『アブナイ☆恋の共同生活』

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09/01(Tue) 16:25
最終日
ジュン


楽しかった夏休みも最終日を迎えていた。

公平
「うわーん、宿題が終わらない~。」

最終日の定番の公平の声が藤守家に響いていた。

誠臣
「毎日、コツコツしないからだぞ。」

公平がサボらないように監督をしている誠臣がため息をつく。


「毎年毎年、懲りないな。」


「泪だって似たようなものだったじゃないか。」

アニ
「そういえば、今年は賢史は叫んでいないな?」

賢史
「俺はバッチリ終わっとるからな。」

翼の入れたお茶をすすりながら賢史が得意そうに口にする。


「どうせ、翼ちゃんと玉木のお陰でしょ?」

賢史
「うるさいわ!」

そんな藤守兄弟たちを見ながら翼がクスクスと笑う。


「小春と太郎くんはもう宿題は終わってるの?」

小春
「うん。」

太郎
「はい。明日の準備もバッチリです。」

二人は得意気な顔を返す。

これで夏休みも終わり。

明日から始まる新学期に気持ちを新たにする翼であった。


勝手に夏休みも終わらせちゃってよかったかしら?

ダメなら削除しまーす。

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09/01(Tue) 17:36
ジュンさんありがとうございます。(´ 3`)ちゅー
小春


夏休み終了、全然OKですよ。

リアルも新学期ですもんね。

大学はまだ休みですけど。

このリレーの誠臣くんはきっと賑やかなお誕生日を過ごした事でしょう。

続きをお願いしまーす。パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
 

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09/01(Tue) 18:53
考えてなーい(。>д<)
ジュン


あー、誠臣さんの誕生日を飛ばしちゃいましたね。

すみませんm(__)m

そして続きは考えてないです(。>д<)

どなたかお願いします~

パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

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09/04(Fri) 16:25
新学期
ジュン


大学生組がまだ夏休みなのに対して、小中高生たちは新学期を迎えた。

そして、最近の藤守家の話題は運動会&体育祭である。

小春
「お姉ちゃん、私たちの学年はダンスをするんだよ。」

太郎
「僕はリレーの選手に選ばれました。」


「すごいじゃないか、太郎。」

泪に頭を撫でられてどこか自慢げな太郎。

公平
「俺もリレーは選ばれると思う!それに中三は組体操があるんだよ。」

太郎に対抗するように公平が話始める。

運動の得意な公平の意気込みが伝わる。

賢史
「俺らはまだ決まってないけど、今年もリレーの選手はやらされるんやろうな。」


「賢史くんは陸上部だもんね。みんな期待してるよ。」

アニ
「お前は何に出るんだ?」


「まだ決めてないです……」

少し運動の苦手な翼の声は小さい。

誠臣
「諒は決まったか?」


「出たくない……」

人混みや衆人の視線が苦手な諒は顔色が悪い。


「そういう誠臣は決まってるの?」

誠臣
「まだですが、リレーには出ることになると思います。」

それぞれがリレーの選手をするのは藤守家では毎年のことである。

アニ、泪、葵もリレーでは大活躍だった。

そして、家族全員で応援に行くのも毎年の恒例行事だ。


「今年は私もお弁当作るの手伝うね。」

誠臣
「助かるよ、翼。」

小春
「運動会、楽しみだね。」

太郎
「そうですね。」


9月といえば運動会!

皆さん、よろしくお願いしまーす。

ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

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09/08(Tue) 17:49
~高校生編・体育祭~
小春



「はあ……」

藤守家での夕食後、誠臣、太郎と小春とともに後片付けを終えた翼は、浴室に向かいながら、無意識に溜め息をついていた。

体育祭か……


「はあ……」

すると、翼の溜め息に応えた声がある。


「疲れたか?」

タイミング悪く、脱衣所から出てきた泪に溜め息を聞かれてしまったらしい。


「悪いな。明日は俺と葵が当番だから」

大量の食器洗いで疲れたと思われたのだろうか。

翼は急いで、首を横に振った。


「あ、ち、違うんです。洗い物なんか、全然平気です」


「?……じゃあ……」

何で、と言いたげに口を開いた泪は、だが、声に出す前にその理由に思い至ったらしい。


「体育祭か?」


「……泪さんは、いいですよね。運動神経抜群だもん」


「はは、代わりに家事がまるっきりだけどな」

確かに、と思ったら、自然と笑ってしまった。

ぽんぽん、と、泪の手が翼の頭を撫でる。


「そうやって笑ってろ」


「……でも、せっかくみんなが応援に来てくれるから、がっかりさせたくないし……」

なんだか父親に撫でられているような感覚に、自然と、翼は愚痴るような甘えた口調になってきた。


「いいとこ見せなきゃ、なんて思う必要は無い。お前に出来る精一杯でいいんだ」


「泪さんは、いいとこ見せようって思わないんですか?」

翼は少しうつむいて、唇を尖らせた。


「俺は、自分が納得出来る結果を出せれば……」

そこまで言って、泪は不意に、じっと翼を見つめた。


「いや……それは、思うさ。むしろ、いいところだけを見せたいと思う、けど」


「?」

急にしどろもどろになる泪を見上げて、翼は首を傾げた。


「でも、その、俺は、一生懸命なお前を見るのが好きだから。ああ、いや、お前は、違うか?何でも出来て、いつでも一番の奴しか、応援したくないか?」


「そんな事ない」


「だよな!」

泪が破顔一笑する。

翼はどきりとした。


「だから、な。そんな顔をするな。ちゃんと前を向いて、胸を張って歩け」


「泪さん」

小さい頃から、この人に、何度も言われてきた言葉。

そのたびに、下を向きかけていた自分に気がついて、顔を上げる。

するといつもそこには背の高い彼がいて、自分を見守ってくれているのだ。


「ん」


「私、頑張ります」


「うん」


「だから……」


「うん?」


「……」


「……?……」

翼は、息を吸い込んだ。


「頑張ったら、わ、わたし、と…………デート、してもらえますか?」
09/01(Tue) 16:53
リレーSS専用スレ・33
小春

☆こちらはリレーSS専用スレッドです☆

ただいま連載中の『アブナイ☆恋の共同生活』にご参加くださる方は、スレッド31~にて諸注意、設定、ここまでのストーリーをおさらいのうえ、書き込みをお願いします。

~主な登場人物~


★櫻井家★

☆翼☆

桜高校の2年生。

父親の転勤を機に、わけあって両親と離れて暮らす事になった。

いわゆる箱入り娘、しかしなかなかタフな一面もある。

小春の保護者として、小さな妹を守ってあげなければと使命感に燃えているのだが……

泪の事が好き。


☆小春☆

翼の妹で、桜小学校5年生。

黒髪で小柄な女の子。

小春が転校を嫌がった為に、翼も家に残る事になり、この不思議な生活が始まる。

翼同様の箱入り娘でおっとりした性格だが、好奇心旺盛で、藤守家にしょっちゅうお邪魔してさまざまなスペックを身につけている。


★藤守家★

翼たちのお隣さん。両親はいるがいつも不在。


☆長男……慶史

通称アニ。

大学生。

高卒後一年間留学していたため、大学には葵や泪と同時に入学している。

将来は検察官を目指しており、すでに司法試験を受けて合格している秀才。

完璧なはずなのに彼女が出来ない、残念な男。

現在、魔法使いへの道を真っ直ぐに進んでいる。


☆二男……葵

「桜大学の光源氏」と呼ばれる、美貌で甘い声を持つ理系男子。

泪とは双子。

アニとは対照的に、常に女性に囲まれている。

軟派に見えるが、じつは真実の愛を模索中。

元ヤンで、泪に対してはブラザーコンプレックスを持っているらしい。


☆三男……泪

双子の弟。

母方の旧姓は穂積で、祖父が外国人なせいか一人だけ金髪碧眼。

何故か外ではおネエ言葉。

アニと法学部の首席を争い、男性人気では葵を上回る「桜大学の悪魔」。

葵同様大変モテるが、ひそかに翼を好きなので他の女性に関心が無い。


☆四男……誠臣

桜高校3年生。

柔道と射撃の才能があり、数々の大会で優勝していて、どちらもオリンピックの選手候補に選ばれたが辞退したほどのツワモノ。

家事が万能で面倒見の良い、そして生真面目で苦労性で実はムッツリな藤守家のオカン的存在。


☆五男……賢史

桜高校2年生。

翼と同じクラスで隠れ鉄オタ。

何故か関西弁。

いわゆる「いい人」で人気者だが、特定の彼女はまだいない。

ジュンの事が好きだがなかなかあと一歩を踏み出せない。


☆六男……諒

桜高校1年生。

軽く引きこもりがちだが、IT関係の会社をいくつか起業し利益を上げている学生実業家。


☆七男……公平

桜中学校3年生。

自慢の髪がゆくゆく無くなるのを心配しているオシャレ番長。

趣味は女装で、中学ではミスコンで優勝したこともある。


☆山田太郎

桜小学校5年生。

小春と同じクラス。

藤守家に居候している留学生で、今は小春と相部屋。

遠い親戚になる人の子供らしいが、時々アニたちの大学に現れる「ジョン・スミス」にそっくりだったり、やけに大人びていたり外国語が堪能だったり、と謎の多い少年。

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09/01(Tue) 17:06
~登場人物その2~
小春


《桜小学校組》

☆穂積るい☆明智まさおみ☆小野瀬あおい☆

太郎と小春も所属する桜小探偵クラブ、≪きんきゅうとくめい捜査室≫の6年生。


☆藤守けんじ☆如月こうへい☆小笠原りょう☆

太郎と小春のクラスメイトで、探偵クラブのメンバー。5年生。


☆こはる☆

太郎そっくりの謎の大人、ジョンスミスの恋人。

蕎麦屋のくせにどんな注文にも対応する「さくら庵」の娘。

三階の自室を探偵クラブの溜まり場として開放している。


《桜中学校組》


☆白河とも☆

中3。

桜中学女子柔道部の主将。

公平と同じ時期くらいから柔道を始めた幼馴染で、昨年には中学生の全国大会で優勝する程の実力を持っている。

ちなみに、学力も、常にトップを保つ才女。


《桜高校組》

☆玉木ジュン☆。

賢史の所属する陸上部で、マネージャーをしている低身長、童顔(胸だけ大きめ)の一年生。

諒と同じクラス。


☆空間セツナ☆

25歳。

藤守と翼のクラスの担任教師。

教員生活3年目の今年、初めてクラス担任を持たされ、疲労困憊の日々を送っている。


《桜大学組》

☆澪☆

慶史や泪と同じく法学部で、泪とはゼミも同じ。

ダークブロンドで碧眼。

空間のイトコ。
 

 
~前スレッドからの新しい登場人物~


☆とも父☆

リレーファンにはおなじみ、ダンディで万能なともの父親。


☆ジョンスミス☆

藤守家の周りに出没する謎の人物。

桜大学に在籍しているらしい。


☆木崎紅花☆

藤守家とは反対側の櫻井家の隣に住んでいる、小学5年生。

小春や太郎と仲良し。


※上記は初期設定です。変更がある場合は訂正してください。

09/08(Tue) 18:39
新スレッドです
小春


読者の皆さま、参加者の皆さまのおかげで、新スレッド突入です。

引き続きよろしくお願いします。




「……じゃあ、もう決定だな」


「えっ?」


「だって、お前は頑張るから」

翼の目の前まで顔の高さを下げた泪が、にっこり笑った。


「デート、行きたい場所を考えておけよ」

そう言って、翼の髪をくしゃりと撫でると、泪はくるりと身体の向きを変えて、脱衣所に入っていった。

泪の姿が見えなくなって、緊張して硬くなっていた翼の全身からどっと力が抜ける。

心臓がこれ以上無理なくらいに高鳴って、一気に顔に熱が集まっていくのが分かった。

……言っちゃった。

おまけに、OKしてもらえた。

泪さんと、デート……


「……どうしよう……」

どうしていいか分からずに、翼は途方に暮れた。


「……泪さん、またお風呂場に入っちゃった……」



その頃、再び湯船に浸かった泪が、湯の中に頭まで沈んで歓喜の叫びを隠していた事など、知らないままに……


頑張れ翼ちゃんそして泪さん。

ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○

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09/11(Fri) 16:26
泪さん、可愛い
ジュン


秋晴れの土曜日、3週連続で行われる運動会&体育祭の先陣を切ったのは高校の体育祭だった。

朝早くから場所取りをしていたアニの元に大学生組・中学生・小学生組が合流した。


「いい場所がとれたな。」


「ここならよく見えそうだね。」

小春
「皆は何に出るのかな?」

太郎
「入口でプログラムをもらいましたよ。」

藤守家の皆がプログラムを覗き込んでいると賢史と翼が近寄ってきた。

賢史
「俺はリレーと騎馬戦に出るで。」


「私は借り物競争に出ます。」

賢史
「誠兄はリレーと綱引きやったかな?諒は障害物競争に出るはずや。」


「頑張れよ。」

泪が翼に向かって声をかける。

約束を思い出して真っ赤になった翼が小さく頷いた。

集合の合図があり、いよいよ体育祭が始まった。


体育祭始まりました。

皆さん、奮ってご参加くださいませ。

ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

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09/13(Sun) 08:18
最近の癒しはここの泪さん翼ちゃん


開会式のあと、グラウンドではプログラムに沿って競技が始まっていた。

──プログラム3番、1年生による障害物競走です……

公平
「あ、諒兄さんが出るんじゃなかったっけ」


「そうだ。おい、葵」


「もう準備できてるよ」

泪が振り返った先では、葵がしっかりとカメラを構えている。

アニ
「むむ、諒はどこにいるんだ……」

藤守家の面々が目を凝らす中、ふいに小春が明るい声を出した。

小春
「あ、紅花ちゃん!」

紅花
「小春ちゃん、太郎くん、みんなで来てたんだー!」

小春と太郎が駆け寄ると、紅花は嬉しそうにはしゃぐ。

公平
「紅花ちゃん、よかったら一緒に見ようよ。今から諒兄さんが出るんだ」


「ほら、みんな一番前で応援してあげて」

太郎
「あっ、あそこ。……具合が悪そうですね」

葵の言葉をうけ泪が小学生三人を一番前に通してやってすぐ、太郎が声をあげる。
太郎の指差した待機列には、確かに諒の姿があった。
人混みの中、衆人の視線に晒される状況。
諒の性格を熟知している藤守家にはわかりきっていることといえ、心配は付き物だ。

アニ
「毎年のことだが……しかし顔色が悪いな」

小春
「大丈夫かなぁ」

全員が諒を見守る中、ついに号砲が鳴り響いた。


夏祭りの時紅花ちゃんをチラ見する諒くんに萌えたのでとりあえず紅花ちゃん連れて来ちゃいました☆~(ゝ。∂)ザ・タリッキー!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

09/13(Sun) 10:52
ジュンさん澪さんありがとうございます(´ 3`)
小春


小5と高1なので、学年でいうと、紅花ちゃんは諒くんの5コ下?

二軒隣に住んでるんだから、もちろん幼なじみですよね。

登校班のリーダーにされた小6の諒くんが、新1年生の元気でにこにこした紅花ちゃんの手を引いて、ぶつぶつ言いながら通学していたのを想像すると微笑ましいですね(´∇`∩)。

*****

紅花
「諒くん、がんばれえっ!」

スタートと同時に、紅花が大きな声を出した。

子供の声はよく響く。

こちらを振り向きはしなかったものの、諒の身体が一瞬びくりと跳ねたのは明らかだった。

ぐっ、と諒が拳を握ったのに気付いて、小学生たちの後ろで、藤守兄弟が、へえ、と感心したような笑顔で視線を交わす。

まずは平均台。

諒は台に上がった直後に一瞬大きくぐらついたものの、その後は上手にバランスをとって、細い台の上を渡りきった。

続いてコース上に現れたのは、跳び箱8段。

助走の距離はじゅうぶんあるが……


「諒って跳び箱跳べたっけ?」

公平
「えっと、確か……」

葵と公平が、走る諒を見たまま声だけを交わす。

視線の先のトラックで、諒が跳び箱を跳ばずにしがみつき、よじ登り始めた。

公平
「……やっぱり」

その間に、すぐ隣のコースを走って来た背の高い同級生が、ロイター板を鳴らして鮮やかに8段を跳び越えてゆく。

見事な跳躍に、周りから拍手が起こった。

慶史
「くそっ、諒!負けるな!この俺の弟だろうが!」

現役時代は拍手を浴びる側だった慶史が、立ち上がって叫ぶ。


「アニ、落ち着いて。後ろの席の人に迷惑だから」


「あいつを信じろ」

泪も葵も歯痒そうな顔をしながら、両脇からアニの服の裾を掴んで無理やり座らせた。

一方、諒はようやく跳び箱を乗り越え、次の障害物へ。

すると、どういうわけか、とっくに先に行ったはずの選手たちが、コース上をうろうろしている。

追い付いた諒が地面から拾い上げたのは、バドミントンのラケットとシャトル。

5mほど先に、小さいごみ箱が置かれている。

どうやら、そのごみ箱にシャトルを入れるらしい。

フライパンを持つようにラケットを構えた選手たちが、脇のかごからシャトルを取り出しては次々に放物線を描くが、なかなか入らない。

チャンスだった。

諒は息を整えると、明らかに一人だけ違うフォームをとった。

バドミントン経験者の構えだ。

紅花
「諒くん……」

紅花が両手を合わせる。

すうっと伸びた諒の左腕の先に浮いたシャトルは、次の瞬間、振り下ろされたラケットによって、目にも止まらぬ速度でごみ箱に吸い込まれた。

勢いよくごみ箱が倒れる。

わあっ、と大歓声が沸き上がった。

諒は急いでラケットを置いて、ゴールに向かう。

小春
「頑張れ!」

太郎
「頑張れ!」

紅花
「頑張れー!」

そして、

そのまま、

諒は1着でゴールした。

紅花
「やったぁっ!」

慶史
「よくやった、諒!さすがは俺の弟だ!」

*****

 ……すみません、勢いでゴールさせてしまった。

ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○

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09/17(Thu) 08:09
騎馬戦
ジュン


諒の頑張りのあとに出てきたのは賢史だった。

アメフト部員が土台を作り、その上に180cmの賢史が跨がる。

各々の騎馬が準備を整えた。

笛の音を合図に一斉に各騎馬が立ち上がった。

小春
「賢史兄ちゃんおっきい~。」

小春の言う通り賢史は頭ひとつ飛び出している。

再び笛が鳴ると騎馬が動き出した。

白い帽子を被った賢史の騎馬はどんどん回りの騎馬から帽子を奪っていく。

アニ
「ふん。楽勝だな。」


「でも、何かおかしくない?」

葵が言う通り賢史の騎馬の回りには敵チームの騎馬が集まってきている。


「賢史!囲まれるぞ!」

泪が叫ぶが一足遅かった。

賢史の騎馬は完全に敵に囲まれてしまった。

必死に抵抗し帽子を守るが完全に揉みくちゃにされてしまった騎馬はバランスを崩してしまった。

土台が崩れた騎馬は失格。

エースの賢史を失って、結局白組は負けてしまった。

太郎
「賢史さんは大丈夫でしょうか?」

皆で目を凝らすと平然と立ち上がったように見えた賢史だったが、落ちたときにでも出来たのだろう、擦り傷だらけだった。


傷だらけの賢史は騎馬戦が終わると救護所に向かった。

賢史
「すんませーん、絆創膏下さ、い?」

ジュン
「藤守先輩!怪我したんですか!?」

そこにいたのはジュンと他の陸上部のマネージャーたちだった。

賢史
「玉木?お前らもなんでここにおんの?」

ジュン
「救護所は運動部のマネージャーが交替で担当するんです。それよりも怪我、見せてください。」

ジュンは慣れた手つきで賢史の手当てをして行く。

ジュン
「負けちゃって残念でしたね。」

賢史
「まー、あれはしゃあないわな。格好悪いとこ見られたなぁ。」

賢史の言葉にジュンはフルフルと首を振った。

ジュン
「格好良かったですよ。」

他のマネージャーはいつの間にかいなくなっていた。


ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

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09/18(Fri) 11:14
借り物競走
小春



ここで借り物競走だと賢史くん連戦ですが(笑)、リレーは午後だと思うのでお約束の。


*****


スタートラインに並んで、翼はドキドキと胸を高鳴らせていた。

走るのは決して速くない。

頑張っても、徒競走では一位になれないと思う。

でも、借り物競走なら、品物によっては、上位に入れるかも。

翼は、拳をぎゅっと握り締めながら、応援席に目を向けた。

最前列で、小春や太郎が手を振っている。

その後ろから、藤守家の中学生・大学生チームが、翼を見つめているのが分かった。

心配そうなアニの隣に、泪と葵がいる。

翼と目が合うと、それを待っていたように、泪が微笑んだ。


 ……俺は、一生懸命なお前を見るのが好きだから。


泪の言葉が蘇る。


 ……そんな顔をするな。


そうだ、胸を張って、精一杯、自分に出来るだけの事を。

翼は大きく深呼吸をした。

息を吐き、新しい空気を吸い込んだところで、パアン、と、スタートを告げるピストルの音が鳴った。


*****


借り物のお題は何かな?

私が書きながら思ったのは「双子の兄」でしたけど、違うの歓迎。

ここでパスしてみるヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○

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09/18(Fri) 23:52
違うパターンなら
とも

ピストルが鳴り、スタートラインに立っていたメンバーが一斉に走り出した。

トラックを半周走ったところで借り物が書いてあるメモを拾い、マイクで読み上げる。翼も懸命に走り、なんとかビリにはならずにメモを拾って内容を見た。


「……見に来ている父兄の中でカッコいいと思うお父さんと手をつないで?」

マイクの前で書いてあることをそのまま口にして読んでしまった翼の借り物にすばやく反応したのは泪だった。


「よし、それなら俺が走るぞ!」

アニ
「何をいうか、父親代わりなら俺だろうが!」


「アニは翼さんと手をつないで走れるの? 」

公平
「別に誰でもいいじゃん? 早く探さないと…っ、あー!いた!」

藤守家の兄達がぎゃあぎゃあ騒いでいると公平が指を指した先には……?



ともととも父の姿が。

とも父
「ん? なんや?」


応援席の方を見てオロオロしていた翼は公平が指を指した先を見て急いでとも親子の元へと走った。

翼が事情を話すとすぐに状況を理解したとも父はともに荷物を押し付けてすぐさまトラック内に入り翼の手を引いて走りだした。

颯爽と走るとも父についていけず、転びそうになった翼だったが、気づいたとも父にヒョイと抱えられ、見事に1位でゴールしたのだった。


何故高校の体育祭にとも親子が来たのかは謎ですが∑(゚Д゚)
続きをパース( ´ ▽ ` )ノ⌒◯

[削除]
09/19(Sat) 10:00
とも親子がいた理由(推測)
小春


何でも解決してくれるとも父(笑)

ともさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー



ゴールした後、選手である翼は列に残して、とも父がトラックを横切って戻ってきた。

応援席の後ろの通路で、席を立ったアニと泪がそれを出迎える。

慶史・泪
「ありがとうございました」

とも父
「いやあ、急に呼ばれてビックリしたわ。出しゃばるつもりはなかったんやけど……」

とも父は頭を掻いて照れ笑いしながら、泪の方を見た。

とも父
「咄嗟の事とはいうても、女の子をいきなり抱き上げたらあかんかったな。つい、うちの娘みたいな感覚で」

泪が首を横に振る。


「翼は嬉しかったと思いますよ。今、大好きな父親と離れて暮らしていますから」

とも父
「そう言ってもらえたら、楽になったわ。……けど」


「?」

とも父
「やっぱり、悪かったわ。泪くんにな」


「え」

とも父にウインクされて、泪がびくりと反応する。

アニ
「は?何故、泪に?」

アニの疑問の声を、気を利かせたらしい葵の声が遮った。


「アニ!ほら、そろそろ賢史の番だよ!」

その声にアニが反応する。

アニ
「お、そうか!」

とも父
「ほな、俺も行くわ」

とも父は泪の肩を叩いてから、顔を寄せてきた。

とも父
「娘にせがまれてな。おたくの誠臣くんの応援をせなならん」

とも
「お父ん!!余計な事言わんでええの!早よ戻ってきい!!」

ちょうど迎えに来たともが、真っ赤な顔をして、悲鳴のような声を上げながらとも父を泪から引き離した。



ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
09/26(Sat) 08:01
綱引き
ジュン


賢史の借り物競争のお題は「兄弟」だった。

もちろん、張り切ったアニが賢史を置いて爆走したのは言うまでもない。


次に出てきたのは誠臣だった。

種目は綱引き。誠臣は一番後ろで綱を体に巻き付けている。

誠臣の合図で皆が一斉に綱を引く。

呼吸の合った誠臣のチームは見事に1回戦、2回戦を勝ち進んだ。

決勝戦となる3回戦。さすがに相手チームも手強そうだ。

ピストルの合図と共にお互いが綱を引くが誠臣のチームがじわりじわりと相手に引きずられていく。

アニ
「誠臣!頑張れ!」

小春
「誠臣兄ちゃん、頑張って!」

兄弟たちの声援が聞こえる中、誠臣の耳に一際大きく聞こえたのは……

とも
「まーくん!頑張って!」

ともの声だった。

足を踏ん張り引きずられないように耐える。

そして、誠臣が大きな声でタイミングを合図すると誠臣のチームが逆に相手を引きずり始めた。

少しずつ確実に誠臣は後ろへと下がっていき、パーンとピストルの合図が鳴った。

全身を脱力させ、誠臣はともの方を振り向いて静かに微笑んだ。


分かりにくい文章になっちゃったけど、ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

[削除]
09/26(Sat) 08:06
ジュンさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春


アニ、お約束の暴走(笑)

そしていつの間に「まーくん」に?!キャー( 〃▽〃)

やるなともちゃん!!

続きをお願いします!
 
ヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○

[削除]
09/27(Sun) 12:26
一向にアブナイ☆にならない共同生活(笑)
小春



午前中最後の種目は、各学年の担任教師たちと保護者との、五人六脚競走。

二人で行う二人三脚の、五人バージョンと考えればいい。

桜高校ではそれぞれのクラスに正副の担任がおり、さらに、担任外の教諭や職員が加わって、学年ごとの人数は12人。

教師側から2人、保護者から3人で1チームを作る。

一応学年対抗ではあるものの、得点には関係の無い気楽なエキシビションだ。

ただし、高校の体育祭では来場しない保護者も多いので、1クラスあたり6人の参加者を集めるのに一苦労、という種目でもある。


現在グラウンドでは、三年生女子の創作ダンスが行われている。


一方、藤守家の応援席には、クラスの体育委員から要請を受けた誠臣たちが来ていた。

誠臣
「慶史兄さん、葵兄さん、泪兄さん、先生たちと組んで走ってもらえますか」

アニ
「それは構わんが、保護者の人数は足りてるのか?

見たところ、一年生の保護者からは参加者が集まりそうだが、誠臣のクラスも、賢史と翼のクラスも、人手が足りなそうだぞ」

賢史
「うん、全然足りひんみたいやな。

せやから、悪いけどアニキたち、二年と三年を掛け持ちしてくれるか?」


「グラウンドを半周だろ。

二回走るくらいどうって事ない」

賢史
「助かるわあ」

しかしふと、誠臣が葵に顔を向けた。

誠臣
「だが……葵兄さんは、賢史のクラスのチームからは外れた方がいいんじゃないか?」

賢史
「何でや?……って、あ、そうか!

葵兄さんと肩なんか組んだら、空間センセ、走り出す前に、また気絶してしまうわな」

全員が、家庭訪問での惨劇を思い出していた。


「じゃあ、どうしても足りなければ二年でも走る、って感じでいいかな」

賢史
「うん、係のやつらにそう伝えておくわ。

必要なら迎えに行くよう言うとくから、頼むで」



せつなさん(と副担任)、葵・泪・アニの五人六脚は実現するのか。

ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○

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09/28(Mon) 08:27
おはようございます( ´ ▽ ` )ノ
とも


体育祭、すすんできましたね! 地元でも週末に近くの保育園でやってましたけど、まだまだ暑そう~_~;

そして…ともはいつ誠臣先輩をまーくん呼びする仲になったんでしょう\(//∇//) 夏祭りと体育祭の間に何があったのかしら?

今ならとも父あいてますんで、3年生の5人6脚に参加でいいですよ~ →自分で書かない

そしたら2年の方に葵兄さんがいきますよね? ぜひともセツナ先生と一緒に走っていただかねば →何かを期待している

ということで続きをパース( ´ ▽ ` )ノ⌒◯

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09/28(Mon) 08:59
ともさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春

この夏まーくんとともちゃんに何があったのか気になりますね。

秘密の合宿で柔道の特訓したのかしら。←


とも父は名バイプレイヤー過ぎて登場すると主役を食ってしまうので(笑)、ここぞという時にお呼びしますのでよろしく。

よく考えたら完全に部外者だしΣ(´□`;) (借り物競走は『借り物』だったからOK)

必要なら、先生方と保護者のバランスは変えても全然構いません。

兄弟のこーちゃんが使えますね。

他にもいますよ。考えてみましょうね(  ̄▽ ̄)b


ひとまずパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
09/28(Mon) 09:39
ごめんなさーい
ジュン


キャー(>_<)

勝手にともさんに「まーくん」って呼ばせちゃってごめんなさーい。

ちゃんと確認してなかったのがばれる……。

そして書かずにパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

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09/28(Mon) 11:55
ジュンさん、大丈夫ですよ(´∇`)b
小春


たぶん、おかげで面白くなってますよ(^ー^)。



五人六脚の組み合わせは難航していた。

とにかく、各クラス、2人の教員を含めた2チームを作るだけなのだが。

賢史と翼のクラスの担任は、ご存知空間セツナ。

副担任は、身長2mの体育会系、鳥川智之。

生徒たちからは『トリン』と呼ばれている、陸上部顧問だ。

藤守兄弟の在学中からいる、美声の熱血教師である。

アニ
「トリン、俺、泪、公平、真ん中に、あの、女理事長にでも入ってもらったらどうだ」


「トリンはいつでも全力疾走だぞ。

それなら、とも父の方がいいだろ。

厳密に言うと保護者じゃないから、ルール的にどうかとは思うが」

公平
「このチーム速過ぎるよね。

トリンじゃなくてセツナ先生の方がいいんじゃない」

アニ
「お、俺は、空間先生と肩を組むとか、みみみみ密着するとか無理だぞ!」


「相変わらず面倒臭え男だな。

……空間先生のチームは、生徒の母親や姉妹の女性チームだが……

……あれ?向こうも一人足りねえな。

じゃあ、俺が向こうに加われば、1チームは出来るわけか。

こっちはやっぱり葵を呼んで、さらにもう一人……」

???
「ウォッホン!」

不意に、泪の背後から大きな咳払いが聞こえた。

振り向いた泪が、固まる。


「げ」

そこにいたのは……

翼父
「『げ』とは何だ、この悪ガキ!」


「驚くに決まっているでしょう!

九州にいるはずなのに!」

そう、そこにいたのは、娘二人を藤守家に預けて地方赴任中の、翼の父親。

翼父
「休みが取れたのでな。日帰りで、愛娘の応援に来たのだ」

トリン
「おお、櫻井さんのお父様でしたか!」

翼父
「鳥川先生。運動不足の文系中年ですが、頭数に入れて頂けますかな」

トリン
「でしたら、わたしと泪の間にお入りください。

櫻井さんに歩調を合わせて走りますから」


「え?!いや、俺はあっちの……」

トリン
「空間先生のチームには、葵に入ってもらおう。

あいつの方が女性に優しいからな。

うん、それがいい」



とも父からの翼父伏線発動(笑)

まさかのトリン登場で、葵さんセツナチーム確定です←。

ここで続きをパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○

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09/28(Mon) 19:09
相変わらず数が数えられない
小春

~ご都合主義インフォメーション~


五人六脚の説明を読み返したら、ハデに計算ミスをやらかしてますね。

桜高校は3学年、各学年6クラス(男女半々30人×6)。

五人六脚は各クラス2チーム(5人×2、うち2人は教師)、走る距離はグラウンド半周ずつ、人数不足のため掛け持ち可、で統一お願いします。

いつものご都合主義ですみませんよろしくお願いしますm(__)m

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10/11(Sun) 06:44
五人六脚
小春


パンッ、という音とともに、五人六脚競走がスタートを切った。

各学年から12チームが参加する保護者&教員の混成チームは、身長も体格も性別もバラバラ。

その見た目の面白さと、チームワークや運動能力の違いによっての走力の違いがレースの見所だ。

小春
「お父さん、お兄ちゃんたち、頑張ってえっ!」

応援席から小春が、出番を控えた父親と慶史、泪、公平、トリンを加えた5人のチームに声援を送る。

小学生の愛娘の声に目尻を下げっぱなしの櫻井父の耳に、もう一人の愛娘からの応援の声も聴こえてきた。


「お父さん、無理しないでね!転ばないでね!気を付けてね!」


「……くっくっくっ……」

バトンを待つライン際で、既に櫻井父と並んで足首を結び、肩を組んだ泪が笑いを噛み殺している。

櫻井父は顔を赤くして、泪に怒鳴った。

櫻井父
「笑うな!」


「……くっくっくっ、すみません。だって、微笑ましいじゃないですか……」

トリン
「二人とも、そろそろバトンが来ますよ!」

トリンの声で、二人はレースに意識を戻した。

引き締めた顔の視線の先に、味方の二年生のチームが、コーナーを曲がってくるのが見える。

彼らからバトンを受け取り、次の、セツナと葵たちのアンカーチームに繋ぐのが、泪たちの仕事だ。


「よし、行きましょうかお父さん」

櫻井父
「わたしはお前のお父さんじゃない!」


「泪さん、お願い!」

泪に向けられるたくさんの黄色い声の声援の中から、櫻井父と泪の耳は、翼の声援をしっかりと聞き分けた。


「……任せとけ」

そして、泪が、翼の声にだけ、はっきりと頷いたのを、櫻井父は見逃さなかった。

櫻井父
「……ふん……」

アニ
「来るぞ!」

公平
「ハイハーイ!」


「よし!」

櫻井父
「お、おう!」

バトンがトリンの手に渡る。

トリン
「行くぞっ、1、2!1、2!」

走り出した5人は、明らかに他のチームより速度が速い。

その中で、櫻井父の頑張りは際立っていた。

しかし、それだけに、体力が尽きてからの失速も大きかった。

最終コーナーを曲がり、直線に入ったところで、一気に足がもつれだしてしまう。

櫻井父
「はっ、はっ、はっ、はっ……」

トリン
「頑張って、下さい、櫻井さん」


「力を、抜いて。俺と、トリンが、支えます」

両脇が長身の二人なので、櫻井父が力を抜けば、機械的に引っ張られて足は動く。

そうすれば、あと、ほんの十数歩で、次の走者にバトンが渡るのだ。

だが。

櫻井父は、それを善しとしなかった。

櫻井父
「くっ!」


「あっ!」

次の瞬間、強引に踏み出した櫻井父の足が、膝から崩れた。

つられて前のめりになりながら、トリンの長い腕が伸びて、懸命にバトンを前方に差し出す。

受ける葵の方からも腕が伸びてきて、ギリギリのところで、バトンは葵の手に移った。

「うわあぁっ!」

そのまま、倒れる櫻井父に巻き込まれるようにして、泪のチームの5人はグラウンドに崩れ落ちた。


「きゃああっ!」

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10/11(Sun) 06:54
五人六脚
小春


櫻井父
「う、あ痛たたたた……すまん、みんな、大丈夫か……」

駆け付けてきた役員たちが、素早く足の拘束を解いてくれる。

櫻井父は地面に肘をついて身体を起こし、自分の道連れで転倒させてしまった4人を振り返った。

その途端。

櫻井父
「!」

櫻井父は、倒れた自分の下敷きになって、さらに誰かが倒れているのを見た。

いや。

誰かと見間違えるはずがない。

この金髪は……

櫻井父
「お、おい泪!」


「……ッ……」

俯いたまま頭を上げた泪の、倒れていたその地面を見た櫻井父の顔から、血の気が引いた。

顔を押さえる泪の手の指の隙間から、鮮血がまたそこへぽたぽたと落ちる。

観客から悲鳴が上がった。


「……大丈夫。……擦りむいただけ、です」

泪の美しい顔の左半分が、見るも無惨に傷ついて血が流れていた。

だが、まだグラウンドでは五人六脚が続いている。

トリンに背負われ、競技の合間をついてトラックを横切り、本部テントにある医療所に運ばれる泪の背中を、櫻井父は立ち尽くしながら見送るしかなかった。

一方、アンカーチームの葵は、バトンを受ける刹那、変な転び方をしたように見えた泪の事を気にかけながらも、空間や他の参加保護者と息を合わせて、走り続けていた……


ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
10/13(Tue) 16:21
担当は陸上部マネージャー
ジュン


ジュン
「藤守先輩のお兄さん!」

医療所にいたのは陸上部のマネージャー。とはいえ、ジュン以外のメンバーは席をはずしている保険医を連れに行っていた。


「あ……あ、賢史の……。大丈夫だからあまり大袈裟にしないでくれ。」

そうは言うもののまだ顔からは血が流れている。

ジュン
「とにかく濡れタオルで顔を拭いて出血箇所を確認します。少し痛むかもしれませんが我慢してください。」

ジュンは泪の手をどけてやさしく顔を拭く。

顔の左半分が擦り傷だらけで痛々しいが最も出血していたのはまぶたからだった。

その時、翼が行きを切らして走り込んできた。

泪の顔を見て青ざめている。


「泪さん……」


「翼。なんだ、そんな顔をして。」

瞳に涙を溜めた翼の頭を泪は優しく撫でる。


「だって、お父さんを庇ったから……ごめんなさい。」

頭を下げる翼に泪が優しく微笑みかける。


「俺の転け方が悪かっただけだ。気にするな。」


「そうだよ。翼ちゃん、気にしちゃダメだよ。」

競技が終わってすぐに走ってきた葵が翼の背中をポンポンとたたく。

保険医が到着して泪の傷を見たところ縫うほどではないという判断で周りにいた皆が安堵のため息をついた。

それでも泪の顔は痛々しい。

けれど泪本人は
「ほら、大したことなかっだろう?早く飯にしようぜ。あ~、腹へったなぁ。」

なんでもなかったように小春たちの待つ場所に戻っていった。


イマイチ盛り上がりにかけてしまいましたが、ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇

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