『アブナイ☆恋の学園物語』
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10/03(Thu) 06:02
寸劇
ジュン
仮装寸劇の題材が難しいですね(^_^;)
やっぱり、定番としてはロミオとジュリエットとかのシェイクスピアでしょうか?
それとも、シンデレラとか昔ばなしのかぐやひめとか?チビ穂積くんを出して一寸法師とか!?
警視庁戦隊!サクラダモンとか!?
う~ん、難しい(;>_<;)
[削除]
10/03(Thu) 07:05
おはようございます(  ̄ー ̄)ノ
小春
ジュンさん(´∇`)ノシ
ロミオとジュリエット、定番ですよね。
実は寸劇と書いて一番最初に連想したのはそれでしたけど。
もうそれにしましょうか(笑)
サクラダモンは人数が足りないし、ミニ穂積は出してもいいけど、学園ものでは扱いに困りそうだし。てか何人ミニ穂積作る気だ(笑)
ロミジュリのバルコニーのシーンをコメディで。
そうしましょう。
まだ来年も再来年もあるしね(←オイ)
☆放課後☆
翼から昼休みの顛末を聞かされて、小春はけらけら笑った。
小春
「アニ先生かわいそう」
翼
「だよね」
悪いとは思いつつ、翼も笑ってしまう。
小春
「でも、ロバート先生やポール先生とアニ先生が何かやってくれるなんて、楽しみだな」
小春はにこにこしている。
小さな身体であれこれと忙しそうなのに、やっぱり桜祭が待ち遠しいようだ。
放課後のメニューはパスタ。
今日はナポリタンだというが、小春が台車に乗せて運んでいる、たっぷり10人前を入れた大きな器から漂う香りだけで、翼はもうお腹が鳴ってしまいそう。
翼
「私は小春ちゃんと明智先生のお料理を試食するのも楽しみ♪」
小春
「嬉しいな。翼ちゃんがそう言ってくれるなら、私頑張る」
二人が生徒会室に着くと、匂いにつられるように中から出てきた小野瀬が、扉を開けてくれた。
小野瀬
「小春さん、お昼にはごちそうさま。これまた美味しそうな匂いだね」
小春
「ありがとうございます。これも試食お願いします」
小春はぺこりとお辞儀した後、さっそく熱々のパスタを皿に盛り付け、フォークを添えて小野瀬に差し出す。
小春
「ナポリタンお好きですか?」
小野瀬
「うん。きみの作ってくれるものは特に好きかも」
ふうふう言いながらナポリタンを頬張る小野瀬に、小春は嬉しそう。
小春
「良かった。たくさん食べて下さいね」
そう言いながら小野瀬に冷たい水を用意したり、翼の分をお皿に盛ったりと甲斐甲斐しく動く小春を見ながら、小野瀬が、翼に囁きかけてきた。
小野瀬
「今の、伝わらなかったかな?」
翼はくすくす笑った。
翼
「そうですね、残念ですけど。でも、言葉通りには伝わったと思いますよ」
どこまで本気か分からない小野瀬だが、彼は小春にちょっかいを出すのが楽しいらしいという事は、翼にも分かってきた。
小春の方は、小野瀬のそんな気持ちに全く気付いていないらしい事も。
だから可笑しい。
小野瀬
「やれやれ」
小春を見て笑いながら肩をすくめる小野瀬に、翼も笑った。
そのうちに小笠原が現れ、和音や藤守、如月、空間、穂積、明智が席に着き、到着順にナポリタンを平らげる頃には、桜祭に向けた会議の内容も、かなり具体的になってきていた。
和音
「そう言えば、前夜祭のオープニングはどうなったの?(もぐもぐ)」
藤守
「兄貴とNYベアーズが何かやるらしいで。後は恒例の仮装寸劇やけど……(小春、おかわりあるか?)」
如月
「(小春ちゃん俺にも)」
空間
「その分時間が短くなるから、難しいわよね(もぐもぐ)」
小春
「私、演劇部でボツになった脚本をひとつ持ってますけど」
空間
「どういう事?」
小春
「何代か前の先輩が寸劇用に書いたんですけど、シリアス劇をコメディにしちゃってボツになったそうなんです」
和音が笑った。
和音
「どうしてそれを小春さんが持ってるの?あ、私にも、もうひとくちナポリタンちょうだい」
小春
「演劇部の部室を掃除してる時に出てきたから、図書室に置けないかって言って、古い脚本を何冊も持って来たんですよ。図書委員会の先輩が困っちゃって、それで、私がもらったんです」
空間
「なるほど。それで、何の寸劇なの?(もぐもぐ)」
はい、と、和音におかわりを手渡してから、小春が真顔を空間に向けた。
小春
「『10分間でロミオとジュリエット』」
全員
「げほげほげほ!!」
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10/03(Thu) 21:02
とも
続き。
空間
「10分間でロミオとジュリエット?!」
和音
「どんなに削っても10分はムリじゃない?」
藤守「それに、誰がロミオとかやるねん」
如月
「会長じゃないことだけは確かですけどね」
小野瀬
「やっぱりロミオは穂積が適任だと思うよ」
穂積
「オカマのロミオなんておかしいでしょ。それならアンタがジュリエットやりなさいよ」
空間
「小野瀬先生がジュリエット……」
小春から出された提案にそれぞれが意見していると、小春の後ろから遅れてきたともが顔を出した。
とも
「遅なってすいませ~ん…って、みんなどないしたん?」
小春
「前夜祭の寸劇に、私が演劇部からもらった劇の台本の話をしてたんだけど…」
とも
「ふ~ん、どれどれ…『10分間でロミオとジュリエット』寸劇というよりコントみたいやな」
翼
「私は楽しそうだと思うんだけど」
とも
「私も。それにこの話、一番メインのバルコニーのシーンだけやし。台本を参考にして、少し手を加えたら十分おもろいのできそうやで。男子全員がジュリエットで、女子全員がロミオをやるとか」
小笠原
「俺は嫌だよ」
小春
「小笠原先輩は照明と音響でいいんじゃないですか?」
穂積
「ちょっと、小春とともは後夜祭担当でしょ!勝手に話を進めない!」
[削除]
10/03(Thu) 21:10
ともさん(´∇`)ノシ
小春
ともさんはアニとNYベアーズに絡んでから来るかと思って外しておいたんですが、間に合って良かった♪
主役の二人はツートップで決まりですかね(´∇`)
[削除]
10/03(Thu) 23:30
小春さん(*´∇`*)ノシ
とも
アニとNYベアーズの絡みはなんか考えてみますね~。
ロミジュリの方はどなたかに他力本願します♪ヽ(´▽`)/
10/04(Fri) 08:12
おはようございます( ̄ー ̄)ノ
小春
ともさん、アニたちをよろしく。
えー、ではワタクシが独断で配役を発表します。
☆保健室☆
篠崎
「それで結局、どうなったの?」
生徒会室での会合の終了後、保健室に穂積と小野瀬、明智が顔を揃えていた。
明智
「本格的にロミオとジュリエットをやろうとしたら、あらすじを読むだけで10分間使ってしまいますよ」
明智は国語教師らしく、文学にはうるさい。
明智
「ですから、小春がもらった脚本では、舞台は有名なバルコニーのシーンだけです」
小野瀬
「バルコニーで、対立する両家の子である運命を嘆くジュリエット、それを聞いて彼女に想いを告げるロミオ。相思相愛だと知って結婚を誓う二人、だよね」
確認する小野瀬に、明智が頷く。
明智
「原作では、秘密の結婚式を挙げた後、ロミオが殺人事件を起こしてしまい、街から永久追放される事になり……、と続くんですが、脚本では、バルコニーの場面で家人に見つかってドタバタしたあげく、本当の結婚式を挙げる事になる、というハッピーエンドです」
小野瀬
「ロミオが『家同士の確執とか、くっだらねー』とか、ジュリエットの親に向かって『いいじゃないですか、くださいよ』なんて言うんだよね。ほとんど穂積だよ」
穂積
「俺はあんなに軽薄じゃねえ」
篠崎
「まあまあ。で、配役は?」
小野瀬
「ロミオが穂積、ジュリエットは櫻井さん」
篠崎
「あら」
篠崎は意外そうな顔をした。
篠崎
「小野瀬くんがジュリエットかと思ったわ」
明智
「学園祭ですからね。主役の一人は生徒にした方がいいという事になりまして」
明智が立って、お茶を入れ始めた。
小野瀬
「穂積も満更でもないんじゃない?」
穂積
「バーカ」
穂積はムッとした顔だが、心なしか頬が赤い。
篠崎
「櫻井さんなら、可愛いジュリエットになるわよ。そうよねえ。原作では、ジュリエットは13歳で、ロミオは17歳だもんね」
穂積
「おっさんで悪かったな」
篠崎と明智が笑った。
明智
「まあ、その若さは現在の感覚には合わないので、脚本ではどちらもプラス10歳です」
23歳と27歳ならおかしくないよね、と篠崎も頷く。
篠崎
「じゃあ、小野瀬くんは?あっ、分かった。ロレンス修道士か」
小野瀬が拍手する。
小野瀬
「当たり。原作ではジュリエットに仮死状態になる薬をすすめたりするけど、今回は神父のような役回りだね」
穂積
「明智がジュリエットの父親、小笠原がジュリエットの乳母。藤守はジュリエットに結婚を迫る貴族パリス」
くすくす笑っていた篠崎が、そこまで聞いて首を傾げた。
篠崎
「……あら、空間さんは?」
穂積
「空間はナレーターがいいんだそうだ」
明智
「彼女ならジュリエットでもいいんじゃないかと皆ですすめたんですが」
篠崎
「ふうん……小野瀬くんがロミオならまた違う配役になったかもしれないわね」
小野瀬
「……」
穂積・明智
「?」
篠崎
「うふふ。まあいいわ、寸劇といいミスコンといい、桜祭が楽しみね!」
そう。
教師であり、この学園の卒業生でもある彼らは知っている。
過去において、桜祭の仮装寸劇が計画通り、スムーズに終わった例が無いことを。
[削除]
10/05(Sat) 23:39
こんばんは( ̄ー ̄)ノ
小春
みんな忙しいのかなー。
という事で連投してみます。
新スレッドから学園祭始められるよう、ボチボチネタ振り頑張ります。
☆『桜祭』数日前・放課後の生徒会室☆
小春
「じゃーん!」
保健室から運び込んだパーテーションの陰から、擬音とともに小春が押し出した翼の姿に、全員がわあっと歓声を上げた。
とも
「ええやん!」
和音
「本当、可愛い!」
空間
「すごく似合うわよ、櫻井さん」
それは、制服の代わりに、ジュリエットの衣装を身につけた翼。
『桜祭』での仮装寸劇の為に、演劇部から借りてきた衣装を、小春が翼のサイズに合わせた上で、中世風に手直ししたものだ。
当日は、これに篠崎がメイクをし、髪を結い上げてくれることになっている。
翼
「ありがとうございます」
豪華なドレスを着てはにかむ翼に、女子たちは興味津々で近付くと、ドレスに触れたり、ポーズをせがんだりして目を輝かせていた。
小春
「どうでしょう……ジュリエットっぽく見えますか?」
心配そうに空間たちに尋ねる小春に、女子たちは揃ってOKのサインを出した。
小春
「良かった!」
翼
「小春ちゃん、ありがとう」
小春
「ううん、喜んでもらえて嬉しい」
小春は頬を染めて、嬉しそうに笑った。
とも
「穂積ロミオや小野瀬神父の衣装も楽しみやな」
ともが、しげしげと翼を眺めながら言った。
小春
「先生と男子の服は、お兄ちゃんが仕立ててるから絶対大丈夫」
何故か小春が胸を張る。
汚さないうちに脱ぐね、と言いながらパーテーションの奥に戻る翼を横目に、ともが尋ねてきた。
とも
「そう言えば小春、例の、喫茶店の手伝いの件やけど、何とかなりそうやて?」
小春
「うん、ありがとう。小笠原先輩のカレー優先権の効果がすごいの」
和音
「良かったね」
和音も微笑む。
小春
「ありがとうございます。先輩方や、ともちゃんたちが、運動部の人たちに声を掛けてくれたおかげです」
空間
「いいのよ。私たちも、明智先生の『伝説のカレー』楽しみにしてるんだから」
小春
「多分、明日辺りから試食が始まりますよ」
とも
「ほんま?やったあ!」
ともと和音たちが喜ぶ一方、小春はちょっと不安そうな表情を浮かべた。
小春
「でも、お兄ちゃん、凝り性だから……学園祭まで、放課後は毎日カレーかもしれないけどごめんね」
とも
「え……毎日?」
小春
「今の段階でもう美味しいよ。でも、毎日少しずつ配合を変えて試してるの。だから、実はうち、先々週から夜食は毎晩カレー」
全員
「……」
小春は自分の匂いをくんくん嗅ぐ仕草をした。
小春
「私、自分がカレー臭くなってないか心配」
翼
「だ、大丈夫だよ小春ちゃん」
着替えを終え、制服に戻ってパーテーションから出てきた翼が、急いで慰めてくれる。
翼
「家庭科部では、当日、二年生の先輩が作ってくれた可愛いメイド服を着て、ウェイトレスさんやるんでしょ?」
小春
「うん」
翼
「お揃いの黒いワンピースに白いフリルのエプロンと、フリルのカチューシャ着けて。小春ちゃん、きっと似合うよ」
小春
「そうかなあ」
翼の機転でちょっと元気になりかけた小春だったが、不意に、ハッとしたように一同の顔を見た。
小春
「あっ、そうだ。ウェイトレスといえば、喫茶店に、ジョーさんが手伝いに来てくれるそうなんです」
全員
「ジョー?」
小春
「それが、部長の話によると、ウェイターの格好してギャルソンエプロンつけた、男装で現れたらしいです」
全員
「男装?!」
小春
「なんでも、イケメンに扮して、ミスター桜祭に入賞するのを狙ってるんだとか」
翼
「女性なのにミスター桜祭?」
とも
「入賞して、お目当ての女子と踊る作戦か……」
ともが頭を抱えた。
和音・空間
「?」
ジョーを知らない、三年生の二人が顔を見合わせる。
翼
「ジョーさんって、レズビアンなんです」
和音・空間
「?!」
一方、教師と生徒会男子が集まっての体育館での打ち合わせは……
[削除]
10/06(Sun) 23:25
少しだけ
ジュン
子供の運動会を見に行って、なぜか私が筋肉痛です(>_<)
そのころの体育館では……
如月
「すごいっすねぇ」
ロバート
『マーサ、とっても格好いいわ』
ポール
『ルイとアオイも素敵!』
黄色い声(?)とシャッター音に包まれる男性陣。
翼のジュリエットの衣装と対になるようなロミオの衣装を着た穂積。
修道士の衣装を着ているのにフェロモン割増な小野瀬。
落ち着いた貴族の扮装をした明智。
意外と青年貴族の衣装が似合う藤守。
………
如月
「小笠原さんは?」
同じように衣装合わせのため更衣室に入った小笠原が出てきていない。
藤守
「小笠原?はよ、出てこいや?」
小笠原
「絶対嫌だから!!」
結局、ゴネにゴネまくり、穂積と小野瀬に両脇を抱えられて出てきた。
ロバート
『あら~、似合うじゃない』
ポール
『綺麗よ、リョウ』
乳母の衣装を身につけた小笠原は完全にご機嫌斜めである。
小笠原
「もういいから……ほっておいて……」
衣装のまま体育座りをしてしまいそうな小笠原をなんとか思いとどまらせて着替えをさせた。
明智
「サイズが合っていて良かったです」
穂積
「ああ。さすが明智だな」
藤守アニ
「しかし、本当にロミオとジュリエットが10分でできるものなのか?」
さっきまで、男の衣装合わせに興味なく一言も話さなかったアニが口を開いた。台本を読んでないらしい。
小野瀬
「藤守くんが台本を持ってるから読んでみたら?」
藤守アニ
「ああ、だが、忙しくてな……」
そんなセリフとともにバツが悪そうに視線を逸らすアニにロバートとポールが顔を見合わせてフフッと笑い合う。
小笠原
「なんだかんだ言って3人での出し物にやる気出してるんだ?」
藤守アニ
「やりたくてやるんじゃない!」
穂積
「しかし、台本通りじゃつまんなくないか?」
藤守
「なんでですか?」
穂積
「幸せなハッピーエンドなんかつまんないだろ?」
如月
「最後に大ドンデン返しですか?」
小野瀬
「ハッピーエンドはハッピーエンドでいいだろうけど、確かにもう少し盛り上がりがほしいかもね」
そして、男たちの勝手な台本の手直しが始まった……もちろん、女性陣には内緒である。
藤守アニ
「ロクなことを考えないな」
小笠原
「今更でしょ……」
[削除]
10/07(Mon) 10:35
おはようございます( ̄ー ̄)ノ
小春
ジュンさん、ありがとうございます(´∇`)ノシ
ひねりが加わって楽しみになってまいりましたね。
男性陣の企みは果たして……?
☆理事長室☆
エミ
「盛り上がってきましたわねえ、校長先生」
山田
「ですね。今年の実行委員会はなかなかやる」
着々と学園祭の準備の進む様子を大きな窓から眺めながら、エミは子供のように目を輝かせている。
その傍らで、校長の山田も目を細めた。
山田
「校長特権で、カレー優待券をもらって来ましたよ。もちろん理事長の分も」
エミ
「さすが校長」
山田
「お褒めにあずかり光栄です」
エミ
「校長はもちろん、どこかで参加を狙っているのよね?」
山田
「そう言う理事長こそ」
エミ
「ふふ」
山田
「ふふふ……」
☆体育館・放送室☆
空間
「……この辺りでいいかしら」
誰もいないステージを見下ろしながら、数ヵ所に仕掛けるビデオカメラの設置に余念が無い空間。
ナレーターを志願したのも、最高のポジションから落ち着いて小野瀬を撮るため。
激レアな修道士姿の小野瀬をしっかり捉えるため。
ステージ上で最も小野瀬に近付きそうな穂積ロミオと櫻井ジュリエットの服には、小笠原と小春を使って小型カメラを縫い付けさせた。
空間
「我ながら完璧ね」
空間はひとり、含み笑いを続けるのだった……。
☆家庭科室☆
部長
「お願い、小春さん」
部員たち
「お願いよ、小春!」
小春
「……」
小春の前には、拝むように両手を合わせている、部長を含む十人ほどの家庭科部員たち。
目の前のテーブルには、文化祭の小春の為に二年生が作ってくれた可愛らしいウェイトレスの制服と、白いフリルのエプロンとカチューシャ。
小春
「……」
部長
「私たちには、どうしても、明智先生のレシピが再現出来ないのよ。まして、量産なんてとても無理」
先輩たち
「小春なら出来るよね」
「私たち、ケーキやお菓子は頑張るから、今年は、軽食の調理に専念して!」
「パスタやサンドイッチも手伝うから!」
「ウェイトレスは誰でも出来るけど、あの味は明智先生と小春にしか出来ないのよ」
「ねっ、お願い」
小春
「……」
小春がじっと見つめる先には、どこから借りてきたのか、白いベレー帽と白いスモックの、懐かしい給食服。
ご丁寧に、胸に「小春」と大きく黒字で刺繍を入れてくれてある。
調理が嫌なわけではない。
ただ、みんながメイド服で働く可愛い喫茶店の横に設置されるオープンキッチンで、ジャージに白いベレー帽、給食服にマスクでカレーを作る自分の姿を想像するだけで、泣きたくなる。
その姿はどう見ても小学生にしか見えない事を本人が自覚しているから、なおさら。
しかしながら、この状況で先輩たちの潤んだ目から逃れる術を小春は知らない。
小春
「分かりました、頑張って作ります!」
顔で笑って心で泣いて。
小春は、元気よくベレー帽を被って見せるのであった。
☆音楽室→茶道部部室☆
ジュン
「ありがとう、賢史くん」
藤守
「琴をひとつ担いで来るくらいお安いご用や」
ジュン
「お茶屋さんで、手が空いている時には生演奏して聴いていただいたらどうかと思って」
藤守
「名案やん。ジュンが琴まで弾くとは思わんかったけど、絶対ウケるで」
ジュン
「ありがとう。運んでくれたお礼に、冷たいお茶を入れるね」
藤守
「おう。ありがとう」
ジュン
「うふふ、どういたしまして。……ねえ、賢史くんも、来てね」
藤守
「時間があったらな。これでも生徒会長やから」
ジュン
「あっ、そうか」
藤守
「忘れてたんかい!」
もちろん忘れるはずはない。
お互い承知のボケとツッコミに、茶道部の部室には、二人の明るい笑い声が響くのであった……。
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10/08(Tue) 12:02
☆桜祭前日☆
小春
明日からの学園祭に備え、玄関ロビーには、正門に立てられるのを待つばかりの『桜祭』の看板が寝かされていた。
ベニヤの一枚板に美術部が趣向を凝らした大きく華やかな看板は、見る者の気持ちを弾ませてくれる。
校内を巡回しながら廊下を歩いて来た翼とともも、その看板を見て、初めて体験する学園祭への期待を膨らませていた。
とも
「いよいよ本番やねえ」
翼
「そうだね」
とも
「私は体育祭と後夜祭の担当やからまだええけど、翼、ドキドキするやろ」
ともが意味深に笑うのは、明日の寸劇の事を指して言うのだろう。
翼
「うん。学園祭なんて初めて体験するから」
翼はわざと、そんな風に言ってみた。
寸劇だけではなくて、午前中の準備も、文化祭も体育祭も、後夜祭まで続くミス&ミスター桜祭コンテストも、そして後夜祭も。
全てが初めてで、ドキドキする。
渡り廊下を歩けば、お馴染みの練習をする吹奏楽の楽器の響きと合唱部の声が聞こえてくる。
どこかで琴を爪弾く音がするし、ギターに合わせて歌っている生徒たちもいる。
開け放された窓から、芳しいカレーの香りが漂ってきて、二人のお腹が、揃って「くう」と鳴った。
ともと翼は顔を見合わせて笑うと、歩く速度を上げた。
今日も、明智兄妹のカレーが、試食を待っているはずだ。
廊下の角を曲がると、藤守や和音が、生徒会室の前にいるのが見えた。
笑いながら手招きされて、二人はほとんど駆け出していた。
さあ。
学園祭が始まる。
新スレから学園祭始まりです。
タイミングを見計らっていた皆様、お待たせいたしました。
乱入よろしくお願いしまーす(´∇`)ノシ
10/04(Fri) 13:00
アブナイ☆恋の学園物語・設定集
小春
穂積泪:厳しいが教え方が上手だと評判の金髪碧眼の英語教師。なぜかオカマ言葉。野球部顧問。
小野瀬葵:女子生徒に大人気な白衣の似合う生物教師。口癖は「キミも解剖されたい?」穂積と同期。剣道部顧問。
明智誠臣:生真面目な国語教師。毎週漢字テストをすることにこだわりを持っている。家庭科部顧問。試合前になると柔道部の指導もする。
藤守賢史(弟):3年生。明るく人望ある生徒会長。陸上部キャプテン。穂積先生とは仲良し。(パシリとも言う)
小笠原諒:2年生。生徒会副会長。口数は決して多くないが、影で会長を支える生徒会のブレーン。ベンチャー企業を経営している。帰宅部。
如月公平:2年生。世話好きで優しい先輩。ヒロインが転校し、初登校で学校を案内してもらった人物。髪型を常に気にしている。柔道部所属。次期部長候補。
藤守慶史(兄):校則に厳しい社会科教師。毎朝校門で生徒をチェックしている。「絶対領域は死守する!」がモットー。
山田太郎:桜田門高校の校長。謎の多い人物。
櫻井翼(ヒロイン):父親の転勤に伴い、桜田門高校に転校してきた1年生。明るく素直。人の名前と顔を覚えるのが得意。運動はちょっと苦手。
[削除]
10/04(Fri) 13:03
アブナイ☆恋の学園物語・設定集
小春
ロバート:ニューヨークにある桜田門学園の姉妹校の大学教授。中東の血が入っていてヒグマのような巨漢だが心は乙女。
ポール:ロバートの同僚。見た目はシロクマのようだが、理数系で繊細な神経を持っている。ロバート同様、面食いで心優しいゲイ。
ジョー:ニューヨークから桜田門学園の大学課程への留学生。留学中は同じ敷地内にある高校の学生寮に寄宿している。ブルネットの髪に青い目の美女だが、レズビアンである。
小春:翼の友達。同じクラスの1年生。生徒会役員。家庭科部と図書委員会にも所属している。髪は真っ黒でショートカット。小柄で天然ないじられキャラ。英語が苦手。明智の妹で顔も似ている。ブラコン。
とも:翼の友達。隣のクラスの1年生。生徒会役員。野球部マネージャーでもある。セミロングの髪を横で一つに束ね、うっすら日焼けしている。関西から来た特待生。明朗快活で姉御肌。空手の段持ちでもある。
藤守ジュン:2年生。藤守兄弟の従姉妹。小柄で少し赤みがかったセミロングの茶髪。高校2年生とは思えない可愛らしい女の子。特技はピアノ。
空間セツナ:3年生。つややかな長いストレートの黒髪が自慢のツンデレ美女。才色兼備だが、小野瀬先生へのストーカー気質という致命的かつ非常に残念な病気がある。『桜祭』文化祭実行委員長。
和音:3年生。少し癖のある明るい色の髪。長身で目鼻立ちのはっきりした美人で、性格は男前で男勝り。宝塚歌劇団男役風。男女問わず人望のある『桜祭』体育祭実行委員長。
篠崎清香:緩くパーマのかかった長い髪、小柄だがナイスバディな養護教諭。小野瀬や穂積と同期で一緒に生徒会を務めた仲。小野瀬とは大人な関係か?
黒柳エミ:学園の理事長。就任して間もないが、校長と同様に神出鬼没で、いろいろとナゾの多い美女。
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10/04(Fri) 16:12
アブナイ☆恋の学園物語・設定集
小春
『桜祭』とは?
1日目(前夜祭)……生徒会長藤守の指揮のもと、会場設営、各教室の展示物や模擬店の準備などを行う日。
準備の終わった午後4時頃から、午後7時頃まで(終了未定)、様々なオープニングイベントが行われる。
前夜祭実行委員長は、文化祭委員長と兼任の空間。生徒会からは藤守、小笠原、翼が協力する。
生徒会では、開会宣言の前に30程度のパフォーマンスをするのが通例。
今年は仮装寸劇『10分間でロミオとジュリエット』、アニとNYベアーズによる出し物が予定されている。
ちなみに、ミス桜祭&ミスター桜祭への投票は1日目の正午から受け付け開始される。
2日目(文化祭)……空間委員長率いる文化祭実行委員会が仕切る。
講堂や体育館で吹奏楽部、合唱部などの演奏、演劇部や有志の手品や漫才などのパフォーマンスが行われる。
各教室ではクラス展示、文化部では部室を開放しての展示や実演など活動の発表の機会になる。
茶道部ではお茶とお茶菓子をふるまう茶店、家庭科部では喫茶店というように、中庭などに模擬店もたくさん並ぶ。
3日目(体育祭)……和音をリーダーに、体育祭実行委員会が運営する。
会場は主にグラウンド。
体育系の部活やスポーツの得意な生徒たちの晴れ舞台であり、クラスや学年別の種目の他、部活対抗、教職員やPTAも参加しての種目など盛り沢山。
MVPには後夜祭でのダンス相手を指名出来る特典もあるらしい。
2日目、3日目には家族限定など入場制限はあるものの、一般の参加も可能なため、穂積や小野瀬目当ての不法侵入が後を立たず、空間や和音が頭を悩ませている。
4日目(後夜祭)……生徒会長藤守を中心に、朝から校内の片付けをする一日。
当然生徒たちのモチベーションは低いが、片付け終了後にはファイナルイベントが待っている。
後夜祭責任者は体育祭実行委員長の和音。
生徒会からは藤守の他に如月、とも、小春が協力する事になっている。
正午までミス&ミスター桜祭の投票が行われ、開票結果により上位5人までがダンスの相手を指名出来る。
ファイナルイベントでは教職員と生徒の交流のためのダンスパーティーが予定されている。
片付けで出た可燃物がグラウンドに運ばれてキャンプファイヤーのように燃やされ、その炎が消えると、藤守の閉会宣言で閉幕する。
※『桜祭』は基本的に生徒たちによって運営されるため、トラブルや突然の変更や新企画も多発します。
上記の内容はあくまでも参考ですのでご了承のうえ、ふるってご参加下さい。
[削除]
10/09(Wed) 04:29
いよいよ開催!
とも
さぁ桜祭が始まりますよ♪
☆桜祭・前夜祭☆
ついにやってきた桜祭のオープニングを飾る前夜祭当日。 校内のあちこちで最後の準備に大忙し。
そして実行委員、前夜祭担当チームも最終リハーサルに余念がない。
藤守
「いよいよ桜祭始まるなぁ。今年も盛り上がるとええんやけど。……アカン、自分で何をしゃべらなあかんのか忘れそうや」
空間
「ちょっと、何緊張してるのよ!こっちまでうつっちゃうじゃない」
藤守
「そない言われてもやなぁ…」
小笠原
「司会の二人もさすがに緊張するんだね」
藤守
「なんならお前が代わりに出るか?」
小笠原
「……絶対嫌だ」
☆舞台袖女子控え室☆
小春
「これでよし。翼ちゃん、こっち向いて?」
篠崎
「櫻井さん、よく似合ってるわ~」
翼
「ううっ、ダメだ、やっぱり緊張しちゃうよ~」
とも
「大丈夫やて、翼。あんだけ練習したんやから、大成功間違いなし!あとは先生たちにまかしといたらええねん」
寸劇まで出番のない翼は今から着替えを済ませておくことにした。
そして、今から篠崎にヘアメイクをしてもらうところなのだが、あまりの緊張に顔がひきつっていた。
とも
「ところで、寸劇の前にやるNYベアーズとアニ先生の出し物って何か知ってる?」
小春
「私も知らないの。練習してるところも一度も見てないんだよね」
篠崎
「私も。前に何するのか聞いたんだけど、『トップシークレットだから清香にもナイショなの』って教えてくれなかったわ」
話ながらも篠崎の手は止まることなく、どんどん翼にメイクを施していった。
☆舞台袖男子控え室☆
穂積
「…ねえ、アニたちはどこに行ったのか知らない?」
小野瀬
「さぁ?舞台袖に出し物で使うらしいものは置いてあるけど、『触るなキケン』て書いてあるんだよね」
如月
「小笠原さん、何か知ってそうですよね?」
小笠原
「音源と照明がプログラムされたUSBメモリを渡されただけだよ。本番にこれをセットしてスタートしてくれたらいいだけだって言ってたけど、中身は全く見てないよ」
藤守
「なんや、それだけ?俺も結局兄貴から何にも教えてもらってへんからなぁ。」
明智
「藤守、そろそろ時間だぞ」
藤守
「よっしゃ!ほんならみんなで桜祭を成功させたるで!」
全員
「おー!」
数分後、前夜祭の始まりを告げる校内放送が学校中に響き渡った。
『ただいまより、桜祭・前夜祭を開催致します。生徒のみなさん並びに教職員の方々は会場にお集まり下さい。繰り返します………』
☆前夜祭会場☆
先程の校内放送を聞き、続々と生徒や教職員たちが会場に入ってきて、それぞれが今や遅しと始まるのを待っていた。
舞台袖では実行委員たちがスタンバイしているが、トップバッターのアニたちが未だに見当たらないので焦り出している。
藤守
「もうすぐ開始時間になるのに、兄貴もロバートとポールも何処におんねん?」
如月
「あちこち探してきましたけど居ませんね」
空間
「開始時間を延ばすことは出来ないわよ」
とも
「もっかい私も探してきましょうか?」
穂積
「…まさか、本当に居ないなんてことはないでしょうね」
小野瀬
「あんなにはりきってたんだ、アイツらに限ってそんなことはしないんじゃない?」
明智
「小笠原、いつでも始められるように準備しておこう」
小笠原
「もうやってるよ。…あれ?これ、開始時間にスタート出来るようにプログラミングされてる。あと3分で自動的に始まるみたい」
小春
「ええっ、本人たちが居ないのにどうするんですか?!」
穂積
「もう会場のどこかにいるんでしょ?仕方ないからこのまま始めましょう」
もうすぐ1分前というとき、会場全体の照明が落ち、舞台にカウントダウンの数字が現れた。
30秒前。
15秒前。
5、4、3、2、1。
全員がカウントダウンする中、前夜祭は幕を開けた。
10/09(Wed) 04:31
NYベアーズwithアニ登場
とも
開始と同時に舞台にスポットライトが当たると、何もなかったそこに大きなカボチャが二つ。
ざわつく会場をよそに軽快な音楽が流れ、カボチャが動きだした。
生徒A
「何あれ?置物じゃないの?」
生徒B
「動きが機敏すぎるぞ」
如月
「あのカボチャってまさか……?」
藤守
「ロバートとポールか?」
大きな音と共にカボチャの中から客席に向かって紙吹雪が舞い、ロバートとポールが顔を出した。
ロバート
『みんな元気~?桜祭へようこそ!今日は楽しんでね!』
ポール
『ハロウィンが近いからジャックランタンに扮してみたのよ!似合うでしょ?さぁ、次はワタシとロバートをカボチャに変えた、魔女の登場よ~♪』
タイミングよく音楽が止まり、舞台が暗転すると、会場の上から黒い何かがゆっくりと降りてくると、スポットライトが当たる。
その正体は……。
黒いとんがり帽子に黒いマント、またまた黒いワンピースを身につけた魔女に変装したアニが立っていた。
が、NYベアーズによって完璧に女装させられているため、ほとんど誰もが気づいていない。
アニ
「…………」
穂積
「ねぇ、あれアニじゃない?」
とも
「うっそ~?!」
小野瀬
「ホントだ。ああやってみると結構美人だね」
生徒C
「すっごい美人!」
生徒D
「ミス桜祭に投票しようかな?」
魔女(アニ)はステージに上がると、再び音楽が鳴り出し、NYベアーズと共に華麗なダンスを繰り広げた。
会場のテンションは最高潮に上がり、ダンスが終わった3人は叫びながら客席に飴をばらまいた。
ロバート・ポール・アニ
『Trick or treat!桜祭を楽しまなきゃ、ワタシたちがみんなにイタズラしちゃうわよ~♪』
[削除]
10/09(Wed) 06:51
始まりましたね
ジュン
桜祭、始まりましたねo(^o^)o
まさか、アニ先生の女装で始まるとは!!従妹のジュンもビックリです(^^)b
これから何が起こるか楽しみですね!
[削除]
10/10(Thu) 01:08
ロミジュリ。
清香
アニの女装!!!!眼鏡を外したら美人さんになりそうだ!
☆体育館・ステージ上☆
節分の豆まきのように豪快に飴をまき終った後、3人はそれぞれ上手・下手に別れ舞台袖へと戻って行った。
観客達が飴を拾うのに夢中になっている間に、演劇部の有志の協力を受けあっという間にステージ上に簡易バルコニーが設置される。
パニックを引き起こさないようゆっくりと照明が落とされると、体育館内に静かな声が響いた。
空間
「オープニングアクト・その2。生徒会による『ロミオとジュリエット』」
ざわざわと声を挙げる生徒を諌めるように、空間が淡々とナレーションを始めた。
空間
「昔々、ヴァロナの街にキャビュレット家とモンタギュー家という二つの旧家がありました。この両家は代々お互いを仇だといがみ合っていました。キャビュレット家にはジュリエットという娘が、モンタギュー家にはロミオという息子がおりましたが、物語はこの二人が舞踏会で出会ってしまった所から始まるのです…。」
ステージ上に照明が灯されると、バルコニーにドレスを身にまとった翼が静かに歩みを進める。
翼
「…ロミオ、あなたはどうしてロミオなの…?」
台本に書かれたように呟く翼の声にはそこはかとない悲しさが漂っていた。
恋をしてはいけない人に恋をしてしまった後ろめたさと、それでも止められない恋心が溢れているようで観客の視線が一気に翼へと集まる。
翼
「…はぁ。」
ドレスの胸元に付けた小さなマイクが翼のため息を伝えると。
穂積
「…仕方ねぇだろ、ロミオなんだから。」
舞台の上手から頭をポリポリと掻きながら穂積が歩みを進めると、一気に黄色い歓声が体育館を包んだ。
それもそのはず。
本来ならば舞踏会に参加した後の設定なので燕尾服を纏っているはずが、なぜか白いカボチャパンツに白タイツの王子様スタイルだからである。
ご丁寧に小さな冠まで頭に乗せているものだから、絵本の世界から飛びだしたかのような穂積の姿にほぼ全員と言ってもいいくらい、女子生徒達が携帯を掲げてシャッターを切る。
穂積
「撮るなっつーの!!」
ぼそりと呟いた声をマイクが拾うが、シャッター音にかき消されてしまった。
舞台袖で笑いを堪えている小野瀬と篠崎をジロリと睨みながらも、とっとと終わらせるべく頭に叩きこんだ台本をなぞる。
穂積
「…えっと、ジュリエット。俺はあなたに一目で恋に落ちてしまった。どうか、俺のものになってくれないか?」
『ぎゃあぁぁあああああ!!!』
絶叫とも悲鳴とも取れる叫びが観客席から上がる。
声の大きさに思わず耳を塞いでしまった翼が、『アレ?』っと言いたげに首をひねった。
穂積
「…(聞こえなかったか?)」
口パクでそう言うと、眉根を寄せてすまなさそうにする翼に、穂積が再び口を開く。
穂積
「…ジュリエット、気がついたら好きになっていた。だから。」
一歩バルコニーへ近づき、翼へと手を差し伸べる。
穂積
「俺のところへ来い。」
(ぎゃあぁぁぁぁあああ!)
ハンカチで口元を押さえ、悲鳴が漏れないようにした生徒たちの機転のおかげでどうにかセリフが翼の元へと届いた。
しかしなんとなくニュアンスは同じなものの、台本通りにいかず安定しない穂積のセリフに空間はナレーションを入れ損ねてしまう。
そこへ。
明智
「ふふふふ、不審者、めっ、者ども、でっ、出合え―!!」
ジュリエットの父親役である明智がバルコニーの後ろからつんのめるように出てきた。
大根役者として名高い明智のセリフもさることながら、タイミングのおかしさに穂積が突っ込む。
穂積
「何でお前が出てくるんだよっ!」
明智
「父親として当然の事をしたまでです。」
冷静に返す明智に、会場からどっと笑い声が漏れる。
篠崎
「……面倒くさい親父さんね。」
小春
「あ、あはは………。」
呆れるように呟いた篠崎の声を聞きながら、小春は乾いた笑いをあげていたのだった。
10/10(Thu) 07:14
おはようございます(´∇`)ノシ
小春
小笠原
「旦那様、まだ出番じゃないよ」
バルコニーの翼、明智の背後から階段を昇って現れたのは、小笠原。
今日はいつもの無機質な眼鏡を外されてしまった端正な顔立ちは、篠崎によって世にも可愛らしい乳母に変えられている。
会場のあちこちからも、「あれ誰?」「可愛い」というざわめきが漏れていたた。
当の小笠原は台本通り、いや、出来ることなら、すぐにでも終わらせて帰りたい、と、そればかりを考えているのだけれど。
小笠原
「明智先生」
明智
「なんだ?俺は今、最後の長セリフとカレーの事で頭が一杯なんだ」
小笠原
「……はあ。あのね、この後、先生のセリフは全部『お父さんは許さんぞ!』だけでいいから」
明智
「え、本当か?それは助かるが……」
小笠原
「いいから下がって」
本人たちは小声で会話しているつもりなのだが、翼の溜め息まで拾った高性能マイクは、全て筒抜けにスピーカーへ送っている。
明智が小笠原に引っ張られて引っ込むと、笑いを堪えて聞き耳を立てていた会場の観客から、どっと笑い声が起きた。
妙な間の後、咳払いした穂積が、改めて、バルコニーの翼に手を伸ばした。
穂積
「あー、ジュリエット……」
翼
「ロミオ、行けないわ。私、パリスとの縁談を進められているの」
翼が、懸命に話を台本に引き戻す。
パリスを演じる藤守が、舞台袖から飛び出した。
穂積
「誰だ?!」
藤守
「俺やで!」
10/10(Thu) 09:49
面白すぎる!
ジュン
穂積先生のカボチャパンツ(*≧∀≦*)
一般生徒には刺激が強すぎますわ!
賢史くんの「俺やで」はツボにはまってしまいました(* ̄∇ ̄)ノ
楽しいですね~続きが楽しみです!(←他力本願)
10/10(Thu) 11:24
ロミジュリ
清香
☆ステージ上☆
『ジャーン』という効果音を自分の口で言いながら藤守が舞台袖から飛び出した。
藤守
「俺がジュリエットと結婚するんや!!」
『決まった!!』と言いたげにドヤ顔で言う藤守に、会場の男子生徒達から拍手と声援が送られる。
やはりいい男に美味しいところを持っていかせたくないという心理が誰にもあったのだろう。
『そうだー!』『いけー!』『やれー!』『倒しちゃえー!』
ボルテージの上がった男子達の野太い声援を背中に受け、藤守もつい調子に乗ってしまう。
藤守
「人の婚約者を横取りすんなや!!ボコボコにするで!」
ビシッと穂積を指差し、啖呵を切った藤守に穂積はニヤリと笑った。
穂積
「…へぇ?そんな事言っていいと思ってるのか?」
手をバキバキと鳴らす穂積に藤守は一瞬怯むものの、男子生徒の応援を一身に受けた生徒会長として引くことは出来ない。
藤守
「当たり前や!オッサンに負けるわけ無いやん!」
言い切った藤守に穂積は笑みを深めた。
穂積
「よし、後悔すんじゃねぇぞ?」
演劇部が気をきかせたのか、どこかで『カーン』とゴングが鳴った音がする。
その音を聴いて、篠崎と小野瀬は深いため息をついたのだった。
寸劇
ジュン
仮装寸劇の題材が難しいですね(^_^;)
やっぱり、定番としてはロミオとジュリエットとかのシェイクスピアでしょうか?
それとも、シンデレラとか昔ばなしのかぐやひめとか?チビ穂積くんを出して一寸法師とか!?
警視庁戦隊!サクラダモンとか!?
う~ん、難しい(;>_<;)
[削除]
10/03(Thu) 07:05
おはようございます(  ̄ー ̄)ノ
小春
ジュンさん(´∇`)ノシ
ロミオとジュリエット、定番ですよね。
実は寸劇と書いて一番最初に連想したのはそれでしたけど。
もうそれにしましょうか(笑)
サクラダモンは人数が足りないし、ミニ穂積は出してもいいけど、学園ものでは扱いに困りそうだし。てか何人ミニ穂積作る気だ(笑)
ロミジュリのバルコニーのシーンをコメディで。
そうしましょう。
まだ来年も再来年もあるしね(←オイ)
☆放課後☆
翼から昼休みの顛末を聞かされて、小春はけらけら笑った。
小春
「アニ先生かわいそう」
翼
「だよね」
悪いとは思いつつ、翼も笑ってしまう。
小春
「でも、ロバート先生やポール先生とアニ先生が何かやってくれるなんて、楽しみだな」
小春はにこにこしている。
小さな身体であれこれと忙しそうなのに、やっぱり桜祭が待ち遠しいようだ。
放課後のメニューはパスタ。
今日はナポリタンだというが、小春が台車に乗せて運んでいる、たっぷり10人前を入れた大きな器から漂う香りだけで、翼はもうお腹が鳴ってしまいそう。
翼
「私は小春ちゃんと明智先生のお料理を試食するのも楽しみ♪」
小春
「嬉しいな。翼ちゃんがそう言ってくれるなら、私頑張る」
二人が生徒会室に着くと、匂いにつられるように中から出てきた小野瀬が、扉を開けてくれた。
小野瀬
「小春さん、お昼にはごちそうさま。これまた美味しそうな匂いだね」
小春
「ありがとうございます。これも試食お願いします」
小春はぺこりとお辞儀した後、さっそく熱々のパスタを皿に盛り付け、フォークを添えて小野瀬に差し出す。
小春
「ナポリタンお好きですか?」
小野瀬
「うん。きみの作ってくれるものは特に好きかも」
ふうふう言いながらナポリタンを頬張る小野瀬に、小春は嬉しそう。
小春
「良かった。たくさん食べて下さいね」
そう言いながら小野瀬に冷たい水を用意したり、翼の分をお皿に盛ったりと甲斐甲斐しく動く小春を見ながら、小野瀬が、翼に囁きかけてきた。
小野瀬
「今の、伝わらなかったかな?」
翼はくすくす笑った。
翼
「そうですね、残念ですけど。でも、言葉通りには伝わったと思いますよ」
どこまで本気か分からない小野瀬だが、彼は小春にちょっかいを出すのが楽しいらしいという事は、翼にも分かってきた。
小春の方は、小野瀬のそんな気持ちに全く気付いていないらしい事も。
だから可笑しい。
小野瀬
「やれやれ」
小春を見て笑いながら肩をすくめる小野瀬に、翼も笑った。
そのうちに小笠原が現れ、和音や藤守、如月、空間、穂積、明智が席に着き、到着順にナポリタンを平らげる頃には、桜祭に向けた会議の内容も、かなり具体的になってきていた。
和音
「そう言えば、前夜祭のオープニングはどうなったの?(もぐもぐ)」
藤守
「兄貴とNYベアーズが何かやるらしいで。後は恒例の仮装寸劇やけど……(小春、おかわりあるか?)」
如月
「(小春ちゃん俺にも)」
空間
「その分時間が短くなるから、難しいわよね(もぐもぐ)」
小春
「私、演劇部でボツになった脚本をひとつ持ってますけど」
空間
「どういう事?」
小春
「何代か前の先輩が寸劇用に書いたんですけど、シリアス劇をコメディにしちゃってボツになったそうなんです」
和音が笑った。
和音
「どうしてそれを小春さんが持ってるの?あ、私にも、もうひとくちナポリタンちょうだい」
小春
「演劇部の部室を掃除してる時に出てきたから、図書室に置けないかって言って、古い脚本を何冊も持って来たんですよ。図書委員会の先輩が困っちゃって、それで、私がもらったんです」
空間
「なるほど。それで、何の寸劇なの?(もぐもぐ)」
はい、と、和音におかわりを手渡してから、小春が真顔を空間に向けた。
小春
「『10分間でロミオとジュリエット』」
全員
「げほげほげほ!!」
[削除]
10/03(Thu) 21:02
とも
続き。
空間
「10分間でロミオとジュリエット?!」
和音
「どんなに削っても10分はムリじゃない?」
藤守「それに、誰がロミオとかやるねん」
如月
「会長じゃないことだけは確かですけどね」
小野瀬
「やっぱりロミオは穂積が適任だと思うよ」
穂積
「オカマのロミオなんておかしいでしょ。それならアンタがジュリエットやりなさいよ」
空間
「小野瀬先生がジュリエット……」
小春から出された提案にそれぞれが意見していると、小春の後ろから遅れてきたともが顔を出した。
とも
「遅なってすいませ~ん…って、みんなどないしたん?」
小春
「前夜祭の寸劇に、私が演劇部からもらった劇の台本の話をしてたんだけど…」
とも
「ふ~ん、どれどれ…『10分間でロミオとジュリエット』寸劇というよりコントみたいやな」
翼
「私は楽しそうだと思うんだけど」
とも
「私も。それにこの話、一番メインのバルコニーのシーンだけやし。台本を参考にして、少し手を加えたら十分おもろいのできそうやで。男子全員がジュリエットで、女子全員がロミオをやるとか」
小笠原
「俺は嫌だよ」
小春
「小笠原先輩は照明と音響でいいんじゃないですか?」
穂積
「ちょっと、小春とともは後夜祭担当でしょ!勝手に話を進めない!」
[削除]
10/03(Thu) 21:10
ともさん(´∇`)ノシ
小春
ともさんはアニとNYベアーズに絡んでから来るかと思って外しておいたんですが、間に合って良かった♪
主役の二人はツートップで決まりですかね(´∇`)
[削除]
10/03(Thu) 23:30
小春さん(*´∇`*)ノシ
とも
アニとNYベアーズの絡みはなんか考えてみますね~。
ロミジュリの方はどなたかに他力本願します♪ヽ(´▽`)/
10/04(Fri) 08:12
おはようございます( ̄ー ̄)ノ
小春
ともさん、アニたちをよろしく。
えー、ではワタクシが独断で配役を発表します。
☆保健室☆
篠崎
「それで結局、どうなったの?」
生徒会室での会合の終了後、保健室に穂積と小野瀬、明智が顔を揃えていた。
明智
「本格的にロミオとジュリエットをやろうとしたら、あらすじを読むだけで10分間使ってしまいますよ」
明智は国語教師らしく、文学にはうるさい。
明智
「ですから、小春がもらった脚本では、舞台は有名なバルコニーのシーンだけです」
小野瀬
「バルコニーで、対立する両家の子である運命を嘆くジュリエット、それを聞いて彼女に想いを告げるロミオ。相思相愛だと知って結婚を誓う二人、だよね」
確認する小野瀬に、明智が頷く。
明智
「原作では、秘密の結婚式を挙げた後、ロミオが殺人事件を起こしてしまい、街から永久追放される事になり……、と続くんですが、脚本では、バルコニーの場面で家人に見つかってドタバタしたあげく、本当の結婚式を挙げる事になる、というハッピーエンドです」
小野瀬
「ロミオが『家同士の確執とか、くっだらねー』とか、ジュリエットの親に向かって『いいじゃないですか、くださいよ』なんて言うんだよね。ほとんど穂積だよ」
穂積
「俺はあんなに軽薄じゃねえ」
篠崎
「まあまあ。で、配役は?」
小野瀬
「ロミオが穂積、ジュリエットは櫻井さん」
篠崎
「あら」
篠崎は意外そうな顔をした。
篠崎
「小野瀬くんがジュリエットかと思ったわ」
明智
「学園祭ですからね。主役の一人は生徒にした方がいいという事になりまして」
明智が立って、お茶を入れ始めた。
小野瀬
「穂積も満更でもないんじゃない?」
穂積
「バーカ」
穂積はムッとした顔だが、心なしか頬が赤い。
篠崎
「櫻井さんなら、可愛いジュリエットになるわよ。そうよねえ。原作では、ジュリエットは13歳で、ロミオは17歳だもんね」
穂積
「おっさんで悪かったな」
篠崎と明智が笑った。
明智
「まあ、その若さは現在の感覚には合わないので、脚本ではどちらもプラス10歳です」
23歳と27歳ならおかしくないよね、と篠崎も頷く。
篠崎
「じゃあ、小野瀬くんは?あっ、分かった。ロレンス修道士か」
小野瀬が拍手する。
小野瀬
「当たり。原作ではジュリエットに仮死状態になる薬をすすめたりするけど、今回は神父のような役回りだね」
穂積
「明智がジュリエットの父親、小笠原がジュリエットの乳母。藤守はジュリエットに結婚を迫る貴族パリス」
くすくす笑っていた篠崎が、そこまで聞いて首を傾げた。
篠崎
「……あら、空間さんは?」
穂積
「空間はナレーターがいいんだそうだ」
明智
「彼女ならジュリエットでもいいんじゃないかと皆ですすめたんですが」
篠崎
「ふうん……小野瀬くんがロミオならまた違う配役になったかもしれないわね」
小野瀬
「……」
穂積・明智
「?」
篠崎
「うふふ。まあいいわ、寸劇といいミスコンといい、桜祭が楽しみね!」
そう。
教師であり、この学園の卒業生でもある彼らは知っている。
過去において、桜祭の仮装寸劇が計画通り、スムーズに終わった例が無いことを。
[削除]
10/05(Sat) 23:39
こんばんは( ̄ー ̄)ノ
小春
みんな忙しいのかなー。
という事で連投してみます。
新スレッドから学園祭始められるよう、ボチボチネタ振り頑張ります。
☆『桜祭』数日前・放課後の生徒会室☆
小春
「じゃーん!」
保健室から運び込んだパーテーションの陰から、擬音とともに小春が押し出した翼の姿に、全員がわあっと歓声を上げた。
とも
「ええやん!」
和音
「本当、可愛い!」
空間
「すごく似合うわよ、櫻井さん」
それは、制服の代わりに、ジュリエットの衣装を身につけた翼。
『桜祭』での仮装寸劇の為に、演劇部から借りてきた衣装を、小春が翼のサイズに合わせた上で、中世風に手直ししたものだ。
当日は、これに篠崎がメイクをし、髪を結い上げてくれることになっている。
翼
「ありがとうございます」
豪華なドレスを着てはにかむ翼に、女子たちは興味津々で近付くと、ドレスに触れたり、ポーズをせがんだりして目を輝かせていた。
小春
「どうでしょう……ジュリエットっぽく見えますか?」
心配そうに空間たちに尋ねる小春に、女子たちは揃ってOKのサインを出した。
小春
「良かった!」
翼
「小春ちゃん、ありがとう」
小春
「ううん、喜んでもらえて嬉しい」
小春は頬を染めて、嬉しそうに笑った。
とも
「穂積ロミオや小野瀬神父の衣装も楽しみやな」
ともが、しげしげと翼を眺めながら言った。
小春
「先生と男子の服は、お兄ちゃんが仕立ててるから絶対大丈夫」
何故か小春が胸を張る。
汚さないうちに脱ぐね、と言いながらパーテーションの奥に戻る翼を横目に、ともが尋ねてきた。
とも
「そう言えば小春、例の、喫茶店の手伝いの件やけど、何とかなりそうやて?」
小春
「うん、ありがとう。小笠原先輩のカレー優先権の効果がすごいの」
和音
「良かったね」
和音も微笑む。
小春
「ありがとうございます。先輩方や、ともちゃんたちが、運動部の人たちに声を掛けてくれたおかげです」
空間
「いいのよ。私たちも、明智先生の『伝説のカレー』楽しみにしてるんだから」
小春
「多分、明日辺りから試食が始まりますよ」
とも
「ほんま?やったあ!」
ともと和音たちが喜ぶ一方、小春はちょっと不安そうな表情を浮かべた。
小春
「でも、お兄ちゃん、凝り性だから……学園祭まで、放課後は毎日カレーかもしれないけどごめんね」
とも
「え……毎日?」
小春
「今の段階でもう美味しいよ。でも、毎日少しずつ配合を変えて試してるの。だから、実はうち、先々週から夜食は毎晩カレー」
全員
「……」
小春は自分の匂いをくんくん嗅ぐ仕草をした。
小春
「私、自分がカレー臭くなってないか心配」
翼
「だ、大丈夫だよ小春ちゃん」
着替えを終え、制服に戻ってパーテーションから出てきた翼が、急いで慰めてくれる。
翼
「家庭科部では、当日、二年生の先輩が作ってくれた可愛いメイド服を着て、ウェイトレスさんやるんでしょ?」
小春
「うん」
翼
「お揃いの黒いワンピースに白いフリルのエプロンと、フリルのカチューシャ着けて。小春ちゃん、きっと似合うよ」
小春
「そうかなあ」
翼の機転でちょっと元気になりかけた小春だったが、不意に、ハッとしたように一同の顔を見た。
小春
「あっ、そうだ。ウェイトレスといえば、喫茶店に、ジョーさんが手伝いに来てくれるそうなんです」
全員
「ジョー?」
小春
「それが、部長の話によると、ウェイターの格好してギャルソンエプロンつけた、男装で現れたらしいです」
全員
「男装?!」
小春
「なんでも、イケメンに扮して、ミスター桜祭に入賞するのを狙ってるんだとか」
翼
「女性なのにミスター桜祭?」
とも
「入賞して、お目当ての女子と踊る作戦か……」
ともが頭を抱えた。
和音・空間
「?」
ジョーを知らない、三年生の二人が顔を見合わせる。
翼
「ジョーさんって、レズビアンなんです」
和音・空間
「?!」
一方、教師と生徒会男子が集まっての体育館での打ち合わせは……
[削除]
10/06(Sun) 23:25
少しだけ
ジュン
子供の運動会を見に行って、なぜか私が筋肉痛です(>_<)
そのころの体育館では……
如月
「すごいっすねぇ」
ロバート
『マーサ、とっても格好いいわ』
ポール
『ルイとアオイも素敵!』
黄色い声(?)とシャッター音に包まれる男性陣。
翼のジュリエットの衣装と対になるようなロミオの衣装を着た穂積。
修道士の衣装を着ているのにフェロモン割増な小野瀬。
落ち着いた貴族の扮装をした明智。
意外と青年貴族の衣装が似合う藤守。
………
如月
「小笠原さんは?」
同じように衣装合わせのため更衣室に入った小笠原が出てきていない。
藤守
「小笠原?はよ、出てこいや?」
小笠原
「絶対嫌だから!!」
結局、ゴネにゴネまくり、穂積と小野瀬に両脇を抱えられて出てきた。
ロバート
『あら~、似合うじゃない』
ポール
『綺麗よ、リョウ』
乳母の衣装を身につけた小笠原は完全にご機嫌斜めである。
小笠原
「もういいから……ほっておいて……」
衣装のまま体育座りをしてしまいそうな小笠原をなんとか思いとどまらせて着替えをさせた。
明智
「サイズが合っていて良かったです」
穂積
「ああ。さすが明智だな」
藤守アニ
「しかし、本当にロミオとジュリエットが10分でできるものなのか?」
さっきまで、男の衣装合わせに興味なく一言も話さなかったアニが口を開いた。台本を読んでないらしい。
小野瀬
「藤守くんが台本を持ってるから読んでみたら?」
藤守アニ
「ああ、だが、忙しくてな……」
そんなセリフとともにバツが悪そうに視線を逸らすアニにロバートとポールが顔を見合わせてフフッと笑い合う。
小笠原
「なんだかんだ言って3人での出し物にやる気出してるんだ?」
藤守アニ
「やりたくてやるんじゃない!」
穂積
「しかし、台本通りじゃつまんなくないか?」
藤守
「なんでですか?」
穂積
「幸せなハッピーエンドなんかつまんないだろ?」
如月
「最後に大ドンデン返しですか?」
小野瀬
「ハッピーエンドはハッピーエンドでいいだろうけど、確かにもう少し盛り上がりがほしいかもね」
そして、男たちの勝手な台本の手直しが始まった……もちろん、女性陣には内緒である。
藤守アニ
「ロクなことを考えないな」
小笠原
「今更でしょ……」
[削除]
10/07(Mon) 10:35
おはようございます( ̄ー ̄)ノ
小春
ジュンさん、ありがとうございます(´∇`)ノシ
ひねりが加わって楽しみになってまいりましたね。
男性陣の企みは果たして……?
☆理事長室☆
エミ
「盛り上がってきましたわねえ、校長先生」
山田
「ですね。今年の実行委員会はなかなかやる」
着々と学園祭の準備の進む様子を大きな窓から眺めながら、エミは子供のように目を輝かせている。
その傍らで、校長の山田も目を細めた。
山田
「校長特権で、カレー優待券をもらって来ましたよ。もちろん理事長の分も」
エミ
「さすが校長」
山田
「お褒めにあずかり光栄です」
エミ
「校長はもちろん、どこかで参加を狙っているのよね?」
山田
「そう言う理事長こそ」
エミ
「ふふ」
山田
「ふふふ……」
☆体育館・放送室☆
空間
「……この辺りでいいかしら」
誰もいないステージを見下ろしながら、数ヵ所に仕掛けるビデオカメラの設置に余念が無い空間。
ナレーターを志願したのも、最高のポジションから落ち着いて小野瀬を撮るため。
激レアな修道士姿の小野瀬をしっかり捉えるため。
ステージ上で最も小野瀬に近付きそうな穂積ロミオと櫻井ジュリエットの服には、小笠原と小春を使って小型カメラを縫い付けさせた。
空間
「我ながら完璧ね」
空間はひとり、含み笑いを続けるのだった……。
☆家庭科室☆
部長
「お願い、小春さん」
部員たち
「お願いよ、小春!」
小春
「……」
小春の前には、拝むように両手を合わせている、部長を含む十人ほどの家庭科部員たち。
目の前のテーブルには、文化祭の小春の為に二年生が作ってくれた可愛らしいウェイトレスの制服と、白いフリルのエプロンとカチューシャ。
小春
「……」
部長
「私たちには、どうしても、明智先生のレシピが再現出来ないのよ。まして、量産なんてとても無理」
先輩たち
「小春なら出来るよね」
「私たち、ケーキやお菓子は頑張るから、今年は、軽食の調理に専念して!」
「パスタやサンドイッチも手伝うから!」
「ウェイトレスは誰でも出来るけど、あの味は明智先生と小春にしか出来ないのよ」
「ねっ、お願い」
小春
「……」
小春がじっと見つめる先には、どこから借りてきたのか、白いベレー帽と白いスモックの、懐かしい給食服。
ご丁寧に、胸に「小春」と大きく黒字で刺繍を入れてくれてある。
調理が嫌なわけではない。
ただ、みんながメイド服で働く可愛い喫茶店の横に設置されるオープンキッチンで、ジャージに白いベレー帽、給食服にマスクでカレーを作る自分の姿を想像するだけで、泣きたくなる。
その姿はどう見ても小学生にしか見えない事を本人が自覚しているから、なおさら。
しかしながら、この状況で先輩たちの潤んだ目から逃れる術を小春は知らない。
小春
「分かりました、頑張って作ります!」
顔で笑って心で泣いて。
小春は、元気よくベレー帽を被って見せるのであった。
☆音楽室→茶道部部室☆
ジュン
「ありがとう、賢史くん」
藤守
「琴をひとつ担いで来るくらいお安いご用や」
ジュン
「お茶屋さんで、手が空いている時には生演奏して聴いていただいたらどうかと思って」
藤守
「名案やん。ジュンが琴まで弾くとは思わんかったけど、絶対ウケるで」
ジュン
「ありがとう。運んでくれたお礼に、冷たいお茶を入れるね」
藤守
「おう。ありがとう」
ジュン
「うふふ、どういたしまして。……ねえ、賢史くんも、来てね」
藤守
「時間があったらな。これでも生徒会長やから」
ジュン
「あっ、そうか」
藤守
「忘れてたんかい!」
もちろん忘れるはずはない。
お互い承知のボケとツッコミに、茶道部の部室には、二人の明るい笑い声が響くのであった……。
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10/08(Tue) 12:02
☆桜祭前日☆
小春
明日からの学園祭に備え、玄関ロビーには、正門に立てられるのを待つばかりの『桜祭』の看板が寝かされていた。
ベニヤの一枚板に美術部が趣向を凝らした大きく華やかな看板は、見る者の気持ちを弾ませてくれる。
校内を巡回しながら廊下を歩いて来た翼とともも、その看板を見て、初めて体験する学園祭への期待を膨らませていた。
とも
「いよいよ本番やねえ」
翼
「そうだね」
とも
「私は体育祭と後夜祭の担当やからまだええけど、翼、ドキドキするやろ」
ともが意味深に笑うのは、明日の寸劇の事を指して言うのだろう。
翼
「うん。学園祭なんて初めて体験するから」
翼はわざと、そんな風に言ってみた。
寸劇だけではなくて、午前中の準備も、文化祭も体育祭も、後夜祭まで続くミス&ミスター桜祭コンテストも、そして後夜祭も。
全てが初めてで、ドキドキする。
渡り廊下を歩けば、お馴染みの練習をする吹奏楽の楽器の響きと合唱部の声が聞こえてくる。
どこかで琴を爪弾く音がするし、ギターに合わせて歌っている生徒たちもいる。
開け放された窓から、芳しいカレーの香りが漂ってきて、二人のお腹が、揃って「くう」と鳴った。
ともと翼は顔を見合わせて笑うと、歩く速度を上げた。
今日も、明智兄妹のカレーが、試食を待っているはずだ。
廊下の角を曲がると、藤守や和音が、生徒会室の前にいるのが見えた。
笑いながら手招きされて、二人はほとんど駆け出していた。
さあ。
学園祭が始まる。
新スレから学園祭始まりです。
タイミングを見計らっていた皆様、お待たせいたしました。
乱入よろしくお願いしまーす(´∇`)ノシ
10/04(Fri) 13:00
アブナイ☆恋の学園物語・設定集
小春
穂積泪:厳しいが教え方が上手だと評判の金髪碧眼の英語教師。なぜかオカマ言葉。野球部顧問。
小野瀬葵:女子生徒に大人気な白衣の似合う生物教師。口癖は「キミも解剖されたい?」穂積と同期。剣道部顧問。
明智誠臣:生真面目な国語教師。毎週漢字テストをすることにこだわりを持っている。家庭科部顧問。試合前になると柔道部の指導もする。
藤守賢史(弟):3年生。明るく人望ある生徒会長。陸上部キャプテン。穂積先生とは仲良し。(パシリとも言う)
小笠原諒:2年生。生徒会副会長。口数は決して多くないが、影で会長を支える生徒会のブレーン。ベンチャー企業を経営している。帰宅部。
如月公平:2年生。世話好きで優しい先輩。ヒロインが転校し、初登校で学校を案内してもらった人物。髪型を常に気にしている。柔道部所属。次期部長候補。
藤守慶史(兄):校則に厳しい社会科教師。毎朝校門で生徒をチェックしている。「絶対領域は死守する!」がモットー。
山田太郎:桜田門高校の校長。謎の多い人物。
櫻井翼(ヒロイン):父親の転勤に伴い、桜田門高校に転校してきた1年生。明るく素直。人の名前と顔を覚えるのが得意。運動はちょっと苦手。
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10/04(Fri) 13:03
アブナイ☆恋の学園物語・設定集
小春
ロバート:ニューヨークにある桜田門学園の姉妹校の大学教授。中東の血が入っていてヒグマのような巨漢だが心は乙女。
ポール:ロバートの同僚。見た目はシロクマのようだが、理数系で繊細な神経を持っている。ロバート同様、面食いで心優しいゲイ。
ジョー:ニューヨークから桜田門学園の大学課程への留学生。留学中は同じ敷地内にある高校の学生寮に寄宿している。ブルネットの髪に青い目の美女だが、レズビアンである。
小春:翼の友達。同じクラスの1年生。生徒会役員。家庭科部と図書委員会にも所属している。髪は真っ黒でショートカット。小柄で天然ないじられキャラ。英語が苦手。明智の妹で顔も似ている。ブラコン。
とも:翼の友達。隣のクラスの1年生。生徒会役員。野球部マネージャーでもある。セミロングの髪を横で一つに束ね、うっすら日焼けしている。関西から来た特待生。明朗快活で姉御肌。空手の段持ちでもある。
藤守ジュン:2年生。藤守兄弟の従姉妹。小柄で少し赤みがかったセミロングの茶髪。高校2年生とは思えない可愛らしい女の子。特技はピアノ。
空間セツナ:3年生。つややかな長いストレートの黒髪が自慢のツンデレ美女。才色兼備だが、小野瀬先生へのストーカー気質という致命的かつ非常に残念な病気がある。『桜祭』文化祭実行委員長。
和音:3年生。少し癖のある明るい色の髪。長身で目鼻立ちのはっきりした美人で、性格は男前で男勝り。宝塚歌劇団男役風。男女問わず人望のある『桜祭』体育祭実行委員長。
篠崎清香:緩くパーマのかかった長い髪、小柄だがナイスバディな養護教諭。小野瀬や穂積と同期で一緒に生徒会を務めた仲。小野瀬とは大人な関係か?
黒柳エミ:学園の理事長。就任して間もないが、校長と同様に神出鬼没で、いろいろとナゾの多い美女。
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10/04(Fri) 16:12
アブナイ☆恋の学園物語・設定集
小春
『桜祭』とは?
1日目(前夜祭)……生徒会長藤守の指揮のもと、会場設営、各教室の展示物や模擬店の準備などを行う日。
準備の終わった午後4時頃から、午後7時頃まで(終了未定)、様々なオープニングイベントが行われる。
前夜祭実行委員長は、文化祭委員長と兼任の空間。生徒会からは藤守、小笠原、翼が協力する。
生徒会では、開会宣言の前に30程度のパフォーマンスをするのが通例。
今年は仮装寸劇『10分間でロミオとジュリエット』、アニとNYベアーズによる出し物が予定されている。
ちなみに、ミス桜祭&ミスター桜祭への投票は1日目の正午から受け付け開始される。
2日目(文化祭)……空間委員長率いる文化祭実行委員会が仕切る。
講堂や体育館で吹奏楽部、合唱部などの演奏、演劇部や有志の手品や漫才などのパフォーマンスが行われる。
各教室ではクラス展示、文化部では部室を開放しての展示や実演など活動の発表の機会になる。
茶道部ではお茶とお茶菓子をふるまう茶店、家庭科部では喫茶店というように、中庭などに模擬店もたくさん並ぶ。
3日目(体育祭)……和音をリーダーに、体育祭実行委員会が運営する。
会場は主にグラウンド。
体育系の部活やスポーツの得意な生徒たちの晴れ舞台であり、クラスや学年別の種目の他、部活対抗、教職員やPTAも参加しての種目など盛り沢山。
MVPには後夜祭でのダンス相手を指名出来る特典もあるらしい。
2日目、3日目には家族限定など入場制限はあるものの、一般の参加も可能なため、穂積や小野瀬目当ての不法侵入が後を立たず、空間や和音が頭を悩ませている。
4日目(後夜祭)……生徒会長藤守を中心に、朝から校内の片付けをする一日。
当然生徒たちのモチベーションは低いが、片付け終了後にはファイナルイベントが待っている。
後夜祭責任者は体育祭実行委員長の和音。
生徒会からは藤守の他に如月、とも、小春が協力する事になっている。
正午までミス&ミスター桜祭の投票が行われ、開票結果により上位5人までがダンスの相手を指名出来る。
ファイナルイベントでは教職員と生徒の交流のためのダンスパーティーが予定されている。
片付けで出た可燃物がグラウンドに運ばれてキャンプファイヤーのように燃やされ、その炎が消えると、藤守の閉会宣言で閉幕する。
※『桜祭』は基本的に生徒たちによって運営されるため、トラブルや突然の変更や新企画も多発します。
上記の内容はあくまでも参考ですのでご了承のうえ、ふるってご参加下さい。
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10/09(Wed) 04:29
いよいよ開催!
とも
さぁ桜祭が始まりますよ♪
☆桜祭・前夜祭☆
ついにやってきた桜祭のオープニングを飾る前夜祭当日。 校内のあちこちで最後の準備に大忙し。
そして実行委員、前夜祭担当チームも最終リハーサルに余念がない。
藤守
「いよいよ桜祭始まるなぁ。今年も盛り上がるとええんやけど。……アカン、自分で何をしゃべらなあかんのか忘れそうや」
空間
「ちょっと、何緊張してるのよ!こっちまでうつっちゃうじゃない」
藤守
「そない言われてもやなぁ…」
小笠原
「司会の二人もさすがに緊張するんだね」
藤守
「なんならお前が代わりに出るか?」
小笠原
「……絶対嫌だ」
☆舞台袖女子控え室☆
小春
「これでよし。翼ちゃん、こっち向いて?」
篠崎
「櫻井さん、よく似合ってるわ~」
翼
「ううっ、ダメだ、やっぱり緊張しちゃうよ~」
とも
「大丈夫やて、翼。あんだけ練習したんやから、大成功間違いなし!あとは先生たちにまかしといたらええねん」
寸劇まで出番のない翼は今から着替えを済ませておくことにした。
そして、今から篠崎にヘアメイクをしてもらうところなのだが、あまりの緊張に顔がひきつっていた。
とも
「ところで、寸劇の前にやるNYベアーズとアニ先生の出し物って何か知ってる?」
小春
「私も知らないの。練習してるところも一度も見てないんだよね」
篠崎
「私も。前に何するのか聞いたんだけど、『トップシークレットだから清香にもナイショなの』って教えてくれなかったわ」
話ながらも篠崎の手は止まることなく、どんどん翼にメイクを施していった。
☆舞台袖男子控え室☆
穂積
「…ねえ、アニたちはどこに行ったのか知らない?」
小野瀬
「さぁ?舞台袖に出し物で使うらしいものは置いてあるけど、『触るなキケン』て書いてあるんだよね」
如月
「小笠原さん、何か知ってそうですよね?」
小笠原
「音源と照明がプログラムされたUSBメモリを渡されただけだよ。本番にこれをセットしてスタートしてくれたらいいだけだって言ってたけど、中身は全く見てないよ」
藤守
「なんや、それだけ?俺も結局兄貴から何にも教えてもらってへんからなぁ。」
明智
「藤守、そろそろ時間だぞ」
藤守
「よっしゃ!ほんならみんなで桜祭を成功させたるで!」
全員
「おー!」
数分後、前夜祭の始まりを告げる校内放送が学校中に響き渡った。
『ただいまより、桜祭・前夜祭を開催致します。生徒のみなさん並びに教職員の方々は会場にお集まり下さい。繰り返します………』
☆前夜祭会場☆
先程の校内放送を聞き、続々と生徒や教職員たちが会場に入ってきて、それぞれが今や遅しと始まるのを待っていた。
舞台袖では実行委員たちがスタンバイしているが、トップバッターのアニたちが未だに見当たらないので焦り出している。
藤守
「もうすぐ開始時間になるのに、兄貴もロバートとポールも何処におんねん?」
如月
「あちこち探してきましたけど居ませんね」
空間
「開始時間を延ばすことは出来ないわよ」
とも
「もっかい私も探してきましょうか?」
穂積
「…まさか、本当に居ないなんてことはないでしょうね」
小野瀬
「あんなにはりきってたんだ、アイツらに限ってそんなことはしないんじゃない?」
明智
「小笠原、いつでも始められるように準備しておこう」
小笠原
「もうやってるよ。…あれ?これ、開始時間にスタート出来るようにプログラミングされてる。あと3分で自動的に始まるみたい」
小春
「ええっ、本人たちが居ないのにどうするんですか?!」
穂積
「もう会場のどこかにいるんでしょ?仕方ないからこのまま始めましょう」
もうすぐ1分前というとき、会場全体の照明が落ち、舞台にカウントダウンの数字が現れた。
30秒前。
15秒前。
5、4、3、2、1。
全員がカウントダウンする中、前夜祭は幕を開けた。
10/09(Wed) 04:31
NYベアーズwithアニ登場
とも
開始と同時に舞台にスポットライトが当たると、何もなかったそこに大きなカボチャが二つ。
ざわつく会場をよそに軽快な音楽が流れ、カボチャが動きだした。
生徒A
「何あれ?置物じゃないの?」
生徒B
「動きが機敏すぎるぞ」
如月
「あのカボチャってまさか……?」
藤守
「ロバートとポールか?」
大きな音と共にカボチャの中から客席に向かって紙吹雪が舞い、ロバートとポールが顔を出した。
ロバート
『みんな元気~?桜祭へようこそ!今日は楽しんでね!』
ポール
『ハロウィンが近いからジャックランタンに扮してみたのよ!似合うでしょ?さぁ、次はワタシとロバートをカボチャに変えた、魔女の登場よ~♪』
タイミングよく音楽が止まり、舞台が暗転すると、会場の上から黒い何かがゆっくりと降りてくると、スポットライトが当たる。
その正体は……。
黒いとんがり帽子に黒いマント、またまた黒いワンピースを身につけた魔女に変装したアニが立っていた。
が、NYベアーズによって完璧に女装させられているため、ほとんど誰もが気づいていない。
アニ
「…………」
穂積
「ねぇ、あれアニじゃない?」
とも
「うっそ~?!」
小野瀬
「ホントだ。ああやってみると結構美人だね」
生徒C
「すっごい美人!」
生徒D
「ミス桜祭に投票しようかな?」
魔女(アニ)はステージに上がると、再び音楽が鳴り出し、NYベアーズと共に華麗なダンスを繰り広げた。
会場のテンションは最高潮に上がり、ダンスが終わった3人は叫びながら客席に飴をばらまいた。
ロバート・ポール・アニ
『Trick or treat!桜祭を楽しまなきゃ、ワタシたちがみんなにイタズラしちゃうわよ~♪』
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10/09(Wed) 06:51
始まりましたね
ジュン
桜祭、始まりましたねo(^o^)o
まさか、アニ先生の女装で始まるとは!!従妹のジュンもビックリです(^^)b
これから何が起こるか楽しみですね!
[削除]
10/10(Thu) 01:08
ロミジュリ。
清香
アニの女装!!!!眼鏡を外したら美人さんになりそうだ!
☆体育館・ステージ上☆
節分の豆まきのように豪快に飴をまき終った後、3人はそれぞれ上手・下手に別れ舞台袖へと戻って行った。
観客達が飴を拾うのに夢中になっている間に、演劇部の有志の協力を受けあっという間にステージ上に簡易バルコニーが設置される。
パニックを引き起こさないようゆっくりと照明が落とされると、体育館内に静かな声が響いた。
空間
「オープニングアクト・その2。生徒会による『ロミオとジュリエット』」
ざわざわと声を挙げる生徒を諌めるように、空間が淡々とナレーションを始めた。
空間
「昔々、ヴァロナの街にキャビュレット家とモンタギュー家という二つの旧家がありました。この両家は代々お互いを仇だといがみ合っていました。キャビュレット家にはジュリエットという娘が、モンタギュー家にはロミオという息子がおりましたが、物語はこの二人が舞踏会で出会ってしまった所から始まるのです…。」
ステージ上に照明が灯されると、バルコニーにドレスを身にまとった翼が静かに歩みを進める。
翼
「…ロミオ、あなたはどうしてロミオなの…?」
台本に書かれたように呟く翼の声にはそこはかとない悲しさが漂っていた。
恋をしてはいけない人に恋をしてしまった後ろめたさと、それでも止められない恋心が溢れているようで観客の視線が一気に翼へと集まる。
翼
「…はぁ。」
ドレスの胸元に付けた小さなマイクが翼のため息を伝えると。
穂積
「…仕方ねぇだろ、ロミオなんだから。」
舞台の上手から頭をポリポリと掻きながら穂積が歩みを進めると、一気に黄色い歓声が体育館を包んだ。
それもそのはず。
本来ならば舞踏会に参加した後の設定なので燕尾服を纏っているはずが、なぜか白いカボチャパンツに白タイツの王子様スタイルだからである。
ご丁寧に小さな冠まで頭に乗せているものだから、絵本の世界から飛びだしたかのような穂積の姿にほぼ全員と言ってもいいくらい、女子生徒達が携帯を掲げてシャッターを切る。
穂積
「撮るなっつーの!!」
ぼそりと呟いた声をマイクが拾うが、シャッター音にかき消されてしまった。
舞台袖で笑いを堪えている小野瀬と篠崎をジロリと睨みながらも、とっとと終わらせるべく頭に叩きこんだ台本をなぞる。
穂積
「…えっと、ジュリエット。俺はあなたに一目で恋に落ちてしまった。どうか、俺のものになってくれないか?」
『ぎゃあぁぁあああああ!!!』
絶叫とも悲鳴とも取れる叫びが観客席から上がる。
声の大きさに思わず耳を塞いでしまった翼が、『アレ?』っと言いたげに首をひねった。
穂積
「…(聞こえなかったか?)」
口パクでそう言うと、眉根を寄せてすまなさそうにする翼に、穂積が再び口を開く。
穂積
「…ジュリエット、気がついたら好きになっていた。だから。」
一歩バルコニーへ近づき、翼へと手を差し伸べる。
穂積
「俺のところへ来い。」
(ぎゃあぁぁぁぁあああ!)
ハンカチで口元を押さえ、悲鳴が漏れないようにした生徒たちの機転のおかげでどうにかセリフが翼の元へと届いた。
しかしなんとなくニュアンスは同じなものの、台本通りにいかず安定しない穂積のセリフに空間はナレーションを入れ損ねてしまう。
そこへ。
明智
「ふふふふ、不審者、めっ、者ども、でっ、出合え―!!」
ジュリエットの父親役である明智がバルコニーの後ろからつんのめるように出てきた。
大根役者として名高い明智のセリフもさることながら、タイミングのおかしさに穂積が突っ込む。
穂積
「何でお前が出てくるんだよっ!」
明智
「父親として当然の事をしたまでです。」
冷静に返す明智に、会場からどっと笑い声が漏れる。
篠崎
「……面倒くさい親父さんね。」
小春
「あ、あはは………。」
呆れるように呟いた篠崎の声を聞きながら、小春は乾いた笑いをあげていたのだった。
10/10(Thu) 07:14
おはようございます(´∇`)ノシ
小春
小笠原
「旦那様、まだ出番じゃないよ」
バルコニーの翼、明智の背後から階段を昇って現れたのは、小笠原。
今日はいつもの無機質な眼鏡を外されてしまった端正な顔立ちは、篠崎によって世にも可愛らしい乳母に変えられている。
会場のあちこちからも、「あれ誰?」「可愛い」というざわめきが漏れていたた。
当の小笠原は台本通り、いや、出来ることなら、すぐにでも終わらせて帰りたい、と、そればかりを考えているのだけれど。
小笠原
「明智先生」
明智
「なんだ?俺は今、最後の長セリフとカレーの事で頭が一杯なんだ」
小笠原
「……はあ。あのね、この後、先生のセリフは全部『お父さんは許さんぞ!』だけでいいから」
明智
「え、本当か?それは助かるが……」
小笠原
「いいから下がって」
本人たちは小声で会話しているつもりなのだが、翼の溜め息まで拾った高性能マイクは、全て筒抜けにスピーカーへ送っている。
明智が小笠原に引っ張られて引っ込むと、笑いを堪えて聞き耳を立てていた会場の観客から、どっと笑い声が起きた。
妙な間の後、咳払いした穂積が、改めて、バルコニーの翼に手を伸ばした。
穂積
「あー、ジュリエット……」
翼
「ロミオ、行けないわ。私、パリスとの縁談を進められているの」
翼が、懸命に話を台本に引き戻す。
パリスを演じる藤守が、舞台袖から飛び出した。
穂積
「誰だ?!」
藤守
「俺やで!」
10/10(Thu) 09:49
面白すぎる!
ジュン
穂積先生のカボチャパンツ(*≧∀≦*)
一般生徒には刺激が強すぎますわ!
賢史くんの「俺やで」はツボにはまってしまいました(* ̄∇ ̄)ノ
楽しいですね~続きが楽しみです!(←他力本願)
10/10(Thu) 11:24
ロミジュリ
清香
☆ステージ上☆
『ジャーン』という効果音を自分の口で言いながら藤守が舞台袖から飛び出した。
藤守
「俺がジュリエットと結婚するんや!!」
『決まった!!』と言いたげにドヤ顔で言う藤守に、会場の男子生徒達から拍手と声援が送られる。
やはりいい男に美味しいところを持っていかせたくないという心理が誰にもあったのだろう。
『そうだー!』『いけー!』『やれー!』『倒しちゃえー!』
ボルテージの上がった男子達の野太い声援を背中に受け、藤守もつい調子に乗ってしまう。
藤守
「人の婚約者を横取りすんなや!!ボコボコにするで!」
ビシッと穂積を指差し、啖呵を切った藤守に穂積はニヤリと笑った。
穂積
「…へぇ?そんな事言っていいと思ってるのか?」
手をバキバキと鳴らす穂積に藤守は一瞬怯むものの、男子生徒の応援を一身に受けた生徒会長として引くことは出来ない。
藤守
「当たり前や!オッサンに負けるわけ無いやん!」
言い切った藤守に穂積は笑みを深めた。
穂積
「よし、後悔すんじゃねぇぞ?」
演劇部が気をきかせたのか、どこかで『カーン』とゴングが鳴った音がする。
その音を聴いて、篠崎と小野瀬は深いため息をついたのだった。