『アブナイ☆恋の学園物語』
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01/04(Sat) 07:16
☆ダンスパーティー~小野瀬~☆
小春
ジュンさん、読者モードはまだ早いですよ( ・ε・)bチッチッ
あちこち同時進行でドラマが生まれる、一曲目。
それまで流れていた音楽がフェイドアウトしてゆき、ダンスのための曲の前奏が始まる。
小春と向かい合って立った小野瀬は、改めて小春が本当に小さい事にまず驚き、
エスコートしようとしたら丁寧に作法通りの挨拶をした事に二度驚き、
音楽が流れ出すと、小野瀬のリードに合わせて無難にステップを踏み出した事に三度驚いた。
小春は小野瀬と接しても、アオイストの女の子たちのように意識し過ぎて赤くなったり、必要以上に密着してきたりはしない。
自分の足運びに気をとられているせいもあって、むしろ素っ気ないくらいだが、目が合えば笑顔を返してくるし、曲に乗り遅れないよう、小野瀬のリードに一生懸命ついてくる。
昨日、小野瀬が原因でいじめられたのに、小春の態度が今までと変わらない事に、小野瀬は内心ホッとしていた。
小野瀬
「小春さん、上手だね。びっくりしたよ」
小春
「ありがとうございます」
小野瀬が優しく褒めると、胸の高さから小春が笑顔を上げた。
小春
「実は特訓したからなのです」
小野瀬
「特訓?」
小春
「はい。昨日の夜、お兄ちゃんと」
明智が小春とダンスの特訓、と聞いて、小野瀬にも、なるほどと思い当たる節がある。
きっと、昨日の体育祭で篠崎と思いが通じた明智が、今日の後夜祭で彼女をダンスに誘うために、慌てて練習したのだろう。
しかし、あのお姉さんたちとでは、冷やかされるばかりで、まともな練習など出来るはずがない。
そこで、小春が練習相手をさせられた、と。
小春
「『完全図解!一晩で上手くなるダンス~入門編~』っていう本と、付属のDVDで猛特訓です」
小野瀬の脳裏には、小春を相手に、本やDVDを見ながら必死でステップを覚える明智の姿が目に浮かぶようだった。
噴き出しそうになりながら、体育館の中に明智を探したが、残念ながら近くには見当たらない。
一夜漬けで本当に上手くなるのかな。
けれど、ここまで一度もステップを間違わない小春を見れば、明智が選んだのはなかなかの名著ではないかと小野瀬は思った。
小野瀬
「きみは本当に面白いね」
ただ、大好きな明智の話をしているのに、小野瀬と踊っているのに、小春はどこか寂しそうだ。
心当たりのある小野瀬は、そっと微笑んでから、小春に訊いてみた。
小野瀬
「……ねえ、小春さん」
小春
「はい」
小野瀬
「本当は、今日も明智くんと踊りたかった?」
小春は少し考えて、いいえ、と首を横に振ると、唇を尖らせた。
小春
「……お兄ちゃんとなんか、もう踊ってあげません」
やっぱり。
小野瀬は苦笑した。
小野瀬
「やきもちやきで寂しがりやなのは相変わらずだね、小春さんは」
小野瀬に言われて、小春は顔を赤らめた。
小春
「ごめんなさい」
小野瀬
「いいんだよ。きっと、明智くんは、篠崎さんと踊る事で頭がいっぱいで、きみの気持ちを考えるのを忘れちゃってたんじゃないかな?」
そう言うと、小野瀬は、小春の身体を軽く引き寄せた。
小野瀬
「きみは、前に言ったよね。明智くんに恋人が出来るのは嬉しくないかも、って」
表情を曇らせた小春の返事を待たずに、小野瀬は続けた。
小野瀬
「……篠崎さんはね、俺にとって、妹みたいな存在だった」
小春
「恋人じゃなくて?」
小野瀬
「恋人には、なれなかったな」
どういうわけか、小野瀬はもう、小春に隠し事が出来なかった。
小春の方も、小野瀬に気を遣わなくなってきているような気がする。
小野瀬にはそれが心地よかった。
小野瀬
「だからね。明智くんと篠崎さんが仲良くなるのはいいけど、ちょっと寂しい、今の小春さんの気持ちも、分かるつもり」
小春
「……」
小春は真顔で、小野瀬の話を聞いている。
小野瀬
「大好きな人が幸せになるなら喜んであげたいし、応援もする。でも、やっぱり寂しい。……そんな気持ちだよね」
小春
「小野瀬先生」
小野瀬
「うん、なあに?」
小春
「先生、前に言いましたよね。きみにも好きな人が出来れば、寂しくなくなるよ、って」
確かに言った。小野瀬が頷くと、小春は不意に、小野瀬のシャツの胸に額を当てた。
微かにバニラのような甘い香りがして、小野瀬はどきりとする。
小春
「でも、私、今の自分の寂しさを紛らすために誰かを好きになるなんて出来ません」
小野瀬
「……」
小野瀬は大人だから、疑似恋愛で気持ちをごまかす事も出来る。けれど、小春には出来ないだろう。
だとしたら、この小さな女の子は、いつまでその寂しさに耐えなくてはならないのだろうか?
小野瀬
「……俺は、それでも、いいよ」
小春
「え?」
小野瀬の言葉に、小春が顔を上げた。
小野瀬
「きみに、本当に好きな人が出来るまで、俺、きみの恋の相手をしてもいい」
小春
「……」
本気だった。
けれど、小春はすぐに首を横に振った。
小春
「嘘の恋なんて出来ません」
小野瀬は小春の言葉を、表情を変えずに聞いた。
けれど、本音を言う為に速まった小野瀬の動悸はおさまらず、さらに速くなっていってしまう。
小野瀬
「おや、フラれちゃったな」
内心の動揺を隠し、おどけてやり過ごそうとした小野瀬を、小春はじっと見つめた。
小春
「だって私、小野瀬先生が好きだもの」
心臓がどきりと跳ねた。
小野瀬
「……小春さん」
小春
「だから、嘘の恋なんて出来ません」
小野瀬
「……」
小春
「小野瀬先生が、今、私と同じように寂しくて、篠崎先生の代わりになる妹が欲しいなら、私、喜んで妹になります」
小野瀬
「……!……」
ああ。
思っていた通りだ。
この子の目には真実が見えている。
そして、穂積の言った通りだ。
小春は強い。
だから大丈夫だと。
小野瀬は胸の奥が温かくなってくるのを感じた。
小野瀬
「小春さん」
小春
「はい」
小野瀬
「……俺、きみのそういうところ、やっぱり好きだよ」
小野瀬は小春の髪を撫でた。
撫でられた小春はにっこり笑って、いつも明智にそうするように、小野瀬にぎゅっと抱きついた。
01/04(Sat) 08:56
おはようございます!
くちびる
皆様明けましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
まだまだ休みは無いけど(ToT)(泣)3がにち乗り切りました(笑)
リレーも進んでいますね♪
みんなラブラブで嬉しいです♪
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01/04(Sat) 11:54
☆ダンスパーティー~明智~☆
小春
明智&篠崎をちょこっとだけ。
明智
「…………」
明智は背が高い。
彼の方からは、小野瀬と小春が楽しそうに踊っている姿が見えていた。
明智
「ち、ちょっとすみません、篠崎先生」
篠崎と組んだ手を引いて、明智は小野瀬と小春のペアに近寄る。
篠崎は必死な明智が可笑しくて、微笑みを浮かべながら行動を共にした。
明智
「こ、こら、小春。そんなにくっついたら、小野瀬先生にご迷惑だろう?!」
小春は明智の顔を見ると、つん、と横を向いた。
小春
「そんな事ないもん。お兄ちゃんこそ、篠崎先生とちゃんと向き合わないと失礼だよ」
小野瀬がぷっと噴き出す。
小野瀬
「これは、小春さんが正しいね」
明智
「お、小野瀬先生まで!あまり小春に構い過ぎると、他の女子生徒から抗議が来ますよ?!」
小野瀬
「平気だよ。俺は、小春さんのお兄ちゃんなんだから」
明智
「お、お、お兄ちゃん?!」
小野瀬
「ねー、小春さん」
小春
「ねーっ」
明智
「こここ、小春!」
小春
「篠崎先生、すみません。うちの兄ったらお行儀が悪くて」
篠崎はくすくす笑っている。
篠崎
「いいのよ」
明智
「し、篠崎先生まで…………」
篠崎
「さあ、お邪魔しちゃ悪いわ。私たちも、向こうで踊りましょう?」
小野瀬
「そうだよ明智くん。せっかく『完全図解!一晩で上手くなるダンス~入門編~』で特訓したんだろ?」
小野瀬の声はよく通る。
周りで盗み聞きしていた生徒たちからも、くすくす笑いが漏れた。
明智
「小春、そんな事まで話したのか?!」
小春
「ふーん、だ。小野瀬先生、あっち行きましょ」
小野瀬
「はいはい。じゃあね明智くん、篠崎さん」
篠崎
「はーい」
明智
「あっ!こら小春!小野瀬先生ーー!」
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01/04(Sat) 14:36
こんにちは
とも
小春ちゃんは小野瀬先生と…\(//∇//)ムフフ
明智先生が慌てるのも面白い(笑)
次は誰が踊るんでしょうね~?楽しみです(≧∇≦)
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01/04(Sat) 16:26
和音とパープルドラゴン
ジュン
和音
「本当にいいの?」
和音がパープルドラゴンこと村崎に確認するように尋ねる。
龍二
「拙者が言い出したことでござるよ。」
寄り添いながら踊る和音と村崎は絵画のそれのように美しく、周りの者をうっとりとさせる。
龍二
「穂積先生ともいい思い出を作ってほしいでござる。」
村崎の優しさに和音の心は暖かくなる。そっと村崎の肩に顔を埋めるように寄り添った。
穂積と踊れることは素直に嬉しかったが、村崎の優しさがそれ以上に嬉しかった。
龍二
「そのかわり、穂積先生と踊ったあとは拙者とまた踊って下され。」
和音
「ありがとう。村崎くん……」
二人の間にはとても穏やかな雰囲気が流れていた。
和音さんとパープルドラゴンさんを書いてみたのですがいかがでしょうか?
難しい~(;つД`)
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01/04(Sat) 16:58
☆ダンスパーティー~そろそろ2曲目~☆
小春
おお、ジュンさんありがとうございます(小躍り)。
「理事長、踊って頂けますか?」
理事長の黒柳に声をかけてきたのは、山田。
踊る穂積や生徒たちの様々な表情を眺めながら壁の花でいるのも悪くなかったが、校長である山田に誘われて断る事は出来なかった。
エミ
「もちろん喜んで」
山田
「ありがとうございます」
あくまでもエレガントにダンスフロアに誘い出しながら、山田はエミに微笑んだ。
山田と手を繋いで向かい合うと、エミは何故かいつも少し不安になる。
どこか異国にいるような、自分が自分でなくなるような、そんな胸騒ぎを感じてしまうのだ。
山田
「大丈夫。あなたの意に反した振る舞いは致しませんよ」
山田の方は、何もかも承知している様子。
微笑む山田のリードに身を任せると、エミはいつの間にか優雅に踊り始めていた。
ともに長身で、美形同士のパープルドラゴンと和音が組むと、それだけで絵になる。
しかも二人は恋人同士となれば、それはもう良い雰囲気なのだ。
二人の周りばかりではなく、壁際にいる男女からも溜め息が漏れる。
桜木
「いいなあ、村崎……」
流川
「心の声が漏れてるぞ」
上杉
「俺たちだって、もっとモテてもいいはずだけどな」
壁にもたれて会場を眺め、ぶつぶつ呟きあう、あぶれた男子たち。
流川
「まあまだ始まったばかりだ。ラストダンスまでに相手を見つければいいさ」
上杉
「だな」
桜木
「え、今年はアレあるの?」
素っ頓狂な声を出した桜木の口を、流川と上杉が慌てて押さえる。
上杉
「でかい声出すな。……裏方やってる奴らから聞いたんだよ。今年はやるって」
流川
「先生たち、特にアニ先生なんかにバレたらヤバいだろ」
桜木
「……だよな。ラストダンスの最中に電気が消えて突然真っ暗になるだけでもパニックだもんな」
上杉
「それで、真っ暗になった隙に、近くにいる、目当ての女子にキスしちゃうんだろ?そりゃ大騒ぎになるよ」
桜木
「前回やったのは一昨年だから、知ってるのは三年生だけだ。一、二年生の女子が狙い目だな」
流川
「しっ、お前ら声がでかいってば……」
流川が素早く制したおかげで、彼らの声が漏れて大騒ぎになることはなかった。
が、すでに動き出した三年生男子の密かな企みは、黒柳と踊りながら彼らの近くを通過した山田の耳に入った。
山田
「……今年はやるようですよ」
黒柳と踊りながら、山田は穂積と背中を合わせて囁いた。
穂積
「……了解」
何度も後夜祭のダンスを経験してきている教員たちには、それだけで通じる。
毎年ではないが、ジュンが指名された時に騒いだような連中がいる年には、「停電」が起きる。
用心深い小野瀬や穂積が、あらかじめ空間や翼に「最後は自分と」と念を押したのは、これを想定していたからだ。
だが、ほとんどの生徒は何も知らない。
何も知らない女子生徒たちを被害に遭わせるわけにはいかない。
騒ぎにならないよう、教員たちは互いに伝言を交わしながら、対策を打たなければならない。
同時に、男子たちの間でも、ひそかな伝言が広がり始める。
内容はどちらも同じだ。
ラストダンスでは停電が起きるぞ、と。
01/05(Sun) 04:28
いやはや。
清香
明けましておめでとうございます。
人様の忘年会・新年会をこなし、自分の親戚には碌に挨拶も出来ないまま正月が過ぎて行きました。
今が何日か正直良く分かっていませんが(苦笑)やっと書き込めます。
少し遡るけど、気にしない!
☆ダンスパーティー~明智&篠崎~☆
軽やかな音楽に合わせて小野瀬と小春は踊る生徒達の輪の中へと戻って行ってしまった。
心配そうに、そしてどこか寂しそうに小春達の背中を見つめたまま身動きが取れないでいる明智のジャケットを篠崎がツンッと引っ張る。
篠崎
「明智先生、ほら。」
明智
「えっ?あ、は、はい。」
差し出された篠崎の手に促されるまま手を合わせると、篠崎はそのまま慣れた様子でステップを踏み始めてしまう。
明智
「う、うわっ。」
篠崎
「明智先生、落ちついて下さい。音と私に身を任せて、ね?…そう、上手。」
『1、2、3、はい』と小さくカウントを取りながら特訓したのであろうステップに意識を向かせ、明智の視線が遠くから足元へと移ったのを確認すると篠崎は明智にだけ聞こえるくらいの小さな声で囁く。
篠崎
「明智先生、小野瀬先生も小春さんも心配はいりませんよ。」
明智
「えっ?どうしてですか?」
にっこりと笑いながら真っ直ぐに明智を見上げた篠崎の瞳はどこか確信に満ちているようで、それが余計に明智の心を波立たせる。
篠崎
「先ほど小野瀬先生は『お兄ちゃん』だと言っていましたよね?彼が自らをお兄ちゃんと位置付けたなら、明智先生の見えない所でもきっと小春さんを守ってくれます。」
明智
「……そうでしょうか?」
篠崎
「えぇ。少なくとも私はずっとそうやって守って貰いましたから。」
明智
「………。」
昔を思い出すように少し懐かしげに微笑む篠崎を、明智は何も答えないままじっと見つめ続けた。
そして流れている楽しげな曲調とはまるで正反対の、不満を滲ませた声でぽつりと呟く。
明智
「……やはり小野瀬先生の方が頼りになりますか?」
篠崎
「へ?そんな事無いですよ?」
明智
「でも、篠崎先生にとって小野瀬先生は特別なようなので……。」
篠崎
「いや、前にも言いましたが、付き合いが長いからであってそういう訳ではないですけど…。」
否定する言葉を返しても納得いかないと言いたげに漏れる言葉に、篠崎の口元には次第に笑いが浮かぶ。
明智
「…学生時代から小野瀬先生だけは名前で呼んでましたし……って、なんで笑うんですか。」
不満を体現するかのように口元を尖らせた明智が精一杯の抗議を含めた視線でジロリと篠崎を見下ろすと、目尻に浮かんだ涙を拭いながら篠崎が嬉しそうに笑った。
篠崎
「…ッ、ご、ごめんなさい。……あの、もしかして妬きました?」
確かに嫉妬としか思えない言葉達。
言った後、しかも指摘されて初めて気がついたのか、耳を赤らめたまま明智は言葉を詰まらせを返事する事が出来ない。
篠崎
「ね、妬いてくれましたか?」
明智
「………………はい。」
再度問いかけられた篠崎の言葉に、明智は憮然とした様子を浮かべながらも首肯した。
篠崎
「…ありがとう、誠臣君。」
明智
「……えっ!?」
ぎゅっと握られた手の熱と力強さに意識を持って行かれ、明智は一瞬篠崎の発した言葉が空耳ではなかったのかと思ってしまう。
『もう一回言って貰えませんか?』と目で訴えかけるものの、分かっているはずなのに篠崎はニコニコと微笑むだけだ。
明智
「あ、あの…。」
篠崎
「ん?なぁに?」
明智
「…もう一回呼んでもらえませんか?……清香さん。」
篠崎
「はい、誠臣君。」
真剣だったり憮然としたり、と思えば呆気にとられたり真っ赤になったり。
体育館の片隅でくるくると表情を変える明智と、それを見上げながら何だか楽しそうにしている篠崎の様子をこっそり見つけ、小野瀬はひそかに肩を揺らす。
穂積
「おい、あの二人はとっとと追い出した方が生徒の為じゃないか?」
小野瀬
「まぁまぁ。みんな踊るのに夢中だし、今日は大目に見てやろうよ。」
互いのパートナーに聞こえないよう、すれ違いざまに呟かれた二人の言葉は呆れながらもどこか嬉しそうだった。
→
あー、自分で書いてるのに可笑しいw
[削除]
01/05(Sun) 12:23
☆ダンスパーティー~穂積と和音~☆
小春
んもー、明智&篠崎はこっちが恥ずかしくなるくらいラブラブね。
二曲目。
穂積は和音と踊っていた。
ミスター桜祭とミス桜祭という、文句のつけようの無い二人の組み合わせに、そしてその美しさに、会場のあちこちから溜め息が漏れる。
一曲目に村崎、二曲目に穂積と踊れる栄誉はともすれば嫉妬や反感を買ってしまいそうだが、和音の人徳はそんなものを発生させない。
ちなみに、村崎は二曲目を誰とも踊らず、遠巻きに女子に囲まれた中で、壁際に立ってアンドロメダと談笑している。
けれど彼の視線は常にさりげなく和音に向けられていて、彼女が村崎を意識して見れば、穏やかな笑顔を返していた。
穂積
「大切にされているわね、水原」
和音
「……はい」
二人を微笑ましく眺めながら、穂積もまた目を細めた。
和音は穂積とのダンスが終われば、再び村崎の元に戻る。
そのまま最後まで一緒にいるだろうから、ラストダンスで「停電」が起きても、和音の事は村崎が守るだろう。
本当なら「停電」を企てる首謀者を突き止めて計画を止めさせればいいのだが、それは教師ではなく生徒会の役目だ。
学園の自治は生徒主体で、をスローガンに掲げている以上、そして、生徒たちの努力で成功をおさめつつある学園祭の最後の行事である以上、たとえ校長や理事長であっても、運営に干渉は出来ない。
生徒会長である藤守が計画を知れば、何らかの行動をとるかもしれないが……。
穂積の視線の先を、楽しそうに声を立てて笑いながら、小春と翼のペアが横切って行った。
無邪気な二人の少女の笑顔に、穂積の胸が疼く。
自分自身、前夜祭の暗がりでキスしておいて、我ながら理不尽だとも思うが、他の誰かが同じ事を彼女にするのは許せない。
せめて、翼は自分が守りたい。
だから、最後は自分の元に戻って来い、と言った。彼女も頷いたはずだ。
だが……戻って来てくれるだろうか。
一抹の不安を抱えながらも、穂積は、視線を戻してきた和音の笑顔に応えて微笑んで、再び、和音とのダンスに意識を集中させた。
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01/05(Sun) 12:46
藤守とジュン
ジュン
ジュン
「慶史兄さん、体調悪かったのかな?」
藤守
「兄貴は無茶しよるからなぁ」
アニの退場を心配そうに見送った藤守とジュン。
ジュン
「…………」
藤守
「…………」
もうすぐ一曲目が終わる。
ということは次は二人で踊るということだ。しかし、それを意識して二人とも緊張してしまう。
藤守
「……ジュン?」
ジュン
「は、はい。」
沈黙を破ったのは藤守だった。
藤守
「さっきも言うたけど、お前と踊りたくてMVPとったんや。」
少し顔を背け、頭をかきながら藤守は先程と同じ言葉を紡ぐ。
ジュン
「……うん。ありがとう……誘ってくれて凄く嬉しい……」
一瞬、緊張のために何を言われたかわからなかったジュンは言葉を理解すると満面の笑みを浮かべた。
お互いに頬を染めたまま見つめ合う。
藤守
「よし、じゃあ、踊るか。」
照れたのを隠すようにそう言って藤守はジュンの手を引いてダンスの輪の中に入っていく。
お互いに向き合い体を寄せる。ドキドキと鼓動がうるさいが、こうしていることが自然なことのようにも思われた。
ジュン
「賢史くんと踊れるなんて本当に嬉しい。」
ジュンは藤守の胸に顔を埋めるように寄り添った。
ジュンにしては大胆に寄り添い、可愛く甘えてくる。藤守は抱き締めてしまいたいのを必死で我慢し、ごまかすように拗ねた口調で言う。
藤守
「さっきは、焦ったで?兄貴指名するから。」
ジュン
「だって……恥ずかしかったんだもん。」
ジュンは藤守に寄り添ったままで顔は見えないが耳が赤いのが見える。
藤守
「きょっ、今日はもうずっと一緒に居ろうな。」
ジュン
「うん。」
下から上目遣いになりながらジュンが笑顔を見せた。
(その顔は……アカンやろ……)
その笑顔に再びジュンを抱き締めたい衝動にかられる藤守。そんな藤守の背中に同じ三年男子が並んだと思うと小声で話しているのが聞こえた。それと同時に藤守の動きがぎこちなくなり、ジュンは首を傾げる。
ジュン
「どうかしたの?賢史くん?」
藤守
「い、いやっ、何にもないで!ジュン、ホンマに今日はずっと俺と一緒に居るんやで!?」
ジュン
「う、うん。」
藤守に聞こえた『ラストダンスで停電が起こる』
藤守は絶対に守ると心の中で誓い、ジュンの体をギュッと引き寄せた。
(首謀者を見つけんとな……)
賢史くんは首謀者をみつけられるかしら?どうかしら?
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01/05(Sun) 16:56
☆ダンスパーティー~小笠原&紅花~☆
小春
藤守くんとアニはジュンさんを守れるか?!
そして紅花ちゃんは?
一曲目が終わる。
なるべく会場の隅で、人混みに紛れないように踊っていたにもかかわらず、小笠原の顔色は真っ青になっていた。
さすがの紅花も、小笠原に悪い事をしてしまったと自分自身を責めている。
小笠原はダンスが巧みだった。
それもそのはず、じつは小笠原は名家の生まれで海外生活も長く、ホームパーティーや舞踏会も数多くこなしてきたセレブだ。
海外のビジネスシーンでも、ダンスやジョークは重要なスキルになる。
小笠原は、幼い頃から、必要にかられてダンスの素養を身に付けていたのだった。
が、しかし。
巧みに踊れるからと言って、ダンスが好きだということにはならない。
むしろ、小笠原はダンスが嫌いだった。
というよりはダンスを踊る人の群れが嫌いだった。
今日だって、踊るつもりなんかなかったのだ。
紅花に誘われるまでは。
紅花
「……すみません、小笠原先輩」
紅花に涙目で見上げられて、小笠原は、悪いとは思いながらも、げんなりとした表情を隠せなかった。
小笠原
「……僕こそ、ごめん」
下を向くと吐きそうだ。
小笠原
「せっかく誘ってくれたのに」
紅花
「私が無理にお願いしたんです。小笠原先輩は、最初から嫌だったのに。踊りたくなんかなかったのに。すみません」
小笠原は首を横に振った。そうすると目眩がしそうだったが、紅花を泣かせたままには出来ない。
紅花
「もう、充分です。外に出ましょう。新しい空気を吸えば、少しは気分が良くなるはずですから」
ダンスを中断し、小笠原の手を引いて出口に向かおうとする紅花の手を、小笠原は握り返した。
小笠原
「紅花さん」
紅花
「はい」
人混みをすり抜けながら、二人は近くの出口に向かう。
小笠原
「……僕、きみに誘われたから踊ろうと思ったんだよ」
紅花
「そうですよね。本当にすみません」
ああ、そうじゃない。
小笠原
「……誘ってくれたのがきみだったから、踊ろうと思ったんだよ」
紅花は広報委員だ。
小笠原がわざわざ言い直した言葉の、微妙なニュアンスの違いに気付かないほど鈍感ではない。
紅花
「……先輩」
小笠原
「嫌じゃなかった。きみとなら踊りたいと思った」
紅花
「……先輩」
紅花の目に、新しい涙が浮かんだ。
小笠原
「それなのに、僕は軟弱だ。ごめん」
扉まで辿り着いて、紅花は首を横に振った。
紅花
「そう言ってもらえただけで、嬉しいです」
折よく戻って来た藤守アニに事情を話すと、アニは小笠原の顔色を見て頷き、しばらく体育館の外で休む事を許可してくれた。
体育館と校舎とを繋ぐ階段に腰掛けると、小笠原が、紅花と繋いでいた手を離した。
紅花
「お水とか、持ってきましょうか?」
小笠原
「俺は大丈夫だから。きみ、突撃取材に行くんだろ」
小笠原の口調が、「僕」から「俺」に戻ってしまった。
紅花は少し寂しく思いながらも、それは普段の小笠原の体調に戻るバロメーターだと思う事にして。
紅花
「……わかりました。また、少ししたら様子を見に来ますね」
小笠原
「うん」
うん、だって。
小笠原先輩は、やっぱり可愛いな。
紅花
「踊ってくれてありがとうございました。また後で来ますから、ちゃんと休んでてくださいね!」
こちらも笑顔に戻った紅花が体育館の中に帰って行った後、小笠原は深呼吸を繰り返して、壁にもたれた。
[削除]
01/06(Mon) 05:47
☆ダンスパーティー~紅花~☆
小春
紅花
『突撃!後夜祭!リポーターの紅花です!早速ですが、まずはミスター桜祭、ミス桜祭のお二人、穂積先生と水原和音先輩にお話をうかがいます!』
穂積
『はい、どーも』
和音
『紅花さん、お疲れ様』
紅花にマイクを向けられて、穂積と和音はゆっくりと足を止める。
上半身はまだ組んだままだ。
紅花
『和音先輩、ミス桜祭に選ばれて、穂積先生と踊る気持ちはいかがですか?』
和音
『とても光栄です』
穂積
『ありがとう、ワタシもよ。水原は上手だから踊りやすいわ』
穂積と和音は微笑みあった。
紅花
『私、和音先輩が村崎先輩とお付き合いなさっていたのを初めて知って驚きました』
紅花に指摘されて、和音は頬を染める。
和音
『村崎くんとは、その……一年生の頃から気が合って』
紅花
『一年生といいますと、太ってた頃から?』
和音
『そう、太ってた頃から』
会場が温かい笑いに包まれた。
和音
『でも、彼はその頃から変わらず優しくて』
和音は今のパートナーである穂積を見た。
和音
『こうして、憧れの穂積先生と踊れるのも、彼のお陰です』
会場から拍手が起こった。
紅花
『素敵なお話をありがとうございました。お二人はこれが二曲目。和音先輩の三曲目は、その村崎先輩とでよろしいですか?』
和音
『はい。今日は最後まで村崎くんと踊ります』
紅花
『そして、穂積先生はこの後、小野瀬先生と、ですね』
会場がどっと沸き、穂積は苦笑いした。
穂積
『仕方ないわね。空間からのリクエストだから』
紅花
『期待しております。以上、「突撃!後夜祭!」穂積先生と水原和音先輩でした!』
01/06(Mon) 07:45
☆ダンスパーティー~小笠原&如月~☆
小春
小笠原
「……」
人に酔った小笠原が、涼しい場所で息を整えていると、どこからか、ひそひそと声が聞こえてきた。
「……で、本物の停電だと思って動きが止まるだろ?その隙に、チュッ、て」
「そんなに上手くいくのかよ」
耳を澄ませばその声は、体育館の中から漏れてくるのだった。
……「本物の停電だと思って」?
……もしかして、偽物の停電を起こす気?
小笠原は、重い身体をのそりと起こした。
「村崎といる和音は無理だな。暗闇で触るだけなら、ともとか、藤守ジュンとか触ってみたいけどなー」
「バーカ。決まったパートナーがいるのは難しいんだ。独りでいるのを狙うんだよ……」
小笠原の脳裏に、独りにしてしまった紅花の顔が浮かんだ。
同時に、会話から計画の全貌が見えてくる。
そんな卑劣な事を考えるのは、最後まで相手がいない連中に決まっている。
それでも最後まで望みを繋いで、やっぱり誰とも踊れない、そんな連中。
とすれば、停電が起きるのは最後の曲の途中。
ダンスはたしか、全部で五曲……。
時間が無い。
小笠原はふらつく身体を気力で動かし、体育館の扉に向かった。
如月
「……」
如月は耳聡い。
「ラストダンスで停電が起きる」という、ほとんど声にならずに伝わり始めた情報も、三曲目を前に如月の耳に入った。
「……俺、その時に思い切って告白しちゃおっかな」
「彼女に好きだって伝えてあるんだけど、今まで、なかなかキスするタイミングがつかめなかったんだよ……」
……偽の停電だけど、悪い事ばかりじゃないんだな。
如月は、何も知らないともと踊り続けながら、頭の中で情報を整理する。
自分だって、今、突然暗くなったら、誰も見ていないと思ったら。
腕の中にいる、ともを抱き締めてしまいたい。
現に、最初からずっと、その誘惑と戦っているのだから。
……会長に相談してみる方がいいかな。
如月もまた、動き始めた。
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01/06(Mon) 08:54
おはようございます(^-^)
とも
後夜祭のラストに向けていろいろ話が進んでますね~。
~ダンスパーティー・とも父、NYベアーズ~
ダンスもそろそろ3曲目に入る頃。3人で踊っていたとも父が、ふいにNYベアーズに尋ねた。
とも父
『ロバート、ポール。2人は他に踊ってみたい相手はおらへんのか?』
ロバート
『そうねぇ、お目当てのコはみんなパートナーがいるし…』
ポール
『ワタシたちはダディに誘ってもらえただけでも幸せよ』
とも父
『そうか、それならええけど…。あ、あそこに藤守先生がおるで?ちょうど1人やし、声かけてみたらどうや?』
ロバート・ポール
『ホント!ダディ、ごめんね、ちょっと行ってくるわ!』
ひらひらと手を振るとも父に見送られてNYベアーズは風のように去っていった。
とも父
「さ、ちょい休憩やな」
1人で体育館の壁際に向かっていると、そこかしこで男子生徒らがひそひそと話していた。嫌でも聞こえてくるその内容にとも父は眉をひそめる。
とも父
「いくらお遊びでも、それはアカンやろ…」
自分が生徒だったら、もしかしたら喜んで参加したかもしれない。だが、今は違う。娘を持つ父親としては許し難いその陰謀に、何もできないことが悔しいとも父だった。
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01/06(Mon) 10:11
生徒会男子
ジュン
二曲目と三曲目の間の僅かな時間に藤守は如月と小笠原を集めていた。
藤守
「お前らアノことはもう耳に入ってるか?」
藤守のいうアノこととはもちろんラストダンスで起こる停電のこと。如月と小笠原は首を縦に振る。
藤守
「本人らは悪ふざけ程度に思ってるかもしれんけど、女子生徒に何かあったらアカンからな。」
藤守の顔はいつになく真剣だ。
如月
「でも、どうやって止めるんですか?」
小笠原
「ラストダンスまでペアが組めなかった人間が可能性が高い。」
藤守
「確かにな。でも、そいつらが動くのはラストダンスの途中になるやろ?捕まえようと思うと俺らもパートナーから離れなアカン……」
パートナーと離れると言うことは万が一の時にはパートナーを守れないと言うことだ。
藤守
「お前らだって傍で守ってやりたいやつがおるやろ?」
藤守の言葉に二人は頷く。
小笠原
「でも、俺たちが動かないなら誰が動くのさ?」
生徒会が運営をしている後夜祭である以上、自分達で動くのは当然である。
藤守
「それでや、犯人を捕まえる捕まえへんやなくて、停電が起こっても大丈夫なように考えてほしいんや。」
如月と小笠原が顔を見合わせた。
小笠原
「予防策を考えるってこと?」
藤守
「そうや。」
男子だけで作戦会議です。
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01/06(Mon) 12:23
こんにちは
エミ
小春さん、皆さん、遅くなりましたが明けましておめでとうございまーす。本年もよろしくお願いしまーす
(*´∀`*)ノシ
☆ダンスパーティー~その頃、こちらでは~☆
文化祭と体育祭での活躍で、すっかり学園の人気者になったNY組。そこらへんの男子より男前なジョーに憧れの眼差しを向ける女子も増えた。
そのジョーが男子の制服姿で後夜祭に現れて、一部の女子は異様な盛り上がりを見せていた。
黒柳
『…ね、ジョーさん。な、なんだか、視線が痛いんだけど…』
どういうわけか、ジョーは黒柳を相手に踊っていた。
ジョー
『気のせいよ♪』
ジョーは巧みに黒柳をリードしながら軽やかに踊り、自分をうっとり見つめている女子にウィンクで応えている。
ジョー
『ねぇ、リジチョー。ワタシ、お代官様ごっこというモノをしてみたいんだけど』
黒柳
『…え?』
ジョー
『町娘の帯をクルクルクル~って脱がすアレ。男の3大ロマンのひとつだと聞いたわ』
いろいろ訂正しなければならないし、ツッコミたい箇所もあるけれど、ひとまず置いといて。そんな情報をジョーに吹き込んだ犯人は誰なのか、だいたい予想はつくけど、訊いてみた。
黒柳
『それは誰から教えられたのかしら?』
ジョー
『マスターよ』
……校長の方かっ!!
ジョー
『リジチョーはマスターとよくやるの?』
黒柳
『は?何を?』
ジョー
『お代官様ごっ』
黒柳
『しませんっ!!』
被せ気味に答えた黒柳の笑顔は引きつり、こめかみに青筋が浮かぶ。
あははと笑うジョーの後ろに、悪びれることなく愉快に笑う山田の幻が見える気がした。
停電の前に、三曲目の穂積&小野瀬を密かに楽しみにしておりますよ♪
壁|ω´*)ウフフ
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01/06(Mon) 12:35
素晴らしい連係(*TーT)b
小春
ともさん、ジュンさん、エミさん、皆様それぞれ素晴らしくて、ワタクシ感心したり噴き出したりしております。
エミさん、二人のダンスは清香師匠にお願いしてあります。
楽しみにしていただいてよろしいかと。あ、でもここは『小春日和』なのでよろしく。
では、新スレでお会いしましょう。
あーれー。(くるくるくる)
☆ダンスパーティー~小野瀬~☆
小春
ジュンさん、読者モードはまだ早いですよ( ・ε・)bチッチッ
あちこち同時進行でドラマが生まれる、一曲目。
それまで流れていた音楽がフェイドアウトしてゆき、ダンスのための曲の前奏が始まる。
小春と向かい合って立った小野瀬は、改めて小春が本当に小さい事にまず驚き、
エスコートしようとしたら丁寧に作法通りの挨拶をした事に二度驚き、
音楽が流れ出すと、小野瀬のリードに合わせて無難にステップを踏み出した事に三度驚いた。
小春は小野瀬と接しても、アオイストの女の子たちのように意識し過ぎて赤くなったり、必要以上に密着してきたりはしない。
自分の足運びに気をとられているせいもあって、むしろ素っ気ないくらいだが、目が合えば笑顔を返してくるし、曲に乗り遅れないよう、小野瀬のリードに一生懸命ついてくる。
昨日、小野瀬が原因でいじめられたのに、小春の態度が今までと変わらない事に、小野瀬は内心ホッとしていた。
小野瀬
「小春さん、上手だね。びっくりしたよ」
小春
「ありがとうございます」
小野瀬が優しく褒めると、胸の高さから小春が笑顔を上げた。
小春
「実は特訓したからなのです」
小野瀬
「特訓?」
小春
「はい。昨日の夜、お兄ちゃんと」
明智が小春とダンスの特訓、と聞いて、小野瀬にも、なるほどと思い当たる節がある。
きっと、昨日の体育祭で篠崎と思いが通じた明智が、今日の後夜祭で彼女をダンスに誘うために、慌てて練習したのだろう。
しかし、あのお姉さんたちとでは、冷やかされるばかりで、まともな練習など出来るはずがない。
そこで、小春が練習相手をさせられた、と。
小春
「『完全図解!一晩で上手くなるダンス~入門編~』っていう本と、付属のDVDで猛特訓です」
小野瀬の脳裏には、小春を相手に、本やDVDを見ながら必死でステップを覚える明智の姿が目に浮かぶようだった。
噴き出しそうになりながら、体育館の中に明智を探したが、残念ながら近くには見当たらない。
一夜漬けで本当に上手くなるのかな。
けれど、ここまで一度もステップを間違わない小春を見れば、明智が選んだのはなかなかの名著ではないかと小野瀬は思った。
小野瀬
「きみは本当に面白いね」
ただ、大好きな明智の話をしているのに、小野瀬と踊っているのに、小春はどこか寂しそうだ。
心当たりのある小野瀬は、そっと微笑んでから、小春に訊いてみた。
小野瀬
「……ねえ、小春さん」
小春
「はい」
小野瀬
「本当は、今日も明智くんと踊りたかった?」
小春は少し考えて、いいえ、と首を横に振ると、唇を尖らせた。
小春
「……お兄ちゃんとなんか、もう踊ってあげません」
やっぱり。
小野瀬は苦笑した。
小野瀬
「やきもちやきで寂しがりやなのは相変わらずだね、小春さんは」
小野瀬に言われて、小春は顔を赤らめた。
小春
「ごめんなさい」
小野瀬
「いいんだよ。きっと、明智くんは、篠崎さんと踊る事で頭がいっぱいで、きみの気持ちを考えるのを忘れちゃってたんじゃないかな?」
そう言うと、小野瀬は、小春の身体を軽く引き寄せた。
小野瀬
「きみは、前に言ったよね。明智くんに恋人が出来るのは嬉しくないかも、って」
表情を曇らせた小春の返事を待たずに、小野瀬は続けた。
小野瀬
「……篠崎さんはね、俺にとって、妹みたいな存在だった」
小春
「恋人じゃなくて?」
小野瀬
「恋人には、なれなかったな」
どういうわけか、小野瀬はもう、小春に隠し事が出来なかった。
小春の方も、小野瀬に気を遣わなくなってきているような気がする。
小野瀬にはそれが心地よかった。
小野瀬
「だからね。明智くんと篠崎さんが仲良くなるのはいいけど、ちょっと寂しい、今の小春さんの気持ちも、分かるつもり」
小春
「……」
小春は真顔で、小野瀬の話を聞いている。
小野瀬
「大好きな人が幸せになるなら喜んであげたいし、応援もする。でも、やっぱり寂しい。……そんな気持ちだよね」
小春
「小野瀬先生」
小野瀬
「うん、なあに?」
小春
「先生、前に言いましたよね。きみにも好きな人が出来れば、寂しくなくなるよ、って」
確かに言った。小野瀬が頷くと、小春は不意に、小野瀬のシャツの胸に額を当てた。
微かにバニラのような甘い香りがして、小野瀬はどきりとする。
小春
「でも、私、今の自分の寂しさを紛らすために誰かを好きになるなんて出来ません」
小野瀬
「……」
小野瀬は大人だから、疑似恋愛で気持ちをごまかす事も出来る。けれど、小春には出来ないだろう。
だとしたら、この小さな女の子は、いつまでその寂しさに耐えなくてはならないのだろうか?
小野瀬
「……俺は、それでも、いいよ」
小春
「え?」
小野瀬の言葉に、小春が顔を上げた。
小野瀬
「きみに、本当に好きな人が出来るまで、俺、きみの恋の相手をしてもいい」
小春
「……」
本気だった。
けれど、小春はすぐに首を横に振った。
小春
「嘘の恋なんて出来ません」
小野瀬は小春の言葉を、表情を変えずに聞いた。
けれど、本音を言う為に速まった小野瀬の動悸はおさまらず、さらに速くなっていってしまう。
小野瀬
「おや、フラれちゃったな」
内心の動揺を隠し、おどけてやり過ごそうとした小野瀬を、小春はじっと見つめた。
小春
「だって私、小野瀬先生が好きだもの」
心臓がどきりと跳ねた。
小野瀬
「……小春さん」
小春
「だから、嘘の恋なんて出来ません」
小野瀬
「……」
小春
「小野瀬先生が、今、私と同じように寂しくて、篠崎先生の代わりになる妹が欲しいなら、私、喜んで妹になります」
小野瀬
「……!……」
ああ。
思っていた通りだ。
この子の目には真実が見えている。
そして、穂積の言った通りだ。
小春は強い。
だから大丈夫だと。
小野瀬は胸の奥が温かくなってくるのを感じた。
小野瀬
「小春さん」
小春
「はい」
小野瀬
「……俺、きみのそういうところ、やっぱり好きだよ」
小野瀬は小春の髪を撫でた。
撫でられた小春はにっこり笑って、いつも明智にそうするように、小野瀬にぎゅっと抱きついた。
01/04(Sat) 08:56
おはようございます!
くちびる
皆様明けましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
まだまだ休みは無いけど(ToT)(泣)3がにち乗り切りました(笑)
リレーも進んでいますね♪
みんなラブラブで嬉しいです♪
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01/04(Sat) 11:54
☆ダンスパーティー~明智~☆
小春
明智&篠崎をちょこっとだけ。
明智
「…………」
明智は背が高い。
彼の方からは、小野瀬と小春が楽しそうに踊っている姿が見えていた。
明智
「ち、ちょっとすみません、篠崎先生」
篠崎と組んだ手を引いて、明智は小野瀬と小春のペアに近寄る。
篠崎は必死な明智が可笑しくて、微笑みを浮かべながら行動を共にした。
明智
「こ、こら、小春。そんなにくっついたら、小野瀬先生にご迷惑だろう?!」
小春は明智の顔を見ると、つん、と横を向いた。
小春
「そんな事ないもん。お兄ちゃんこそ、篠崎先生とちゃんと向き合わないと失礼だよ」
小野瀬がぷっと噴き出す。
小野瀬
「これは、小春さんが正しいね」
明智
「お、小野瀬先生まで!あまり小春に構い過ぎると、他の女子生徒から抗議が来ますよ?!」
小野瀬
「平気だよ。俺は、小春さんのお兄ちゃんなんだから」
明智
「お、お、お兄ちゃん?!」
小野瀬
「ねー、小春さん」
小春
「ねーっ」
明智
「こここ、小春!」
小春
「篠崎先生、すみません。うちの兄ったらお行儀が悪くて」
篠崎はくすくす笑っている。
篠崎
「いいのよ」
明智
「し、篠崎先生まで…………」
篠崎
「さあ、お邪魔しちゃ悪いわ。私たちも、向こうで踊りましょう?」
小野瀬
「そうだよ明智くん。せっかく『完全図解!一晩で上手くなるダンス~入門編~』で特訓したんだろ?」
小野瀬の声はよく通る。
周りで盗み聞きしていた生徒たちからも、くすくす笑いが漏れた。
明智
「小春、そんな事まで話したのか?!」
小春
「ふーん、だ。小野瀬先生、あっち行きましょ」
小野瀬
「はいはい。じゃあね明智くん、篠崎さん」
篠崎
「はーい」
明智
「あっ!こら小春!小野瀬先生ーー!」
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01/04(Sat) 14:36
こんにちは
とも
小春ちゃんは小野瀬先生と…\(//∇//)ムフフ
明智先生が慌てるのも面白い(笑)
次は誰が踊るんでしょうね~?楽しみです(≧∇≦)
[削除]
01/04(Sat) 16:26
和音とパープルドラゴン
ジュン
和音
「本当にいいの?」
和音がパープルドラゴンこと村崎に確認するように尋ねる。
龍二
「拙者が言い出したことでござるよ。」
寄り添いながら踊る和音と村崎は絵画のそれのように美しく、周りの者をうっとりとさせる。
龍二
「穂積先生ともいい思い出を作ってほしいでござる。」
村崎の優しさに和音の心は暖かくなる。そっと村崎の肩に顔を埋めるように寄り添った。
穂積と踊れることは素直に嬉しかったが、村崎の優しさがそれ以上に嬉しかった。
龍二
「そのかわり、穂積先生と踊ったあとは拙者とまた踊って下され。」
和音
「ありがとう。村崎くん……」
二人の間にはとても穏やかな雰囲気が流れていた。
和音さんとパープルドラゴンさんを書いてみたのですがいかがでしょうか?
難しい~(;つД`)
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01/04(Sat) 16:58
☆ダンスパーティー~そろそろ2曲目~☆
小春
おお、ジュンさんありがとうございます(小躍り)。
「理事長、踊って頂けますか?」
理事長の黒柳に声をかけてきたのは、山田。
踊る穂積や生徒たちの様々な表情を眺めながら壁の花でいるのも悪くなかったが、校長である山田に誘われて断る事は出来なかった。
エミ
「もちろん喜んで」
山田
「ありがとうございます」
あくまでもエレガントにダンスフロアに誘い出しながら、山田はエミに微笑んだ。
山田と手を繋いで向かい合うと、エミは何故かいつも少し不安になる。
どこか異国にいるような、自分が自分でなくなるような、そんな胸騒ぎを感じてしまうのだ。
山田
「大丈夫。あなたの意に反した振る舞いは致しませんよ」
山田の方は、何もかも承知している様子。
微笑む山田のリードに身を任せると、エミはいつの間にか優雅に踊り始めていた。
ともに長身で、美形同士のパープルドラゴンと和音が組むと、それだけで絵になる。
しかも二人は恋人同士となれば、それはもう良い雰囲気なのだ。
二人の周りばかりではなく、壁際にいる男女からも溜め息が漏れる。
桜木
「いいなあ、村崎……」
流川
「心の声が漏れてるぞ」
上杉
「俺たちだって、もっとモテてもいいはずだけどな」
壁にもたれて会場を眺め、ぶつぶつ呟きあう、あぶれた男子たち。
流川
「まあまだ始まったばかりだ。ラストダンスまでに相手を見つければいいさ」
上杉
「だな」
桜木
「え、今年はアレあるの?」
素っ頓狂な声を出した桜木の口を、流川と上杉が慌てて押さえる。
上杉
「でかい声出すな。……裏方やってる奴らから聞いたんだよ。今年はやるって」
流川
「先生たち、特にアニ先生なんかにバレたらヤバいだろ」
桜木
「……だよな。ラストダンスの最中に電気が消えて突然真っ暗になるだけでもパニックだもんな」
上杉
「それで、真っ暗になった隙に、近くにいる、目当ての女子にキスしちゃうんだろ?そりゃ大騒ぎになるよ」
桜木
「前回やったのは一昨年だから、知ってるのは三年生だけだ。一、二年生の女子が狙い目だな」
流川
「しっ、お前ら声がでかいってば……」
流川が素早く制したおかげで、彼らの声が漏れて大騒ぎになることはなかった。
が、すでに動き出した三年生男子の密かな企みは、黒柳と踊りながら彼らの近くを通過した山田の耳に入った。
山田
「……今年はやるようですよ」
黒柳と踊りながら、山田は穂積と背中を合わせて囁いた。
穂積
「……了解」
何度も後夜祭のダンスを経験してきている教員たちには、それだけで通じる。
毎年ではないが、ジュンが指名された時に騒いだような連中がいる年には、「停電」が起きる。
用心深い小野瀬や穂積が、あらかじめ空間や翼に「最後は自分と」と念を押したのは、これを想定していたからだ。
だが、ほとんどの生徒は何も知らない。
何も知らない女子生徒たちを被害に遭わせるわけにはいかない。
騒ぎにならないよう、教員たちは互いに伝言を交わしながら、対策を打たなければならない。
同時に、男子たちの間でも、ひそかな伝言が広がり始める。
内容はどちらも同じだ。
ラストダンスでは停電が起きるぞ、と。
01/05(Sun) 04:28
いやはや。
清香
明けましておめでとうございます。
人様の忘年会・新年会をこなし、自分の親戚には碌に挨拶も出来ないまま正月が過ぎて行きました。
今が何日か正直良く分かっていませんが(苦笑)やっと書き込めます。
少し遡るけど、気にしない!
☆ダンスパーティー~明智&篠崎~☆
軽やかな音楽に合わせて小野瀬と小春は踊る生徒達の輪の中へと戻って行ってしまった。
心配そうに、そしてどこか寂しそうに小春達の背中を見つめたまま身動きが取れないでいる明智のジャケットを篠崎がツンッと引っ張る。
篠崎
「明智先生、ほら。」
明智
「えっ?あ、は、はい。」
差し出された篠崎の手に促されるまま手を合わせると、篠崎はそのまま慣れた様子でステップを踏み始めてしまう。
明智
「う、うわっ。」
篠崎
「明智先生、落ちついて下さい。音と私に身を任せて、ね?…そう、上手。」
『1、2、3、はい』と小さくカウントを取りながら特訓したのであろうステップに意識を向かせ、明智の視線が遠くから足元へと移ったのを確認すると篠崎は明智にだけ聞こえるくらいの小さな声で囁く。
篠崎
「明智先生、小野瀬先生も小春さんも心配はいりませんよ。」
明智
「えっ?どうしてですか?」
にっこりと笑いながら真っ直ぐに明智を見上げた篠崎の瞳はどこか確信に満ちているようで、それが余計に明智の心を波立たせる。
篠崎
「先ほど小野瀬先生は『お兄ちゃん』だと言っていましたよね?彼が自らをお兄ちゃんと位置付けたなら、明智先生の見えない所でもきっと小春さんを守ってくれます。」
明智
「……そうでしょうか?」
篠崎
「えぇ。少なくとも私はずっとそうやって守って貰いましたから。」
明智
「………。」
昔を思い出すように少し懐かしげに微笑む篠崎を、明智は何も答えないままじっと見つめ続けた。
そして流れている楽しげな曲調とはまるで正反対の、不満を滲ませた声でぽつりと呟く。
明智
「……やはり小野瀬先生の方が頼りになりますか?」
篠崎
「へ?そんな事無いですよ?」
明智
「でも、篠崎先生にとって小野瀬先生は特別なようなので……。」
篠崎
「いや、前にも言いましたが、付き合いが長いからであってそういう訳ではないですけど…。」
否定する言葉を返しても納得いかないと言いたげに漏れる言葉に、篠崎の口元には次第に笑いが浮かぶ。
明智
「…学生時代から小野瀬先生だけは名前で呼んでましたし……って、なんで笑うんですか。」
不満を体現するかのように口元を尖らせた明智が精一杯の抗議を含めた視線でジロリと篠崎を見下ろすと、目尻に浮かんだ涙を拭いながら篠崎が嬉しそうに笑った。
篠崎
「…ッ、ご、ごめんなさい。……あの、もしかして妬きました?」
確かに嫉妬としか思えない言葉達。
言った後、しかも指摘されて初めて気がついたのか、耳を赤らめたまま明智は言葉を詰まらせを返事する事が出来ない。
篠崎
「ね、妬いてくれましたか?」
明智
「………………はい。」
再度問いかけられた篠崎の言葉に、明智は憮然とした様子を浮かべながらも首肯した。
篠崎
「…ありがとう、誠臣君。」
明智
「……えっ!?」
ぎゅっと握られた手の熱と力強さに意識を持って行かれ、明智は一瞬篠崎の発した言葉が空耳ではなかったのかと思ってしまう。
『もう一回言って貰えませんか?』と目で訴えかけるものの、分かっているはずなのに篠崎はニコニコと微笑むだけだ。
明智
「あ、あの…。」
篠崎
「ん?なぁに?」
明智
「…もう一回呼んでもらえませんか?……清香さん。」
篠崎
「はい、誠臣君。」
真剣だったり憮然としたり、と思えば呆気にとられたり真っ赤になったり。
体育館の片隅でくるくると表情を変える明智と、それを見上げながら何だか楽しそうにしている篠崎の様子をこっそり見つけ、小野瀬はひそかに肩を揺らす。
穂積
「おい、あの二人はとっとと追い出した方が生徒の為じゃないか?」
小野瀬
「まぁまぁ。みんな踊るのに夢中だし、今日は大目に見てやろうよ。」
互いのパートナーに聞こえないよう、すれ違いざまに呟かれた二人の言葉は呆れながらもどこか嬉しそうだった。
→
あー、自分で書いてるのに可笑しいw
[削除]
01/05(Sun) 12:23
☆ダンスパーティー~穂積と和音~☆
小春
んもー、明智&篠崎はこっちが恥ずかしくなるくらいラブラブね。
二曲目。
穂積は和音と踊っていた。
ミスター桜祭とミス桜祭という、文句のつけようの無い二人の組み合わせに、そしてその美しさに、会場のあちこちから溜め息が漏れる。
一曲目に村崎、二曲目に穂積と踊れる栄誉はともすれば嫉妬や反感を買ってしまいそうだが、和音の人徳はそんなものを発生させない。
ちなみに、村崎は二曲目を誰とも踊らず、遠巻きに女子に囲まれた中で、壁際に立ってアンドロメダと談笑している。
けれど彼の視線は常にさりげなく和音に向けられていて、彼女が村崎を意識して見れば、穏やかな笑顔を返していた。
穂積
「大切にされているわね、水原」
和音
「……はい」
二人を微笑ましく眺めながら、穂積もまた目を細めた。
和音は穂積とのダンスが終われば、再び村崎の元に戻る。
そのまま最後まで一緒にいるだろうから、ラストダンスで「停電」が起きても、和音の事は村崎が守るだろう。
本当なら「停電」を企てる首謀者を突き止めて計画を止めさせればいいのだが、それは教師ではなく生徒会の役目だ。
学園の自治は生徒主体で、をスローガンに掲げている以上、そして、生徒たちの努力で成功をおさめつつある学園祭の最後の行事である以上、たとえ校長や理事長であっても、運営に干渉は出来ない。
生徒会長である藤守が計画を知れば、何らかの行動をとるかもしれないが……。
穂積の視線の先を、楽しそうに声を立てて笑いながら、小春と翼のペアが横切って行った。
無邪気な二人の少女の笑顔に、穂積の胸が疼く。
自分自身、前夜祭の暗がりでキスしておいて、我ながら理不尽だとも思うが、他の誰かが同じ事を彼女にするのは許せない。
せめて、翼は自分が守りたい。
だから、最後は自分の元に戻って来い、と言った。彼女も頷いたはずだ。
だが……戻って来てくれるだろうか。
一抹の不安を抱えながらも、穂積は、視線を戻してきた和音の笑顔に応えて微笑んで、再び、和音とのダンスに意識を集中させた。
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01/05(Sun) 12:46
藤守とジュン
ジュン
ジュン
「慶史兄さん、体調悪かったのかな?」
藤守
「兄貴は無茶しよるからなぁ」
アニの退場を心配そうに見送った藤守とジュン。
ジュン
「…………」
藤守
「…………」
もうすぐ一曲目が終わる。
ということは次は二人で踊るということだ。しかし、それを意識して二人とも緊張してしまう。
藤守
「……ジュン?」
ジュン
「は、はい。」
沈黙を破ったのは藤守だった。
藤守
「さっきも言うたけど、お前と踊りたくてMVPとったんや。」
少し顔を背け、頭をかきながら藤守は先程と同じ言葉を紡ぐ。
ジュン
「……うん。ありがとう……誘ってくれて凄く嬉しい……」
一瞬、緊張のために何を言われたかわからなかったジュンは言葉を理解すると満面の笑みを浮かべた。
お互いに頬を染めたまま見つめ合う。
藤守
「よし、じゃあ、踊るか。」
照れたのを隠すようにそう言って藤守はジュンの手を引いてダンスの輪の中に入っていく。
お互いに向き合い体を寄せる。ドキドキと鼓動がうるさいが、こうしていることが自然なことのようにも思われた。
ジュン
「賢史くんと踊れるなんて本当に嬉しい。」
ジュンは藤守の胸に顔を埋めるように寄り添った。
ジュンにしては大胆に寄り添い、可愛く甘えてくる。藤守は抱き締めてしまいたいのを必死で我慢し、ごまかすように拗ねた口調で言う。
藤守
「さっきは、焦ったで?兄貴指名するから。」
ジュン
「だって……恥ずかしかったんだもん。」
ジュンは藤守に寄り添ったままで顔は見えないが耳が赤いのが見える。
藤守
「きょっ、今日はもうずっと一緒に居ろうな。」
ジュン
「うん。」
下から上目遣いになりながらジュンが笑顔を見せた。
(その顔は……アカンやろ……)
その笑顔に再びジュンを抱き締めたい衝動にかられる藤守。そんな藤守の背中に同じ三年男子が並んだと思うと小声で話しているのが聞こえた。それと同時に藤守の動きがぎこちなくなり、ジュンは首を傾げる。
ジュン
「どうかしたの?賢史くん?」
藤守
「い、いやっ、何にもないで!ジュン、ホンマに今日はずっと俺と一緒に居るんやで!?」
ジュン
「う、うん。」
藤守に聞こえた『ラストダンスで停電が起こる』
藤守は絶対に守ると心の中で誓い、ジュンの体をギュッと引き寄せた。
(首謀者を見つけんとな……)
賢史くんは首謀者をみつけられるかしら?どうかしら?
[削除]
01/05(Sun) 16:56
☆ダンスパーティー~小笠原&紅花~☆
小春
藤守くんとアニはジュンさんを守れるか?!
そして紅花ちゃんは?
一曲目が終わる。
なるべく会場の隅で、人混みに紛れないように踊っていたにもかかわらず、小笠原の顔色は真っ青になっていた。
さすがの紅花も、小笠原に悪い事をしてしまったと自分自身を責めている。
小笠原はダンスが巧みだった。
それもそのはず、じつは小笠原は名家の生まれで海外生活も長く、ホームパーティーや舞踏会も数多くこなしてきたセレブだ。
海外のビジネスシーンでも、ダンスやジョークは重要なスキルになる。
小笠原は、幼い頃から、必要にかられてダンスの素養を身に付けていたのだった。
が、しかし。
巧みに踊れるからと言って、ダンスが好きだということにはならない。
むしろ、小笠原はダンスが嫌いだった。
というよりはダンスを踊る人の群れが嫌いだった。
今日だって、踊るつもりなんかなかったのだ。
紅花に誘われるまでは。
紅花
「……すみません、小笠原先輩」
紅花に涙目で見上げられて、小笠原は、悪いとは思いながらも、げんなりとした表情を隠せなかった。
小笠原
「……僕こそ、ごめん」
下を向くと吐きそうだ。
小笠原
「せっかく誘ってくれたのに」
紅花
「私が無理にお願いしたんです。小笠原先輩は、最初から嫌だったのに。踊りたくなんかなかったのに。すみません」
小笠原は首を横に振った。そうすると目眩がしそうだったが、紅花を泣かせたままには出来ない。
紅花
「もう、充分です。外に出ましょう。新しい空気を吸えば、少しは気分が良くなるはずですから」
ダンスを中断し、小笠原の手を引いて出口に向かおうとする紅花の手を、小笠原は握り返した。
小笠原
「紅花さん」
紅花
「はい」
人混みをすり抜けながら、二人は近くの出口に向かう。
小笠原
「……僕、きみに誘われたから踊ろうと思ったんだよ」
紅花
「そうですよね。本当にすみません」
ああ、そうじゃない。
小笠原
「……誘ってくれたのがきみだったから、踊ろうと思ったんだよ」
紅花は広報委員だ。
小笠原がわざわざ言い直した言葉の、微妙なニュアンスの違いに気付かないほど鈍感ではない。
紅花
「……先輩」
小笠原
「嫌じゃなかった。きみとなら踊りたいと思った」
紅花
「……先輩」
紅花の目に、新しい涙が浮かんだ。
小笠原
「それなのに、僕は軟弱だ。ごめん」
扉まで辿り着いて、紅花は首を横に振った。
紅花
「そう言ってもらえただけで、嬉しいです」
折よく戻って来た藤守アニに事情を話すと、アニは小笠原の顔色を見て頷き、しばらく体育館の外で休む事を許可してくれた。
体育館と校舎とを繋ぐ階段に腰掛けると、小笠原が、紅花と繋いでいた手を離した。
紅花
「お水とか、持ってきましょうか?」
小笠原
「俺は大丈夫だから。きみ、突撃取材に行くんだろ」
小笠原の口調が、「僕」から「俺」に戻ってしまった。
紅花は少し寂しく思いながらも、それは普段の小笠原の体調に戻るバロメーターだと思う事にして。
紅花
「……わかりました。また、少ししたら様子を見に来ますね」
小笠原
「うん」
うん、だって。
小笠原先輩は、やっぱり可愛いな。
紅花
「踊ってくれてありがとうございました。また後で来ますから、ちゃんと休んでてくださいね!」
こちらも笑顔に戻った紅花が体育館の中に帰って行った後、小笠原は深呼吸を繰り返して、壁にもたれた。
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01/06(Mon) 05:47
☆ダンスパーティー~紅花~☆
小春
紅花
『突撃!後夜祭!リポーターの紅花です!早速ですが、まずはミスター桜祭、ミス桜祭のお二人、穂積先生と水原和音先輩にお話をうかがいます!』
穂積
『はい、どーも』
和音
『紅花さん、お疲れ様』
紅花にマイクを向けられて、穂積と和音はゆっくりと足を止める。
上半身はまだ組んだままだ。
紅花
『和音先輩、ミス桜祭に選ばれて、穂積先生と踊る気持ちはいかがですか?』
和音
『とても光栄です』
穂積
『ありがとう、ワタシもよ。水原は上手だから踊りやすいわ』
穂積と和音は微笑みあった。
紅花
『私、和音先輩が村崎先輩とお付き合いなさっていたのを初めて知って驚きました』
紅花に指摘されて、和音は頬を染める。
和音
『村崎くんとは、その……一年生の頃から気が合って』
紅花
『一年生といいますと、太ってた頃から?』
和音
『そう、太ってた頃から』
会場が温かい笑いに包まれた。
和音
『でも、彼はその頃から変わらず優しくて』
和音は今のパートナーである穂積を見た。
和音
『こうして、憧れの穂積先生と踊れるのも、彼のお陰です』
会場から拍手が起こった。
紅花
『素敵なお話をありがとうございました。お二人はこれが二曲目。和音先輩の三曲目は、その村崎先輩とでよろしいですか?』
和音
『はい。今日は最後まで村崎くんと踊ります』
紅花
『そして、穂積先生はこの後、小野瀬先生と、ですね』
会場がどっと沸き、穂積は苦笑いした。
穂積
『仕方ないわね。空間からのリクエストだから』
紅花
『期待しております。以上、「突撃!後夜祭!」穂積先生と水原和音先輩でした!』
01/06(Mon) 07:45
☆ダンスパーティー~小笠原&如月~☆
小春
小笠原
「……」
人に酔った小笠原が、涼しい場所で息を整えていると、どこからか、ひそひそと声が聞こえてきた。
「……で、本物の停電だと思って動きが止まるだろ?その隙に、チュッ、て」
「そんなに上手くいくのかよ」
耳を澄ませばその声は、体育館の中から漏れてくるのだった。
……「本物の停電だと思って」?
……もしかして、偽物の停電を起こす気?
小笠原は、重い身体をのそりと起こした。
「村崎といる和音は無理だな。暗闇で触るだけなら、ともとか、藤守ジュンとか触ってみたいけどなー」
「バーカ。決まったパートナーがいるのは難しいんだ。独りでいるのを狙うんだよ……」
小笠原の脳裏に、独りにしてしまった紅花の顔が浮かんだ。
同時に、会話から計画の全貌が見えてくる。
そんな卑劣な事を考えるのは、最後まで相手がいない連中に決まっている。
それでも最後まで望みを繋いで、やっぱり誰とも踊れない、そんな連中。
とすれば、停電が起きるのは最後の曲の途中。
ダンスはたしか、全部で五曲……。
時間が無い。
小笠原はふらつく身体を気力で動かし、体育館の扉に向かった。
如月
「……」
如月は耳聡い。
「ラストダンスで停電が起きる」という、ほとんど声にならずに伝わり始めた情報も、三曲目を前に如月の耳に入った。
「……俺、その時に思い切って告白しちゃおっかな」
「彼女に好きだって伝えてあるんだけど、今まで、なかなかキスするタイミングがつかめなかったんだよ……」
……偽の停電だけど、悪い事ばかりじゃないんだな。
如月は、何も知らないともと踊り続けながら、頭の中で情報を整理する。
自分だって、今、突然暗くなったら、誰も見ていないと思ったら。
腕の中にいる、ともを抱き締めてしまいたい。
現に、最初からずっと、その誘惑と戦っているのだから。
……会長に相談してみる方がいいかな。
如月もまた、動き始めた。
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01/06(Mon) 08:54
おはようございます(^-^)
とも
後夜祭のラストに向けていろいろ話が進んでますね~。
~ダンスパーティー・とも父、NYベアーズ~
ダンスもそろそろ3曲目に入る頃。3人で踊っていたとも父が、ふいにNYベアーズに尋ねた。
とも父
『ロバート、ポール。2人は他に踊ってみたい相手はおらへんのか?』
ロバート
『そうねぇ、お目当てのコはみんなパートナーがいるし…』
ポール
『ワタシたちはダディに誘ってもらえただけでも幸せよ』
とも父
『そうか、それならええけど…。あ、あそこに藤守先生がおるで?ちょうど1人やし、声かけてみたらどうや?』
ロバート・ポール
『ホント!ダディ、ごめんね、ちょっと行ってくるわ!』
ひらひらと手を振るとも父に見送られてNYベアーズは風のように去っていった。
とも父
「さ、ちょい休憩やな」
1人で体育館の壁際に向かっていると、そこかしこで男子生徒らがひそひそと話していた。嫌でも聞こえてくるその内容にとも父は眉をひそめる。
とも父
「いくらお遊びでも、それはアカンやろ…」
自分が生徒だったら、もしかしたら喜んで参加したかもしれない。だが、今は違う。娘を持つ父親としては許し難いその陰謀に、何もできないことが悔しいとも父だった。
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01/06(Mon) 10:11
生徒会男子
ジュン
二曲目と三曲目の間の僅かな時間に藤守は如月と小笠原を集めていた。
藤守
「お前らアノことはもう耳に入ってるか?」
藤守のいうアノこととはもちろんラストダンスで起こる停電のこと。如月と小笠原は首を縦に振る。
藤守
「本人らは悪ふざけ程度に思ってるかもしれんけど、女子生徒に何かあったらアカンからな。」
藤守の顔はいつになく真剣だ。
如月
「でも、どうやって止めるんですか?」
小笠原
「ラストダンスまでペアが組めなかった人間が可能性が高い。」
藤守
「確かにな。でも、そいつらが動くのはラストダンスの途中になるやろ?捕まえようと思うと俺らもパートナーから離れなアカン……」
パートナーと離れると言うことは万が一の時にはパートナーを守れないと言うことだ。
藤守
「お前らだって傍で守ってやりたいやつがおるやろ?」
藤守の言葉に二人は頷く。
小笠原
「でも、俺たちが動かないなら誰が動くのさ?」
生徒会が運営をしている後夜祭である以上、自分達で動くのは当然である。
藤守
「それでや、犯人を捕まえる捕まえへんやなくて、停電が起こっても大丈夫なように考えてほしいんや。」
如月と小笠原が顔を見合わせた。
小笠原
「予防策を考えるってこと?」
藤守
「そうや。」
男子だけで作戦会議です。
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01/06(Mon) 12:23
こんにちは
エミ
小春さん、皆さん、遅くなりましたが明けましておめでとうございまーす。本年もよろしくお願いしまーす
(*´∀`*)ノシ
☆ダンスパーティー~その頃、こちらでは~☆
文化祭と体育祭での活躍で、すっかり学園の人気者になったNY組。そこらへんの男子より男前なジョーに憧れの眼差しを向ける女子も増えた。
そのジョーが男子の制服姿で後夜祭に現れて、一部の女子は異様な盛り上がりを見せていた。
黒柳
『…ね、ジョーさん。な、なんだか、視線が痛いんだけど…』
どういうわけか、ジョーは黒柳を相手に踊っていた。
ジョー
『気のせいよ♪』
ジョーは巧みに黒柳をリードしながら軽やかに踊り、自分をうっとり見つめている女子にウィンクで応えている。
ジョー
『ねぇ、リジチョー。ワタシ、お代官様ごっこというモノをしてみたいんだけど』
黒柳
『…え?』
ジョー
『町娘の帯をクルクルクル~って脱がすアレ。男の3大ロマンのひとつだと聞いたわ』
いろいろ訂正しなければならないし、ツッコミたい箇所もあるけれど、ひとまず置いといて。そんな情報をジョーに吹き込んだ犯人は誰なのか、だいたい予想はつくけど、訊いてみた。
黒柳
『それは誰から教えられたのかしら?』
ジョー
『マスターよ』
……校長の方かっ!!
ジョー
『リジチョーはマスターとよくやるの?』
黒柳
『は?何を?』
ジョー
『お代官様ごっ』
黒柳
『しませんっ!!』
被せ気味に答えた黒柳の笑顔は引きつり、こめかみに青筋が浮かぶ。
あははと笑うジョーの後ろに、悪びれることなく愉快に笑う山田の幻が見える気がした。
停電の前に、三曲目の穂積&小野瀬を密かに楽しみにしておりますよ♪
壁|ω´*)ウフフ
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01/06(Mon) 12:35
素晴らしい連係(*TーT)b
小春
ともさん、ジュンさん、エミさん、皆様それぞれ素晴らしくて、ワタクシ感心したり噴き出したりしております。
エミさん、二人のダンスは清香師匠にお願いしてあります。
楽しみにしていただいてよろしいかと。あ、でもここは『小春日和』なのでよろしく。
では、新スレでお会いしましょう。
あーれー。(くるくるくる)