『アブナイ☆恋の学園物語』
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09/01(Sun) 19:10
暑かったわ(;´Д`A
清香
保健室を出ると、穂積が思い出したかのように翼へ向き直った。
穂積
「そうだ。そう言えば今朝の話、覚えてる?」
翼
「今朝の話……ですか?」
新しい友人や教師に出会って、全てが一からな翼に『今朝』というキーワードだけでは伝わらなかったのだろう。
首を傾げる翼に穂積が「そう。」と笑顔を向ける。
穂積
「生徒会の話よ。この学園は生徒会に一定の自治権が与えられているわ。普段の生活だけじゃなく、体育祭や文化祭のイベントなんかも教師ではなく生徒会が実行委員と共に取り仕切るの。」
翼
「自治権…ですか?」
穂積
「そう。細々とした校則の見直しや施設の問題から、イベントの把握、時には他の委員会や部活の応援にまで駆り出される、まぁ『何でも屋』みたいなものかしら。」
なんだか楽しそうに話す穂積の姿に、思わず翼は顔を曇らせてしまう。
穂積
「ん?どうしたの?」
翼
「そんな大事な所に、私みたいな来たばかりの生徒が務まるとは思えないんですが…。」
みんな良くしてくれるとはいえ、学園内の教室すら把握しきれておらず、誰か一緒にいてくれないと迷子になってしまうのが現状だ。
まだまだ不安の比重が大きいのに、学園の根幹に関わる生徒会になど参加出来るのか。
翼
「逆にご迷惑をかけることになってしまうと思うんです。」
キッパリと言い切った翼に、穂積は嬉しそうに綺麗な笑みを浮かべた。
穂積
「だから、よ。何も知らないからこそ何か変えられると思わない?今日一日、担任として見てきたから言うけれど、櫻井なら出来るとワタシは思うわ。」
翼
「そう言われましても…。」
本来ならば喜ぶべき所なのかもしれない。
学園内でも人気の穂積にここまで言って貰えるなんて、きっと大勢いる穂積のファンからしてみれば垂涎の的だろう。
しかし翼には穂積の評価が自分には過大すぎるように思えて仕方がない。
穂積がここまで翼を推す根拠も見えなければ、職務を全うできる自信も翼には無いのだ。
翼
「穂積先生、他の人にお願いして下さい。」
あくまでも首を縦に振ろうとしない翼に、穂積は綺麗な笑みのままとんでも無いことを言い放った。
穂積
「…そう。そんなに嫌がってるのに申し訳ないけど、もう決まっちゃったから。」
翼
「……はい?」
穂積
「昼休みの時に生徒会長の藤守にも伝えておいたし、職員室でも櫻井が生徒会に入る事を報告してあるから。」
翼
「え、えぇっ!?」
『なんでそんな事に…』とあっけに取られて言葉も出せないでいる翼の肩を、穂積がポンっと叩く。
穂積
「やるだけやってみなさい。私もしばらくは顔を出してあげるから。」
「さぁ、忙しくなるわねぇ。」と呟きながら揺れる穂積の背中を、翼は重い気持ちで見つめたのだった。
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09/02(Mon) 01:52
毎度の寝落ち
とも
キーンコーンカーンコーン。
それから授業はあっという間に終わって放課後。
小春は昼間の出来事のあとからずっと顔をしかめていた。
櫻井
「小春ちゃん、まださっきの事気にしてるの?」
小春
「……」
穂積
「ったく、しょうがない子ね。わざとからかっただけなんだから本気にしないの」
ツカツカと歩いてきた穂積は小春の頬をつまんでタコの口のようにした。
小春
「やめれくらふぁい~」
櫻井
「ちょっ、穂積先生!そんなことしちゃ可哀想ですよ!あの、それより私はホントに生徒会に入らなくちゃいけないんでしょうか?」
翼が話題を少しでも反らそうと自分の生徒会入りの話を振ると、穂積は満面の笑みで小春の顔から手を離した。
穂積
「あら、やる気を出してくれたの?嬉しいわ。今から生徒会室に案内するからついてらっしゃい?」
小春
「翼、生徒会に入るの?すごいじゃない!」
穂積
「この学園の事を知らない生徒の方が何かいいアイデアを出してくれるんじゃないかって思って、やってみないか?って誘ったのよ」
櫻井
「私なんかとても生徒会のお仕事が務まるとは思えないんだけど…」
まだ引き受けた訳じゃないのにあらぬ方向へ話が進んでいくので、翼の顔は徐々に険しくなっていく。
小春
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。困ったことがあれば先生や生徒会の先輩方が助けてくれるって」
穂積
「そうよ~、いざとなれば小春にも手伝わせたらいいんだから」
ニヤリと笑うその微笑みは翼のみならず小春までも背筋を凍らせた。
小春
「え?!わ、私は出来ませんよ? それなら他にできそうな子がいるじゃないですか?」
穂積
「そう?二人ならやっていけると思うんだけど、残念ね」
ガラガラ。
とも
「あ、いたいた。穂積先生!」
穂積
「あぁ、とも。ちょうどいいところに来たわ~(ニヤリ)」
穂積の微笑みに既に何度となく痛い目にあわされているともは反射的に後ろに後ずさった。
とも
「…あの、何でしょうか?」
穂積
「アンタも櫻井、小春と一緒に生徒会やりなさい」
とも
「えぇー?!」
09/02(Mon) 05:48
おはようございますヽ( ̄▽ ̄)ノ
小春
くちびるさん、清香さん、ともさん、ありがとうございます。
小春、いじられキャラとして定着してきたなあ(笑)
☆放課後・教室☆
とも
「穂積先生、私、野球部のマネージャーなんやけど!」
穂積
「知ってるわよ。ワタシが顧問なんだから。だからこそ融通を利かせてあげられるわ」
小春
「あのー、私は家庭科部で図書委員なんですけど」
穂積
「知ってるわよ。ワタシは担任なんだから。明智にも図書委員会にも話は通しておくから」
穂積は翼同様、ともと小春に対しても強引だ。
翼はハラハラしていた。
完全に自分が生徒会に入る前提で話が進んでいる上に、友達まで巻き込む羽目になってしまいそうで。
如月
「あっ、いたいた!翼ちゃーん!」
その時、廊下から、元気な声が翼を呼んだ。
如月
「迎えに来たよー!」
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09/02(Mon) 08:04
おはようございます!
くちびる
今日も元気に仕事なう!
穂積先生ってば、もう本当に強引なんだから!翼ちゃんと小春ちゃんとともちゃんはすっかりトリオですねー♪
如月先輩と生徒会室でガ-ルズト-クで盛り上がってそうですねー♪
[削除]
09/02(Mon) 09:06
くちびるさん(^-^ゞ
小春
巻き込まれトリオvs穂積。
勝負は見えてます(; ̄ー ̄A
まだ、他にも同級生がいそうな気がするんですけどね。きっと風邪かなんかで休んでるだけで(笑)。
さー、今日も頑張りましょう!
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09/02(Mon) 17:11
こんにちは
とも
とも
「しゃあないなぁ」
小春
「女子が3人なら大丈夫かな」
2人が穂積の頼みを快諾したところへ、2年の如月がやって来た。
穂積
「あら、先輩が直々に迎えに来たわよ。如月、櫻井と、あとこの二人も今日から生徒会の仕事をさせるから、一緒に連れていってちょうだい」
如月
「ハイハーイ♪女の子が一気に3人も増えるなんて楽しそーだよね。えっと、小春ちゃんとともちゃんだね。ヨロシク~」
とも
「如月先輩、小春の事はともかく、私の事まで知ってはるんですか?」
如月
「そうだよ~、生徒会はこの学園の生徒の事も全部把握してるんだよ。まぁ、副会長がデータベースから作ったのを見てるだけなんだけどさ」
小春
「へぇ。副会長って小笠原先輩ですよね。さすがだわ」
穂積
「櫻井はどんな生徒か気になるんでしょうけど、とりあえず生徒会室に行けばわかるわ。如月、後は頼んだわよ」
如月
「じゃあいこっか。会長、喜ぶだろうなぁ」
(どうしよう、なんか小春ちゃんとともちゃんを巻き込んじゃったのに、2人とも全然嫌がってないみたい。でもせっかく仲良くなれたし、一緒なら楽しいかも。)
3人の後ろでそんなことを考えながら、翼は両手をギュッと握って後を追った。
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09/03(Tue) 08:49
今回はみんなスローペース
とも
~生徒会室~
如月
「さぁ入って入って。藤守先輩~、連れて来ましたよ~」
生徒会室には背の高い、真っ黒に日焼けした男子生徒が待っていた。
???
「やぁ、いらっしゃい。ボクが生徒会長の藤守賢史です。よろしく。仕事の事は少しずつ覚えてくれたらいいからね」
如月
「先輩、女の子の前だからって、そんな言葉遣いやめてくださいよ。イントネーションおかしいですって」
藤守
「そうかな?普通にしてるんだけど?」
とも
「会長、そんなんで関西人オーラを隠そうとしたって私は騙されませんよ~。ダダ漏れしてますから!」
藤守
「うっ、こんなに早くにバラさんでもええやろ~。第一印象が肝心なんやから」
小春
「翼ちゃん、会長の藤守先輩は関西出身なんだよ。それに陸上部のキャプテン」
櫻井
「そうなんだ」
生徒会室に入るなり繰り広げられたやりとりについていけないでいると、小春が隣で教えてくれた。
ともは最初から話し方で関西出身だとわかったのだが。確かに藤守の話し方には違和感がある。
櫻井
「藤守先輩も普段通りの話し方の方がいいのにね。なんで隠したがったんだろ?」
小春に向けて小声で話しかけたつもりだったが、本人にもバッチリ聞こえてしまったようで、すごい勢いでこちらに振り向いた。
藤守
「今言うたん、ホンマか?! なぁ?」
???
「もう少し静かにできないの?廊下まで丸聞こえだよ」
入り口には眼鏡をかけた男子生徒が険しい顔で立っていた。
09/03(Tue) 11:06
ともさん連投ありがとうございます。
小春
やっぱり藤守さんの登場シーンはともさんですよねヽ( ̄▽ ̄)ノ。
おそらく、今回のリレーはいつもより長くなります。もしかするとエンドレスです。
のんびり参加して下さいませ。
☆生徒会室☆
小春
「(小声)二年生の小笠原先輩だよ。生徒会の副会長なの」
今度は小春が先回りして説明してくれる。
翼
「(小声)頭良さそう」
独り言のように囁いた翼に、小春が頷いた。
小春
「(小声)天才だって。お兄ちゃんが言ってた」
小笠原
「うちの生徒会は慢性的に人手不足だから、新入は歓迎だけどね」
小笠原の発言に、翼がホッとしたのも束の間。
小笠原
「使えないのはいらないよ。悪いけど」
バッサリと切り捨てるような言葉に、小春は翼に擦り寄るように手を握ってきて、ともは藤守の顔を見上げた。
如月
「小笠原さん、相変わらずきっついですねえ」
白けかけた場を救ったのは、如月の明るい声。
如月と小笠原は同級生のはずなのに敬語なのは、小笠原を茶化しているのか、それとも敬意を表しているからか。
おそらく両方だろう。
如月を振り返った小笠原が何か言いかけたが、それを遮ったのは、藤守の咳払いと大きな声だった。
藤守
「小笠原、誰かて最初は何も知らんねん。まして櫻井は転校初日やぞ。そんな言い方したらあかん」
小笠原
「……そうだね。ごめんね」
藤守の言葉に納得したのか、小笠原は意外と素直に頷いて、三人に謝罪した。
先輩からの謝罪に恐縮しながらも、翼と小春は安堵の息をつき、ともは惚れ惚れとした顔で藤守を見ている。
藤守
「とりあえず、櫻井はまず校舎の造りや生徒の様子なんかを見て、学園の事を覚えるのが先やな」
如月
「だね。その間に、ともちゃんと小春ちゃんには、滞っている仕事を手伝ってもらおうかな。小笠原さん、それでいいですか?」
小笠原
「了解」
こうして、三人は、生徒会役員として働き始めたのであった。
[削除]
09/04(Wed) 05:00
とほほ。
清香
自分から始めたのに忙しくて続けられませんでした。
ともさん、小春さん、ありがとうございます。
今回はどこでオチをつけるかまったくノープランです。なんなら付属の大学まで行っても良いかもしれません(笑)
それくらい長くなるかもしれませんので、まったりと行きましょう。←
☆生徒会室☆
生徒会に入ったとはいえ、翼は入学初日。
ともと小春も、学園内の事は少しは分かっているもののまだ入学して半年も経っていない。
3人にとっては参加した事の無い行事、知らない委員会や部活だらけだ。
如月
「じゃあ、百聞は一見に如かずってことで、校内探検に行きますか!」
『パンッ』っと手を叩いた如月が立ち上がると、つられるように女子3人も立ちあがった。
小笠原は全く興味なさそうにパソコンへ向けた視線を動かそうとはしない。
藤守
「せやなぁ。じゃあ俺も部活に顔出してこようか…ブッ!!」
大きく伸びをして部屋から出ようとした藤守とタイミングを合わせたかのように、生徒会室のドアがいきなり大きく開いた。
向かってくるドアを避けきれず、ぶつかった藤守が鼻を抑えたままうずくまる。
藤守
「~~~~ったぁー!誰やッ!せめてノックくらいすんのが当たり前やろ!!」
穂積
「あらぁ、ごめんなさいね。いたの?」
全く悪びれた様子の無い穂積がのんびりとした口調で生徒会室に入って来た。
穂積
「無事に顔合わせできたようで良かったわ。小笠原もちゃんとに来て偉いじゃない。」
パソコンの陰に隠れる小笠原へ、小さな子供にするように頭を撫でると穂積はどっかりと会長の席に腰を下ろした。
藤守
「穂積先生、なんなんですか、いきなりっ!」
穂積
「何よ?新人たちが心配だから見に来たんじゃない。文句ある?」
藤守
「いや、無いですけど…、って、そこ俺の席ですやん!!」
穂積
「元は俺の席だ。俺が革張りの椅子にしてやったんだから、座る権利はあるぞ?」
『ふふん』っと笑う穂積に返す言葉の無い藤守。まるでいつもの事だと苦笑いする如月に、我関せずな小笠原。
何だかよく分からずに呆気にとられているだけの女子3人に説明をしてくれたのは。
小野瀬
「穂積も俺達も、この学園の卒業生なんだよ。」
篠崎
「そうそう。もう何年前の事か忘れちゃったけどね。」
ニッコリと笑いながら入室してきたのは、小野瀬と篠崎だった。
二人の姿を見た瞬間、小春がサッっとともの後ろに隠れる。
小野瀬
「おや、悲しいなぁ。そのリアクション。」
篠崎
「さっきはふざけすぎてごめんなさいね?」
『これはお詫びのシルシよ。』と手渡されたのは、近所でも人気のケーキ屋のロールケーキだった。
人気でいつも売り切れなその品をどう手に入れたのかは分からないが、初めて見る逸品に小春の目が輝く。
小野瀬
「美味しい紅茶、淹れてくれないかな?」
明智
「俺がやる。」
小春の肩に置こうとした小野瀬の手を制したのは明智だった。
小春
「お兄ちゃん!!」
小野瀬
「おや、早い。」
明智
「あなたも同じくらい早いですね。」
篠崎
「あら、小野瀬君ってそんなに早い?どちらかと言えば遅いんじゃない?」
穂積
「コラ。」
如月
「ま、まぁ、せっかくですからお茶にしましょ、ね?」
再び険悪になりそうな二人を如月が止め、ケーキと紅茶を任された明智兄妹が戻って来るころには和やかなムードが漂っていた。
とも
「穂積先生が生徒会長だったんですか?」
穂積
「そう。で、小野瀬が副会長、篠崎が会計、明智が書記だったわ。あの頃はもっと生徒数が少なかったから問題もあんまりなくって、平和だったわよ。ねぇ?」
篠崎
「いつも勝手なことばっかりする会長の子守をしてた気がするけど?」
穂積
「んなことねぇよ。」
バツの悪そうな顔をして明智から紅茶を受け取ると、穂積がぐるりと生徒達を見渡した。
穂積
「まぁ、今は生徒も増えたし要望も多様化してるわ。だからこそ人手がいるの。このメンバーでできるわよね?」
小野瀬
「穂積の人を見極める眼は確かだと思うよ。俺達もOBとして協力するから。」
篠崎
「やってみなくちゃ、ね?」
緊張した面持ちの生徒と同じように渋い顔をする明智の背中を篠崎が叩く。
明智
「学園のためとはいえ、あまり掛け持ちをするのは賛成できないが…。」
小春
「お兄ちゃん、私、がんばるから!」
ぎゅっと手を握りしめてそう声高に宣言した小春に、明智はもう二の句が告げられないでいた。
結局は妹に甘いのだ。
とも
「わ、私もがんばります!!」
篠崎
「そうこなくちゃ!」
穂積
「部活との兼ね合いも忘れないでね?」
つられたように宣言するともを抱きしめる篠崎の頭越しに、穂積が一応部活の顧問としての言葉を忘れずに付け加える。
篠崎
「横暴よねー。」
とも
「あははっ。」
穂積
「…で、櫻井は?」
ずっと黙ったままでいる翼の顔を、穂積が長身を曲げながら覗きこんだ。
柔らかくカーブを描いた口元は美しく、眼もとには自信が溢れている。
不思議と、抱えていた不安や怖いものなんて消えてしまうようだった。
翼
「はい!がんばります!!」
自然に浮かぶ翼の笑みに、穂積が満足そうに紅茶の入ったカップを高く掲げた。
穂積
「よし!新・生徒会に乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
カチンと合わさるカップの音は、すぐに楽しげな話し声にかき消されたのだった。
[削除]
09/04(Wed) 09:06
おはようございます!
くちびる
昨日は寝落ちで絡めなかった。
話しは大学まで続くんですか?のんびり進んで行くんですね♪
楽しみにしてます!
今から仕事なんでまたのちほ~←二-ナ王女風
(笑)
[削除]
09/04(Wed) 09:14
おはようございます
とも
私も今から仕事。
の前に。
午後の優雅なティータイムをそれぞれが楽しんでいると、翼が不意に思っていた疑問を投げかけた。
翼
「あの、ちょっと質問なんですけど…」
穂積
「何?」
翼
「この学園の生徒会には結構大きな権限が与えられているって伺ったんですけど、それって何の為なんですか?」
如月
「そう言われてみれば、ちゃんと考えたことないなぁ。俺って何で入ったんだっけ?」
藤守
「俺もや。気づいたら穂積先生に引きずり込まれたカンジやったからな」
小笠原
「俺なんてやるなんて一言も言ってないよ」
穂積
「……」
後輩3人からチラリと視線を受けた穂積はあさっての方向を向いている。
小野瀬
「まぁ何でこの3人を選んだかはおいといて。確か、俺たちの時代にはもう今の体制になってたんだよね」
篠崎
「そうね。前の学園長が発案したって聞いたことがあるわ。もっとも、生徒の自立心を高めるだとか、自分でいろいろ動くのがめんどくさいからだとか理由はよくわからないけど」
なんだか思っていた答えが返ってこない事に怪訝そうな翼の頭を穂積が撫でた。
穂積
「さっそく学園の事をわかろうとしてくれて嬉しいわ。なんにせよ自分たちで学校を作っていくなんてよその学校じゃできないことよ。ワタシたちもサポートするから頑張ってみて。さ、ティータイムはおしまい」
パンッと手を叩いて立ち上がった穂積を見上げると、こちらを向いてニッコリ微笑んだ。
穂積
「今からビシバシいくわよ~」
[削除]
09/04(Wed) 11:54
まだ初日ですけど(笑)
小春
くちびるさん、登場お待ちしてますよ。
そして放課後からお茶飲んでて、まだ初日は終わらないのか(笑)
☆校内探検☆
翼
「あの、今からビシバシって……」
穂積
「如月」
如月
「えっ?……あ、ハイハーイ。さあ三人とも、校内探検に行こう!」
穂積の言葉に、如月はさっき自分が提案した事を思い出した様子だ。
明智
「え、今からか?」
明智は日が暮れかけた窓の外と、翼とともと小春、そして穂積の顔とを順番に見てから、眉をひそめた。
穂積
「仕方ないわよね」
小野瀬
「伝統だからねえ」
篠崎
「大丈夫、大丈夫」
翼、とも、小春
「……?」
顔を見合わせる三人を、如月が、背中を押すようにして生徒会室から連れ出した。
如月
「じゃあ、これからさっそく、『桜田門学園七不思議☆アブナイ校内探検ツアー』に出発しまーすっ!いえーい!」
とも
「いえーい!!」
小春
「えっ?」
翼
「えええぇーーっ?!」
09/05(Thu) 18:02
☆校内探検☆
小春
物凄い勢いで生徒会室に駆け戻ってきた翼と小春は、篠崎と明智にそれぞれしがみついた。
篠崎
「どうしたのぉ二人とも?」
翼
「イヤイヤイヤ!七不思議とか絶対にイヤです!!」
よほど怖いのか、翼は真っ青な顔で震えている。
翼
「そもそも、校内探検って言ったら玄関から入って、一階か最上階から始めるものじゃないんですか?なんで七不思議から?!」
如月
「だって、その方が面白いじゃん!大丈夫!俺、実はそういうの見えるタイプなんだよね!」
翼・小春
「イヤー!!」
藤守
「アホ、逆効果や!」
藤守が、如月を小突いた。
小野瀬
「小春さんも、お化けとかダメなの?」
明智のシャツに皺が寄るほどしがみついている小春を、小野瀬が覗き込む。
こちらも逆効果ではないかと思うのだが、藤守もさすがに小野瀬にはツッコまない。
小春は小さい身体をいっそう縮こまらせて、頷いた。
小春
「私、オカルトやホラーは嫌いです。霊感は無いですけど、宇宙人とか妖怪とか雪男とか信じる派なんです」
小野瀬
「つまり、幽霊もいると思ってる?」
小春はこくこくと頷く。
小春
「幽霊をからかってはいけないんです」
篠崎
「ここの七不思議に、幽霊絡みのはあったかしら?小春さん、知ってる?」
小春
「……七不思議かどうかは知らないですけど、夜、真っ暗な保健室から苦しそうな喘ぎ声が聞こえるとか、誰もいないはずの理科準備室で、何かがガタガタ揺すれるような物音や女の人の泣き声がするとかいう噂を聞いた事があります」
翼
「イヤー!」
しかし、小春の話を聞いて、そこにいた人間のうちの数人が眉をひそめた。
穂積
「それは篠崎と小野瀬が」
篠崎
「あー!!穂積くんストップ!」
小野瀬
「そうそう!えーと、じゃあ、保健室と理科準備室はやめて、他の五つを探検してくるといいよ。ねっ?」
翼・小春
「イヤー!」
とも
「ええやん、二人とも行こう?私が守ってあげる!」
翼・小春
「ともちゃん……」
小野瀬
「ともさんは平気なタイプなんだ」
とも
「だって面白そうですやん。なんなら、理科準備室の幽霊にも会ってみたいです、ふふふ」
小野瀬
「ははは……」
[削除]
09/06(Fri) 03:25
無理やり初日終了(笑)
とも
如月
「うーん、二人がこんな調子じゃ探険できないよ~」
藤守
「せやな。もう遅いし、今日はここらで終わろか?」
全員
「はーい」
それぞれが生徒会室の片付けをしていると、バァーンと派手にドアが開いた先に今朝校門で出会った教師が立っていた。
アニ
「貴様ら今何時だと思ってるんだ!下校時刻はとっくに過ぎているぞ!」
穂積
「あら、アニ。言っとくけど、この子たちは何も悪くないわよ。それに生徒会のメンバーには下校時刻なんて関係ないの知ってるデショ?」
アニ
「くっ、お前らまでいたのか。まぁいい。片付いたならさっさと帰れよ」
苦虫を噛み潰したような顔で出ていった教師を見送ると、同僚たちはため息をついた。
篠崎
「ホントに真面目過ぎるわねぇ」
穂積
「自分が早く帰りたいだけなんじゃないの?」
小野瀬
「あんなこと言ってるよ、藤守くん」
藤守
「ホンマにあんな兄貴ですんません」
櫻井
「えっ、お兄さん?!」
小野瀬
「そう。藤守くんの兄で藤守慶史。彼はここの卒業生じゃないんだけど、藤守くんが入学してきてから赴任してきたんだよ。で、紛らわしいから俺たちはアニって呼んでるって訳」
今日一日で何回驚いただろう。明日から大丈夫なんだろうかと考えていると、ブレザーの内ポケットで携帯が震えていることに気づいた。
櫻井
「いけない、もう帰らなくちゃ!」
とも
「えー?まだ6時やで?」
櫻井
「私の父が門限に厳しくって、帰りが遅いとこうやって携帯にかけてくるの…」
小春
「大変そうだね…」
穂積
「しょうがないわね。櫻井、家までワタシが送って行くわ」
櫻井
「そんな!ご迷惑じゃ…」
穂積
「大丈夫よ。担任としても挨拶しておきたいし、安全でしょ?」
明智
「じゃあ小春、俺たちも帰るぞ」
小春
「うん」
藤守
「ともは学園寮やったな。ほな俺らと一緒に帰ろか?」
とも
「はーい。よろしくお願いします!」
篠崎
「じゃあ私は小野瀬くんに送ってもらっちゃおっかな~」
小野瀬
「ハイハイ、お姫様たちは皆とられちゃったからね」
こうして転校初日は終わっていったのだった。
[削除]
09/06(Fri) 20:48
まだ終わらなかったりして。
小春
☆櫻井家☆
翼
「ただいま!」
翼が玄関の扉を開けると、奥からのんびりした母の声と、けたたましい父の足音が迎えた。
母
「お帰りなさい、疲れたでしょ?」
父
「遅い!初日から何をやってるんだ!」
文句を言いながら玄関先に顔を出した父親は、翼とその後ろに立つ穂積を見た途端、絶叫と呼んでもいい叫び声を上げた。
父
「ぎゃー!」
穂積
「ご無沙汰しております、お父さん」
父
「ほ、ほ、ほ、穂積?!」
穂積が丁寧に頭を下げる。
穂積
「今日は娘さんを遅くまで引き留めてしまい、お父さんにもご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」
父
「お前に『お父さん』と呼ばれる筋合いは無い!」
よほど動転したのか、父親は靴下のまま土間に飛び降り、翼を抱えるようにして玄関先に上がらせた。
そのまま、ぐいぐいと翼を奥へ押し込もうとする。
父
「どうしてお前がうちの娘と一緒にいる?!」
母
「お父さん、失礼ですよ。翼の担任の先生じゃないですか、ねえ」
父
「た、担任?!」
母
「私はお会いしてますよ、転入の手続きの時に」
おっとりと現れた母親は、屈んで穂積にスリッパをすすめながら、頭を下げた。
母
「主人が失礼を申しましてすみません。娘を送って頂き、ありがとうございます」
穂積
「恐れ入ります」
ほのぼのと言葉を交わす母親と穂積に、父親は卒倒寸前だ。
父
「こいつはな!私の昔の赴任先の近所に住んでいた、とんでもない悪ガキなんだ!それが、教師だと?日本の教育制度はどうなってるんだ!」
穂積
「お母様、せっかくですが、わたしが長居しますと、ご主人のお身体に障りそうですので。もう、ここで失礼致します」
母
「あらぁ、まだお茶も差し上げてませんのに。本当に申し訳ありません」
父
「お茶もスリッパもいらん!塩だ塩!塩を撒け!」
翼が、すうっと息を吸った。
翼
「お父さんっ!」
翼に一喝されて、父親は跳び跳ねた。
翼
「穂積先生は、生徒会の仕事で遅くなった私を、わざわざ家まで送ってきてくださったの。それなのに、お礼も言わずに失礼な事ばかり言って!」
父
「生徒会?!し、しかし……」
目に入れても痛くない一人娘に諭されて、父親はたちまちトーンダウンした。
父
「う、むむ……」
翼は父親が謝るまで許さないつもりのようだったが、穂積の方が、おかしくてたまらないという風に翼を宥めた。
穂積
「櫻井、お父さんを責めたりしてはいけない。わたしが事前に、遅くなる事をご連絡しておくべきだったんだ」
翼
「いいえ、父が頑固だからいけないんです!」
頑固なのはその父親譲りらしい。
翼はまだぷんぷんしていたが、すっかりしょぼくれた父親に代わって、母親が間に入った。
母
「先生、今日はどうもありがとうございました」
穂積
「いいえ。では、失礼致します。櫻井、また明日学校でな」
翼
「はい!ありがとうございました!」
外へ出て穂積の車が見えなくなるまで見送り、再び玄関に戻ってきた翼に、父親がぽつりと呟いた。
父
「……翼、転校しないか?」
翼
「し、ま、せ、ん!」
[削除]
09/08(Sun) 04:59
お久しぶりです。
清香
翌朝、登校してみると席に着いた途端にクラスメイトに囲まれてしまった。
話の内容はどれも生徒会に関してのものばかりで、この学園の生徒会の持つ意味合いを嫌でも認識させられてしまう。
クラスメイトA
「すごいね、どうやって生徒会に入れたの?」
クラスメイトB
「どんな事をするの?私もお手伝いできない?」
どうしたもこうしたも、穂積先生の鶴の一声で参加させられてしまった翼にとっては、逆に参加出来た理由や具体的に何をしなければいけないか聞きたいくらいだ。
昨日は結局顔合わせをし、お茶を飲んだだけで初日が終わっていた。
今日から何か行動をしなくてはいけないのかとは思うが。
キーンコーンカーンコーン
穂積
「さぁ、授業を始めるわよ。今日は教科書の34ページからね。」
転校してきたばかりの翼にとっては、授業の進度も教科書すらも前の学校とは違うのだ。
今までそこそこの成績を修めてきてはいたし、進学校だと聞いていたのでそれなりに予習もしてきたのだが、やはり戸惑う部分も多い。
(ペースが速い……)
4月の入学から考えれば数カ月の差なのに、こんなにも難しいなんて。
助けを求めるようにちらりと近くの席に座る小春に目をやるも、英語が苦手な小春も苦戦しているようで必死な顔つきで黒板を見据えている。
(これは困ったな…。)
どうしたものかと思っていると。
穂積
「大丈夫?ついて来れてる?」
書きかけのノートに長い指がトンッと置かれて、翼は初めて穂積が教壇から自分の隣へと移動していた事に気がついた。
穂積
「英語と数学は進み方に差が出やすいから、分からない事があったらいくらでも聞きなさい。授業が終わった後でも、放課後でもいいから。」
ポンっと肩に乗せられた穂積の温かな手が、強張っていた翼の緊張を解いていく。
クラスメイトA
「えー、先生!私も教えてほしいです!!」
クラスメイトB
「私も!!」
人気のある教師の放課後の補習ならば、誰しもが受けたいところだろう。
次々に手を挙げる生徒達に穂積は笑顔を浮かべた。
穂積
「春からこれだけ教えていても、アンタ達はまだ分からないって言うのかしら?」
バキバキと拳を鳴らしながら言う穂積の姿に一部の生徒は怯え、また一部の生徒は歓喜に目を輝かせる。
穂積
「ったく、分からないなら、何が分からないのかきちんと考えてから質問に来なさいよ。」
翼だけではなく、クラス全員に向けられた言葉ではあるのだが、その言葉が翼の胸へと染みていった。
小春
「翼ちゃん、穂積先生の補習を受けるんだね。」
翼
「そうなるの…かな?」
授業終了後、近づいてきた小春が小さな声で耳打ちをした。
中学生用の英語のドリル提出を命じられている小春も、言うなれば穂積の特別補習を受けているのだが、やはり直接教えてもらうのは訳が違う。
穂積は部活や生徒会の顧問もし、クラスも担任としても受け持っているのだから本来ならば補習を行う時間など無い。
実際に今現在も、分からない所があったと大勢の生徒に囲まれ身動きすら取れない状況だ。
翼
「でも、ご迷惑かけるといけないから出来る限りは自分で頑張ってみるよ。」
小春
「…そう?無理しないでね?」
次の授業の支度をしながら、翼は少しだけ笑顔を浮かべたのだった。
[削除]
09/08(Sun) 11:05
☆放課後・教室☆
小春
翼が約束通り穂積の補習を受けていると、廊下の窓にひょっこり小さい頭が現れて、ノックの音がした。
穂積
「はい、どうぞ」
翼
「あ、小春ちゃん!」
教室の前扉を開けて、ニコニコしながら入って来たのは、部活に行ったはずの小春。
白く小さな手には、何やら紙袋を提げている。
小春
「失礼します。あのね、部活で照り焼きハンバーガーを作ったの。だから、差し入れです」
そう言って小春が紙袋を開くと、濃厚な香りがふわんと溢れた。
それは、穂積と翼が思わず前のめりになって覗き込んだほど、美味しそうな匂いで。
翼
「いいの?」
小春
「うん。生徒会のみんなや先生たちにも食べてもらおうと思って、たくさん作ったから。翼ちゃんも食べてみてね」
穂積
「明智が指導して小春が作ったのなら、間違いなく美味しいわよ。ありがとう、小春。櫻井、熱いうちに頂きましょ」
翼
「はい」
教室でハンバーガーなんて、何だか楽しい。
小春
「飲み物は、アイスティーで良ければ、用意してきました」
穂積
「ありがとう」
穂積に頭を撫でてもらって、小春は嬉しそう。
小春
「あと、これ、今週の分のドリルです」
穂積
「偉い、偉い。この調子なら、もうすぐ中学二年生になれるわよ」
小春
「ありがとうございます!頑張ります!」
穂積と翼に紙コップでアイスティーを注ぐと、小春はぺこりと頭を下げてから翼を見た。
小春
「じゃあ私、先に生徒会室に行ってるね。翼ちゃん、頑張って!」
ぶんぶんと手を振ってから、小春は教室を駆け出して行った。
穂積
「小春!廊下を走るとまた転ぶわよ!」
小春
「はーい!」
遠くから聞こえた小春の返事に、穂積と翼は顔を見合わせて笑い、それから、二人して差し入れのハンバーガーを頬張った。
翼
「美味しい!本当に凄く美味しい!」
こんなに美味しい照り焼きハンバーガーを食べた事がない。
穂積
「明智の家は、小春が生まれる少し前にお父さんが亡くなってね。お母さんは家計を支える為に忙しくて、だから、明智が一切の家事を引き受けてきたのよ」
初めて聞く小春と明智の家庭の事情に、翼は口の中のものをごくりと飲み込んだ。
穂積
「しかも、明智は妥協しないタイプだから。料理も掃除も裁縫も、その道のプロ顔負け。小春は明智が大好きだから、くっついているうちに、自然と家事をこなすようになったわけ」
そうだったんだ。
翼
「それなのに、生徒会にまで引っ張り込んじゃって、悪かったですよね……」
穂積
「小春を生徒会に引っ張り込んだのはワタシよ?櫻井は気にしなくていいの」
小春も、ともも、快く引っ張り込まれてくれたから、納得しかけていたけれど。
本当に良かったのかな。
穂積
「あの子たちなら出来ると思ったから誘ったのよ。小春も、ともも、大変な時でもその中で楽しむタイプだから、大丈夫」
翼
「ともちゃんも小春ちゃんも、穂積先生が好きだから、先生に頼まれたから、生徒会に入ってくれたんですよ」
何気なく言ってしまってから、翼はハッとした。
これ、言って良かったのかな。
けれど、穂積は全く動じないで、笑顔を返しただけだった。
穂積
「ともにとってのワタシは、多分、アイドルのようなものよ。小春にとっては、兄である明智に近い、まあ、お父さん、ってところね。そういう、『好き』じゃないのかしら」
穂積の説明は、翼の胸の中にすとんとおさまった。
けれど同時に、同じ場所からもやもやとした物が生まれた事にも、翼は気付いていた。
それなら、私は?
私が穂積先生を見ると感じる、この、温かくて、くすぐったくなるような気持ちは何だろう。
ひなたに干した布団に顔を埋めた時のような、懐に小さな猫を抱えた時のような。
穂積
「食べ終わったら続きからやるわよ」
翼
「は、はい!」
穂積の声に、翼は急いで差し入れの残りを頬張ると、再び、教科書を広げたのだった……。
09/08(Sun) 20:20
やっと時間が取れた!
くちびる
ここ数日バタバタと忙しくて、なかなか絡めなかったです。(言い訳)
いつの間にか初日終了してましたねぇ....!!
こっこの展開はルイルイと翼ちゃんの恋物語になるのかしら♪キャッ(*^^*)
壁の向こうからそっと覗いてますね♪
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09/08(Sun) 20:36
くちびるさん!ザザーッ(空振り)
小春
エミさんに続いてこっちでも逃げられた!Σ(ノд<)
みんな壁の向こうから見てるだけだと、今にとんでもない事になりますよ!
知りませんよ?!
絡んでってよー゜・(つД`)・゜
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09/09(Mon) 09:07
おはようございます
とも
土日はいろいろ用事がありすぎて全く絡めへんかった(T_T)
~教室~
穂積先生の補習授業は昼間の授業とは違い、私に合わせて教えてくれているのでとても分かりやすく、あっという間に終わってしまった。
穂積
「今日はここまでね。ワタシはこれから部活の様子を見て、ともを生徒会室に向かわせるから片付けが終わったら櫻井も行ってきなさいね」
櫻井
「はい、あの、ありがとうございました」
教科書を持って颯爽と出ていく穂積を見送り、翼も教室を後にした。
「翼~!!」
生徒会室までの廊下を歩いていると、後ろからともが追いかけてきた。
とも
「お疲れさん。穂積先生の補習、どうやった?」
翼
「え?何でともちゃん知ってるの?!」
とも
「あはは、さっき穂積先生が私と交代でグラウンドに来たときにそない言うてはったから。なぁ、先生の教え方、めっちゃ分かりやすかったやろ?」
翼
「うん。前の学校よりも進んでたから初めは戸惑ったけど、これなら大丈夫そう」
とも
「そんならよかったわ。もし穂積先生が忙しそうな時は、私でもよかったら少しは教えてあげられるから、いつでも言う」
翼
「ありがとう。ともちゃんは英語得意なんだね」
とも
「そやで~、これでも海外留学目指してるんやからね。ウチの学校、大学もあるんやけど、ニューヨークとロサンゼルスにも姉妹校があって、頑張ればそこに編入できるねん」
翼
「へぇ~」
部活と生徒会の両立に勉強まで。いつそんな時間があるのかと考えていると、ともはニッコリ笑って言った。
とも
「もしかして自分が無理矢理生徒会に引っ張りこんだからって思てるん?まだ始まったばっかりやけど、私は楽しくなりそうやと思てワクワクしてるんやで」
そうこうしているうちに生徒会室の前まで来ると、小春が待っていた。
小春
「翼ちゃん、ともちゃん、お疲れさま!私も今来たところだよ」
とも
「お疲れ~。あっ、小春が持ってるその紙袋何?エエ匂いしてくるんやけど!」
小春
「照り焼きバーガー作ったんだよ。差し入れに持ってきたの。」
翼
「私もさっきの補習の時にもらったんだけど、凄く美味しかったよ!」
小春
「ホントに?よかった~」
とも
「ほな早よ入ろっか?」
翼・小春
「うん」
そうして3人は生徒会室で他のメンバーを待つことにした。
09/10(Tue) 09:31
ともさんありがとうございます。(´∇`)ノシ
小春
???
「いい匂いがするね」
生徒会室の扉が開いて、ひょっこり、という感じで、長い黒髪の若い男性が笑顔を覗かせた。
翼が初めて見る相手だ。
友達二人を見やると、ともは微かに眉をひそめて相手を見ているが、小春はニコニコして立ち上がり、席をすすめた。
小春
「照り焼きバーガーです。召し上がりますか?」
???
「ありがとう。頂こうかな」
袋からハンバーガーを取り出して紙皿に載せたり、アイスティーを注いだりと甲斐甲斐しく動く小春を横目に、黒髪の男性はともと翼を見た。
???
「ともさん、近々、ニューヨークから留学生が来るよ」
とも
「え、ほんまですか校長先生?!」
翼
「校長先生?!」
翼は慌てて口を押さえた。
男性……校長は翼に微笑んでみせてから、ともに向き直る。
校長
「姉妹校の大学生だけどね。きみみたいな、留学を目指す高校生にも刺激になると思って。生徒会に入ったなら、滞在中の世話を頼むようになるかもしれないな」
とも
「任せてください!」
普段からエネルギッシュなともが、一段と元気を増したように見える。
それは喜ばしいのだが、翼にはもっと気になる事がある。
翼
「あの」
校長
「翼さん、転入初日を終えて、学園の雰囲気はどう?」
先に訊かれてしまって、翼は校長に質問するタイミングを逃してしまった。
翼
「……えっ、と、あの、皆さんとても良くしてくれますし、校内の雰囲気も明るくて、先生方と生徒の関係もいいし……楽しい高校生活が送れそうです」
校長
「優等生だねえ。でも、やっていけそうなら、良かった」
翼の話を聞きながら、小春の作ったハンバーガーをぺろりと平らげた校長は、さて、と言いながら立ち上がった。
校長
「小春さんごちそうさま。じゃ、お邪魔したね。三人とも、生徒会をよろしくね」
翼・とも・小春
「はい!」
三人の返事に笑顔で頷いてから、校長は去って行った。
翼
「……校長先生って、おじいさんじゃなかったっけ?!」
校長の姿が消えてから、翼が叫んだ。
小春
「校長先生の本当の姿は誰も知らないの」
食事の後片付けをしながら、小春が平然と答える。
この少女は怖がりのくせに、校長が謎の人物である事は平気らしい。
とも
「藤守アニ先生の姿で、朝礼の挨拶した事もあるで。翼も、騙されないように気を付けや」
そう言うともに、まさか初日から騙されたとは言えない。
翼
「……はあ……」
きっと、七不思議の一つは、校長先生の存在そのものに違いない。
翼は、はあ、ともう一度、溜め息をついた。
暑かったわ(;´Д`A
清香
保健室を出ると、穂積が思い出したかのように翼へ向き直った。
穂積
「そうだ。そう言えば今朝の話、覚えてる?」
翼
「今朝の話……ですか?」
新しい友人や教師に出会って、全てが一からな翼に『今朝』というキーワードだけでは伝わらなかったのだろう。
首を傾げる翼に穂積が「そう。」と笑顔を向ける。
穂積
「生徒会の話よ。この学園は生徒会に一定の自治権が与えられているわ。普段の生活だけじゃなく、体育祭や文化祭のイベントなんかも教師ではなく生徒会が実行委員と共に取り仕切るの。」
翼
「自治権…ですか?」
穂積
「そう。細々とした校則の見直しや施設の問題から、イベントの把握、時には他の委員会や部活の応援にまで駆り出される、まぁ『何でも屋』みたいなものかしら。」
なんだか楽しそうに話す穂積の姿に、思わず翼は顔を曇らせてしまう。
穂積
「ん?どうしたの?」
翼
「そんな大事な所に、私みたいな来たばかりの生徒が務まるとは思えないんですが…。」
みんな良くしてくれるとはいえ、学園内の教室すら把握しきれておらず、誰か一緒にいてくれないと迷子になってしまうのが現状だ。
まだまだ不安の比重が大きいのに、学園の根幹に関わる生徒会になど参加出来るのか。
翼
「逆にご迷惑をかけることになってしまうと思うんです。」
キッパリと言い切った翼に、穂積は嬉しそうに綺麗な笑みを浮かべた。
穂積
「だから、よ。何も知らないからこそ何か変えられると思わない?今日一日、担任として見てきたから言うけれど、櫻井なら出来るとワタシは思うわ。」
翼
「そう言われましても…。」
本来ならば喜ぶべき所なのかもしれない。
学園内でも人気の穂積にここまで言って貰えるなんて、きっと大勢いる穂積のファンからしてみれば垂涎の的だろう。
しかし翼には穂積の評価が自分には過大すぎるように思えて仕方がない。
穂積がここまで翼を推す根拠も見えなければ、職務を全うできる自信も翼には無いのだ。
翼
「穂積先生、他の人にお願いして下さい。」
あくまでも首を縦に振ろうとしない翼に、穂積は綺麗な笑みのままとんでも無いことを言い放った。
穂積
「…そう。そんなに嫌がってるのに申し訳ないけど、もう決まっちゃったから。」
翼
「……はい?」
穂積
「昼休みの時に生徒会長の藤守にも伝えておいたし、職員室でも櫻井が生徒会に入る事を報告してあるから。」
翼
「え、えぇっ!?」
『なんでそんな事に…』とあっけに取られて言葉も出せないでいる翼の肩を、穂積がポンっと叩く。
穂積
「やるだけやってみなさい。私もしばらくは顔を出してあげるから。」
「さぁ、忙しくなるわねぇ。」と呟きながら揺れる穂積の背中を、翼は重い気持ちで見つめたのだった。
[削除]
09/02(Mon) 01:52
毎度の寝落ち
とも
キーンコーンカーンコーン。
それから授業はあっという間に終わって放課後。
小春は昼間の出来事のあとからずっと顔をしかめていた。
櫻井
「小春ちゃん、まださっきの事気にしてるの?」
小春
「……」
穂積
「ったく、しょうがない子ね。わざとからかっただけなんだから本気にしないの」
ツカツカと歩いてきた穂積は小春の頬をつまんでタコの口のようにした。
小春
「やめれくらふぁい~」
櫻井
「ちょっ、穂積先生!そんなことしちゃ可哀想ですよ!あの、それより私はホントに生徒会に入らなくちゃいけないんでしょうか?」
翼が話題を少しでも反らそうと自分の生徒会入りの話を振ると、穂積は満面の笑みで小春の顔から手を離した。
穂積
「あら、やる気を出してくれたの?嬉しいわ。今から生徒会室に案内するからついてらっしゃい?」
小春
「翼、生徒会に入るの?すごいじゃない!」
穂積
「この学園の事を知らない生徒の方が何かいいアイデアを出してくれるんじゃないかって思って、やってみないか?って誘ったのよ」
櫻井
「私なんかとても生徒会のお仕事が務まるとは思えないんだけど…」
まだ引き受けた訳じゃないのにあらぬ方向へ話が進んでいくので、翼の顔は徐々に険しくなっていく。
小春
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。困ったことがあれば先生や生徒会の先輩方が助けてくれるって」
穂積
「そうよ~、いざとなれば小春にも手伝わせたらいいんだから」
ニヤリと笑うその微笑みは翼のみならず小春までも背筋を凍らせた。
小春
「え?!わ、私は出来ませんよ? それなら他にできそうな子がいるじゃないですか?」
穂積
「そう?二人ならやっていけると思うんだけど、残念ね」
ガラガラ。
とも
「あ、いたいた。穂積先生!」
穂積
「あぁ、とも。ちょうどいいところに来たわ~(ニヤリ)」
穂積の微笑みに既に何度となく痛い目にあわされているともは反射的に後ろに後ずさった。
とも
「…あの、何でしょうか?」
穂積
「アンタも櫻井、小春と一緒に生徒会やりなさい」
とも
「えぇー?!」
09/02(Mon) 05:48
おはようございますヽ( ̄▽ ̄)ノ
小春
くちびるさん、清香さん、ともさん、ありがとうございます。
小春、いじられキャラとして定着してきたなあ(笑)
☆放課後・教室☆
とも
「穂積先生、私、野球部のマネージャーなんやけど!」
穂積
「知ってるわよ。ワタシが顧問なんだから。だからこそ融通を利かせてあげられるわ」
小春
「あのー、私は家庭科部で図書委員なんですけど」
穂積
「知ってるわよ。ワタシは担任なんだから。明智にも図書委員会にも話は通しておくから」
穂積は翼同様、ともと小春に対しても強引だ。
翼はハラハラしていた。
完全に自分が生徒会に入る前提で話が進んでいる上に、友達まで巻き込む羽目になってしまいそうで。
如月
「あっ、いたいた!翼ちゃーん!」
その時、廊下から、元気な声が翼を呼んだ。
如月
「迎えに来たよー!」
[削除]
09/02(Mon) 08:04
おはようございます!
くちびる
今日も元気に仕事なう!
穂積先生ってば、もう本当に強引なんだから!翼ちゃんと小春ちゃんとともちゃんはすっかりトリオですねー♪
如月先輩と生徒会室でガ-ルズト-クで盛り上がってそうですねー♪
[削除]
09/02(Mon) 09:06
くちびるさん(^-^ゞ
小春
巻き込まれトリオvs穂積。
勝負は見えてます(; ̄ー ̄A
まだ、他にも同級生がいそうな気がするんですけどね。きっと風邪かなんかで休んでるだけで(笑)。
さー、今日も頑張りましょう!
[削除]
09/02(Mon) 17:11
こんにちは
とも
とも
「しゃあないなぁ」
小春
「女子が3人なら大丈夫かな」
2人が穂積の頼みを快諾したところへ、2年の如月がやって来た。
穂積
「あら、先輩が直々に迎えに来たわよ。如月、櫻井と、あとこの二人も今日から生徒会の仕事をさせるから、一緒に連れていってちょうだい」
如月
「ハイハーイ♪女の子が一気に3人も増えるなんて楽しそーだよね。えっと、小春ちゃんとともちゃんだね。ヨロシク~」
とも
「如月先輩、小春の事はともかく、私の事まで知ってはるんですか?」
如月
「そうだよ~、生徒会はこの学園の生徒の事も全部把握してるんだよ。まぁ、副会長がデータベースから作ったのを見てるだけなんだけどさ」
小春
「へぇ。副会長って小笠原先輩ですよね。さすがだわ」
穂積
「櫻井はどんな生徒か気になるんでしょうけど、とりあえず生徒会室に行けばわかるわ。如月、後は頼んだわよ」
如月
「じゃあいこっか。会長、喜ぶだろうなぁ」
(どうしよう、なんか小春ちゃんとともちゃんを巻き込んじゃったのに、2人とも全然嫌がってないみたい。でもせっかく仲良くなれたし、一緒なら楽しいかも。)
3人の後ろでそんなことを考えながら、翼は両手をギュッと握って後を追った。
[削除]
09/03(Tue) 08:49
今回はみんなスローペース
とも
~生徒会室~
如月
「さぁ入って入って。藤守先輩~、連れて来ましたよ~」
生徒会室には背の高い、真っ黒に日焼けした男子生徒が待っていた。
???
「やぁ、いらっしゃい。ボクが生徒会長の藤守賢史です。よろしく。仕事の事は少しずつ覚えてくれたらいいからね」
如月
「先輩、女の子の前だからって、そんな言葉遣いやめてくださいよ。イントネーションおかしいですって」
藤守
「そうかな?普通にしてるんだけど?」
とも
「会長、そんなんで関西人オーラを隠そうとしたって私は騙されませんよ~。ダダ漏れしてますから!」
藤守
「うっ、こんなに早くにバラさんでもええやろ~。第一印象が肝心なんやから」
小春
「翼ちゃん、会長の藤守先輩は関西出身なんだよ。それに陸上部のキャプテン」
櫻井
「そうなんだ」
生徒会室に入るなり繰り広げられたやりとりについていけないでいると、小春が隣で教えてくれた。
ともは最初から話し方で関西出身だとわかったのだが。確かに藤守の話し方には違和感がある。
櫻井
「藤守先輩も普段通りの話し方の方がいいのにね。なんで隠したがったんだろ?」
小春に向けて小声で話しかけたつもりだったが、本人にもバッチリ聞こえてしまったようで、すごい勢いでこちらに振り向いた。
藤守
「今言うたん、ホンマか?! なぁ?」
???
「もう少し静かにできないの?廊下まで丸聞こえだよ」
入り口には眼鏡をかけた男子生徒が険しい顔で立っていた。
09/03(Tue) 11:06
ともさん連投ありがとうございます。
小春
やっぱり藤守さんの登場シーンはともさんですよねヽ( ̄▽ ̄)ノ。
おそらく、今回のリレーはいつもより長くなります。もしかするとエンドレスです。
のんびり参加して下さいませ。
☆生徒会室☆
小春
「(小声)二年生の小笠原先輩だよ。生徒会の副会長なの」
今度は小春が先回りして説明してくれる。
翼
「(小声)頭良さそう」
独り言のように囁いた翼に、小春が頷いた。
小春
「(小声)天才だって。お兄ちゃんが言ってた」
小笠原
「うちの生徒会は慢性的に人手不足だから、新入は歓迎だけどね」
小笠原の発言に、翼がホッとしたのも束の間。
小笠原
「使えないのはいらないよ。悪いけど」
バッサリと切り捨てるような言葉に、小春は翼に擦り寄るように手を握ってきて、ともは藤守の顔を見上げた。
如月
「小笠原さん、相変わらずきっついですねえ」
白けかけた場を救ったのは、如月の明るい声。
如月と小笠原は同級生のはずなのに敬語なのは、小笠原を茶化しているのか、それとも敬意を表しているからか。
おそらく両方だろう。
如月を振り返った小笠原が何か言いかけたが、それを遮ったのは、藤守の咳払いと大きな声だった。
藤守
「小笠原、誰かて最初は何も知らんねん。まして櫻井は転校初日やぞ。そんな言い方したらあかん」
小笠原
「……そうだね。ごめんね」
藤守の言葉に納得したのか、小笠原は意外と素直に頷いて、三人に謝罪した。
先輩からの謝罪に恐縮しながらも、翼と小春は安堵の息をつき、ともは惚れ惚れとした顔で藤守を見ている。
藤守
「とりあえず、櫻井はまず校舎の造りや生徒の様子なんかを見て、学園の事を覚えるのが先やな」
如月
「だね。その間に、ともちゃんと小春ちゃんには、滞っている仕事を手伝ってもらおうかな。小笠原さん、それでいいですか?」
小笠原
「了解」
こうして、三人は、生徒会役員として働き始めたのであった。
[削除]
09/04(Wed) 05:00
とほほ。
清香
自分から始めたのに忙しくて続けられませんでした。
ともさん、小春さん、ありがとうございます。
今回はどこでオチをつけるかまったくノープランです。なんなら付属の大学まで行っても良いかもしれません(笑)
それくらい長くなるかもしれませんので、まったりと行きましょう。←
☆生徒会室☆
生徒会に入ったとはいえ、翼は入学初日。
ともと小春も、学園内の事は少しは分かっているもののまだ入学して半年も経っていない。
3人にとっては参加した事の無い行事、知らない委員会や部活だらけだ。
如月
「じゃあ、百聞は一見に如かずってことで、校内探検に行きますか!」
『パンッ』っと手を叩いた如月が立ち上がると、つられるように女子3人も立ちあがった。
小笠原は全く興味なさそうにパソコンへ向けた視線を動かそうとはしない。
藤守
「せやなぁ。じゃあ俺も部活に顔出してこようか…ブッ!!」
大きく伸びをして部屋から出ようとした藤守とタイミングを合わせたかのように、生徒会室のドアがいきなり大きく開いた。
向かってくるドアを避けきれず、ぶつかった藤守が鼻を抑えたままうずくまる。
藤守
「~~~~ったぁー!誰やッ!せめてノックくらいすんのが当たり前やろ!!」
穂積
「あらぁ、ごめんなさいね。いたの?」
全く悪びれた様子の無い穂積がのんびりとした口調で生徒会室に入って来た。
穂積
「無事に顔合わせできたようで良かったわ。小笠原もちゃんとに来て偉いじゃない。」
パソコンの陰に隠れる小笠原へ、小さな子供にするように頭を撫でると穂積はどっかりと会長の席に腰を下ろした。
藤守
「穂積先生、なんなんですか、いきなりっ!」
穂積
「何よ?新人たちが心配だから見に来たんじゃない。文句ある?」
藤守
「いや、無いですけど…、って、そこ俺の席ですやん!!」
穂積
「元は俺の席だ。俺が革張りの椅子にしてやったんだから、座る権利はあるぞ?」
『ふふん』っと笑う穂積に返す言葉の無い藤守。まるでいつもの事だと苦笑いする如月に、我関せずな小笠原。
何だかよく分からずに呆気にとられているだけの女子3人に説明をしてくれたのは。
小野瀬
「穂積も俺達も、この学園の卒業生なんだよ。」
篠崎
「そうそう。もう何年前の事か忘れちゃったけどね。」
ニッコリと笑いながら入室してきたのは、小野瀬と篠崎だった。
二人の姿を見た瞬間、小春がサッっとともの後ろに隠れる。
小野瀬
「おや、悲しいなぁ。そのリアクション。」
篠崎
「さっきはふざけすぎてごめんなさいね?」
『これはお詫びのシルシよ。』と手渡されたのは、近所でも人気のケーキ屋のロールケーキだった。
人気でいつも売り切れなその品をどう手に入れたのかは分からないが、初めて見る逸品に小春の目が輝く。
小野瀬
「美味しい紅茶、淹れてくれないかな?」
明智
「俺がやる。」
小春の肩に置こうとした小野瀬の手を制したのは明智だった。
小春
「お兄ちゃん!!」
小野瀬
「おや、早い。」
明智
「あなたも同じくらい早いですね。」
篠崎
「あら、小野瀬君ってそんなに早い?どちらかと言えば遅いんじゃない?」
穂積
「コラ。」
如月
「ま、まぁ、せっかくですからお茶にしましょ、ね?」
再び険悪になりそうな二人を如月が止め、ケーキと紅茶を任された明智兄妹が戻って来るころには和やかなムードが漂っていた。
とも
「穂積先生が生徒会長だったんですか?」
穂積
「そう。で、小野瀬が副会長、篠崎が会計、明智が書記だったわ。あの頃はもっと生徒数が少なかったから問題もあんまりなくって、平和だったわよ。ねぇ?」
篠崎
「いつも勝手なことばっかりする会長の子守をしてた気がするけど?」
穂積
「んなことねぇよ。」
バツの悪そうな顔をして明智から紅茶を受け取ると、穂積がぐるりと生徒達を見渡した。
穂積
「まぁ、今は生徒も増えたし要望も多様化してるわ。だからこそ人手がいるの。このメンバーでできるわよね?」
小野瀬
「穂積の人を見極める眼は確かだと思うよ。俺達もOBとして協力するから。」
篠崎
「やってみなくちゃ、ね?」
緊張した面持ちの生徒と同じように渋い顔をする明智の背中を篠崎が叩く。
明智
「学園のためとはいえ、あまり掛け持ちをするのは賛成できないが…。」
小春
「お兄ちゃん、私、がんばるから!」
ぎゅっと手を握りしめてそう声高に宣言した小春に、明智はもう二の句が告げられないでいた。
結局は妹に甘いのだ。
とも
「わ、私もがんばります!!」
篠崎
「そうこなくちゃ!」
穂積
「部活との兼ね合いも忘れないでね?」
つられたように宣言するともを抱きしめる篠崎の頭越しに、穂積が一応部活の顧問としての言葉を忘れずに付け加える。
篠崎
「横暴よねー。」
とも
「あははっ。」
穂積
「…で、櫻井は?」
ずっと黙ったままでいる翼の顔を、穂積が長身を曲げながら覗きこんだ。
柔らかくカーブを描いた口元は美しく、眼もとには自信が溢れている。
不思議と、抱えていた不安や怖いものなんて消えてしまうようだった。
翼
「はい!がんばります!!」
自然に浮かぶ翼の笑みに、穂積が満足そうに紅茶の入ったカップを高く掲げた。
穂積
「よし!新・生徒会に乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
カチンと合わさるカップの音は、すぐに楽しげな話し声にかき消されたのだった。
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09/04(Wed) 09:06
おはようございます!
くちびる
昨日は寝落ちで絡めなかった。
話しは大学まで続くんですか?のんびり進んで行くんですね♪
楽しみにしてます!
今から仕事なんでまたのちほ~←二-ナ王女風
(笑)
[削除]
09/04(Wed) 09:14
おはようございます
とも
私も今から仕事。
の前に。
午後の優雅なティータイムをそれぞれが楽しんでいると、翼が不意に思っていた疑問を投げかけた。
翼
「あの、ちょっと質問なんですけど…」
穂積
「何?」
翼
「この学園の生徒会には結構大きな権限が与えられているって伺ったんですけど、それって何の為なんですか?」
如月
「そう言われてみれば、ちゃんと考えたことないなぁ。俺って何で入ったんだっけ?」
藤守
「俺もや。気づいたら穂積先生に引きずり込まれたカンジやったからな」
小笠原
「俺なんてやるなんて一言も言ってないよ」
穂積
「……」
後輩3人からチラリと視線を受けた穂積はあさっての方向を向いている。
小野瀬
「まぁ何でこの3人を選んだかはおいといて。確か、俺たちの時代にはもう今の体制になってたんだよね」
篠崎
「そうね。前の学園長が発案したって聞いたことがあるわ。もっとも、生徒の自立心を高めるだとか、自分でいろいろ動くのがめんどくさいからだとか理由はよくわからないけど」
なんだか思っていた答えが返ってこない事に怪訝そうな翼の頭を穂積が撫でた。
穂積
「さっそく学園の事をわかろうとしてくれて嬉しいわ。なんにせよ自分たちで学校を作っていくなんてよその学校じゃできないことよ。ワタシたちもサポートするから頑張ってみて。さ、ティータイムはおしまい」
パンッと手を叩いて立ち上がった穂積を見上げると、こちらを向いてニッコリ微笑んだ。
穂積
「今からビシバシいくわよ~」
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09/04(Wed) 11:54
まだ初日ですけど(笑)
小春
くちびるさん、登場お待ちしてますよ。
そして放課後からお茶飲んでて、まだ初日は終わらないのか(笑)
☆校内探検☆
翼
「あの、今からビシバシって……」
穂積
「如月」
如月
「えっ?……あ、ハイハーイ。さあ三人とも、校内探検に行こう!」
穂積の言葉に、如月はさっき自分が提案した事を思い出した様子だ。
明智
「え、今からか?」
明智は日が暮れかけた窓の外と、翼とともと小春、そして穂積の顔とを順番に見てから、眉をひそめた。
穂積
「仕方ないわよね」
小野瀬
「伝統だからねえ」
篠崎
「大丈夫、大丈夫」
翼、とも、小春
「……?」
顔を見合わせる三人を、如月が、背中を押すようにして生徒会室から連れ出した。
如月
「じゃあ、これからさっそく、『桜田門学園七不思議☆アブナイ校内探検ツアー』に出発しまーすっ!いえーい!」
とも
「いえーい!!」
小春
「えっ?」
翼
「えええぇーーっ?!」
09/05(Thu) 18:02
☆校内探検☆
小春
物凄い勢いで生徒会室に駆け戻ってきた翼と小春は、篠崎と明智にそれぞれしがみついた。
篠崎
「どうしたのぉ二人とも?」
翼
「イヤイヤイヤ!七不思議とか絶対にイヤです!!」
よほど怖いのか、翼は真っ青な顔で震えている。
翼
「そもそも、校内探検って言ったら玄関から入って、一階か最上階から始めるものじゃないんですか?なんで七不思議から?!」
如月
「だって、その方が面白いじゃん!大丈夫!俺、実はそういうの見えるタイプなんだよね!」
翼・小春
「イヤー!!」
藤守
「アホ、逆効果や!」
藤守が、如月を小突いた。
小野瀬
「小春さんも、お化けとかダメなの?」
明智のシャツに皺が寄るほどしがみついている小春を、小野瀬が覗き込む。
こちらも逆効果ではないかと思うのだが、藤守もさすがに小野瀬にはツッコまない。
小春は小さい身体をいっそう縮こまらせて、頷いた。
小春
「私、オカルトやホラーは嫌いです。霊感は無いですけど、宇宙人とか妖怪とか雪男とか信じる派なんです」
小野瀬
「つまり、幽霊もいると思ってる?」
小春はこくこくと頷く。
小春
「幽霊をからかってはいけないんです」
篠崎
「ここの七不思議に、幽霊絡みのはあったかしら?小春さん、知ってる?」
小春
「……七不思議かどうかは知らないですけど、夜、真っ暗な保健室から苦しそうな喘ぎ声が聞こえるとか、誰もいないはずの理科準備室で、何かがガタガタ揺すれるような物音や女の人の泣き声がするとかいう噂を聞いた事があります」
翼
「イヤー!」
しかし、小春の話を聞いて、そこにいた人間のうちの数人が眉をひそめた。
穂積
「それは篠崎と小野瀬が」
篠崎
「あー!!穂積くんストップ!」
小野瀬
「そうそう!えーと、じゃあ、保健室と理科準備室はやめて、他の五つを探検してくるといいよ。ねっ?」
翼・小春
「イヤー!」
とも
「ええやん、二人とも行こう?私が守ってあげる!」
翼・小春
「ともちゃん……」
小野瀬
「ともさんは平気なタイプなんだ」
とも
「だって面白そうですやん。なんなら、理科準備室の幽霊にも会ってみたいです、ふふふ」
小野瀬
「ははは……」
[削除]
09/06(Fri) 03:25
無理やり初日終了(笑)
とも
如月
「うーん、二人がこんな調子じゃ探険できないよ~」
藤守
「せやな。もう遅いし、今日はここらで終わろか?」
全員
「はーい」
それぞれが生徒会室の片付けをしていると、バァーンと派手にドアが開いた先に今朝校門で出会った教師が立っていた。
アニ
「貴様ら今何時だと思ってるんだ!下校時刻はとっくに過ぎているぞ!」
穂積
「あら、アニ。言っとくけど、この子たちは何も悪くないわよ。それに生徒会のメンバーには下校時刻なんて関係ないの知ってるデショ?」
アニ
「くっ、お前らまでいたのか。まぁいい。片付いたならさっさと帰れよ」
苦虫を噛み潰したような顔で出ていった教師を見送ると、同僚たちはため息をついた。
篠崎
「ホントに真面目過ぎるわねぇ」
穂積
「自分が早く帰りたいだけなんじゃないの?」
小野瀬
「あんなこと言ってるよ、藤守くん」
藤守
「ホンマにあんな兄貴ですんません」
櫻井
「えっ、お兄さん?!」
小野瀬
「そう。藤守くんの兄で藤守慶史。彼はここの卒業生じゃないんだけど、藤守くんが入学してきてから赴任してきたんだよ。で、紛らわしいから俺たちはアニって呼んでるって訳」
今日一日で何回驚いただろう。明日から大丈夫なんだろうかと考えていると、ブレザーの内ポケットで携帯が震えていることに気づいた。
櫻井
「いけない、もう帰らなくちゃ!」
とも
「えー?まだ6時やで?」
櫻井
「私の父が門限に厳しくって、帰りが遅いとこうやって携帯にかけてくるの…」
小春
「大変そうだね…」
穂積
「しょうがないわね。櫻井、家までワタシが送って行くわ」
櫻井
「そんな!ご迷惑じゃ…」
穂積
「大丈夫よ。担任としても挨拶しておきたいし、安全でしょ?」
明智
「じゃあ小春、俺たちも帰るぞ」
小春
「うん」
藤守
「ともは学園寮やったな。ほな俺らと一緒に帰ろか?」
とも
「はーい。よろしくお願いします!」
篠崎
「じゃあ私は小野瀬くんに送ってもらっちゃおっかな~」
小野瀬
「ハイハイ、お姫様たちは皆とられちゃったからね」
こうして転校初日は終わっていったのだった。
[削除]
09/06(Fri) 20:48
まだ終わらなかったりして。
小春
☆櫻井家☆
翼
「ただいま!」
翼が玄関の扉を開けると、奥からのんびりした母の声と、けたたましい父の足音が迎えた。
母
「お帰りなさい、疲れたでしょ?」
父
「遅い!初日から何をやってるんだ!」
文句を言いながら玄関先に顔を出した父親は、翼とその後ろに立つ穂積を見た途端、絶叫と呼んでもいい叫び声を上げた。
父
「ぎゃー!」
穂積
「ご無沙汰しております、お父さん」
父
「ほ、ほ、ほ、穂積?!」
穂積が丁寧に頭を下げる。
穂積
「今日は娘さんを遅くまで引き留めてしまい、お父さんにもご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」
父
「お前に『お父さん』と呼ばれる筋合いは無い!」
よほど動転したのか、父親は靴下のまま土間に飛び降り、翼を抱えるようにして玄関先に上がらせた。
そのまま、ぐいぐいと翼を奥へ押し込もうとする。
父
「どうしてお前がうちの娘と一緒にいる?!」
母
「お父さん、失礼ですよ。翼の担任の先生じゃないですか、ねえ」
父
「た、担任?!」
母
「私はお会いしてますよ、転入の手続きの時に」
おっとりと現れた母親は、屈んで穂積にスリッパをすすめながら、頭を下げた。
母
「主人が失礼を申しましてすみません。娘を送って頂き、ありがとうございます」
穂積
「恐れ入ります」
ほのぼのと言葉を交わす母親と穂積に、父親は卒倒寸前だ。
父
「こいつはな!私の昔の赴任先の近所に住んでいた、とんでもない悪ガキなんだ!それが、教師だと?日本の教育制度はどうなってるんだ!」
穂積
「お母様、せっかくですが、わたしが長居しますと、ご主人のお身体に障りそうですので。もう、ここで失礼致します」
母
「あらぁ、まだお茶も差し上げてませんのに。本当に申し訳ありません」
父
「お茶もスリッパもいらん!塩だ塩!塩を撒け!」
翼が、すうっと息を吸った。
翼
「お父さんっ!」
翼に一喝されて、父親は跳び跳ねた。
翼
「穂積先生は、生徒会の仕事で遅くなった私を、わざわざ家まで送ってきてくださったの。それなのに、お礼も言わずに失礼な事ばかり言って!」
父
「生徒会?!し、しかし……」
目に入れても痛くない一人娘に諭されて、父親はたちまちトーンダウンした。
父
「う、むむ……」
翼は父親が謝るまで許さないつもりのようだったが、穂積の方が、おかしくてたまらないという風に翼を宥めた。
穂積
「櫻井、お父さんを責めたりしてはいけない。わたしが事前に、遅くなる事をご連絡しておくべきだったんだ」
翼
「いいえ、父が頑固だからいけないんです!」
頑固なのはその父親譲りらしい。
翼はまだぷんぷんしていたが、すっかりしょぼくれた父親に代わって、母親が間に入った。
母
「先生、今日はどうもありがとうございました」
穂積
「いいえ。では、失礼致します。櫻井、また明日学校でな」
翼
「はい!ありがとうございました!」
外へ出て穂積の車が見えなくなるまで見送り、再び玄関に戻ってきた翼に、父親がぽつりと呟いた。
父
「……翼、転校しないか?」
翼
「し、ま、せ、ん!」
[削除]
09/08(Sun) 04:59
お久しぶりです。
清香
翌朝、登校してみると席に着いた途端にクラスメイトに囲まれてしまった。
話の内容はどれも生徒会に関してのものばかりで、この学園の生徒会の持つ意味合いを嫌でも認識させられてしまう。
クラスメイトA
「すごいね、どうやって生徒会に入れたの?」
クラスメイトB
「どんな事をするの?私もお手伝いできない?」
どうしたもこうしたも、穂積先生の鶴の一声で参加させられてしまった翼にとっては、逆に参加出来た理由や具体的に何をしなければいけないか聞きたいくらいだ。
昨日は結局顔合わせをし、お茶を飲んだだけで初日が終わっていた。
今日から何か行動をしなくてはいけないのかとは思うが。
キーンコーンカーンコーン
穂積
「さぁ、授業を始めるわよ。今日は教科書の34ページからね。」
転校してきたばかりの翼にとっては、授業の進度も教科書すらも前の学校とは違うのだ。
今までそこそこの成績を修めてきてはいたし、進学校だと聞いていたのでそれなりに予習もしてきたのだが、やはり戸惑う部分も多い。
(ペースが速い……)
4月の入学から考えれば数カ月の差なのに、こんなにも難しいなんて。
助けを求めるようにちらりと近くの席に座る小春に目をやるも、英語が苦手な小春も苦戦しているようで必死な顔つきで黒板を見据えている。
(これは困ったな…。)
どうしたものかと思っていると。
穂積
「大丈夫?ついて来れてる?」
書きかけのノートに長い指がトンッと置かれて、翼は初めて穂積が教壇から自分の隣へと移動していた事に気がついた。
穂積
「英語と数学は進み方に差が出やすいから、分からない事があったらいくらでも聞きなさい。授業が終わった後でも、放課後でもいいから。」
ポンっと肩に乗せられた穂積の温かな手が、強張っていた翼の緊張を解いていく。
クラスメイトA
「えー、先生!私も教えてほしいです!!」
クラスメイトB
「私も!!」
人気のある教師の放課後の補習ならば、誰しもが受けたいところだろう。
次々に手を挙げる生徒達に穂積は笑顔を浮かべた。
穂積
「春からこれだけ教えていても、アンタ達はまだ分からないって言うのかしら?」
バキバキと拳を鳴らしながら言う穂積の姿に一部の生徒は怯え、また一部の生徒は歓喜に目を輝かせる。
穂積
「ったく、分からないなら、何が分からないのかきちんと考えてから質問に来なさいよ。」
翼だけではなく、クラス全員に向けられた言葉ではあるのだが、その言葉が翼の胸へと染みていった。
小春
「翼ちゃん、穂積先生の補習を受けるんだね。」
翼
「そうなるの…かな?」
授業終了後、近づいてきた小春が小さな声で耳打ちをした。
中学生用の英語のドリル提出を命じられている小春も、言うなれば穂積の特別補習を受けているのだが、やはり直接教えてもらうのは訳が違う。
穂積は部活や生徒会の顧問もし、クラスも担任としても受け持っているのだから本来ならば補習を行う時間など無い。
実際に今現在も、分からない所があったと大勢の生徒に囲まれ身動きすら取れない状況だ。
翼
「でも、ご迷惑かけるといけないから出来る限りは自分で頑張ってみるよ。」
小春
「…そう?無理しないでね?」
次の授業の支度をしながら、翼は少しだけ笑顔を浮かべたのだった。
[削除]
09/08(Sun) 11:05
☆放課後・教室☆
小春
翼が約束通り穂積の補習を受けていると、廊下の窓にひょっこり小さい頭が現れて、ノックの音がした。
穂積
「はい、どうぞ」
翼
「あ、小春ちゃん!」
教室の前扉を開けて、ニコニコしながら入って来たのは、部活に行ったはずの小春。
白く小さな手には、何やら紙袋を提げている。
小春
「失礼します。あのね、部活で照り焼きハンバーガーを作ったの。だから、差し入れです」
そう言って小春が紙袋を開くと、濃厚な香りがふわんと溢れた。
それは、穂積と翼が思わず前のめりになって覗き込んだほど、美味しそうな匂いで。
翼
「いいの?」
小春
「うん。生徒会のみんなや先生たちにも食べてもらおうと思って、たくさん作ったから。翼ちゃんも食べてみてね」
穂積
「明智が指導して小春が作ったのなら、間違いなく美味しいわよ。ありがとう、小春。櫻井、熱いうちに頂きましょ」
翼
「はい」
教室でハンバーガーなんて、何だか楽しい。
小春
「飲み物は、アイスティーで良ければ、用意してきました」
穂積
「ありがとう」
穂積に頭を撫でてもらって、小春は嬉しそう。
小春
「あと、これ、今週の分のドリルです」
穂積
「偉い、偉い。この調子なら、もうすぐ中学二年生になれるわよ」
小春
「ありがとうございます!頑張ります!」
穂積と翼に紙コップでアイスティーを注ぐと、小春はぺこりと頭を下げてから翼を見た。
小春
「じゃあ私、先に生徒会室に行ってるね。翼ちゃん、頑張って!」
ぶんぶんと手を振ってから、小春は教室を駆け出して行った。
穂積
「小春!廊下を走るとまた転ぶわよ!」
小春
「はーい!」
遠くから聞こえた小春の返事に、穂積と翼は顔を見合わせて笑い、それから、二人して差し入れのハンバーガーを頬張った。
翼
「美味しい!本当に凄く美味しい!」
こんなに美味しい照り焼きハンバーガーを食べた事がない。
穂積
「明智の家は、小春が生まれる少し前にお父さんが亡くなってね。お母さんは家計を支える為に忙しくて、だから、明智が一切の家事を引き受けてきたのよ」
初めて聞く小春と明智の家庭の事情に、翼は口の中のものをごくりと飲み込んだ。
穂積
「しかも、明智は妥協しないタイプだから。料理も掃除も裁縫も、その道のプロ顔負け。小春は明智が大好きだから、くっついているうちに、自然と家事をこなすようになったわけ」
そうだったんだ。
翼
「それなのに、生徒会にまで引っ張り込んじゃって、悪かったですよね……」
穂積
「小春を生徒会に引っ張り込んだのはワタシよ?櫻井は気にしなくていいの」
小春も、ともも、快く引っ張り込まれてくれたから、納得しかけていたけれど。
本当に良かったのかな。
穂積
「あの子たちなら出来ると思ったから誘ったのよ。小春も、ともも、大変な時でもその中で楽しむタイプだから、大丈夫」
翼
「ともちゃんも小春ちゃんも、穂積先生が好きだから、先生に頼まれたから、生徒会に入ってくれたんですよ」
何気なく言ってしまってから、翼はハッとした。
これ、言って良かったのかな。
けれど、穂積は全く動じないで、笑顔を返しただけだった。
穂積
「ともにとってのワタシは、多分、アイドルのようなものよ。小春にとっては、兄である明智に近い、まあ、お父さん、ってところね。そういう、『好き』じゃないのかしら」
穂積の説明は、翼の胸の中にすとんとおさまった。
けれど同時に、同じ場所からもやもやとした物が生まれた事にも、翼は気付いていた。
それなら、私は?
私が穂積先生を見ると感じる、この、温かくて、くすぐったくなるような気持ちは何だろう。
ひなたに干した布団に顔を埋めた時のような、懐に小さな猫を抱えた時のような。
穂積
「食べ終わったら続きからやるわよ」
翼
「は、はい!」
穂積の声に、翼は急いで差し入れの残りを頬張ると、再び、教科書を広げたのだった……。
09/08(Sun) 20:20
やっと時間が取れた!
くちびる
ここ数日バタバタと忙しくて、なかなか絡めなかったです。(言い訳)
いつの間にか初日終了してましたねぇ....!!
こっこの展開はルイルイと翼ちゃんの恋物語になるのかしら♪キャッ(*^^*)
壁の向こうからそっと覗いてますね♪
[削除]
09/08(Sun) 20:36
くちびるさん!ザザーッ(空振り)
小春
エミさんに続いてこっちでも逃げられた!Σ(ノд<)
みんな壁の向こうから見てるだけだと、今にとんでもない事になりますよ!
知りませんよ?!
絡んでってよー゜・(つД`)・゜
[削除]
09/09(Mon) 09:07
おはようございます
とも
土日はいろいろ用事がありすぎて全く絡めへんかった(T_T)
~教室~
穂積先生の補習授業は昼間の授業とは違い、私に合わせて教えてくれているのでとても分かりやすく、あっという間に終わってしまった。
穂積
「今日はここまでね。ワタシはこれから部活の様子を見て、ともを生徒会室に向かわせるから片付けが終わったら櫻井も行ってきなさいね」
櫻井
「はい、あの、ありがとうございました」
教科書を持って颯爽と出ていく穂積を見送り、翼も教室を後にした。
「翼~!!」
生徒会室までの廊下を歩いていると、後ろからともが追いかけてきた。
とも
「お疲れさん。穂積先生の補習、どうやった?」
翼
「え?何でともちゃん知ってるの?!」
とも
「あはは、さっき穂積先生が私と交代でグラウンドに来たときにそない言うてはったから。なぁ、先生の教え方、めっちゃ分かりやすかったやろ?」
翼
「うん。前の学校よりも進んでたから初めは戸惑ったけど、これなら大丈夫そう」
とも
「そんならよかったわ。もし穂積先生が忙しそうな時は、私でもよかったら少しは教えてあげられるから、いつでも言う」
翼
「ありがとう。ともちゃんは英語得意なんだね」
とも
「そやで~、これでも海外留学目指してるんやからね。ウチの学校、大学もあるんやけど、ニューヨークとロサンゼルスにも姉妹校があって、頑張ればそこに編入できるねん」
翼
「へぇ~」
部活と生徒会の両立に勉強まで。いつそんな時間があるのかと考えていると、ともはニッコリ笑って言った。
とも
「もしかして自分が無理矢理生徒会に引っ張りこんだからって思てるん?まだ始まったばっかりやけど、私は楽しくなりそうやと思てワクワクしてるんやで」
そうこうしているうちに生徒会室の前まで来ると、小春が待っていた。
小春
「翼ちゃん、ともちゃん、お疲れさま!私も今来たところだよ」
とも
「お疲れ~。あっ、小春が持ってるその紙袋何?エエ匂いしてくるんやけど!」
小春
「照り焼きバーガー作ったんだよ。差し入れに持ってきたの。」
翼
「私もさっきの補習の時にもらったんだけど、凄く美味しかったよ!」
小春
「ホントに?よかった~」
とも
「ほな早よ入ろっか?」
翼・小春
「うん」
そうして3人は生徒会室で他のメンバーを待つことにした。
09/10(Tue) 09:31
ともさんありがとうございます。(´∇`)ノシ
小春
???
「いい匂いがするね」
生徒会室の扉が開いて、ひょっこり、という感じで、長い黒髪の若い男性が笑顔を覗かせた。
翼が初めて見る相手だ。
友達二人を見やると、ともは微かに眉をひそめて相手を見ているが、小春はニコニコして立ち上がり、席をすすめた。
小春
「照り焼きバーガーです。召し上がりますか?」
???
「ありがとう。頂こうかな」
袋からハンバーガーを取り出して紙皿に載せたり、アイスティーを注いだりと甲斐甲斐しく動く小春を横目に、黒髪の男性はともと翼を見た。
???
「ともさん、近々、ニューヨークから留学生が来るよ」
とも
「え、ほんまですか校長先生?!」
翼
「校長先生?!」
翼は慌てて口を押さえた。
男性……校長は翼に微笑んでみせてから、ともに向き直る。
校長
「姉妹校の大学生だけどね。きみみたいな、留学を目指す高校生にも刺激になると思って。生徒会に入ったなら、滞在中の世話を頼むようになるかもしれないな」
とも
「任せてください!」
普段からエネルギッシュなともが、一段と元気を増したように見える。
それは喜ばしいのだが、翼にはもっと気になる事がある。
翼
「あの」
校長
「翼さん、転入初日を終えて、学園の雰囲気はどう?」
先に訊かれてしまって、翼は校長に質問するタイミングを逃してしまった。
翼
「……えっ、と、あの、皆さんとても良くしてくれますし、校内の雰囲気も明るくて、先生方と生徒の関係もいいし……楽しい高校生活が送れそうです」
校長
「優等生だねえ。でも、やっていけそうなら、良かった」
翼の話を聞きながら、小春の作ったハンバーガーをぺろりと平らげた校長は、さて、と言いながら立ち上がった。
校長
「小春さんごちそうさま。じゃ、お邪魔したね。三人とも、生徒会をよろしくね」
翼・とも・小春
「はい!」
三人の返事に笑顔で頷いてから、校長は去って行った。
翼
「……校長先生って、おじいさんじゃなかったっけ?!」
校長の姿が消えてから、翼が叫んだ。
小春
「校長先生の本当の姿は誰も知らないの」
食事の後片付けをしながら、小春が平然と答える。
この少女は怖がりのくせに、校長が謎の人物である事は平気らしい。
とも
「藤守アニ先生の姿で、朝礼の挨拶した事もあるで。翼も、騙されないように気を付けや」
そう言うともに、まさか初日から騙されたとは言えない。
翼
「……はあ……」
きっと、七不思議の一つは、校長先生の存在そのものに違いない。
翼は、はあ、ともう一度、溜め息をついた。