『アブナイ☆恋の学園物語』
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12/10(Tue) 18:03
☆騎馬戦☆
小春
騎馬戦。
騎馬と言っても馬ではない。
4人一組で、1人が騎手、3人が騎馬役だ。
騎馬役の1人を先頭とし、後の2人はちょうど三角形になるように、それぞれ先頭の斜め後ろに立つ。
横に並んだ後ろの2人は、内側の手を先頭の肩にかける。そして外側の手を、先頭の人の手としっかり握り合う。
騎手は、騎馬役がしっかり握り合ったその手を馬具の鐙(あぶみ)にして足を乗せ、後方の2人が先頭の肩に置いた手を鞍(くら)に見立てて、騎乗するのだ。
以上、当サイト『ある日の捜査室』→「秋の警視庁大運動会」より抜粋(笑)。
紅花
『まずは、ルールの説明です』
東西南北に分かれ、体育座りをしている各色の男子。
その集団の中から、東西1騎ずつの騎馬が立ち上がった。
東の馬の先頭は穂積。右後ろに明智、左後ろにアニ。騎乗しているのは小野瀬だ。
学園が誇る美形揃い、しかも全員が部活のユニフォームというレアな仕様の馬に、黄色い声援が巻き起こる。
もう一方、西の馬が立ち上がると、会場がその異様さに度肝を抜かれた。
こちらの馬の先頭は鳥山。右後ろにロバート、左後ろにポール。騎乗しているのは山田。
謎多き黒髪の美青年しかも校長を乗せるのは、全員が2mを超す長身の騎馬。
そのうえ後ろの二人は振り袖に熊耳の外国人だ。
色々な意味で怖い。
会場に広がるどよめきを、紅花のアナウンスが遮った。
紅花
『騎馬戦は各組対抗です。騎手は自分の組の色の帽子を被ります』
紅花のアナウンスに合わせて、小野瀬が赤帽、山田が白帽を被ってみせる。
紅花
『騎手と馬は息を合わせて移動し、自分とは違う色の帽子を取りに行きます。
帽子を取られた騎馬は失格。
残った騎馬が一色になった時点で終了となります。
その後、組ごとに、集めた帽子の数を集計して順位を決定します。
同点の場合は決勝戦を行います。
いかにたくさん他の組の帽子を奪えるかが勝負です。
では、先生方、デモンストレーションをお願いします!』
紅花のアナウンスに合わせて、2騎の騎馬が動き出した。
小野瀬
「やっぱり、近付いてみると大きいねえ」
アニ
「だが、こちらの方が機敏に動けるはずだ。モビルスーツで例えれば、すなわち……」
明智
「モビルスーツに例えられても分かりません」
穂積
「1対1だ。正面突破しかねえだろ」
山田
「絶景かな絶景かな」
鳥山
「校長、作戦はどうしますか?」
ロバート
『私はトリンにどこまでも付いて行くわ♪』
ポール
『ワ、タ、シ、も♪』
パァン、とピストルの音。
同時に、2騎の騎馬が勢いよく接近して行った。
[削除]
12/10(Tue) 20:10
トリン、恐るべし!
ジュン
さりげなくロバートとポールがトリンファンに(;>_<;)
アニの立場がアブナイ☆←?
小春さんの運動会と清香さんの夜の運動会にいってきまーす(*≧∀≦*)
12/11(Wed) 03:12
おいおい。
清香
ジュンさん、その運動会はアカンがな(笑)
☆騎馬戦・デモンストレーション☆
4組一斉に戦うのであれば挟み打ちや背後から攻める手立てもあるが、一対一となれば素直に正面から戦うしかない。
そうなればどうしても大きい騎馬の方が有利だ。
高い位置から相手の帽子を奪ってしまえば勝てるのだから。
穂積
「無駄にデカいよな、アイツら。」
小野瀬
「俺達も大きい方なんだけどね。」
明智
「二度も鳥山先生に負けたくありません。」
アニ
「ならば手薄な横から攻めるしかないだろう。」
穂積
「横かー。あんまり気乗りしないんだけどな……。」
じりじりと間合いを計りながら少しずつ距離を縮め、隙を見つけようとするのはどちらも同じなのだが。
山田
「おや、あちらはサイドからカウンター攻撃を仕掛けてくるようだ。まさに日本的な攻撃の布陣ですね。ザックジャパンをお手本にしているのでしょうか。」
鳥山
「返り討ちにしてやりましょう。校長先生、よろしくお願いいたします。」
山田
「ふふっ、バロンドールがいただけるようがんばりますね。」
しかし全て鳥山任せにしている白組に対して、赤組はそれぞれ何か企んでいるようだ。
タイミングを合わせ一気に右後ろにいるロバート側から近づくと、先頭の馬となった穂積の肩に手をかけて小野瀬が騎馬の上で思い切り上体と腕を伸ばす。
騎馬がひとまわり小さいせいもあるが、小野瀬が目一杯腕を伸ばしても山田の帽子を掴むことはできない。
帽子を片手で押さえながら山田が軽やかな笑みを浮かべた。
山田
「おっとぉ、そうはいきませんよ。僕もMVPを狙っているんですから。」
小野瀬
「おや、生徒が主役の行事で校長先生が悪目立ちするのは教育上よろしくないのでは?」
帽子を押さえていないの方の手を掴んで引き寄せると、山田もその細身の身体からは想像がつかないくらいの力強さで抵抗を始める。
山田
「そう仰る小野瀬先生も、なにやら一人の女子生徒にやけに目をかけていらっしゃるのでは?」
小野瀬
「何の事か分かりかねますね。私はいつも皆を同じように気にかけていますよ?」
山田
「おや、そうですか?僕の目に狂いは無いと思っていたんですがね。」
小野瀬
「明日にでも眼科を受診された方が宜しいかと。」
両手をガッチリと掴みあったまま笑顔で会話をする二人に対して、下の騎馬の面々も『口』撃を始める。
穂積
『ロバート、似合ってるな。その振袖。』
ロバート
『本当?理事長が着せてくれたんだけれど、ルイはこういうのが好きなの?』
穂積
『あぁ。やっぱり着物はそそられる。乱れた足下とかたまんねぇな。』
ロバート
『いやぁん、そんな目で見ないでぇん☆』
真っ赤になった顔を隠すように俯き、もじもじと足を擦り寄せたロバートの動きにつられ、上に乗った山田の身体がバランスを崩しぐらりと傾いてしまう。
山田
「おっと!」
鳥山
「校長、踏ん張って下さい!!ロバート、気をしっかり持て!どうした!!」
穂積の英語を聞きとることが出来なかったのか、ロバートが照れている理由が分からない鳥山は体勢を立て直そうと繋いだ手に力を込めた。
ロバート
『いやん、トリン!私を奪いあわないで!私は二人のモノよ!』
ポール
『そんな訳無いでしょう!都合のいい事ばかり言ってんじゃないわよ!』
反対側、左の騎馬を受け持つポールが噛みつくように口をはさむと、アニがわざとらしく大きな声を上げる。
アニ
『なんだ、やはりロバートもポールも穂積や鳥山がいいのか。残念だな。』
ロバート
『あぁん、ケイジ!イヤよ、そんなこと言わないで!!』
何とも棒読みなセリフではあるが、舞い上がったロバートの耳には自分を奪いあう新たな男の嘆きにしか聞こえていない。
明智
「藤守先生、演技が下手ですよ。」
アニ
「うっさい!お前には言われたないわ!」
小声でダメ出しをする明智にアニが反論をすると、やっと事態が飲み込めた鳥山が苦々しい表情を浮かべる。
鳥山
「お前達、スポーツマンシップに反しているぞ!清く正しく美しくだろうが!」
穂積
「勝つことに意義があるんだ。勝利を手に入れるにはあらゆる手段を尽くす。それもスポーツだよ!」
ニヤリと笑って「行くぞ!」と言った穂積の声に合わせ、明智とアニが一歩後ろに下がった。
手を組みあっていた山田だけが小野瀬に引っ張られる様に騎馬の上からその上体をはみ出させる。
鳥山
「校長、危ない!!」
ロバート・ポール
『きゃあぁ!』
山田
「…っと、危なッ!」
さすがの山田も2メートル超えの人々が組んだ騎馬から落ちるのは嫌なのだろう。
離した手でどうにか鳥山の肩を掴もうと手を伸ばす。
小野瀬
「失礼しますよ、校長。」
その隙に山田の被っていた帽子を小野瀬が指にひっかけて取りあげると、パンパンっとピストルの音が2度響き渡った。
そして生徒たちの歓声が校庭を包む。
鳥山
「…大丈夫ですか、校長先生。」
足をもつれさせて崩れたロバートとポールの手を離し、ほぼ無意識で山田に手を伸ばした鳥山は結局おんぶをするような形になってしまったが山田を地面に落とさずに済んだ。
山田
「ありがとうございます、鳥山先生。」
大きな身体でしゃがみ、山田を背中から下ろすと鳥山はそのまま頭を下げる。
鳥山
「いえ、勝てずに申し訳ありませんでした。」
山田
「やはり個の能力だけではなく戦略が大事と言う事ですから、仕方がありません。次に生かしましょう、ね?」
鳥山
「はい。今回は完敗だな、穂積。」
握手を求めてきた鳥山の手を穂積が握ると、鳥山は少しだけ嬉しそうに頬を緩めて本部席へと戻っていった。
穂積
「…ホント、真面目なのな。」
小野瀬
「良い事でしょ、それは。」
明智
「まぁ、今回は若干卑怯かと思いますが。」
穂積
「戦略だよ、戦略。」
小野瀬
「そうそう、勝たなきゃね。」
明智
「まぁ、確かにそうなんですけど。」
鳥山の後を追うように本部席へと戻る三人の後ろでは。
ロバート
『ケイジ、やっぱり私にはあなただけなの!』
ポール
『何よ、ロバートはトリンの所へ行けばいいじゃない!』
アニ
「やっぱり…こうだよな………。」
両腕をロバートとポールに掴まれ、身動きとれずに担がれるアニの姿が皆の涙を誘っていた。
[削除]
12/11(Wed) 08:14
ジュンさん、清香さん(´∇`)ノシ
小春
おはようございます。
あの運動会からもう1年経つんですね(しみじみ)。
後で私も読み返しに行こうっと。
もちろん夜の方もね( ̄ー ̄)
清香さんの騎馬戦デモストは素晴らしかったですねー。
私は正面から正々堂々と穂積先生にトリンの耳に熱い吐息をフッと吹き込んで頂こうかと思ってましたよ。
さて今度は男子全員参加の騎馬戦です。
…………女子も出ちゃう?
[削除]
12/11(Wed) 08:27
おはようございます(^-^)ノシ
とも
私も小春さんと清香さんの運動会、読んできましたよ~。
勝つための『口撃 』にウケました(*^▽^)
次の騎馬戦も楽しみですね~♪ヽ(´▽`)/
[削除]
12/11(Wed) 17:02
☆騎馬戦☆
小春
本部席に帰ってきた教師たちを、生徒会役員のともと翼、小春が笑顔で迎えて労う。
ともと小春はまだユニフォームのままだ。
小春
「校長先生、鳥山先生、お疲れ様でした。麦茶いかがですか?」
山田
「ありがとう、頂こうかな」
鳥山
「すまないな」
とも
『ロバート先生、ポール先生、残念でしたね!』
ロバート
『でも、イケメンに囲まれて幸せだったわ!』
ポール
『ロバートったら!でも、本当に楽しかったわ!』
翼
「穂積先生、藤守先生もお疲れ様でした」
穂積
「ああ、ありがとう」
藤守
「……何か、どっと疲れた」
小春
「小野瀬先生、どうぞ、おしぼり使って下さい。お兄ちゃんも、はい」
明智
「ありがとう。デモンストレーションはどうだった、小春?」
小春
「あっという間だったけど、面白かったよ。お兄ちゃんも小野瀬先生も、格好よかったです」
小野瀬
「きみにそう言ってもらえると嬉しいな」
山田
「……本当に嬉しそうな顔をして」
麦茶のコップを手に、篠崎の元に来た山田が、同意を求めるように囁いて笑った。
山田
「ねえ?」
篠崎も、小野瀬を見て微笑んでいる。
篠崎
「嬉しいんですよ、小野瀬先生は」
山田
「ふうん?」
篠崎
「小野瀬先生は、純粋に、求められたいんです。小春さんに限らず、誰かを愛したいと、愛されたいと、いつも思っている人なんですよ」
山田と篠崎の視線の先で、明智が小春のカチューシャを直し、それをまた小野瀬が直し、睨み合う二人の間で小春が笑っている。
篠崎
「本人は否定するかも知れませんけどね」
山田
「……つまり、小春さんを独占したいとか、恋人にしたいとは思っていないという事?」
篠崎
「そうですね、今のところは。小春さんの方からそういう関係を望まれれば、別でしょうけど」
山田はじっと小春を見つめた。
山田
「僕の見たところ、小春さんが小野瀬先生を見る目は、お兄さんである明智先生を見る目と、あまり違わないように思いますが」
篠崎
「私にもそう見えますよ。逆もまた然り、ですけどね」
篠崎は、小春が部活対抗リレーで走った時、明智と小野瀬が同じような表情で見守っていたのを思い出していた。
山田
「つまり、小野瀬先生と小春さんの関係が進展するかどうかは、小春さんの成長しだい、という事ですね」
篠崎
「そういう事です」
山田
「僕としては、ずーっと、兄と妹のままでいて欲しいような気もします」
山田は笑いながら、篠崎から離れて行った。
山田の脳裏には、かつて交際した頃の、小春の姉たちの思い出がよぎったのかもしれない。
篠崎は、いつも、グラウンドを見渡せる場所にある木陰にいる少女を思った。
ずっと昔から、小野瀬に思いを寄せている少女。
あなたにも教えてあげたい。
あと一歩を踏み出す勇気があれば、きっと、新しい場所に行く事が出来るのだと。
ふと視線を動かした時、明智と目が合って、篠崎は顔を赤くした。
昨日まで、自分もその一歩を踏み出せなかった。
でも、今は、歩き出そうとする私に、手を差し出してくれる人が出来たのよ。
これから先、ずっと、一緒に歩いてくれる人が。
そう思いながら、篠崎は、明智に笑顔を返した。
騎馬戦はどうした(笑)
[削除]
12/11(Wed) 17:45
騎馬戦はこれからですよ~
とも
小春さんと小野瀬先生はいったいどうなってしまうのでしょう?
ワクワクしながら見守ってます(*≧∀≦*)
☆騎馬戦☆
教師たちのデモンストレーションが終わり、観客席や女子生徒たちから拍手が送られた。次は本番だ。
白組の陣地で先程のリレーからいくらか呼吸が落ち着き、他の白組の生徒たちと作戦を練っていた藤守と如月のところへ、ジュンとともがやって来た。
ジュン
「リレーが終わったばかりだけど、大丈夫?応援してるから頑張ってね」
藤守
「おぅ、まかしとき。また白組が優勝や!」
とも
「如月先輩も、頑張ってくださいね」
リレーの時のこともあってか、声をかけるともはどことなくぎこちなかった。
そんなともに気づいた如月は、その様子には触れず、いつものように返す。
如月
「ありがとー。ともちゃんが応援してくれるんだから、棒倒しの時みたいにまた頑張らないとね!」
とも
「そうですけど、如月先輩も藤守先輩も、きっと狙われてあちこちから攻撃されるやろうから、絶対無理せんといてくださいよー」
如月の気持ちが伝わったのか、ともにもいつもの笑顔が戻った。
とも
「ケガしたら、明日のダンス、一緒に踊ってもらえなくなりますからね!」
如月
「…え?!ともちゃん、今何て言ったの?!」
周りの騒がしさでうまく聞き取れなかった如月が、もう一度ともに聞こうとしたその時。
紅花
『それでは、騎馬戦、一回戦を始めます!準備してください!』
藤守
「如月、行くで!」
藤守に促され、準備に向かった如月が後ろを振り返ると、ともは手を振ってくれていた。
如月
(よーし、ともちゃんに、またエエとこ見せよっかな!)
改めて気合いを入れ直す如月だった。
☆騎馬戦~1戦目~☆
小春
桜田門学園の男子生徒は、全校の半数。
つまり、緑、白、青、赤、それぞれに1クラス15人の3学年分、45人の男子がいる。
騎馬は1騎4人だから、各組11騎の騎馬を作る事が出来る計算だ。
それだけの騎馬が一気に戦えば本物の合戦のようで壮観だが、いかにも危険なので、二度に分けての戦いになる。
1回戦では各組6騎。
2回戦は5騎になるのが理屈だが、端数の生徒も参加出来るように一部再編成されるため、2回戦でも6騎の騎馬が登場する。
そうして、2回の対戦で、相手の騎手の帽子を取った数を競うのだ。
1回戦に参加する騎馬が立ち上がると、観客からの拍手とともに、合図を前に、騎馬どうしの舌戦が始まった。
野球部キャプテン(緑)
「藤守!部活対抗での雪辱を果たすぞ!」
藤守(陸上部キャプテン、白)
「うちの馬は陸上部揃いや。速いで!」
サッカー部キャプテン(青)
「機敏さならうちも負けん!」
ラグビー部キャプテン(赤)
「力とチームワークなら、我々はどこにも負けないぞ!」
紅花
『おおっと、早くも火花が散っております。ユニフォームのままの選手も多く、それぞれが特色のある騎馬になっています。さあ、勝ち残るのはどの騎馬か?!』
パァン、と鳴ったピストルの音に呼応して、自陣を飛び出してゆく騎馬たちの、うおおっ、という声と、地響きのような足音がグラウンドに轟いた。
[削除]
12/12(Thu) 10:20
一回戦!
ジュン
パァンという音とともに藤守の騎馬は飛び出していった。
さすが陸上部の騎馬ということもあり、対面にいた緑の騎馬とあっという間に距離を縮め帽子を奪い取った。
ジュン
「賢史くん、すごい!」
とも
「速かったなぁ」
一瞬の出来事にジュンとともは素直に感心する。
その間に一歩遅れてきた他の騎馬が追い付き、全騎馬が入り乱れる状態になった。藤守の騎馬はそのほぼ中央で善戦している。
空
「けんたん、頑張れ~」
空の可愛い声援が飛んだところで藤守の騎馬は帽子を取られた。
それとほぼ同時に終了のピストルの音が響いた。
一回戦の結果は
赤組7ポイント
白組7ポイント
緑組6ポイント
青組4ポイント
という接戦となった。
藤守
「あんまり差がつかんかったなぁ。作戦練り直した方がいいかもしれんなぁ。」
如月
「次は俺が出ますからね。期待してて下さい。」
藤守
「あほっ!再編成で俺ももっかい出んねん!」
ということで、運動会のハシゴから返って参りましたo(^o^)o
2回戦では大差がつくのか!
よろしくお願いします~(*≧∀≦*)
[削除]
12/12(Thu) 12:14
☆騎馬戦~2回戦~☆
小春
ジュンさんありがとう♪
ストーリーを進展させてくれるの大歓迎です。(´∇`)ノシ
二回戦、赤組は意外と侮れない彼が出ますよ。
~赤組~
小笠原
「作戦の変更が必要だね」
赤い帽子を被った小笠原が、そう言いながら眼鏡を押し上げた。
赤組男子
「と言うと?」
小笠原
「次はおそらく、藤守会長が騎乗してくる。如月と力を合わせて、一つでも多く相手の帽子を取る作戦に出るだろう」
赤組男子
「なるほど」
小笠原
「それに対抗する為に、赤組は隊列を組み、大きくて強い騎馬であるバレー部とバスケ部の馬を中心にして、最後まで生存させるのが良策だと思う」
赤組男子
「なるほど」
[削除]
12/12(Thu) 12:56
☆騎馬戦~2回戦~☆
小春
~白組~
白組男子
「藤守、次はお前騎乗しろよ」
藤守
「え、何でや?」
白組男子
「狙ってるんですよね、MVP。目立つポジションで活躍しないと、村崎先輩や、如月先輩に取られちゃいますよ」
藤守
「お前ら……」
白組男子
「俺たちの馬に乗れ。柔道部の猛者たちだぜ。お前を担ぐくらい軽いもんだ」
藤守
「……分かった。みんな、ありがとうな!」
如月
「遠慮は無用ですよ、会長!俺だって、目立つよう頑張りますからね!」
藤守
「よっしゃ!決定戦まで持ち込ませず、この回で決めるで!」
白組
「おー!」
[削除]
12/12(Thu) 20:10
☆騎馬戦~2回戦~☆
小春
~緑組~
龍二
「緑は如月どのの馬を集中攻撃、でござるか」
緑組男子
「そうだ。如月はすばしっこいが、乗せている馬の方はそれほどでもない。馬を囲んでしまえば、小柄な如月を捕まえるのは難しくないだろう」
緑組男子
「一方で、攻めてくる藤守の馬は速過ぎる。うちの組で対抗出来るのはお前の馬と安藤の馬くらいだ」
瞬一
「では、吾が輩とパープルドラゴンは、藤守氏の馬が如月氏を助けに行けないよう、左右から食い止めればぉkなんでつね」
緑組男子
「やってくれるか」
龍二
「五稜郭に行くと思えばお安いご用でござる」
瞬一
「アテナの加護を祈るナリよ」
緑組男子
「薄○鬼か聖●士聖●かどっちかにしてくれねえかな……」
~青組~
細野、太田
「まだ、全員参加のリレーが残ってる。とにかく、怪我をしないよう気を付けよう」
青組男子
「おー!……って、もう少し何かあるだろ!」
桜木、流川
「ともちゃんにいいとこ見せるぞ!」
バスケ部の二人が拳を突き上げる。
別の数人が手を挙げた。
「ジュンちゃんにもな!」
「俺たちは櫻井さんだ!」
「紅花も可愛いだろ?」
「和音」
「空間」
「……篠崎先生」
「おお~」
明智
「お前ら真面目にやれ!」
パァン。
2回戦目の開始を告げるピストルが鳴った。
12/13(Fri) 08:45
おはようございます
とも
少しだけ繋ぎます~(^-^)
☆騎馬戦・二回戦☆
スタートのピストルの合図と共に再び各色の騎馬が飛び出した。
ただ、一回戦の時と様子が違うのは、それぞれの色によって作戦が異なるから。辺り構わず突進していく騎馬はいなかった。
赤組は背の高い騎馬を中心に周りを固めながら進んでいく。
白組は二騎ずつペアで攻めていた。
青組も同じような作戦だ。
緑組のアンドロメダとパープルドラゴンは如月の乗った騎馬をめがけて追いかけていた。
アンドロメダ
「如月くん、いくら君でも、この流星のように速い我らの動きにはついてこれまい!」
如月
「なんの!ウチの騎馬はそんなんじゃ倒せませんよ!」
パープルドラゴン
「これも緑組の勝利のため、覚悟するでござる!」
如月
「うわっ、挟まれた!」
藤守
「あっ、如月が狙われとる!オレらも加勢するで!」
赤組生徒
「そうはさせないぞ!」
青組生徒
「チャンスだ!一気に他の組も攻めるぞ!」
二回戦は大混戦となった。
[削除]
12/13(Fri) 09:00
おはようございます(´∇`)ノシ
小春
☆騎馬戦~2回戦~☆
青組の先鋒が目をつけたのは、赤組の長身騎馬に寄り添うように歩いていた、小笠原の騎乗する騎馬。
青組男子
「小笠原、覚悟!」
だが。
青組の騎馬が赤組の騎馬群に馬体を擦り寄せ、小笠原に向かって手を伸ばした途端、青の騎手は、不意に、上から現れた腕に帽子を剥ぎ取られた。
赤組男子
「獲ったぞ!」
青組男子
「しまった!」
そう、赤組の騎馬の群れのうち、周りの馬は、長身騎馬を防御するとともに、囮の役を果たしているのだ。
してやったり。
同じ手で、迫り来る他の組の騎馬からいくつもの帽子を取り上げる赤組の騎馬の姿を眺めながら、自分の帽子を押さえたまま、小笠原はにやりと笑った。
[削除]
12/13(Fri) 10:28
賢史くん、活躍する
ジュン
囲まれた如月を助けるべく藤守の騎馬はパープルドラゴンの騎馬の後ろに回り込み、素早く帽子を奪う。
龍二
「む、無念……」
藤守
「如月、脱出や!」
藤守の助けを借り如月はなんとか包囲を突破した。
藤守
「アンドロメダを囲うで!」
今度は逆にアンドロメダを藤守と如月が挟み撃ちにする。
瞬一
「逃げ場がないでつ……」
藤守とアンドロメダが取っ組み合っている後ろから如月が帽子を奪った。
2戦目の結果は如何に?o(^o^)o
[削除]
12/13(Fri) 14:48
☆騎馬戦~決勝戦~☆
小春
騎馬戦、2回戦目は、白組と赤組が圧倒的な強さを見せつけ、緑と青を退けた。
この結果、同点決勝となり、ついに3回戦、白組と赤組それぞれから10騎ずつ、20騎が入り乱れての総力戦が行われていた。
が。
小笠原
「あっ!」
如月
「ごめんね、小笠原さん!」
藤守
「よっしゃ!」
乱戦のさなか、白組は、全騎馬でもって、赤組の作戦参謀である小笠原の騎乗する騎馬を真っ先に倒す策を実行した。
その結果、如月も赤組の騎馬に帽子を奪われたものの、頭脳を欠いた赤組の大軍は統率を失い、藤守率いる白組に大敗を喫したのであった。
試合終了を告げるピストルが響き渡る。
観客からの盛大な拍手の中、全ての組の騎馬が整列して、退場門から威風堂々と引き上げてきた。
ジュン
「賢史くん、やったあ!」
空
「けんたん!」
藤守
「ジュン、空!応援、聞こえてたで!ありがとうな!」
駆けつけたジュンと空が藤守を労っていると、周りにいた白組の男子が、ジュンを持ち上げて、藤守の身体の前に座らせた。
ジュン
「きゃあ?!」
藤守
「あっ…?!」
白組男子
「言っただろ、藤守。俺たちは柔道部の猛者たちだぜ。お前と彼女を乗せるくらい、軽いもんだってな」
藤守
「お前ら……」
ジュン
「……彼女、って……」
白組男子
「おっと?」
藤守の騎馬になっている白組男子たちが、わざと馬を揺する。
真っ赤な顔をしたジュンが藤守にしがみつくのを見て、柔道部員たちは、一斉に白い歯を見せた。
[削除]
12/13(Fri) 15:47
☆騎馬戦~決勝戦~☆
小春
いいなあ。
ジュンが藤守の騎馬に乗せられたのを見て、如月はちょっと羨ましい気持ちになる。
騎馬戦の間じゅう、ともは本部席にいて、小春や翼と一緒に声援を送ってくれていた。
でも、今はもうそこにともの姿は見えない。
最終種目の色別対抗リレーに出場するため、ユニフォームから体育着に着替えに行っているはずだからだ。
それに、藤守会長は最後まで帽子を守ったけど、俺、取られちゃったしな。
悔しいけど、MVPも藤守会長に取られちゃったかも。
とも
「でも、『ケガしないでください』って約束、守ってくれましたよね」
如月
「そりゃ、ケガはしなかったけどさ……って、あれっ?!」
無意識に返事をしてから、如月は、慌てて自分の足元を見た。
そこではまだ野球部のユニフォームのままのともが、息を切らして、笑顔で如月を見上げている。
とも
「先輩、ありがとう!最後の種目、頑張りましょうね!」
それだけ言うと、ともは、野球部の部室の方に走り去って行ってしまった。
とも父
「エエ子やろ。俺の娘やねん」
呆然としていた如月の背中を、いつの間に来たのか、とも父がぱんぱんと叩いた。
12/13(Fri) 16:49
いやん(〃∇〃)
ジュン
賢史くんとジュンも、如月さんとともちゃんもラブラブですな(*≧∀≦*)
で、小春さんはどうなる!?
小野瀬先生か?
穂積弟か?
アンドロメダか?
パープルドラゴンか?
こうご期待ですねo(^o^)o
[削除]
12/13(Fri) 17:13
とも
あっ、とも父のこと忘れてた…( ̄▽ ̄;)
きっと出たくてうずうずしてたハズ。
会長とジュン先輩はすっかり白組公認のカップルで羨ましいです(*≧∀≦*)
如月先輩はちゃんと告ってくれるのかな~?
自分で言っちゃおっかな~?
できれば後夜祭が終わるまでになんとかしたい!
←全くノープラン(゜o゜)\(-_-)オイ
[削除]
12/14(Sat) 10:50
もう一人♪
小春
騎馬戦が終わり、小笠原はへとへとに疲れていた。
人混みが嫌いで、バリバリのインドア頭脳系の小笠原にとっては、大勢の観客に囲まれた体育祭のグラウンドに立つだけでも、かなりの努力と体力を要する。
ただ、生徒会にスカウトされて以来、毎日、腹筋と背筋を鍛えるようにと穂積に命じられてきた。
それを素直に実行していなかったらと思うと、忌々しいけれど、今、これだけの体力がついているのは穂積のおかげだと言わざるをえない。
おかげで、今年は、小笠原にとって今まで苦痛でしかなかった体育祭が、少しだけ、ほんの少しだけだけど、楽しいと思えていた。
それでも、徒競走、棒倒し、騎馬戦と大勢の男子の中でもみくちゃにされ、これからまたグラウンドを半周しなければならないと思うと、自然と溜め息が出た。
騎馬から降りた小笠原に、新しいペットボトルのスポーツドリンクが差し出された。
小笠原
「?」
紅花
「どうぞ!」
よく通るきれいな声。
キラキラした目で小笠原を見上げてきたのは、広報委員の紅花だ。
小笠原
「……ありがと」
紅花は生徒会の1年生女子たちと仲良しで、しかも、桜祭ではリポーターとしてまたアナウンサーとして、あちこちで頑張っている。
他人に興味の無い小笠原も、さすがに彼女の存在は知っていた。
考えてみたら、部活対抗の時なんか、すぐ隣の席にいたんだし。
ただ、今まで接点が無かっただけで。
紅花
「先輩、騎馬戦お疲れ様でした。徒競走も、棒倒しも、格好良かったです」
小笠原
「……全部負けちゃったよ」
紅花
「でも。先輩は格好良かったです!」
そんな顔でそんな風に言われた時、自分はどんな顔をするのが正解なのだろうか。
小笠原
「……実況はどうしたのさ」
何となく気まずくて、ペットボトルの封を切りながら尋ねると、紅花は嬉しそうな顔をした。
紅花
「あっ、小笠原先輩、私が実況してる係だって気付いてくれてたんですね?うわあ、嬉しいです」
小笠原
「……まあ、ね(あれだけ頑張ってればね)」
紅花
「実況は、このあともやらせて頂きます。だから、私、色別では最初に走るんですよ!」
小笠原
「……あ、そう」
小笠原は適当に相槌を打つが、紅花はにこにこ笑っている。
そこでようやく、小笠原も、彼女が、自分に何を言って欲しいのかに気付いた。
小笠原
「……頑張ってね」
紅花
「はい!」
たった一言だったのに、紅花の表情が、ぱあっ、と明るくなって、小笠原はどきりとする。
遠くで、第1走者の紅花を呼ぶ声がした。
紅花はそちらに返事をしてから、もう一度、小笠原にぺこりと頭を下げた。
紅花
「ありがとうございます!私も頑張りますね!」
くるりと背を向けて走り去って行く小柄な背中を見送りながら、小笠原は首を傾げた。
小笠原
「……変なの」
でも、あの笑顔は悪くない。
もう一度見れたらいいな。
小笠原は、そんな風に思った自分がなんだか可笑しくなって、ちょっとだけ笑った。
小笠原
「……変だよね?」
[削除]
12/14(Sat) 20:14
キュン!
ジュン
小笠原さんと紅花さんにフラグが(*≧∀≦*)
小笠原さんの「変だよね」にキュンっときてしまいました。
次は色別対抗ですね。
選抜されたひとだけかな?
それとも全員参加でしょうか?
楽しみですo(^o^)o
[削除]
12/14(Sat) 20:22
全員参加です。
小春
紅花ちゃんと小笠原先輩はお似合いな気がします。
紅花ちゃんは物怖じしないタイプで自分の気持ちに素直に行動していきますが、小笠原先輩もまんざらでもない様子。うふふ。
色別対抗リレーは先生方まで全員参加です。
なんなら保護者チームもアリです。
ジュンさんにももちろん走って頂きますよ!
新スレからスタートよろしくです!
12/13(Fri) 05:59
☆ごあいさつ☆
小春
おかげさまで、リレースレッド14です。
こちらのスレッドでは、ただいまリレーSS『アブナイ☆恋の学園物語』を開催中です。
桜田門学園高校に転校してきた櫻井翼が、イケメンな先生方や個性的な生徒たちと繰り広げる、参加型学園ラブコメディ!
皆さまふるってご参加ください(´∇`)
《ここまでのあらすじ》
学園祭『桜祭』、三日目の体育祭もいよいよ大詰め。
最終種目、全員参加の色別対抗リレーで、優勝チームが決定する。
MVPは誰の手に?
そして、後夜祭でダンスを踊る事が出来るのは誰なのか?
~主なメンバー~
☆緑(A組)……穂積
1A……翼、小春
3A……アンドロメダ、パープルドラゴン、ibu
☆白(B組)……藤守アニ
1B……とも、紅花
2B……如月、ジュン
3B……藤守、千春
☆青(C組)……明智
1C……ニコ
2C……細野、太田
3C……和音
☆赤(D組)……小野瀬
2D……小笠原
3D……空間
体育祭編いよいよ佳境!最初からクライマックス!のスレッド14、スタート!
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12/15(Sun) 05:25
☆最終種目、色別対抗リレー☆
小春
黒柳
『では、篠崎先生。色別対抗リレーについて、ルールのご説明をお願いします』
篠崎
『かしこまりました。最終種目は全員参加のため、広報委員が走り終えて戻って来るまで、実況は、黒柳理事長と、わたくし篠崎が担当させて頂きます』
黒柳
『よろしくお願いします』
大人の女性二人の、落ち着いた声のアナウンスに、会場から拍手が送られた。
篠崎
『色別対抗リレーは、いわゆる縦割りリレーです。
各学年のAクラスが緑組、Bクラスが白組、Cクラスが青組、Dクラスが赤組。
組の中での走る順番は自由で、この辺りの作戦も見所のひとつですね』
黒柳
『今日一日頑張ってきた選手たちにとって、最後の種目であるこのリレーは体力的にもかなりきついと思われますが、篠崎先生。
一人の走る距離はどのくらいですか?』
篠崎
『そうですね。このリレーの参加者は、各組90人。
予定ではそれぞれが半周走る事になっていましたが、今日の体育祭は接戦が続いたこともあって、予定時間よりかなり延びています。
そこで時間短縮のため、生徒一人が走るのはグラウンド四分の一周、100mになります』
篠崎の説明に、疲れの見える生徒たちから、わあっ、と安堵の声が漏れた。
が、黒柳の次の言葉で、その声は、失笑とともに萎んでしまう。
黒柳
『ただし、距離が短くなったということは、それだけ、バトンタッチの正確さや、瞬発力が問われる事になってしまいます』
篠崎
『その通りです。どんな展開になるか、楽しみですね。
ちなみに、各組には先生方も加わりますよ。
緑組は穂積先生、黒柳先生。
白組は藤守先生、ロバート先生。
青組は明智先生と、わたくし篠崎。
赤組は小野瀬先生とポール先生。
保護者チームは山田校長と鳥山先生が走ります』
黒柳
『では、校長。スタートの合図をお願いします!』
山田
「ハイ喜んでー。……では、位置についてー」
パァン、と山田の撃ち鳴らしたピストルの音で、最終種目の色別対抗リレーがスタートした。
12/15(Sun) 07:04
その頃の小春と空間センパイ。
小春
……おかしい。
空間は首を傾げていた。
それは、最終種目の色別対抗リレーが始まり、穂積が緑組の生徒たち一人一人に声を掛けて歩いているからでも、鳥山が、とも父たちと騎馬戦の話で盛り上がっているからでもない。
まして、明智が青組のメンバーに柔道の技をせがまれているからでも、藤守アニが白組の先生たちに熱い説教をかましているからでもない。
小野瀬が、さっきから、心配そうに生徒玄関を気にしているからだ。
空間
「……」
空間はその行動の理由を知っている。
着替えに行ったはずの小春が、一向に戻って来ないからだ。
……小春さんったら。
何をぐずぐずしているのかしら、と空間は思う。
空間は小春の心配などしてはいない。
してはいないが、小野瀬が小春を心配している。
空間は、小春を心配している、その小野瀬が心配でたまらないのだ。
……小春さんったら。
……何をぐずぐずしているのかしら。
空間はだんだんと焦れてきた。
あらゆる危機から小野瀬を守ることを信条としている空間にとって、今するべき事は、小野瀬の心配の種である小春の居場所を突き止める事。
幸い、色別対抗リレーで空間の走る順番はかなり後半。
全員参加のリレーは一組90人にもなる。
小春を探しにいくくらいの時間は充分にありそうだった。
家庭科室で着替えた小春は、あともう少しで生徒玄関という所まで戻って来た廊下で、数人の女子生徒に囲まれていた。
女子
「小春さん、どういうつもり?」
二年生と三年生に睨まれて、壁を背にした小春は、小さい身体をさらに小さくしていた。
女子
「あなた穂積先生派でしょ」
女子
「最近、小野瀬先生に気に掛けてもらって、調子に乗ってるんじゃない?」
女子
「明智先生の妹だってだけでも羨ましいのにさ」
女子
「小野瀬先生にまで可愛がられるなんて許せない」
女子
「胸ぺったんのくせに」
女子たちは口々に言って、小春の髪を引っ張ったり、「何とか言いなさいよ」などと言いながら小突いたりしている。
どうやら、陰湿なアオイストたちに捕まったようだ。
校舎に入った途端、空間には状況がすぐにわかった。
小春は真っ赤な顔をしているが、泣かずにじっと堪えている。
反論せず、彼女たちの気が済むまで言わせておくつもりらしい。
空間はちっ、と舌打ちをした。
バカな女子たち!
小野瀬ファンの風上にも置けない卑劣な行為は、空間の最も嫌うものだった。
そんな事をして何になるというの?
小野瀬先生が知ったら悲しむだけじゃない。
それしきの分別も無く、自分たちが小野瀬先生を守っているつもりなの?
ただの嫉妬で小春さんを苛めているだけなら、なおさら見苦しい。
いじめの理由に小野瀬先生を利用するなんて、言語道断だわ。
空間
「おやめなさい!」
全員が一斉に空間を見た。
そして次の瞬間、アオイストたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
この学園の小野瀬ファンなら、誰でも、空間の恐ろしさを知っている。
取り残された小春が、空間に駆け寄って来て深々と頭を下げた。
小春
「空間先輩、ありがとうございます」
空間
「小春さん、災難だったわね。さあ、早くグラウンドに戻りなさい」
小野瀬先生が心配しているから。
小春
「はい!」
何度も振り返り、お辞儀をして飛び出して行った小春と入れ代わるように、空間の前に現れたのは小野瀬。
おそらく、小春を探しに来たのだろう。
空間の胸はちくりと痛んだが、そんな痛みは、小野瀬に会えた事で雲散霧消してしまう。
小野瀬
「空間さん、ありがとう」
空間
「おのっ……え、いえ、と、当然の事わ、を、しただけで、す……」
小野瀬はにっこりと微笑んで、空間に手を差し出した。
小野瀬
「さあ、行こう。最後の種目だよ。一緒に、赤組で頑張ろうね」
☆騎馬戦☆
小春
騎馬戦。
騎馬と言っても馬ではない。
4人一組で、1人が騎手、3人が騎馬役だ。
騎馬役の1人を先頭とし、後の2人はちょうど三角形になるように、それぞれ先頭の斜め後ろに立つ。
横に並んだ後ろの2人は、内側の手を先頭の肩にかける。そして外側の手を、先頭の人の手としっかり握り合う。
騎手は、騎馬役がしっかり握り合ったその手を馬具の鐙(あぶみ)にして足を乗せ、後方の2人が先頭の肩に置いた手を鞍(くら)に見立てて、騎乗するのだ。
以上、当サイト『ある日の捜査室』→「秋の警視庁大運動会」より抜粋(笑)。
紅花
『まずは、ルールの説明です』
東西南北に分かれ、体育座りをしている各色の男子。
その集団の中から、東西1騎ずつの騎馬が立ち上がった。
東の馬の先頭は穂積。右後ろに明智、左後ろにアニ。騎乗しているのは小野瀬だ。
学園が誇る美形揃い、しかも全員が部活のユニフォームというレアな仕様の馬に、黄色い声援が巻き起こる。
もう一方、西の馬が立ち上がると、会場がその異様さに度肝を抜かれた。
こちらの馬の先頭は鳥山。右後ろにロバート、左後ろにポール。騎乗しているのは山田。
謎多き黒髪の美青年しかも校長を乗せるのは、全員が2mを超す長身の騎馬。
そのうえ後ろの二人は振り袖に熊耳の外国人だ。
色々な意味で怖い。
会場に広がるどよめきを、紅花のアナウンスが遮った。
紅花
『騎馬戦は各組対抗です。騎手は自分の組の色の帽子を被ります』
紅花のアナウンスに合わせて、小野瀬が赤帽、山田が白帽を被ってみせる。
紅花
『騎手と馬は息を合わせて移動し、自分とは違う色の帽子を取りに行きます。
帽子を取られた騎馬は失格。
残った騎馬が一色になった時点で終了となります。
その後、組ごとに、集めた帽子の数を集計して順位を決定します。
同点の場合は決勝戦を行います。
いかにたくさん他の組の帽子を奪えるかが勝負です。
では、先生方、デモンストレーションをお願いします!』
紅花のアナウンスに合わせて、2騎の騎馬が動き出した。
小野瀬
「やっぱり、近付いてみると大きいねえ」
アニ
「だが、こちらの方が機敏に動けるはずだ。モビルスーツで例えれば、すなわち……」
明智
「モビルスーツに例えられても分かりません」
穂積
「1対1だ。正面突破しかねえだろ」
山田
「絶景かな絶景かな」
鳥山
「校長、作戦はどうしますか?」
ロバート
『私はトリンにどこまでも付いて行くわ♪』
ポール
『ワ、タ、シ、も♪』
パァン、とピストルの音。
同時に、2騎の騎馬が勢いよく接近して行った。
[削除]
12/10(Tue) 20:10
トリン、恐るべし!
ジュン
さりげなくロバートとポールがトリンファンに(;>_<;)
アニの立場がアブナイ☆←?
小春さんの運動会と清香さんの夜の運動会にいってきまーす(*≧∀≦*)
12/11(Wed) 03:12
おいおい。
清香
ジュンさん、その運動会はアカンがな(笑)
☆騎馬戦・デモンストレーション☆
4組一斉に戦うのであれば挟み打ちや背後から攻める手立てもあるが、一対一となれば素直に正面から戦うしかない。
そうなればどうしても大きい騎馬の方が有利だ。
高い位置から相手の帽子を奪ってしまえば勝てるのだから。
穂積
「無駄にデカいよな、アイツら。」
小野瀬
「俺達も大きい方なんだけどね。」
明智
「二度も鳥山先生に負けたくありません。」
アニ
「ならば手薄な横から攻めるしかないだろう。」
穂積
「横かー。あんまり気乗りしないんだけどな……。」
じりじりと間合いを計りながら少しずつ距離を縮め、隙を見つけようとするのはどちらも同じなのだが。
山田
「おや、あちらはサイドからカウンター攻撃を仕掛けてくるようだ。まさに日本的な攻撃の布陣ですね。ザックジャパンをお手本にしているのでしょうか。」
鳥山
「返り討ちにしてやりましょう。校長先生、よろしくお願いいたします。」
山田
「ふふっ、バロンドールがいただけるようがんばりますね。」
しかし全て鳥山任せにしている白組に対して、赤組はそれぞれ何か企んでいるようだ。
タイミングを合わせ一気に右後ろにいるロバート側から近づくと、先頭の馬となった穂積の肩に手をかけて小野瀬が騎馬の上で思い切り上体と腕を伸ばす。
騎馬がひとまわり小さいせいもあるが、小野瀬が目一杯腕を伸ばしても山田の帽子を掴むことはできない。
帽子を片手で押さえながら山田が軽やかな笑みを浮かべた。
山田
「おっとぉ、そうはいきませんよ。僕もMVPを狙っているんですから。」
小野瀬
「おや、生徒が主役の行事で校長先生が悪目立ちするのは教育上よろしくないのでは?」
帽子を押さえていないの方の手を掴んで引き寄せると、山田もその細身の身体からは想像がつかないくらいの力強さで抵抗を始める。
山田
「そう仰る小野瀬先生も、なにやら一人の女子生徒にやけに目をかけていらっしゃるのでは?」
小野瀬
「何の事か分かりかねますね。私はいつも皆を同じように気にかけていますよ?」
山田
「おや、そうですか?僕の目に狂いは無いと思っていたんですがね。」
小野瀬
「明日にでも眼科を受診された方が宜しいかと。」
両手をガッチリと掴みあったまま笑顔で会話をする二人に対して、下の騎馬の面々も『口』撃を始める。
穂積
『ロバート、似合ってるな。その振袖。』
ロバート
『本当?理事長が着せてくれたんだけれど、ルイはこういうのが好きなの?』
穂積
『あぁ。やっぱり着物はそそられる。乱れた足下とかたまんねぇな。』
ロバート
『いやぁん、そんな目で見ないでぇん☆』
真っ赤になった顔を隠すように俯き、もじもじと足を擦り寄せたロバートの動きにつられ、上に乗った山田の身体がバランスを崩しぐらりと傾いてしまう。
山田
「おっと!」
鳥山
「校長、踏ん張って下さい!!ロバート、気をしっかり持て!どうした!!」
穂積の英語を聞きとることが出来なかったのか、ロバートが照れている理由が分からない鳥山は体勢を立て直そうと繋いだ手に力を込めた。
ロバート
『いやん、トリン!私を奪いあわないで!私は二人のモノよ!』
ポール
『そんな訳無いでしょう!都合のいい事ばかり言ってんじゃないわよ!』
反対側、左の騎馬を受け持つポールが噛みつくように口をはさむと、アニがわざとらしく大きな声を上げる。
アニ
『なんだ、やはりロバートもポールも穂積や鳥山がいいのか。残念だな。』
ロバート
『あぁん、ケイジ!イヤよ、そんなこと言わないで!!』
何とも棒読みなセリフではあるが、舞い上がったロバートの耳には自分を奪いあう新たな男の嘆きにしか聞こえていない。
明智
「藤守先生、演技が下手ですよ。」
アニ
「うっさい!お前には言われたないわ!」
小声でダメ出しをする明智にアニが反論をすると、やっと事態が飲み込めた鳥山が苦々しい表情を浮かべる。
鳥山
「お前達、スポーツマンシップに反しているぞ!清く正しく美しくだろうが!」
穂積
「勝つことに意義があるんだ。勝利を手に入れるにはあらゆる手段を尽くす。それもスポーツだよ!」
ニヤリと笑って「行くぞ!」と言った穂積の声に合わせ、明智とアニが一歩後ろに下がった。
手を組みあっていた山田だけが小野瀬に引っ張られる様に騎馬の上からその上体をはみ出させる。
鳥山
「校長、危ない!!」
ロバート・ポール
『きゃあぁ!』
山田
「…っと、危なッ!」
さすがの山田も2メートル超えの人々が組んだ騎馬から落ちるのは嫌なのだろう。
離した手でどうにか鳥山の肩を掴もうと手を伸ばす。
小野瀬
「失礼しますよ、校長。」
その隙に山田の被っていた帽子を小野瀬が指にひっかけて取りあげると、パンパンっとピストルの音が2度響き渡った。
そして生徒たちの歓声が校庭を包む。
鳥山
「…大丈夫ですか、校長先生。」
足をもつれさせて崩れたロバートとポールの手を離し、ほぼ無意識で山田に手を伸ばした鳥山は結局おんぶをするような形になってしまったが山田を地面に落とさずに済んだ。
山田
「ありがとうございます、鳥山先生。」
大きな身体でしゃがみ、山田を背中から下ろすと鳥山はそのまま頭を下げる。
鳥山
「いえ、勝てずに申し訳ありませんでした。」
山田
「やはり個の能力だけではなく戦略が大事と言う事ですから、仕方がありません。次に生かしましょう、ね?」
鳥山
「はい。今回は完敗だな、穂積。」
握手を求めてきた鳥山の手を穂積が握ると、鳥山は少しだけ嬉しそうに頬を緩めて本部席へと戻っていった。
穂積
「…ホント、真面目なのな。」
小野瀬
「良い事でしょ、それは。」
明智
「まぁ、今回は若干卑怯かと思いますが。」
穂積
「戦略だよ、戦略。」
小野瀬
「そうそう、勝たなきゃね。」
明智
「まぁ、確かにそうなんですけど。」
鳥山の後を追うように本部席へと戻る三人の後ろでは。
ロバート
『ケイジ、やっぱり私にはあなただけなの!』
ポール
『何よ、ロバートはトリンの所へ行けばいいじゃない!』
アニ
「やっぱり…こうだよな………。」
両腕をロバートとポールに掴まれ、身動きとれずに担がれるアニの姿が皆の涙を誘っていた。
[削除]
12/11(Wed) 08:14
ジュンさん、清香さん(´∇`)ノシ
小春
おはようございます。
あの運動会からもう1年経つんですね(しみじみ)。
後で私も読み返しに行こうっと。
もちろん夜の方もね( ̄ー ̄)
清香さんの騎馬戦デモストは素晴らしかったですねー。
私は正面から正々堂々と穂積先生にトリンの耳に熱い吐息をフッと吹き込んで頂こうかと思ってましたよ。
さて今度は男子全員参加の騎馬戦です。
…………女子も出ちゃう?
[削除]
12/11(Wed) 08:27
おはようございます(^-^)ノシ
とも
私も小春さんと清香さんの運動会、読んできましたよ~。
勝つための『口撃 』にウケました(*^▽^)
次の騎馬戦も楽しみですね~♪ヽ(´▽`)/
[削除]
12/11(Wed) 17:02
☆騎馬戦☆
小春
本部席に帰ってきた教師たちを、生徒会役員のともと翼、小春が笑顔で迎えて労う。
ともと小春はまだユニフォームのままだ。
小春
「校長先生、鳥山先生、お疲れ様でした。麦茶いかがですか?」
山田
「ありがとう、頂こうかな」
鳥山
「すまないな」
とも
『ロバート先生、ポール先生、残念でしたね!』
ロバート
『でも、イケメンに囲まれて幸せだったわ!』
ポール
『ロバートったら!でも、本当に楽しかったわ!』
翼
「穂積先生、藤守先生もお疲れ様でした」
穂積
「ああ、ありがとう」
藤守
「……何か、どっと疲れた」
小春
「小野瀬先生、どうぞ、おしぼり使って下さい。お兄ちゃんも、はい」
明智
「ありがとう。デモンストレーションはどうだった、小春?」
小春
「あっという間だったけど、面白かったよ。お兄ちゃんも小野瀬先生も、格好よかったです」
小野瀬
「きみにそう言ってもらえると嬉しいな」
山田
「……本当に嬉しそうな顔をして」
麦茶のコップを手に、篠崎の元に来た山田が、同意を求めるように囁いて笑った。
山田
「ねえ?」
篠崎も、小野瀬を見て微笑んでいる。
篠崎
「嬉しいんですよ、小野瀬先生は」
山田
「ふうん?」
篠崎
「小野瀬先生は、純粋に、求められたいんです。小春さんに限らず、誰かを愛したいと、愛されたいと、いつも思っている人なんですよ」
山田と篠崎の視線の先で、明智が小春のカチューシャを直し、それをまた小野瀬が直し、睨み合う二人の間で小春が笑っている。
篠崎
「本人は否定するかも知れませんけどね」
山田
「……つまり、小春さんを独占したいとか、恋人にしたいとは思っていないという事?」
篠崎
「そうですね、今のところは。小春さんの方からそういう関係を望まれれば、別でしょうけど」
山田はじっと小春を見つめた。
山田
「僕の見たところ、小春さんが小野瀬先生を見る目は、お兄さんである明智先生を見る目と、あまり違わないように思いますが」
篠崎
「私にもそう見えますよ。逆もまた然り、ですけどね」
篠崎は、小春が部活対抗リレーで走った時、明智と小野瀬が同じような表情で見守っていたのを思い出していた。
山田
「つまり、小野瀬先生と小春さんの関係が進展するかどうかは、小春さんの成長しだい、という事ですね」
篠崎
「そういう事です」
山田
「僕としては、ずーっと、兄と妹のままでいて欲しいような気もします」
山田は笑いながら、篠崎から離れて行った。
山田の脳裏には、かつて交際した頃の、小春の姉たちの思い出がよぎったのかもしれない。
篠崎は、いつも、グラウンドを見渡せる場所にある木陰にいる少女を思った。
ずっと昔から、小野瀬に思いを寄せている少女。
あなたにも教えてあげたい。
あと一歩を踏み出す勇気があれば、きっと、新しい場所に行く事が出来るのだと。
ふと視線を動かした時、明智と目が合って、篠崎は顔を赤くした。
昨日まで、自分もその一歩を踏み出せなかった。
でも、今は、歩き出そうとする私に、手を差し出してくれる人が出来たのよ。
これから先、ずっと、一緒に歩いてくれる人が。
そう思いながら、篠崎は、明智に笑顔を返した。
騎馬戦はどうした(笑)
[削除]
12/11(Wed) 17:45
騎馬戦はこれからですよ~
とも
小春さんと小野瀬先生はいったいどうなってしまうのでしょう?
ワクワクしながら見守ってます(*≧∀≦*)
☆騎馬戦☆
教師たちのデモンストレーションが終わり、観客席や女子生徒たちから拍手が送られた。次は本番だ。
白組の陣地で先程のリレーからいくらか呼吸が落ち着き、他の白組の生徒たちと作戦を練っていた藤守と如月のところへ、ジュンとともがやって来た。
ジュン
「リレーが終わったばかりだけど、大丈夫?応援してるから頑張ってね」
藤守
「おぅ、まかしとき。また白組が優勝や!」
とも
「如月先輩も、頑張ってくださいね」
リレーの時のこともあってか、声をかけるともはどことなくぎこちなかった。
そんなともに気づいた如月は、その様子には触れず、いつものように返す。
如月
「ありがとー。ともちゃんが応援してくれるんだから、棒倒しの時みたいにまた頑張らないとね!」
とも
「そうですけど、如月先輩も藤守先輩も、きっと狙われてあちこちから攻撃されるやろうから、絶対無理せんといてくださいよー」
如月の気持ちが伝わったのか、ともにもいつもの笑顔が戻った。
とも
「ケガしたら、明日のダンス、一緒に踊ってもらえなくなりますからね!」
如月
「…え?!ともちゃん、今何て言ったの?!」
周りの騒がしさでうまく聞き取れなかった如月が、もう一度ともに聞こうとしたその時。
紅花
『それでは、騎馬戦、一回戦を始めます!準備してください!』
藤守
「如月、行くで!」
藤守に促され、準備に向かった如月が後ろを振り返ると、ともは手を振ってくれていた。
如月
(よーし、ともちゃんに、またエエとこ見せよっかな!)
改めて気合いを入れ直す如月だった。
☆騎馬戦~1戦目~☆
小春
桜田門学園の男子生徒は、全校の半数。
つまり、緑、白、青、赤、それぞれに1クラス15人の3学年分、45人の男子がいる。
騎馬は1騎4人だから、各組11騎の騎馬を作る事が出来る計算だ。
それだけの騎馬が一気に戦えば本物の合戦のようで壮観だが、いかにも危険なので、二度に分けての戦いになる。
1回戦では各組6騎。
2回戦は5騎になるのが理屈だが、端数の生徒も参加出来るように一部再編成されるため、2回戦でも6騎の騎馬が登場する。
そうして、2回の対戦で、相手の騎手の帽子を取った数を競うのだ。
1回戦に参加する騎馬が立ち上がると、観客からの拍手とともに、合図を前に、騎馬どうしの舌戦が始まった。
野球部キャプテン(緑)
「藤守!部活対抗での雪辱を果たすぞ!」
藤守(陸上部キャプテン、白)
「うちの馬は陸上部揃いや。速いで!」
サッカー部キャプテン(青)
「機敏さならうちも負けん!」
ラグビー部キャプテン(赤)
「力とチームワークなら、我々はどこにも負けないぞ!」
紅花
『おおっと、早くも火花が散っております。ユニフォームのままの選手も多く、それぞれが特色のある騎馬になっています。さあ、勝ち残るのはどの騎馬か?!』
パァン、と鳴ったピストルの音に呼応して、自陣を飛び出してゆく騎馬たちの、うおおっ、という声と、地響きのような足音がグラウンドに轟いた。
[削除]
12/12(Thu) 10:20
一回戦!
ジュン
パァンという音とともに藤守の騎馬は飛び出していった。
さすが陸上部の騎馬ということもあり、対面にいた緑の騎馬とあっという間に距離を縮め帽子を奪い取った。
ジュン
「賢史くん、すごい!」
とも
「速かったなぁ」
一瞬の出来事にジュンとともは素直に感心する。
その間に一歩遅れてきた他の騎馬が追い付き、全騎馬が入り乱れる状態になった。藤守の騎馬はそのほぼ中央で善戦している。
空
「けんたん、頑張れ~」
空の可愛い声援が飛んだところで藤守の騎馬は帽子を取られた。
それとほぼ同時に終了のピストルの音が響いた。
一回戦の結果は
赤組7ポイント
白組7ポイント
緑組6ポイント
青組4ポイント
という接戦となった。
藤守
「あんまり差がつかんかったなぁ。作戦練り直した方がいいかもしれんなぁ。」
如月
「次は俺が出ますからね。期待してて下さい。」
藤守
「あほっ!再編成で俺ももっかい出んねん!」
ということで、運動会のハシゴから返って参りましたo(^o^)o
2回戦では大差がつくのか!
よろしくお願いします~(*≧∀≦*)
[削除]
12/12(Thu) 12:14
☆騎馬戦~2回戦~☆
小春
ジュンさんありがとう♪
ストーリーを進展させてくれるの大歓迎です。(´∇`)ノシ
二回戦、赤組は意外と侮れない彼が出ますよ。
~赤組~
小笠原
「作戦の変更が必要だね」
赤い帽子を被った小笠原が、そう言いながら眼鏡を押し上げた。
赤組男子
「と言うと?」
小笠原
「次はおそらく、藤守会長が騎乗してくる。如月と力を合わせて、一つでも多く相手の帽子を取る作戦に出るだろう」
赤組男子
「なるほど」
小笠原
「それに対抗する為に、赤組は隊列を組み、大きくて強い騎馬であるバレー部とバスケ部の馬を中心にして、最後まで生存させるのが良策だと思う」
赤組男子
「なるほど」
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12/12(Thu) 12:56
☆騎馬戦~2回戦~☆
小春
~白組~
白組男子
「藤守、次はお前騎乗しろよ」
藤守
「え、何でや?」
白組男子
「狙ってるんですよね、MVP。目立つポジションで活躍しないと、村崎先輩や、如月先輩に取られちゃいますよ」
藤守
「お前ら……」
白組男子
「俺たちの馬に乗れ。柔道部の猛者たちだぜ。お前を担ぐくらい軽いもんだ」
藤守
「……分かった。みんな、ありがとうな!」
如月
「遠慮は無用ですよ、会長!俺だって、目立つよう頑張りますからね!」
藤守
「よっしゃ!決定戦まで持ち込ませず、この回で決めるで!」
白組
「おー!」
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12/12(Thu) 20:10
☆騎馬戦~2回戦~☆
小春
~緑組~
龍二
「緑は如月どのの馬を集中攻撃、でござるか」
緑組男子
「そうだ。如月はすばしっこいが、乗せている馬の方はそれほどでもない。馬を囲んでしまえば、小柄な如月を捕まえるのは難しくないだろう」
緑組男子
「一方で、攻めてくる藤守の馬は速過ぎる。うちの組で対抗出来るのはお前の馬と安藤の馬くらいだ」
瞬一
「では、吾が輩とパープルドラゴンは、藤守氏の馬が如月氏を助けに行けないよう、左右から食い止めればぉkなんでつね」
緑組男子
「やってくれるか」
龍二
「五稜郭に行くと思えばお安いご用でござる」
瞬一
「アテナの加護を祈るナリよ」
緑組男子
「薄○鬼か聖●士聖●かどっちかにしてくれねえかな……」
~青組~
細野、太田
「まだ、全員参加のリレーが残ってる。とにかく、怪我をしないよう気を付けよう」
青組男子
「おー!……って、もう少し何かあるだろ!」
桜木、流川
「ともちゃんにいいとこ見せるぞ!」
バスケ部の二人が拳を突き上げる。
別の数人が手を挙げた。
「ジュンちゃんにもな!」
「俺たちは櫻井さんだ!」
「紅花も可愛いだろ?」
「和音」
「空間」
「……篠崎先生」
「おお~」
明智
「お前ら真面目にやれ!」
パァン。
2回戦目の開始を告げるピストルが鳴った。
12/13(Fri) 08:45
おはようございます
とも
少しだけ繋ぎます~(^-^)
☆騎馬戦・二回戦☆
スタートのピストルの合図と共に再び各色の騎馬が飛び出した。
ただ、一回戦の時と様子が違うのは、それぞれの色によって作戦が異なるから。辺り構わず突進していく騎馬はいなかった。
赤組は背の高い騎馬を中心に周りを固めながら進んでいく。
白組は二騎ずつペアで攻めていた。
青組も同じような作戦だ。
緑組のアンドロメダとパープルドラゴンは如月の乗った騎馬をめがけて追いかけていた。
アンドロメダ
「如月くん、いくら君でも、この流星のように速い我らの動きにはついてこれまい!」
如月
「なんの!ウチの騎馬はそんなんじゃ倒せませんよ!」
パープルドラゴン
「これも緑組の勝利のため、覚悟するでござる!」
如月
「うわっ、挟まれた!」
藤守
「あっ、如月が狙われとる!オレらも加勢するで!」
赤組生徒
「そうはさせないぞ!」
青組生徒
「チャンスだ!一気に他の組も攻めるぞ!」
二回戦は大混戦となった。
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12/13(Fri) 09:00
おはようございます(´∇`)ノシ
小春
☆騎馬戦~2回戦~☆
青組の先鋒が目をつけたのは、赤組の長身騎馬に寄り添うように歩いていた、小笠原の騎乗する騎馬。
青組男子
「小笠原、覚悟!」
だが。
青組の騎馬が赤組の騎馬群に馬体を擦り寄せ、小笠原に向かって手を伸ばした途端、青の騎手は、不意に、上から現れた腕に帽子を剥ぎ取られた。
赤組男子
「獲ったぞ!」
青組男子
「しまった!」
そう、赤組の騎馬の群れのうち、周りの馬は、長身騎馬を防御するとともに、囮の役を果たしているのだ。
してやったり。
同じ手で、迫り来る他の組の騎馬からいくつもの帽子を取り上げる赤組の騎馬の姿を眺めながら、自分の帽子を押さえたまま、小笠原はにやりと笑った。
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12/13(Fri) 10:28
賢史くん、活躍する
ジュン
囲まれた如月を助けるべく藤守の騎馬はパープルドラゴンの騎馬の後ろに回り込み、素早く帽子を奪う。
龍二
「む、無念……」
藤守
「如月、脱出や!」
藤守の助けを借り如月はなんとか包囲を突破した。
藤守
「アンドロメダを囲うで!」
今度は逆にアンドロメダを藤守と如月が挟み撃ちにする。
瞬一
「逃げ場がないでつ……」
藤守とアンドロメダが取っ組み合っている後ろから如月が帽子を奪った。
2戦目の結果は如何に?o(^o^)o
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12/13(Fri) 14:48
☆騎馬戦~決勝戦~☆
小春
騎馬戦、2回戦目は、白組と赤組が圧倒的な強さを見せつけ、緑と青を退けた。
この結果、同点決勝となり、ついに3回戦、白組と赤組それぞれから10騎ずつ、20騎が入り乱れての総力戦が行われていた。
が。
小笠原
「あっ!」
如月
「ごめんね、小笠原さん!」
藤守
「よっしゃ!」
乱戦のさなか、白組は、全騎馬でもって、赤組の作戦参謀である小笠原の騎乗する騎馬を真っ先に倒す策を実行した。
その結果、如月も赤組の騎馬に帽子を奪われたものの、頭脳を欠いた赤組の大軍は統率を失い、藤守率いる白組に大敗を喫したのであった。
試合終了を告げるピストルが響き渡る。
観客からの盛大な拍手の中、全ての組の騎馬が整列して、退場門から威風堂々と引き上げてきた。
ジュン
「賢史くん、やったあ!」
空
「けんたん!」
藤守
「ジュン、空!応援、聞こえてたで!ありがとうな!」
駆けつけたジュンと空が藤守を労っていると、周りにいた白組の男子が、ジュンを持ち上げて、藤守の身体の前に座らせた。
ジュン
「きゃあ?!」
藤守
「あっ…?!」
白組男子
「言っただろ、藤守。俺たちは柔道部の猛者たちだぜ。お前と彼女を乗せるくらい、軽いもんだってな」
藤守
「お前ら……」
ジュン
「……彼女、って……」
白組男子
「おっと?」
藤守の騎馬になっている白組男子たちが、わざと馬を揺する。
真っ赤な顔をしたジュンが藤守にしがみつくのを見て、柔道部員たちは、一斉に白い歯を見せた。
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12/13(Fri) 15:47
☆騎馬戦~決勝戦~☆
小春
いいなあ。
ジュンが藤守の騎馬に乗せられたのを見て、如月はちょっと羨ましい気持ちになる。
騎馬戦の間じゅう、ともは本部席にいて、小春や翼と一緒に声援を送ってくれていた。
でも、今はもうそこにともの姿は見えない。
最終種目の色別対抗リレーに出場するため、ユニフォームから体育着に着替えに行っているはずだからだ。
それに、藤守会長は最後まで帽子を守ったけど、俺、取られちゃったしな。
悔しいけど、MVPも藤守会長に取られちゃったかも。
とも
「でも、『ケガしないでください』って約束、守ってくれましたよね」
如月
「そりゃ、ケガはしなかったけどさ……って、あれっ?!」
無意識に返事をしてから、如月は、慌てて自分の足元を見た。
そこではまだ野球部のユニフォームのままのともが、息を切らして、笑顔で如月を見上げている。
とも
「先輩、ありがとう!最後の種目、頑張りましょうね!」
それだけ言うと、ともは、野球部の部室の方に走り去って行ってしまった。
とも父
「エエ子やろ。俺の娘やねん」
呆然としていた如月の背中を、いつの間に来たのか、とも父がぱんぱんと叩いた。
12/13(Fri) 16:49
いやん(〃∇〃)
ジュン
賢史くんとジュンも、如月さんとともちゃんもラブラブですな(*≧∀≦*)
で、小春さんはどうなる!?
小野瀬先生か?
穂積弟か?
アンドロメダか?
パープルドラゴンか?
こうご期待ですねo(^o^)o
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12/13(Fri) 17:13
とも
あっ、とも父のこと忘れてた…( ̄▽ ̄;)
きっと出たくてうずうずしてたハズ。
会長とジュン先輩はすっかり白組公認のカップルで羨ましいです(*≧∀≦*)
如月先輩はちゃんと告ってくれるのかな~?
自分で言っちゃおっかな~?
できれば後夜祭が終わるまでになんとかしたい!
←全くノープラン(゜o゜)\(-_-)オイ
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12/14(Sat) 10:50
もう一人♪
小春
騎馬戦が終わり、小笠原はへとへとに疲れていた。
人混みが嫌いで、バリバリのインドア頭脳系の小笠原にとっては、大勢の観客に囲まれた体育祭のグラウンドに立つだけでも、かなりの努力と体力を要する。
ただ、生徒会にスカウトされて以来、毎日、腹筋と背筋を鍛えるようにと穂積に命じられてきた。
それを素直に実行していなかったらと思うと、忌々しいけれど、今、これだけの体力がついているのは穂積のおかげだと言わざるをえない。
おかげで、今年は、小笠原にとって今まで苦痛でしかなかった体育祭が、少しだけ、ほんの少しだけだけど、楽しいと思えていた。
それでも、徒競走、棒倒し、騎馬戦と大勢の男子の中でもみくちゃにされ、これからまたグラウンドを半周しなければならないと思うと、自然と溜め息が出た。
騎馬から降りた小笠原に、新しいペットボトルのスポーツドリンクが差し出された。
小笠原
「?」
紅花
「どうぞ!」
よく通るきれいな声。
キラキラした目で小笠原を見上げてきたのは、広報委員の紅花だ。
小笠原
「……ありがと」
紅花は生徒会の1年生女子たちと仲良しで、しかも、桜祭ではリポーターとしてまたアナウンサーとして、あちこちで頑張っている。
他人に興味の無い小笠原も、さすがに彼女の存在は知っていた。
考えてみたら、部活対抗の時なんか、すぐ隣の席にいたんだし。
ただ、今まで接点が無かっただけで。
紅花
「先輩、騎馬戦お疲れ様でした。徒競走も、棒倒しも、格好良かったです」
小笠原
「……全部負けちゃったよ」
紅花
「でも。先輩は格好良かったです!」
そんな顔でそんな風に言われた時、自分はどんな顔をするのが正解なのだろうか。
小笠原
「……実況はどうしたのさ」
何となく気まずくて、ペットボトルの封を切りながら尋ねると、紅花は嬉しそうな顔をした。
紅花
「あっ、小笠原先輩、私が実況してる係だって気付いてくれてたんですね?うわあ、嬉しいです」
小笠原
「……まあ、ね(あれだけ頑張ってればね)」
紅花
「実況は、このあともやらせて頂きます。だから、私、色別では最初に走るんですよ!」
小笠原
「……あ、そう」
小笠原は適当に相槌を打つが、紅花はにこにこ笑っている。
そこでようやく、小笠原も、彼女が、自分に何を言って欲しいのかに気付いた。
小笠原
「……頑張ってね」
紅花
「はい!」
たった一言だったのに、紅花の表情が、ぱあっ、と明るくなって、小笠原はどきりとする。
遠くで、第1走者の紅花を呼ぶ声がした。
紅花はそちらに返事をしてから、もう一度、小笠原にぺこりと頭を下げた。
紅花
「ありがとうございます!私も頑張りますね!」
くるりと背を向けて走り去って行く小柄な背中を見送りながら、小笠原は首を傾げた。
小笠原
「……変なの」
でも、あの笑顔は悪くない。
もう一度見れたらいいな。
小笠原は、そんな風に思った自分がなんだか可笑しくなって、ちょっとだけ笑った。
小笠原
「……変だよね?」
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12/14(Sat) 20:14
キュン!
ジュン
小笠原さんと紅花さんにフラグが(*≧∀≦*)
小笠原さんの「変だよね」にキュンっときてしまいました。
次は色別対抗ですね。
選抜されたひとだけかな?
それとも全員参加でしょうか?
楽しみですo(^o^)o
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12/14(Sat) 20:22
全員参加です。
小春
紅花ちゃんと小笠原先輩はお似合いな気がします。
紅花ちゃんは物怖じしないタイプで自分の気持ちに素直に行動していきますが、小笠原先輩もまんざらでもない様子。うふふ。
色別対抗リレーは先生方まで全員参加です。
なんなら保護者チームもアリです。
ジュンさんにももちろん走って頂きますよ!
新スレからスタートよろしくです!
12/13(Fri) 05:59
☆ごあいさつ☆
小春
おかげさまで、リレースレッド14です。
こちらのスレッドでは、ただいまリレーSS『アブナイ☆恋の学園物語』を開催中です。
桜田門学園高校に転校してきた櫻井翼が、イケメンな先生方や個性的な生徒たちと繰り広げる、参加型学園ラブコメディ!
皆さまふるってご参加ください(´∇`)
《ここまでのあらすじ》
学園祭『桜祭』、三日目の体育祭もいよいよ大詰め。
最終種目、全員参加の色別対抗リレーで、優勝チームが決定する。
MVPは誰の手に?
そして、後夜祭でダンスを踊る事が出来るのは誰なのか?
~主なメンバー~
☆緑(A組)……穂積
1A……翼、小春
3A……アンドロメダ、パープルドラゴン、ibu
☆白(B組)……藤守アニ
1B……とも、紅花
2B……如月、ジュン
3B……藤守、千春
☆青(C組)……明智
1C……ニコ
2C……細野、太田
3C……和音
☆赤(D組)……小野瀬
2D……小笠原
3D……空間
体育祭編いよいよ佳境!最初からクライマックス!のスレッド14、スタート!
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12/15(Sun) 05:25
☆最終種目、色別対抗リレー☆
小春
黒柳
『では、篠崎先生。色別対抗リレーについて、ルールのご説明をお願いします』
篠崎
『かしこまりました。最終種目は全員参加のため、広報委員が走り終えて戻って来るまで、実況は、黒柳理事長と、わたくし篠崎が担当させて頂きます』
黒柳
『よろしくお願いします』
大人の女性二人の、落ち着いた声のアナウンスに、会場から拍手が送られた。
篠崎
『色別対抗リレーは、いわゆる縦割りリレーです。
各学年のAクラスが緑組、Bクラスが白組、Cクラスが青組、Dクラスが赤組。
組の中での走る順番は自由で、この辺りの作戦も見所のひとつですね』
黒柳
『今日一日頑張ってきた選手たちにとって、最後の種目であるこのリレーは体力的にもかなりきついと思われますが、篠崎先生。
一人の走る距離はどのくらいですか?』
篠崎
『そうですね。このリレーの参加者は、各組90人。
予定ではそれぞれが半周走る事になっていましたが、今日の体育祭は接戦が続いたこともあって、予定時間よりかなり延びています。
そこで時間短縮のため、生徒一人が走るのはグラウンド四分の一周、100mになります』
篠崎の説明に、疲れの見える生徒たちから、わあっ、と安堵の声が漏れた。
が、黒柳の次の言葉で、その声は、失笑とともに萎んでしまう。
黒柳
『ただし、距離が短くなったということは、それだけ、バトンタッチの正確さや、瞬発力が問われる事になってしまいます』
篠崎
『その通りです。どんな展開になるか、楽しみですね。
ちなみに、各組には先生方も加わりますよ。
緑組は穂積先生、黒柳先生。
白組は藤守先生、ロバート先生。
青組は明智先生と、わたくし篠崎。
赤組は小野瀬先生とポール先生。
保護者チームは山田校長と鳥山先生が走ります』
黒柳
『では、校長。スタートの合図をお願いします!』
山田
「ハイ喜んでー。……では、位置についてー」
パァン、と山田の撃ち鳴らしたピストルの音で、最終種目の色別対抗リレーがスタートした。
12/15(Sun) 07:04
その頃の小春と空間センパイ。
小春
……おかしい。
空間は首を傾げていた。
それは、最終種目の色別対抗リレーが始まり、穂積が緑組の生徒たち一人一人に声を掛けて歩いているからでも、鳥山が、とも父たちと騎馬戦の話で盛り上がっているからでもない。
まして、明智が青組のメンバーに柔道の技をせがまれているからでも、藤守アニが白組の先生たちに熱い説教をかましているからでもない。
小野瀬が、さっきから、心配そうに生徒玄関を気にしているからだ。
空間
「……」
空間はその行動の理由を知っている。
着替えに行ったはずの小春が、一向に戻って来ないからだ。
……小春さんったら。
何をぐずぐずしているのかしら、と空間は思う。
空間は小春の心配などしてはいない。
してはいないが、小野瀬が小春を心配している。
空間は、小春を心配している、その小野瀬が心配でたまらないのだ。
……小春さんったら。
……何をぐずぐずしているのかしら。
空間はだんだんと焦れてきた。
あらゆる危機から小野瀬を守ることを信条としている空間にとって、今するべき事は、小野瀬の心配の種である小春の居場所を突き止める事。
幸い、色別対抗リレーで空間の走る順番はかなり後半。
全員参加のリレーは一組90人にもなる。
小春を探しにいくくらいの時間は充分にありそうだった。
家庭科室で着替えた小春は、あともう少しで生徒玄関という所まで戻って来た廊下で、数人の女子生徒に囲まれていた。
女子
「小春さん、どういうつもり?」
二年生と三年生に睨まれて、壁を背にした小春は、小さい身体をさらに小さくしていた。
女子
「あなた穂積先生派でしょ」
女子
「最近、小野瀬先生に気に掛けてもらって、調子に乗ってるんじゃない?」
女子
「明智先生の妹だってだけでも羨ましいのにさ」
女子
「小野瀬先生にまで可愛がられるなんて許せない」
女子
「胸ぺったんのくせに」
女子たちは口々に言って、小春の髪を引っ張ったり、「何とか言いなさいよ」などと言いながら小突いたりしている。
どうやら、陰湿なアオイストたちに捕まったようだ。
校舎に入った途端、空間には状況がすぐにわかった。
小春は真っ赤な顔をしているが、泣かずにじっと堪えている。
反論せず、彼女たちの気が済むまで言わせておくつもりらしい。
空間はちっ、と舌打ちをした。
バカな女子たち!
小野瀬ファンの風上にも置けない卑劣な行為は、空間の最も嫌うものだった。
そんな事をして何になるというの?
小野瀬先生が知ったら悲しむだけじゃない。
それしきの分別も無く、自分たちが小野瀬先生を守っているつもりなの?
ただの嫉妬で小春さんを苛めているだけなら、なおさら見苦しい。
いじめの理由に小野瀬先生を利用するなんて、言語道断だわ。
空間
「おやめなさい!」
全員が一斉に空間を見た。
そして次の瞬間、アオイストたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
この学園の小野瀬ファンなら、誰でも、空間の恐ろしさを知っている。
取り残された小春が、空間に駆け寄って来て深々と頭を下げた。
小春
「空間先輩、ありがとうございます」
空間
「小春さん、災難だったわね。さあ、早くグラウンドに戻りなさい」
小野瀬先生が心配しているから。
小春
「はい!」
何度も振り返り、お辞儀をして飛び出して行った小春と入れ代わるように、空間の前に現れたのは小野瀬。
おそらく、小春を探しに来たのだろう。
空間の胸はちくりと痛んだが、そんな痛みは、小野瀬に会えた事で雲散霧消してしまう。
小野瀬
「空間さん、ありがとう」
空間
「おのっ……え、いえ、と、当然の事わ、を、しただけで、す……」
小野瀬はにっこりと微笑んで、空間に手を差し出した。
小野瀬
「さあ、行こう。最後の種目だよ。一緒に、赤組で頑張ろうね」