『アブナイ☆恋の捜査室feat.小春日和』
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01/19(Mon) 11:38
告白
ジュン
今の捜査室は大混乱。
穂積はロバートとポールに抱きつかれ、明智に迫られている。
如月は藤守を、藤守は小笠原を、小笠原は小野瀬を追いかけている。
なんとか、理性の残っている小野瀬が皆を落ち着かせようとしていた。
藤守兄
「と、とにかく、皆を引き剥がすぞ。ジュンは愚弟と解毒剤を持って別室に行け。」
ジュン
「は、はい。」
アニに言われるがままジュンは解毒剤を手に取った。そして、藤守の腕をつかむとそのまま引き摺って部屋を出ていく。
藤守
「小笠原~」
とも
「ジュンさん、意外とパワフルやな。」
藤守を引き摺りジュンは空いている小会議室に入り、鍵を閉めた。
そして口に解毒剤を含むと藤守にキスをした。
藤守
「……ジュン?」
正気に戻った藤守がジュンを呼ぶが、ジュンは顔を背け藤守を見ようとはしなかった。
藤守
「ジュン、俺、また迷惑かけてごめんな……」
ジュンは首をフルフルと振るだけ。
藤守
「ジュン?なんでこっち向いてくれんの?」
その問いにジュンが掠れた声で答えた。
ジュン
「賢史くんは何も悪くないの。……ただ、こんな事務的なキスばかり、すごく寂しいなって……」
ジュンは唇を噛んで泣くのを耐えているように見えた。
藤守はそっとジュンを抱き締めた。
藤守
「俺はジュンのことが好きやで。ジュンは?」
ジュン
「……私も賢史くんのことが好きです。」
藤守はぎゅっと力を入れてジュンを抱き締める。そして力を緩めてジュンにキスをした。
何度も何度も角度を変えて啄むようなキスを繰り返す。
ジュン
「んっ、ん……け、賢史く……ん。」
ジュンは藤守の胸元を掴んで藤守のキスに答えていた。
藤守
「ジュン、好きや……もっとしてもいいか?俺の意思で……」
藤守がジュンの顔を覗き込むと、やっとジュンが微笑んだ。
それを合図に藤守はキスを繰り返し、少しずつ深く、激しくしていった。
あまりの激しさにジュンが藤守の胸を叩くと藤守は唇を離し、テーブルにジュンをそっと押し倒した。
ジュン
「ん、はぁ、賢史くん……」
荒い息を吐きながらジュンが藤守を見つめる。
その瞳は熱を帯びていて藤守はジュンの首筋に顔を埋めた。
首筋に唇を這わし、耳朶を甘噛みするとジュンから甘い声が洩れる。
ドンドンドン!
アニ
「ジュン!愚弟!早くこっちを手伝え!」
アニの声に二人は一瞬固まり、藤守が一気に脱力した。
藤守
「なんやねん、兄貴……空気読めや……」
ジュン
「///」
藤守が、優しくジュンの体を起こす。
藤守
「ジュン、この事が片付いたらデートしませんか?」
ジュン
「デート?」
藤守
「こんな時になんやけど、俺と付き合ってください。」
頭を下げる藤守にジュンは満面の笑顔を見せた。
ジュン
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
二人で顔を見合わせて微笑み合う。
その間も外ではアニが何やら叫んでいる。
藤守
「続きはその時にな。」
再びイイオモイさせていただきました(*≧∀≦*)
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/20(Tue) 21:33
私も~(*≧▽≦)ノシ))
とも
篠崎に扮したエミを取り逃がしてしまい、悔しい気持ちのともだったが、捜査室の惨状を目の当たりにし、すぐに頭を切り替えて事態の収拾にかかる。
泉を追いかけていた翼をアニがヒョイと捕まえ、ソファーに座らせたところで、ともが先ほどエミに使った笑気麻酔のカップをすばやく口に当てて眠らせた。
泉
「すみません、助かりました…」
アニ
「あぁ、これでこの場にいる女共は大丈夫だな。 櫻井は後で穂積が解毒剤を飲ませるとして、問題はアレなんだが…」
アニの視線の先には逃げ惑う穂積と小野瀬の姿があった。
とも
「………私が行きます」
ともがそう告げると、テーブルにあった解毒剤の瓶を持って、まっすぐ向かったのはロバート、ポールと共に穂積に迫る
明智のところだった。
小野瀬
「白川さん⁈ ダメだ、危ない!」
ともの行動に気づいた小野瀬が止めようとした次の瞬間にそれは起こった。
穂積に夢中でともに気づいていない明智の背後にまわると、スーツの後ろ襟を掴んで思いっきり引っ張った。
明智
「うぉっ⁈」
驚いてバランスを崩しかけ、咄嗟に体勢を戻そうとしたところへともが更に足払いをかけてひっくり返してしまう。
ドターン、と派手な音を立てて倒れた明智は自分の身に何が起こったのかわからずポカンとしたままで、ともはそんな明智の傍に近づき膝まづいた。
とも
「ごめんなさい、明智さん、まさかこんなにキレイにひっくり返るなんて思てへんかったから私もビックリしましたわ。どっか痛いところはありませんか?」
そう言って持っていた解毒剤を口に含み、起き上がりかけた明智の頬に両手を添えてキスをするように口移しでそれを飲ませた。
明智の喉がコクリと鳴ってともの唇が離れていくと、すっかり正気に戻った明智の目の前にいるともの顔は真っ赤で俯いていた。
明智
「…白川? …すまなかったな。お前のおかげで元に戻れたようだ」
ともの肩に手をおいて、明智は自分の胸にそっと引き寄せて、ともに聞こえるように耳元で囁いた。
とも
「…よかった…。穂積室長はキレイやから、あんなに真剣に迫ってるの見てちょっとジェラシーやったんですよ~。 次からは男の人やなくて、私の事を追いかけてくださいね?」
明智の腕の中で照れ隠しにそう返して見上げると、
明智
「ハハッ、そうだな。 言っておくが、俺からは逃げられないから、しっかり覚悟しとけよ?」
明智はそう言ってともの額に優しくキスを落とした。
ぷは~、明智さんに「なんとでも」って言わせたかったのに無理でしたorz
さぁ次は誰かな~のパース( ´ ▽ ` )ノ⌒◯
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02/03(Tue) 22:09
小春
ひとりひとりに解毒剤を飲ませる作業が続くと、正気に戻ったメンバーが増えてくる。
そこで、今度は数人がかりで、媚薬に浮かされた人間を押さえつける作業が本格化した。
穂積
「明智、如月、行け!」
明智、如月
「了解!」
二人の柔道有段者が飛び掛かったのは、小野瀬を追い掛けていた、ポール。
ポール
「きゃあっ!」
可愛らしい悲鳴とは裏腹に、2メートルを超す巨体が揺れる。
アニ
「……野生の王国だな」
アニの脳裏には、巨大な一頭のバッファローに、数頭で襲い掛かるライオンの姿が思い浮かんでていた。
実際は、もちろん、抵抗するポールの大きな身体を、明智と如月が二人がかりで押さえ込もうとしているだけなのだが。
ついに、ポールの両手に手錠がかかった。
ポール
「いやあん、アオイ!」
すかさず藤守兄弟が駆け寄って、今度は、ロープで、ポールの足首を縛り上げた。
セイウチのように床でのたうち回るポールを、男たちは4人で担ぎ上げると、一目散に走り出した。
ポールを解毒するという勇者は現れなかったので、このまま、薬の効き目が切れるまで、留置場に放り込んでおくためだ。
続いては、穂積を追い掛けているロバートだった。
小野瀬
「ロバート!」
ロバートが声に振り向くのを待って、小野瀬が、着ていたシャツの前をはだけた。
ロバートの目がキラリと輝き、一瞬足が止まる。
その瞬間に、穂積の身体が沈んだ。
小野瀬に気をとられたロバートは、次の一瞬には、穂積に足払いをかけられて、派手に尻餅をついていた。
穂積は自分のネクタイを引き抜いて、ロバートを後ろ手に縛り上げる。
小野瀬が、鑑識に使う黄色い規制テープで、ロバートをぐるぐる巻きにした。
ロバートが身悶えする。
ロバート
『ルイ、アオイ!ワタシの自由を奪ったりして、どういうつもり?もしかして、さんピ』
穂積
『どうもしねーよ!』
明智たちが戻ってくるのを待って、ロバートも留置場へ。
その間に、部屋の中はせつなやともたちの手によって、熱湯で無毒化が行われた。
「はー……」
「やれやれ……」
ジュン
「これで、ひとまず媚薬騒ぎはおさまったみたいですね」
泉
「あのう」
部屋の隅でじっとしていた泉が、そっと手を挙げた。
泉
「翼さんが、まだ」
全員の視線が、泉のすぐ傍らで、さっき笑気麻酔を嗅がされ、眠らされたままだった、翼に向けられた。
全員
「……」
次いで、その視線が、一斉に穂積を見る。
ジュン
「さ、さーて!では、俺は、ひとまず検察庁に戻るかな。ジュン!」
ジュン
「は、はい。そうですね!」
アニの意図を察し、そそくさと身支度を整えるジュン。
せつな
「ワタクシも、一課に戻りますわ。一刻も早く、事件を終わらせないと!」
桐子も泉も、それから紅花も、自分の部署に帰ると言い出した。
とも
「ほな、小野瀬さん。ひとまずうちらも」
小野瀬
「えー?俺は、あの二人の成り行きを見届けたいんだけどな……」
とも
「野暮な事は言いっこなしですよ」
小野瀬
「ちぇっ」
こうして小野瀬やともも出て行き、部屋の中には、穂積と翼だけになった。
穂積
「……」
穂積は、眠っている翼を見つめた。
それからおもむろに、麻酔の吸入器を外す。
翼が目を開くより早く、穂積は、翼の唇を、自分の唇で塞いだ。
翼
「……ん、っ……」
舌を絡め、角度を変えながら、髪に指を埋め、引き寄せて深く激しいキスを続ける。
翼の顔が紅潮してきて、さすがに苦しそうに首を横に振ったところで、ようやく、穂積の唇が離れた。
穂積
「俺以外のものが見えるか?」
まだ朦朧としているような表情だった翼が、穂積の言葉に首を振る。
翼
「……室長しか……見えません」
穂積
「それでいい」
穂積は、翼が初めて見るような優しい眼差しで、微笑んだ。
穂積
「お前は俺だけを見ていればいい」
翼
「はい」
穂積
「俺は、言ったな。媚薬なんか関係ない。何があろうと、俺が好きなのはお前だと」
翼
「覚えています」
穂積が翼を抱き締める。
翼
「でも……もう一度、言ってください」
穂積の腕の中で、翼は、甘えるように微笑んだ。
いよいよ大団円です。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒◯
02/04(Wed) 12:08
おっと
小春
~エピローグ~
小春
「こんにちはー、『さくら庵』です!お昼の出前に伺いました!」
数週間後。
警視庁には今日も、小春の元気な声が響いていた。
藤守
「おっ、来た来た!小春、焼き肉定食は俺やで!」
如月
「カルボナーラは俺!」
小笠原
「湯豆腐は俺」
ワイワイ言いながら小春の配膳を手伝うメンバーと、いつものようにニコニコしている小春を見ながら、穂積は目を細めた。
媚薬を「好春さん」に渡しました、どこかへ行ってしまいました、と報告に来た時の、涙を堪えていた小春はもういない。
小春
「はい、穂積室長にはとんこつラーメンとカニチャーハンです」
穂積
「ありがと。……その後、どう?」
穂積に囁かれて、小春は微笑んだ。
小春の首には、最近着けるようになったペンダントの鎖が見える。
その鎖には恋人からもらった龍の指輪が通され、小春の胸元にしまわれているのだと、穂積は知っている。
小春
「ニューギニアから手紙が来ました」
穂積
「ニューギニア?!先週はイタリアだったじゃないの」
小春
「今度はアラスカに行くそうです」
穂積
「厄介な恋人ねえ」
小春
「自分でも言ってましたけど、日本語が苦手みたいで。ひらがなやカタカナも間違いだらけなんです。でも、お手紙をもらえると、私、嬉しくて」
小春は頬を染めて、本当に嬉しそうに微笑む。
穂積は、そんな小春の頭を優しく撫でた。
みんなも進展したかな?
改めて、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒◯
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02/05(Thu) 15:44
またもやイイオモイ
ジュン
騒ぎから数週間後の仕事終わり、藤守はジュンと待ち合わせをしていた。
藤守
「悪い!待ったか?」
「ううん」と首を振るジュン。
二人はあれから小まめに連絡を取りあい逢瀬を重ねていた。
食事を一緒にし、夜の公園を散歩する。
藤守
「あ、あの、ジュン?」
ジュン
「なぁに?」
藤守
「……」
黙ってしまう藤守にジュンは首を傾げる。
藤守
「きょ、今日は泊まっていきませんか?」
明後日の方を向き、頭をかきながら藤守は顔を真っ赤にする。
ジュン
「えっ?……え~っと、は、はい。」
ジュンからの承諾の言葉を聞き、満面の笑顔になる藤守。
そんな藤守が可愛くてジュンはクスッと笑った。
藤守
「笑うなや。」
そして二人は初めての甘い夜を過ごした。
ピリリ……ピリリ……
電話の着信音が響く。
まだ目が開かない藤守は手探りでスマホを手繰り寄せる。
藤守
「はい、藤守……」
???
「……」
藤守
「もしもし?藤守です。」
???
「……なぜ、お前がこの電話に出るのだ……」
藤守
「ああ、兄貴か。何やねん、朝っぱらから。」
アニ
「俺はジュンに電話したんじゃ!何でお前が出んねん!!」
アニの言葉に藤守はようやく間違ってジュンの電話に出てしまったことに気づいた。
そんな藤守の横でジュンも目を覚ます。
藤守
「いや、これは、その~……」
アニ
「貴様!愚弟のくせに兄の俺より先に……!覚えてろよ~!!」
二人の甘い朝はアニの絶叫によって終わったのだった。
再再度、イイオモイをさせていただきました。
みんなのエピローグはどうなるのかな?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
03/01(Sun) 06:53
とも父登場
小春
自販機が並ぶ休憩所近くの、刑事部の廊下。
二人の巨漢が、小柄な篠崎の前でしょげている。
ロバート
『ワタシたち、今回、騙されっぱなしだったわ……』
ポール
『結局JSもエミも捕まえられなかったし、全然お役に立てなかったわ……』
ロバート
『サヤカにも、ルイやアオイにも迷惑かけちゃったし』
篠崎
『仕方ないわよ。でも、容疑者逮捕に貢献してくれたじゃない。気にしないで』
もう何度も何度も繰り返してきた励ましの言葉を、篠崎は辛抱強く二人に繰り返す。
小野瀬
『そうだよ。俺も穂積も気にしてないって。だから、元気出して』
とも
『二人はなんにも悪くないんやから』
その時。
???
『ロバート!ポール!』
渋い声に呼ばれて、ロバートとポールが飛び上がった。
振り向いたそこには……
とも
「お父ん!」
ともが笑顔で手を振る。
そう。
ニューヨークにいるはずの、ロバートとポールの憧れのダンディ。
ともの父親が、人懐こい笑顔で手を振り返していた。
ロバート
『えっ?えっ!なんで?どうして?』
ポール
『まさか……』
とも父
『穂積いう人と、そこにいる娘から連絡をもろてな。二人を迎えに来たんや』
歓喜の叫びを上げるロバートとポール。
嬉しさのあまり跳び跳ねるものだから、刑事フロアが揺れた。
ロバート&ポール
『トモ!ありがとおっ!』
とも
『苦し、苦しいっ!』
小野瀬も篠崎も、安堵したように笑うだけ。
2メートルを超える巨大なアメリカ人男性二人からのハグは、とも父が笑いながら愛娘を助けるまで続いた…… 。
困った時のとも父。
まだイイオモイしてないお嬢様方、頑張って。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒◯
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03/05(Thu) 17:37
お久しぶりです( ´ ▽ ` )ノ
とも
とも
「ぷは、あー、苦しかった…。 ところで、おとん、こっちにはいつまでおれるん? 連絡したら『すぐ行くわ』って、ホンマにすぐやったからビックリしてんけど」
とも父
「ん? あぁ、ちょうど休みが溜まっとってな、2週間程取れたから、カミさんとお前の顔を見に帰ろう思て、ちょうどその日に発つところやったんや」
NYベアーズから解放され、久々の親子水いらずの会話をしているとも親子の様子を少し離れて見ていた小野瀬は、ふと穂積に目を向けた。
小野瀬
「なぁ穂積、お前は白河さんのお父さんとは面識あったのか? さっき挨拶したとき『お久しぶりです』って言ってたよな?」
穂積はやりとりを思い出したのか、あぁ、と小さく呟いて小野瀬と並んでとも親子の方を見ながら答えた。
穂積
「俺がアメリカ研修でNY市警にいる時に白河さんと会ってるんだ。 その時にいろいろと教えてもらったりして世話になった。 小野瀬のラボに配属されてきたのが白河さんの娘だったとは、俺も驚いたけどな」
それぞれが談笑していると、外周りから帰ってきた明智と藤守が刑事部のフロアに入ってきて、穂積たちの姿を見つけて駆け寄ってきた。
明智
「室長、ただいま戻りました。 捜査している荒川区の連続空き巣事件の件ですが、目撃者の情報が得られましたので明日そちらに向かおうと思います」
穂積
「わかったわ。ご苦労様」
藤守
「ロバートとポールがあっちでえらいキャーキャー騒いどるんですですけど…。 白河の隣の男性は誰ですか?」
明智も藤守の言葉にともの隣の男性の方を見る。
穂積
「彼はとものお父さまよ。 日本に帰省がてら、ロバートとポールを迎えに来てくださったの。 明智、後でご挨拶しておいた方がいいんじゃない?」
最後の方はニヤニヤしながら話す穂積だったが、明智の方は余程驚いたのか、あいた口が塞がらない。
すると視線に気づいたともがとも父を連れてこちらにやってきた。
とも
「明智さん、藤守くん、お疲れさま~。 今、外周りからの帰り? こっちは私の父。で、休暇とって日本に帰省してきてるねん」
藤守
「藤守いいます。 白河とは同期ですねん」
とも父
「おっ、君も関西人かいな~。 久しぶりに話すから楽しいな! …で、そっちの男前さんは?」
次は自分が自己紹介を…と思っていた明智は急にとも父に話をふられて、途端にしどろもどろになった。
明智
「じ、自分は明智と申します。 藤守と同じく穂積室長の下で捜査員をしています」
とも
「明智さんはスゴいねんで。 穂積室長の右腕で捜査室をまとめてはるし、柔道もめちゃ強いし。おとん、一回手合わせしてもろたらええんちゃう?」
とも父
「そうか、そら楽しみやな。 明智くんて言うたかな、いっぺん相手頼むわ。 …話もいろいろ聞きたいし、なぁ?」
ともの言葉と明智の態度に何か勘付いているのか、少し意味ありげな様子のとも父に明智の背中には冷や汗がたきのように流れていた。
まさか最後にとも父が登場するとは思ってなかったからビックリ( ̄◇ ̄;)
そろそろ終わりかな~のパース
( ´ ▽ ` )ノ⌒◯
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03/25(Wed) 06:15
桜の季節に
小春
季節は巡り、今は早春。
五分咲きの桜の下には、かつてジョンスミスとエミ、赤、青、紫の媚薬に振り回された「パーティー仲間」……あの夏の日のメンバー全員が集まって、盛大な宴会が始まろうとしていた。
重箱の花見弁当を用意したのは、もちろん明智。
それから、小春と澪の「さくら庵」凸凹コンビ。
飲み物はもちろん、キッチンカーまで準備して、どんな料理のリクエストにも応えられる態勢を整えている。
空間や篠崎、ロバートやポールといったまだ到着しないメンバーもいるが、花見は予定通りに開会した。
如月
「うま!明智さん、これ美味い!」
明智
「そうか、こっちも味見してくれ」
藤守
「小春、ラーメンにチャーシュー山盛り入れてな」
小春
「はーい」
ジュン
「賢史くん、最初からチャーシューメンなんて食べて大丈夫?」
アニ
「放っておけ、ジュン。その阿呆に効く薬は無い」
穂積
「櫻井、小野瀬と烏龍茶で乾杯なんかしてなくていいから、こっちにお酌しなさい」
澪
「あ、小野瀬さんには私がお注ぎします」
小野瀬
「ありがとう」
桐子
「では、穂積室長には私からも」
穂積
「あら、悪いわね」
明智
「と……白河、これ自信作なんだが」
とも
「美味しーい」
アニ
「……ふん」
泉
「藤守検察官には私がお酌してあげますよ」
小笠原
「……(紅花を見てる)」
紅花
「……(小笠原を見てる)」
最初の時から今日までの間に、それぞれの関係は、様々に変化していた。
交際して関係を深めた者たち、相変わらずな者たち、少しずつ距離を縮めている者たち……
それぞれの変化を微笑ましく眺めつつ、メンバーにせがまれてマンゴーを切り分けながら、小春は少しだけ、寂しさを感じていた。
あの日別れて以来、小春は、マンゴーが好きなあの人に、会えていない。
彼からは、行く先々で書いてくれるのだろう手紙や絵葉書が、十日と空けずに届いた。
その事はとても嬉しい半面、世界じゅうを飛び回っている彼を、だんだんと遠く感じるようになっていた。
自分とは住む世界が違う人、なのかも。
そうは思っても、不器用な小春には、一度好きになった人を嫌いになることも、忘れることも出来ない。
帰ってくる、と言ったあの声を、疑う事が出来ない。
会いたい。
あの人が大好きな桜を、一緒に見たい。
花を肴に盛り上がる一同を笑顔で眺めながら、小春は胸のうちで、好春さん、とその人の名を呼んでいた。
全員、花見に集まれるのか?
大段円は近いぞ!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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03/26(Thu) 21:26
そしてだんだんいなくなる
小春
清香
「遅くなってごめんなさい」
駅の方から駆け付けてきたのは、篠崎。
清香
「お招きありがとう。これ、ちょっと贅沢なビール。……走って来たから、急に開けると噴くかも」
藤守
「うひゃあ!」
ジュン
「きゃあっ!」
言ってるそばからプルタブを引いてしまい、頭からビールをかぶってしまう藤守、そして巻き添えを食ったジュン。
清香
「あっ!ごめんなさい!」
アニ
「気にするな篠崎。こいつは小さい頃から人の話をよく聞かない、そして、我慢の出来ない意地汚いやつだった」
泉
「藤守さん、ジュンさん、少し遠いですけど、あの公園の中に水道がありますよ」
聞こえよがしな泉の声に、藤守と、キッチンカーから絞ったタオルを手に飛び出しかけていた、小春の動きが停まる。
藤守
「あ、そ、そうか」
さらにダメ押しの泉の秘密の目配せで、小春は静かに後退りしてゆき、藤守はジュンの手を引いた。
藤守
「ジュン、ごめんやで。服が染みになってもうたらあかんから、あっこで軽く洗とこ。ハンカチ濡らすさかい、ついて来てや」
ジュン
「う、うん」
わざとらしい会話をしつつ早足で遠ざかってゆく二人を見送りながら、アニが鼻を鳴らした。
アニ
「ふん、余計なおせっかいだな。あの二人なら、とっくにカップル成立しているというのに……」
と言いながら、何の打算もなく素のままで同じビールの缶を開けかけたアニの手を、泉が慌ててぴしゃりと止めた。
泉
「噴くから開けないでください」
それから泉は、にっこり笑った。
泉
「開ける前に、向こうに行きましょう。みんながいない所でなら、少々暴発しちゃっても迷惑かけませんから」
う、と返答に詰まるアニと、アニの手を引いて立ち上がる泉を、少し離れた席から、ともが笑顔で見つめている。
とも
「相変わらずやなあ。藤守くんのお兄さん、絶対、泉さんの尻に敷かれるタイプやわ」
ね?と相槌を求めようとして横を向いた途端、ともは、隣に明智と、まともに目が合ってしまった。
とも
「明智さん?」
明智
「白河……」
とも
「……はい」
真顔で自分の名を呼ぶ明智の目が据わっているように見えるのは、ともの気のせいか、それとも酔っているせいか。
明智
「……俺たちも、少し歩こうか。向こうの、なんとなく薄暗い方とか」
とも
「はぁ」
返事をしてから、明智の顔が真っ赤になった事に気付いて、ともは笑ってしまう。
わざわざ言わなくても、明智が無言で立ち上がれば、自分は黙ってついて行くのに。
とも
「もちろん、ええですよ」
明智さんムッツリ発動。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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03/27(Fri) 11:00
公園で
ジュン
早足の藤守に連れられ公園内の水道にたどり着く。
藤守
「ごめんやで?ジュン。これで汚れたとこ拭き?」
ジュン
「ありがとう。」
濡らしたハンカチを素直に受け取り、服を拭こうとしたとき、藤守がいきなり水道に頭を突っ込んだ。
ジュン
「け、賢史くん!何してるの!?」
バシャバシャと頭を洗い、犬のように首を振って水滴を飛ばす藤守。
藤守
「頭からビール被ってもうたんやで?洗わなベタベタするやん?」
ジュン
「それでも……私、ミニタオル持ってるから早く拭いて。」
ジュンが鞄からミニタオルを取りだし藤守に渡す。
藤守
「おう、ありがとな。」
お互いに汚れたところを拭きながら、顔を見合わせて笑い合う。
夏のあの時から二人の距離は確実に縮まっていた。
藤守
「なあ?最近、お互い忙しくて会えてなかったやん?」
藤守が少し赤い顔をしながら話し始める。
ジュン
「前のデートから、まだ2週間経ってないよ?」
藤守
「そ、そうやけども!」
なにやら焦りを見せる藤守にジュンは首を傾げる。
藤守
「ジュンを充電させて?」
辺りを見回し、人がいないことを確認すると、藤守はジュンを抱き締めた。
優しいキスがジュンに落ちてくる。
藤守
「ずっと一緒にいような。」
キスの合間に呟かれた藤守の言葉に、ジュンは笑顔で頷いた。
なんか私、自分ばっかりイイオモイしてるなぁ。
まあ、いいか(^^;
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
04/03(Fri) 10:11
桜が咲いているうちに
小春
日暮れを前に、藤守兄弟がビールを口実にそれぞれの交際相手と消え、宵闇に紛れるようにして、明智とともも散歩に行った。
大勢で楽しむ桜もいいけど、恋人と眺める桜もまた、格別なのだろう。
小春
「……」
並木道に沿って点々と設えられていた提灯型の電灯の明かりが不意に灯り始めて、小春は桜を見上げた。
花見の場所は、夜桜の宴へと趣を変える。
澪
「小春さん、一段落しましたし、休憩してきてください」
隣に立って、一緒に洗い物や調理をしていた澪に声を掛けられて、小春は、自分がぼんやりしていた事に気付いた。
小春
「うん、ありがとう。大丈夫だから、澪さんこそ休んで」
澪
「みんなが戻ってきたら、また忙しくなります。今のうちに、夜桜の写真、撮ってきてあげてください」
小春
「写真……」
それは、小春が『好春』と呼ぶ山田太郎ことジョン・スミスが、一番新しい手紙で小春あてに依頼してきた約束。
《よざくらをみたとき、ぼくをおもいだしたら、写真を撮っておいてください》
澪に急かされるまでもなく、写真ならもう撮った。
何枚も、何枚も。
まだ蕾のうちから、行く先々で、桜の木を見つけるたびに、小春は毎晩、デジカメのシャッターを切った。
澪に、手紙の内容を話した事は無い。
けれど、勘の良い澪は、小春が慣れないカメラを手に毎晩桜の写真を撮っていたのを、きっと誰かの為だと見抜いているのだろう。
自分の単純さを少し恥ずかしく思いながら、小春は辺りを見た。
紅花の膝枕で、小笠原が寝ている。
その小笠原を話題にしながら、如月が紅花と談笑していた。
穂積は両手に花とでもいうように、両脇に桐子と翼をおいて、日本酒の盃を手にのんびり桜を見上げている。
小野瀬の隣には篠崎、反対側には、先ほど遅れて到着した野崎と、その野崎に引っ張られて来た空間セツナ。
空間の想いは小野瀬に知られているところだというのに、空間の態度はいつまでもぎこちない。
篠崎も野崎も苦笑いだが、小野瀬が空間に向ける眼差しは優しい。
みんな、それぞれに満ち足りた時間をすごしているようだ。
シートの上には、明智と、さくら庵とが提供した色とりどりの花見弁当がまだ充分に残っている。
小春は後を任せて、澪の好意に甘える事にした。
ふらりと歩き出したところで、小春はうっすらと肌寒さを感じた。
さっきまで皿を洗ったり調理をしていて汗ばむほどだったから、気付かなかったのだろう。
それでも、並木になっている桜を見比べて、少しでも枝振りの良いのをもう少しもう少しと探してゆく。
どれも五分から六分咲きだが、ようやく、これは、という枝が見つかった。
昼間の陽当たりがいいのか、一際大きな木だからか。
カメラを構えて桜を見上げ、小春は、特に花付きの良い枝を被写体に選んだ。
《よざくらをみたとき、ぼくをおもいだしたら、写真を撮っておいてください》
(思い出してます)
小春は、声に出さずに、呟いていた。
(忘れた日なんてありません)
シャッターを押し、数歩移動して、またシャッターを押す。
これで最後にしよう、と思いながら一歩下がった所で、とん、と、背中が壁に当たった。
(……壁?)
同時にふわり、と、温かい腕に包まれた。
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04/03(Fri) 10:13
小春
長い黒髪が、小春の顔を撫でる。
???
「美しいお嬢さんが一人でいたら必ず声を掛けるよう、亡くなった祖父に言われてまして」
懐かしい声。
けれど、その声が紡いだ言葉は、彼の常套句だと知っていても、今の小春には残酷だった。
「……」
固まっている小春に、声の主も自分の失言に気付いたようだ。
一旦腕をほどいて小春の正面に回り込み、改めて声を掛けようと小柄な身体に合わせて屈んだ弾みに、小春の手からカメラが落ちた。
「……」
小春の様子を窺いながらカメラを拾い上げ、手にしたそれの外見に損傷が無いのを見てから、撮影された画像を確認する。
「……!」
そこに写っているのは、全て、桜だった。
まだ固い蕾のうちから撮影された、何十枚もの、夜桜。
紛れもなくそれは、自分が、一人旅の退屈を紛らすために書き送った一通の手紙に対する、この少女の返事だった。
JS
「小春さん」
小春は返事をしない。出来ない。
声を出したら泣き出しそうだから、どうにかして感情の波を抑え込もうとしているのだ。
JS
「すみません。デリカシーが無さすぎでした」
こんなにも自分を待っていた恋人に、誰にでも使う言葉をかけるなど。
JS
「写真をありがとうございました。伝わりました」
それはあまりにも分かりやすい愛情表現で。
JS
「あなたに会いたかった」
ようやく、小春が、こくんと頷いた。
そのまま、胸に頭を押しつけるようにして、控え目に抱きついてくる。
小春
「……はおちゅんさん」
好春、と呼ばれるのがくすぐったい。
もちろん偽名だけれど、その名前には、自分が彼女に好意を持ったという意味が含まれている。
だからこそ小春も、騒動の中でJSの名を知った今も、二人だけの時にはその名で自分を呼ぶのだろう。
JS
「もう、しません」
小春
「……?」
JSの呟きに、小春が顔を上げた。
JS
「一人でいる美しい女性を見かけても、声をかけたりしません」
小春
「……」
真顔で告げたJSに、小春は、何を言い出すのか、という風に噴き出した。
そうして、すぐに首を横に振る。
小春
「お祖父さんの遺言は守らなくちゃいけません」
JS
「ですが」
小春
「私の心配なんかしないで、今まで通り、自由に生きてください」
感情の波がおさまってきたらしく、小春がいつもの穏やかな笑顔を浮かべる。
小春
「会えて、嬉しかった。会いたかった、って言ってもらえて、抱き締めてもらえて、嬉しかった」
JS
「小春さん?」
小春
「写真なんかじゃなくて、本物の夜桜を見てもらえて、嬉しかった」
JS
「小春さん」
小春
「だから、私、それだけで、もう」
JSの手が、小春の口を塞いだ。
JS
「……確かに僕は、自由に生きてきました」
その手を緩めて、JSが小春を見つめる。
JS
「ですが、今まで通りなんて、無理です。この僕は、あなたに恋してしまったんですから」
JSがもう一度ゆっくりと、小春を抱き寄せた。
JS
「あなたは僕の特別な宝物です」
小春の手が、温もりを求めるように伸ばされて、JSの抱擁にそっと応えた。
JS
「愛しています」
腕の中に戻った小春の温もりに、小さな頭を撫でながら、JSが微笑む。
JS
「毎年、一緒に桜を見てください」
小春が頷いた。
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04/03(Fri) 10:15
エンディング
小春
???
「エミさん、結局、媚薬って何なんですかね」
エミ
「ほんとうの恋には不要なもの、ってところかしら。冬子さんにも、いつか分かるわよ」
冬子
「なんか格好いい!」
小春の留守を守るキッチンカーの座席を陣取り、先ほどから二人で盛り上がっているのは、『さくら庵』の常連、冬子と、謎の女のはずの、エミ。
キッチンの中では澪が、二人に酌をしたりおつまみを作ったりと忙しい。
エミ
「ま、媚薬に関しては、室長と小野瀬さんに楽しませていただいたから、もう良しとするわ」
レジャーシートで花見を続けている美青年たちを遠目に見ながら思い出し笑いをするエミ。
エミ
「媚薬や手練手管が全く通用しない小春さんに堕ちてしまった、太郎さんに免じてね」
冬子
「?どういう事ですか?」
今までの成り行きを知らないで定食を頬張る冬子に、エミは笑って話し始めた。
「メフィストフェレスの媚薬」に始まる、長い長い数日間の物語を。
~終わり~
告白
ジュン
今の捜査室は大混乱。
穂積はロバートとポールに抱きつかれ、明智に迫られている。
如月は藤守を、藤守は小笠原を、小笠原は小野瀬を追いかけている。
なんとか、理性の残っている小野瀬が皆を落ち着かせようとしていた。
藤守兄
「と、とにかく、皆を引き剥がすぞ。ジュンは愚弟と解毒剤を持って別室に行け。」
ジュン
「は、はい。」
アニに言われるがままジュンは解毒剤を手に取った。そして、藤守の腕をつかむとそのまま引き摺って部屋を出ていく。
藤守
「小笠原~」
とも
「ジュンさん、意外とパワフルやな。」
藤守を引き摺りジュンは空いている小会議室に入り、鍵を閉めた。
そして口に解毒剤を含むと藤守にキスをした。
藤守
「……ジュン?」
正気に戻った藤守がジュンを呼ぶが、ジュンは顔を背け藤守を見ようとはしなかった。
藤守
「ジュン、俺、また迷惑かけてごめんな……」
ジュンは首をフルフルと振るだけ。
藤守
「ジュン?なんでこっち向いてくれんの?」
その問いにジュンが掠れた声で答えた。
ジュン
「賢史くんは何も悪くないの。……ただ、こんな事務的なキスばかり、すごく寂しいなって……」
ジュンは唇を噛んで泣くのを耐えているように見えた。
藤守はそっとジュンを抱き締めた。
藤守
「俺はジュンのことが好きやで。ジュンは?」
ジュン
「……私も賢史くんのことが好きです。」
藤守はぎゅっと力を入れてジュンを抱き締める。そして力を緩めてジュンにキスをした。
何度も何度も角度を変えて啄むようなキスを繰り返す。
ジュン
「んっ、ん……け、賢史く……ん。」
ジュンは藤守の胸元を掴んで藤守のキスに答えていた。
藤守
「ジュン、好きや……もっとしてもいいか?俺の意思で……」
藤守がジュンの顔を覗き込むと、やっとジュンが微笑んだ。
それを合図に藤守はキスを繰り返し、少しずつ深く、激しくしていった。
あまりの激しさにジュンが藤守の胸を叩くと藤守は唇を離し、テーブルにジュンをそっと押し倒した。
ジュン
「ん、はぁ、賢史くん……」
荒い息を吐きながらジュンが藤守を見つめる。
その瞳は熱を帯びていて藤守はジュンの首筋に顔を埋めた。
首筋に唇を這わし、耳朶を甘噛みするとジュンから甘い声が洩れる。
ドンドンドン!
アニ
「ジュン!愚弟!早くこっちを手伝え!」
アニの声に二人は一瞬固まり、藤守が一気に脱力した。
藤守
「なんやねん、兄貴……空気読めや……」
ジュン
「///」
藤守が、優しくジュンの体を起こす。
藤守
「ジュン、この事が片付いたらデートしませんか?」
ジュン
「デート?」
藤守
「こんな時になんやけど、俺と付き合ってください。」
頭を下げる藤守にジュンは満面の笑顔を見せた。
ジュン
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
二人で顔を見合わせて微笑み合う。
その間も外ではアニが何やら叫んでいる。
藤守
「続きはその時にな。」
再びイイオモイさせていただきました(*≧∀≦*)
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
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01/20(Tue) 21:33
私も~(*≧▽≦)ノシ))
とも
篠崎に扮したエミを取り逃がしてしまい、悔しい気持ちのともだったが、捜査室の惨状を目の当たりにし、すぐに頭を切り替えて事態の収拾にかかる。
泉を追いかけていた翼をアニがヒョイと捕まえ、ソファーに座らせたところで、ともが先ほどエミに使った笑気麻酔のカップをすばやく口に当てて眠らせた。
泉
「すみません、助かりました…」
アニ
「あぁ、これでこの場にいる女共は大丈夫だな。 櫻井は後で穂積が解毒剤を飲ませるとして、問題はアレなんだが…」
アニの視線の先には逃げ惑う穂積と小野瀬の姿があった。
とも
「………私が行きます」
ともがそう告げると、テーブルにあった解毒剤の瓶を持って、まっすぐ向かったのはロバート、ポールと共に穂積に迫る
明智のところだった。
小野瀬
「白川さん⁈ ダメだ、危ない!」
ともの行動に気づいた小野瀬が止めようとした次の瞬間にそれは起こった。
穂積に夢中でともに気づいていない明智の背後にまわると、スーツの後ろ襟を掴んで思いっきり引っ張った。
明智
「うぉっ⁈」
驚いてバランスを崩しかけ、咄嗟に体勢を戻そうとしたところへともが更に足払いをかけてひっくり返してしまう。
ドターン、と派手な音を立てて倒れた明智は自分の身に何が起こったのかわからずポカンとしたままで、ともはそんな明智の傍に近づき膝まづいた。
とも
「ごめんなさい、明智さん、まさかこんなにキレイにひっくり返るなんて思てへんかったから私もビックリしましたわ。どっか痛いところはありませんか?」
そう言って持っていた解毒剤を口に含み、起き上がりかけた明智の頬に両手を添えてキスをするように口移しでそれを飲ませた。
明智の喉がコクリと鳴ってともの唇が離れていくと、すっかり正気に戻った明智の目の前にいるともの顔は真っ赤で俯いていた。
明智
「…白川? …すまなかったな。お前のおかげで元に戻れたようだ」
ともの肩に手をおいて、明智は自分の胸にそっと引き寄せて、ともに聞こえるように耳元で囁いた。
とも
「…よかった…。穂積室長はキレイやから、あんなに真剣に迫ってるの見てちょっとジェラシーやったんですよ~。 次からは男の人やなくて、私の事を追いかけてくださいね?」
明智の腕の中で照れ隠しにそう返して見上げると、
明智
「ハハッ、そうだな。 言っておくが、俺からは逃げられないから、しっかり覚悟しとけよ?」
明智はそう言ってともの額に優しくキスを落とした。
ぷは~、明智さんに「なんとでも」って言わせたかったのに無理でしたorz
さぁ次は誰かな~のパース( ´ ▽ ` )ノ⌒◯
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02/03(Tue) 22:09
小春
ひとりひとりに解毒剤を飲ませる作業が続くと、正気に戻ったメンバーが増えてくる。
そこで、今度は数人がかりで、媚薬に浮かされた人間を押さえつける作業が本格化した。
穂積
「明智、如月、行け!」
明智、如月
「了解!」
二人の柔道有段者が飛び掛かったのは、小野瀬を追い掛けていた、ポール。
ポール
「きゃあっ!」
可愛らしい悲鳴とは裏腹に、2メートルを超す巨体が揺れる。
アニ
「……野生の王国だな」
アニの脳裏には、巨大な一頭のバッファローに、数頭で襲い掛かるライオンの姿が思い浮かんでていた。
実際は、もちろん、抵抗するポールの大きな身体を、明智と如月が二人がかりで押さえ込もうとしているだけなのだが。
ついに、ポールの両手に手錠がかかった。
ポール
「いやあん、アオイ!」
すかさず藤守兄弟が駆け寄って、今度は、ロープで、ポールの足首を縛り上げた。
セイウチのように床でのたうち回るポールを、男たちは4人で担ぎ上げると、一目散に走り出した。
ポールを解毒するという勇者は現れなかったので、このまま、薬の効き目が切れるまで、留置場に放り込んでおくためだ。
続いては、穂積を追い掛けているロバートだった。
小野瀬
「ロバート!」
ロバートが声に振り向くのを待って、小野瀬が、着ていたシャツの前をはだけた。
ロバートの目がキラリと輝き、一瞬足が止まる。
その瞬間に、穂積の身体が沈んだ。
小野瀬に気をとられたロバートは、次の一瞬には、穂積に足払いをかけられて、派手に尻餅をついていた。
穂積は自分のネクタイを引き抜いて、ロバートを後ろ手に縛り上げる。
小野瀬が、鑑識に使う黄色い規制テープで、ロバートをぐるぐる巻きにした。
ロバートが身悶えする。
ロバート
『ルイ、アオイ!ワタシの自由を奪ったりして、どういうつもり?もしかして、さんピ』
穂積
『どうもしねーよ!』
明智たちが戻ってくるのを待って、ロバートも留置場へ。
その間に、部屋の中はせつなやともたちの手によって、熱湯で無毒化が行われた。
「はー……」
「やれやれ……」
ジュン
「これで、ひとまず媚薬騒ぎはおさまったみたいですね」
泉
「あのう」
部屋の隅でじっとしていた泉が、そっと手を挙げた。
泉
「翼さんが、まだ」
全員の視線が、泉のすぐ傍らで、さっき笑気麻酔を嗅がされ、眠らされたままだった、翼に向けられた。
全員
「……」
次いで、その視線が、一斉に穂積を見る。
ジュン
「さ、さーて!では、俺は、ひとまず検察庁に戻るかな。ジュン!」
ジュン
「は、はい。そうですね!」
アニの意図を察し、そそくさと身支度を整えるジュン。
せつな
「ワタクシも、一課に戻りますわ。一刻も早く、事件を終わらせないと!」
桐子も泉も、それから紅花も、自分の部署に帰ると言い出した。
とも
「ほな、小野瀬さん。ひとまずうちらも」
小野瀬
「えー?俺は、あの二人の成り行きを見届けたいんだけどな……」
とも
「野暮な事は言いっこなしですよ」
小野瀬
「ちぇっ」
こうして小野瀬やともも出て行き、部屋の中には、穂積と翼だけになった。
穂積
「……」
穂積は、眠っている翼を見つめた。
それからおもむろに、麻酔の吸入器を外す。
翼が目を開くより早く、穂積は、翼の唇を、自分の唇で塞いだ。
翼
「……ん、っ……」
舌を絡め、角度を変えながら、髪に指を埋め、引き寄せて深く激しいキスを続ける。
翼の顔が紅潮してきて、さすがに苦しそうに首を横に振ったところで、ようやく、穂積の唇が離れた。
穂積
「俺以外のものが見えるか?」
まだ朦朧としているような表情だった翼が、穂積の言葉に首を振る。
翼
「……室長しか……見えません」
穂積
「それでいい」
穂積は、翼が初めて見るような優しい眼差しで、微笑んだ。
穂積
「お前は俺だけを見ていればいい」
翼
「はい」
穂積
「俺は、言ったな。媚薬なんか関係ない。何があろうと、俺が好きなのはお前だと」
翼
「覚えています」
穂積が翼を抱き締める。
翼
「でも……もう一度、言ってください」
穂積の腕の中で、翼は、甘えるように微笑んだ。
いよいよ大団円です。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒◯
02/04(Wed) 12:08
おっと
小春
~エピローグ~
小春
「こんにちはー、『さくら庵』です!お昼の出前に伺いました!」
数週間後。
警視庁には今日も、小春の元気な声が響いていた。
藤守
「おっ、来た来た!小春、焼き肉定食は俺やで!」
如月
「カルボナーラは俺!」
小笠原
「湯豆腐は俺」
ワイワイ言いながら小春の配膳を手伝うメンバーと、いつものようにニコニコしている小春を見ながら、穂積は目を細めた。
媚薬を「好春さん」に渡しました、どこかへ行ってしまいました、と報告に来た時の、涙を堪えていた小春はもういない。
小春
「はい、穂積室長にはとんこつラーメンとカニチャーハンです」
穂積
「ありがと。……その後、どう?」
穂積に囁かれて、小春は微笑んだ。
小春の首には、最近着けるようになったペンダントの鎖が見える。
その鎖には恋人からもらった龍の指輪が通され、小春の胸元にしまわれているのだと、穂積は知っている。
小春
「ニューギニアから手紙が来ました」
穂積
「ニューギニア?!先週はイタリアだったじゃないの」
小春
「今度はアラスカに行くそうです」
穂積
「厄介な恋人ねえ」
小春
「自分でも言ってましたけど、日本語が苦手みたいで。ひらがなやカタカナも間違いだらけなんです。でも、お手紙をもらえると、私、嬉しくて」
小春は頬を染めて、本当に嬉しそうに微笑む。
穂積は、そんな小春の頭を優しく撫でた。
みんなも進展したかな?
改めて、パースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒◯
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02/05(Thu) 15:44
またもやイイオモイ
ジュン
騒ぎから数週間後の仕事終わり、藤守はジュンと待ち合わせをしていた。
藤守
「悪い!待ったか?」
「ううん」と首を振るジュン。
二人はあれから小まめに連絡を取りあい逢瀬を重ねていた。
食事を一緒にし、夜の公園を散歩する。
藤守
「あ、あの、ジュン?」
ジュン
「なぁに?」
藤守
「……」
黙ってしまう藤守にジュンは首を傾げる。
藤守
「きょ、今日は泊まっていきませんか?」
明後日の方を向き、頭をかきながら藤守は顔を真っ赤にする。
ジュン
「えっ?……え~っと、は、はい。」
ジュンからの承諾の言葉を聞き、満面の笑顔になる藤守。
そんな藤守が可愛くてジュンはクスッと笑った。
藤守
「笑うなや。」
そして二人は初めての甘い夜を過ごした。
ピリリ……ピリリ……
電話の着信音が響く。
まだ目が開かない藤守は手探りでスマホを手繰り寄せる。
藤守
「はい、藤守……」
???
「……」
藤守
「もしもし?藤守です。」
???
「……なぜ、お前がこの電話に出るのだ……」
藤守
「ああ、兄貴か。何やねん、朝っぱらから。」
アニ
「俺はジュンに電話したんじゃ!何でお前が出んねん!!」
アニの言葉に藤守はようやく間違ってジュンの電話に出てしまったことに気づいた。
そんな藤守の横でジュンも目を覚ます。
藤守
「いや、これは、その~……」
アニ
「貴様!愚弟のくせに兄の俺より先に……!覚えてろよ~!!」
二人の甘い朝はアニの絶叫によって終わったのだった。
再再度、イイオモイをさせていただきました。
みんなのエピローグはどうなるのかな?
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
03/01(Sun) 06:53
とも父登場
小春
自販機が並ぶ休憩所近くの、刑事部の廊下。
二人の巨漢が、小柄な篠崎の前でしょげている。
ロバート
『ワタシたち、今回、騙されっぱなしだったわ……』
ポール
『結局JSもエミも捕まえられなかったし、全然お役に立てなかったわ……』
ロバート
『サヤカにも、ルイやアオイにも迷惑かけちゃったし』
篠崎
『仕方ないわよ。でも、容疑者逮捕に貢献してくれたじゃない。気にしないで』
もう何度も何度も繰り返してきた励ましの言葉を、篠崎は辛抱強く二人に繰り返す。
小野瀬
『そうだよ。俺も穂積も気にしてないって。だから、元気出して』
とも
『二人はなんにも悪くないんやから』
その時。
???
『ロバート!ポール!』
渋い声に呼ばれて、ロバートとポールが飛び上がった。
振り向いたそこには……
とも
「お父ん!」
ともが笑顔で手を振る。
そう。
ニューヨークにいるはずの、ロバートとポールの憧れのダンディ。
ともの父親が、人懐こい笑顔で手を振り返していた。
ロバート
『えっ?えっ!なんで?どうして?』
ポール
『まさか……』
とも父
『穂積いう人と、そこにいる娘から連絡をもろてな。二人を迎えに来たんや』
歓喜の叫びを上げるロバートとポール。
嬉しさのあまり跳び跳ねるものだから、刑事フロアが揺れた。
ロバート&ポール
『トモ!ありがとおっ!』
とも
『苦し、苦しいっ!』
小野瀬も篠崎も、安堵したように笑うだけ。
2メートルを超える巨大なアメリカ人男性二人からのハグは、とも父が笑いながら愛娘を助けるまで続いた…… 。
困った時のとも父。
まだイイオモイしてないお嬢様方、頑張って。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒◯
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03/05(Thu) 17:37
お久しぶりです( ´ ▽ ` )ノ
とも
とも
「ぷは、あー、苦しかった…。 ところで、おとん、こっちにはいつまでおれるん? 連絡したら『すぐ行くわ』って、ホンマにすぐやったからビックリしてんけど」
とも父
「ん? あぁ、ちょうど休みが溜まっとってな、2週間程取れたから、カミさんとお前の顔を見に帰ろう思て、ちょうどその日に発つところやったんや」
NYベアーズから解放され、久々の親子水いらずの会話をしているとも親子の様子を少し離れて見ていた小野瀬は、ふと穂積に目を向けた。
小野瀬
「なぁ穂積、お前は白河さんのお父さんとは面識あったのか? さっき挨拶したとき『お久しぶりです』って言ってたよな?」
穂積はやりとりを思い出したのか、あぁ、と小さく呟いて小野瀬と並んでとも親子の方を見ながら答えた。
穂積
「俺がアメリカ研修でNY市警にいる時に白河さんと会ってるんだ。 その時にいろいろと教えてもらったりして世話になった。 小野瀬のラボに配属されてきたのが白河さんの娘だったとは、俺も驚いたけどな」
それぞれが談笑していると、外周りから帰ってきた明智と藤守が刑事部のフロアに入ってきて、穂積たちの姿を見つけて駆け寄ってきた。
明智
「室長、ただいま戻りました。 捜査している荒川区の連続空き巣事件の件ですが、目撃者の情報が得られましたので明日そちらに向かおうと思います」
穂積
「わかったわ。ご苦労様」
藤守
「ロバートとポールがあっちでえらいキャーキャー騒いどるんですですけど…。 白河の隣の男性は誰ですか?」
明智も藤守の言葉にともの隣の男性の方を見る。
穂積
「彼はとものお父さまよ。 日本に帰省がてら、ロバートとポールを迎えに来てくださったの。 明智、後でご挨拶しておいた方がいいんじゃない?」
最後の方はニヤニヤしながら話す穂積だったが、明智の方は余程驚いたのか、あいた口が塞がらない。
すると視線に気づいたともがとも父を連れてこちらにやってきた。
とも
「明智さん、藤守くん、お疲れさま~。 今、外周りからの帰り? こっちは私の父。で、休暇とって日本に帰省してきてるねん」
藤守
「藤守いいます。 白河とは同期ですねん」
とも父
「おっ、君も関西人かいな~。 久しぶりに話すから楽しいな! …で、そっちの男前さんは?」
次は自分が自己紹介を…と思っていた明智は急にとも父に話をふられて、途端にしどろもどろになった。
明智
「じ、自分は明智と申します。 藤守と同じく穂積室長の下で捜査員をしています」
とも
「明智さんはスゴいねんで。 穂積室長の右腕で捜査室をまとめてはるし、柔道もめちゃ強いし。おとん、一回手合わせしてもろたらええんちゃう?」
とも父
「そうか、そら楽しみやな。 明智くんて言うたかな、いっぺん相手頼むわ。 …話もいろいろ聞きたいし、なぁ?」
ともの言葉と明智の態度に何か勘付いているのか、少し意味ありげな様子のとも父に明智の背中には冷や汗がたきのように流れていた。
まさか最後にとも父が登場するとは思ってなかったからビックリ( ̄◇ ̄;)
そろそろ終わりかな~のパース
( ´ ▽ ` )ノ⌒◯
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03/25(Wed) 06:15
桜の季節に
小春
季節は巡り、今は早春。
五分咲きの桜の下には、かつてジョンスミスとエミ、赤、青、紫の媚薬に振り回された「パーティー仲間」……あの夏の日のメンバー全員が集まって、盛大な宴会が始まろうとしていた。
重箱の花見弁当を用意したのは、もちろん明智。
それから、小春と澪の「さくら庵」凸凹コンビ。
飲み物はもちろん、キッチンカーまで準備して、どんな料理のリクエストにも応えられる態勢を整えている。
空間や篠崎、ロバートやポールといったまだ到着しないメンバーもいるが、花見は予定通りに開会した。
如月
「うま!明智さん、これ美味い!」
明智
「そうか、こっちも味見してくれ」
藤守
「小春、ラーメンにチャーシュー山盛り入れてな」
小春
「はーい」
ジュン
「賢史くん、最初からチャーシューメンなんて食べて大丈夫?」
アニ
「放っておけ、ジュン。その阿呆に効く薬は無い」
穂積
「櫻井、小野瀬と烏龍茶で乾杯なんかしてなくていいから、こっちにお酌しなさい」
澪
「あ、小野瀬さんには私がお注ぎします」
小野瀬
「ありがとう」
桐子
「では、穂積室長には私からも」
穂積
「あら、悪いわね」
明智
「と……白河、これ自信作なんだが」
とも
「美味しーい」
アニ
「……ふん」
泉
「藤守検察官には私がお酌してあげますよ」
小笠原
「……(紅花を見てる)」
紅花
「……(小笠原を見てる)」
最初の時から今日までの間に、それぞれの関係は、様々に変化していた。
交際して関係を深めた者たち、相変わらずな者たち、少しずつ距離を縮めている者たち……
それぞれの変化を微笑ましく眺めつつ、メンバーにせがまれてマンゴーを切り分けながら、小春は少しだけ、寂しさを感じていた。
あの日別れて以来、小春は、マンゴーが好きなあの人に、会えていない。
彼からは、行く先々で書いてくれるのだろう手紙や絵葉書が、十日と空けずに届いた。
その事はとても嬉しい半面、世界じゅうを飛び回っている彼を、だんだんと遠く感じるようになっていた。
自分とは住む世界が違う人、なのかも。
そうは思っても、不器用な小春には、一度好きになった人を嫌いになることも、忘れることも出来ない。
帰ってくる、と言ったあの声を、疑う事が出来ない。
会いたい。
あの人が大好きな桜を、一緒に見たい。
花を肴に盛り上がる一同を笑顔で眺めながら、小春は胸のうちで、好春さん、とその人の名を呼んでいた。
全員、花見に集まれるのか?
大段円は近いぞ!
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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03/26(Thu) 21:26
そしてだんだんいなくなる
小春
清香
「遅くなってごめんなさい」
駅の方から駆け付けてきたのは、篠崎。
清香
「お招きありがとう。これ、ちょっと贅沢なビール。……走って来たから、急に開けると噴くかも」
藤守
「うひゃあ!」
ジュン
「きゃあっ!」
言ってるそばからプルタブを引いてしまい、頭からビールをかぶってしまう藤守、そして巻き添えを食ったジュン。
清香
「あっ!ごめんなさい!」
アニ
「気にするな篠崎。こいつは小さい頃から人の話をよく聞かない、そして、我慢の出来ない意地汚いやつだった」
泉
「藤守さん、ジュンさん、少し遠いですけど、あの公園の中に水道がありますよ」
聞こえよがしな泉の声に、藤守と、キッチンカーから絞ったタオルを手に飛び出しかけていた、小春の動きが停まる。
藤守
「あ、そ、そうか」
さらにダメ押しの泉の秘密の目配せで、小春は静かに後退りしてゆき、藤守はジュンの手を引いた。
藤守
「ジュン、ごめんやで。服が染みになってもうたらあかんから、あっこで軽く洗とこ。ハンカチ濡らすさかい、ついて来てや」
ジュン
「う、うん」
わざとらしい会話をしつつ早足で遠ざかってゆく二人を見送りながら、アニが鼻を鳴らした。
アニ
「ふん、余計なおせっかいだな。あの二人なら、とっくにカップル成立しているというのに……」
と言いながら、何の打算もなく素のままで同じビールの缶を開けかけたアニの手を、泉が慌ててぴしゃりと止めた。
泉
「噴くから開けないでください」
それから泉は、にっこり笑った。
泉
「開ける前に、向こうに行きましょう。みんながいない所でなら、少々暴発しちゃっても迷惑かけませんから」
う、と返答に詰まるアニと、アニの手を引いて立ち上がる泉を、少し離れた席から、ともが笑顔で見つめている。
とも
「相変わらずやなあ。藤守くんのお兄さん、絶対、泉さんの尻に敷かれるタイプやわ」
ね?と相槌を求めようとして横を向いた途端、ともは、隣に明智と、まともに目が合ってしまった。
とも
「明智さん?」
明智
「白河……」
とも
「……はい」
真顔で自分の名を呼ぶ明智の目が据わっているように見えるのは、ともの気のせいか、それとも酔っているせいか。
明智
「……俺たちも、少し歩こうか。向こうの、なんとなく薄暗い方とか」
とも
「はぁ」
返事をしてから、明智の顔が真っ赤になった事に気付いて、ともは笑ってしまう。
わざわざ言わなくても、明智が無言で立ち上がれば、自分は黙ってついて行くのに。
とも
「もちろん、ええですよ」
明智さんムッツリ発動。
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒○
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03/27(Fri) 11:00
公園で
ジュン
早足の藤守に連れられ公園内の水道にたどり着く。
藤守
「ごめんやで?ジュン。これで汚れたとこ拭き?」
ジュン
「ありがとう。」
濡らしたハンカチを素直に受け取り、服を拭こうとしたとき、藤守がいきなり水道に頭を突っ込んだ。
ジュン
「け、賢史くん!何してるの!?」
バシャバシャと頭を洗い、犬のように首を振って水滴を飛ばす藤守。
藤守
「頭からビール被ってもうたんやで?洗わなベタベタするやん?」
ジュン
「それでも……私、ミニタオル持ってるから早く拭いて。」
ジュンが鞄からミニタオルを取りだし藤守に渡す。
藤守
「おう、ありがとな。」
お互いに汚れたところを拭きながら、顔を見合わせて笑い合う。
夏のあの時から二人の距離は確実に縮まっていた。
藤守
「なあ?最近、お互い忙しくて会えてなかったやん?」
藤守が少し赤い顔をしながら話し始める。
ジュン
「前のデートから、まだ2週間経ってないよ?」
藤守
「そ、そうやけども!」
なにやら焦りを見せる藤守にジュンは首を傾げる。
藤守
「ジュンを充電させて?」
辺りを見回し、人がいないことを確認すると、藤守はジュンを抱き締めた。
優しいキスがジュンに落ちてくる。
藤守
「ずっと一緒にいような。」
キスの合間に呟かれた藤守の言葉に、ジュンは笑顔で頷いた。
なんか私、自分ばっかりイイオモイしてるなぁ。
まあ、いいか(^^;
ここでパースヽ( ̄▽ ̄)ノ⌒〇
04/03(Fri) 10:11
桜が咲いているうちに
小春
日暮れを前に、藤守兄弟がビールを口実にそれぞれの交際相手と消え、宵闇に紛れるようにして、明智とともも散歩に行った。
大勢で楽しむ桜もいいけど、恋人と眺める桜もまた、格別なのだろう。
小春
「……」
並木道に沿って点々と設えられていた提灯型の電灯の明かりが不意に灯り始めて、小春は桜を見上げた。
花見の場所は、夜桜の宴へと趣を変える。
澪
「小春さん、一段落しましたし、休憩してきてください」
隣に立って、一緒に洗い物や調理をしていた澪に声を掛けられて、小春は、自分がぼんやりしていた事に気付いた。
小春
「うん、ありがとう。大丈夫だから、澪さんこそ休んで」
澪
「みんなが戻ってきたら、また忙しくなります。今のうちに、夜桜の写真、撮ってきてあげてください」
小春
「写真……」
それは、小春が『好春』と呼ぶ山田太郎ことジョン・スミスが、一番新しい手紙で小春あてに依頼してきた約束。
《よざくらをみたとき、ぼくをおもいだしたら、写真を撮っておいてください》
澪に急かされるまでもなく、写真ならもう撮った。
何枚も、何枚も。
まだ蕾のうちから、行く先々で、桜の木を見つけるたびに、小春は毎晩、デジカメのシャッターを切った。
澪に、手紙の内容を話した事は無い。
けれど、勘の良い澪は、小春が慣れないカメラを手に毎晩桜の写真を撮っていたのを、きっと誰かの為だと見抜いているのだろう。
自分の単純さを少し恥ずかしく思いながら、小春は辺りを見た。
紅花の膝枕で、小笠原が寝ている。
その小笠原を話題にしながら、如月が紅花と談笑していた。
穂積は両手に花とでもいうように、両脇に桐子と翼をおいて、日本酒の盃を手にのんびり桜を見上げている。
小野瀬の隣には篠崎、反対側には、先ほど遅れて到着した野崎と、その野崎に引っ張られて来た空間セツナ。
空間の想いは小野瀬に知られているところだというのに、空間の態度はいつまでもぎこちない。
篠崎も野崎も苦笑いだが、小野瀬が空間に向ける眼差しは優しい。
みんな、それぞれに満ち足りた時間をすごしているようだ。
シートの上には、明智と、さくら庵とが提供した色とりどりの花見弁当がまだ充分に残っている。
小春は後を任せて、澪の好意に甘える事にした。
ふらりと歩き出したところで、小春はうっすらと肌寒さを感じた。
さっきまで皿を洗ったり調理をしていて汗ばむほどだったから、気付かなかったのだろう。
それでも、並木になっている桜を見比べて、少しでも枝振りの良いのをもう少しもう少しと探してゆく。
どれも五分から六分咲きだが、ようやく、これは、という枝が見つかった。
昼間の陽当たりがいいのか、一際大きな木だからか。
カメラを構えて桜を見上げ、小春は、特に花付きの良い枝を被写体に選んだ。
《よざくらをみたとき、ぼくをおもいだしたら、写真を撮っておいてください》
(思い出してます)
小春は、声に出さずに、呟いていた。
(忘れた日なんてありません)
シャッターを押し、数歩移動して、またシャッターを押す。
これで最後にしよう、と思いながら一歩下がった所で、とん、と、背中が壁に当たった。
(……壁?)
同時にふわり、と、温かい腕に包まれた。
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04/03(Fri) 10:13
小春
長い黒髪が、小春の顔を撫でる。
???
「美しいお嬢さんが一人でいたら必ず声を掛けるよう、亡くなった祖父に言われてまして」
懐かしい声。
けれど、その声が紡いだ言葉は、彼の常套句だと知っていても、今の小春には残酷だった。
「……」
固まっている小春に、声の主も自分の失言に気付いたようだ。
一旦腕をほどいて小春の正面に回り込み、改めて声を掛けようと小柄な身体に合わせて屈んだ弾みに、小春の手からカメラが落ちた。
「……」
小春の様子を窺いながらカメラを拾い上げ、手にしたそれの外見に損傷が無いのを見てから、撮影された画像を確認する。
「……!」
そこに写っているのは、全て、桜だった。
まだ固い蕾のうちから撮影された、何十枚もの、夜桜。
紛れもなくそれは、自分が、一人旅の退屈を紛らすために書き送った一通の手紙に対する、この少女の返事だった。
JS
「小春さん」
小春は返事をしない。出来ない。
声を出したら泣き出しそうだから、どうにかして感情の波を抑え込もうとしているのだ。
JS
「すみません。デリカシーが無さすぎでした」
こんなにも自分を待っていた恋人に、誰にでも使う言葉をかけるなど。
JS
「写真をありがとうございました。伝わりました」
それはあまりにも分かりやすい愛情表現で。
JS
「あなたに会いたかった」
ようやく、小春が、こくんと頷いた。
そのまま、胸に頭を押しつけるようにして、控え目に抱きついてくる。
小春
「……はおちゅんさん」
好春、と呼ばれるのがくすぐったい。
もちろん偽名だけれど、その名前には、自分が彼女に好意を持ったという意味が含まれている。
だからこそ小春も、騒動の中でJSの名を知った今も、二人だけの時にはその名で自分を呼ぶのだろう。
JS
「もう、しません」
小春
「……?」
JSの呟きに、小春が顔を上げた。
JS
「一人でいる美しい女性を見かけても、声をかけたりしません」
小春
「……」
真顔で告げたJSに、小春は、何を言い出すのか、という風に噴き出した。
そうして、すぐに首を横に振る。
小春
「お祖父さんの遺言は守らなくちゃいけません」
JS
「ですが」
小春
「私の心配なんかしないで、今まで通り、自由に生きてください」
感情の波がおさまってきたらしく、小春がいつもの穏やかな笑顔を浮かべる。
小春
「会えて、嬉しかった。会いたかった、って言ってもらえて、抱き締めてもらえて、嬉しかった」
JS
「小春さん?」
小春
「写真なんかじゃなくて、本物の夜桜を見てもらえて、嬉しかった」
JS
「小春さん」
小春
「だから、私、それだけで、もう」
JSの手が、小春の口を塞いだ。
JS
「……確かに僕は、自由に生きてきました」
その手を緩めて、JSが小春を見つめる。
JS
「ですが、今まで通りなんて、無理です。この僕は、あなたに恋してしまったんですから」
JSがもう一度ゆっくりと、小春を抱き寄せた。
JS
「あなたは僕の特別な宝物です」
小春の手が、温もりを求めるように伸ばされて、JSの抱擁にそっと応えた。
JS
「愛しています」
腕の中に戻った小春の温もりに、小さな頭を撫でながら、JSが微笑む。
JS
「毎年、一緒に桜を見てください」
小春が頷いた。
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04/03(Fri) 10:15
エンディング
小春
???
「エミさん、結局、媚薬って何なんですかね」
エミ
「ほんとうの恋には不要なもの、ってところかしら。冬子さんにも、いつか分かるわよ」
冬子
「なんか格好いい!」
小春の留守を守るキッチンカーの座席を陣取り、先ほどから二人で盛り上がっているのは、『さくら庵』の常連、冬子と、謎の女のはずの、エミ。
キッチンの中では澪が、二人に酌をしたりおつまみを作ったりと忙しい。
エミ
「ま、媚薬に関しては、室長と小野瀬さんに楽しませていただいたから、もう良しとするわ」
レジャーシートで花見を続けている美青年たちを遠目に見ながら思い出し笑いをするエミ。
エミ
「媚薬や手練手管が全く通用しない小春さんに堕ちてしまった、太郎さんに免じてね」
冬子
「?どういう事ですか?」
今までの成り行きを知らないで定食を頬張る冬子に、エミは笑って話し始めた。
「メフィストフェレスの媚薬」に始まる、長い長い数日間の物語を。
~終わり~