『アブナイ☆恋の学園物語』
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12/15(Sun) 19:46
小野瀬先生( *´艸`)イヤン
せつな
☆リレーどころじゃない?!☆
小野瀬先生の、て・・・テ・・・手!?
こっっ、これは、
まだ、さっきの夢の続きなのかしら???
借り物競争で(名誉の!)負傷を負った私は、
小野瀬先生に、お、お、お姫様抱っこ キャー されて保健室に運んで頂いちゃう、
幸せ~~な夢を見たような (*ノωノ)キャー キャー!!!
気付いたら、保健室のベッドの上だったけれど、
擦りむいた傷の痛みも吹っ飛ぶくらいの幸福な気分だったわ。
そして、今!
小野瀬
「空間さん、ありがとう」
「さあ、行こう。最後の種目だよ。一緒に、赤組で頑張ろうね」
にっこり笑って手を差し出してくださる小野瀬先生。
キャーーーーーーー!!!
でも、でも!
この手を取ったら、夢が覚めちゃうなんてこと、無いわよね??
お待たせしてしまって、競技に遅れちゃうのも問題だし、
ああああ、どうしよう!
ワタクシ、どうしたらいいの!!!???
真っ赤になったまま固まる空間を、小野瀬は苦笑しながら見つめる。
あまりに躊躇する空間に、なんとなく小野瀬は自分と重なる部分を見つけてしまったような気分になった。
空間が、常日頃、校内で自分を見つめる視線。
重なると驚いたように見開かれた眼が慌てて逸らされる。
本人は、大人ぶって平静を装って見せるけれど、そこに浮かぶ憧れや恋心は本当に分かりやすくて。
自分にもそんな頃があったな・・・とか、
もしかして、今もそんな視線で誰かを見つめていることを
穂積あたりにはバレバレなんじゃないか、などと考えてしまったら、
小野瀬は空間のことが放っておけなくなったのだ。
小野瀬
「空間さんがいつも皆を気に掛けてくれていることに、感謝してるよ?こうやってトラブルを未然に防げるのも、君のおかげだ」
空間
「お・・・小野瀬先生・・・」
見つめあう二人。
・・・だが、そこに突っ込みを入れたくて仕方ない人物が一人。
『とっとと手を握ってくれないとシャッター押せないじゃない!この体勢、結構大変なのよ!?』
天井裏からシャッターチャンスを狙う龍鬼は
そのじれったさに、思わず手にしたカメラを投げつけたくなっていた。
・・・後の報復が恐ろしくて実行には移せないけれども。
リレー・・・どうする気なんだ、この二人@@;
グラウンドの声援はいっそう盛り上がって、バトンは中盤の選手に渡ったところだった。
リアルせつなでございます。
あああああああああああああ;
久しぶりに我慢できず、
しかも、欲求に忠実に書き込んでしまいました~~;ごめんなさーーーーーーい;;
今、時節は師も走るほど忙しないと言われる12月。
そのまんま、ワタクシも目が回るような毎日でございます;
皆様も風邪なんかひかないように、お体ご自愛くださいね(ノД`)・゜・。
12/15(Sun) 22:19
やっと来てくれた!
小春
待ってました!
いや、お待たせしました、かな?
お忙しいなかをありがとうございます。
ようやく空間センパイと小野瀬先生のパートになりました。
長いフリでしたが、せつなさんの登場でいい雰囲気になってきましたでしょうか。
龍鬼さんもいい味出してます。
ワタクシは引き続き空間センパイを応援して参りますよ(´∇`)ノシ。
さあ、後夜祭に向けて、SSリレーも色別対抗リレーもラストスパートだ!
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12/16(Mon) 02:26
セツナさん、ゴメンなさい。
清香
師走ですねー。
やること満載で訳が分からなくなっておりますよ。
でも、室長の誕生日は忘れてないわ!!←何も用意してないが、祝う気満々な人
☆色別対抗リレー☆
小野瀬
「ほら、行こう。」
固まったまま動けないでいる空間の白い手を小野瀬がそっと握ると、どこからか機械音がした。
カシャカシャ動くその音はすぐに盛り上がりを見せるグランドからの歓声にかき消されてしまう。
空間
「あ………、は…、は…ぃ。」
(…小野瀬先生と手を繋げた!)
いつも流れるような指さばきで黒板にチョークを滑らせていたあの細くて長い指が、今私の手に触れている。
冷たそうに見えて実は指先まで温かく、人柄と同じくらい柔らかで優しい手が、今私の手をふんわりと包んでくれている。
(も、もう……、私、ダメかもしれない…わ。)
歓喜のあまり倒れそうになるのを必死に堪え、空間は見え始めた走馬灯を振り切って全神経を繋がれた右手に集中させていた。
しかし緊張のあまりか右手と右足が同時に出ている事にすら気がつく事が出来ない。
小野瀬
「空間さん、大丈夫?手と足が一緒に出てるよ?」
午前中の借り物競走での派手な転び方を思い出したのか、再び怪我をさせるわけにはいかないと小野瀬がそっと空間の顔を覗きこんだ。
背の高い空間の顔を覗きこむのはそんなに苦では無い。
慣れたように正面を遮るように小首を傾げた小野瀬の顔が空間の瞳に映る。
そして同じように、小野瀬の瞳に空間自身の顔が映る。
空間
「…ひぃ………ッ…!」
一気に近づいた距離に慌てて後ずさろうにも、絡まった空間の両脚は言う事を聞くはずもない。
ぐらりと揺れる空間の身体を、ほぼ反射といってもいいほどの速さで小野瀬が抱きとめた。
小野瀬
「おおっ、と。空間さん、本当に大丈夫?リレーに参加するのやめておいたほうがいいかな?」
囁いたくちびるが触れるか触れないか、遠目から見ればキスをしているのかと思われかねない距離に空間の瞳孔が開く。
小野瀬にとってはごく当たり前の行動でも、心酔しきっている空間にとっては会心の一撃に匹敵するアクションだ。
空間
「…き…棄権……しま……す。」
たった一言それだけを呟き、がくりと気を失った空間は再び小野瀬の腕に抱かれて保健室へと戻って行ったのだった。
→
なぜこんな展開になったのかは私も分かりません←
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12/16(Mon) 07:08
空間センパイ(笑)
小春
ああ…… 高校生活最後の種目を棄権……。
でも、きっと幸せだからいいわよね。←いいのか(笑)
☆その頃の穂積☆
穂積が、小春の姿が見えない事に気付いたのは、小野瀬とほとんど同じくらいの頃だった。
緑組の一人一人に声を掛けている途中で気が付いたのだ。
その後、生徒玄関を気にしていた小野瀬がいなくなったから、てっきり小春を探しに行ったと思ったのだが。
小野瀬も小春も帰って来ない。
緑組での小春の走る順番が近付き、さすがに探しに行こうかと思っていた矢先に、ようやく、当の小春が走って戻ってきた。
……顔色が悪い。
……それに、また、ジャージ上を着ている。
眉を潜めた穂積よりも先に、翼が、列に加わった小春に声を掛けていた。
穂積は耳を澄ます。
翼
「小春ちゃん、着替えに行って何かあったの?随分時間が掛かったし、何か、目が赤いよ?」
小春
「うん、ありがとう。心配かけてごめんね。目にゴミが入っちゃったの。洗面所で洗ったんだけど、なかなか取れなくて」
小春は翼に笑顔を向けた。
翼
「……そう?……大丈夫ならいいんだけど……」
小春
「ありがとう」
穂積の中で警報が鳴り始めた。
だが、小春はもう、次の走者になるためにトラックに出て行く。
そこへ、小野瀬が戻ってきた。
何か事情を知っているはずだと小野瀬の顔を見ていると、向こうも穂積を探していたらしく目が合った。
が、小野瀬の目は、穂積の位置を確かめただけで、すぐに小春に向けられた。
穂積も、その視線をなぞるようにリレーゾーンを見る。
前の走者からバトンを受け、小春が走り出した。
距離はほんの100m。
無難に、そしてあっという間に次の走者にバトンを渡した小春は、走り終えた選手の列に加わると、膝を抱えて顔を伏せた。
部活対抗の時は、見つめていた明智や小野瀬をすぐに振り返り、笑顔で手を振ったのに。
小春の様子を見届けて、小野瀬が穂積の元に駆け寄って来た。
小野瀬は、校内で彼が見た状況を全て穂積に話し、小さく頭を下げた。
小野瀬
「……ごめん。俺に配慮が足りなかった」
その通りだと穂積も思う。
だが、泣きそうな顔で頭を下げた小野瀬を責める気にはなれなかった。
穂積
「……とりあえず、お前は赤組に戻れ。小春は俺が後でフォローしてみる」
小野瀬
「分かった。……頼むよ」
小野瀬が、もう一度頭を下げて踵を返す。
穂積は周囲に気付かれないように溜め息をついた。
☆色別対抗リレー~青組和音~☆
一方で、リレーは徐々に白熱してきた。
各組とも、前半に速い選手を集めたり、逆に温存したり。男女を交互に並べた組もあれば、タイム別に複雑に組み合わせた組もある。
それらの思惑の成果が、中盤を過ぎると顕著に現れてくる。
リレーは現在、赤組、白組、緑組、青組の順。
だが、その差は僅差で、しかも、ここからの選手たちは皆個性が強く、力のある選手たちばかりだ。
全く予断を許さない展開の中、早速波乱を起こしたのは、青組。
期待の込められた声援とともに現れた三年生、体育祭実行委員長、和音が、なんと、前を走る三人をごぼう抜きし、一瞬で青組をトップに押し上げたのだ。
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12/16(Mon) 08:18
走ります!
ジュン
和音の活躍で盛り上がる中、ジュンは3番手でバトンを受け取った。
僅差とはいえ、ジュンは運動が得意ではない。
なんとか三番手を保ったまま次の走者にバトンを繋ぎたいと走り出した。
藤守
「ジュン、頑張れ!」
空
「おねーたん、がんばれ~」
藤守たちの声援に押され半分ほど走ったところでジュンは何かに躓き勢いよく転倒した。
藤守
「ジュン!」
心配する藤守の声が響く中、素早くバトンを拾い立ち上がろうとするが左足に激痛が走った。
どうやら、ひどく足をひねってしまったようだった。
それでも、なんとか足を引き摺り次の走者にバトンを渡した。
藤守
「ジュン、大丈夫か!?」
走り終えると同時にしゃがみこんでしまったジュンに藤守が駆け寄る。
見れば手のひらや膝からも血が滲んでいた。
藤守
「すぐ救護所に運んでやるからな。」
回りの目を気にする余裕もなく藤守はジュンを抱き上げ救護所に向かう。
ジュン
「ごめんね……。最下位になっちゃった……」
足を捻ったことより、怪我をしたことより、MVPを狙っている藤守の足を引っ張ってしまったことが情けなく、ジュンは顔を上げれなかった。
藤守
「あほっ!んなこと気にすんな!まだ中盤やん!」
ジュン
「…………」
藤守
「絶対、勝つから。」
今の順位は青、赤、緑、少し遅れて白です。
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12/16(Mon) 09:27
おはようございます
とも
☆色別対抗リレー・白組☆
如月
「ジュンちゃん、大丈夫かな」
とも
「ちょっと足を挫いてたみたいですね。大したことなかったらええけど…」
次に登場した白組の走者はロバート。目をキラキラさせながら、前の走者(男子)からのバトンを待っているその姿に観客らは爆笑している。
ところがバトンが渡ったとたん、その巨漢体型からは想像できないほどの、ものすごい勢いで走り、次の走者へ繋いだのだった。
ロバート
(あぁ、ケイジが私を見てるわ~。ダディも応援してくれてる♪いやーん、そんなに見つめないでぇ~///)
~緑組・翼~
そうこうしてる間に、翼の走る順番が回ってきた。
翼
(どうしよう、またさっきみたいに緊張してきちゃった)
両腕を抱えるようにして震える足をどうにか動かしていると、穂積が近づいてきた。
穂積
「櫻井、また緊張してるのね?徒競走の時の事を思い出せば大丈夫だから、しっかりね」
ポンと肩を叩いて他の生徒のところへ向かう穂積の背中を見つめながら、翼は両手をギュッと握ってバトンを待った。
バトンを受けて走り出したあとは無我夢中だった。とにかく前についていこうと必死で走り、次の走者へ渡した。
穂積
「頑張ったわね!おかげで差が縮まったわ」
走り終えた列に戻る途中で穂積に声をかけられた。
翼
「はい!ありがとうございます!」
そう言って笑う翼に微笑み、穂積はまた他の生徒の元へ向かったのだった。
12/17(Tue) 08:50
おはようございます
とも
連投してみます(^-^)
☆色別対抗リレー・とも☆
とも
「さ、そろそろ私の出番やな!」
両手でパンっと頬を叩いてともが身体を動かし始めた。
今日の彼女の活躍からすると、走る順は最後の方になるのだが、先に仕掛けてきた青組同様、このあたりで順位を上げておこうという作戦からだった。
如月
「ともちゃん、頑張ってね!」
とも
「はい!もちろんです!和音先輩じゃないけどごぼう抜きする気で走りますよ!」
真剣な顔つきに変わっていたともは、如月の声にフッと笑顔で返した。
白組生徒
「ともちゃん、頼んだぞ~!」
白組生徒
「頑張れ!」
すっかり名前と顔を覚えれたともは皆にも笑顔で手を振り返す。
そんなともに如月は誰よりも想いのこもった応援をしようと思ったのだった。
予想よりも早いともの出番に他の組の生徒たちは焦っていたが、順番を替える作戦は間に合わなかった。
青、赤、緑と続き、遅れを少しずつ取り戻していた白組のともにバトンが渡ると、観客らからわぁっと歓声が起こった。綺麗にバトンを受けて走り出したともは、僅差で続く三組との差をあっという間に詰め、緑と赤を抜いて二位でバトンを渡したのだった。
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12/17(Tue) 09:35
そして終盤へ……(笑)
小春
☆色別対抗リレー~保護者~☆
とも父
「とも、なかなかやるなあ」
山田
「さて、我々もそろそろ出番ですかね」
色別対抗リレー、保護者チームは参加者が少ないため、生徒たちのリレーがちょうど半分終わった所からスタートしていた。
もちろん得点には関係無い。
だがこの措置は、むしろ保護者たちの為のルールだった。
厳密に言えば彼らは「保護者チーム」ではなく「一般参加者チーム」なのだが、ほとんどの参加者は生徒たちの家族だ。
兄弟姉妹ならともかく、親の世代は運動不足、体力不足、しかもそれらがすでに自分たちに不足しているという認識さえも不足している。
現役時代に運動していた保護者ほど、それが顕著だ。
こういう人たちがうっかり張り切ってしまうと現実とのギャップから転倒したり、後日腰痛で寝込んだり。
数年前には、アキレス腱を断裂して入院、なんていう笑えない保護者もいた。
鳥山
「まあ、基本的には雰囲気を楽しんでいただければいいんですけどね。彼のように」
鳥山の指差す先では、ジュンの弟の空が、猛スピードで駆け抜ける高校生たちの外側のコースを、とことこと走っている。
山田
「保護者チームで、高校生と遜色無く走れるのは僕たち二人、ジョーさんと明智三姉妹、ともさんのお父さんくらいですか」
鳥山
「いいでしょう」
とも父
「なあに、終わりの方で、ちょっとだけ掻き回してやったらええんや」
三人は、顔を見合わせると、にっ、と笑いあった。
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12/19(Thu) 07:02
☆色別対抗リレー~終盤~☆
小春
昨日は室長(&せいなさん)の誕生日でしたね!
その佳き日に私は風邪をひいてしまったらしく咳が止まらず、午後から半日寝てしまいました。
師走です。皆さんお忙しいでしょうがお身体を大切に。
☆色別対抗リレー☆
リレーもいよいよ終盤。
放送席では走り終えた紅花が、篠崎と黒柳に代わって熱の入った実況を続けていた。
紅花
『総合優勝、そして、MVPの行方を大きく左右する最終種目、色別対抗リレー。残り5周を切り、順位は激しく入れ替わっています。さあ、最後に笑うのはどの組になるのでしょうか?!』
トップを走っていた青組は明智がさらに後続との差を開いたが、次の篠崎で再び白組に迫られてしまう。
しかしその白組もまた、追い上げてきた緑組の穂積に抜かれ、三位に陥落。
さらに赤組で棄権した空間の分まで200mを一人で一気に走った小野瀬にも抜かれ、またしても最下位になってしまった。
残りは僅か2周。
現在の順位は青組、緑組、赤組、白組。
中盤までに花形の選手を投入した青と赤に対し、緑組にはアンドロメダやパープルドラゴン、白組には如月と藤守というエースたちが残っている。
さらに、大外のコースを走る保護者チームのトラックには、100m刻みに明智三姉妹の同じ姿が並び、観客を盛り上げる。
紅花
『さあ、次の走者にバトンが渡されます!』
[削除]
12/20(Fri) 08:53
おはようございます
とも
☆色別対抗リレー☆
白組生徒
「なかなか差が縮まらないな」
白組生徒
「今年は優勝はムリかも…」
藤守
「アホ!まだ挽回できるっちゅうねん!もう負けたみたいな顔すなや!」
如月
「そうですよ!まだオレだって走ってないし!」
すっかり士気の下がってしまった白組で、藤守と如月がなんとか盛り上げようとする。
アニ
「次はオレの番だ!トップでバトンを渡すからな!」
そういってトラックに出ていくと、鳥山が立っていた。
鳥山
「悪いが、トップに立つのはこの鳥山だ」
フフンと鼻で笑う鳥山とアニの間で火花が散る。
同じ頃、次の地点でバトンを受ける如月の隣にやって来たのは、とも父とアンドロメダだった。
とも父
「おっ、如月くんは俺と勝負やな。言っとくけど、負けるつもりはこれっぽっちもあらへんからな?」
如月
「もちろん、オレも負けませんから!」
アンドロメダ
「…我が輩のこと忘れてないナリか?」
アンカーのたすきをかけて走るのは、藤守、山田、パープルドラゴン。最後なのでトラック一周を走る。
山田
「今年は白熱してるねぇ。今までで一番盛り上がってるかもね」
藤守
「校長はあんま目立たんといてくださいよ。勝つのは白組ですからね!」
パープルドラゴン
「拙者も緑組の優勝がかかっているでござる。手加減は無用でござるよ」
さぁ、勝負の行方はどうなる?!
あれ、話がうまく繋がってるかしら?
続きはお願いしま~す(*≧∀≦*)
[削除]
12/20(Fri) 10:13
喉が痛いです(;>_<;)
ジュン
バトンは青、緑、保護者チーム、赤、白の順で引き継がれた。
まず抜いたのは白の如月。
さすがの俊足でどんどんと前を走るとも父の背中を捉える。
それと同時に今度はアンドロメダが青組の走者を抜き一位に躍り出た。
緑のアンドロメダが一位でバトンを繋ぎ、続いて青組、とも父と如月は並ぶようにバトンを繋ぎ、最後は赤組がバトンを繋いだ。
各色最終走者が走り出した。
少しだけ書かせてもらいました(((^^;)
どの色も差は僅かです。結果がどうなるか楽しみにしています←
12/20(Fri) 11:35
ジュンさんに風邪を移しちゃったかしらm(__)m
小春
☆色別対抗リレー~最終走者~☆
緑組、青組、白組、保護者、赤組の順で、アンカーに渡ったバトン。
白の藤守はバトンを持つが早いか、みるみるうちに青組に迫り、追い抜いた。
応援の歓声が一気に高まる。
だが、前を走る緑組の背中が遠い。
アンドロメダからタスキを受けたパープルドラゴンは、自ら「手加減御無用」と言うだけの事はある。
なんと、僅差だった間隔が、詰まるどころか開いてゆくのだ。
パープルドラゴンの走り方は、さっきまでとは違う。
あれが「忍者走法」だろうか。
藤守は戦慄した。
それは、鳥山から伝授された、陸上の常識を根底から覆す衝撃だった。
……なんであんなに速いねん?!
だが、藤守はさらに驚愕することになる。
山田
「藤守くーん」
……今の声、こっ、校長?!
背後にいるのは青組の走者のはずだ。
まさか、もう追い付いて来たのか?!
だが、最終コーナーを廻って、残りは直線。
藤守は目を閉じ、歯を食い縛った。
藤守
「くっそおおっ!」
とにかくがむしゃらに走る。
もうそれしかないのだ。
だが、駆け寄ってきた係員に止められた時、藤守の前にゴールテープは無かった。
肩を落として落胆する仲間の顔と、笑顔の輪の中にいるパープルドラゴンの後ろ姿が見えて……やがて滲んで見えなくなった。
[削除]
12/20(Fri) 13:02
次は閉会式?
ジュン
赤くなった目を見られないように、情けない顔を見られないように、藤守は地面に座って下を向いた。
そんな藤守に誰も声をかけられない。
MVPのためにも一位を目指していた藤守が落ち込んでいるだろうと考えるとかける言葉が見つからない。
そんな雰囲気の中、ジュンが足を引き摺りながら、藤守に近づいた。
ジュン
「賢史くん、お疲れ様。」
そう言ってジュンは藤守の頭からタオルをかける。
今、顔を見られたくないだろうとタオルを持ってきたのだ。
藤守
「…………」
ジュン
「格好良かったよ。」
藤守
「……ごめんな、絶対勝つって言うたのに……」
涙が滲んで目が痛い。藤守はタオルで顔を覆った。
私の風邪は小春さんからでしたか。皆にうつさないように気を付けなくっちゃ!
[削除]
12/20(Fri) 14:08
☆みんなお疲れ様☆
小春
~閉会式~
いつの間にか日が傾いてきている。
最終リレーの余韻も冷めやらぬ中、保護者たちはトラックの外に定められた応援席へ、生徒たちはフィールドの中にクラスごと、色別に分かれて整列する。
本部席の横にある各組の得点板は午後から幕で隠されていたので、誰も総合得点を知らない。
紅花
『では、体育祭実行委員長の水原和音さんから、結果発表をお願いします』
紅花の声が読み上げる式次第に従って、和音が壇上で一礼し、マイクの前に立つ。
和音
『では、発表いたします。今年の体育祭、総合優勝は……』
全員が息を詰め、耳を澄ます。
和音が、封筒に入っていたメモを開いた。
和音
『総合優勝は、白組』
一瞬、時間が止まったような静寂の後、白組の生徒たちが、爆発したような歓声を上げた。
和音
『準優勝は緑、三位に赤組、四位、青組……。MVPは、白組、藤守賢史くんです』
喧騒の中で呼ばれた自分の名前に、藤守は目を見開いた。
[削除]
12/20(Fri) 17:33
体育祭、終了~
とも
名前が呼ばれた事に驚いている藤守は、周りから次々に肩や背中を叩かれ、ようやく自分がMVPを取れたのだと実感できた。
とも
「藤守先輩、おめでとうございます!」
如月
「やりましたね、会長!」
生徒会のともと如月も、藤守の肩をバシバシ叩く。
藤守
「イテッ、お前ら、仮にも俺の方が先輩やねんぞ~。どさくさに紛れて叩くなや!」
如月
「あれ、気づいてました?オレもMVP狙ってたのに、会長に持っていかれたから憂さ晴らししてたのに」
藤守
「う、憂さ晴らし?」
とも
「私かて、今日はめちゃくちゃ頑張って白組の優勝に貢献したのにぃ~」
藤守
「そ、そうやな、とももよう頑張った!」
もみくちゃにされていると、壇上から和音が苦笑しながら藤守に声をかけた。
和音
『藤守くん、優勝旗とMVPのメダルを渡したいんだけど、早く上がってきてくれるかしら?』
藤守
「…あっ、スマン」
ジュン
「賢史くん、おめでとう」
顔を真っ赤にしながら移動する藤守に、ジュンも横を通った際に、小さく声をかけた。
白組を代表して藤守が優勝旗と、自身のMVPのメダルを山田校長から受け取ると、会場から大きな拍手が起こった。
紅花
『…以上で本日のプログラムは全て終了です。最後に閉会宣言を実行委員長、お願いします』
和音
『今年は大きなトラブルもなく、例年以上に盛り上がった体育祭になりました。3年生はこれが最後の体育祭でしたが、とてもいい思い出になったと思います。ありがとうございました。これで桜祭・体育祭を閉会します』
言い終えて一歩下がり、一礼した和音に生徒や教師、保護者たちから歓声と拍手が送られ、体育祭は終わったのだった。
[削除]
12/20(Fri) 18:53
☆体育祭終了☆
小春
空間が目を覚ました時、ベッドの傍らの椅子には小野瀬がいた。
空間
「!」
小野瀬
「おっと、そのままそのまま」
跳ね起きそうになった空間を制して、小野瀬は微笑んだ。
あまり近付いてまた気絶されてしまうと困るので、静かに立ち上がって距離をおく。
小野瀬
「気付いてくれて良かった。……体育祭は終わったよ。最後の体育祭だったのに、怪我をさせたり、棄権させてしまってごめんね」
空間は顔を真っ赤にして、ぶんぶんと首を横に振った。
空間
「小野瀬せんっ……生のせいじゃありません。ですとも。わっ、私が、勝手に取り乱してしまったからど……からですから」
小野瀬
「そう言ってもらえてホッとした」
小野瀬は心底ホッとしたように笑って、腕時計を見た。
小野瀬
「……ごめんね、もう行かないと。教師としては、これから、まだ、後始末が山のようにあるんだ」
空間
「はっ、はいぃっ、もちろんです。
空間の声が裏返る。
空間
「どうぞ、いっ行ってください!私ももう教室に戻りますですから!ご心配おかけしてもっ、本当に、申し訳ありませんでした!」
小野瀬
「送っていかなくて大丈夫?」
空間
「おくっ、てってっ……めめめ、滅相もない!」
小野瀬
「そう?……じゃあ、ここで。気を付けて教室に戻ってね?」
扉に手をかけた小野瀬の耳に、掠れたような空間の声が聴こえた。
空間
「……私より、小春さんが傷付いてますわ」
小野瀬は振り返らなかった。
空間
「……小野瀬先生も」
振り返らないまま、小野瀬は呟きを返した。
小野瀬
「……きみは本当に、俺の事をよく見てるんだね」
空間の顔が青ざめる。
空間
「す、すみません!出過ぎた事を、私……」
小野瀬
「いいんだ。きみの言う通りだよ」
小野瀬は扉を開けた。
小野瀬
「俺はもっと素直に、正直にならないといけないね。きみや、小春さんのように」
扉が閉まり、足音が遠ざかってゆく。
空間もまた、小野瀬の最後の言葉を噛み締めていた。
12/21(Sat) 05:02
☆体育祭終了後☆
小春
応援席に並べてあった自分たちの椅子と荷物を教室に持ち帰り、その後、クラス単位のロングホームルームが終わると、一般の生徒たちは解散となる。
廊下に出た穂積の周りには、人だかりが出来ていた。
男子生徒
「先生、打ち上げやりましょうよ、打ち上げ!」
女子生徒
「カラオケでもバーベキューでもいいですよ!」
穂積は苦笑い。
穂積
「そうね。クラスでの打ち上げは、また、後日あらためて、ね」
男子生徒
「えー」
穂積
「ワタシたち教師はこれから、生徒会や実行委員と一緒に、テントを片付けたり、ミス&ミスター桜祭の投票箱を回収したり、まだまだ仕事があるの」
生徒たちは顔を見合わせた。
女子生徒
「そっかあ、明日は後夜祭だもんね」
男子生徒
「次の土曜にでもするか」
渋々ながら頷く生徒たち。
穂積
「今日はそれぞれ、ご家族や、仲良しの子たちとでもおやりなさい。明日の片付けに差し障りがない程度にね」
はーい、とか、うわ明日めんどくせえ、などと言いながらも納得した生徒たちと別れて、穂積は一旦職員室に向かう。
集まった教職員は山田から労いの言葉や諸注意を受けた後、再びそれぞれの受け持ちに散ってゆく。
穂積は小野瀬や明智とともに、生徒会役員たちが集まっているはずの中庭に向かうのだった。
如月
「あーあ、体育祭MVP逃したら、後夜祭のダンスが遠のいた気がするなあ」
翼
「でもまだミスター桜祭がありますよ、如月先輩」
小笠原
「うちの学校で人気投票やると、上位はほとんど先生たちが占めちゃうんだよ」
とも
「そうなんですか?確かに格好いい先生ばっかりやけど」
藤守
「穂積先生、小野瀬先生、明智先生は堅いやろ。校長に、トリンもおるしな。5位入賞は難しいで。俺が必死でMVP狙ったのは、そのせいなんやで」
とも
「ミス桜祭の方はどうなんやろ。やっぱり、女神やるようなキレイな先輩たちが選ばれるんやろか」
和音
「ミスコン自体が初めての試みだから分からないけど、前日の準備中から投票は始まってたし、文化祭、体育祭で注目した人への投票だから、あまり学年は関係ないかもね」
翼
「ともちゃんは大活躍だったから、1年生だけど、もしかして入賞するかもしれないよ。ねっ、小春ちゃん」
小春
「うん」
そんな話をしている傍らを、先に下校する生徒たちや、その家族たちが通ってゆく。
小春
「あっ、ジュン先輩!怪我は大丈夫ですか?」
少しだけ足を引きずりながら現れたジュンとジュン母、空の元に小春が駆け寄る。
ジュン
「ありがと小春ちゃん。篠崎先生に診てもらったから大丈夫」
藤守
「無理すんなや。てか俺がおぶってったるから待ってろ言うたやろ?」
ここで切ってみる(笑)
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12/21(Sat) 06:12
藤守とジュン
ジュン
藤守の言葉にジュンは真っ赤になって首を振る。
ジュン
「いいから!子供じゃないんだし、恥ずかしいし、自分で歩けるし!」
藤守
「遠慮なんかせんでええんやで?」
それは遠慮ではなく本当に恥ずかしいんだよ!と、そこにいる全員が心の中でツッコミを入れた。
ジュン母
「もうラブラブやねぇ。なんやったらうちらは先に帰るけど?」
ジュン母が藤守とジュンをからかうように茶々をいれる。
藤守
「ラブラブって///」
ジュン
「お母さん!賢史くんは生徒会の仕事で忙しいんだから!」
お互いに頬を赤く染める藤守とジュンを少し離れた場所で見守るメンバー。
如月
「なんか、本当にラブラブだね?」
小笠原
「昨日とはずいぶん違うね。」
とも
「でも良かったですよね。」
翼
「本当だね。幸せそう。」
小春
「ジュン先輩も怪我が酷くなくてよかったね。明日は踊れるといいね。」
ということで、調子にのってラブラブしてしまいましたm(__)m
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12/21(Sat) 21:16
☆体育祭終了後☆
小春
ジュンと藤守が、まだ、おぶうのおぶわないの言い合いをしている中庭に、穂積ら三人の教師が現れた。
穂積
「全員集まっているわね。じゃあ、もうひと頑張りよ。細かいものは明日の午前中に全校生徒で片付けるから、夜、残しておくと心配なものだけ始末しちゃいましょう」
全員
「はい!」
穂積
「和音、今日は大役お疲れ様。アンタは実行委員たちを率いて、得点板やテント、本部席を片付けてもらえるかしら」
和音
「はい」
穂積
「ロバートやポールも、理事長に着物を返したら手伝いに来るはずだから。力仕事はそれからでもいいわよ」
和音
「はい」
和音はくすくす笑って頷き、実行委員たちの集まっている場所に走って行った。
穂積
「藤守、生徒会の全員は、構内に設置されているミスコンの投票箱を回収して、生徒会室に運んでちょうだい」
藤守
「はい。そしたら、俺と、小笠原、如月は、体育館と、建物の外を担当しようか」
如月
「了解です」
小笠原
「……」
小笠原は黙って頷く。
藤守
「ともと小春、櫻井は、校内の投票箱を回収してくれるか。とも、台車を使たらええよ」
とも
「はい」
小野瀬
「じゃあ、俺が女の子たちと一緒に廻って手伝うよ」
明智
「藤守、ジュンさんたちは、俺が車で家までお送りするから心配しなくていい。それで、帰りに何か皆の腹の足しになるようなものを買って来る」
ジュン
「名案です!明智先生、ありがとうございます!」
まさに天の助け。
このままだと本当に藤守におぶわれて帰る羽目になりそうだと思ったジュンは、一も二もなく明智の提案に賛成した。
藤守
「そうやなあ……ジュンのお母んも、空も疲れたみたいやし……そしたら明智先生、お願いします」
明智
「分かった」
如月
「明智先生なら安心ですよ、会長!」
小野瀬
「如月くん、なぜ俺を見るのかな?」
一同が笑う。
藤守
「明智先生、俺たこ焼き!」
如月
「焼きそば!」
小笠原
「プレーンヨーグルト」
穂積
「●スバーガーとオニポテとドリンクMのセット30人分、あとナゲット5個入りも人数分」
明智
「穂積先生、それ、ギャグじゃないんですよね……」
明智がジュンとジュン母、空を伴って駐車場に向かうのを見送りながら、小野瀬はちらりと小春を見た。
小春はちょうど翼に話しかけられたところで、何が可笑しかったのか、ちょっと笑った。
良かった笑っている。
たったそれだけで安堵する小野瀬を、穂積は見るともなく見ていた。
穂積
「さあ、明智先生の差し入れが届くまでに終わらせるわよ!」
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12/22(Sun) 08:27
☆体育祭終了後☆
小春
如月
「会長は、後夜祭のダンスでは当然、ジュンちゃんを誘うんでしょ?」
投票箱を柱に留めてある針金をペンチで切りながら、如月が呑気な声で訊く。
すぐ横で箱を支えている藤守は、問われて顔を赤くした。
もう、白組どころか学校じゅうに二人の関係はバレバレなのだが、藤守自身はまだそれに慣れない。
藤守
「でかい声で言うなや。……そら、ジュンと踊るつもりでおるよ」
如月
「そっかあ」
藤守
「何でそんな事訊くねん」
箱を外し終え、台車に乗せながら今度は藤守が訊いた。
如月
「俺、さっき、陸上部のマネージャーさんが、他の女子と話してるのを聞いたんですよ。『藤守くんは私と踊りたいって言ってた』って」
ペンチを手に、如月が先に立って、次の投票箱に向かって歩き出す。
藤守
「え?!」
如月の話の続きを聞こうと、早足で追う藤守。
二人の後ろを、台車を押す小笠原がマイペースでついていく。
藤守
「何でそんな話になってんねん……」
とは言いながら、藤守にも心当たりはある。
ジュンへの想いに気付く前、とにかくMVPに選ばれるのが先だと、辺り構わず自分に投票してくれるよう頼んだ。
その中で、もし選ばれたら一緒に踊ってくれるかと、冗談混じりに、知り合いの女子何人かに声を掛けた。
まさか、そのツケを払う時がやってくるとは。
如月
「前々から誘ってた方を優先するのが本当なんでしょうけど。自分の気持ちで決めていいんじゃないですかあ?」
適当に答えているようで、如月の言う事は深い。
如月
「それでも、会長は指名権があるだけいいですよ。俺なんか、MVPは獲れなかったし、ミスターで5位までに入賞するなんて無理だし。あ~あ」
MVPにもし選ばれていれば、如月がともを誘うつもりだった事もまた、誰もが知るところで。
如月
「やっぱ自力で、パートナーになってくれるよう頼むしかないのかなあ。超恥ずかしいんだけど」
藤守も如月も、去年の後夜祭を覚えている。
誘う相手もいないまま、壁の近くに男ばかりで集まり、誘ってくれる相手も来ないまま、静かに体育館の明かりは消えた。
藤守
「あれは辛かった」
如月
「俺は帰ってから泣きました」
藤守
「……小笠原は?お前、もしミスターに選ばれたら、誰を誘うねん?」
小笠原
「……」
藤守、如月
「あれ?」
確か、以前どこかで同じような質問をした時、小笠原は即座に 「何その無駄な質問」と、ばっさり却下したはずだったが。
小笠原
「行くよ」
藤守と如月は顔を見合わせ、それから、小笠原に飛びかかった。
如月
「小笠原さん、いつの間に!」
藤守
「誰や?白状せえ!」
小笠原
「やめろ!暴力反対!」
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12/22(Sun) 10:52
☆体育祭終了後☆
小春
とも
「そしたら小野瀬先生、すみませんけど台車お願いします」
小野瀬
「了解。お姫様たちのお伴をさせていただきますよ」
翼
「小野瀬先生ったら」
校内の投票箱を回収するため、和気あいあいと出発しかけていた生徒会女子と小野瀬のチームの後を、穂積が追い掛けてきた。
穂積
「小春ー」
小春
「はーい」
振り返った小春に追い付いて、穂積が大きな手をその頭に載せる。
穂積
「とも、悪いけど、そっちは三人いればいいわよね?」
とも
「?……はい、たぶん」
ともは、翼と小野瀬に目で尋ねる。二人も頷いた。
穂積
「それなら、小春を借りてくわ。小春、明智が帰ってきたら、残ってる教師と生徒に軽食を配りたいの。職員室にお茶を用意してくれる?」
穂積の説明に納得したらしく、小春は穂積の手を頭に乗せたまま、こくりと頷いた。
小春
「はい」
穂積
「ありがとう助かるわ。篠崎は来賓を駅まで送って行ったし、理事長にお茶を入れさせるわけにはいかないしね。じゃあ、宿直室に行きましょうか」
小春
「はい」
小春の髪をくしゃくしゃと撫でてから手を離し、先に立って歩き出した穂積の後を、小春が小走りでついていく。
それを見送ってから、小野瀬は翼とともを振り返った。
小野瀬
「さ、俺たちも行こうか」
12/23(Mon) 05:50
☆体育祭終了後~穂積と小春~☆
小春
宿直室は校舎の外れにあり、日も暮れ、ほとんどの生徒も帰宅したこの時間には他に人影も無い。
だが、誰でもいつでも利用出来る給湯設備があるのはここだけだ。
小春は穂積の後ろにほとんど張り付くようにして、暗い廊下を宿直室へ向かっていた。
穂積
「なあに、アンタ怖いの?」
青ざめた真顔で、小春がこくこく頷く。
そういえばこの子、櫻井と同じくらい怖がりだったっけ。
穂積
「手を繋いであげる」
浅く振り返りながら後ろに向かって右手を出すと、すごい速さで小春の左手が穂積の指先を握ってきた。
緊張して冷たくなった手は小さくて、きゅうっと握り締めてくるその感覚に、穂積はふと、子供の頃の弟の手を思い出す。
……小春はいくつだっけ。
……十六?いやまだ十五?
見下ろしてやれば、さっきまで強張っていた表情を僅かに緩めて、でも、今この世界に穂積しか頼るものがいない、そんな顔で見上げてくる。
明智や小野瀬が、この少女を構わずにいられない、その気持ちが、穂積にも分かる気がした。
それは恋愛感情ではない、もしも父性本能という言葉があるなら、きっと、それに近い感情。
穂積
「……小野瀬が心配してたわ」
自然に言葉が出た。
小春は幼いが、それだけに、人の心の機微には敏感だ。
穂積がひとこと言っただけで、小春には、穂積が何故自分をひとり呼び出したのか、その理由まで分かったようだった。
小春
「私、大丈夫です」
そして、穂積にも分かった事がある。
小春が人一倍、「平気」とか「大丈夫」とか口にするのは、相手を心配させない為にだと。
そして同時に、口にする事で、自分自身にそう言い聞かせているのではないのかと。
それがまた、さっきの父性本能を刺激する。
穂積
「アンタを苛めた相手を、直接注意する事も出来るけど」
そんな事は望まないわよね、きっと。
そう言い足すと、小春は頷いた。
小春
「大丈夫です」
宿直室に着き、明かりを点けると、小春は、「でも、ありがとうございます」と言って穂積から手を離し、お辞儀をすると、早速お湯を沸かす準備を始めた。
ヤカンやポットの場所も、教えなくてもすぐに見つける。
家事の苦手な穂積には分からないが、こういうものには配置の法則があるのだろうか。
我ながら役に立たないので、穂積は畳の床に宿直の布団を広げて、ごろりと寝転がる。
やがて、ヤカンを火にかけた小春が戻ってきて、穂積の傍らにちょこんと正座した。
穂積
「明日、小春は誰と踊りたい?」
そもそもダンスに興味があるだろうか。
そんな事も思いながら聞いてみると、意外にも、小春は頬を染めた。
小春
「穂積先生」
穂積
「うん?」
呼び掛けられたとばかり思って返事をした穂積は、一拍おいて、自分の失敗に気付いた。
穂積
「あっ、ごめん!ワタシと踊りたい、って事ね?」
小春は真っ赤になって、ぷいと横を向く。
穂積は身体を起こして、頭をがりがりと掻いた。
どうやって小春の機嫌を直そうかと考えていると。
小春
「お兄ちゃんとも、小野瀬先生とも、アンドロメダさんともパープルドラゴンさんとも、細野先輩や太田先輩や翼ちゃんとも、ともちゃんとも紅花ちゃんとも篠崎先生とも踊りたい」
実際のダンスパーティーは結構みんな本気で相手を探していて、恋愛モードでロマンチックで、小春の想像しているのとはたぶん違う。
けれど穂積は、それを訂正する気にはならなかった。
穂積
「覚えておくわ。時間があったら踊りましょうね」
おそらく小春にとっては、そんな口約束をしてやるだけでじゅうぶん幸せなのだ。
それを裏付けするように、小春がにっこり笑った。
小春
「もしも時間が余ったら、でいいです」
一番人気の穂積に、余る時間があるはずがない。
分かっていて笑う小春を見つめて、穂積は目を細めた。
お湯が沸いた、と2本のポットを満たして並べた小春に、穂積は立ち上がりながら、確認のつもりでもう一度、訊いた。
穂積
「……苛められた事……、小春は大丈夫、って、小野瀬に言っていいかしら?」
小春は微笑んで頷いた。
それから、ちょっともじもじした後、穂積の手を握った。
小春
「先生」
何か言いたい事があるのか、穂積の襟を引くようにして背伸びをし、耳元に口を寄せる。
穂積
「……ん?」
穂積が身を屈めた、次の瞬間。
ふ、と身体が浮き上がったかと思うと、穂積の長身はいきなり回転し、宿直室の布団の上に仰向けにひっくり返っていた。
穂積が小春に投げ飛ばされたのだと気付くまで、そして痛みが襲って来るまで、たっぷり一分間を要した。
驚きのあまり声が出ない。
呆然と倒れている穂積の顔の近くに小春がしゃがんで、穂積の耳に内緒話を吹き込む。
小春
「私、自分の身を守れるぐらいには強いです。だから、心配しないで、って伝えて下さい」
穂積が頷くと、小春は赤い顔をして、さらに声をひそめた。
小春
「……先生を投げた事、誰にも言わないで下さいね」
ああ、そうか。
……明智の妹だったっけ。
今頃思い当たって、穂積は笑いが込み上げてきた。
学園一のちびっこが、穂積を難なく投げ飛ばしたなんて。
誰かに言おうにも、誰も信じないだろうけど。
穂積は声を立てて笑いながら、返事の代わりに、小春の髪をくしゃくしゃと撫でた。
小野瀬先生( *´艸`)イヤン
せつな
☆リレーどころじゃない?!☆
小野瀬先生の、て・・・テ・・・手!?
こっっ、これは、
まだ、さっきの夢の続きなのかしら???
借り物競争で(名誉の!)負傷を負った私は、
小野瀬先生に、お、お、お姫様抱っこ キャー されて保健室に運んで頂いちゃう、
幸せ~~な夢を見たような (*ノωノ)キャー キャー!!!
気付いたら、保健室のベッドの上だったけれど、
擦りむいた傷の痛みも吹っ飛ぶくらいの幸福な気分だったわ。
そして、今!
小野瀬
「空間さん、ありがとう」
「さあ、行こう。最後の種目だよ。一緒に、赤組で頑張ろうね」
にっこり笑って手を差し出してくださる小野瀬先生。
キャーーーーーーー!!!
でも、でも!
この手を取ったら、夢が覚めちゃうなんてこと、無いわよね??
お待たせしてしまって、競技に遅れちゃうのも問題だし、
ああああ、どうしよう!
ワタクシ、どうしたらいいの!!!???
真っ赤になったまま固まる空間を、小野瀬は苦笑しながら見つめる。
あまりに躊躇する空間に、なんとなく小野瀬は自分と重なる部分を見つけてしまったような気分になった。
空間が、常日頃、校内で自分を見つめる視線。
重なると驚いたように見開かれた眼が慌てて逸らされる。
本人は、大人ぶって平静を装って見せるけれど、そこに浮かぶ憧れや恋心は本当に分かりやすくて。
自分にもそんな頃があったな・・・とか、
もしかして、今もそんな視線で誰かを見つめていることを
穂積あたりにはバレバレなんじゃないか、などと考えてしまったら、
小野瀬は空間のことが放っておけなくなったのだ。
小野瀬
「空間さんがいつも皆を気に掛けてくれていることに、感謝してるよ?こうやってトラブルを未然に防げるのも、君のおかげだ」
空間
「お・・・小野瀬先生・・・」
見つめあう二人。
・・・だが、そこに突っ込みを入れたくて仕方ない人物が一人。
『とっとと手を握ってくれないとシャッター押せないじゃない!この体勢、結構大変なのよ!?』
天井裏からシャッターチャンスを狙う龍鬼は
そのじれったさに、思わず手にしたカメラを投げつけたくなっていた。
・・・後の報復が恐ろしくて実行には移せないけれども。
リレー・・・どうする気なんだ、この二人@@;
グラウンドの声援はいっそう盛り上がって、バトンは中盤の選手に渡ったところだった。
リアルせつなでございます。
あああああああああああああ;
久しぶりに我慢できず、
しかも、欲求に忠実に書き込んでしまいました~~;ごめんなさーーーーーーい;;
今、時節は師も走るほど忙しないと言われる12月。
そのまんま、ワタクシも目が回るような毎日でございます;
皆様も風邪なんかひかないように、お体ご自愛くださいね(ノД`)・゜・。
12/15(Sun) 22:19
やっと来てくれた!
小春
待ってました!
いや、お待たせしました、かな?
お忙しいなかをありがとうございます。
ようやく空間センパイと小野瀬先生のパートになりました。
長いフリでしたが、せつなさんの登場でいい雰囲気になってきましたでしょうか。
龍鬼さんもいい味出してます。
ワタクシは引き続き空間センパイを応援して参りますよ(´∇`)ノシ。
さあ、後夜祭に向けて、SSリレーも色別対抗リレーもラストスパートだ!
[削除]
12/16(Mon) 02:26
セツナさん、ゴメンなさい。
清香
師走ですねー。
やること満載で訳が分からなくなっておりますよ。
でも、室長の誕生日は忘れてないわ!!←何も用意してないが、祝う気満々な人
☆色別対抗リレー☆
小野瀬
「ほら、行こう。」
固まったまま動けないでいる空間の白い手を小野瀬がそっと握ると、どこからか機械音がした。
カシャカシャ動くその音はすぐに盛り上がりを見せるグランドからの歓声にかき消されてしまう。
空間
「あ………、は…、は…ぃ。」
(…小野瀬先生と手を繋げた!)
いつも流れるような指さばきで黒板にチョークを滑らせていたあの細くて長い指が、今私の手に触れている。
冷たそうに見えて実は指先まで温かく、人柄と同じくらい柔らかで優しい手が、今私の手をふんわりと包んでくれている。
(も、もう……、私、ダメかもしれない…わ。)
歓喜のあまり倒れそうになるのを必死に堪え、空間は見え始めた走馬灯を振り切って全神経を繋がれた右手に集中させていた。
しかし緊張のあまりか右手と右足が同時に出ている事にすら気がつく事が出来ない。
小野瀬
「空間さん、大丈夫?手と足が一緒に出てるよ?」
午前中の借り物競走での派手な転び方を思い出したのか、再び怪我をさせるわけにはいかないと小野瀬がそっと空間の顔を覗きこんだ。
背の高い空間の顔を覗きこむのはそんなに苦では無い。
慣れたように正面を遮るように小首を傾げた小野瀬の顔が空間の瞳に映る。
そして同じように、小野瀬の瞳に空間自身の顔が映る。
空間
「…ひぃ………ッ…!」
一気に近づいた距離に慌てて後ずさろうにも、絡まった空間の両脚は言う事を聞くはずもない。
ぐらりと揺れる空間の身体を、ほぼ反射といってもいいほどの速さで小野瀬が抱きとめた。
小野瀬
「おおっ、と。空間さん、本当に大丈夫?リレーに参加するのやめておいたほうがいいかな?」
囁いたくちびるが触れるか触れないか、遠目から見ればキスをしているのかと思われかねない距離に空間の瞳孔が開く。
小野瀬にとってはごく当たり前の行動でも、心酔しきっている空間にとっては会心の一撃に匹敵するアクションだ。
空間
「…き…棄権……しま……す。」
たった一言それだけを呟き、がくりと気を失った空間は再び小野瀬の腕に抱かれて保健室へと戻って行ったのだった。
→
なぜこんな展開になったのかは私も分かりません←
[削除]
12/16(Mon) 07:08
空間センパイ(笑)
小春
ああ…… 高校生活最後の種目を棄権……。
でも、きっと幸せだからいいわよね。←いいのか(笑)
☆その頃の穂積☆
穂積が、小春の姿が見えない事に気付いたのは、小野瀬とほとんど同じくらいの頃だった。
緑組の一人一人に声を掛けている途中で気が付いたのだ。
その後、生徒玄関を気にしていた小野瀬がいなくなったから、てっきり小春を探しに行ったと思ったのだが。
小野瀬も小春も帰って来ない。
緑組での小春の走る順番が近付き、さすがに探しに行こうかと思っていた矢先に、ようやく、当の小春が走って戻ってきた。
……顔色が悪い。
……それに、また、ジャージ上を着ている。
眉を潜めた穂積よりも先に、翼が、列に加わった小春に声を掛けていた。
穂積は耳を澄ます。
翼
「小春ちゃん、着替えに行って何かあったの?随分時間が掛かったし、何か、目が赤いよ?」
小春
「うん、ありがとう。心配かけてごめんね。目にゴミが入っちゃったの。洗面所で洗ったんだけど、なかなか取れなくて」
小春は翼に笑顔を向けた。
翼
「……そう?……大丈夫ならいいんだけど……」
小春
「ありがとう」
穂積の中で警報が鳴り始めた。
だが、小春はもう、次の走者になるためにトラックに出て行く。
そこへ、小野瀬が戻ってきた。
何か事情を知っているはずだと小野瀬の顔を見ていると、向こうも穂積を探していたらしく目が合った。
が、小野瀬の目は、穂積の位置を確かめただけで、すぐに小春に向けられた。
穂積も、その視線をなぞるようにリレーゾーンを見る。
前の走者からバトンを受け、小春が走り出した。
距離はほんの100m。
無難に、そしてあっという間に次の走者にバトンを渡した小春は、走り終えた選手の列に加わると、膝を抱えて顔を伏せた。
部活対抗の時は、見つめていた明智や小野瀬をすぐに振り返り、笑顔で手を振ったのに。
小春の様子を見届けて、小野瀬が穂積の元に駆け寄って来た。
小野瀬は、校内で彼が見た状況を全て穂積に話し、小さく頭を下げた。
小野瀬
「……ごめん。俺に配慮が足りなかった」
その通りだと穂積も思う。
だが、泣きそうな顔で頭を下げた小野瀬を責める気にはなれなかった。
穂積
「……とりあえず、お前は赤組に戻れ。小春は俺が後でフォローしてみる」
小野瀬
「分かった。……頼むよ」
小野瀬が、もう一度頭を下げて踵を返す。
穂積は周囲に気付かれないように溜め息をついた。
☆色別対抗リレー~青組和音~☆
一方で、リレーは徐々に白熱してきた。
各組とも、前半に速い選手を集めたり、逆に温存したり。男女を交互に並べた組もあれば、タイム別に複雑に組み合わせた組もある。
それらの思惑の成果が、中盤を過ぎると顕著に現れてくる。
リレーは現在、赤組、白組、緑組、青組の順。
だが、その差は僅差で、しかも、ここからの選手たちは皆個性が強く、力のある選手たちばかりだ。
全く予断を許さない展開の中、早速波乱を起こしたのは、青組。
期待の込められた声援とともに現れた三年生、体育祭実行委員長、和音が、なんと、前を走る三人をごぼう抜きし、一瞬で青組をトップに押し上げたのだ。
[削除]
12/16(Mon) 08:18
走ります!
ジュン
和音の活躍で盛り上がる中、ジュンは3番手でバトンを受け取った。
僅差とはいえ、ジュンは運動が得意ではない。
なんとか三番手を保ったまま次の走者にバトンを繋ぎたいと走り出した。
藤守
「ジュン、頑張れ!」
空
「おねーたん、がんばれ~」
藤守たちの声援に押され半分ほど走ったところでジュンは何かに躓き勢いよく転倒した。
藤守
「ジュン!」
心配する藤守の声が響く中、素早くバトンを拾い立ち上がろうとするが左足に激痛が走った。
どうやら、ひどく足をひねってしまったようだった。
それでも、なんとか足を引き摺り次の走者にバトンを渡した。
藤守
「ジュン、大丈夫か!?」
走り終えると同時にしゃがみこんでしまったジュンに藤守が駆け寄る。
見れば手のひらや膝からも血が滲んでいた。
藤守
「すぐ救護所に運んでやるからな。」
回りの目を気にする余裕もなく藤守はジュンを抱き上げ救護所に向かう。
ジュン
「ごめんね……。最下位になっちゃった……」
足を捻ったことより、怪我をしたことより、MVPを狙っている藤守の足を引っ張ってしまったことが情けなく、ジュンは顔を上げれなかった。
藤守
「あほっ!んなこと気にすんな!まだ中盤やん!」
ジュン
「…………」
藤守
「絶対、勝つから。」
今の順位は青、赤、緑、少し遅れて白です。
[削除]
12/16(Mon) 09:27
おはようございます
とも
☆色別対抗リレー・白組☆
如月
「ジュンちゃん、大丈夫かな」
とも
「ちょっと足を挫いてたみたいですね。大したことなかったらええけど…」
次に登場した白組の走者はロバート。目をキラキラさせながら、前の走者(男子)からのバトンを待っているその姿に観客らは爆笑している。
ところがバトンが渡ったとたん、その巨漢体型からは想像できないほどの、ものすごい勢いで走り、次の走者へ繋いだのだった。
ロバート
(あぁ、ケイジが私を見てるわ~。ダディも応援してくれてる♪いやーん、そんなに見つめないでぇ~///)
~緑組・翼~
そうこうしてる間に、翼の走る順番が回ってきた。
翼
(どうしよう、またさっきみたいに緊張してきちゃった)
両腕を抱えるようにして震える足をどうにか動かしていると、穂積が近づいてきた。
穂積
「櫻井、また緊張してるのね?徒競走の時の事を思い出せば大丈夫だから、しっかりね」
ポンと肩を叩いて他の生徒のところへ向かう穂積の背中を見つめながら、翼は両手をギュッと握ってバトンを待った。
バトンを受けて走り出したあとは無我夢中だった。とにかく前についていこうと必死で走り、次の走者へ渡した。
穂積
「頑張ったわね!おかげで差が縮まったわ」
走り終えた列に戻る途中で穂積に声をかけられた。
翼
「はい!ありがとうございます!」
そう言って笑う翼に微笑み、穂積はまた他の生徒の元へ向かったのだった。
12/17(Tue) 08:50
おはようございます
とも
連投してみます(^-^)
☆色別対抗リレー・とも☆
とも
「さ、そろそろ私の出番やな!」
両手でパンっと頬を叩いてともが身体を動かし始めた。
今日の彼女の活躍からすると、走る順は最後の方になるのだが、先に仕掛けてきた青組同様、このあたりで順位を上げておこうという作戦からだった。
如月
「ともちゃん、頑張ってね!」
とも
「はい!もちろんです!和音先輩じゃないけどごぼう抜きする気で走りますよ!」
真剣な顔つきに変わっていたともは、如月の声にフッと笑顔で返した。
白組生徒
「ともちゃん、頼んだぞ~!」
白組生徒
「頑張れ!」
すっかり名前と顔を覚えれたともは皆にも笑顔で手を振り返す。
そんなともに如月は誰よりも想いのこもった応援をしようと思ったのだった。
予想よりも早いともの出番に他の組の生徒たちは焦っていたが、順番を替える作戦は間に合わなかった。
青、赤、緑と続き、遅れを少しずつ取り戻していた白組のともにバトンが渡ると、観客らからわぁっと歓声が起こった。綺麗にバトンを受けて走り出したともは、僅差で続く三組との差をあっという間に詰め、緑と赤を抜いて二位でバトンを渡したのだった。
[削除]
12/17(Tue) 09:35
そして終盤へ……(笑)
小春
☆色別対抗リレー~保護者~☆
とも父
「とも、なかなかやるなあ」
山田
「さて、我々もそろそろ出番ですかね」
色別対抗リレー、保護者チームは参加者が少ないため、生徒たちのリレーがちょうど半分終わった所からスタートしていた。
もちろん得点には関係無い。
だがこの措置は、むしろ保護者たちの為のルールだった。
厳密に言えば彼らは「保護者チーム」ではなく「一般参加者チーム」なのだが、ほとんどの参加者は生徒たちの家族だ。
兄弟姉妹ならともかく、親の世代は運動不足、体力不足、しかもそれらがすでに自分たちに不足しているという認識さえも不足している。
現役時代に運動していた保護者ほど、それが顕著だ。
こういう人たちがうっかり張り切ってしまうと現実とのギャップから転倒したり、後日腰痛で寝込んだり。
数年前には、アキレス腱を断裂して入院、なんていう笑えない保護者もいた。
鳥山
「まあ、基本的には雰囲気を楽しんでいただければいいんですけどね。彼のように」
鳥山の指差す先では、ジュンの弟の空が、猛スピードで駆け抜ける高校生たちの外側のコースを、とことこと走っている。
山田
「保護者チームで、高校生と遜色無く走れるのは僕たち二人、ジョーさんと明智三姉妹、ともさんのお父さんくらいですか」
鳥山
「いいでしょう」
とも父
「なあに、終わりの方で、ちょっとだけ掻き回してやったらええんや」
三人は、顔を見合わせると、にっ、と笑いあった。
[削除]
12/19(Thu) 07:02
☆色別対抗リレー~終盤~☆
小春
昨日は室長(&せいなさん)の誕生日でしたね!
その佳き日に私は風邪をひいてしまったらしく咳が止まらず、午後から半日寝てしまいました。
師走です。皆さんお忙しいでしょうがお身体を大切に。
☆色別対抗リレー☆
リレーもいよいよ終盤。
放送席では走り終えた紅花が、篠崎と黒柳に代わって熱の入った実況を続けていた。
紅花
『総合優勝、そして、MVPの行方を大きく左右する最終種目、色別対抗リレー。残り5周を切り、順位は激しく入れ替わっています。さあ、最後に笑うのはどの組になるのでしょうか?!』
トップを走っていた青組は明智がさらに後続との差を開いたが、次の篠崎で再び白組に迫られてしまう。
しかしその白組もまた、追い上げてきた緑組の穂積に抜かれ、三位に陥落。
さらに赤組で棄権した空間の分まで200mを一人で一気に走った小野瀬にも抜かれ、またしても最下位になってしまった。
残りは僅か2周。
現在の順位は青組、緑組、赤組、白組。
中盤までに花形の選手を投入した青と赤に対し、緑組にはアンドロメダやパープルドラゴン、白組には如月と藤守というエースたちが残っている。
さらに、大外のコースを走る保護者チームのトラックには、100m刻みに明智三姉妹の同じ姿が並び、観客を盛り上げる。
紅花
『さあ、次の走者にバトンが渡されます!』
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12/20(Fri) 08:53
おはようございます
とも
☆色別対抗リレー☆
白組生徒
「なかなか差が縮まらないな」
白組生徒
「今年は優勝はムリかも…」
藤守
「アホ!まだ挽回できるっちゅうねん!もう負けたみたいな顔すなや!」
如月
「そうですよ!まだオレだって走ってないし!」
すっかり士気の下がってしまった白組で、藤守と如月がなんとか盛り上げようとする。
アニ
「次はオレの番だ!トップでバトンを渡すからな!」
そういってトラックに出ていくと、鳥山が立っていた。
鳥山
「悪いが、トップに立つのはこの鳥山だ」
フフンと鼻で笑う鳥山とアニの間で火花が散る。
同じ頃、次の地点でバトンを受ける如月の隣にやって来たのは、とも父とアンドロメダだった。
とも父
「おっ、如月くんは俺と勝負やな。言っとくけど、負けるつもりはこれっぽっちもあらへんからな?」
如月
「もちろん、オレも負けませんから!」
アンドロメダ
「…我が輩のこと忘れてないナリか?」
アンカーのたすきをかけて走るのは、藤守、山田、パープルドラゴン。最後なのでトラック一周を走る。
山田
「今年は白熱してるねぇ。今までで一番盛り上がってるかもね」
藤守
「校長はあんま目立たんといてくださいよ。勝つのは白組ですからね!」
パープルドラゴン
「拙者も緑組の優勝がかかっているでござる。手加減は無用でござるよ」
さぁ、勝負の行方はどうなる?!
あれ、話がうまく繋がってるかしら?
続きはお願いしま~す(*≧∀≦*)
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12/20(Fri) 10:13
喉が痛いです(;>_<;)
ジュン
バトンは青、緑、保護者チーム、赤、白の順で引き継がれた。
まず抜いたのは白の如月。
さすがの俊足でどんどんと前を走るとも父の背中を捉える。
それと同時に今度はアンドロメダが青組の走者を抜き一位に躍り出た。
緑のアンドロメダが一位でバトンを繋ぎ、続いて青組、とも父と如月は並ぶようにバトンを繋ぎ、最後は赤組がバトンを繋いだ。
各色最終走者が走り出した。
少しだけ書かせてもらいました(((^^;)
どの色も差は僅かです。結果がどうなるか楽しみにしています←
12/20(Fri) 11:35
ジュンさんに風邪を移しちゃったかしらm(__)m
小春
☆色別対抗リレー~最終走者~☆
緑組、青組、白組、保護者、赤組の順で、アンカーに渡ったバトン。
白の藤守はバトンを持つが早いか、みるみるうちに青組に迫り、追い抜いた。
応援の歓声が一気に高まる。
だが、前を走る緑組の背中が遠い。
アンドロメダからタスキを受けたパープルドラゴンは、自ら「手加減御無用」と言うだけの事はある。
なんと、僅差だった間隔が、詰まるどころか開いてゆくのだ。
パープルドラゴンの走り方は、さっきまでとは違う。
あれが「忍者走法」だろうか。
藤守は戦慄した。
それは、鳥山から伝授された、陸上の常識を根底から覆す衝撃だった。
……なんであんなに速いねん?!
だが、藤守はさらに驚愕することになる。
山田
「藤守くーん」
……今の声、こっ、校長?!
背後にいるのは青組の走者のはずだ。
まさか、もう追い付いて来たのか?!
だが、最終コーナーを廻って、残りは直線。
藤守は目を閉じ、歯を食い縛った。
藤守
「くっそおおっ!」
とにかくがむしゃらに走る。
もうそれしかないのだ。
だが、駆け寄ってきた係員に止められた時、藤守の前にゴールテープは無かった。
肩を落として落胆する仲間の顔と、笑顔の輪の中にいるパープルドラゴンの後ろ姿が見えて……やがて滲んで見えなくなった。
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12/20(Fri) 13:02
次は閉会式?
ジュン
赤くなった目を見られないように、情けない顔を見られないように、藤守は地面に座って下を向いた。
そんな藤守に誰も声をかけられない。
MVPのためにも一位を目指していた藤守が落ち込んでいるだろうと考えるとかける言葉が見つからない。
そんな雰囲気の中、ジュンが足を引き摺りながら、藤守に近づいた。
ジュン
「賢史くん、お疲れ様。」
そう言ってジュンは藤守の頭からタオルをかける。
今、顔を見られたくないだろうとタオルを持ってきたのだ。
藤守
「…………」
ジュン
「格好良かったよ。」
藤守
「……ごめんな、絶対勝つって言うたのに……」
涙が滲んで目が痛い。藤守はタオルで顔を覆った。
私の風邪は小春さんからでしたか。皆にうつさないように気を付けなくっちゃ!
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12/20(Fri) 14:08
☆みんなお疲れ様☆
小春
~閉会式~
いつの間にか日が傾いてきている。
最終リレーの余韻も冷めやらぬ中、保護者たちはトラックの外に定められた応援席へ、生徒たちはフィールドの中にクラスごと、色別に分かれて整列する。
本部席の横にある各組の得点板は午後から幕で隠されていたので、誰も総合得点を知らない。
紅花
『では、体育祭実行委員長の水原和音さんから、結果発表をお願いします』
紅花の声が読み上げる式次第に従って、和音が壇上で一礼し、マイクの前に立つ。
和音
『では、発表いたします。今年の体育祭、総合優勝は……』
全員が息を詰め、耳を澄ます。
和音が、封筒に入っていたメモを開いた。
和音
『総合優勝は、白組』
一瞬、時間が止まったような静寂の後、白組の生徒たちが、爆発したような歓声を上げた。
和音
『準優勝は緑、三位に赤組、四位、青組……。MVPは、白組、藤守賢史くんです』
喧騒の中で呼ばれた自分の名前に、藤守は目を見開いた。
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12/20(Fri) 17:33
体育祭、終了~
とも
名前が呼ばれた事に驚いている藤守は、周りから次々に肩や背中を叩かれ、ようやく自分がMVPを取れたのだと実感できた。
とも
「藤守先輩、おめでとうございます!」
如月
「やりましたね、会長!」
生徒会のともと如月も、藤守の肩をバシバシ叩く。
藤守
「イテッ、お前ら、仮にも俺の方が先輩やねんぞ~。どさくさに紛れて叩くなや!」
如月
「あれ、気づいてました?オレもMVP狙ってたのに、会長に持っていかれたから憂さ晴らししてたのに」
藤守
「う、憂さ晴らし?」
とも
「私かて、今日はめちゃくちゃ頑張って白組の優勝に貢献したのにぃ~」
藤守
「そ、そうやな、とももよう頑張った!」
もみくちゃにされていると、壇上から和音が苦笑しながら藤守に声をかけた。
和音
『藤守くん、優勝旗とMVPのメダルを渡したいんだけど、早く上がってきてくれるかしら?』
藤守
「…あっ、スマン」
ジュン
「賢史くん、おめでとう」
顔を真っ赤にしながら移動する藤守に、ジュンも横を通った際に、小さく声をかけた。
白組を代表して藤守が優勝旗と、自身のMVPのメダルを山田校長から受け取ると、会場から大きな拍手が起こった。
紅花
『…以上で本日のプログラムは全て終了です。最後に閉会宣言を実行委員長、お願いします』
和音
『今年は大きなトラブルもなく、例年以上に盛り上がった体育祭になりました。3年生はこれが最後の体育祭でしたが、とてもいい思い出になったと思います。ありがとうございました。これで桜祭・体育祭を閉会します』
言い終えて一歩下がり、一礼した和音に生徒や教師、保護者たちから歓声と拍手が送られ、体育祭は終わったのだった。
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12/20(Fri) 18:53
☆体育祭終了☆
小春
空間が目を覚ました時、ベッドの傍らの椅子には小野瀬がいた。
空間
「!」
小野瀬
「おっと、そのままそのまま」
跳ね起きそうになった空間を制して、小野瀬は微笑んだ。
あまり近付いてまた気絶されてしまうと困るので、静かに立ち上がって距離をおく。
小野瀬
「気付いてくれて良かった。……体育祭は終わったよ。最後の体育祭だったのに、怪我をさせたり、棄権させてしまってごめんね」
空間は顔を真っ赤にして、ぶんぶんと首を横に振った。
空間
「小野瀬せんっ……生のせいじゃありません。ですとも。わっ、私が、勝手に取り乱してしまったからど……からですから」
小野瀬
「そう言ってもらえてホッとした」
小野瀬は心底ホッとしたように笑って、腕時計を見た。
小野瀬
「……ごめんね、もう行かないと。教師としては、これから、まだ、後始末が山のようにあるんだ」
空間
「はっ、はいぃっ、もちろんです。
空間の声が裏返る。
空間
「どうぞ、いっ行ってください!私ももう教室に戻りますですから!ご心配おかけしてもっ、本当に、申し訳ありませんでした!」
小野瀬
「送っていかなくて大丈夫?」
空間
「おくっ、てってっ……めめめ、滅相もない!」
小野瀬
「そう?……じゃあ、ここで。気を付けて教室に戻ってね?」
扉に手をかけた小野瀬の耳に、掠れたような空間の声が聴こえた。
空間
「……私より、小春さんが傷付いてますわ」
小野瀬は振り返らなかった。
空間
「……小野瀬先生も」
振り返らないまま、小野瀬は呟きを返した。
小野瀬
「……きみは本当に、俺の事をよく見てるんだね」
空間の顔が青ざめる。
空間
「す、すみません!出過ぎた事を、私……」
小野瀬
「いいんだ。きみの言う通りだよ」
小野瀬は扉を開けた。
小野瀬
「俺はもっと素直に、正直にならないといけないね。きみや、小春さんのように」
扉が閉まり、足音が遠ざかってゆく。
空間もまた、小野瀬の最後の言葉を噛み締めていた。
12/21(Sat) 05:02
☆体育祭終了後☆
小春
応援席に並べてあった自分たちの椅子と荷物を教室に持ち帰り、その後、クラス単位のロングホームルームが終わると、一般の生徒たちは解散となる。
廊下に出た穂積の周りには、人だかりが出来ていた。
男子生徒
「先生、打ち上げやりましょうよ、打ち上げ!」
女子生徒
「カラオケでもバーベキューでもいいですよ!」
穂積は苦笑い。
穂積
「そうね。クラスでの打ち上げは、また、後日あらためて、ね」
男子生徒
「えー」
穂積
「ワタシたち教師はこれから、生徒会や実行委員と一緒に、テントを片付けたり、ミス&ミスター桜祭の投票箱を回収したり、まだまだ仕事があるの」
生徒たちは顔を見合わせた。
女子生徒
「そっかあ、明日は後夜祭だもんね」
男子生徒
「次の土曜にでもするか」
渋々ながら頷く生徒たち。
穂積
「今日はそれぞれ、ご家族や、仲良しの子たちとでもおやりなさい。明日の片付けに差し障りがない程度にね」
はーい、とか、うわ明日めんどくせえ、などと言いながらも納得した生徒たちと別れて、穂積は一旦職員室に向かう。
集まった教職員は山田から労いの言葉や諸注意を受けた後、再びそれぞれの受け持ちに散ってゆく。
穂積は小野瀬や明智とともに、生徒会役員たちが集まっているはずの中庭に向かうのだった。
如月
「あーあ、体育祭MVP逃したら、後夜祭のダンスが遠のいた気がするなあ」
翼
「でもまだミスター桜祭がありますよ、如月先輩」
小笠原
「うちの学校で人気投票やると、上位はほとんど先生たちが占めちゃうんだよ」
とも
「そうなんですか?確かに格好いい先生ばっかりやけど」
藤守
「穂積先生、小野瀬先生、明智先生は堅いやろ。校長に、トリンもおるしな。5位入賞は難しいで。俺が必死でMVP狙ったのは、そのせいなんやで」
とも
「ミス桜祭の方はどうなんやろ。やっぱり、女神やるようなキレイな先輩たちが選ばれるんやろか」
和音
「ミスコン自体が初めての試みだから分からないけど、前日の準備中から投票は始まってたし、文化祭、体育祭で注目した人への投票だから、あまり学年は関係ないかもね」
翼
「ともちゃんは大活躍だったから、1年生だけど、もしかして入賞するかもしれないよ。ねっ、小春ちゃん」
小春
「うん」
そんな話をしている傍らを、先に下校する生徒たちや、その家族たちが通ってゆく。
小春
「あっ、ジュン先輩!怪我は大丈夫ですか?」
少しだけ足を引きずりながら現れたジュンとジュン母、空の元に小春が駆け寄る。
ジュン
「ありがと小春ちゃん。篠崎先生に診てもらったから大丈夫」
藤守
「無理すんなや。てか俺がおぶってったるから待ってろ言うたやろ?」
ここで切ってみる(笑)
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12/21(Sat) 06:12
藤守とジュン
ジュン
藤守の言葉にジュンは真っ赤になって首を振る。
ジュン
「いいから!子供じゃないんだし、恥ずかしいし、自分で歩けるし!」
藤守
「遠慮なんかせんでええんやで?」
それは遠慮ではなく本当に恥ずかしいんだよ!と、そこにいる全員が心の中でツッコミを入れた。
ジュン母
「もうラブラブやねぇ。なんやったらうちらは先に帰るけど?」
ジュン母が藤守とジュンをからかうように茶々をいれる。
藤守
「ラブラブって///」
ジュン
「お母さん!賢史くんは生徒会の仕事で忙しいんだから!」
お互いに頬を赤く染める藤守とジュンを少し離れた場所で見守るメンバー。
如月
「なんか、本当にラブラブだね?」
小笠原
「昨日とはずいぶん違うね。」
とも
「でも良かったですよね。」
翼
「本当だね。幸せそう。」
小春
「ジュン先輩も怪我が酷くなくてよかったね。明日は踊れるといいね。」
ということで、調子にのってラブラブしてしまいましたm(__)m
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12/21(Sat) 21:16
☆体育祭終了後☆
小春
ジュンと藤守が、まだ、おぶうのおぶわないの言い合いをしている中庭に、穂積ら三人の教師が現れた。
穂積
「全員集まっているわね。じゃあ、もうひと頑張りよ。細かいものは明日の午前中に全校生徒で片付けるから、夜、残しておくと心配なものだけ始末しちゃいましょう」
全員
「はい!」
穂積
「和音、今日は大役お疲れ様。アンタは実行委員たちを率いて、得点板やテント、本部席を片付けてもらえるかしら」
和音
「はい」
穂積
「ロバートやポールも、理事長に着物を返したら手伝いに来るはずだから。力仕事はそれからでもいいわよ」
和音
「はい」
和音はくすくす笑って頷き、実行委員たちの集まっている場所に走って行った。
穂積
「藤守、生徒会の全員は、構内に設置されているミスコンの投票箱を回収して、生徒会室に運んでちょうだい」
藤守
「はい。そしたら、俺と、小笠原、如月は、体育館と、建物の外を担当しようか」
如月
「了解です」
小笠原
「……」
小笠原は黙って頷く。
藤守
「ともと小春、櫻井は、校内の投票箱を回収してくれるか。とも、台車を使たらええよ」
とも
「はい」
小野瀬
「じゃあ、俺が女の子たちと一緒に廻って手伝うよ」
明智
「藤守、ジュンさんたちは、俺が車で家までお送りするから心配しなくていい。それで、帰りに何か皆の腹の足しになるようなものを買って来る」
ジュン
「名案です!明智先生、ありがとうございます!」
まさに天の助け。
このままだと本当に藤守におぶわれて帰る羽目になりそうだと思ったジュンは、一も二もなく明智の提案に賛成した。
藤守
「そうやなあ……ジュンのお母んも、空も疲れたみたいやし……そしたら明智先生、お願いします」
明智
「分かった」
如月
「明智先生なら安心ですよ、会長!」
小野瀬
「如月くん、なぜ俺を見るのかな?」
一同が笑う。
藤守
「明智先生、俺たこ焼き!」
如月
「焼きそば!」
小笠原
「プレーンヨーグルト」
穂積
「●スバーガーとオニポテとドリンクMのセット30人分、あとナゲット5個入りも人数分」
明智
「穂積先生、それ、ギャグじゃないんですよね……」
明智がジュンとジュン母、空を伴って駐車場に向かうのを見送りながら、小野瀬はちらりと小春を見た。
小春はちょうど翼に話しかけられたところで、何が可笑しかったのか、ちょっと笑った。
良かった笑っている。
たったそれだけで安堵する小野瀬を、穂積は見るともなく見ていた。
穂積
「さあ、明智先生の差し入れが届くまでに終わらせるわよ!」
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12/22(Sun) 08:27
☆体育祭終了後☆
小春
如月
「会長は、後夜祭のダンスでは当然、ジュンちゃんを誘うんでしょ?」
投票箱を柱に留めてある針金をペンチで切りながら、如月が呑気な声で訊く。
すぐ横で箱を支えている藤守は、問われて顔を赤くした。
もう、白組どころか学校じゅうに二人の関係はバレバレなのだが、藤守自身はまだそれに慣れない。
藤守
「でかい声で言うなや。……そら、ジュンと踊るつもりでおるよ」
如月
「そっかあ」
藤守
「何でそんな事訊くねん」
箱を外し終え、台車に乗せながら今度は藤守が訊いた。
如月
「俺、さっき、陸上部のマネージャーさんが、他の女子と話してるのを聞いたんですよ。『藤守くんは私と踊りたいって言ってた』って」
ペンチを手に、如月が先に立って、次の投票箱に向かって歩き出す。
藤守
「え?!」
如月の話の続きを聞こうと、早足で追う藤守。
二人の後ろを、台車を押す小笠原がマイペースでついていく。
藤守
「何でそんな話になってんねん……」
とは言いながら、藤守にも心当たりはある。
ジュンへの想いに気付く前、とにかくMVPに選ばれるのが先だと、辺り構わず自分に投票してくれるよう頼んだ。
その中で、もし選ばれたら一緒に踊ってくれるかと、冗談混じりに、知り合いの女子何人かに声を掛けた。
まさか、そのツケを払う時がやってくるとは。
如月
「前々から誘ってた方を優先するのが本当なんでしょうけど。自分の気持ちで決めていいんじゃないですかあ?」
適当に答えているようで、如月の言う事は深い。
如月
「それでも、会長は指名権があるだけいいですよ。俺なんか、MVPは獲れなかったし、ミスターで5位までに入賞するなんて無理だし。あ~あ」
MVPにもし選ばれていれば、如月がともを誘うつもりだった事もまた、誰もが知るところで。
如月
「やっぱ自力で、パートナーになってくれるよう頼むしかないのかなあ。超恥ずかしいんだけど」
藤守も如月も、去年の後夜祭を覚えている。
誘う相手もいないまま、壁の近くに男ばかりで集まり、誘ってくれる相手も来ないまま、静かに体育館の明かりは消えた。
藤守
「あれは辛かった」
如月
「俺は帰ってから泣きました」
藤守
「……小笠原は?お前、もしミスターに選ばれたら、誰を誘うねん?」
小笠原
「……」
藤守、如月
「あれ?」
確か、以前どこかで同じような質問をした時、小笠原は即座に 「何その無駄な質問」と、ばっさり却下したはずだったが。
小笠原
「行くよ」
藤守と如月は顔を見合わせ、それから、小笠原に飛びかかった。
如月
「小笠原さん、いつの間に!」
藤守
「誰や?白状せえ!」
小笠原
「やめろ!暴力反対!」
[削除]
12/22(Sun) 10:52
☆体育祭終了後☆
小春
とも
「そしたら小野瀬先生、すみませんけど台車お願いします」
小野瀬
「了解。お姫様たちのお伴をさせていただきますよ」
翼
「小野瀬先生ったら」
校内の投票箱を回収するため、和気あいあいと出発しかけていた生徒会女子と小野瀬のチームの後を、穂積が追い掛けてきた。
穂積
「小春ー」
小春
「はーい」
振り返った小春に追い付いて、穂積が大きな手をその頭に載せる。
穂積
「とも、悪いけど、そっちは三人いればいいわよね?」
とも
「?……はい、たぶん」
ともは、翼と小野瀬に目で尋ねる。二人も頷いた。
穂積
「それなら、小春を借りてくわ。小春、明智が帰ってきたら、残ってる教師と生徒に軽食を配りたいの。職員室にお茶を用意してくれる?」
穂積の説明に納得したらしく、小春は穂積の手を頭に乗せたまま、こくりと頷いた。
小春
「はい」
穂積
「ありがとう助かるわ。篠崎は来賓を駅まで送って行ったし、理事長にお茶を入れさせるわけにはいかないしね。じゃあ、宿直室に行きましょうか」
小春
「はい」
小春の髪をくしゃくしゃと撫でてから手を離し、先に立って歩き出した穂積の後を、小春が小走りでついていく。
それを見送ってから、小野瀬は翼とともを振り返った。
小野瀬
「さ、俺たちも行こうか」
12/23(Mon) 05:50
☆体育祭終了後~穂積と小春~☆
小春
宿直室は校舎の外れにあり、日も暮れ、ほとんどの生徒も帰宅したこの時間には他に人影も無い。
だが、誰でもいつでも利用出来る給湯設備があるのはここだけだ。
小春は穂積の後ろにほとんど張り付くようにして、暗い廊下を宿直室へ向かっていた。
穂積
「なあに、アンタ怖いの?」
青ざめた真顔で、小春がこくこく頷く。
そういえばこの子、櫻井と同じくらい怖がりだったっけ。
穂積
「手を繋いであげる」
浅く振り返りながら後ろに向かって右手を出すと、すごい速さで小春の左手が穂積の指先を握ってきた。
緊張して冷たくなった手は小さくて、きゅうっと握り締めてくるその感覚に、穂積はふと、子供の頃の弟の手を思い出す。
……小春はいくつだっけ。
……十六?いやまだ十五?
見下ろしてやれば、さっきまで強張っていた表情を僅かに緩めて、でも、今この世界に穂積しか頼るものがいない、そんな顔で見上げてくる。
明智や小野瀬が、この少女を構わずにいられない、その気持ちが、穂積にも分かる気がした。
それは恋愛感情ではない、もしも父性本能という言葉があるなら、きっと、それに近い感情。
穂積
「……小野瀬が心配してたわ」
自然に言葉が出た。
小春は幼いが、それだけに、人の心の機微には敏感だ。
穂積がひとこと言っただけで、小春には、穂積が何故自分をひとり呼び出したのか、その理由まで分かったようだった。
小春
「私、大丈夫です」
そして、穂積にも分かった事がある。
小春が人一倍、「平気」とか「大丈夫」とか口にするのは、相手を心配させない為にだと。
そして同時に、口にする事で、自分自身にそう言い聞かせているのではないのかと。
それがまた、さっきの父性本能を刺激する。
穂積
「アンタを苛めた相手を、直接注意する事も出来るけど」
そんな事は望まないわよね、きっと。
そう言い足すと、小春は頷いた。
小春
「大丈夫です」
宿直室に着き、明かりを点けると、小春は、「でも、ありがとうございます」と言って穂積から手を離し、お辞儀をすると、早速お湯を沸かす準備を始めた。
ヤカンやポットの場所も、教えなくてもすぐに見つける。
家事の苦手な穂積には分からないが、こういうものには配置の法則があるのだろうか。
我ながら役に立たないので、穂積は畳の床に宿直の布団を広げて、ごろりと寝転がる。
やがて、ヤカンを火にかけた小春が戻ってきて、穂積の傍らにちょこんと正座した。
穂積
「明日、小春は誰と踊りたい?」
そもそもダンスに興味があるだろうか。
そんな事も思いながら聞いてみると、意外にも、小春は頬を染めた。
小春
「穂積先生」
穂積
「うん?」
呼び掛けられたとばかり思って返事をした穂積は、一拍おいて、自分の失敗に気付いた。
穂積
「あっ、ごめん!ワタシと踊りたい、って事ね?」
小春は真っ赤になって、ぷいと横を向く。
穂積は身体を起こして、頭をがりがりと掻いた。
どうやって小春の機嫌を直そうかと考えていると。
小春
「お兄ちゃんとも、小野瀬先生とも、アンドロメダさんともパープルドラゴンさんとも、細野先輩や太田先輩や翼ちゃんとも、ともちゃんとも紅花ちゃんとも篠崎先生とも踊りたい」
実際のダンスパーティーは結構みんな本気で相手を探していて、恋愛モードでロマンチックで、小春の想像しているのとはたぶん違う。
けれど穂積は、それを訂正する気にはならなかった。
穂積
「覚えておくわ。時間があったら踊りましょうね」
おそらく小春にとっては、そんな口約束をしてやるだけでじゅうぶん幸せなのだ。
それを裏付けするように、小春がにっこり笑った。
小春
「もしも時間が余ったら、でいいです」
一番人気の穂積に、余る時間があるはずがない。
分かっていて笑う小春を見つめて、穂積は目を細めた。
お湯が沸いた、と2本のポットを満たして並べた小春に、穂積は立ち上がりながら、確認のつもりでもう一度、訊いた。
穂積
「……苛められた事……、小春は大丈夫、って、小野瀬に言っていいかしら?」
小春は微笑んで頷いた。
それから、ちょっともじもじした後、穂積の手を握った。
小春
「先生」
何か言いたい事があるのか、穂積の襟を引くようにして背伸びをし、耳元に口を寄せる。
穂積
「……ん?」
穂積が身を屈めた、次の瞬間。
ふ、と身体が浮き上がったかと思うと、穂積の長身はいきなり回転し、宿直室の布団の上に仰向けにひっくり返っていた。
穂積が小春に投げ飛ばされたのだと気付くまで、そして痛みが襲って来るまで、たっぷり一分間を要した。
驚きのあまり声が出ない。
呆然と倒れている穂積の顔の近くに小春がしゃがんで、穂積の耳に内緒話を吹き込む。
小春
「私、自分の身を守れるぐらいには強いです。だから、心配しないで、って伝えて下さい」
穂積が頷くと、小春は赤い顔をして、さらに声をひそめた。
小春
「……先生を投げた事、誰にも言わないで下さいね」
ああ、そうか。
……明智の妹だったっけ。
今頃思い当たって、穂積は笑いが込み上げてきた。
学園一のちびっこが、穂積を難なく投げ飛ばしたなんて。
誰かに言おうにも、誰も信じないだろうけど。
穂積は声を立てて笑いながら、返事の代わりに、小春の髪をくしゃくしゃと撫でた。