『アブナイ☆恋の共同生活』
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08/07(Fri) 08:17
せつなさん、ありがとうございます(´ 3`)
小春
さて、無事に家庭訪問も終わったので、季節に合わせて一気に夏へ飛びますよ!
みんなついて来てね!
あっ、5月に小学校の運動会があったはずだけど、既に終わったという事でお願いします(´∇`)ゞ
~夏も藤守家はイベントがいっぱい?~
夏。
小・中学生、高校生、大学生の順番で、藤守家にも夏休みがやって来た。
朝一番早く起き出すのは、休みでも変わらず、朝食の支度をする誠臣。
次いで、ラジオ体操に出掛けてゆく小学生の小春と太郎。
その二人が帰って来る頃に、眠い目をこすりながら、半分寝たまま朝食を食べた賢史が陸上部の、同じく公平が柔道部の朝練の為に、それぞれ登校してゆく。
翼が誠臣の家事を手伝いながら、残る諒と、三人の大学生に声をかけて起こし、夏休みの一日が始まるのだ。
小春
「お姉ちゃん、夏祭りに連れて行ってくれる約束、大丈夫?」
夏休みに入ってから、小春にこの質問をされるのが、翼の日課になっていた。
大丈夫だよ、と、洗濯物を干しながら、翼は笑う。
この返事をするのも今日が最後だ。
何故なら、夏祭りは今夜なのだから。
朝からすっきりと晴れて、天気予報の降水確率は0%。
絶好の祭り日和だ。
翼
「その代わり、今日の分の宿題は、ちゃんと終わらせるのよ?」
小春&太郎
「はあい」
庭先の勉強部屋で、小春と太郎が元気よく返事をした。
泪
「支度出来たか」
夕方、小春に浴衣を、太郎に甚平を着せてやり、自分も浴衣に下駄を突っ掛けて玄関を出た翼は、庭先で誠臣と立ち話をしていた泪の姿に息を飲んだ。
誠臣が着せてくれたのか、すらりとした長身に濃紺の浴衣を着た泪が、腕組みをして待っていたのだ。
泪は泪で翼の浴衣姿に見惚れていたのだが、翼は気付かない。
太郎
「泪さん、格好いいです」
翼の心の声を代弁したような太郎の声に、翼と小春は大きく頷く。
泪
「そう?ありがとう」
イイコイイコ、と言いながら、泪が太郎の頭を撫でた。
外出するからなのか、泪の口調は既におネエになっている。
それだけを残念に思っていると、太郎と手を繋いだ泪が、顔を上げてこちらを見た。
泪
「行きましょうか?」
翼
「はい」
小春
「はーい!」
隣で元気よく返事をした小春が、伸ばされた泪の手を握った。
泪のもう一方の手は、同じく小学校の太郎の手を握っているのだから、考えてみればごく自然な流れなのだが……
一瞬でも、泪の手は自分に向けられたものだと思ってしまった事が恥ずかしい。
すると。
小春
「お姉ちゃん」
小春が、たった今握った泪の手を引っ張って、翼の手と繋がせた。
翼
「えっ?」
小春
「早く行こう?」
そうして、小春はもう一方の翼の手を握る。
太郎、泪、翼、小春、という順番で、四人は横並びに手を繋いだ。
翼
「……」
翼が、自分の左手を握り締めた妹の小さな手の暖かさを感じながら頭の中を整理していると、右手が、大きな手に引かれた。
泪の手が一旦離れ、今度は、二人の手のひらを合わせ、指を絡めるような繋ぎ方に変わる。
これって、
……恋人繋ぎ……
ドキドキしていると、繋いだその手に、きゅ、と力が籠められた。
泪
「はぐれるなよ」
一瞬だけ、泪の声が男に戻った。
翼
「……はい!」
後で行く、と言う誠臣に見送られて、翼たちは、祭り会場である河川敷に向かった。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
08/09(Sun) 08:37
高校生組
ジュン
泪たちが家を出た頃、祭り会場にはすでに賢史の姿があった。
陸上部の仲間たちと祭りに来ているのである。
「藤守、気合入ってんな。」
そうからかわれるのは泪と同じく誠臣に着付けてもらった浴衣のせいだ。
高校生男子が賑やかに祭りを回っていく。
「おい、あそこにいるの女子とマネージャーじゃないか?」
言うが早いかその友人は女子のグループに声をかける。
「先輩たちも来てたんですね。」
どの子も可愛く浴衣を着こなしている中、賢史は一人に見惚れていた。
ジュン
「藤守先輩、こんばんは。」
賢史
「おお……可愛らしいな……」
つい言葉が漏れる。
ジュン
「あ、ありがとうございます。」
二人で向かい合ってお互いに顔を赤くしている賢史とジュンを回りの友人たちはにこやかに見守っている。
「せっかくだし、一緒に回ろうぜ。」
「賛成~」
皆が歩き出すのに合わせて賢史とジュンも歩き出す。
人の波の中で時折触れるジュンの体に賢史は顔を赤くした。
久々にジュン登場!
お祭りは始まったばかり。
何が起こるのかなぁ。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
08/09(Sun) 23:16
JS&紅花ちゃん登場♪
小春
ジュンさんありがとうございまーす(´ 3`)ちゅー
祭り会場。
るい
「太郎!小春!こっちこっち!」
会場の入り口、まだ灯の入らない祭り提灯の下で手を振る、るい、あおい、まさおみ、けんじ、りょう、こうへい。
小春
「みんなー」
待っていた仲良したちに呼ばれて、小春が手を振り返す。
その間に、翼と泪、それから太郎の三人は、困惑した顔を見合わせていた。
桜小学校探偵クラブ改め、『桜小きんきゅうとくめい捜査室』を引率していたのが、意外な人物だったからだ。
???
「泪くん、翼さん、久し振り。太郎がお世話になっています。僕の事、覚えていますか?」
そう言って微笑んだのは、……太郎にそっくりな顔をした……長い黒髪の、美青年だった。
ちびっこ捜査室のメンバーたちは、露店や祭の雰囲気に目を輝かせながら、少し先を賑やかに歩いている。
太郎はこちらが気になる様子で時折振り返ったりしているが、それでも、小春にしっかりと手を握られ、さらに、会場を歩くうちに出会った、近所に住む幼馴染みの紅花にもう一方の手を握られて、身動きとれずに歩いてゆく。
翼は泪と、謎の青年ジョン・スミスとに挟まれて、子供たちの後をゆっくりと追っていた。
翼
「(この人……)」
翼には、遠い記憶がある。
およそ十年前、櫻井家の小春が、一歳の誕生日を迎えたのと同じ頃。
隣の藤守家に、やはり一歳になったばかりの男の子が預けられた。
太郎、という名前だったけれども、緑色の目をしたその子を抱いていたのが、ジョン・スミスだった。
不思議なことに、年を経ているはずなのに、その姿は翼の記憶と全く変わらない。
いや、むしろ、もっと若くさえ見える。
大学生の泪と比べても、少しも違和感が無いほどだ。
翼
「(太郎くんのお父さんか、お兄さん……なのかな)」
その姿は正しく、小学生の太郎が成長したらこうなるだろう、という姿なのだが。
翼
「(不思議な人……)」
泪
「太郎を引き取りに来たのか、ジョン・スミス?」
不意に泪が発した言葉に、翼はハッとした。
泪
「太郎はしっかりした子で、頭もいいし何でも自分で出来るし、いつもニコニコしている。俺も、他の兄弟も、あいつを実の弟のように思っている。だが、あいつにすれば、それでも、寂しいに決まっている」
一息に言った泪の声は硬く、底に怒りを含んでいるのが翼にも分かった。
けれどジョン・スミスの方は、軽く肩をすくめただけだった。
JS
「僕にも事情があるんです」
泪
「事情って、お前っ……!」
JS
「一年待ってください」
泪
「は?」
翼はハラハラした。
泪と、ジョン・スミスの会話は、噛み合っているようで噛み合っていない。
JS
「実は編入試験を受けましてね。今年から僕、あなたの大学にいるんですよ。学部は違いますけど」
泪
「は……?!」
JS
「というわけなので、太郎はもうしばらくお預けします。翼さん、よろしくお願いします」
翼
「は……?」
泪と同じ、間の抜けた声を出してしまった翼に笑ってから、ジョン・スミスは翼の手を持ち上げて、右手の甲にキスをした。
泪
「!」
JS
「では、子供たちの事は、まとめて全部お願いしますね」
翼
「えっ?」
泪
「何?」
その時、ざあっ、と音を立てて、風が、祭り提灯の列を揺らして吹き過ぎた。
泪も翼も、思わず目を瞑る。
風がおさまった時、ジョン・スミスの姿はどこにもなかった。
翼
「……何だったんでしょう、あの人?」
泪
「……あの野郎!」
呆然としている翼の傍らで、泪が吐き捨てるように言った。
言い終わると同時に、泪は翼の手の甲を自分の手拭いで拭い、そこに、唇を押し付けてきた。
泪
「消毒」
翼
「!!」
次から次へとビックリする事ばかりで、翼の心臓は破裂しそうだ。
さらに、そこへ。
とも・公平
「ひゅーひゅー♪」
葵
「おや、お邪魔だったかな?」
アニ
「るるるる泪!つ、つ、つ、通路のど真ん中で、貴様、なんと破廉恥な!!」
誠臣
「……だが少し羨ましい」
諒
「誠臣兄さん、心の声が漏れてるよ……」
部活を終えた、ともと公平、そして、藤守兄弟も到着していた。
出すだけ出しておいて←
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/10(Mon) 20:49
教師は夏祭りも見回りとかあるんじゃ…と思ったけど、無視( ̄▽ ̄)
澪
セツナ
「澪、ちょっと、帯見てくれる?」
浴衣を着付けたセツナが澪に近付くと、何やら熱心に書類を見つめていた澪がハッと顔を上げた。
と同時に書類を床に伏せる。何の書類か気になって口を開きかけたセツナを遮り、澪が大げさに溜息を吐いた。
澪
「も~。セツナ姉、裾引きずってる。帯曲がってる」
セツナ
「えっ、ええっ?」
ほらじっとして、と澪が立ち上がり、セツナの浴衣を整える。
セツナ
「ありがとう。でも澪、あなたも早く用意しないと間に合わないんじゃない?」
もう既に祭りは始まっている時間だ。
誘ってきた友人が着るあてもないのに浴衣を買ったとかで、付き合いで浴衣を纏ったセツナは時計を見て言う。
だが、澪はさらに大げさに眉を顰めてヘアオイルを手に取った。
澪
「も~、髪もツヤがない!テキトーなまとめ髪!ちょっと待って、すぐだから」
テキパキとセツナの髪をセットする澪を、セツナは鏡越しに怪訝そうに窺う。
澪
「はい出来た!うん、これでバッタリ葵に会っても大丈夫。どこからどう見ても浴衣美人!」
セツナ
「なっ、ななっ、なななな何を…!」
澪
「はいはい忘れ物ない?」
急かされて玄関に置いた荷物を確認したセツナが頷くと、澪はよし、と笑って早々に見送ろうとする。
何でもハッキリ物事を口にする従妹の何か隠した様子に、セツナは違和感を感じて口を開いた。
セツナ
「待って。ねえ澪、お祭り行かないの?」
澪
「うん」
アッサリと返ってきた答えに少々面食らいながらも、セツナの疑問はますます大きくなる。
セツナ
「なんで?だってあなた、賑やかなの好きでしょ?」
澪
「え~、そうでもないよ~」
セツナ
「嘘おっしゃい。…あ!もしかして、一緒に行くような友達が」
澪
「いるよ!大丈夫だから、安心して」
セツナ
「でも、じゃあ、なんで……あ、浴衣?浴衣がないなら私のが」
澪
「浴衣なんか死んでも着ない!」
突然声を荒げた澪に驚いてセツナが言葉を詰まらせ、一瞬、時が止まったようにシンと静まり返る。
澪
「……ごめん。暑くて歩きにくいでしょ。私はホラ、動きやすいのがイチバン!」
そう言っていつも通り笑う澪の姿に後ろ髪を引かれながらも、その澪に急かされ、セツナは仕方なく外に出た。
澪
「いってらっしゃい。気をつけて楽しんできてねー!」
澪の声を背に、セツナは友人との待ち合わせ場所まで歩を進める。
澪が中学生の時日本に帰国してからの付き合いだけど、あんな澪は初めて見た。
外国育ちでハッキリした子だし、感情表現も豊かだと思う。
映画を見て感動したと言っては泣いているし、感動屋な分喜び方だって派手だ。育った環境とはいえ、すぐハグしてくることには、未だに馴染めない。
高校の頃出場したスピーチコンテストでは準優勝で猛烈に悔しがっていたらしい、と親伝いに聞いたし。
……小野瀬先生のことでウジウジしていた時には、思い切り怒られたこともある。
だけど、あんな悲痛な表情と声は──浴衣を、なぜ、あんなにも?
そこまで考えて、セツナはハッとした。
浴衣。
澪が高校に入った夏休み。時々突然やって来たけれど、夜中に来たことがあった。
真っ赤な目をして泊めて、とだけ言って、何かあったのかと聞いても答えず、しつこく聞くと、ただの喧嘩、と小さく呟いた。
そういえば、あの時。澪はサイズさえ合っていなさそうな、ちぐはぐなTシャツとパンツ姿だった。
確か、それを問うた時、
「浴衣で転けて着崩れたから、テキトーに買ったの」
浴衣はどうしたのかと聞くと、
「破れてたから捨ててきた」なんて言ってお風呂に入ると、あっという間に眠り翌日にはケロッとして帰っていったのだ。
──そう、あの時、たしか着崩れたと言ったけど、澪は浴衣の着付けは出来る。
──本当に、喧嘩だったのだろうか。
思いを巡らせているうちに友人と合流を果たしたセツナは、何とか気分を切り替え、祭り会場へと向かった。
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08/10(Mon) 20:52
安定の連投wスミマセン。。
澪
セツナを見送って玄関を施錠し、部屋に戻った澪は伏せていた書類をファイルに戻す。
ファイルを仕舞ってから気分を切り替えるように息を吐き、何とはなしに家事をしていた澪の目に、ふと見覚えのあるスマホが目に入った。
澪
「セツナ姉、スマホ忘れてるじゃん!」
思わず手に取ると暫くの逡巡の後、澪は家を出た。
祭り会場は多くの人で賑わい、誰もが皆笑顔だ。
浴衣姿の可愛らしいグループやカップルが溢れる中、Tシャツにショートパンツのまま一人でいる自分が妙に場違いに思えて、澪はキョロキョロと辺りを見回した。
澪
「迷子放送してもらった方が早いかな…」
思わず呟いた、その時。
少し離れた屋台の前、見えた浴衣姿に澪は急いで足を向けた。
澪
「セツナ姉!」
呼びかけると、セツナはわかりやすく驚いた顔で振り返る。
セツナ
「澪!あなた、来ないんじゃ…」
澪
「これ届けに来ただけ。もう、忘れないでよね」
澪が差し出したスマホに、セツナはさらに驚いた様子で鞄を探る。
セツナ
「えっ、やだっ!私ってばっ」
澪
「じゃあね、気をつけてよ」
ありがとう、と言うセツナの手にスマホを握らせ、連れに会釈をして踵を返した澪は、早々に祭り会場を出ようと人混みの中を縫って歩く。
と、建物の影でしきりに浴衣の襟元や裾を気にしている少女の姿を見つけ、思わず足を止めた。
澪
「どうかした?大丈夫?」
顔を上げた少女と澪は、お互いを認めてあ、と声を漏らす。
澪
「この前の!えっと…泪の弟の彼女だっけ?」
とも
「なっ、ちちち違います!誠臣先輩とは、その……あの、澪さん、でしたよね。桜中三年の、白河ともです」
澪
「 そう?とも、ね!よろしく~」
顔を赤くしたともが慌てて顔の前で手を振るが、澪は意外そうにしてからニッコリと笑ってその手を握った。
それからともの姿を見て、ちょっとごめんね、と言うと浴衣を整え始める。
とも
「あ、あの……?」
澪
「襟元はここに手を入れてこうするとね…で、裾はほら、ここを持ち上げて腰紐をこうして…」
とも
「わ…すみません、トイレ混んでて急いだら乱れちゃって…着付け、上手なんですね」
澪
「まあね、親に習ったクチ…と、はいっ出来た。ホラホラ、早く誠臣先輩のとこ戻ったら~?」
とも
「なっ……!」
再び顔を真っ赤にしたともの背中を優しく押してやると、ともは礼を言って頭を下げてから、下駄を鳴らし小走りに駆けて行った。
その背中を見送って、澪は再び歩き出した。
何とはなしに俯きがちに歩き、人の流れに逆らって会場出入り口近くまで来た時だった。
どこかから聞き慣れた声がして、ふと振り向く。
そこに見えた、薄暗い中でも目立つ長身の金髪に目を留めた。
浴衣姿の泪は、同じく浴衣姿の先日会った女子生徒と、仲睦まじく手を繋いでいる。
微笑み合う二人の横顔を見て、澪は思わず目を逸らした。
セツナを迎えに行った藤守家での様子を見て、何となく気がついてはいたのだ。
あの雰囲気は、どう見ても──
澪
「……お似合い、か」
微かな声で呟くと、今度こそ俯いて歩き始める。
すれ違いざまに掛けられる「パツキンのネーチャン、一人~?アローン?」なんて下世話な声に、今日は久しぶりに胸を抉られる気がして、澪はぎゅっと胸を押さえた。
お風呂に入って、さっさと寝よう。
さっさと寝て、それで、明日にはまた笑うんだ。
笑って、全てはそれから。
念じるように頭の中で繰り返す。
足早に会場を出た澪は締め付けられるような胸を押さえ、帰路を急いだ。
*
お久しぶりですー!
すっかり家庭訪問編の波に乗り遅れてしまいましたが、澪もお邪魔させてもらえて嬉しかったです♪
せつなさん、いいんですよぅ!どんどんいいように書いちゃってください*\(^o^)/*
せつなさんのイイオモイも小野瀬先生とのお話も楽しみにしてますからね!
と、流れに乗って急に夏祭りに入ったと思ったらちょっと重めですみません。
~澪の恋~へと進むために、助走を…と思ったら勢いで書きすぎて結構本番失恋っぽくなってしまった(笑)
ともさん、勝手に出してすみません。年下組に絡みたかったんです( ̄∇ ̄*)ゞ←
ほんとは小春さんはじめ小学生組に絡んでわちゃわちゃしたかったけど澪夏祭り行きたがらない設定にしちゃった。失敗。
さ~皆さんの夏祭りはまだまだ青春な展開期待してますよ!のパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
08/10(Mon) 23:57
澪さんありがとうございます。
小春
今回は澪さんとせつなさんがシリアス担当で、私は楽しくツナギだけ書かせていただいてますね。
なんかすみません←
夏祭り堪能組は、小春&ちびっこ捜査室と夜店を冷やかしたり、花火を見たり、藤守兄弟と仲良くなったりいたしましょう。
*****
小春
「うわあ!」
メイン会場である盆踊り広場にほど近い大通りに、ひときわ明るい照明と、大勢の人が集まっている一角があった。
人垣の隙間からそこを覗き込んだ小春が、目を輝かせた。
小春
「うわあ!」
小春が何に反応したのかは、一目瞭然。
金魚すくいの屋台の前に飾られていたそれは、体長約150cm、大人の腕でも一抱えはありそうな、真っ赤な金魚の縫いぐるみだった。
『金魚すくい王決定戦』と銘打たれた看板の下には、通常の金魚すくいの店にもある、青く四角いポリエチレン水槽が、通常の数倍の規模で置かれていた。
もちろん、そこに張られた水の中には、赤、金、黒、白、斑、色とりどりの金魚が泳いでいる。
小春
「ねえ『金魚すくい王』だって。何時からやるのかなあ、勝った人がこれ貰えるのかなあ」
小春は金魚の縫いぐるみと、無数の金魚とに目と心を奪われている。
もちろん、ちびっこ捜査室のメンバーたちや、そして藤守兄弟も、同じ事を考えながら、金魚すくいの店の前に佇んでいた。
店頭に貼り出された案内を読んでみると、まもなく、本日何回めかの『金魚すくい王決定戦』が開催されるらしい。
参加費は100円。
時間無制限、5枚のポイが全て完全に破れるまでに、何匹の金魚をすくえるかを競うというものだ。
中学生以下の子供部門、高校生以上の一般部門がある。
太郎
「小春さん、あれ欲しいですか?」
太郎に尋ねられて、小春が頬を染めた。
小春
「うん……でも、私、もう五年生だし」
太郎
「小春さんは、縫いぐるみも、生きてる金魚も好きですもんね。僕、挑戦してみましょうか」
太郎と小春の間に、いつの間に来たのか、公平が割り込んできた。
公平
「ふっふっふ、甘いぞ太郎。子供の部には俺がいるんだよ?」
とも
「ふっふっふっふ、藤守こそ甘いで。この私の存在を忘れてへん?」
けいじ
「ふっふっふっふっふ、お前ら、揃いも揃ってこの俺様の引き立て役になりたいのだな」
太郎
「引き立て役になる気はありませんよ」
ばちばちばち、と、中学生組と太郎の間に火花が散った。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
08/11(Tue) 09:25
おはようございます( ´ ▽ ` )ノ
とも
澪さん、ともを登場させてくれてありがとうございます(^-^)
そしてあの人も登場させちゃいます(笑)
子供組が火花を散らしている頃、隣のスペースにはたくさんの人だかりができていた。
小春
「あっちも何か盛り上がってるみたいだね」
太郎
「そうですね。たしか、隣は大人の金魚すくい大会をやっていたはずですが」
2人が話していると、わぁっと大きな歓声があがり、人だかりの中心にいたと思われる人物が大量の金魚を入れたビニール袋を手に出てきた。
???
「いやぁ、今日は調子悪かったな~。ポイ2つもつこてしもたわ」
客
「あのおじさん、ポイ2つでタライの中の金魚全部すくっちゃったよ!」
客
「凄いよ! あっという間になくなっちゃって、こっちはすくってるヒマなかったんだから!」
一緒に参加していた人の言葉を聞き、一体何者なんだろうと顔を見合わせていると、その本人が小春と太郎のもとへと近づいてきた。
???
「そこの嬢ちゃんたち、浴衣よう似合ってるなぁ。この金魚、ぎょうさん取れたからよかったら少しもろてくれへんか?」
小春
「えっ、でもおじさんがすくった金魚なのに…」
???
「ハハ、遠慮なんかせんでええ。 ホラ、こうして小分けにしとるやろ? 他にもあげよう思ってるから大丈夫や」
そう言われて断ることができなかった小春が差し出されたビニール袋を手にしようとした時、後ろでともが呆れた様子でその男性に声をかけた。
とも
「ちょっとおとん! また金魚全部すくったんやて? 金魚屋のおっちゃんが嘆いとったで。 …小春ちゃん、ウチのおとんがゴメンやで。無理にもらうことないから、気にせんでええよ?」
太郎
「どこかで見たことがある人だな、って思ったんですが、ともさんのお父さんだったんですね。 それにしても凄いです!」
とも父
「いやぁ、照れるわ。褒めても何もでーへんで?」
ここでパース( ´ ▽ ` )ノ⌒◯
08/11(Tue) 10:34
キャー( 〃▽〃)とも父( 〃▽〃)ノシ
小春
ともさん、ありがとうございます。
んもうとも父ったら、相変わらずオイシイトコ持ってくんだからステキ。
*****
小春
「お兄ちゃんたち、見て!ともちゃんのお父さんから金魚もらった!」
ぱたぱたと走って来た小春の報告を受けて、藤守兄弟が揃ってとも父に頭を下げる。
慶史
「これは、どうもご親切に。うちの妹に金魚をありがとうございます」
葵
「凄くお上手な人がいらっしゃると思ったら、ともさんのお父さんだったんですね」
泪
「小春、ちゃんとお礼を言ったか?」
誠臣
「太郎、なんだか元気が無いな?」
誠臣の言葉を聞いて、さっきまでともから説教されていたとも父が、すまん堪忍やで、と頭を掻いた。
とも父
「太郎くんは小春ちゃんに、自分がすくった金魚をプレゼントしたかったんやんな」
太郎
「いえその……僕は、小春さんが喜んでくれたら、誰からの金魚でも」
小春
「太郎くん、ありがとう。私、太郎くんの気持ちだけで嬉しい」
赤い顔をする太郎の手を、小春がぎゅうっと握った。
すると。
???
「でしたら、あの縫いぐるみの金魚は、僕が小春さんにプレゼントしましょう」
小春
「え?」
声の相手を確かめて、ち、と泪が舌打ちをした。
泪
「空気読めよ……」
小声で呟いて、泪は翼を引き寄せた。
小春
「ジョンスミスさん?」
JS
「太郎の大切なお嬢さんですからねえ」
泪
「小春、俺がとってやる」
ジョンスミスと泪の険悪な気配を察して、そういう事に敏感な葵が、すかさず口を挟む。
葵
「そういう事なら俺も」
慶史
「では俺も、藤守家の長男として参戦しよう」
誠臣
「……し、白河は、お父さんがたくさん取っていらしたから、これ以上の金魚はもう、迷惑だろうが……」
ぼそりと言う誠臣に、ともが急いでぶんぶんと首を横に振る。
諒
「……」
紅花をちらちら見る諒の横で、賢史がジュンに少しだけ、顔を寄せた。
賢史
「ジュン、俺が金魚すくったら、もらってくれるか?」
ジュン
「はい!藤守先輩、頑張って!」
金魚すくい王決定戦決行←
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
08/11(Tue) 20:31
アノヒトもあの人もキターwww
せつな
夏祭り、皆さん楽しそうで良かった~(>_<)
ワタクシ、独走やっちまったかなーと膝をついていたところでしたので、澪さんにセツナ先生を参加させて頂き幸せです;つД`)
ちなみに、全部の学校がそうではないかもですが、沢山いる生徒指導担当の先生がシフト組んで夜回りするので、担当外の先生はフリーです。大丈夫のはず。
澪ちゃんの容姿に纏わる切な目エピソードがあるといいなぁと思ってたところに、ドンピシャなお話が来て、驚きました!
澪さんたら、ワタクシの心が読めるのかしらwwwさすがアオイスト!!!←
いろいろな方がどんどん出ていらっしゃいましたね!!
金魚すくい王者は誰???
皆様の楽しい恋物語も楽しみにしているせつなでした(≧▽≦)ノシガンバレー
[削除]
08/12(Wed) 10:01
澪さんもせつなさんもありがとうございます。
小春
今回のリレーはアオイストに支えられております(笑)
澪さんのエピソードは、せつなさんのおっしゃるような「切なめエピソード」であってほしいと思います。
私にはもっと深刻な事件に思えてしまったので、心配。
物語のお二人が幸せになれますように。
そして、時々ブレてる私の設定を、皆さんが「小春さんはホラ暑いのが苦手だから」という広いお心で読み流してくださいますように。
引き続き、楽しくリレーが続けられますように。
よろしくお願いします。
*****
友達
「何だか向こうが賑やかね」
セツナ
「本当ね。何かイベントをやっているのかしら……?」
JS
「ふふふ泪くん、なかなかやりますね」
泪
「アンタだけには絶対負けない」
慶史
「こら愚弟!その赤い・彗星は俺が狙っていた金魚だ!そっちの黒い・三連星も俺が!」
賢史
「勝手に命名すんなや!」
諒
「いいから邪魔しないで」
葵
「翼ちゃん、小春ちゃーん。応援してくれてる?」
誠臣
「集中……集中……」
とも父
「こうして見ると、ホンマにみんな男前さんやなあ」
金魚屋
「……もしもし問屋さん?金魚追加お願いします……(涙)」
みんな頑張って。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
[削除]
08/12(Wed) 12:53
わくわく(((o(*゚▽゚*)o)))
澪
紅花ちゃん来たー!そしてともさんのお父さん!きゃー!←ファン
ふっふっふ。待ち望んだ青春夏祭りが展開されてニヤニヤしております。
せつなさん、学生たちに負けじとぜひセツナ先生に夏祭りの良い思い出を(* ̄∇ ̄*)そして、フリーの先生もいるんですね、よかった~。
敬愛するアオイスト・せつなさんと意思疎通できていたようで感激です!!w
小春さん、シリアスもお上手ですしいつでもこちら側に…(笑)
し、深刻な事件( ̄◇ ̄;)は私にはちょっと荷が重い(というか書ける頭がない)ので、深刻すぎない感じで切なく展開したいと思います(笑)リレーですしね!
では金魚屋さんに同情して、少しだけ♪( ´θ`)ノ
*
小春
「すごいすごい!みんな上手だね、ね、太郎くん」
大人組が水槽の前で繰り広げる接戦。
桜小きんきゅうとくめい捜査室のメンバーや紅花とともに観戦している小春は、太郎の手をぎゅっと握って興奮したように言う。
太郎
「そう、ですね、小春さん」
一方、太郎はどこか複雑な表情だ。
その様子を横目に、翼はJSに敵意を剥き出しにする泪を、心配そうに見守っていた。
とも
「うーん、藤守んとこのお兄さん、みんな上手いなぁ。金魚どんどん少ななるわ」
公平
「俺だって負けないけどね!けど、さすがに金魚屋のおじさんが可哀想になってきた…」
けいじ
「確かにな。見ろ、金魚屋の親父、泣きそうな顔をしている」
それを見ていたともが嘆息する。
とも
「金魚屋のおっちゃんもアホやなぁ。せめて全国金魚すくい選手権のルールにしとけばよかったのに…」
公平
「何それ、どんなルールなの?」
とも
「一人一枚のポイでな、三分間の時間制限付きでどんだけすくえるか競うねん。ここのルールやったら、上手い人おればおるほど長引くし金魚も足りんで。こらご愁傷様やな…」
ともの言葉の後、おろおろする金魚屋を憐れんだ目で見つめる中学生三人だった。
全く進んでないけどパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/20(Thu) 14:55
救いの女神(金魚すくいだけに)
小春
セツナ
「あら……櫻井さん?」
白熱する金魚すくいの会場に、よく通る声が水を差した。
翼
「あっ、空間先生。こんばんは」
泪の傍らから振り向いて立ち上がり、翼がお辞儀をする。
「こんばんは!」
「こんばんは!」
小春と太郎も、すぐに立ち上がって真似をした。
JS
「おや。これは美しいお嬢さん」
泪
「こんばんは、先生」
アニ
「そ、空間先生、だと?!」
立ち上がったアニが、その弾みに水槽に足をぶつける。
ばしゃん、と音がするほど水面が揺れたのを好機に、金魚屋が大声を出した。
金魚屋
「そこまで!そこまで!」
誠臣
「まだ1枚目のポイだぞ」
賢史
「俺は3枚目やけど、まだイケるで!」
金魚屋
「とにかくそこまで!」
結局、その時点までにすくった金魚の数で競う事になった。
JS
「まあまあですかね。慶史さんよりはすくえたと思うのですが」
慶史
「泪に負けているな」
泪
「俺はJSに勝てればそれでいい。だが、誠臣には負けたかな」
誠臣
「かなり本気でやった。兄さんたちには勝てたと思う」
葵
「俺もアニには負けていないな」
賢史
「俺、ポイの数は使たけど諒に負けてへんよな。けっこうイケたんちゃうか」
諒
「……何それ。クイズ?」
そうこうするうちに、金魚屋が集計を終えた。
金魚屋
「優勝は、ジュンさんの彼氏さん!」
賢史
「よっしゃあっ!って、そ、それ俺?!」
短期決戦になったので勝者は賢史くんでした。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
08/20(Thu) 16:21
ラブラブしたかっただけ……
ジュン
賢史
「それじゃ、俺たち友達待たせてるから行くわ。」
ジュン
「楽しかったです。失礼します。」
それぞれが掬った金魚をもらい歩き出す。
泪
「賢史、頑張りなさい。」
慶史
「愚弟のくせに……」
諒
「玉木さん、賢史兄さんをよろしく。」
せつな
「二人とも羽目をはずさないようにね。」
それぞれの声に見送られ賢史とジュンは友達との待ち合わせ場所に向かう。
賢史
「玉木、金魚もらってくれるか?」
ジュン
「はい、もちろん。ありがとうございます。」
満面の笑顔でジュンは金魚を受けとる。
ジュン
「ふふ、すごい数ですね。藤守先輩、上手で格好良かったです。」
賢史
「か、彼氏って言われたな。」
顔を赤くしながらさっきのことを思い出してついく口にしてしまう。
隣を見ればジュンも同じように顔を赤くしていた。
お互いに意識しているのは明白だがあと一歩が踏み出せないでいる。
無言になって歩いているとジュンが人混みに足をとられてふらついた。
賢史
「アブナイ!」
とっさにジュンの体を支えようと肩を抱いた。
ジュン
「あり、がとうございます……もう、大丈夫ですから。」
顔を赤くして離れようとするジュンの肩をもう一度抱き直す。
賢史
「人多いし、もう少しこのまま……な。」
小さなジュンの肩を抱いてしまうと離すことが出来なかった。
ジュンも大人しくそのままで歩いている。
(こ、これはエエ雰囲気なんちゃうか!?こんなチャンスもうないかもしれん!)
賢史
「た、玉木!」
ジュン
「はい。」
賢史
「突然で驚くかもしれんけど、お、俺な……『ドーン!』」
賢史が意を決して言葉を口にしたと同時に花火が上がった。
ジュン
「えっ?なんですか?」
賢史
「……」
ジュン
「???」
結局、このすぐ後に友達と合流してしまい、賢史の告白は花火の中に消えていった。
賢史くん、残念でしたね。
このお祭りって盆踊りでしたよね?
花火上げちゃって良かったかな?
他の人たちは花火の下でどうなってるんでしょうか?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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08/30(Sun) 10:55
ジュンさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春
太郎
「小春さん大丈夫ですか?」
小春
「うん大丈夫。嬉しいなあ。私、今夜からこの子を抱っこして寝るんだ」
金魚すくい王になった賢史が、すくった金魚と一緒にジュンにプレゼントし、そのジュンから小春にプレゼントされた、景品の縫いぐるみ。
肌触りの良いタオル生地で作られていて、中身には通気性のあるマイクロビーズが入っているらしい。
軽くて涼しくて質感がある赤い金魚の大きな縫いぐるみを抱えた小春は、小柄な身体に、白地に赤い花柄の浴衣を着て赤いひらひらした三尺を結んでいるので、自身が金魚のようだ。
太郎がそれを指摘すると、小春は嬉しそうに笑った。
それから、不意に真顔になって、縫いぐるみを太郎に押し付ける。
小春
「じゃあ、この子は太郎くんにあげる」
太郎
「えっ?!」
小春
「太郎くん、一緒に寝てあげて」
小春の発想は太郎には理解できない。
小春
「この子を見るたび、今日の私と、賢兄ちゃんやジュンお姉ちゃんや、みんなと、楽しくお祭りに来た事、思い出すでしょ」
太郎
「でも」
小春
「それに、どうせ、太郎くんと私は同じ家の中にいるんだもん。どっちが持ってても一緒なら、私、その方がいい」
太郎
「……」
るい
「おーい、小春。たこ焼き食うか?」
あおい
「チョコバナナ半分あげる」
まさおみ
「太郎は縫いぐるみを抱えてるから、おれが手をつないでやる」
太郎は押し付けられた金魚の縫いぐるみを抱えた腕に、力を込めた。
少し離れた場所から、保護者たちが目を細める。
泪
「なんだ小春、モテモテだな」
JS
「ふふ、今のところ、太郎くんが一歩リードしてるようですけどね」
翼
「楽しい思い出が出来たみたいで、良かったです」
その時。
どーん!
翼
「あ、花火始まったみたい」
泪
「金魚すくいしている間に、そんな時間になってたんだな」
翼
「あれ?」
腕時計を確かめ、顔を上げた二人の前から、JSの姿が消えていた。
泪
「……勝手なやつ」
翼
「……泪さん、他のみんなも、いつの間にかどこか行っちゃったみたいです」
翼に言われて辺りを見れば、確かに、兄弟たちも、空間も、きんきゅうとくめい捜査室のちびたちの姿も見えなくなっている。
泪
「……すっかり夜だもんな。俺たちも、花火が見える方に行こうか」
翼
「はい」
気付かないうちにまた繋がれていた手が、熱い。
泪
「……俺で、いいのか」
他の奴に、とっくに花火に誘われていたり、していないか?
翼は、ふるふると首を振った。
泪には言わないけれど、実は、何人かの男子に誘われた。
でも、断ったのだ。小春に託つけてだけど、本当は、花火を見るなら、泪と見たかったから。
そうか、と手を引かれて、川原の土手に移動する。
手拭いを敷いてくれた上に翼が腰を下ろすと、隣に座った泪が、いつかのように、肩を抱いてくれた。
周りには大勢の観客がいるし、花火の音も賑やかだ。
でも、翼には泪しか見えない。
花火の合間に、泪が、耳元に顔を寄せて来た。
翼
「?」
聞き逃さないように、翼は、耳を澄ます。
泪
「……お前は、出来たか?楽しい思い出、ってやつ……」
泪は、すくった金魚を全部、金魚屋に返してしまった。
だから、翼の手には、金魚の入った袋がない。
ちぇっ、と、泪が舌打ちした。
泪
「少し、残しておけばよかったな。そしたら俺も、小春みたいに言えたのに」
翼
「……小春みたいに?」
泪
「『お前、俺の金魚、世話してくれよ。同じ家の中にいるんだから、どっちが飼っても一緒だろ』ってさ」
子供のように唇を尖らせる泪の横顔を見て、翼は笑った。
翼
「『私がお世話するのは、泪さんだけで手一杯です』って言いますよ」
実際、泪は、手がかかる。
頭もいいし何でも上手なのに、自分の身の回りの事が何ひとつ出来ない。
朝、寝起きが悪いのを起こすところから始まって、食事も掃除も洗濯も買い物も一人では出来ない。
風呂など、着替えも出さずに入ってしまうので、タオル一枚の裸で出て来る有り様だ。
それでもまだましになった方で、以前はそのまま寝てしまう事もあったらしい。
泪は、その通りだ、という表情で首肯した。
泪
「じゃあ、お前にはこれからもずっと、俺のお世話を頼む」
翼の肩を抱き寄せながら、泪が笑った。
翼
「……ずっと……?」
泪
「ああ。ずっと、ずーっとだ」
泪が、小指を差し出す。
懐かしい仕草に微笑みながら、翼は、泪と約束の指を絡めた。
他のカップルの行方は……?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/30(Sun) 10:58
祭りの夜
小春
ボチボチ進めていきますね。
小春
「お姉ちゃん、泪兄ちゃん!」
家路を急ぐ人々で混雑する祭り会場の出口で、翼たちを見つけた小春が手を振っていた。
すぐ側に、大きな金魚を抱えた太郎がいるのでよく目立つ。
翼と泪は、人波を縫って、二人の元に小走りで辿り着いた。
翼
「太郎くん、小春を見ててくれてありがとう」
太郎
「僕、小春さんのナイトですから」
はにかむ太郎の頭を、泪が撫でる。
泪
「他のちびたちは?」
太郎
「とも父さんとともさんが、『全員家まで送り届けたるから任せとき!』と言って、みんな引き連れて行きました。
金魚すくいですくった金魚を、めいめいの家に少しずつプレゼントするついでだから、って。
誠臣さんと、諒さんと公平さんも一緒に」
あれだけの人数を考えたらさすがに申し訳ない気がしたが、子供たちは豪快で明るいとも父にすっかりなついていたし、ともも面倒見がいい。
藤守家としては、心配なのは小中学生と諒までだから、誠臣がついているなら大丈夫だろう。
慶史、賢史は放っておいても問題ないし、逆に、葵に至っては、帰って来るかどうかも分からないから、ある意味心配無用だ。
泪
「じゃあ、帰りましょうか」
オカマ口調に戻った泪が、翼を振り返った。
翼と手を繋いだ小春が、太郎の説明を聞きながら、立ったままで、もう、うとうとし始めている。
翼
「太郎くん、私がその金魚の縫いぐるみ、持とうか?」
翼に言われて、太郎はきょとんとした顔をしてから、あはは、と笑って首を横に振った。
太郎
「僕が小春さんからもらった金魚です。大事に抱えて帰りますよ。だいいち、翼さんは、手が塞がってるじゃないですか」
翼
「え?あ!」
太郎に指摘されて、翼は真っ赤になった。
たしかに、翼の片手はずっと泪と繋いだままだったし、もう一方の手は、こっくりこっくりと舟を漕ぐ小春が握り締めている。
翼
「え、ええと」
太郎
「じゃあ、帰りましょうか」
泪の口真似をしながら、太郎が訳知り顔で笑った。
藤守家に帰った翼は、半分寝ている小春のお尻を押してシャワーを浴びさせてから、自分も一緒に入浴を済ませた。
小春を着替えさせ、泪の手を借りて太郎との相部屋に運んだ後で、自分も髪を乾かして部屋に行き、ベッドに横になる。
翼
「はあ……」
小春のおかげでくたくただ。
しばらくすると、隣の部屋の扉が開く音がした。
入浴を終えて、泪が帰って来たのだろう。
翼の寝ているベッドの横の壁越しに、きし、という微かな振動が伝わってきた。
壁の向こうにはすぐ、泪のベッドが置かれているのだ。
とん、とん、と壁が叩かれた。
指先で叩いているのだろう、柔らかくて、優しい音。
これは、泪からの合図。
引っ越したばかりで不安だった頃から泪が続けてくれている、「ここにいるよ」というメッセージだ。
最初はいつも、二回。
とん、とん、というその音が、翼には、「る・い」と聴こえる。
壁越しに会話をした後なら「お・や・す・み」だったり、深夜の帰宅なら遠慮がちな「た・だ・い・ま」だったり。
最初はどきどきしたけれど、今はその音を聴くと、安心して眠れるようになった。
隣に、泪がいる。そう思ったら、疲れも手伝って、たちまち瞼が落ちてくる。
翼
「今日はありがとう、泪さん……」
おやすみなさい、と七回、こちらから音を送る。
翼はそのまま、眠りに落ちていった。
泪
「(……寝ちまったか)」
ごろり、と寝返りを打ちながら、泪はさっきの事を思い出す。
『お前にはこれからもずっと、俺のお世話を頼む』
泪
「(……伝わったかな。……伝わってねえだろうなあ……)」
顔が熱くなってきて、もう一度、寝返りを打つ。
泪
「(……翼……)」
とん、とん、とん。
泪
「(……本気なんだけどな)」
とん、とん、とん、とん、とん。
隣からは、何も返ってこない。
翼は眠ったのだろう、泪はホッと安堵の息を吐いた。
と同時に、
泪
「(って、いまどきドリ○ムかよ!……恥ずかし過ぎる、俺)」
泪は翼を起こさないよう細心の注意を払いながら、顔を手で覆って、部屋の床を転げ回った。
もー。
泪さんたらこっちが恥ずかしい////←
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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09/01(Tue) 09:21
おはようございます( ´ ▽ ` )ノ
とも
細心の注意を払って床を転げ回るって、泪さんどんだけカワイイんだ\(//∇//)
るい
「今日は送ってくれてありがとう! おっちゃん、今度金魚すくいのコツ教えてくれよな!」
とも父
「おう、他の友達も連れてこい、バッチリ教えたるわ!」
小学生組の最後の1人を送り届け、とも親子と誠臣、諒、公平は来た道を引き返していた。 諒にいたっては眠い眼をこすりこすり、公平ととも父に両手をひっぱってもらいながらなんとか歩いている。
公平
「ホラ諒兄さん、しっかり歩いてよ~。家はもうすぐだから。がんばって~」
諒
「zzz…」
とも父
「半分寝ながら歩けるなんて器用やな~」
とも父はニコニコしながらそのやりとりを見ていたが、ふと前を歩いている自分の娘の方に視線をやった。
ともは誠臣と楽しそうに話しているが、友達とか先輩と話すそれとは違うということくらいは勘のいいとも父には簡単にわかった。
とも父
「(なんやかんや言うても、もう中3になったんや、あんな顔もするようになったんやな。…それにしても)」
小さい頃から自分の元で柔道をやってきたともと同い年の公平はどうなんだろうか。このまま娘の恋が成就するのもいいが、何か一波乱を期待してしまうとも父であった。
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09/01(Tue) 09:32
ともさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春
とも父の最後の一文に噴いた(笑)
せつなさん、ありがとうございます(´ 3`)
小春
さて、無事に家庭訪問も終わったので、季節に合わせて一気に夏へ飛びますよ!
みんなついて来てね!
あっ、5月に小学校の運動会があったはずだけど、既に終わったという事でお願いします(´∇`)ゞ
~夏も藤守家はイベントがいっぱい?~
夏。
小・中学生、高校生、大学生の順番で、藤守家にも夏休みがやって来た。
朝一番早く起き出すのは、休みでも変わらず、朝食の支度をする誠臣。
次いで、ラジオ体操に出掛けてゆく小学生の小春と太郎。
その二人が帰って来る頃に、眠い目をこすりながら、半分寝たまま朝食を食べた賢史が陸上部の、同じく公平が柔道部の朝練の為に、それぞれ登校してゆく。
翼が誠臣の家事を手伝いながら、残る諒と、三人の大学生に声をかけて起こし、夏休みの一日が始まるのだ。
小春
「お姉ちゃん、夏祭りに連れて行ってくれる約束、大丈夫?」
夏休みに入ってから、小春にこの質問をされるのが、翼の日課になっていた。
大丈夫だよ、と、洗濯物を干しながら、翼は笑う。
この返事をするのも今日が最後だ。
何故なら、夏祭りは今夜なのだから。
朝からすっきりと晴れて、天気予報の降水確率は0%。
絶好の祭り日和だ。
翼
「その代わり、今日の分の宿題は、ちゃんと終わらせるのよ?」
小春&太郎
「はあい」
庭先の勉強部屋で、小春と太郎が元気よく返事をした。
泪
「支度出来たか」
夕方、小春に浴衣を、太郎に甚平を着せてやり、自分も浴衣に下駄を突っ掛けて玄関を出た翼は、庭先で誠臣と立ち話をしていた泪の姿に息を飲んだ。
誠臣が着せてくれたのか、すらりとした長身に濃紺の浴衣を着た泪が、腕組みをして待っていたのだ。
泪は泪で翼の浴衣姿に見惚れていたのだが、翼は気付かない。
太郎
「泪さん、格好いいです」
翼の心の声を代弁したような太郎の声に、翼と小春は大きく頷く。
泪
「そう?ありがとう」
イイコイイコ、と言いながら、泪が太郎の頭を撫でた。
外出するからなのか、泪の口調は既におネエになっている。
それだけを残念に思っていると、太郎と手を繋いだ泪が、顔を上げてこちらを見た。
泪
「行きましょうか?」
翼
「はい」
小春
「はーい!」
隣で元気よく返事をした小春が、伸ばされた泪の手を握った。
泪のもう一方の手は、同じく小学校の太郎の手を握っているのだから、考えてみればごく自然な流れなのだが……
一瞬でも、泪の手は自分に向けられたものだと思ってしまった事が恥ずかしい。
すると。
小春
「お姉ちゃん」
小春が、たった今握った泪の手を引っ張って、翼の手と繋がせた。
翼
「えっ?」
小春
「早く行こう?」
そうして、小春はもう一方の翼の手を握る。
太郎、泪、翼、小春、という順番で、四人は横並びに手を繋いだ。
翼
「……」
翼が、自分の左手を握り締めた妹の小さな手の暖かさを感じながら頭の中を整理していると、右手が、大きな手に引かれた。
泪の手が一旦離れ、今度は、二人の手のひらを合わせ、指を絡めるような繋ぎ方に変わる。
これって、
……恋人繋ぎ……
ドキドキしていると、繋いだその手に、きゅ、と力が籠められた。
泪
「はぐれるなよ」
一瞬だけ、泪の声が男に戻った。
翼
「……はい!」
後で行く、と言う誠臣に見送られて、翼たちは、祭り会場である河川敷に向かった。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/09(Sun) 08:37
高校生組
ジュン
泪たちが家を出た頃、祭り会場にはすでに賢史の姿があった。
陸上部の仲間たちと祭りに来ているのである。
「藤守、気合入ってんな。」
そうからかわれるのは泪と同じく誠臣に着付けてもらった浴衣のせいだ。
高校生男子が賑やかに祭りを回っていく。
「おい、あそこにいるの女子とマネージャーじゃないか?」
言うが早いかその友人は女子のグループに声をかける。
「先輩たちも来てたんですね。」
どの子も可愛く浴衣を着こなしている中、賢史は一人に見惚れていた。
ジュン
「藤守先輩、こんばんは。」
賢史
「おお……可愛らしいな……」
つい言葉が漏れる。
ジュン
「あ、ありがとうございます。」
二人で向かい合ってお互いに顔を赤くしている賢史とジュンを回りの友人たちはにこやかに見守っている。
「せっかくだし、一緒に回ろうぜ。」
「賛成~」
皆が歩き出すのに合わせて賢史とジュンも歩き出す。
人の波の中で時折触れるジュンの体に賢史は顔を赤くした。
久々にジュン登場!
お祭りは始まったばかり。
何が起こるのかなぁ。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
08/09(Sun) 23:16
JS&紅花ちゃん登場♪
小春
ジュンさんありがとうございまーす(´ 3`)ちゅー
祭り会場。
るい
「太郎!小春!こっちこっち!」
会場の入り口、まだ灯の入らない祭り提灯の下で手を振る、るい、あおい、まさおみ、けんじ、りょう、こうへい。
小春
「みんなー」
待っていた仲良したちに呼ばれて、小春が手を振り返す。
その間に、翼と泪、それから太郎の三人は、困惑した顔を見合わせていた。
桜小学校探偵クラブ改め、『桜小きんきゅうとくめい捜査室』を引率していたのが、意外な人物だったからだ。
???
「泪くん、翼さん、久し振り。太郎がお世話になっています。僕の事、覚えていますか?」
そう言って微笑んだのは、……太郎にそっくりな顔をした……長い黒髪の、美青年だった。
ちびっこ捜査室のメンバーたちは、露店や祭の雰囲気に目を輝かせながら、少し先を賑やかに歩いている。
太郎はこちらが気になる様子で時折振り返ったりしているが、それでも、小春にしっかりと手を握られ、さらに、会場を歩くうちに出会った、近所に住む幼馴染みの紅花にもう一方の手を握られて、身動きとれずに歩いてゆく。
翼は泪と、謎の青年ジョン・スミスとに挟まれて、子供たちの後をゆっくりと追っていた。
翼
「(この人……)」
翼には、遠い記憶がある。
およそ十年前、櫻井家の小春が、一歳の誕生日を迎えたのと同じ頃。
隣の藤守家に、やはり一歳になったばかりの男の子が預けられた。
太郎、という名前だったけれども、緑色の目をしたその子を抱いていたのが、ジョン・スミスだった。
不思議なことに、年を経ているはずなのに、その姿は翼の記憶と全く変わらない。
いや、むしろ、もっと若くさえ見える。
大学生の泪と比べても、少しも違和感が無いほどだ。
翼
「(太郎くんのお父さんか、お兄さん……なのかな)」
その姿は正しく、小学生の太郎が成長したらこうなるだろう、という姿なのだが。
翼
「(不思議な人……)」
泪
「太郎を引き取りに来たのか、ジョン・スミス?」
不意に泪が発した言葉に、翼はハッとした。
泪
「太郎はしっかりした子で、頭もいいし何でも自分で出来るし、いつもニコニコしている。俺も、他の兄弟も、あいつを実の弟のように思っている。だが、あいつにすれば、それでも、寂しいに決まっている」
一息に言った泪の声は硬く、底に怒りを含んでいるのが翼にも分かった。
けれどジョン・スミスの方は、軽く肩をすくめただけだった。
JS
「僕にも事情があるんです」
泪
「事情って、お前っ……!」
JS
「一年待ってください」
泪
「は?」
翼はハラハラした。
泪と、ジョン・スミスの会話は、噛み合っているようで噛み合っていない。
JS
「実は編入試験を受けましてね。今年から僕、あなたの大学にいるんですよ。学部は違いますけど」
泪
「は……?!」
JS
「というわけなので、太郎はもうしばらくお預けします。翼さん、よろしくお願いします」
翼
「は……?」
泪と同じ、間の抜けた声を出してしまった翼に笑ってから、ジョン・スミスは翼の手を持ち上げて、右手の甲にキスをした。
泪
「!」
JS
「では、子供たちの事は、まとめて全部お願いしますね」
翼
「えっ?」
泪
「何?」
その時、ざあっ、と音を立てて、風が、祭り提灯の列を揺らして吹き過ぎた。
泪も翼も、思わず目を瞑る。
風がおさまった時、ジョン・スミスの姿はどこにもなかった。
翼
「……何だったんでしょう、あの人?」
泪
「……あの野郎!」
呆然としている翼の傍らで、泪が吐き捨てるように言った。
言い終わると同時に、泪は翼の手の甲を自分の手拭いで拭い、そこに、唇を押し付けてきた。
泪
「消毒」
翼
「!!」
次から次へとビックリする事ばかりで、翼の心臓は破裂しそうだ。
さらに、そこへ。
とも・公平
「ひゅーひゅー♪」
葵
「おや、お邪魔だったかな?」
アニ
「るるるる泪!つ、つ、つ、通路のど真ん中で、貴様、なんと破廉恥な!!」
誠臣
「……だが少し羨ましい」
諒
「誠臣兄さん、心の声が漏れてるよ……」
部活を終えた、ともと公平、そして、藤守兄弟も到着していた。
出すだけ出しておいて←
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/10(Mon) 20:49
教師は夏祭りも見回りとかあるんじゃ…と思ったけど、無視( ̄▽ ̄)
澪
セツナ
「澪、ちょっと、帯見てくれる?」
浴衣を着付けたセツナが澪に近付くと、何やら熱心に書類を見つめていた澪がハッと顔を上げた。
と同時に書類を床に伏せる。何の書類か気になって口を開きかけたセツナを遮り、澪が大げさに溜息を吐いた。
澪
「も~。セツナ姉、裾引きずってる。帯曲がってる」
セツナ
「えっ、ええっ?」
ほらじっとして、と澪が立ち上がり、セツナの浴衣を整える。
セツナ
「ありがとう。でも澪、あなたも早く用意しないと間に合わないんじゃない?」
もう既に祭りは始まっている時間だ。
誘ってきた友人が着るあてもないのに浴衣を買ったとかで、付き合いで浴衣を纏ったセツナは時計を見て言う。
だが、澪はさらに大げさに眉を顰めてヘアオイルを手に取った。
澪
「も~、髪もツヤがない!テキトーなまとめ髪!ちょっと待って、すぐだから」
テキパキとセツナの髪をセットする澪を、セツナは鏡越しに怪訝そうに窺う。
澪
「はい出来た!うん、これでバッタリ葵に会っても大丈夫。どこからどう見ても浴衣美人!」
セツナ
「なっ、ななっ、なななな何を…!」
澪
「はいはい忘れ物ない?」
急かされて玄関に置いた荷物を確認したセツナが頷くと、澪はよし、と笑って早々に見送ろうとする。
何でもハッキリ物事を口にする従妹の何か隠した様子に、セツナは違和感を感じて口を開いた。
セツナ
「待って。ねえ澪、お祭り行かないの?」
澪
「うん」
アッサリと返ってきた答えに少々面食らいながらも、セツナの疑問はますます大きくなる。
セツナ
「なんで?だってあなた、賑やかなの好きでしょ?」
澪
「え~、そうでもないよ~」
セツナ
「嘘おっしゃい。…あ!もしかして、一緒に行くような友達が」
澪
「いるよ!大丈夫だから、安心して」
セツナ
「でも、じゃあ、なんで……あ、浴衣?浴衣がないなら私のが」
澪
「浴衣なんか死んでも着ない!」
突然声を荒げた澪に驚いてセツナが言葉を詰まらせ、一瞬、時が止まったようにシンと静まり返る。
澪
「……ごめん。暑くて歩きにくいでしょ。私はホラ、動きやすいのがイチバン!」
そう言っていつも通り笑う澪の姿に後ろ髪を引かれながらも、その澪に急かされ、セツナは仕方なく外に出た。
澪
「いってらっしゃい。気をつけて楽しんできてねー!」
澪の声を背に、セツナは友人との待ち合わせ場所まで歩を進める。
澪が中学生の時日本に帰国してからの付き合いだけど、あんな澪は初めて見た。
外国育ちでハッキリした子だし、感情表現も豊かだと思う。
映画を見て感動したと言っては泣いているし、感動屋な分喜び方だって派手だ。育った環境とはいえ、すぐハグしてくることには、未だに馴染めない。
高校の頃出場したスピーチコンテストでは準優勝で猛烈に悔しがっていたらしい、と親伝いに聞いたし。
……小野瀬先生のことでウジウジしていた時には、思い切り怒られたこともある。
だけど、あんな悲痛な表情と声は──浴衣を、なぜ、あんなにも?
そこまで考えて、セツナはハッとした。
浴衣。
澪が高校に入った夏休み。時々突然やって来たけれど、夜中に来たことがあった。
真っ赤な目をして泊めて、とだけ言って、何かあったのかと聞いても答えず、しつこく聞くと、ただの喧嘩、と小さく呟いた。
そういえば、あの時。澪はサイズさえ合っていなさそうな、ちぐはぐなTシャツとパンツ姿だった。
確か、それを問うた時、
「浴衣で転けて着崩れたから、テキトーに買ったの」
浴衣はどうしたのかと聞くと、
「破れてたから捨ててきた」なんて言ってお風呂に入ると、あっという間に眠り翌日にはケロッとして帰っていったのだ。
──そう、あの時、たしか着崩れたと言ったけど、澪は浴衣の着付けは出来る。
──本当に、喧嘩だったのだろうか。
思いを巡らせているうちに友人と合流を果たしたセツナは、何とか気分を切り替え、祭り会場へと向かった。
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08/10(Mon) 20:52
安定の連投wスミマセン。。
澪
セツナを見送って玄関を施錠し、部屋に戻った澪は伏せていた書類をファイルに戻す。
ファイルを仕舞ってから気分を切り替えるように息を吐き、何とはなしに家事をしていた澪の目に、ふと見覚えのあるスマホが目に入った。
澪
「セツナ姉、スマホ忘れてるじゃん!」
思わず手に取ると暫くの逡巡の後、澪は家を出た。
祭り会場は多くの人で賑わい、誰もが皆笑顔だ。
浴衣姿の可愛らしいグループやカップルが溢れる中、Tシャツにショートパンツのまま一人でいる自分が妙に場違いに思えて、澪はキョロキョロと辺りを見回した。
澪
「迷子放送してもらった方が早いかな…」
思わず呟いた、その時。
少し離れた屋台の前、見えた浴衣姿に澪は急いで足を向けた。
澪
「セツナ姉!」
呼びかけると、セツナはわかりやすく驚いた顔で振り返る。
セツナ
「澪!あなた、来ないんじゃ…」
澪
「これ届けに来ただけ。もう、忘れないでよね」
澪が差し出したスマホに、セツナはさらに驚いた様子で鞄を探る。
セツナ
「えっ、やだっ!私ってばっ」
澪
「じゃあね、気をつけてよ」
ありがとう、と言うセツナの手にスマホを握らせ、連れに会釈をして踵を返した澪は、早々に祭り会場を出ようと人混みの中を縫って歩く。
と、建物の影でしきりに浴衣の襟元や裾を気にしている少女の姿を見つけ、思わず足を止めた。
澪
「どうかした?大丈夫?」
顔を上げた少女と澪は、お互いを認めてあ、と声を漏らす。
澪
「この前の!えっと…泪の弟の彼女だっけ?」
とも
「なっ、ちちち違います!誠臣先輩とは、その……あの、澪さん、でしたよね。桜中三年の、白河ともです」
澪
「 そう?とも、ね!よろしく~」
顔を赤くしたともが慌てて顔の前で手を振るが、澪は意外そうにしてからニッコリと笑ってその手を握った。
それからともの姿を見て、ちょっとごめんね、と言うと浴衣を整え始める。
とも
「あ、あの……?」
澪
「襟元はここに手を入れてこうするとね…で、裾はほら、ここを持ち上げて腰紐をこうして…」
とも
「わ…すみません、トイレ混んでて急いだら乱れちゃって…着付け、上手なんですね」
澪
「まあね、親に習ったクチ…と、はいっ出来た。ホラホラ、早く誠臣先輩のとこ戻ったら~?」
とも
「なっ……!」
再び顔を真っ赤にしたともの背中を優しく押してやると、ともは礼を言って頭を下げてから、下駄を鳴らし小走りに駆けて行った。
その背中を見送って、澪は再び歩き出した。
何とはなしに俯きがちに歩き、人の流れに逆らって会場出入り口近くまで来た時だった。
どこかから聞き慣れた声がして、ふと振り向く。
そこに見えた、薄暗い中でも目立つ長身の金髪に目を留めた。
浴衣姿の泪は、同じく浴衣姿の先日会った女子生徒と、仲睦まじく手を繋いでいる。
微笑み合う二人の横顔を見て、澪は思わず目を逸らした。
セツナを迎えに行った藤守家での様子を見て、何となく気がついてはいたのだ。
あの雰囲気は、どう見ても──
澪
「……お似合い、か」
微かな声で呟くと、今度こそ俯いて歩き始める。
すれ違いざまに掛けられる「パツキンのネーチャン、一人~?アローン?」なんて下世話な声に、今日は久しぶりに胸を抉られる気がして、澪はぎゅっと胸を押さえた。
お風呂に入って、さっさと寝よう。
さっさと寝て、それで、明日にはまた笑うんだ。
笑って、全てはそれから。
念じるように頭の中で繰り返す。
足早に会場を出た澪は締め付けられるような胸を押さえ、帰路を急いだ。
*
お久しぶりですー!
すっかり家庭訪問編の波に乗り遅れてしまいましたが、澪もお邪魔させてもらえて嬉しかったです♪
せつなさん、いいんですよぅ!どんどんいいように書いちゃってください*\(^o^)/*
せつなさんのイイオモイも小野瀬先生とのお話も楽しみにしてますからね!
と、流れに乗って急に夏祭りに入ったと思ったらちょっと重めですみません。
~澪の恋~へと進むために、助走を…と思ったら勢いで書きすぎて結構本番失恋っぽくなってしまった(笑)
ともさん、勝手に出してすみません。年下組に絡みたかったんです( ̄∇ ̄*)ゞ←
ほんとは小春さんはじめ小学生組に絡んでわちゃわちゃしたかったけど澪夏祭り行きたがらない設定にしちゃった。失敗。
さ~皆さんの夏祭りはまだまだ青春な展開期待してますよ!のパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/10(Mon) 23:57
澪さんありがとうございます。
小春
今回は澪さんとせつなさんがシリアス担当で、私は楽しくツナギだけ書かせていただいてますね。
なんかすみません←
夏祭り堪能組は、小春&ちびっこ捜査室と夜店を冷やかしたり、花火を見たり、藤守兄弟と仲良くなったりいたしましょう。
*****
小春
「うわあ!」
メイン会場である盆踊り広場にほど近い大通りに、ひときわ明るい照明と、大勢の人が集まっている一角があった。
人垣の隙間からそこを覗き込んだ小春が、目を輝かせた。
小春
「うわあ!」
小春が何に反応したのかは、一目瞭然。
金魚すくいの屋台の前に飾られていたそれは、体長約150cm、大人の腕でも一抱えはありそうな、真っ赤な金魚の縫いぐるみだった。
『金魚すくい王決定戦』と銘打たれた看板の下には、通常の金魚すくいの店にもある、青く四角いポリエチレン水槽が、通常の数倍の規模で置かれていた。
もちろん、そこに張られた水の中には、赤、金、黒、白、斑、色とりどりの金魚が泳いでいる。
小春
「ねえ『金魚すくい王』だって。何時からやるのかなあ、勝った人がこれ貰えるのかなあ」
小春は金魚の縫いぐるみと、無数の金魚とに目と心を奪われている。
もちろん、ちびっこ捜査室のメンバーたちや、そして藤守兄弟も、同じ事を考えながら、金魚すくいの店の前に佇んでいた。
店頭に貼り出された案内を読んでみると、まもなく、本日何回めかの『金魚すくい王決定戦』が開催されるらしい。
参加費は100円。
時間無制限、5枚のポイが全て完全に破れるまでに、何匹の金魚をすくえるかを競うというものだ。
中学生以下の子供部門、高校生以上の一般部門がある。
太郎
「小春さん、あれ欲しいですか?」
太郎に尋ねられて、小春が頬を染めた。
小春
「うん……でも、私、もう五年生だし」
太郎
「小春さんは、縫いぐるみも、生きてる金魚も好きですもんね。僕、挑戦してみましょうか」
太郎と小春の間に、いつの間に来たのか、公平が割り込んできた。
公平
「ふっふっふ、甘いぞ太郎。子供の部には俺がいるんだよ?」
とも
「ふっふっふっふ、藤守こそ甘いで。この私の存在を忘れてへん?」
けいじ
「ふっふっふっふっふ、お前ら、揃いも揃ってこの俺様の引き立て役になりたいのだな」
太郎
「引き立て役になる気はありませんよ」
ばちばちばち、と、中学生組と太郎の間に火花が散った。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/11(Tue) 09:25
おはようございます( ´ ▽ ` )ノ
とも
澪さん、ともを登場させてくれてありがとうございます(^-^)
そしてあの人も登場させちゃいます(笑)
子供組が火花を散らしている頃、隣のスペースにはたくさんの人だかりができていた。
小春
「あっちも何か盛り上がってるみたいだね」
太郎
「そうですね。たしか、隣は大人の金魚すくい大会をやっていたはずですが」
2人が話していると、わぁっと大きな歓声があがり、人だかりの中心にいたと思われる人物が大量の金魚を入れたビニール袋を手に出てきた。
???
「いやぁ、今日は調子悪かったな~。ポイ2つもつこてしもたわ」
客
「あのおじさん、ポイ2つでタライの中の金魚全部すくっちゃったよ!」
客
「凄いよ! あっという間になくなっちゃって、こっちはすくってるヒマなかったんだから!」
一緒に参加していた人の言葉を聞き、一体何者なんだろうと顔を見合わせていると、その本人が小春と太郎のもとへと近づいてきた。
???
「そこの嬢ちゃんたち、浴衣よう似合ってるなぁ。この金魚、ぎょうさん取れたからよかったら少しもろてくれへんか?」
小春
「えっ、でもおじさんがすくった金魚なのに…」
???
「ハハ、遠慮なんかせんでええ。 ホラ、こうして小分けにしとるやろ? 他にもあげよう思ってるから大丈夫や」
そう言われて断ることができなかった小春が差し出されたビニール袋を手にしようとした時、後ろでともが呆れた様子でその男性に声をかけた。
とも
「ちょっとおとん! また金魚全部すくったんやて? 金魚屋のおっちゃんが嘆いとったで。 …小春ちゃん、ウチのおとんがゴメンやで。無理にもらうことないから、気にせんでええよ?」
太郎
「どこかで見たことがある人だな、って思ったんですが、ともさんのお父さんだったんですね。 それにしても凄いです!」
とも父
「いやぁ、照れるわ。褒めても何もでーへんで?」
ここでパース( ´ ▽ ` )ノ⌒◯
08/11(Tue) 10:34
キャー( 〃▽〃)とも父( 〃▽〃)ノシ
小春
ともさん、ありがとうございます。
んもうとも父ったら、相変わらずオイシイトコ持ってくんだからステキ。
*****
小春
「お兄ちゃんたち、見て!ともちゃんのお父さんから金魚もらった!」
ぱたぱたと走って来た小春の報告を受けて、藤守兄弟が揃ってとも父に頭を下げる。
慶史
「これは、どうもご親切に。うちの妹に金魚をありがとうございます」
葵
「凄くお上手な人がいらっしゃると思ったら、ともさんのお父さんだったんですね」
泪
「小春、ちゃんとお礼を言ったか?」
誠臣
「太郎、なんだか元気が無いな?」
誠臣の言葉を聞いて、さっきまでともから説教されていたとも父が、すまん堪忍やで、と頭を掻いた。
とも父
「太郎くんは小春ちゃんに、自分がすくった金魚をプレゼントしたかったんやんな」
太郎
「いえその……僕は、小春さんが喜んでくれたら、誰からの金魚でも」
小春
「太郎くん、ありがとう。私、太郎くんの気持ちだけで嬉しい」
赤い顔をする太郎の手を、小春がぎゅうっと握った。
すると。
???
「でしたら、あの縫いぐるみの金魚は、僕が小春さんにプレゼントしましょう」
小春
「え?」
声の相手を確かめて、ち、と泪が舌打ちをした。
泪
「空気読めよ……」
小声で呟いて、泪は翼を引き寄せた。
小春
「ジョンスミスさん?」
JS
「太郎の大切なお嬢さんですからねえ」
泪
「小春、俺がとってやる」
ジョンスミスと泪の険悪な気配を察して、そういう事に敏感な葵が、すかさず口を挟む。
葵
「そういう事なら俺も」
慶史
「では俺も、藤守家の長男として参戦しよう」
誠臣
「……し、白河は、お父さんがたくさん取っていらしたから、これ以上の金魚はもう、迷惑だろうが……」
ぼそりと言う誠臣に、ともが急いでぶんぶんと首を横に振る。
諒
「……」
紅花をちらちら見る諒の横で、賢史がジュンに少しだけ、顔を寄せた。
賢史
「ジュン、俺が金魚すくったら、もらってくれるか?」
ジュン
「はい!藤守先輩、頑張って!」
金魚すくい王決定戦決行←
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/11(Tue) 20:31
アノヒトもあの人もキターwww
せつな
夏祭り、皆さん楽しそうで良かった~(>_<)
ワタクシ、独走やっちまったかなーと膝をついていたところでしたので、澪さんにセツナ先生を参加させて頂き幸せです;つД`)
ちなみに、全部の学校がそうではないかもですが、沢山いる生徒指導担当の先生がシフト組んで夜回りするので、担当外の先生はフリーです。大丈夫のはず。
澪ちゃんの容姿に纏わる切な目エピソードがあるといいなぁと思ってたところに、ドンピシャなお話が来て、驚きました!
澪さんたら、ワタクシの心が読めるのかしらwwwさすがアオイスト!!!←
いろいろな方がどんどん出ていらっしゃいましたね!!
金魚すくい王者は誰???
皆様の楽しい恋物語も楽しみにしているせつなでした(≧▽≦)ノシガンバレー
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08/12(Wed) 10:01
澪さんもせつなさんもありがとうございます。
小春
今回のリレーはアオイストに支えられております(笑)
澪さんのエピソードは、せつなさんのおっしゃるような「切なめエピソード」であってほしいと思います。
私にはもっと深刻な事件に思えてしまったので、心配。
物語のお二人が幸せになれますように。
そして、時々ブレてる私の設定を、皆さんが「小春さんはホラ暑いのが苦手だから」という広いお心で読み流してくださいますように。
引き続き、楽しくリレーが続けられますように。
よろしくお願いします。
*****
友達
「何だか向こうが賑やかね」
セツナ
「本当ね。何かイベントをやっているのかしら……?」
JS
「ふふふ泪くん、なかなかやりますね」
泪
「アンタだけには絶対負けない」
慶史
「こら愚弟!その赤い・彗星は俺が狙っていた金魚だ!そっちの黒い・三連星も俺が!」
賢史
「勝手に命名すんなや!」
諒
「いいから邪魔しないで」
葵
「翼ちゃん、小春ちゃーん。応援してくれてる?」
誠臣
「集中……集中……」
とも父
「こうして見ると、ホンマにみんな男前さんやなあ」
金魚屋
「……もしもし問屋さん?金魚追加お願いします……(涙)」
みんな頑張って。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/12(Wed) 12:53
わくわく(((o(*゚▽゚*)o)))
澪
紅花ちゃん来たー!そしてともさんのお父さん!きゃー!←ファン
ふっふっふ。待ち望んだ青春夏祭りが展開されてニヤニヤしております。
せつなさん、学生たちに負けじとぜひセツナ先生に夏祭りの良い思い出を(* ̄∇ ̄*)そして、フリーの先生もいるんですね、よかった~。
敬愛するアオイスト・せつなさんと意思疎通できていたようで感激です!!w
小春さん、シリアスもお上手ですしいつでもこちら側に…(笑)
し、深刻な事件( ̄◇ ̄;)は私にはちょっと荷が重い(というか書ける頭がない)ので、深刻すぎない感じで切なく展開したいと思います(笑)リレーですしね!
では金魚屋さんに同情して、少しだけ♪( ´θ`)ノ
*
小春
「すごいすごい!みんな上手だね、ね、太郎くん」
大人組が水槽の前で繰り広げる接戦。
桜小きんきゅうとくめい捜査室のメンバーや紅花とともに観戦している小春は、太郎の手をぎゅっと握って興奮したように言う。
太郎
「そう、ですね、小春さん」
一方、太郎はどこか複雑な表情だ。
その様子を横目に、翼はJSに敵意を剥き出しにする泪を、心配そうに見守っていた。
とも
「うーん、藤守んとこのお兄さん、みんな上手いなぁ。金魚どんどん少ななるわ」
公平
「俺だって負けないけどね!けど、さすがに金魚屋のおじさんが可哀想になってきた…」
けいじ
「確かにな。見ろ、金魚屋の親父、泣きそうな顔をしている」
それを見ていたともが嘆息する。
とも
「金魚屋のおっちゃんもアホやなぁ。せめて全国金魚すくい選手権のルールにしとけばよかったのに…」
公平
「何それ、どんなルールなの?」
とも
「一人一枚のポイでな、三分間の時間制限付きでどんだけすくえるか競うねん。ここのルールやったら、上手い人おればおるほど長引くし金魚も足りんで。こらご愁傷様やな…」
ともの言葉の後、おろおろする金魚屋を憐れんだ目で見つめる中学生三人だった。
全く進んでないけどパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/20(Thu) 14:55
救いの女神(金魚すくいだけに)
小春
セツナ
「あら……櫻井さん?」
白熱する金魚すくいの会場に、よく通る声が水を差した。
翼
「あっ、空間先生。こんばんは」
泪の傍らから振り向いて立ち上がり、翼がお辞儀をする。
「こんばんは!」
「こんばんは!」
小春と太郎も、すぐに立ち上がって真似をした。
JS
「おや。これは美しいお嬢さん」
泪
「こんばんは、先生」
アニ
「そ、空間先生、だと?!」
立ち上がったアニが、その弾みに水槽に足をぶつける。
ばしゃん、と音がするほど水面が揺れたのを好機に、金魚屋が大声を出した。
金魚屋
「そこまで!そこまで!」
誠臣
「まだ1枚目のポイだぞ」
賢史
「俺は3枚目やけど、まだイケるで!」
金魚屋
「とにかくそこまで!」
結局、その時点までにすくった金魚の数で競う事になった。
JS
「まあまあですかね。慶史さんよりはすくえたと思うのですが」
慶史
「泪に負けているな」
泪
「俺はJSに勝てればそれでいい。だが、誠臣には負けたかな」
誠臣
「かなり本気でやった。兄さんたちには勝てたと思う」
葵
「俺もアニには負けていないな」
賢史
「俺、ポイの数は使たけど諒に負けてへんよな。けっこうイケたんちゃうか」
諒
「……何それ。クイズ?」
そうこうするうちに、金魚屋が集計を終えた。
金魚屋
「優勝は、ジュンさんの彼氏さん!」
賢史
「よっしゃあっ!って、そ、それ俺?!」
短期決戦になったので勝者は賢史くんでした。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
08/20(Thu) 16:21
ラブラブしたかっただけ……
ジュン
賢史
「それじゃ、俺たち友達待たせてるから行くわ。」
ジュン
「楽しかったです。失礼します。」
それぞれが掬った金魚をもらい歩き出す。
泪
「賢史、頑張りなさい。」
慶史
「愚弟のくせに……」
諒
「玉木さん、賢史兄さんをよろしく。」
せつな
「二人とも羽目をはずさないようにね。」
それぞれの声に見送られ賢史とジュンは友達との待ち合わせ場所に向かう。
賢史
「玉木、金魚もらってくれるか?」
ジュン
「はい、もちろん。ありがとうございます。」
満面の笑顔でジュンは金魚を受けとる。
ジュン
「ふふ、すごい数ですね。藤守先輩、上手で格好良かったです。」
賢史
「か、彼氏って言われたな。」
顔を赤くしながらさっきのことを思い出してついく口にしてしまう。
隣を見ればジュンも同じように顔を赤くしていた。
お互いに意識しているのは明白だがあと一歩が踏み出せないでいる。
無言になって歩いているとジュンが人混みに足をとられてふらついた。
賢史
「アブナイ!」
とっさにジュンの体を支えようと肩を抱いた。
ジュン
「あり、がとうございます……もう、大丈夫ですから。」
顔を赤くして離れようとするジュンの肩をもう一度抱き直す。
賢史
「人多いし、もう少しこのまま……な。」
小さなジュンの肩を抱いてしまうと離すことが出来なかった。
ジュンも大人しくそのままで歩いている。
(こ、これはエエ雰囲気なんちゃうか!?こんなチャンスもうないかもしれん!)
賢史
「た、玉木!」
ジュン
「はい。」
賢史
「突然で驚くかもしれんけど、お、俺な……『ドーン!』」
賢史が意を決して言葉を口にしたと同時に花火が上がった。
ジュン
「えっ?なんですか?」
賢史
「……」
ジュン
「???」
結局、このすぐ後に友達と合流してしまい、賢史の告白は花火の中に消えていった。
賢史くん、残念でしたね。
このお祭りって盆踊りでしたよね?
花火上げちゃって良かったかな?
他の人たちは花火の下でどうなってるんでしょうか?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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08/30(Sun) 10:55
ジュンさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春
太郎
「小春さん大丈夫ですか?」
小春
「うん大丈夫。嬉しいなあ。私、今夜からこの子を抱っこして寝るんだ」
金魚すくい王になった賢史が、すくった金魚と一緒にジュンにプレゼントし、そのジュンから小春にプレゼントされた、景品の縫いぐるみ。
肌触りの良いタオル生地で作られていて、中身には通気性のあるマイクロビーズが入っているらしい。
軽くて涼しくて質感がある赤い金魚の大きな縫いぐるみを抱えた小春は、小柄な身体に、白地に赤い花柄の浴衣を着て赤いひらひらした三尺を結んでいるので、自身が金魚のようだ。
太郎がそれを指摘すると、小春は嬉しそうに笑った。
それから、不意に真顔になって、縫いぐるみを太郎に押し付ける。
小春
「じゃあ、この子は太郎くんにあげる」
太郎
「えっ?!」
小春
「太郎くん、一緒に寝てあげて」
小春の発想は太郎には理解できない。
小春
「この子を見るたび、今日の私と、賢兄ちゃんやジュンお姉ちゃんや、みんなと、楽しくお祭りに来た事、思い出すでしょ」
太郎
「でも」
小春
「それに、どうせ、太郎くんと私は同じ家の中にいるんだもん。どっちが持ってても一緒なら、私、その方がいい」
太郎
「……」
るい
「おーい、小春。たこ焼き食うか?」
あおい
「チョコバナナ半分あげる」
まさおみ
「太郎は縫いぐるみを抱えてるから、おれが手をつないでやる」
太郎は押し付けられた金魚の縫いぐるみを抱えた腕に、力を込めた。
少し離れた場所から、保護者たちが目を細める。
泪
「なんだ小春、モテモテだな」
JS
「ふふ、今のところ、太郎くんが一歩リードしてるようですけどね」
翼
「楽しい思い出が出来たみたいで、良かったです」
その時。
どーん!
翼
「あ、花火始まったみたい」
泪
「金魚すくいしている間に、そんな時間になってたんだな」
翼
「あれ?」
腕時計を確かめ、顔を上げた二人の前から、JSの姿が消えていた。
泪
「……勝手なやつ」
翼
「……泪さん、他のみんなも、いつの間にかどこか行っちゃったみたいです」
翼に言われて辺りを見れば、確かに、兄弟たちも、空間も、きんきゅうとくめい捜査室のちびたちの姿も見えなくなっている。
泪
「……すっかり夜だもんな。俺たちも、花火が見える方に行こうか」
翼
「はい」
気付かないうちにまた繋がれていた手が、熱い。
泪
「……俺で、いいのか」
他の奴に、とっくに花火に誘われていたり、していないか?
翼は、ふるふると首を振った。
泪には言わないけれど、実は、何人かの男子に誘われた。
でも、断ったのだ。小春に託つけてだけど、本当は、花火を見るなら、泪と見たかったから。
そうか、と手を引かれて、川原の土手に移動する。
手拭いを敷いてくれた上に翼が腰を下ろすと、隣に座った泪が、いつかのように、肩を抱いてくれた。
周りには大勢の観客がいるし、花火の音も賑やかだ。
でも、翼には泪しか見えない。
花火の合間に、泪が、耳元に顔を寄せて来た。
翼
「?」
聞き逃さないように、翼は、耳を澄ます。
泪
「……お前は、出来たか?楽しい思い出、ってやつ……」
泪は、すくった金魚を全部、金魚屋に返してしまった。
だから、翼の手には、金魚の入った袋がない。
ちぇっ、と、泪が舌打ちした。
泪
「少し、残しておけばよかったな。そしたら俺も、小春みたいに言えたのに」
翼
「……小春みたいに?」
泪
「『お前、俺の金魚、世話してくれよ。同じ家の中にいるんだから、どっちが飼っても一緒だろ』ってさ」
子供のように唇を尖らせる泪の横顔を見て、翼は笑った。
翼
「『私がお世話するのは、泪さんだけで手一杯です』って言いますよ」
実際、泪は、手がかかる。
頭もいいし何でも上手なのに、自分の身の回りの事が何ひとつ出来ない。
朝、寝起きが悪いのを起こすところから始まって、食事も掃除も洗濯も買い物も一人では出来ない。
風呂など、着替えも出さずに入ってしまうので、タオル一枚の裸で出て来る有り様だ。
それでもまだましになった方で、以前はそのまま寝てしまう事もあったらしい。
泪は、その通りだ、という表情で首肯した。
泪
「じゃあ、お前にはこれからもずっと、俺のお世話を頼む」
翼の肩を抱き寄せながら、泪が笑った。
翼
「……ずっと……?」
泪
「ああ。ずっと、ずーっとだ」
泪が、小指を差し出す。
懐かしい仕草に微笑みながら、翼は、泪と約束の指を絡めた。
他のカップルの行方は……?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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08/30(Sun) 10:58
祭りの夜
小春
ボチボチ進めていきますね。
小春
「お姉ちゃん、泪兄ちゃん!」
家路を急ぐ人々で混雑する祭り会場の出口で、翼たちを見つけた小春が手を振っていた。
すぐ側に、大きな金魚を抱えた太郎がいるのでよく目立つ。
翼と泪は、人波を縫って、二人の元に小走りで辿り着いた。
翼
「太郎くん、小春を見ててくれてありがとう」
太郎
「僕、小春さんのナイトですから」
はにかむ太郎の頭を、泪が撫でる。
泪
「他のちびたちは?」
太郎
「とも父さんとともさんが、『全員家まで送り届けたるから任せとき!』と言って、みんな引き連れて行きました。
金魚すくいですくった金魚を、めいめいの家に少しずつプレゼントするついでだから、って。
誠臣さんと、諒さんと公平さんも一緒に」
あれだけの人数を考えたらさすがに申し訳ない気がしたが、子供たちは豪快で明るいとも父にすっかりなついていたし、ともも面倒見がいい。
藤守家としては、心配なのは小中学生と諒までだから、誠臣がついているなら大丈夫だろう。
慶史、賢史は放っておいても問題ないし、逆に、葵に至っては、帰って来るかどうかも分からないから、ある意味心配無用だ。
泪
「じゃあ、帰りましょうか」
オカマ口調に戻った泪が、翼を振り返った。
翼と手を繋いだ小春が、太郎の説明を聞きながら、立ったままで、もう、うとうとし始めている。
翼
「太郎くん、私がその金魚の縫いぐるみ、持とうか?」
翼に言われて、太郎はきょとんとした顔をしてから、あはは、と笑って首を横に振った。
太郎
「僕が小春さんからもらった金魚です。大事に抱えて帰りますよ。だいいち、翼さんは、手が塞がってるじゃないですか」
翼
「え?あ!」
太郎に指摘されて、翼は真っ赤になった。
たしかに、翼の片手はずっと泪と繋いだままだったし、もう一方の手は、こっくりこっくりと舟を漕ぐ小春が握り締めている。
翼
「え、ええと」
太郎
「じゃあ、帰りましょうか」
泪の口真似をしながら、太郎が訳知り顔で笑った。
藤守家に帰った翼は、半分寝ている小春のお尻を押してシャワーを浴びさせてから、自分も一緒に入浴を済ませた。
小春を着替えさせ、泪の手を借りて太郎との相部屋に運んだ後で、自分も髪を乾かして部屋に行き、ベッドに横になる。
翼
「はあ……」
小春のおかげでくたくただ。
しばらくすると、隣の部屋の扉が開く音がした。
入浴を終えて、泪が帰って来たのだろう。
翼の寝ているベッドの横の壁越しに、きし、という微かな振動が伝わってきた。
壁の向こうにはすぐ、泪のベッドが置かれているのだ。
とん、とん、と壁が叩かれた。
指先で叩いているのだろう、柔らかくて、優しい音。
これは、泪からの合図。
引っ越したばかりで不安だった頃から泪が続けてくれている、「ここにいるよ」というメッセージだ。
最初はいつも、二回。
とん、とん、というその音が、翼には、「る・い」と聴こえる。
壁越しに会話をした後なら「お・や・す・み」だったり、深夜の帰宅なら遠慮がちな「た・だ・い・ま」だったり。
最初はどきどきしたけれど、今はその音を聴くと、安心して眠れるようになった。
隣に、泪がいる。そう思ったら、疲れも手伝って、たちまち瞼が落ちてくる。
翼
「今日はありがとう、泪さん……」
おやすみなさい、と七回、こちらから音を送る。
翼はそのまま、眠りに落ちていった。
泪
「(……寝ちまったか)」
ごろり、と寝返りを打ちながら、泪はさっきの事を思い出す。
『お前にはこれからもずっと、俺のお世話を頼む』
泪
「(……伝わったかな。……伝わってねえだろうなあ……)」
顔が熱くなってきて、もう一度、寝返りを打つ。
泪
「(……翼……)」
とん、とん、とん。
泪
「(……本気なんだけどな)」
とん、とん、とん、とん、とん。
隣からは、何も返ってこない。
翼は眠ったのだろう、泪はホッと安堵の息を吐いた。
と同時に、
泪
「(って、いまどきドリ○ムかよ!……恥ずかし過ぎる、俺)」
泪は翼を起こさないよう細心の注意を払いながら、顔を手で覆って、部屋の床を転げ回った。
もー。
泪さんたらこっちが恥ずかしい////←
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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09/01(Tue) 09:21
おはようございます( ´ ▽ ` )ノ
とも
細心の注意を払って床を転げ回るって、泪さんどんだけカワイイんだ\(//∇//)
るい
「今日は送ってくれてありがとう! おっちゃん、今度金魚すくいのコツ教えてくれよな!」
とも父
「おう、他の友達も連れてこい、バッチリ教えたるわ!」
小学生組の最後の1人を送り届け、とも親子と誠臣、諒、公平は来た道を引き返していた。 諒にいたっては眠い眼をこすりこすり、公平ととも父に両手をひっぱってもらいながらなんとか歩いている。
公平
「ホラ諒兄さん、しっかり歩いてよ~。家はもうすぐだから。がんばって~」
諒
「zzz…」
とも父
「半分寝ながら歩けるなんて器用やな~」
とも父はニコニコしながらそのやりとりを見ていたが、ふと前を歩いている自分の娘の方に視線をやった。
ともは誠臣と楽しそうに話しているが、友達とか先輩と話すそれとは違うということくらいは勘のいいとも父には簡単にわかった。
とも父
「(なんやかんや言うても、もう中3になったんや、あんな顔もするようになったんやな。…それにしても)」
小さい頃から自分の元で柔道をやってきたともと同い年の公平はどうなんだろうか。このまま娘の恋が成就するのもいいが、何か一波乱を期待してしまうとも父であった。
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09/01(Tue) 09:32
ともさんありがとうございます(´ 3`)ちゅー
小春
とも父の最後の一文に噴いた(笑)