぶともと翼を静かに見守りながら、小声で言葉を交わしあっている。
何かを相談しているのだろうか。
ジュン
(それにしても、キレイな顔をした人たちだなあ。『エミ』が見たら喜びそう)
そんなことを考えながら、なんとなく近付いていくと、意外なことに、三人はジュンに気付くと微笑んだ。
小野瀬
「ジュンさん、きみのナイトの藤守くんはどうしたの?」
諏訪野
「こっちにおいで。一人になってはいけないよ」
ジュン
「はあい。うふふ、小野瀬さんと諏訪野さんにお迎えしてもらえるなんて贅沢」
笑いながら二人の間に入ると、今度は穂積が、ジュンの耳元に口を寄せてきた。
前にいる翼もともも、話に夢中で、こちらを振り向こうともしない。
穂積の息が、ジュンの耳にかかった。
くすぐったい、と思った、その時。
穂積
「落ち着いて聞いてくれ。……近くにストーカーがいる」
穂積は、とんでもないことを、ジュンの耳に吹き込んだ。
ジュン
「……どういう事ですか?」
勘の良いジュンは内心の動揺を隠し、リラックスした表情のまま、翼たちに聞こえないよう、声を潜めて穂積に尋ねた。
穂積
「最初に、『エミ』が櫻井に送ってきた写真を見ただろう?」
ジュン
「はい。室長さんと、翼ちゃんが、手を繋いだ写真ですよね?『デートを楽しんで』ってメッセージがついていた……」
ジュンが言うと、穂積はわずかに頬を赤らめたものの、真顔で続けた。
穂積
「そうだ。あの写真は、明らかに、小柄な『エミ』が『俺』にピントを合わせて撮影したものだった。だから、俺は櫻井に『心配しなくていい』と話した」
小野瀬
「さっき俺が説明した、ストーカーについての小笠原くんの調査報告も、警視庁としての正式な見解だしね」
ジュンは首をかしげた。
ジュン
「つまり、『エミ』がストーカーだった、って話でしたよね?」
小笠原
「そう。だけど、疑惑も残ってるんだよね」
突然割り込んだ小笠原の声に、ジュンは飛び上がった。
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08/22(Thu) 13:00
小春
たぶんずっと近くにいたのだろう。
派手な三人に気をとられて気付かなかったこっちもこっちだけれど、控え目にも程がある。
小笠原
「で、その写真の話に戻るけど。室長と櫻井さんの後方、ピンボケしかかってる辺りをよく見て」
言われるまま、ジュンは、小笠原が差し出したタブレットの画面を覗きこんだ。
翼に来たメールを転送したのだろう、確かにさっき見た写真だ。
ジュン
「!」
小笠原が指差した人物は、一見、隣のアトラクションの行列に並んでいるうちの一人にしか見えない。
けれど、注意して見てみると、その人物は、穂積と翼の視野の外から、翼にカメラを向けているのがはっきり分かる。
首からはカメラを2台提げ、手にしたデジカメを二人に、いや、『翼に』向けている。
穂積
「こいつが、怪しい」
この写真を見た時、穂積は、自分たちを写したエミに気付くと同時に、一目でこの人物の不自然さに気付いた。
けれど、二人のストーカーからカメラで狙われている、などと明かして、翼を無駄に怖がらせたくなかった。
だから、あえてエミだけを意識するように、話したのだ。
ジュン
「……実は、私も、霞が関で翼ちゃんといて、視線を感じた事、ありました」
穂積
「そうか」
小野瀬
「気をつけて、ジュンさん。まだ、櫻井さんだけが狙いだと決まったわけじゃないよ」
ジュン
「あ」
言われてみれば、確かに。
霞が関の噂は、不特定の女性たちから発生していた……。
諏訪野
「藤守くんから離れてはいけないよ」
諏訪野は、さっきの言葉を噛み砕いて、繰り返した。
小笠原
「この際、アニメガネでもいいからさ。絶対、一人にはならないで」
ジュン
「はい」
ジュンは自分の周りを見回した。
どこへ行ったのかJSと小春はいないが、他の捜査室メンバーは揃っている。
それにとも、諏訪野。
頼もしい仲間たちだ。
自分たちの話に夢中になっていた、ともと翼が振り返った。
無邪気な笑顔に応えて、ジュンも二人に笑顔を向けた。
ジュン
「このアトラクションから出たら、みんなでお昼食べようね!」
一同が、ジュンに同意の返事を返してくれる。
ジュン
(……あれ?……そういえば、『エミ』は、どうして、わざわざ翼ちゃんにメール送ってきたんだろう?……もしかして……?)
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/17(Sun) 12:59
停滞させててすみません。進めますよ♪
小春
キャストのサービスが行き届いたレストランで昼食を食べた後も、如月自慢のファストパスの活躍で、一行は次々と人気アトラクションを体験していった。
藤守、ジュン、とも、翼
「♪地図は無ーいけれどー♪」
如月
「♪こぉ~んぱすお~ぶゆあは~♪」
穂積
「さっきのアトラクションの歌だな」
小野瀬
「お前よくわかるね。如月くんだけ違う歌みたいなのに」
小笠原
「やっと、デートらしくなってきたかな」
アニ
「ふん、俺は一向に面白くないがな」
小笠原
「ポップコーン2杯目だよねメガネ」
エミの発していると思われるシャッターの発する連続音も、しばらく鳴りを潜めていた。
そろそろ諦めたのだろうか、と小野瀬は思う。
小野瀬
(でも、まだ、櫻井さんは緊張した顔をしているね)
ずっと穂積の近くにはいるけれど、付かず離れずというところ。
仲の良い上司と部下の距離ではあるものの、藤守たちと比較するまでもなく、恋人どうしとしてはやや遠い。
穂積の方も、あえて距離を詰めようともしない。
エミやストーカーの存在を意識しているからだろうか。
それにしても、櫻井さんはこのところ心配続きだった。
きっと、穂積とのデートを楽しみにしていただろうに。
誰が見ているか分からないとはいえ、もう少し恋人らしくしてやってもいい。
小野瀬
「穂積」
小野瀬はそっと、穂積の袖をひいた。
穂積
「どうした?」
カシャカシャカシャ。
穂積は小野瀬に耳を寄せたまま、視線だけを鋭く動かした。
穂積
「エミか」
低く呟く。
小野瀬は舌打ちした。
タイミングが悪い。
穂積
「……さっきから思っていたんだが」
小野瀬
「何?」
穂積
「どうやら間違いない。お前と俺が近付くと、シャッターの音が聞こえる」
小野瀬
「それって……」
その時。
翼
「きゃっ!」
翼の短い悲鳴に、穂積と小野瀬は揃って声のした方向を見た。
翼は、すでに諏訪野の背に庇われている。
その前に立ち塞がったともが、黒い服の男の腕を掴んだところだった。
とも
「何すんねん!返事によっては、このまま投げ飛ばすで!」
藤守とアニも、男の背後に回り込んで退路を塞ぐ。
さらに如月と小笠原がその包囲網に加わる。
もう、逃がすはずがなかった。
11/17(Sun) 13:54
ストーカーの正体
小春
明智
「あの男が、不意に近付いてきたんです。おそらく、室長と小野瀬さんの注意が櫻井から逸れるのを、近くで見計らっていたんでしょう」
明智の説明に、穂積と小野瀬が頷いた。
穂積と小野瀬が櫻井から目を離したのはほんの数秒。せいぜい十数秒だ。
そんな僅かな隙を突いて近付くとは、何か、明らかな目的を感じる。
明智
「何者だ」
男の表情は、はキャップとサングラスとマスクに覆われて伺い知れない。
穂積
「明智、ここはパークの大通りだ。人目がある。事を荒立てるな」
明智
「あ、はい」
人混みから少し離れた場所に一行を連れて移動した穂積は、改めて、黒ずくめの男に相対した。
男は、いくつも首からカメラを提げている。
エミから送られてきた写真に映っていた男に間違いなかった。
穂積
「お話を伺っても?」
男
「……」
男は答えない。
だが、小野瀬はふと、デジャ・ビュに近いような違和感を感じた。
この感じは何だろう?
静かに男を見つめる穂積の表情には変化がない。
では、この感覚は自分だけ?
明智
「……あれ?」
不意に、隣の明智が声を漏らした。
明智
「お前……いや……、あなたは……まさか……」
明智の顔色が変わり、次の瞬間、凄い速さで小野瀬を振り向いた。
明智
「まさか……」
ただならぬ明智の反応を見て、小野瀬もまた確信する。
明智
「小野瀬さん……この方は……」
俺は、俺たちは、この男を知っている。
明智
「……室長の……トラウマの……!」
そう。
穂積のトラウマ。
それは、穂積たちが勤める警視庁の、その中でも雲の上の方にいるお偉いさんである人物の人妻が、穂積に惚れてしまった事件。
その人妻に追いかけまわされ、背に腹は変えられなくなった穂積が、小野瀬にキスしてオカマをカミングアウト(偽装)するはめになった、伝説の事件。
いま、目の前にいるのは、その、人妻の夫。
つまり……
明智
「け、けいっ、☆¢§$★%£#*◆!」
明智が、男に向かって、ばっと敬礼した。
それを見て、その場の警察官が一斉に敬礼する。
記憶の無い穂積だけが、やや遅れて敬礼の姿勢をとった。
男
「……」
職場では雲の上にいるはずの男は、気まずそうに、一同に敬礼を返した。
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11/17(Sun) 14:50
小春
~小野瀬vision~
今一つピンと来ていない穂積を下がらせて、俺はお偉いさんの前に出た。
小野瀬
「……どういうことですか?なぜ、櫻井さんを?我々は正式に公休を取っていますし、それに、そのカメラは」
男
「……妻に、せがまれたのだ」
大勢に囲まれ、観念したのか、お偉いさんは肩を落とした。
男
「すまん、櫻井。二人で話をしたかっただけで、乱暴する気など毛頭無かった」
深々と頭を下げたはるかな上司に、櫻井さんの方が慌てている。
翼
「いえ、そんな。やめてください。それより……お話って、何ですか?」
男
「穂積との事だ」
櫻井さんの背中が、びくっと震えた。
お偉いさんは注目されている中での発言に迷ったようだったが、やがて開き直ったように口を開いた。
男
「実は、妻に、確かめてきてくれと可愛く頼まれてしまって」
翼
「はい?」
男
「小野瀬はもちろん、明智も知っていると思うが、わたしのハニーは穂積の事が好きでね。もう何年も前に可哀想に片想いで終わった話なんだが」
言葉の端々から、奥さんへの隠しきれない愛情がだだ漏れだ。
男
「穂積が事故に遭って記憶を失ったと知って、心優しい彼女は心配しているんだよ」
ふと、俺の中でアラーム音が鳴った気がした。
ろくでもない事に巻き込まれそうな時に感じる、第六感アラーム。
男
「穂積が、最愛の小野瀬への想いまで忘れてしまったんじゃないか。そして、その隙に、誰かが穂積に言い寄ったりはしないだろうか、とね。ああ、なんて崇高なんだろう。かつて自分を悲しませた二人の男の、男どうしの愛を、マイスイートハートは大切に守りたいと言うのだよ」
翼
「……」
小野瀬
「もしかして、そのために、変装して、カメラを構えて、我々の行動を見張っていたのですか?」
男
「そうとも」
お偉いさんは頷いた。
男
「だが、どうもよく分からない。というのは、小野瀬と穂積は仲良しに見えるが、穂積と櫻井もまた、同じぐらい仲良しに見える。それで、仕方なく、直接、櫻井に訊ねてみようと思ったのだ」
こんな人だったかな。
間違いなくもっと人格者のはずなんだが、奥さんが絡むとどうしようもないなこの人は。
翼
「……そんな……聞かれても……」
櫻井さんは戸惑っている。
それはそうだろう、二人の婚約はまだ捜査室のメンバーと俺以外には秘密だし、……よりによって、あの奥さんに本当の事を話すわけにはいかない。
翼
「……あの……」
小野瀬
「櫻井さん、……俺から話すよ」
俺は、一歩前に出た。
とは言ったものの、何も思い付かない。
小野瀬
「俺は……」
そう言った時、すぐ近くにいる穂積と目が合った。
小野瀬
「俺と、穂積は……」
ほとんど無意識に言い直した。
俺は、この窮地を抜け出す方法を知っている。
それはかつて、穂積が、俺にしたのと同じ方法。
小野瀬
「こういう仲です!」
俺は、思いきり引き寄せた穂積の身体を抱き締めた。
穂積は驚きに目を見開いたまま、俺からのキスを受け止めた。
ここでパスしてみるー。ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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11/18(Mon) 16:31
目撃者藤守!
ジュン
~藤守vision~
目の前で起きていることに頭が追い付いたんは十数秒は経ってからやと思う。
小野瀬さんが室長を抱き締めてキスをしてる。
その事にすぐに反応できた人間は一人だけ。
パシャパシャっと少し離れた所から聞こえるシャッター音。
その人物以外は咄嗟には理解できてない。
理解した頃には小野瀬さんは室長の肩を抱き「お分かり頂けましたか?」と声を発していた。
当のお偉いさんは口をあけて呆然としていたが理解が追い付くと顔を赤くして何度も頷いていた。
男
「そ、そうか。マイハニーの心配は杞憂だったのだな。穂積の記憶が失くなっても二人の関係は変わらなかったのだな。」
小野瀬さんはお偉いさんにはわからんようにホッと息を吐き出した。
室長に至っては自分の身に何が起こったのかやっと理解したようで顔を赤くして小野瀬さんに詰め寄ろうと・・・はギリギリせんかった。室長のことやから小野瀬さんが意味のないことをする人やないって理解したんやろう。
皆も突然のことで顔を赤くしてたけどお偉いさんが納得してくれたことに安堵したみたいやった。
アニキだけが未だに口をパクパクさせてるけどな。
男
「いや、マイスイートの頼みとはいえ後をつけたりして悪かった。私はもう帰るよ。スイートに二人の仲は大丈夫だと早く教えてあげたいからな。」
皆で敬礼をして去っていこうとするお偉いさんにホッと胸を撫で下ろそうとした。が、いきなり振り返り
「すまない、写真を撮るのを忘れたからもう一度お願いできるかね?」
室長の強張った顔と声にならない悲鳴やか怒号やかに俺はこっそり合掌した。
賢史くん視点で書いてみました(笑)
今回も少しだけで申し訳ない(;>_<;)
ここでパース(* ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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11/19(Tue) 16:25
~翼vision~
小春
穂積
「……頭が痛い」
『証拠写真』を撮り終えた「お偉いさん」が、愛しい奥様の待つお宅に帰っていった後、泪さんは崩れ落ちるようにしてベンチに腰を下ろし、両手で顔を覆ってしまった。
小野瀬
「……あー……その、穂積……」
藤守
「小野瀬さん、今は声をかけん方がええんちゃいますか……?」
藤守さんに言われて、「……それもそうだね」と呟きながら、小野瀬さんは所在なさそうに泪さんから離れる。
自身も落ち込む小野瀬さんを、諏訪野さんが慰めるようによしよしと抱き寄せていた。
その時も、カシャカシャという音が聞こえたのは気のせいかしら。
翼
「室長……」
おずおずと声をかけながら近付くと、泪さんがわずかに顔を上げて、私を見た。
その顔色が真っ青で、私はびっくりしてしまう。
息を飲む間に泪さんは緩慢な動作でポケットを探って、頓服薬らしい錠剤を取り出した。
私はうろたえながらも、急いでバッグからミネラルウォーターを出して、泪さんに差し出す。
穂積
「ありがとう」
力無く微笑んで、鎮痛剤を飲み下す泪さんが弱々しく見えた。
薬を飲み終えると、泪さんは、また、うなだれるように頭を抱えてしまった。
穂積
「……すまないが、頭痛がおさまるまで休んでいたい。お前たち、俺の事は気にしないで廻ってきてくれ」
明智
「そう、言われましても、室長が心配で……」
明智さんに言われて、泪さんが悲しそうな顔をする。
穂積
「大丈夫だ」
重ねて言っても、泪さんの顔色は、誰が見ても悪い。
明智さんは自分も残る、と言ってなかなか納得しない。
成り行きを見守っていた私と、溜め息をついた泪さんの視線がぶつかった。
すると、泪さんが何か閃いたように、そうだ、と呟いた。
穂積
「櫻井が、特効薬を持ってる」
翼
「特効薬?」
泪さんはきょとんとする私を横目に、明智さんを小さく手招きした。
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11/19(Tue) 16:33
小春
膝をついて自分に顔を寄せた明智さんに、泪さんが何事かをささやく。
一瞬怪訝な顔をしたものの、明智さんはすぐに立ち上がり、藤守さんや如月さんたちを集める。
それから、身振りも交えて何かを指示した。
指示が行き渡ると、男性陣が全員集まってきて、私と泪さんのいるベンチを、ぐるりと囲むようにして立つ。
ベンチに背中を向けたみんなは、そのまま、隣同士と腕を組んで肩を寄せ合った。
まるで、人間の壁を作って、私と泪さんを、周囲の目から遮断するように。
壁が出来上がると、こちらに背を向けたまま、明智さんが泪さんに声をかけてきた。
明智
「……これでよろしいですか、室長?」
穂積
「ああ、ありがとう」
泪さんは明智さんの後ろ姿にお礼を言うと、今度は、私をベンチに座らせて、私の手を握った。
穂積
「……やっぱり、お前の方がいいな」
その手を、引かれた。
翼
「え」
まさか、と思う間もなく。
唇が重ねられた。
こんな、大勢の人がいる場所で。
背中を向けているとはいえ、捜査室のみんながいる場所で。
ああ、でも、
翼
「ん……」
泪さんのキスは相変わらず魔法のように気持ちよくて、優しく誘われれば逆らえない。
角度を変えながら、浅く深く、吸われた舌を絡めとられて。
指で髪を梳かれ、頬を撫でられ、大きな温かい手に頭を包まれて……
ぼうっとして、何も考えられなくなりそう……
繰り返される甘く濃厚な接触に、私は徐々に、泪さんとのキスに夢中になっていった。
小野瀬
「……穂積、気分は?」
小野瀬さんの声にハッとして瞼を開けば、まだ0距離の泪さんと目が合った。
瞼を開いた泪さんの眼差しが、ふ、と和らげられる。
それで、私はようやく、長い長いキスから、目が覚めた。
穂積
「だいぶ良くなった」
小野瀬
「みたいだね」
呆れたように小野瀬さんが笑った。