『アブナイ☆恋の学園物語』
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10/10(Thu) 11:49
ロミジュリ♪
小春
☆舞台袖☆
篠崎
「……小野瀬くん、GO」
小野瀬
「えっ俺?いや、俺は、ラストの結婚式での神父役だよ?!」
篠崎
「……小野瀬くん」
舞台上では藤守が穂積に逆エビ固めを決められ、ばんばん床を叩きながら悲鳴を上げている。
バルコニーの上では、翼がおろおろ見下ろしている。
すでに収拾がつかなくなりかけている状況の中、篠崎は、大きく息を吸い込むと、スカートを持ち上げてヒールを脱ぐが早いか、舞台に向かって小野瀬の背中を蹴飛ばした。
篠崎
「GO!」
小野瀬
「うわぁっ!」
[削除]
10/10(Thu) 17:12
ちょびっとだけ…
エミ
『キャーーー!キャーーー!』
篠崎のGO蹴りで登場した小野瀬に、先ほどの穂積の登場時と同じくらいの黄色い歓声が上がる。
小野瀬が挨拶がわりに観客席に向かって微笑むと、アオイスト達の歓声は悲鳴に近いものになった。
空間は小さく舌打ちをして、メモ帳を開くと何かを書き込んだ。
空間
「篠崎、-200…」
[削除]
10/10(Thu) 17:30
私もちょいつなぎます。
とも
バルコニーから穂積と藤守のやりとりをハラハラして見ていると、今度は小野瀬が舞台に飛び出してきた。訳がわからずオロオロしていると、舞台裏からともが翼の衣装を引っ張った。
とも
「翼、今のうちに一旦舞台から下がっとくで」
翼
「え?でも…」
とも
「ええから。この調子やと、みんなプロレスやってる二人と小野瀬神父しか見てへんて。」
こそっとバルコニーの階段から降りると、小春と篠崎が待っていた。
小春
「あまりに台本と内容が違うからお兄ちゃんの台本を見せてもらったんだけど、空間先輩や翼ちゃんに内緒でセリフやらストーリーやらを変更していたみたいなの」
『ホラ』と渡された台本には自分のには書かれていないようなセリフがあちこちに書かれていた。しかも全く寸劇っぽくない。
篠崎
「まったく、勝手に台本変えるなら言っとかないと、こっちが困るじゃない。ねぇ?」
篠崎の言葉に頷いた一同はチラリと明智た小笠原の方を見た。小春に至っては明智を見る目が怒っている。
小春
「お兄ちゃん、キライ」
会心の一撃を受けた明智はその場で崩れ落ちた。
[削除]
10/10(Thu) 19:16
ロミジュリ
清香
あら、靴を脱いでから蹴るなんて今日は優しいじゃない、ワタシ♪
しかし空間さんのノートがデスノートに見えてきたのは気のせいかしら?(ガタガタ)
☆舞台袖☆
明智
「き、嫌…い、か……。は、ははは、ッ」
予想以上の明智のダメージに、言ったはずの小春本人も心を痛めていた。
距離を取り、目を合わせようとしない兄妹に周囲はどう接していいか分からないでいると。
篠崎
「明智先生、ちょっと。」
明智の腕を引っ張り少し離れた所へ連れて行くと、篠崎は何やらボソボソと耳打ちをした。
明智
「…本当にそれで見直して貰えるのでしょうか?」
不安げに篠崎を見下ろす姿は怒られた子どものような幼さが滲む。
篠崎
「もちろんです。無事に寸劇を終わらせて開会宣言を藤守君にさせられるのは、もう明智先生しかいないんですよ。今が腕の見せ所じゃないですか?」
明智
「…は、はい。やってみます。」
篠崎
「ええ。行ってらっしゃい。」
深い呼吸を一つして、明智が舞台袖からステージへ歩みを進めるのを見送ると、篠崎が翼へ振り返る。
篠崎
「さぁ、持ち場に戻って!明智先生がどうにか本来の台本に戻してくれるから!」
とも
「ええっ、大根なのに!?」
小春
「……ともちゃん。」
翼
「不安ばかりなんですが…。」
暗い顔しか見せない3人を引きずられないよう、篠崎が翼の背中をグイッと押した。
篠崎
「どうにかなる!というか、どうにかしよう!」
10/10(Thu) 19:26
こんばんは♪
くちびる
面白すぎてお腹がイタタタタタタタタタ(笑)(*^^*)
皆さん凄いなあ…ドタバタが目に浮かびますねえ~(笑)(*^^*)
他力本願で..そっと覗いてますねえ~!←オイッ(ToT)
[削除]
10/10(Thu) 21:38
ロミジュリ♪
小春
☆ステージ上☆
一方こちらは舞台上。
篠崎に蹴り出された小野瀬はひとまず観客の声援に応えて手を振りながら、ゆっくりと、舞台の中央に向かって歩き出した。
が、その笑顔の裏で、彼の脳細胞は、この事態を収拾するためにフル回転していたのだ。
男子生徒の期待を背負って、ロミオに無謀な戦いを挑み続けているパリス藤守。
まともなハッピーエンドが恥ずかしいばっかりに、無駄な抵抗を続ける穂積ロミオ。
何やらタイミングを計っている父明智と乳母小笠原。
舞台袖で小野瀬を拝んで(あるいは何とかしろと睨んで)いる、実行委員の女子たち。
見上げたバルコニーには、どうやら男たちのシナリオ書き換えを知らされたものの、どうすればいいのか途方に暮れた顔の櫻井ジュリエット。
小野瀬
「……」
この舞台上で、いま、ロレンス修道士を演じる小野瀬の取るべき行動は、ひとつしか無かった。
小野瀬はバルコニーの下まで行き着くと、翼を見上げた。
小野瀬
「……ジュリエット。実は、俺も、あなたに一目で恋に落ちてしまった」
情感たっぷりに発せられた小野瀬のセリフに、一瞬、会場の時間が止まる。
小野瀬
「どうか、俺のものになってくれないか?」
一歩バルコニーへ近づき、翼を見つめると、小野瀬は彼女に手を差し伸べた。
小野瀬
「…ジュリエット、気がついたら好きになっていた。だから」
小野瀬は翼の手を取ると、その手の甲に軽くキスした。
小野瀬
「俺のところへ来て」
翼
「えっ」
「ぎゃあああぁああああああ!」
体育館が揺れた。
藤守
「何やてえ?!」
穂積
「てめえふざけるな!」
阿鼻叫喚の中、舞台袖で、再び篠崎のGO蹴りが炸裂した。
篠崎
「明智くん、今よ!」
明智
「待て!お父さんは許さんぞ!」
[削除]
10/11(Fri) 08:27
おはようございます
とも
ロミジュリ続き。
小野瀬同様に篠崎に蹴り出された明智がステージに現れた。
明智
「ジ、ジュリ、ジュリエットは私の大事な娘だ。な、長年の間仇、と、してきた家の人間や、神父の格好をしていろんな女に手を出すような奴に渡してたまるか!」
小野瀬
「最後だけスラスラ言えたのは気のせいかな?」
藤守
「せやから言うたやろ?ジュリエットは婚約者である俺のもんや!」
明智
「いや、お前も信用できない」
小春
「お兄ちゃん?!」
[削除]
10/11(Fri) 11:02
寝落ちしました。
清香
大人しく蹴り出される明智先生がステキです。
普段からいかにお姉さん達に虐げられているのが分かります(爆笑)
☆ステージ上☆
明智
「お前は先日、『誰でもええから彼女になってくれへんかなぁー、あっ、出来れば巨乳の子がええんやけどなぁ』と言っていただろう!」
藤守
「ちょっ、それはッ、ただの冗談やし、お芝居とは関係ない個人的な願望の表れというか…、健全な男子なら一度は考える事やん?なぁ?」
確かに生徒会室へ向かう途中の廊下で如月にそんな話をした覚えのある藤守は慌てて言い訳をするも、会場中の女子生徒からブーイングの声が上がる。
それに怯えたのか、藤守と視線を合わせる男子生徒は皆無の上。
『サイテー』『胸さえあればいいの?』『へんたーい』『女の敵よ!!』
浴びせられる非難の声に藤守はもう涙目だ。
藤守
「なんで、こんな事になったんや…(涙)」
項垂れる藤守を尻目に、明智は小野瀬へと向き直る。
明智
「そんなしおらしい恰好をしていても、俺の目はごまかせませんよ。」
小野瀬
「今日もずいぶん突っかかってくれるね。」
売り言葉に買い言葉か。
互いに視線を逸らさずじりじりと距離を詰めていく様は、もうお芝居でも何でもない。
ただのケンカの様相を表し始めた二人の隙を突くように、穂積がバルコニーの下までそろりと近づくと。
穂積
「逃げるぞ、ほら。」
[削除]
10/11(Fri) 11:37
可哀想すぎる
ジュン
賢史くんが可哀想すぎる(ノд<)
全校生徒の前でばらされちゃって……
まぁ、自業自得よね(^_^;)
劇もラスト(?)ですね!
楽しみです!!(←すっかり読者)
10/11(Fri) 11:54
あーあ。
小春
明智
「ロミオ!」
両腕を伸ばし、バルコニーから身を乗り出した翼と手が触れた途端、明智がその穂積を振り返った。
突然矛先を向けられ、ぎくりとする穂積ロミオ。
明智
「お前は元々、違う女が目当てで舞踏会に潜り込んだくせに!この浮気者!」
穂積
「わあ!俺だけ役へのツッコミ?!」
穂積を牽制しておいて、明智は再び小野瀬に向き直る。
明智
「毎月毎月、理科教材の納入業者が、場にそぐわない厚化粧をして放課後生物教室を訪れるのを、誰も知らないと思ってるんですか!」
???
『そうよ!』
小野瀬
「ん?」
どこからか聞こえた謎の声に、怪訝な顔の小野瀬。
明智は娘ジュリエットに言い寄る全員に悪態をついた後、舞台の裏手から階段を駆け昇って、翼のいるバルコニーに再び姿を現した。
明智
「うちの娘は誰にもやらん!綺麗な服を着せて、美味しいものを食べさせて、本物の音楽だけを聴かせて、美しいものだけ見せて暮らさせるんだ!」
[削除]
10/11(Fri) 12:06
お前もな。
小春
一方、こちらは舞台袖。
突然スイッチの入ってしまった明智に、一同は呆然としている。
小春
「し、篠崎先生……いったい、お兄ちゃんにどんな作戦を授けたんですか……?」
恐る恐る、発案者の篠崎に尋ねると、篠崎自身にも予想以上の展開だったのか、苦笑いが返ってきた。
篠崎
「ジュリエットを小春さんだと思え、って言ったんだけど……ちょっと効果がありすぎたみたいね……」
それを聞いた小春は、ステージ上でなおも熱弁を奮う明智の姿に、目頭を熱くするのだった。
小春
「お兄ちゃんのバカ……」
[削除]
10/11(Fri) 15:22
愛すべきおバカ兄妹(褒めてます)
清香
原作が迷子です。見つけた方は、インフォメーションセンターへご連絡下さい←
☆ステージ上☆
小さな翼の肩を抱きしめ、絶対に渡さないと言いたげに鼻息荒く熱弁を振るう明智に、藤守も小野瀬も観客達も何も言えなくなってしまった。
し…んと静まり返る会場に、穂積の真剣な声が響く。
穂積
「…彼女の気持ちを聞かせて下さい。」
明智
「なんだ…と?」
穂積
「可愛い娘を手放したくない貴方の気持ちは分かった。でも、俺はジュリエットの気持ちを聞きたい。」
明智
「そ、それは…ッ!」
明智の心が揺れたのを見て、穂積が再びバルコニーの下から翼へ手を伸ばした。
穂積
「…ジュリエット、今、あなたに4人の愚かな男が恋をしています。あなたは誰にその心を向けて下さいます…か?」
選ぶのは父親でも男達でもなく、本人なのだと。
穂積
「…ジュリエット。」
翼
「わ、私は…」
そして幸せを掴むのは自分自身でするべきなのだと。
翼
「私の心は…っ!」
精一杯伸ばした穂積の手に引き寄せられるように、翼が明智の腕からするりと抜け出す。
翼
「ロミオ様…の元、にっ」
二人の手が触れようとした、その時。
『ガタンッ!!!』
簡易バルコニーの手すりが外れ、手を伸ばしていた翼の体がグラリと揺れた。
翼
「きゃあぁぁぁ!?」
穂積
「危ないッ!!」
[削除]
10/11(Fri) 15:43
ロミジュリ♪
小春
手すりが外れ、支えを失った身体。
咄嗟に目をつぶる直前、翼は見た。
自分に向かって、両手を広げるロミオの姿を。
穂積の姿を。
思い切って手を伸ばした時、翼は、自分の身体がしっかりと広い胸に受け止められたのを感じた。
満場の拍手と嘆息とともに、待ち構えていた空間のナレーションが入る。
空間
『こうして、ロミオとジュリエットは結ばれました。長い間の両家の確執に終止符を打ったのは、若い二人の純粋な愛だったのです……』
しっかりと抱き合う二人にスポットライトが当たり、徐々に暗くなって、そして、舞台は暗転した。
やがて幕が降りても、拍手はいつまでも鳴り止まなかった。
[削除]
10/11(Fri) 16:29
皆様おつかれさま☆ロミジュリ終演☆
小春
目を開けた時、舞台は真っ暗だった。
自分は誰かの腕に抱かれている。
その相手は穂積のはずだと頭では分かっていても、確かめる術の無い暗がりの中では、やはり怖い。
落ちたのを受け止めてくれた体勢でいた相手が、身を屈めて、翼の足を地面に下ろしてくれた。
けれど、そうなると今度は、手を離されそうになるのが怖い。
翼
「やだ……」
翼は咄嗟に相手の腕を掴んだ。
すると、相手は、ぐっ、と翼の身体を引き寄せてくれた。
「大丈夫だ」
温かい胸と力強い腕に包まれる形になって、翼の胸が、とくんと鳴った。
……この声。
「大丈夫だ……翼」
翼
「……」
翼はどきどきしながら、それでも、力を抜いて、闇の中の相手に身体を預けた。
大丈夫、この人なら、きっと大丈夫。
翼
「……はい」
相手からも、速い鼓動が伝わってくる。
その心音を頼りに、翼がうっとりと目を閉じた時、ふ、と額に何かが触れた。
羽のように軽く、柔らかく、温かい……
唇?
キスされた……?
翼
「今……」
確かめようとした時、相手の手が翼から離れた。
あっと思った瞬間、光が戻った。
しばらく目が開けられないほど眩しくて、ようやく明るさに慣れた頃には、もう、世界は一変していた。
いつの間にか、自分はもう舞台袖の奥にいる。
振り返った舞台上には、開会宣言をする為に、中央の演台に立つ、パリスの扮装のままでさっきのロミオの冠を被った、藤守。
そして、プログラム1番で演奏するため、楽器を構えて整列し、指揮者を待つ吹奏楽部員たち。
翼の近くにいるのは、同じように闇に怖じ気づいていたのか、しゃがみこんでカーテンにしがみついている小春だけ。
篠崎たち教師や、ともたち実行委員会の面々は、いつの間にかもう体育館の出口の方にいた。
翼はハッとして辺りを見渡したけれど、思い浮かべていた人物は、近くにいない。
翼
「……」
でも。
……あれは確かに……。
翼は思い起こすとともに熱くなる頬を押さえながら、しばらくの間、動く事も出来ずに立ち尽くしていたのだった……。
10/11(Fri) 17:01
お疲れさまでした(^-^)/
とも
無事にロミジュリ終われましたね~♪
10分では絶対終わってないやろうけど。
明智お父さん、ちっとも大根やないですか~(笑)
さすが小春さんのお兄ちゃんですね。
次からは文化祭ですかね?
続きも楽しみです ←他力本願♪
[削除]
10/11(Fri) 17:16
ともさん(´∇`)ノシ
小春
この後は、藤守さんの開会宣言かーらーのー、前夜祭です。
皆様よろしくお願いしますm(__)m
[削除]
10/11(Fri) 17:29
おつかれさま
ジュン
皆さん、お疲れ様です。
無事(?)劇も終幕しましたね。
ちょっと横路?
衣装から制服に着替えた翼は他の生徒会の面々がいる生徒会室の前にいた。
扉を開けるのに少し戸惑ってしまうのは、この頬の熱の原因の彼の声が聞こえるから……
思い切って扉を開くと先程までの甘い感覚など吹っ飛ぶような怒鳴りあいだった。
穂積
「だから、あれはあの場のノリだろう?」
藤守アニ
「ノリなどという言葉で片付けられるか!?」
明智
「あの、とりあえず無事に終わったのですから……」
藤守アニ
「うるさい!お前も同罪だ!」
物凄い剣幕で怒鳴りたてるアニ先生を横目に翼は小春とともに近づく。
翼
「ど、どうしたの?」
小春
「寸劇のことでアニ先生のお説教が始まっちゃって……」
とも
「もともとアニ先生は岩窟王にしろ!生徒が浮かれる!って言ってたから……」
どうやら、寸劇は大成功だったらしく、終幕後は例年以上に生徒たちが盛り上がってしまったらしい。
男子生徒はプロレス技を掛け合うし、女子生徒は舞台の写真をそれぞれ交換したり、浮かれまくりであるらしい。
そしてアニ先生のお説教が始まってしまった……らしい。
終わりの見えない言い争いにどうしたものかと顔を見合わせる女子。
そこにノックの音と共に篠崎と空間、ジュンが現れた!
篠崎
「どうしたの?」
空間
「声が廊下にまで響いていますよ?」
翼たちがことの成り行きを説明すれば二人は「まったく……」と溜め息をつく。
そして、やはりアニ先生をとめられるのはこの人だった。
ジュン
「慶史兄さん。」
アニ先生
「ん?ジュンか。邪魔をするな。俺は今こいつらに学園祭のなんたるかをだな……」
ジュン
「魔女姿、とっても綺麗だったよ。写真撮っちゃった。」
ニッコリと笑うジュンがアニにスマホを振ってみせる。
アニ先生
「…………っ!」
「さすが!」と思わず口に出してしまうようなジュンのアニ操縦術に女子たちは拍手を送ってしまった。
ジュン
「盛り上がってよかったね?」
アニ先生
「……そ、そう……だな。」
大人しくジュンに同意するアニを腹を抱えて笑う穂積を見て、さっきのことは幻だったのかと思う翼がいた。
(穂積先生はいつも通りだな……)
[削除]
10/11(Fri) 17:36
忘れてた
とも
小春さん、すっかり寸劇が終わったら前夜祭も終わりと思ってました(-_-;)
ジュンさん、アニの扱いはジュンさんにお任せします(*´∇`*)
[削除]
10/12(Sat) 04:00
これからが本番です(笑)
清香
小春さん、ロミジュリの締め、ありがとうございました。
そしてジュンさん、素晴らしい手綱さばきだわッ!
☆生徒会室☆
藤守
「ま、まぁ、とりあえず寸劇も無事に終わったんやし、俺らも前夜祭見に行かへん?」
アニが大人しくなったのを待っていたかのように、藤守が明るい声を出して皆を誘った。
如月
「そうですよー。そろそろ演劇部による本物の『ロミオとジュリエット』が始まっちゃいますよ。せっかくだからみんなで見に行きましょうよ。」
いくつものチェックマークがついた文化祭のプログラムを広げながら目を輝かせる二人を見ていると、次第に気分も高まっていく。
翼
「で、でも…。」
とも
「まだやらなアカン仕事があるんや…ないですか?」
小春
「私もカレーが…。」
おちゃらけた先輩達とは対称的に、下っ端役員である女子達は今更かもしれないが緊張をし始めていた。
藤守
「平気やって。後は終わった後の見回りだけやし、それは俺らと先生でやるから気にせんでええよ。」
それでも『どうしよう?』と顔を見合わせる一年生女子たちの背中を、篠崎が笑いながら叩く。
篠崎
「ほらっ、『桜祭』はもう始まったのよ?初めてだからこそ目一杯楽しまなくちゃ。」
小野瀬
「そうそう。仕事熱心なのは良いけれど、生徒会役員の前に君達も一人の生徒だからね。」
明智
「小春、カレーは俺が出来るところまではやっておくから、心配しなくていい。行ってこい。」
如月
「じゃあ、決まり!!早く行こうよッ!!」
皆より一足早く生徒会室のドアを開き、皆が出てくるのを待ち構える如月を『まるで小学生だな』とアニが言うと、生徒会室内にドッと笑いが起こる。
教師達
「行ってらっしゃい」
見送る教師達の視線を背中に受けながらも、翼の心は未だに生徒会室に置き去りにされたままだった。
翼
(……穂積先生)
そっと触れた額はまだ熱を持っているようにジンジンと熱い。
そして、その熱は指先から少しずつ翼の体を蝕むように体内へと広がっていった。
10/12(Sat) 09:44
前夜祭
ジュン
生徒会長の開会宣言のあと、前夜祭の内容としては演劇部の正統派「ロミオとジュリエット」を始め、教職員やPTAによる簡単な模擬店や野外ステージで軽音部のライブなどがあり、どこもとても賑わっている。
それぞれが思い思いの場所で楽しむことになる。
では、楽しみましょう(* ̄∇ ̄)ノ
[削除]
10/12(Sat) 10:06
☆前夜祭☆
小春
演劇部もロミジュリやるんだ(笑)
生徒会室を出て歩く廊下や壁のあちこちには、いかにも高校生の手作りらしい飾り付けが施されていて、普段の校舎とは趣を異にしている。
窓の外ももう暗いのに、辺りは生徒たちの行き交う姿と様々な声や音が混じりあって、肝試しの夜とはまた違う、独特の熱気が感じられた。
生徒(男子)
「あっ、藤守先輩!」
生徒(男子)
「パリスの衣装、格好よかったですよ!」
廊下で立ち話をしていた、一年生らしい男子たちが、笑顔で藤守に声をかけてきた。
藤守
「ホンマか?そしたら、ミスター桜祭の投票、頼むで!」
足を止めてアピールする藤守の後ろを、数人の女子たちが通り過ぎる。
生徒(女子)
「中身は巨乳好きだけどねー」
生徒(女子)
「生徒会の後輩さんたちも、気をつけた方がいいわよー」
藤守
「お前らそれでもクラスメイトか!」
藤守の反論を無視して、三年生の女子たちは、笑いながら歩いて行ってしまった。
藤守
「ぐぐぐ……」
如月
「まあまあ。まだ始まったばかりですし、挽回するチャンスはありますから」
とも
「そうですよ。それに、こうして一緒に歩いてるとよう分かるけど、みんながすごく親しく話しかけてくるやないですか。人気者ですよ」
藤守
「そうやろか」
同意を求めた藤守に、そうですよ、と小春が笑顔で頷き返す。
それまでぼんやりしていた翼はふと、違和感を覚えた。
小春が、なんとなく元気がない。
翼
「小春ちゃん」
小春
「うん?」
耳元に囁きかけてみると、小春はぴくんと反応した。
小春
「なあに?」
けれど、返事とともに振り向く笑顔は、いつもの小春だ。
翼の気のせいだったのか。
翼
「ううん。こうして、一緒に前夜祭見て歩けると思ってなかったから、良かったなって」
翼は咄嗟に、思い付いた事を言った。
小春が頷く。
小春
「うん。お兄ちゃんがカレーの下拵えを引き受けてくれたおかげ。寸劇で翼ちゃんやみんなを困らせた事、すごく反省してるみたい」
翼
「私は気にしてないよ」
小春
「ありがとう。後で、お兄ちゃんにも伝えておくね!」
やっぱり気のせいだったのかな。
繋いで歩く小春の手の温かさを感じながら、翼の意識は再び胸の奥の穂積と、目の前の前夜祭とに向けられていった。
[削除]
10/12(Sat) 10:55
まだ前夜祭なのよね
清香
☆生徒会室☆
生徒達が前夜祭へ向かった後、教師達もそれぞれの持ち場へ戻ろうと重い腰をあげた。
アニ
「じゃあ、俺は正門を監視してくる。」
それだけ言いきると、後ろを振り返らずにスタスタと出て行ってしまった。
小野瀬
「監視って…。本当に正門に立つのが好きだよね、彼も。」
苦笑いを浮かべる小野瀬に篠崎も笑いを噛み殺しながら頷く。
明智
「では、俺は家庭科室でカレーの仕込みをしてきます。」
いつの間に用意したのだろう、白いコックコートを片手にドアへと向かう明智の背中に篠崎が声をかける。
篠崎
「明智先生、お手伝いしましょうか?」
明智
「…篠崎先生がですか?」
料理なんてできるのか?と言いたげな視線を投げる明智に、篠崎は手の甲を見せる。
篠崎
「これでも自炊歴は長いですし、爪も長くしてませんよ?小春さんほどお役にたてるか分かりませんけど、猫の手よりはマシじゃないですか?」
明智が持っていたレシピを手に取り、工程を確認しようとする篠崎に明智がため息をつく。
明智
「………。分かりました、お願いします。…ただ、厳しいですよ?」
どんな料理マンガだと言いたくなるほど鋭い視線で言い放つ明智は既に国語教師では無く、だた一人の料理人となっていた。
篠崎
「はい、覚悟しておきますね。」
それでものほほんと笑う篠崎を伴いながら明智が生徒会室を出て行くと。
小野瀬
「…で、お前はどうするの?見回りまでまだ時間があるから準備室でコーヒーでも飲むか?」
生徒会長席に座ったまま一言も発しないでいた穂積にそう言うも、穂積はどこか上の空だった。
小野瀬
「ほーづーみー?大丈夫か?」
穂積
「…ッ、ん?な、なんだ?」
顔の前で手をヒラヒラ振られて、穂積はやっと自分が呼ばれているのに気がついた。
小野瀬
「お前がボーっとするなんて珍しいな。さすがに疲れたか?」
穂積
「…いや、何でもない。」
小野瀬
「じゃあ、コーヒーでも飲むか?」
穂積
「ん…、あぁ、頼む。」
『じゃあ、行くか』と生徒会室を出たものの、生物準備室へ向かう途中の階段で穂積は上を指さした。
穂積
「ちょっと屋上で一服してから行く。」
小野瀬の返事を待たないまま、立ち入り禁止の札をくぐって穂積はスペアキーで屋上へのドアを開いた。
ひんやりとした風が穂積の金色に輝く髪を揺らす。
穂積
「……ったく、何してんだよ、俺。」
金木犀の香りを乗せた風が、小さく呟いた穂積の言葉を夜空へと運んで行った。
[削除]
10/12(Sat) 14:38
こんにちは♪
くちびる
何だかワクワクする展開になってますねえ~!
ワクワクドキドキしながら読んでますよ♪
ロミジュリまじで吹きっぱなしでした。
楽しすぎる~(笑)(*^^*)
[削除]
10/12(Sat) 17:14
☆その頃の空間センパイ☆
小春
小野瀬の動線に沿って、校内のあちこちに張り巡らされた、空間のアジトの一角。
前夜祭の仕事の合間を縫って、彼女はさっき小笠原から回収してきたばかりのUSBメモリをPCに差し込む。
暗がりで輝くディスプレイに映し出されたのは、空間が小笠原と小春に命じて翼のドレスに縫い付けておいた、超小型カメラからの映像。
ざわざわという会場の喧騒も、高感度マイクはきちんと拾っている。
空間自身が翼のドレスから糸を切ってカメラを取り外し、小笠原の編集も受け付けずに回収してきた、録って出しの映像だ。
穂積の服にも仕掛けてあったが、こちらは舞台上での絡みが思いの外少なかったので、捨て置いてきた。
空間のお目当ては、そう……。
空間
「早送り、早送り……」
小笠原がセットしただけあって、開演とともにスイッチの入ったカメラの映像。
しかし、空間にとって必要なのは、ロミオとジュリエットの物語ではない。
ピッ、と空間の指が動いて、早送りされていた映像が、通常再生に切り替わる。
ロレンス修道士の扮装をした小野瀬が、バルコニーの下から、空間を(←注:『ジュリエットである翼を』ではない:笑)見上げてきた。
小野瀬(映像)
『……ジュリエット。実は、俺も、あなたに一目で恋に落ちてしまった』
情感たっぷりに発せられた小野瀬のセリフに、一瞬、会場の時間が止まる。
小野瀬(映像)
『どうか、俺のものになってくれないか?』
一歩バルコニーへ近づき、空間を(注:翼を、ではない……以下略)を見つめると、小野瀬は彼女に手を差し伸べた。
小野瀬(映像)
『…ジュリエット、気がついたら好きになっていた。だから』
小野瀬は空間の(注)手を取ると、その手の甲に軽くキスした。
小野瀬(映像)
『俺のところへ来て』
空間
「……!……!……!」
切ない眼差しで見上げる小野瀬。
予想以上の破壊力に、声を殺したままごろごろ転がって悶絶する空間。
もう一度頭から再生しようとボタンを押したところ、誤ってまた早送りを押してしまった。
あっという間に録画が最後まで行き着いて切れてしまう。
が。
空間
「ん?」
何かが空間のセンサーに引っ掛かった。
今度は慎重に少しだけ戻し、再生する。
空間(ナレーション)
『こうして、ロミオとジュリエットは結ばれました。長い間の両家の確執に終止符を打ったのは、若い二人の純粋な愛だったのです……』
自分の声を合図に、舞台が暗転する。
この後、録画が切れるまでの数秒の間に……
『大丈夫だ』
やっぱり。
暗転中で映像は全く見えないが、間違いなく穂積の声が入っている。
穂積の声
『大丈夫だ……翼』
ぶつり、とそこで録画が切れる。
空間
「……」
さらに何度か確かめた後、停止ボタンを押したまま、他に誰もいない暗がりで、空間はしばらく考え込んでいた。
10/13(Sun) 13:48
☆前夜祭終了☆
小春
後夜祭には、グラウンドで炎が消えてゆくのを待って閉会宣言、という一応の完結があるが、前夜祭にはそれが無い。
翌日の文化祭を控えてその準備をしなければならない部活や委員会、あるいは、藤守アニが心配したように、夜、明るさの残る学校というシチュエーションに気持ちが高ぶってしまい、なかなか帰ろうとしない生徒も多いからだ。
それによる事故を防ぐために、ステージでの発表が終わり、指定の活動終了時間を過ぎた頃を見計らって、教師や生徒会役員の男子が校内を巡回する。
校舎の外周はアニと山田が、体育館や講堂など構内は穂積と小野瀬が、校舎内は生徒会の三人が、それぞれ見回る事になっていた。
いつもと違って校内一斉の消灯はされない。
このため、面白がって、これら見回りの教師や役員たちとかくれんぼのように追いかけっこをするような生徒さえいるのだ。
見回る側はかなり真剣になって、教室の隅々まで調べなければならなかった。
無人である事と火の気が無い事を確認した教室から、鍵をかけてゆく。
地道な作業だった。
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10/13(Sun) 17:02
ロミジュリおもしろかった(*´艸`)
エミ
壁|д・)寝落ちてタイミングずれたけど許してくださーい。
☆少し前の理事長室☆
エミ
「んー……こんなもんかな?」
パチンとハサミで糸の始末をして、出来上がったソレを掲げた。
ロバート&ポール
『可愛い~♪』
色とりどりの振袖や小物類を前にキャッキャうふふの二人が、エミの元へ駆け寄る。
先日着せてもらった振袖が気に入った二人は、明日の文化祭は振袖で参加したい旨を山田に申し出て、用意してもらっていた。
エミ
「どう?痛くないかしら?」
既製品に少し手を加え、片方の耳にそれぞれのイニシャルを刺繍して、秋らしい色柄の端切れでリボンを縫い付けた熊耳カチューシャを二人の頭に嵌めた。
ロバート
『大丈夫よ。ありがとう』
ポール
『ありがとう。似合うかしら?』
エミ
「それにしてもお二人ともダンスお上手ね。素晴らしいオープニングでした」
ロバート
『いやん、本当?三人でみっちり練習した甲斐があったわ。ね?』
ポール
『アニとあーんなことやそーんなこと……うふふっ、楽しかった~』
どんな練習なのか聞いてみたい気もするけど、おおよその想像はつく。
あらゆる角度から自分達の熊耳姿を鏡でチェックする乙女な二人を微笑ましく思いながら裁縫道具を片付けていると、窓からの風に乗って、ほのかに金木犀の香りと微かなタバコの匂いがした。
エミ
(穂積先生……?)
穂積が何か考え事がある時や独りになりたい時に、屋上でタバコを吸うのを知っているエミは、ぼんやりと窓の外を見つめた。
ロバート
『どうかしたの?』
エミ
「…えっ?ああ、なんでもないわ。さあ、そろそろ帰りましょうか。明日も楽しい思い出たくさん作りましょうね」
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10/13(Sun) 17:22
せっかくだから。
小春
理事長室を後にしたロバートとポール。
エミに着付けてもらった熊耳カチューシャと振り袖姿のままなのは、帰りに写真館に寄って、記念撮影してもらおうと思っていたからだ。
廊下に出て、ふと、夜の校舎を眺めると、まだ家庭科室には煌々と明かりが灯り、窓にコックスーツの明智の後ろ姿が見えていた。
ロバート
「あ!マーサがいるわ!」
ポール
「え、どこどこ?」
ポールがロバートの指差す先に目をやった時、間の悪い事に、家庭科室の下の階の廊下を、並んで歩く穂積と小野瀬の姿が見えた。
二人は構内の施錠を終え、生徒会の見回りを手伝う為、藤守たちとは逆方向から、校内の戸締まりを点検しながら歩いていたのだ。
ロバートとポールの目が輝いた。
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10/14(Mon) 14:51
次は文化祭かな?
ジュン
ロバート
『ルイとアオイに見てもらいましょう!』
ポール
『かわいいって言ってくれるかしら?!』
ロバート
『その後はマーサね。』
ポール
『もちろん!』
そして二人は振り袖姿とは思えない驚異のスピードで穂積と小野瀬を追いかける。
ゴォォォォー
穂積
「なっ、なんだ?」
小野瀬
「穂積、後ろ!!」
ロバートとポールのあまりの勢いに、穂積と小野瀬は駆け出した。
ロバート
『ルイ~、アオイ~。』
ポール
『待って~。』
穂積
『待てるわけないだろ!?』
小野瀬
『二人とも追いかけてこないで!』
こうして鬼ごっこ(?)が始まってしまった…………
私はどうしようかなぁ。
猫耳がウサ耳か普通にカチューシャか……悩むなぁ(;>_<;)
[削除]
10/14(Mon) 15:58
文化祭、始めちゃいましょうか。そして、紅花=くちびるさん登場です(´∇`)ノシ
小春
『桜祭』二日目、早朝。
???
「(小声)おはよーございまーす……」
囁くような声で家庭科室の引き戸を開け、そろりそろりと忍び込んで来たのは、右手にハンディタイプのデジタルビデオカメラを構えた、小柄な少女だ。
ファインダーを覗きながら歩いて行く彼女の向かう先には、部屋の隅の床に敷いた毛布の上に並んですやすやと寝ている、兄と妹の姿。
二人で一枚の毛布をかけているが、小春はさらにツタンカーメン式の寝袋に入って、手枕で眠る長身の明智にくっついている。
よく似た整った寝顔に笑いを堪えながら、少女は二人の枕元まで来ると、屈み込んで、小春の柔らかい頬をぷにっと押した。
???
「(小声)……こーはる、ちゃん」
小春
「……んぅ……?」
小春はむずむずと動くと、ぶかぶかの寝袋の中で、もぞもぞと手を動かした。
おそらく目を擦ろうとしているのだろうが、自分の手が寝袋の中にある事に気付いていない。
じたばたしているうちに、隣の明智の方が先に目を覚ました。
明智
「……?」
薄目を開けた明智は、自分と小春を覗き込んで微笑んでいる少女に気付いて、腕を伸ばした。
明智
「……紅花じゃないか。おはよう……」
紅花、と呼ばれた少女は、にこりと笑った。
目鼻立ちのはっきりした、ちょっとハーフっぽい顔立ちが輝きを増す。
紅花
「おはよう、まーく……じゃなかった、おはようございます、明智先生」
明智
「……ん……広報委員の仕事か……?」
明智に頭を撫でられて、紅花は嬉しそう。
紅花
「はい。『桜祭』のオフショットを集めてるんです。自然体の相手を撮影したのを編集して、会場のあちこちに設置したモニターで放映するんですよ」
明智
「ふうん……」
徐々に覚醒しながら、明智は、自分の腕の中で寝袋と格闘している小春に気付いた。
愛しげに笑いながら、顔の下のファスナーを腹まで開けてやる。
紅花がカメラをしっかりと構え直した。
明智
「小春、朝だぞ」
小春
「……うーん」
ようやく手が出た。小春はロングTシャツの袖で、自分の目を数回擦った。
紅花
「小春ちゃん、お、は、よ」
小春が、やっと目を開ける。
小春
「おはよう……、あれ?べにかちゃん?……ここどこ?」
紅花
「家庭科室だよ。小春ちゃん、泊まり込みしたんだね」
小春
「……うん。そうだよね。……目が覚めたら紅花ちゃんがいたから、自分の家かと思った」
小春はまだ眠そうに瞬きをした。
実は、紅花は、明智兄妹の近所に住む幼なじみ。
特に小春とは年令が同じという事もあり、お互いの家に泊まりに行くほどの仲良しだ。
おっとりした小春とは対照的に、紅花は物怖じしない性格で、いつも小春を引っ張ってくれるタイプの子だった。
紅花
「小春ちゃん、今、これ、撮影中なの」
紅花はカメラを持つ右手を、もう一方の指先で指差した。
紅花
「後で編集するけど、明智先生と小春ちゃんの寝起きドッキリでーす」
小春は、紅花の方に寝返りを打つ。
小春
「バズーカ撃つの?」
紅花
「撃たない」
小春
「撃たないのかー……」
明智
「撃って欲しかったのか……」
うーん、と小春が伸びをした。
白いお腹とお臍が出るのを、慌てて明智が裾を引いて隠す。
明智
「ほら、もう起きよう。文化祭の朝だ、忙しくなるぞ!」
ロミジュリ♪
小春
☆舞台袖☆
篠崎
「……小野瀬くん、GO」
小野瀬
「えっ俺?いや、俺は、ラストの結婚式での神父役だよ?!」
篠崎
「……小野瀬くん」
舞台上では藤守が穂積に逆エビ固めを決められ、ばんばん床を叩きながら悲鳴を上げている。
バルコニーの上では、翼がおろおろ見下ろしている。
すでに収拾がつかなくなりかけている状況の中、篠崎は、大きく息を吸い込むと、スカートを持ち上げてヒールを脱ぐが早いか、舞台に向かって小野瀬の背中を蹴飛ばした。
篠崎
「GO!」
小野瀬
「うわぁっ!」
[削除]
10/10(Thu) 17:12
ちょびっとだけ…
エミ
『キャーーー!キャーーー!』
篠崎のGO蹴りで登場した小野瀬に、先ほどの穂積の登場時と同じくらいの黄色い歓声が上がる。
小野瀬が挨拶がわりに観客席に向かって微笑むと、アオイスト達の歓声は悲鳴に近いものになった。
空間は小さく舌打ちをして、メモ帳を開くと何かを書き込んだ。
空間
「篠崎、-200…」
[削除]
10/10(Thu) 17:30
私もちょいつなぎます。
とも
バルコニーから穂積と藤守のやりとりをハラハラして見ていると、今度は小野瀬が舞台に飛び出してきた。訳がわからずオロオロしていると、舞台裏からともが翼の衣装を引っ張った。
とも
「翼、今のうちに一旦舞台から下がっとくで」
翼
「え?でも…」
とも
「ええから。この調子やと、みんなプロレスやってる二人と小野瀬神父しか見てへんて。」
こそっとバルコニーの階段から降りると、小春と篠崎が待っていた。
小春
「あまりに台本と内容が違うからお兄ちゃんの台本を見せてもらったんだけど、空間先輩や翼ちゃんに内緒でセリフやらストーリーやらを変更していたみたいなの」
『ホラ』と渡された台本には自分のには書かれていないようなセリフがあちこちに書かれていた。しかも全く寸劇っぽくない。
篠崎
「まったく、勝手に台本変えるなら言っとかないと、こっちが困るじゃない。ねぇ?」
篠崎の言葉に頷いた一同はチラリと明智た小笠原の方を見た。小春に至っては明智を見る目が怒っている。
小春
「お兄ちゃん、キライ」
会心の一撃を受けた明智はその場で崩れ落ちた。
[削除]
10/10(Thu) 19:16
ロミジュリ
清香
あら、靴を脱いでから蹴るなんて今日は優しいじゃない、ワタシ♪
しかし空間さんのノートがデスノートに見えてきたのは気のせいかしら?(ガタガタ)
☆舞台袖☆
明智
「き、嫌…い、か……。は、ははは、ッ」
予想以上の明智のダメージに、言ったはずの小春本人も心を痛めていた。
距離を取り、目を合わせようとしない兄妹に周囲はどう接していいか分からないでいると。
篠崎
「明智先生、ちょっと。」
明智の腕を引っ張り少し離れた所へ連れて行くと、篠崎は何やらボソボソと耳打ちをした。
明智
「…本当にそれで見直して貰えるのでしょうか?」
不安げに篠崎を見下ろす姿は怒られた子どものような幼さが滲む。
篠崎
「もちろんです。無事に寸劇を終わらせて開会宣言を藤守君にさせられるのは、もう明智先生しかいないんですよ。今が腕の見せ所じゃないですか?」
明智
「…は、はい。やってみます。」
篠崎
「ええ。行ってらっしゃい。」
深い呼吸を一つして、明智が舞台袖からステージへ歩みを進めるのを見送ると、篠崎が翼へ振り返る。
篠崎
「さぁ、持ち場に戻って!明智先生がどうにか本来の台本に戻してくれるから!」
とも
「ええっ、大根なのに!?」
小春
「……ともちゃん。」
翼
「不安ばかりなんですが…。」
暗い顔しか見せない3人を引きずられないよう、篠崎が翼の背中をグイッと押した。
篠崎
「どうにかなる!というか、どうにかしよう!」
10/10(Thu) 19:26
こんばんは♪
くちびる
面白すぎてお腹がイタタタタタタタタタ(笑)(*^^*)
皆さん凄いなあ…ドタバタが目に浮かびますねえ~(笑)(*^^*)
他力本願で..そっと覗いてますねえ~!←オイッ(ToT)
[削除]
10/10(Thu) 21:38
ロミジュリ♪
小春
☆ステージ上☆
一方こちらは舞台上。
篠崎に蹴り出された小野瀬はひとまず観客の声援に応えて手を振りながら、ゆっくりと、舞台の中央に向かって歩き出した。
が、その笑顔の裏で、彼の脳細胞は、この事態を収拾するためにフル回転していたのだ。
男子生徒の期待を背負って、ロミオに無謀な戦いを挑み続けているパリス藤守。
まともなハッピーエンドが恥ずかしいばっかりに、無駄な抵抗を続ける穂積ロミオ。
何やらタイミングを計っている父明智と乳母小笠原。
舞台袖で小野瀬を拝んで(あるいは何とかしろと睨んで)いる、実行委員の女子たち。
見上げたバルコニーには、どうやら男たちのシナリオ書き換えを知らされたものの、どうすればいいのか途方に暮れた顔の櫻井ジュリエット。
小野瀬
「……」
この舞台上で、いま、ロレンス修道士を演じる小野瀬の取るべき行動は、ひとつしか無かった。
小野瀬はバルコニーの下まで行き着くと、翼を見上げた。
小野瀬
「……ジュリエット。実は、俺も、あなたに一目で恋に落ちてしまった」
情感たっぷりに発せられた小野瀬のセリフに、一瞬、会場の時間が止まる。
小野瀬
「どうか、俺のものになってくれないか?」
一歩バルコニーへ近づき、翼を見つめると、小野瀬は彼女に手を差し伸べた。
小野瀬
「…ジュリエット、気がついたら好きになっていた。だから」
小野瀬は翼の手を取ると、その手の甲に軽くキスした。
小野瀬
「俺のところへ来て」
翼
「えっ」
「ぎゃあああぁああああああ!」
体育館が揺れた。
藤守
「何やてえ?!」
穂積
「てめえふざけるな!」
阿鼻叫喚の中、舞台袖で、再び篠崎のGO蹴りが炸裂した。
篠崎
「明智くん、今よ!」
明智
「待て!お父さんは許さんぞ!」
[削除]
10/11(Fri) 08:27
おはようございます
とも
ロミジュリ続き。
小野瀬同様に篠崎に蹴り出された明智がステージに現れた。
明智
「ジ、ジュリ、ジュリエットは私の大事な娘だ。な、長年の間仇、と、してきた家の人間や、神父の格好をしていろんな女に手を出すような奴に渡してたまるか!」
小野瀬
「最後だけスラスラ言えたのは気のせいかな?」
藤守
「せやから言うたやろ?ジュリエットは婚約者である俺のもんや!」
明智
「いや、お前も信用できない」
小春
「お兄ちゃん?!」
[削除]
10/11(Fri) 11:02
寝落ちしました。
清香
大人しく蹴り出される明智先生がステキです。
普段からいかにお姉さん達に虐げられているのが分かります(爆笑)
☆ステージ上☆
明智
「お前は先日、『誰でもええから彼女になってくれへんかなぁー、あっ、出来れば巨乳の子がええんやけどなぁ』と言っていただろう!」
藤守
「ちょっ、それはッ、ただの冗談やし、お芝居とは関係ない個人的な願望の表れというか…、健全な男子なら一度は考える事やん?なぁ?」
確かに生徒会室へ向かう途中の廊下で如月にそんな話をした覚えのある藤守は慌てて言い訳をするも、会場中の女子生徒からブーイングの声が上がる。
それに怯えたのか、藤守と視線を合わせる男子生徒は皆無の上。
『サイテー』『胸さえあればいいの?』『へんたーい』『女の敵よ!!』
浴びせられる非難の声に藤守はもう涙目だ。
藤守
「なんで、こんな事になったんや…(涙)」
項垂れる藤守を尻目に、明智は小野瀬へと向き直る。
明智
「そんなしおらしい恰好をしていても、俺の目はごまかせませんよ。」
小野瀬
「今日もずいぶん突っかかってくれるね。」
売り言葉に買い言葉か。
互いに視線を逸らさずじりじりと距離を詰めていく様は、もうお芝居でも何でもない。
ただのケンカの様相を表し始めた二人の隙を突くように、穂積がバルコニーの下までそろりと近づくと。
穂積
「逃げるぞ、ほら。」
[削除]
10/11(Fri) 11:37
可哀想すぎる
ジュン
賢史くんが可哀想すぎる(ノд<)
全校生徒の前でばらされちゃって……
まぁ、自業自得よね(^_^;)
劇もラスト(?)ですね!
楽しみです!!(←すっかり読者)
10/11(Fri) 11:54
あーあ。
小春
明智
「ロミオ!」
両腕を伸ばし、バルコニーから身を乗り出した翼と手が触れた途端、明智がその穂積を振り返った。
突然矛先を向けられ、ぎくりとする穂積ロミオ。
明智
「お前は元々、違う女が目当てで舞踏会に潜り込んだくせに!この浮気者!」
穂積
「わあ!俺だけ役へのツッコミ?!」
穂積を牽制しておいて、明智は再び小野瀬に向き直る。
明智
「毎月毎月、理科教材の納入業者が、場にそぐわない厚化粧をして放課後生物教室を訪れるのを、誰も知らないと思ってるんですか!」
???
『そうよ!』
小野瀬
「ん?」
どこからか聞こえた謎の声に、怪訝な顔の小野瀬。
明智は娘ジュリエットに言い寄る全員に悪態をついた後、舞台の裏手から階段を駆け昇って、翼のいるバルコニーに再び姿を現した。
明智
「うちの娘は誰にもやらん!綺麗な服を着せて、美味しいものを食べさせて、本物の音楽だけを聴かせて、美しいものだけ見せて暮らさせるんだ!」
[削除]
10/11(Fri) 12:06
お前もな。
小春
一方、こちらは舞台袖。
突然スイッチの入ってしまった明智に、一同は呆然としている。
小春
「し、篠崎先生……いったい、お兄ちゃんにどんな作戦を授けたんですか……?」
恐る恐る、発案者の篠崎に尋ねると、篠崎自身にも予想以上の展開だったのか、苦笑いが返ってきた。
篠崎
「ジュリエットを小春さんだと思え、って言ったんだけど……ちょっと効果がありすぎたみたいね……」
それを聞いた小春は、ステージ上でなおも熱弁を奮う明智の姿に、目頭を熱くするのだった。
小春
「お兄ちゃんのバカ……」
[削除]
10/11(Fri) 15:22
愛すべきおバカ兄妹(褒めてます)
清香
原作が迷子です。見つけた方は、インフォメーションセンターへご連絡下さい←
☆ステージ上☆
小さな翼の肩を抱きしめ、絶対に渡さないと言いたげに鼻息荒く熱弁を振るう明智に、藤守も小野瀬も観客達も何も言えなくなってしまった。
し…んと静まり返る会場に、穂積の真剣な声が響く。
穂積
「…彼女の気持ちを聞かせて下さい。」
明智
「なんだ…と?」
穂積
「可愛い娘を手放したくない貴方の気持ちは分かった。でも、俺はジュリエットの気持ちを聞きたい。」
明智
「そ、それは…ッ!」
明智の心が揺れたのを見て、穂積が再びバルコニーの下から翼へ手を伸ばした。
穂積
「…ジュリエット、今、あなたに4人の愚かな男が恋をしています。あなたは誰にその心を向けて下さいます…か?」
選ぶのは父親でも男達でもなく、本人なのだと。
穂積
「…ジュリエット。」
翼
「わ、私は…」
そして幸せを掴むのは自分自身でするべきなのだと。
翼
「私の心は…っ!」
精一杯伸ばした穂積の手に引き寄せられるように、翼が明智の腕からするりと抜け出す。
翼
「ロミオ様…の元、にっ」
二人の手が触れようとした、その時。
『ガタンッ!!!』
簡易バルコニーの手すりが外れ、手を伸ばしていた翼の体がグラリと揺れた。
翼
「きゃあぁぁぁ!?」
穂積
「危ないッ!!」
[削除]
10/11(Fri) 15:43
ロミジュリ♪
小春
手すりが外れ、支えを失った身体。
咄嗟に目をつぶる直前、翼は見た。
自分に向かって、両手を広げるロミオの姿を。
穂積の姿を。
思い切って手を伸ばした時、翼は、自分の身体がしっかりと広い胸に受け止められたのを感じた。
満場の拍手と嘆息とともに、待ち構えていた空間のナレーションが入る。
空間
『こうして、ロミオとジュリエットは結ばれました。長い間の両家の確執に終止符を打ったのは、若い二人の純粋な愛だったのです……』
しっかりと抱き合う二人にスポットライトが当たり、徐々に暗くなって、そして、舞台は暗転した。
やがて幕が降りても、拍手はいつまでも鳴り止まなかった。
[削除]
10/11(Fri) 16:29
皆様おつかれさま☆ロミジュリ終演☆
小春
目を開けた時、舞台は真っ暗だった。
自分は誰かの腕に抱かれている。
その相手は穂積のはずだと頭では分かっていても、確かめる術の無い暗がりの中では、やはり怖い。
落ちたのを受け止めてくれた体勢でいた相手が、身を屈めて、翼の足を地面に下ろしてくれた。
けれど、そうなると今度は、手を離されそうになるのが怖い。
翼
「やだ……」
翼は咄嗟に相手の腕を掴んだ。
すると、相手は、ぐっ、と翼の身体を引き寄せてくれた。
「大丈夫だ」
温かい胸と力強い腕に包まれる形になって、翼の胸が、とくんと鳴った。
……この声。
「大丈夫だ……翼」
翼
「……」
翼はどきどきしながら、それでも、力を抜いて、闇の中の相手に身体を預けた。
大丈夫、この人なら、きっと大丈夫。
翼
「……はい」
相手からも、速い鼓動が伝わってくる。
その心音を頼りに、翼がうっとりと目を閉じた時、ふ、と額に何かが触れた。
羽のように軽く、柔らかく、温かい……
唇?
キスされた……?
翼
「今……」
確かめようとした時、相手の手が翼から離れた。
あっと思った瞬間、光が戻った。
しばらく目が開けられないほど眩しくて、ようやく明るさに慣れた頃には、もう、世界は一変していた。
いつの間にか、自分はもう舞台袖の奥にいる。
振り返った舞台上には、開会宣言をする為に、中央の演台に立つ、パリスの扮装のままでさっきのロミオの冠を被った、藤守。
そして、プログラム1番で演奏するため、楽器を構えて整列し、指揮者を待つ吹奏楽部員たち。
翼の近くにいるのは、同じように闇に怖じ気づいていたのか、しゃがみこんでカーテンにしがみついている小春だけ。
篠崎たち教師や、ともたち実行委員会の面々は、いつの間にかもう体育館の出口の方にいた。
翼はハッとして辺りを見渡したけれど、思い浮かべていた人物は、近くにいない。
翼
「……」
でも。
……あれは確かに……。
翼は思い起こすとともに熱くなる頬を押さえながら、しばらくの間、動く事も出来ずに立ち尽くしていたのだった……。
10/11(Fri) 17:01
お疲れさまでした(^-^)/
とも
無事にロミジュリ終われましたね~♪
10分では絶対終わってないやろうけど。
明智お父さん、ちっとも大根やないですか~(笑)
さすが小春さんのお兄ちゃんですね。
次からは文化祭ですかね?
続きも楽しみです ←他力本願♪
[削除]
10/11(Fri) 17:16
ともさん(´∇`)ノシ
小春
この後は、藤守さんの開会宣言かーらーのー、前夜祭です。
皆様よろしくお願いしますm(__)m
[削除]
10/11(Fri) 17:29
おつかれさま
ジュン
皆さん、お疲れ様です。
無事(?)劇も終幕しましたね。
ちょっと横路?
衣装から制服に着替えた翼は他の生徒会の面々がいる生徒会室の前にいた。
扉を開けるのに少し戸惑ってしまうのは、この頬の熱の原因の彼の声が聞こえるから……
思い切って扉を開くと先程までの甘い感覚など吹っ飛ぶような怒鳴りあいだった。
穂積
「だから、あれはあの場のノリだろう?」
藤守アニ
「ノリなどという言葉で片付けられるか!?」
明智
「あの、とりあえず無事に終わったのですから……」
藤守アニ
「うるさい!お前も同罪だ!」
物凄い剣幕で怒鳴りたてるアニ先生を横目に翼は小春とともに近づく。
翼
「ど、どうしたの?」
小春
「寸劇のことでアニ先生のお説教が始まっちゃって……」
とも
「もともとアニ先生は岩窟王にしろ!生徒が浮かれる!って言ってたから……」
どうやら、寸劇は大成功だったらしく、終幕後は例年以上に生徒たちが盛り上がってしまったらしい。
男子生徒はプロレス技を掛け合うし、女子生徒は舞台の写真をそれぞれ交換したり、浮かれまくりであるらしい。
そしてアニ先生のお説教が始まってしまった……らしい。
終わりの見えない言い争いにどうしたものかと顔を見合わせる女子。
そこにノックの音と共に篠崎と空間、ジュンが現れた!
篠崎
「どうしたの?」
空間
「声が廊下にまで響いていますよ?」
翼たちがことの成り行きを説明すれば二人は「まったく……」と溜め息をつく。
そして、やはりアニ先生をとめられるのはこの人だった。
ジュン
「慶史兄さん。」
アニ先生
「ん?ジュンか。邪魔をするな。俺は今こいつらに学園祭のなんたるかをだな……」
ジュン
「魔女姿、とっても綺麗だったよ。写真撮っちゃった。」
ニッコリと笑うジュンがアニにスマホを振ってみせる。
アニ先生
「…………っ!」
「さすが!」と思わず口に出してしまうようなジュンのアニ操縦術に女子たちは拍手を送ってしまった。
ジュン
「盛り上がってよかったね?」
アニ先生
「……そ、そう……だな。」
大人しくジュンに同意するアニを腹を抱えて笑う穂積を見て、さっきのことは幻だったのかと思う翼がいた。
(穂積先生はいつも通りだな……)
[削除]
10/11(Fri) 17:36
忘れてた
とも
小春さん、すっかり寸劇が終わったら前夜祭も終わりと思ってました(-_-;)
ジュンさん、アニの扱いはジュンさんにお任せします(*´∇`*)
[削除]
10/12(Sat) 04:00
これからが本番です(笑)
清香
小春さん、ロミジュリの締め、ありがとうございました。
そしてジュンさん、素晴らしい手綱さばきだわッ!
☆生徒会室☆
藤守
「ま、まぁ、とりあえず寸劇も無事に終わったんやし、俺らも前夜祭見に行かへん?」
アニが大人しくなったのを待っていたかのように、藤守が明るい声を出して皆を誘った。
如月
「そうですよー。そろそろ演劇部による本物の『ロミオとジュリエット』が始まっちゃいますよ。せっかくだからみんなで見に行きましょうよ。」
いくつものチェックマークがついた文化祭のプログラムを広げながら目を輝かせる二人を見ていると、次第に気分も高まっていく。
翼
「で、でも…。」
とも
「まだやらなアカン仕事があるんや…ないですか?」
小春
「私もカレーが…。」
おちゃらけた先輩達とは対称的に、下っ端役員である女子達は今更かもしれないが緊張をし始めていた。
藤守
「平気やって。後は終わった後の見回りだけやし、それは俺らと先生でやるから気にせんでええよ。」
それでも『どうしよう?』と顔を見合わせる一年生女子たちの背中を、篠崎が笑いながら叩く。
篠崎
「ほらっ、『桜祭』はもう始まったのよ?初めてだからこそ目一杯楽しまなくちゃ。」
小野瀬
「そうそう。仕事熱心なのは良いけれど、生徒会役員の前に君達も一人の生徒だからね。」
明智
「小春、カレーは俺が出来るところまではやっておくから、心配しなくていい。行ってこい。」
如月
「じゃあ、決まり!!早く行こうよッ!!」
皆より一足早く生徒会室のドアを開き、皆が出てくるのを待ち構える如月を『まるで小学生だな』とアニが言うと、生徒会室内にドッと笑いが起こる。
教師達
「行ってらっしゃい」
見送る教師達の視線を背中に受けながらも、翼の心は未だに生徒会室に置き去りにされたままだった。
翼
(……穂積先生)
そっと触れた額はまだ熱を持っているようにジンジンと熱い。
そして、その熱は指先から少しずつ翼の体を蝕むように体内へと広がっていった。
10/12(Sat) 09:44
前夜祭
ジュン
生徒会長の開会宣言のあと、前夜祭の内容としては演劇部の正統派「ロミオとジュリエット」を始め、教職員やPTAによる簡単な模擬店や野外ステージで軽音部のライブなどがあり、どこもとても賑わっている。
それぞれが思い思いの場所で楽しむことになる。
では、楽しみましょう(* ̄∇ ̄)ノ
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10/12(Sat) 10:06
☆前夜祭☆
小春
演劇部もロミジュリやるんだ(笑)
生徒会室を出て歩く廊下や壁のあちこちには、いかにも高校生の手作りらしい飾り付けが施されていて、普段の校舎とは趣を異にしている。
窓の外ももう暗いのに、辺りは生徒たちの行き交う姿と様々な声や音が混じりあって、肝試しの夜とはまた違う、独特の熱気が感じられた。
生徒(男子)
「あっ、藤守先輩!」
生徒(男子)
「パリスの衣装、格好よかったですよ!」
廊下で立ち話をしていた、一年生らしい男子たちが、笑顔で藤守に声をかけてきた。
藤守
「ホンマか?そしたら、ミスター桜祭の投票、頼むで!」
足を止めてアピールする藤守の後ろを、数人の女子たちが通り過ぎる。
生徒(女子)
「中身は巨乳好きだけどねー」
生徒(女子)
「生徒会の後輩さんたちも、気をつけた方がいいわよー」
藤守
「お前らそれでもクラスメイトか!」
藤守の反論を無視して、三年生の女子たちは、笑いながら歩いて行ってしまった。
藤守
「ぐぐぐ……」
如月
「まあまあ。まだ始まったばかりですし、挽回するチャンスはありますから」
とも
「そうですよ。それに、こうして一緒に歩いてるとよう分かるけど、みんながすごく親しく話しかけてくるやないですか。人気者ですよ」
藤守
「そうやろか」
同意を求めた藤守に、そうですよ、と小春が笑顔で頷き返す。
それまでぼんやりしていた翼はふと、違和感を覚えた。
小春が、なんとなく元気がない。
翼
「小春ちゃん」
小春
「うん?」
耳元に囁きかけてみると、小春はぴくんと反応した。
小春
「なあに?」
けれど、返事とともに振り向く笑顔は、いつもの小春だ。
翼の気のせいだったのか。
翼
「ううん。こうして、一緒に前夜祭見て歩けると思ってなかったから、良かったなって」
翼は咄嗟に、思い付いた事を言った。
小春が頷く。
小春
「うん。お兄ちゃんがカレーの下拵えを引き受けてくれたおかげ。寸劇で翼ちゃんやみんなを困らせた事、すごく反省してるみたい」
翼
「私は気にしてないよ」
小春
「ありがとう。後で、お兄ちゃんにも伝えておくね!」
やっぱり気のせいだったのかな。
繋いで歩く小春の手の温かさを感じながら、翼の意識は再び胸の奥の穂積と、目の前の前夜祭とに向けられていった。
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10/12(Sat) 10:55
まだ前夜祭なのよね
清香
☆生徒会室☆
生徒達が前夜祭へ向かった後、教師達もそれぞれの持ち場へ戻ろうと重い腰をあげた。
アニ
「じゃあ、俺は正門を監視してくる。」
それだけ言いきると、後ろを振り返らずにスタスタと出て行ってしまった。
小野瀬
「監視って…。本当に正門に立つのが好きだよね、彼も。」
苦笑いを浮かべる小野瀬に篠崎も笑いを噛み殺しながら頷く。
明智
「では、俺は家庭科室でカレーの仕込みをしてきます。」
いつの間に用意したのだろう、白いコックコートを片手にドアへと向かう明智の背中に篠崎が声をかける。
篠崎
「明智先生、お手伝いしましょうか?」
明智
「…篠崎先生がですか?」
料理なんてできるのか?と言いたげな視線を投げる明智に、篠崎は手の甲を見せる。
篠崎
「これでも自炊歴は長いですし、爪も長くしてませんよ?小春さんほどお役にたてるか分かりませんけど、猫の手よりはマシじゃないですか?」
明智が持っていたレシピを手に取り、工程を確認しようとする篠崎に明智がため息をつく。
明智
「………。分かりました、お願いします。…ただ、厳しいですよ?」
どんな料理マンガだと言いたくなるほど鋭い視線で言い放つ明智は既に国語教師では無く、だた一人の料理人となっていた。
篠崎
「はい、覚悟しておきますね。」
それでものほほんと笑う篠崎を伴いながら明智が生徒会室を出て行くと。
小野瀬
「…で、お前はどうするの?見回りまでまだ時間があるから準備室でコーヒーでも飲むか?」
生徒会長席に座ったまま一言も発しないでいた穂積にそう言うも、穂積はどこか上の空だった。
小野瀬
「ほーづーみー?大丈夫か?」
穂積
「…ッ、ん?な、なんだ?」
顔の前で手をヒラヒラ振られて、穂積はやっと自分が呼ばれているのに気がついた。
小野瀬
「お前がボーっとするなんて珍しいな。さすがに疲れたか?」
穂積
「…いや、何でもない。」
小野瀬
「じゃあ、コーヒーでも飲むか?」
穂積
「ん…、あぁ、頼む。」
『じゃあ、行くか』と生徒会室を出たものの、生物準備室へ向かう途中の階段で穂積は上を指さした。
穂積
「ちょっと屋上で一服してから行く。」
小野瀬の返事を待たないまま、立ち入り禁止の札をくぐって穂積はスペアキーで屋上へのドアを開いた。
ひんやりとした風が穂積の金色に輝く髪を揺らす。
穂積
「……ったく、何してんだよ、俺。」
金木犀の香りを乗せた風が、小さく呟いた穂積の言葉を夜空へと運んで行った。
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10/12(Sat) 14:38
こんにちは♪
くちびる
何だかワクワクする展開になってますねえ~!
ワクワクドキドキしながら読んでますよ♪
ロミジュリまじで吹きっぱなしでした。
楽しすぎる~(笑)(*^^*)
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10/12(Sat) 17:14
☆その頃の空間センパイ☆
小春
小野瀬の動線に沿って、校内のあちこちに張り巡らされた、空間のアジトの一角。
前夜祭の仕事の合間を縫って、彼女はさっき小笠原から回収してきたばかりのUSBメモリをPCに差し込む。
暗がりで輝くディスプレイに映し出されたのは、空間が小笠原と小春に命じて翼のドレスに縫い付けておいた、超小型カメラからの映像。
ざわざわという会場の喧騒も、高感度マイクはきちんと拾っている。
空間自身が翼のドレスから糸を切ってカメラを取り外し、小笠原の編集も受け付けずに回収してきた、録って出しの映像だ。
穂積の服にも仕掛けてあったが、こちらは舞台上での絡みが思いの外少なかったので、捨て置いてきた。
空間のお目当ては、そう……。
空間
「早送り、早送り……」
小笠原がセットしただけあって、開演とともにスイッチの入ったカメラの映像。
しかし、空間にとって必要なのは、ロミオとジュリエットの物語ではない。
ピッ、と空間の指が動いて、早送りされていた映像が、通常再生に切り替わる。
ロレンス修道士の扮装をした小野瀬が、バルコニーの下から、空間を(←注:『ジュリエットである翼を』ではない:笑)見上げてきた。
小野瀬(映像)
『……ジュリエット。実は、俺も、あなたに一目で恋に落ちてしまった』
情感たっぷりに発せられた小野瀬のセリフに、一瞬、会場の時間が止まる。
小野瀬(映像)
『どうか、俺のものになってくれないか?』
一歩バルコニーへ近づき、空間を(注:翼を、ではない……以下略)を見つめると、小野瀬は彼女に手を差し伸べた。
小野瀬(映像)
『…ジュリエット、気がついたら好きになっていた。だから』
小野瀬は空間の(注)手を取ると、その手の甲に軽くキスした。
小野瀬(映像)
『俺のところへ来て』
空間
「……!……!……!」
切ない眼差しで見上げる小野瀬。
予想以上の破壊力に、声を殺したままごろごろ転がって悶絶する空間。
もう一度頭から再生しようとボタンを押したところ、誤ってまた早送りを押してしまった。
あっという間に録画が最後まで行き着いて切れてしまう。
が。
空間
「ん?」
何かが空間のセンサーに引っ掛かった。
今度は慎重に少しだけ戻し、再生する。
空間(ナレーション)
『こうして、ロミオとジュリエットは結ばれました。長い間の両家の確執に終止符を打ったのは、若い二人の純粋な愛だったのです……』
自分の声を合図に、舞台が暗転する。
この後、録画が切れるまでの数秒の間に……
『大丈夫だ』
やっぱり。
暗転中で映像は全く見えないが、間違いなく穂積の声が入っている。
穂積の声
『大丈夫だ……翼』
ぶつり、とそこで録画が切れる。
空間
「……」
さらに何度か確かめた後、停止ボタンを押したまま、他に誰もいない暗がりで、空間はしばらく考え込んでいた。
10/13(Sun) 13:48
☆前夜祭終了☆
小春
後夜祭には、グラウンドで炎が消えてゆくのを待って閉会宣言、という一応の完結があるが、前夜祭にはそれが無い。
翌日の文化祭を控えてその準備をしなければならない部活や委員会、あるいは、藤守アニが心配したように、夜、明るさの残る学校というシチュエーションに気持ちが高ぶってしまい、なかなか帰ろうとしない生徒も多いからだ。
それによる事故を防ぐために、ステージでの発表が終わり、指定の活動終了時間を過ぎた頃を見計らって、教師や生徒会役員の男子が校内を巡回する。
校舎の外周はアニと山田が、体育館や講堂など構内は穂積と小野瀬が、校舎内は生徒会の三人が、それぞれ見回る事になっていた。
いつもと違って校内一斉の消灯はされない。
このため、面白がって、これら見回りの教師や役員たちとかくれんぼのように追いかけっこをするような生徒さえいるのだ。
見回る側はかなり真剣になって、教室の隅々まで調べなければならなかった。
無人である事と火の気が無い事を確認した教室から、鍵をかけてゆく。
地道な作業だった。
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10/13(Sun) 17:02
ロミジュリおもしろかった(*´艸`)
エミ
壁|д・)寝落ちてタイミングずれたけど許してくださーい。
☆少し前の理事長室☆
エミ
「んー……こんなもんかな?」
パチンとハサミで糸の始末をして、出来上がったソレを掲げた。
ロバート&ポール
『可愛い~♪』
色とりどりの振袖や小物類を前にキャッキャうふふの二人が、エミの元へ駆け寄る。
先日着せてもらった振袖が気に入った二人は、明日の文化祭は振袖で参加したい旨を山田に申し出て、用意してもらっていた。
エミ
「どう?痛くないかしら?」
既製品に少し手を加え、片方の耳にそれぞれのイニシャルを刺繍して、秋らしい色柄の端切れでリボンを縫い付けた熊耳カチューシャを二人の頭に嵌めた。
ロバート
『大丈夫よ。ありがとう』
ポール
『ありがとう。似合うかしら?』
エミ
「それにしてもお二人ともダンスお上手ね。素晴らしいオープニングでした」
ロバート
『いやん、本当?三人でみっちり練習した甲斐があったわ。ね?』
ポール
『アニとあーんなことやそーんなこと……うふふっ、楽しかった~』
どんな練習なのか聞いてみたい気もするけど、おおよその想像はつく。
あらゆる角度から自分達の熊耳姿を鏡でチェックする乙女な二人を微笑ましく思いながら裁縫道具を片付けていると、窓からの風に乗って、ほのかに金木犀の香りと微かなタバコの匂いがした。
エミ
(穂積先生……?)
穂積が何か考え事がある時や独りになりたい時に、屋上でタバコを吸うのを知っているエミは、ぼんやりと窓の外を見つめた。
ロバート
『どうかしたの?』
エミ
「…えっ?ああ、なんでもないわ。さあ、そろそろ帰りましょうか。明日も楽しい思い出たくさん作りましょうね」
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10/13(Sun) 17:22
せっかくだから。
小春
理事長室を後にしたロバートとポール。
エミに着付けてもらった熊耳カチューシャと振り袖姿のままなのは、帰りに写真館に寄って、記念撮影してもらおうと思っていたからだ。
廊下に出て、ふと、夜の校舎を眺めると、まだ家庭科室には煌々と明かりが灯り、窓にコックスーツの明智の後ろ姿が見えていた。
ロバート
「あ!マーサがいるわ!」
ポール
「え、どこどこ?」
ポールがロバートの指差す先に目をやった時、間の悪い事に、家庭科室の下の階の廊下を、並んで歩く穂積と小野瀬の姿が見えた。
二人は構内の施錠を終え、生徒会の見回りを手伝う為、藤守たちとは逆方向から、校内の戸締まりを点検しながら歩いていたのだ。
ロバートとポールの目が輝いた。
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10/14(Mon) 14:51
次は文化祭かな?
ジュン
ロバート
『ルイとアオイに見てもらいましょう!』
ポール
『かわいいって言ってくれるかしら?!』
ロバート
『その後はマーサね。』
ポール
『もちろん!』
そして二人は振り袖姿とは思えない驚異のスピードで穂積と小野瀬を追いかける。
ゴォォォォー
穂積
「なっ、なんだ?」
小野瀬
「穂積、後ろ!!」
ロバートとポールのあまりの勢いに、穂積と小野瀬は駆け出した。
ロバート
『ルイ~、アオイ~。』
ポール
『待って~。』
穂積
『待てるわけないだろ!?』
小野瀬
『二人とも追いかけてこないで!』
こうして鬼ごっこ(?)が始まってしまった…………
私はどうしようかなぁ。
猫耳がウサ耳か普通にカチューシャか……悩むなぁ(;>_<;)
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10/14(Mon) 15:58
文化祭、始めちゃいましょうか。そして、紅花=くちびるさん登場です(´∇`)ノシ
小春
『桜祭』二日目、早朝。
???
「(小声)おはよーございまーす……」
囁くような声で家庭科室の引き戸を開け、そろりそろりと忍び込んで来たのは、右手にハンディタイプのデジタルビデオカメラを構えた、小柄な少女だ。
ファインダーを覗きながら歩いて行く彼女の向かう先には、部屋の隅の床に敷いた毛布の上に並んですやすやと寝ている、兄と妹の姿。
二人で一枚の毛布をかけているが、小春はさらにツタンカーメン式の寝袋に入って、手枕で眠る長身の明智にくっついている。
よく似た整った寝顔に笑いを堪えながら、少女は二人の枕元まで来ると、屈み込んで、小春の柔らかい頬をぷにっと押した。
???
「(小声)……こーはる、ちゃん」
小春
「……んぅ……?」
小春はむずむずと動くと、ぶかぶかの寝袋の中で、もぞもぞと手を動かした。
おそらく目を擦ろうとしているのだろうが、自分の手が寝袋の中にある事に気付いていない。
じたばたしているうちに、隣の明智の方が先に目を覚ました。
明智
「……?」
薄目を開けた明智は、自分と小春を覗き込んで微笑んでいる少女に気付いて、腕を伸ばした。
明智
「……紅花じゃないか。おはよう……」
紅花、と呼ばれた少女は、にこりと笑った。
目鼻立ちのはっきりした、ちょっとハーフっぽい顔立ちが輝きを増す。
紅花
「おはよう、まーく……じゃなかった、おはようございます、明智先生」
明智
「……ん……広報委員の仕事か……?」
明智に頭を撫でられて、紅花は嬉しそう。
紅花
「はい。『桜祭』のオフショットを集めてるんです。自然体の相手を撮影したのを編集して、会場のあちこちに設置したモニターで放映するんですよ」
明智
「ふうん……」
徐々に覚醒しながら、明智は、自分の腕の中で寝袋と格闘している小春に気付いた。
愛しげに笑いながら、顔の下のファスナーを腹まで開けてやる。
紅花がカメラをしっかりと構え直した。
明智
「小春、朝だぞ」
小春
「……うーん」
ようやく手が出た。小春はロングTシャツの袖で、自分の目を数回擦った。
紅花
「小春ちゃん、お、は、よ」
小春が、やっと目を開ける。
小春
「おはよう……、あれ?べにかちゃん?……ここどこ?」
紅花
「家庭科室だよ。小春ちゃん、泊まり込みしたんだね」
小春
「……うん。そうだよね。……目が覚めたら紅花ちゃんがいたから、自分の家かと思った」
小春はまだ眠そうに瞬きをした。
実は、紅花は、明智兄妹の近所に住む幼なじみ。
特に小春とは年令が同じという事もあり、お互いの家に泊まりに行くほどの仲良しだ。
おっとりした小春とは対照的に、紅花は物怖じしない性格で、いつも小春を引っ張ってくれるタイプの子だった。
紅花
「小春ちゃん、今、これ、撮影中なの」
紅花はカメラを持つ右手を、もう一方の指先で指差した。
紅花
「後で編集するけど、明智先生と小春ちゃんの寝起きドッキリでーす」
小春は、紅花の方に寝返りを打つ。
小春
「バズーカ撃つの?」
紅花
「撃たない」
小春
「撃たないのかー……」
明智
「撃って欲しかったのか……」
うーん、と小春が伸びをした。
白いお腹とお臍が出るのを、慌てて明智が裾を引いて隠す。
明智
「ほら、もう起きよう。文化祭の朝だ、忙しくなるぞ!」