『アブナイ☆恋の学園物語』
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08/30(Fri) 05:32
リレーSS専用スレ
清香
リレー専用スレです。
☆書き込みの前に作成した文章を保護した上で、最新の情報に更新する事をお勧めします。
☆お話を書きこむ時は黒では無く文字色を変えて下さい。出来るだけ他の方と被らない色でお願いします。
☆次のお話を書く時や、続きがある時はメッセージを残して下さい。
☆初参加・短文・ぶっこみ大歓迎です。きっと誰かが何とかしてくれます。
☆合言葉は『他力本願』です。
[削除]
08/30(Fri) 05:36
と言う事で。
清香
新しい服に袖を通す時は、不思議と胸がドキドキする。
それはこれから始まる新しい一日が、素敵なものになると予感をさせてくれるようで。
翼
「…どうかな。」
真新しい白いブラウスに、深緑のチェック柄のプリーツスカート。スカートと同系のハイソックスを履き、紺色のベ
ストにブレザーを着て、赤いリボンをキュっと締めると鏡の前でくるりとまわり、後ろ姿まで確認をした。
翼
「おかしくないよね?」
そう呟きながら何度かスカートの裾やリボンの傾きを直したりしているうちに、時間は過ぎてしまっていたようで。
母親
「翼、そろそろ時間よ〜。初日から遅刻しちゃしょうがないでしょ。」
呆れたような母親の声が階下から聞こえる。
それは翼の意識を鏡の中の自分から現実へと引き戻してくれるには十分なもので。
翼
「はーい!すぐに行くね!」
慌てて部屋を出て階段を駆け降りると、リビングから出てきた父親が心配そうな顔で声をかけてきた。
父親
「翼、帰りは痴漢に会わないよう人通りの多い所を歩くんだぞ?」
翼
「はぁい。」
父親
「変な輩が多い時代だから、用心しなさい。」
翼
「…はぁい。」
父親
「もし、部活で遅くなる時は迎えに行ってやるから、必ず連絡をしなさい。」
一人娘の翼を心配するあまり玄関に辿り着くまでひたすら注意事項を並べる父親に、翼も妻である母親も呆れ顔だ。
翼
「もう、お父さんも赴任したばかりなんだから、忙しいでしょ。大丈夫だよ。」
父親
「お前は危機感が足りないからだ。」
翼
「……大袈裟だって。」
父親
「いいか、出来るだけ近所に住んでいる子と友達になるんだぞ!」
翼
「はぁい、うまく見つかったらね。」
母親
「はい、お弁当。」
翼
「ありがとう、お母さん。」
(グッジョブ!))
話を切り上げるためにお弁当の入ったミニバッグを差し出す母親に笑顔を向け、翼は玄関を飛び出した。
翼
「行ってきまーす!」
明るい翼の声が澄みきった空へ響いていく。
パタンッと閉じられた玄関扉の向こうに消えた父親の刹那気な声など、今の翼の耳には届いていなかった。
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08/30(Fri) 05:37
プロローグ2
清香
翼
「えっと、こっちでよかったんだよね?」
転勤の多い父親を持つ翼は、すでに何度か転校を経験していた。
年度途中での転校はさすがに初めてだが、前任者が大病を患ってしまったのであれば仕方が無い。
新しい街に、新しい学校。
不安はもちろんあるが、同じだけ新しい友人が出来るだろうという期待が翼の足取りを軽くする。
同じ制服に身を包んだ生徒が大勢乗っているバスに乗りこみ、向かったのは『私立桜田門学園』だ。
近隣の高校の中でも授業のレベルが高く、スポーツ活動も盛んで人気の高いこの学校に転入出来たのは本当に幸運と
しか言いようが無い。
『何故だか分からないが、二つ返事で転入が許可されたんだ』と言っていた父親の言葉がどうも引っかかるが、校長
先生自ら連絡をしてきてくれたようなので間違いは無いだろう。
翼
「どんな学校なんだろうなぁ。」
(勉強についていけるといいんだけれど。)
と、一番の心配ごとをボーっと考えながらバスを降りて、学校へ向かう生徒の波に乗るように歩いていると。
翼
「あれ?あの人、どうしたんだろう?」
通学路である遊歩道の傍に、一人の老人がうずくまっているのが見えた。
髪の間から見えた横顔は心なしか青白く、口元も震えているようだ。
翼
「大丈夫かな…。」
心配になるものの、周りの生徒は誰も彼に近づこうとはしていなかった。
まるで存在しないかのように素通りしていくので、翼は自分が幽霊でも見ているのかと錯覚してしまう。
(まさか…ね。)
それでも困っている人を見過ごす訳にはいかないと、翼は意を決して老人へと声をかけた。
翼
「……あ、あの、大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」
しゃがみ込んで話しかける翼に、老人は微かに微笑みながらほんの少しだけ顔を上げ、翼にしか聞こえ無い程度の小
さな声で話す。
老人
「……いや、大丈夫じゃよ。ちょっと眩暈がしただけじゃ。お嬢さんは優しいのう。」
翼
「いえ、とんでもない。お家はお近くですか?」
老人
「あぁ、この坂を登った先の学校の近くじゃよ。」
老人の震える指先が示した先には、翼が目指していた桜田門学園の校舎があった。
パンフレットで見た通りの白く瀟洒な建物が木々の間から見える。
そう遠く無いであろう距離と、チラリと見た時計が翼の心を後押しした。
翼
「じゃあ、ご自宅までお送りします。」
老人
「そんな迷惑をお嬢さんにはかけられんよ。早く学校へお行きなさい。」
翼
「あの学校ですから、大丈夫ですよ。通り道ですからお気になさらないで下さい。」
老人
「そうかい、ならお言葉に甘えさせてもらうとするかのう。」
何人もの生徒が追い越していくのを見ながら、老人に肩を貸してゆっくりと坂道を登り切ると校門に一人の教師が立
っているのが見えた。
眼鏡を掛けたその人は何やら神経質そうに何度も腕時計を確認している。
翼
「あっ!」
老人の歩みに合わせてしまっていたせいか、思いのほか時間がかかってしまったようで校門が閉まるまで後3分とな
ってしまっていた。
さすがに転校初日から遅刻はまずいが、中途半端なまま老人を置いて行くのも正直不安ではある。
そんな翼の心を読んだのか、老人が柔らかい笑みを浮かべながらそっと翼の背中を押した。
老人
「お嬢さん、ワシはここで平気じゃよ。早く学校へ行くといい。」
翼
「おじいさん…。」
老人
「新しい学校生活が楽しいものになる事を、この老いぼれも願っておるよ。」
『さぁ。』と予想以上に強い力で背中を押されたため、翼の足が一歩前に出た。
おっとと、とバランスを取り別れの挨拶をするために翼が振り返ると、すぐ近くにいたはずの老人の姿はもうどこに
も見えなかった。
翼
「…えっ、おじいさん?」
ざわぁっと木々の揺れる音に、翼の困惑した声はかき消されていったのだった…。
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08/30(Fri) 05:39
プロローグ3
清香
???
「おい、そこの!」
いきなり大きな声で呼びかけられて、思わず翼の身体がビクッと揺れた。
翼
「は、はい!すいません!」
条件反射のように謝ってしまったのはどうしてだか分からないが、恐る恐る声のした方向を振り返ると校門に立ってといた教師がツカツカやって来た。
教師
「見ない顔だが、お前はもしかして今日転校してくる予定の…?」
ちらりと頭から足先まで一瞥をくれると、フンっと鼻を鳴らしながら手に持っていたファイルを『パンッ』と閉じた。
翼
「はい!櫻井翼です!!」
教師
「転校初日ならばもう少し時間に余裕を持って来なさい。まぁ、制服は校則通りきちんと着ているようだから、通って良し。早く行きなさい。」
翼
「は、はい。あの…。」
興味を失ったかのようにくるりと背を向けながら再び腕時計に目を走らせる教師に、実は一番気になっていたことを聞かなくてはいけないと、翼が小さな拳をギュッと握った。
教師
「なんだ?俺は忙しいんだが…。」
翼
「私、1年何組に行けばいいんですか?」
教師
「はぁ?」
間の抜けたような声を出しながらマンガのように肩を落とすリアクションを取る教師に、どうにか答えを求めようと縋りつこうと手を伸ばすと。
教師
「こ、こら、近づくな!!」
翼
「先生!教えてください!!職員室ってどこですか?」
じりじりと距離を計るように遠ざかる教師に、どうにか担任の名前と教室の場所だけでも聞けないかと食い下がると。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が軽やかに鳴り響く。
教師
「あぁ!!」
???
「おっ、ギリセーフ!!!!!」
教師
「こらっ!今日のは遅刻だぞ!!」
砂埃を上げるような勢いで閉まり始めた校門に滑り込んできたのは、目の大きな男子生徒だった。
『ガシャン』っと閉まった校門に施錠をしながら教師が声を荒げると、男子生徒は全く気にもせずズボンの裾についた砂埃を払っている。
???
「何言ってんの、アニ先生が予鈴が終わる前に校門を閉められなかったのがいけないんでしょー!閉まる前に入れたんだからセーフですぅー!」
べーっと舌を出して『アニ先生』と教師を呼ぶこの男子生徒は、遅刻の常習犯なのだろう。
慣れた様子でその『アニ先生』を置き去りにし、校舎へと入ろうとしてしまう。
アニ
「おい、如月!じゃあ、今日のは見逃してやるから、お前はコイツを職員室まで送ってやれ!」
その言葉に、翼も『如月』と呼ばれた男子生徒も一瞬驚いて顔を見合わせた。
如月
「へ?俺で良いの?」
アニ
「お前は一応生徒会の役員だろうが!転校生の面倒を見るのも仕事だ!!」
『生徒会ってそうだっけ?』と翼が首を傾げるものの、指名された如月は何だか少し嬉しそうに階段を下りて翼の元へと駆け寄った。
如月
「ハイハーイ!じゃ、この如月公平君が桜田門学園をご案内いたしまーす☆」
翼
「え、えぇ?」
如月
「ほら、本鈴が鳴ったら流石にマズイからね、とりあえず職員室まで送るよ。」
『急ごう。』
背中を押されて下駄箱まで行き、上履きに履き替えた瞬間に翼の手を引いて如月は小走りで駆けだした。
時折確認するかのようにチラリと振り返ってくれる瞳は何だか楽しそうで、遅刻してしまいそうな状況にも関わらず二人の口元には自然と笑みが浮かんでくる。
如月
「はい、着いた。ちょっと待っててね。」
階段を上がっていくつかの角を曲がった所に、『職員室』と書かれた扉があった。
先に中へと入り何やら教師達に話をする如月の声を聞きながら、走っただけではないドキドキが翼の胸へと広がっていく。
どんな学校なのだろう。
担任の先生は優しいといいな。
閉まる扉の前でそんな事を考えながら、期待と不安が膨らみすぎて翼の胸がパンクしそうになったその瞬間。
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08/30(Fri) 05:41
プロローグ4
清香
???
「遅いッ!一体何してたの!」
バンっと勢いよく職員室の扉を開いて出てきたのは、確実に見上げなくてはいけないほど背の高い男性だった。
明らかに不機嫌そうに腕を組んで翼を見下ろしてはいるが、その目は見た事もないくらい綺麗な淡い碧色で。
翼
「は、はぁ。」
透き通るような白い肌と、窓から射す光を集めたような金色の髪の美しさに、思わず言葉が出なくなる。
???
「はぁ、じゃないでしょ!いつまでたっても来ないから心配したじゃない!」
翼
「す、すみません。」
そして言葉が出なくなるのは、目の前の男性の美しさにだけではなく、その言葉づかいにも、だ。
(なんでオカマ言葉!?)
如月
「穂積センセ、怯えちゃってますよ。」
これ以上何も言えばいいのか分からないでいると、穂積と呼ばれた背中の後ろから如月が顔を出す。
???
「とりあえず登校して来たんですから。本鈴もそろそろですし、朝礼をしましょう。」
穂積
「明智、最初が肝心なのよ?」
穂積の横をすり抜けるようにして出てきた明智という教師も、穂積と同じくらい美しい顔立ちをしていた。
しかし怒りをあらわにする穂積とは対称的に、明智は心の読めない涼しい顔で何十枚ものプリントと辞書を持って佇んでいる。
一応フォローらしきものを入れてくれる如月はいるが、背の高い二人に囲まれ身体的にも精神的にも居心地の悪さを感じていると。
???
「おや、どうしたの?」
耳にすっと馴染む、きれいな声が不穏になり始めた空気を柔らかく包んでくれた。
と思っていたのだが。
穂積
「うちのクラスの事だ。お前には関係ない。」
明智
「それより早く授業の準備をなさったらいかがですか?小野瀬先生。」
さっきまでもオカマ言葉はどこへやら。
バッサリと言い切る穂積と、涼しい顔と同じくらい冷徹な言葉を放つ明智に、翼は言葉どころか開いた口を閉じることすら出来なくなっている。
しかし小野瀬と呼ばれた教師はそんな二人の言葉を聞いていないのか、ニッコリと微笑みながら翼の頭を撫でできた。
小野瀬
「君が今日来るって言っていた転校生なんだ。はじめまして、小野瀬です。よろしくね。」
初めてきちんとした挨拶をしてくれた先生なのに、なんでだか時空のどこかで警戒警報が鳴り響いている気がしてならず、『よろしくお願いします…。』と言い愛想笑いを浮かべるのが精一杯だ。
穂積
「こんなのとよろしくしなくていいから。ほら、教室へ行くわよ。」
そう言うと、穂積は翼の腕を取り自分の後ろへと隠してしまった。
一気に背中しか見えなくなってしまったが、担任が分かったという事だけで不思議と安心感が湧いてくる。
とりあえずこの背中を追いかけていればいいのだろうと思っていると。
如月
「ねぇ、どうして時間ギリギリだったの?もしかして寝坊しちゃった?」
『俺みたいに』と小さな声で付け加えながら如月が言うのだから、思わずおかしくなってしまう。
老人の事を言おうか言うまいか一瞬迷ったのだが、『まぁ変なことでもないし』と具合の悪そうな近所の老人の話をすると。
如月
「えっ、あのおじいさんを助けたの!?」
素っ頓狂な声を出して驚く如月に、思わず翼もつられて驚いてしまう。
そして前を歩く穂積と明智もすごい勢いで振り返ってきた。
穂積
「あのじいさんに声をかけられたのか!?」
翼
「い、いや、具合が悪そうなので私が声をかけたのですが…?」
明智
「また、あんな事をやってるとは!クソッ」
なんだか翼にはよく分からないが、どうやら学園内では要注意人物として認識されていたのだろうか。
憤慨する二人の教師の様子に戸惑っていると、のんびりと後ろからついてきた小野瀬がそっと翼の肩を抱いた。
小野瀬
「あの人はね、ウチの学園の校長なんだよ。転校生や新入生にいつもああやって構ってもらおうとするんだ。」
翼
「えぇっ!」
小野瀬
「まぁ、イマドキの子は人助けなんで滅多にしないから最近はやらなくなってたんだけどなぁ。」
穂積
「それでも人の良心につけ込もうとする所が気に入らん。」
明智
「また厳しく抗議しましょう。」
小野瀬
「まぁまぁ、良いように考えたら?」
顔を見合わせる穂積と明智に割って入るよう、小野瀬が先ほどと同じような綺麗な頬笑みを浮かべながら翼の肩を叩いた。
小野瀬
「転校初日に困っている老人を見過ごすことが出来ないような優しいお嬢さんだ。今、こうやって人の気持ちに寄り添える子は珍しいんじゃない?」
明智
「まぁ、そうですが…。」
穂積
「何が言いたいんだ?」
小野瀬
「人材不足で困っていた生徒会をお手伝いして貰うってのはどうかな?」
肩を押されて車座の中心に立つ事となった翼に、穂積は合点がいった顔をしながら頷き、明智も「なるほど。」と呟いていた。
『ね?』と小野瀬に微笑まれて、翼は思わず『はい?』っと言葉の真意を確かめるため聞き返したのだが。
穂積
「あっ、今『はい』って言ったな。よし、決定。生徒会を手伝え。」
翼
「えぇっ!」
如月
「いやったー!!初めての後輩だ!!よろしくね!!」
腕を取られブンブンと上下に振られると、ぐわんっと頭の中で何かが揺れる気がする。
何だか分からないまま進む話と、教室までの道のりは遠いのやら近いのやら。
キーンコーンカーンコーン
能天気に鳴る本鈴のチャイムによって、翼の新しい学校生活の幕は開いたのだった。
08/30(Fri) 05:48
学園パロなので。
清香
学園物語設定資料集
穂積泪:厳しいが教え方が上手だと評判の金髪碧眼の英語教師。なぜかオカマ言葉。野球部顧問。
小野瀬葵:女子生徒に大人気な白衣の似合う生物教師。口癖は「キミも解剖されたい?」穂積と同期。剣道部顧問。
明智誠臣:生真面目な国語教師。毎週漢字テストをすることにこだわりを持っている。家庭科部顧問。試合前になると柔道部の指導もする。
藤守賢史(弟):3年生。明るく人望ある生徒会長。陸上部キャプテン。穂積先生とは仲良し。(パシリとも言う)
小笠原諒:2年生。生徒会副会長。口数は決して多くないが、影で会長を支える生徒会のブレーン。ベンチャー企業を経営している。帰宅部。
如月公平:2年生。世話好きで優しい先輩。ヒロインが転校し、初登校で学校を案内してもらった人物。髪型を常に気にしている。柔道部所属。次期部長候補。
藤守慶史(兄):校則に厳しい社会科教師。毎朝校門で生徒をチェックしている。「絶対領域は死守する!」がモットー。
山田太郎:桜田門高校の校長。謎の多い人物。
櫻井翼(ヒロイン):父親の転勤に伴い、桜田門高校に転校してきた1年生。明るく素直。人の名前と顔を覚えるのが得意。運動はちょっと苦手。
転校初日から学園で人気の先生達に頼まれ、いきなり生徒会のお手伝いを!?
個性的な先生や先輩に囲まれて、毎日大騒ぎ!
教えて貰うのは勉強?
…それとも、恋?
キュンっと甘酸っぱい夏が、今、始まる!
『アブナイ☆恋の学園物語』
学園物なので、キャラクターはいくらでも増やせます。生徒・先生・PTAで参加したい方はどうぞ自分のキャラを登場させて下さい。
個人のキャラは出来るだけ個人の書き込みの範囲内でネタを完結していただけるようお願いします。
あくまでも翼ちゃんがメインと言う事を忘れない程度に楽しみましょう☆
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08/30(Fri) 14:40
清香さんありがとうございます♪
小春
転校初日の昼休み。
マンガや小説だと、転校生の翼の席の周りにはあっという間に人だかりが出来、質問攻めにあってしまったりするのだが……。
二学期ともなると、皆、すでに昼休みの過ごし方は決まっているらしくて。
授業が終わるとクラスメイトたちはそれぞれ昼食を摂るために散らばっていき、翼は自分の席でお弁当を食べようと、机の上を片付けていた。
そんな様子に気付いたのか、午前中最後の授業だった英語の教師であり、担任でもある穂積が、翼に声を掛けてきた。
穂積
「櫻井、もしかして一人でご飯食べるの?」
翼
「あ、先生。ありがとうございます、大丈夫です」
笑顔の翼の視線を追って、穂積が振り返る。
するとそこには、お弁当の包みを手にソワソワしている、小柄な女子生徒が立っていた。
髪は真っ黒でショートカット。野暮ったいぐらいに、きちんと規則通りに制服を着ている。
穂積と目が合うと、ぴょこんと頭を下げた。穂積の頬も思わず緩む。
穂積
「ああ、小春」
翼
「最初の休み時間に、自己紹介しに来てくれたんです。それで、お昼一緒に食べようって言ってくれて」
穂積
「なるほど」
微笑んだ穂積にちょいちょいと手招きされて、小春が素直に寄ってくる。
穂積は小春の頭に、ぽんと大きな手を乗せた。
穂積
「この子は真面目だし、性質も穏やかだから、きっと、最初の友達にはちょうどいいでしょう。……ちなみに、国語の成績だけは抜群よ。他は並。英語は赤点だけど」
小春
「きゃー!」
いきなり成績を暴露されて真っ赤になる小春と、笑いながら、小春の頭に乗せた手を下ろす穂積。
穂積
「ワタシが教えているのに、この子ときたら」
ぴん、と、軽いデコピン。
小春
「ううう、すみません」
穂積
「国語は出来るのに英文法が苦手、って何なのかしらね。まあ、じっくり教え直してあげるわ。ドリル見せなさいよ」
小春
「はい」
穂積
「じゃあね。小春、櫻井と仲良くしてあげてね」
小春
「はい」
穂積が去ると、小春はまだ赤い顔のまま、翼の前の席の生徒の机を借りて、向かい合うようにして座った。
小春
「……もう、恥ずかしい」
翼
「小春ちゃん、ドリルって何?」
翼に問われて、小春はさらに赤くなった。
小春
「……中学生の……英語ドリル」
ああ。
翼は、さっきの、穂積と小春の会話を思い出していた。
つまり、小春があまりにも出遅れているので、穂積は小春に市販の英語ドリルを買わせて、その復習と提出を義務付けているらしい。
小春
「先生が、答えのページを切り取って持ってるの」
翼は噴き出してしまった。
まるっきり中学校の宿題だ。
翼
「笑っちゃってごめんね」
小春
「ううん。先生にも迷惑かけてるって分かってるんだけど。……でも、穂積先生のおかげで、英語も好きになってきたかな。まだ苦手だけど」
ふうん、と相槌を打ちながらも、翼には直感があった。
翼
「……好きになってきたのは、英語?それとも、穂積先……」
小春
「きゃー!」
小春が、慌てて翼の口を押さえた。
しかし時すでに遅く、教室にまばらに残っているクラスメイトから、隠しきれない忍び笑いが聞こえる。
小春は色白なので、赤くなるとすぐに分かってしまう。
小春
「……翼ちゃんて鋭い」
翼
「うふふ、ごめんなさい」
小春
「ううん。当たり。穂積先生は厳しいけど、本当は優しいから、すごく人気あるんだよ。……小野瀬先生と、どっちが人気あるかなあ?」
翼
「小野瀬先生?」
小春
「生物の。今日の午後、小野瀬先生の授業あるよ」
そんな話をしながら、小春と翼はお弁当を広げ始めた。
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08/30(Fri) 17:32
今回も面白そう♪
とも
???
「失礼しまーす、穂積先生、いらっしゃいますか?」
教室の入り口から元気な声が聞こえてきた。
そこにはセミロングの髪を横で一つに束ね、うっすら日焼けした顔の女子生徒が立っていた。
小春
「あっ、とも。穂積先生ならついさっき職員室に戻ったところだよ」
とも
「え~、タッチの差? 今日の部活の練習メニュー、チェックしてもらおうと思ったのに、遅かったか~ってあれ?隣にいる子ってもしかして?」
小春
「うん、今日からうちの学校に転校してきた櫻井翼さん。櫻井さん、こちらはともちゃん。私たちと同じ一年で隣のクラスなんだけど、野球部のマネージャーをしてるんだよ」
櫻井
「はじめまして、ともさん」
とも
「アカンアカン、さん付けなんてやめてや~同級生なんやから。ともでええよ。私も翼って呼ぶし。なっ?」
櫻井
「わかった。じゃあとも、お昼まだなら一緒に食べない?その袋、お弁当でしょ?」
とも
「やった!ええの?んじゃ遠慮なく~」
こうして初日の昼休みは楽しく過ぎていったのだった。
[削除]
08/30(Fri) 21:54
小春さんと、ともさんは同級生…φ(・ω・ )カキカキ
清香
どこへ引っ越してきたのか、趣味は何なのか、好きな音楽は何なのか。
女の子同士の会話に『尽きる』という文字は無く、楽しい時間などあっという間だ。
小春
「あっ、そろそろ移動しないと!」
とも
「小春と翼のクラスは生物なんや。小野瀬先生のクラスは早よ行かな大変やからなぁ。」
翼
「…大変?」
うんうんと頷く二人に、翼は首を傾げるばかりだ。
翼
「小野瀬先生って、あの白衣を着た綺麗な声の優しい先生の事?」
とも
「せや。もう知っとんの?」
翼
「うん、今朝お会いしたよ。」
弁当箱を片付けながら生物の教科書とノートを揃えていると、教室の外を何人もの女子生徒が集団になって歩いてくるのが見えた。
その中心で、女の子達より頭ひとつ高い所で笑顔を振りまいているのが、噂の主の小野瀬だ。
小春
「噂をすれば何とやら…だね。」
とも
「相変わらず凄い人気やなぁ。」
ハルメンの笛吹きのように何人もの女の子達を引き連れて、小野瀬先生は理科準備室へと消えて行った。
小野瀬先生が通った後には女の子はおらず、羨ましそうに行列の後ろを見つめる男子生徒のため息と眼差しだけが残っている。
翼
「みんな何をしに行くの?ウチのクラスの子だけじゃなかったけど…」
小春
「みんな、授業の準備を手伝ってるの。小野瀬先生は人気者だから、そうでもしないとお話出来ないから。」
翼
「へぇ。」
とも
「ウチの学校では穂積先生と一、二を争う人気者やね。まぁ、私は穂積先生派やけど。」
ちらりと小春に目をやると、小春も頬を赤く染めながら頷いていた。
翼
「小春ちゃんも穂積先生派なんだね。」
小春
「えへへ、まぁね。」
(そんな人気のある先生が担任なんてラッキーだったのかなぁ)
まるで他人事のように感じながら、教室の前でともと別れた翼と小春は5限目の授業のため、理科室へと足を向けたのだった。
[削除]
08/30(Fri) 23:45
始まりましたねぇ!
くちびる
学園物だあ♪
雑談には参加出来なかったけどちゃんと見てますよ!
穂積先生と小野瀬先生はやっぱり学校でも人気を二分してますねえ~!
私は小春さん、ともさんより年上なので~多分
生徒はキツイなぁ!
でもリアルに社会科の教員免許持ってるんで、女教師で桜田門学園に赴任したいですねー♪
08/31(Sat) 06:59
くちびるさんいらっしゃいヽ( ̄▽ ̄)ノ
小春
教員免許!凄いですね!
ぜひ赴任してきて、アニと授業方針や歴史的解釈なんかについてバトルを繰り広げて頂きたいわ。
でもせっかくだから、別の設定で参加するのもアリですよ。
どちらにしても、くちびるさんの出番をお待ちしております!
[削除]
08/31(Sat) 09:50
☆理科室・小野瀬の授業☆
小春
小野瀬
「今日の実習は、前回の授業で学習した、『タンパク質である酵素は高熱に弱い』という事を理解する為に、肝臓中のカタラーゼを用いた比較実験をしてみるよ」
小野瀬は理科室の黒板に《カタラーゼの実験》という表題を書き、その下に実験の手順を書き始めた。
すでに今日の授業の段取りは頭に入っているらしく、何の資料も見ずにすらすらとチョークを滑らせる小野瀬の背中を、多くの女子たちがうっとりと見つめていた。
一方、男子生徒たちは面白くなさそうな顔をして、よそ見をしたり、仲間同士でこそこそ話し込んだりしている。
翼が隣の班の席を覗き見ると、板書を写し終えた小春は小野瀬にも男子生徒たちにも興味が無い様子で、実験に使う生のレバーを見ていた。
翼の視線に気付いて、顔を上げた小春はそっと微笑んできた。
こうして改めて見ると、小春には派手さはないが、お人形のように整った顔立ちをしている。
芸能人に似ているのかな?
最近、どこかで小春に似た顔を見た気がするんだけど……。
記憶を引き出しかけたところで、小野瀬から「では、各班、実験開始」の声が掛けられたので、翼はそこで意識を授業に戻した。
授業終了後、小春と並んで理科室を後にし、教室に戻るため廊下へ出てきた翼に、後ろから、小野瀬が声を掛けてきた。
小野瀬
「櫻井さん、小春さん。ちょっといいかな?」
二人が足を止めて振り向くと、小野瀬は甘い笑顔を浮かべる。
その小野瀬から少し離れた場所には、背後霊のようにファンクラブの女子生徒たちが一様にこちらを窺っていて、翼を震え上がらせた。
翼
「何でしょうか?」
小野瀬
「櫻井さんは、初めてだったから。俺の授業、どうだった?」
もっと自信満々の人かと思ったら、意外と可愛い事を訊いてくる。
翼は小野瀬に向けて顔を綻ばせた。
翼
「はい、とても分かりやすかったです」
小野瀬
「本当に?嬉しいな」
言葉通り、本当に嬉しそうな顔で笑う小野瀬に、翼は胸の内が温かくなるようだった。
こんなに一生懸命教えてくれる先生がいる事が、嬉しかった。
転校してきて良かったな。
翼がそう思った時。
小野瀬
「小春さんは?どうだった?」
小春
「面白かったです。レバーがもっと新鮮ならなお良かったです」
真面目な顔でおかしな事をいう小春に、小野瀬は声を立てて笑った。
小野瀬
「きみのそういう面白いとこ、俺、好きだな」
身体を屈めた小野瀬が、きれいな指先で小春の白く柔らかい頬を、つん、とつついた。
その直後。
小野瀬
「痛たたたた!」
小春の方に上体を傾けた不自然な体勢のまま、小野瀬が悲鳴を上げた。
見れば、さっき小春をつついた小野瀬の手首が誰かに掴まれて、腕もろともに、背中に着くほど捻り上げられている。
翼はびっくりして、小野瀬を掴んでいる腕の主を確かめようと振り向いた。
そこには、端正な顔を眉ひとつ動かさずに小野瀬を見据えている、長身で黒いスーツの男性。
……明智先生!
明智
「俺の妹に触らないで下さい」
……いもうとー?!
驚きながらも、翼は明智が国語教師だった事と、穂積が語った、小春の成績の話とを思い出していた。
そして、教師たちも生徒もみんな、小春を名字ではなく名前で呼んでいた事も。
それから、明智と小春の黒髪と整った顔立ちを見比べて、なるほど、並べてみれば確かにそっくりだと感心する。
その事に今まで気付かなかった自分が可笑しくてくすくす笑っていると、翼に向かって、小野瀬が悲鳴を絞り出した。
小野瀬
「櫻井さん!笑ってないで、助けて!」
[削除]
08/31(Sat) 18:22
今から帰宅なう
くちびる
小春さんは明智先生の妹なんですね♪
小野瀬先生は何処にいても悪い虫扱い....笑
続き期待してますねえ~他力本願~
思考回路がストップしてて続きが浮かびません!
読者モ-ドですが、ちょくちょく感想を入れますのでよろしくお願いします!
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08/31(Sat) 18:31
くちびるさんヽ( ̄▽ ̄)ノ
小春
お仕事お疲れ様です。
どんな形でもリアクリョンがあるのは大変嬉しいです。
ナビゲーションよろしくお願いしますね!(^-^ゞ
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08/31(Sat) 20:42
あらま。
清香
予想以上に早くバラしたのね(笑)
くちびるさん、桜田門学園では教師募集中ですよ。
「助けて!」と小野瀬に言われたものの、ろくに会話をした事のない明智にどう話しかければいいのか、転校したての翼にわかるはずも無い。
小春も「お、お兄ちゃん…」と言いながら明智のジャケットの裾を引っ張って止めようとしてはいるが、怒りのオーラを纏った明智の耳には届いていないようだった。
小野瀬のファンも、小春も翼もハラハラしながらどうしたらいいのか考えあぐねていると。
「ったく、またやってんの?あんた達は。」
呆れたような口調で集まり始めた生徒達をかき分け、小野瀬の腕をひねり上げる明智の手を離したのは穂積だった。
翼
「穂積先生!」
穂積
「どうせ性懲りも無く小春をからかって、明智にバレたんでしょ?」
まるで現場を見たかのようにちらりと明智と小春と小野瀬の顔を見ながら言う穂積の瞳には、言葉と同様に呆れた様子が浮かんでいる。
小野瀬
「俺は転校してきたばかりの櫻井さんに授業が分かったか確認しただけだよ?」
明智
「ならばうちの妹に触る必要はないはずだ。」
小野瀬
「少しだけでしょう?ねぇ?」
明智の背中から少しだけ顔を出した小春に弁護を求めるよう小野瀬がいつもの笑顔を向けるが。
明智
「寄るな。」
穂積
「小野瀬。」
噛みつかんばかりの早さで小野瀬を制する明智と、そんな小野瀬のシャツの首根っこを穂積が掴んだのはほぼ同時だった。
小野瀬
「ぐぇっ。苦しいよ、穂積。」
穂積
「ほら、とっとと職員室へ戻れ。これ以上騒ぎを起こすな。」
小野瀬
「はいはい。櫻井さん、驚かしてゴメンね?」
穂積によって強制的に職員室方向へと身体を向けさせられた小野瀬は、傍で小さくなっていた櫻井の頭を一つ撫でて『じゃあ、また明日。』とだけ言って去って行った。
残された明智は、小野瀬が角を曲がるまでその背中を睨み続けていたのだが。
穂積
「このアホが!」
明智
「…痛ッ!」
小野瀬の姿が見えなくなった瞬間、穂積が持っていた出席簿のファイルの角を明智の脳天に落としたのだった。
小春
「お、お兄ちゃん、大丈夫?」
ガツンッ!と響いた音と、しゃがみ込む明智の姿が穂積のファイルがもたらした威力を物語っている。
穂積が遠巻きに見つめる生徒達に出席簿を振って見せると、『同じ目にあったらたまったもんじゃない』と生徒達はまるで蜘蛛の子を散らすように教室へと逃げ帰って行った。
翼
「穂積先生…。」
穂積
「あら、アンタは逃げなかったのね。根性あるじゃない。」
教室へ戻らなかったものの、心配そうな顔で穂積を見上げる翼へ穂積はやっと笑顔を向けた。
翼
「なんとなくですけれど、先生にはきちんと考えがあってされた事だと思ったので…。」
穂積
「………えっ?」
翼
「あっ、違っていたらスミマセン!」
「余計な事を…」と呟きながら口元を押さえる翼に、思わず穂積の口から笑いが漏れた。
穂積
「ハハッ、そこまで考えてねぇよ。でも偉いな、櫻井は。」
ポンッと頭に置かれた手が、ゆっくりと翼の髪を撫でる。
少し熱い手のひらの感触と、ほんのりと赤く染まった穂積の耳が見えると。
翼
「…えっ。」
翼の胸の奥の、穏やかな水面のようだった心に波紋が広がっていく。
何がその波を引き起こしているのか、そして何を示しているのか、まだ幼い翼には分からない。
でも。
翼
「…うふふ。」
明智の頭を確認する穂積の背中を見ながら、この学校に来れて良かったと改めて感じたのだった。
08/31(Sat) 21:40
せっかくだ。
清香
私も参加するのでちょっとお待ちを。
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08/31(Sat) 22:47
こんばんは~
とも
やっぱりみんな自分を登場させたんや~(笑)
私も続きを考え中ですが高校生なんてもう○年前なんでね、高校生活どやったとかすっかり忘れてしもてるので、只今卒アル探してます(。・ω・。)ゞ
あっ、探してるのはええけどだんだん散らかってきた(-_-;)
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08/31(Sat) 23:49
エミ
壁|д・) こんばんは。
リレー読んでますよー。
学生時代……気がつけば遥か昔。あの頃、何してたっけ?と引き出しを探るにも錆びついてしまって中が見れません(笑)
どこかで参加できるように努力します。
(・∀・)ノシ
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09/01(Sun) 00:40
パラレルですから。
清香
そこまでリアルにしなくても大丈夫ですよ、と、どちらかと言えばPTAな私が言ってみる。
穂積
「ほら、見せてみろ。」
明智の傍に膝を着くと、穂積は出席簿を当てた辺りをそっと触った。
明智
「…ッ」
穂積
「……少し腫れてるか?加減出来なくて悪かったな。」
諍いを止める為とは言え、ケガをさせてしまったのは確かだ。
穂積は先に立ち上がると、明智の腕を引っ張り立ち上がらせ、そのまま何処かへと連れて行こうとする。
明智
「穂積先生!?」
穂積
「冷やした方がいい。保健室へ行こう。」
そう穂積が言うと、明らかに動揺した態度を明智は取った。
明智
「い、い、いや、大丈夫です。大した事ありません。本当です。」
明智の持っていた教科書や辞書を抱えた小春も、なんとなく落ち着かない様子で。
小春
「あ、あの、私が代わりにアイスノン貰って来ますから!!そ、それでいいよね、お兄ちゃん!?」
明智
「あああああ、そ、そうだな、そうして貰おうか。頼んだぞ、小春。」
明らかに挙動不審な兄妹に穂積は呆れたようなため息をつくと。
穂積
「そんなに苦手なのかよ、篠崎が。」
明智
「そ、そんな事は、な、無いですよ?な、なぁ、小春?」
小春
「う、う、う、うん、もちろんですとも。」
穂積
「お前ら、声が裏返ってる。」
はたから見ても下手くそな演技をする二人に、翼は明智のケガの具合よりも件の人物の方が気になってしまう。
翼
「あ、あの、篠崎さんって……?」
小さく手を挙げた翼に、穂積は『あぁ、』と説明をしてくれた。
穂積
「この学園の養護教諭。数少ない女性教師だし、会っておいた方がいいかもな。」
翼
「…はぁ。」
穂積
「ほら、俺と櫻井も一緒に行けば大丈夫だろうが。いい加減、観念しろ。」
穂積はどうにか逃げようと企む明智兄妹の首根っこを纏めて掴み、昇降口脇にある保健室まで文字通り引きずって行ったのだった。
~保健室~
穂積
「おーい、お客さんだぞ~。」
???
「はぁーい、いらっしゃい♪…って、その声は穂積君じゃない。もう部活の時間?」
窓際にあるデスクに向かって書類整理をしていた女性が、くるりと回転イスを回して振り返りながら腕時計を見た。
穂積
「いや、今日はすげぇ珍しいの連れて来た。明智先生だぞ。」
???
「えぇっ、本当!?」
一気に立ち上がり、コツコツとヒールの音を立てながら保健室の入り口へと駆け寄って来た女性が、養護教諭の篠崎だった。
篠崎
「あら、珍しい!普段自分で手当てしちゃって滅多に来てくれないのに、どういう風の吹きまわし?」
穂積
「頭をぶつけたんだが、タンコブになっちまったようなんだ。冷やしてやってくれよ。」
篠崎
「オッケー♪かしこまりました!」
緩くパーマのかかった長い髪をシュシュで手早く結ぶと、篠崎はニッコリと微笑んで4人を迎え入れた。
翼
「……ちょっと明るい普通の先生じゃない?」
小春
「悩みも聞いてくれるし、いい先生だとは思うんだけどさ……。」
入り口の近くで様子を見ながら小さな声で話す翼と小春の事など気にもせず、篠崎は『やっぱり大丈夫です!』と渋る明智の手を引っ張り強引にイスへ座らせた。
ぶつけられた箇所を確認する為に明智の頭へ手を伸ばし、血が出ていないか見ている。
…のだが。
篠崎
「この辺ですかー?」
明智
「………は、…はい。」
横からでも、背後からでも構わないだろうに、何故だか篠崎は明智の真正面から傷がないか確認をしていたのだった。
頭を覗きこむために近づく篠崎の距離に、明智の顔は徐々に赤くなり目が泳いでくる。
それもそのはず、明智の目の前には露骨に開かれた篠崎の胸元があったからだった。
篠崎
「少し傷になってますから、消毒だけしちゃいますねー。」
背伸びをして消毒をしようとしているのだが、胸元に頭を抱えこんでいるようにも見ようと思えば見えてしまい。
小春
「………(怒)」
翼
「こ、小春ちゃ…?」
背後に炎でも見えそうなくらい、小春は静かに怒っていた。
小春
「篠崎先生ったらあんなに近づかなくたっていいのに。ブラウスのボタンだってもう一つ留めてもいいじゃない。あれじゃあ胸の谷間を見せびらかしてるようなもんじゃない。お兄ちゃんもお兄ちゃんよ。赤くなっちゃって。」
ブツブツと文句を言う小春に呆気にとられた翼を、穂積がこっそり手招きをした。
穂積
「見た目はセクハラしそうな人っぽいけど、仕事は一応きちんとするから、何か私達に言いにくい悩みがあったらここで愚痴ると良いわよ。」
翼
「は、はい。」
穂積
「それと、小春はただ妬いてるだけだから放っておいて。ここはブラコンにシスコンの兄妹だから、面倒なのよ。」
翼
「は、はぁ。」
『大丈夫そうだろ?』と苦笑いしながら篠崎と明智の元へと行く穂積を見て、翼も苦笑いを浮かべたのだった。
09/01(Sun) 06:35
はーなーれーなーさーいー!!
小春
私が寝落ちしている間に何て事を!(怒)
穂積
「篠崎、そのくらいにしてやってくれ。小春が泣きそうだ」
篠崎
「あら」
穂積の言葉に、篠崎と、物凄い勢いで明智が小春を振り返る。
翼の隣に立っている小春は、穂積の言う通り、目にいっぱいの涙を溜めて唇を噛み、白くなるほど拳を握りしめていた。
いつもにこにこしている少女なだけに、小さな身体を震わせて堪えている姿は、見る者の胸を痛くさせるほどで。
明智
「こ、小春」
篠崎
「ああ、お待ちになって」
椅子から腰を浮かせかけた明智を押し戻すように再び座らせた篠崎は、手早く消毒を済ませ、軟膏を塗り込んだ。
篠崎
「はい、終了。しばらくは安静にして下さいね」
明智
「あ、どうも、ありがとうございました」
今度こそ立ち上がろうとした明智の膝が、篠崎の脚に微かに触れる。
篠崎
「あっ」
短い声とともに、篠崎の身体から力が抜け、明智に覆い被さるように倒れた。
明智の顔面に豊満な胸が押し付けられ、篠崎の腕はしっかりと明智に抱きつく。
「!!」
篠崎
「あらやだ。ごめんなさぁい?」
間近から、しがみついたままの篠崎に囁かれて、明智の顔はもう熟れたトマトのよう。
明智
「あ、や、だ、こ、こちらこそす、す、すみ」
篠崎
「明智先生って、やっぱり鍛えてらっしゃるから、すごい筋肉。す、て、き」
篠崎はなぜか薄笑い。
小春
「ーーーーー!!」
翼
「あ、小春ちゃん!」
密着する明智と篠崎を見ていられなくなったのか、小春は回れ右をして、物凄い勢いで保健室を飛び出して行った。
明智
「小春!」
くっつく篠崎を押し戻すようにして、明智も保健室を飛び出してゆく。
二人が出て行った扉を見ながら、どうしようかとおろおろしながら立ち尽くす翼の背後で。
篠崎
「本当に、仲の良いご兄妹よねー」
のんびりと呟いた篠崎の頭を、穂積が無言でぺちんと叩いた。
09/01(Sun) 06:47
リレー3日目。
小春
昨日はくちびるさん、清香さん、ともさん、エミさん、ありがとうございました。
桜田門学園で小野瀬さんと双璧を成すフェロモンの源、篠崎清香も新登場。
物語はどうなってゆくのか。
今日もよろしくお願いしますm(__)m
[削除]
09/01(Sun) 07:30
おはようございます!
くちびる
今から仕事なう!
おお♪篠崎先生登場デスネ。小野瀬先生とダブルでフェロモンだだもれですね♪
私的には明智兄妹がかなりツボですね♪
私もどこかに登場したいなあ…思案中です。
藤守兄弟も気になりますが。
[削除]
09/01(Sun) 08:12
くちびるさん(^-^ゞ
小春
お仕事ご苦労様です!
私も相変わらず仕事です。日本経済の為に、お互い頑張りましょうねっ。
今回は登場人物が多いので、ポジションは選び放題です。
ボケまくりの明智兄妹と、ツッコミ体質の藤守兄弟の直接対決はあるのか?!ないのか?!
引き続きよろしくお願いします。
(* ̄▽ ̄)ノシ ♪
リレーSS専用スレ
清香
リレー専用スレです。
☆書き込みの前に作成した文章を保護した上で、最新の情報に更新する事をお勧めします。
☆お話を書きこむ時は黒では無く文字色を変えて下さい。出来るだけ他の方と被らない色でお願いします。
☆次のお話を書く時や、続きがある時はメッセージを残して下さい。
☆初参加・短文・ぶっこみ大歓迎です。きっと誰かが何とかしてくれます。
☆合言葉は『他力本願』です。
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08/30(Fri) 05:36
と言う事で。
清香
新しい服に袖を通す時は、不思議と胸がドキドキする。
それはこれから始まる新しい一日が、素敵なものになると予感をさせてくれるようで。
翼
「…どうかな。」
真新しい白いブラウスに、深緑のチェック柄のプリーツスカート。スカートと同系のハイソックスを履き、紺色のベ
ストにブレザーを着て、赤いリボンをキュっと締めると鏡の前でくるりとまわり、後ろ姿まで確認をした。
翼
「おかしくないよね?」
そう呟きながら何度かスカートの裾やリボンの傾きを直したりしているうちに、時間は過ぎてしまっていたようで。
母親
「翼、そろそろ時間よ〜。初日から遅刻しちゃしょうがないでしょ。」
呆れたような母親の声が階下から聞こえる。
それは翼の意識を鏡の中の自分から現実へと引き戻してくれるには十分なもので。
翼
「はーい!すぐに行くね!」
慌てて部屋を出て階段を駆け降りると、リビングから出てきた父親が心配そうな顔で声をかけてきた。
父親
「翼、帰りは痴漢に会わないよう人通りの多い所を歩くんだぞ?」
翼
「はぁい。」
父親
「変な輩が多い時代だから、用心しなさい。」
翼
「…はぁい。」
父親
「もし、部活で遅くなる時は迎えに行ってやるから、必ず連絡をしなさい。」
一人娘の翼を心配するあまり玄関に辿り着くまでひたすら注意事項を並べる父親に、翼も妻である母親も呆れ顔だ。
翼
「もう、お父さんも赴任したばかりなんだから、忙しいでしょ。大丈夫だよ。」
父親
「お前は危機感が足りないからだ。」
翼
「……大袈裟だって。」
父親
「いいか、出来るだけ近所に住んでいる子と友達になるんだぞ!」
翼
「はぁい、うまく見つかったらね。」
母親
「はい、お弁当。」
翼
「ありがとう、お母さん。」
(グッジョブ!))
話を切り上げるためにお弁当の入ったミニバッグを差し出す母親に笑顔を向け、翼は玄関を飛び出した。
翼
「行ってきまーす!」
明るい翼の声が澄みきった空へ響いていく。
パタンッと閉じられた玄関扉の向こうに消えた父親の刹那気な声など、今の翼の耳には届いていなかった。
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08/30(Fri) 05:37
プロローグ2
清香
翼
「えっと、こっちでよかったんだよね?」
転勤の多い父親を持つ翼は、すでに何度か転校を経験していた。
年度途中での転校はさすがに初めてだが、前任者が大病を患ってしまったのであれば仕方が無い。
新しい街に、新しい学校。
不安はもちろんあるが、同じだけ新しい友人が出来るだろうという期待が翼の足取りを軽くする。
同じ制服に身を包んだ生徒が大勢乗っているバスに乗りこみ、向かったのは『私立桜田門学園』だ。
近隣の高校の中でも授業のレベルが高く、スポーツ活動も盛んで人気の高いこの学校に転入出来たのは本当に幸運と
しか言いようが無い。
『何故だか分からないが、二つ返事で転入が許可されたんだ』と言っていた父親の言葉がどうも引っかかるが、校長
先生自ら連絡をしてきてくれたようなので間違いは無いだろう。
翼
「どんな学校なんだろうなぁ。」
(勉強についていけるといいんだけれど。)
と、一番の心配ごとをボーっと考えながらバスを降りて、学校へ向かう生徒の波に乗るように歩いていると。
翼
「あれ?あの人、どうしたんだろう?」
通学路である遊歩道の傍に、一人の老人がうずくまっているのが見えた。
髪の間から見えた横顔は心なしか青白く、口元も震えているようだ。
翼
「大丈夫かな…。」
心配になるものの、周りの生徒は誰も彼に近づこうとはしていなかった。
まるで存在しないかのように素通りしていくので、翼は自分が幽霊でも見ているのかと錯覚してしまう。
(まさか…ね。)
それでも困っている人を見過ごす訳にはいかないと、翼は意を決して老人へと声をかけた。
翼
「……あ、あの、大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」
しゃがみ込んで話しかける翼に、老人は微かに微笑みながらほんの少しだけ顔を上げ、翼にしか聞こえ無い程度の小
さな声で話す。
老人
「……いや、大丈夫じゃよ。ちょっと眩暈がしただけじゃ。お嬢さんは優しいのう。」
翼
「いえ、とんでもない。お家はお近くですか?」
老人
「あぁ、この坂を登った先の学校の近くじゃよ。」
老人の震える指先が示した先には、翼が目指していた桜田門学園の校舎があった。
パンフレットで見た通りの白く瀟洒な建物が木々の間から見える。
そう遠く無いであろう距離と、チラリと見た時計が翼の心を後押しした。
翼
「じゃあ、ご自宅までお送りします。」
老人
「そんな迷惑をお嬢さんにはかけられんよ。早く学校へお行きなさい。」
翼
「あの学校ですから、大丈夫ですよ。通り道ですからお気になさらないで下さい。」
老人
「そうかい、ならお言葉に甘えさせてもらうとするかのう。」
何人もの生徒が追い越していくのを見ながら、老人に肩を貸してゆっくりと坂道を登り切ると校門に一人の教師が立
っているのが見えた。
眼鏡を掛けたその人は何やら神経質そうに何度も腕時計を確認している。
翼
「あっ!」
老人の歩みに合わせてしまっていたせいか、思いのほか時間がかかってしまったようで校門が閉まるまで後3分とな
ってしまっていた。
さすがに転校初日から遅刻はまずいが、中途半端なまま老人を置いて行くのも正直不安ではある。
そんな翼の心を読んだのか、老人が柔らかい笑みを浮かべながらそっと翼の背中を押した。
老人
「お嬢さん、ワシはここで平気じゃよ。早く学校へ行くといい。」
翼
「おじいさん…。」
老人
「新しい学校生活が楽しいものになる事を、この老いぼれも願っておるよ。」
『さぁ。』と予想以上に強い力で背中を押されたため、翼の足が一歩前に出た。
おっとと、とバランスを取り別れの挨拶をするために翼が振り返ると、すぐ近くにいたはずの老人の姿はもうどこに
も見えなかった。
翼
「…えっ、おじいさん?」
ざわぁっと木々の揺れる音に、翼の困惑した声はかき消されていったのだった…。
[削除]
08/30(Fri) 05:39
プロローグ3
清香
???
「おい、そこの!」
いきなり大きな声で呼びかけられて、思わず翼の身体がビクッと揺れた。
翼
「は、はい!すいません!」
条件反射のように謝ってしまったのはどうしてだか分からないが、恐る恐る声のした方向を振り返ると校門に立ってといた教師がツカツカやって来た。
教師
「見ない顔だが、お前はもしかして今日転校してくる予定の…?」
ちらりと頭から足先まで一瞥をくれると、フンっと鼻を鳴らしながら手に持っていたファイルを『パンッ』と閉じた。
翼
「はい!櫻井翼です!!」
教師
「転校初日ならばもう少し時間に余裕を持って来なさい。まぁ、制服は校則通りきちんと着ているようだから、通って良し。早く行きなさい。」
翼
「は、はい。あの…。」
興味を失ったかのようにくるりと背を向けながら再び腕時計に目を走らせる教師に、実は一番気になっていたことを聞かなくてはいけないと、翼が小さな拳をギュッと握った。
教師
「なんだ?俺は忙しいんだが…。」
翼
「私、1年何組に行けばいいんですか?」
教師
「はぁ?」
間の抜けたような声を出しながらマンガのように肩を落とすリアクションを取る教師に、どうにか答えを求めようと縋りつこうと手を伸ばすと。
教師
「こ、こら、近づくな!!」
翼
「先生!教えてください!!職員室ってどこですか?」
じりじりと距離を計るように遠ざかる教師に、どうにか担任の名前と教室の場所だけでも聞けないかと食い下がると。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が軽やかに鳴り響く。
教師
「あぁ!!」
???
「おっ、ギリセーフ!!!!!」
教師
「こらっ!今日のは遅刻だぞ!!」
砂埃を上げるような勢いで閉まり始めた校門に滑り込んできたのは、目の大きな男子生徒だった。
『ガシャン』っと閉まった校門に施錠をしながら教師が声を荒げると、男子生徒は全く気にもせずズボンの裾についた砂埃を払っている。
???
「何言ってんの、アニ先生が予鈴が終わる前に校門を閉められなかったのがいけないんでしょー!閉まる前に入れたんだからセーフですぅー!」
べーっと舌を出して『アニ先生』と教師を呼ぶこの男子生徒は、遅刻の常習犯なのだろう。
慣れた様子でその『アニ先生』を置き去りにし、校舎へと入ろうとしてしまう。
アニ
「おい、如月!じゃあ、今日のは見逃してやるから、お前はコイツを職員室まで送ってやれ!」
その言葉に、翼も『如月』と呼ばれた男子生徒も一瞬驚いて顔を見合わせた。
如月
「へ?俺で良いの?」
アニ
「お前は一応生徒会の役員だろうが!転校生の面倒を見るのも仕事だ!!」
『生徒会ってそうだっけ?』と翼が首を傾げるものの、指名された如月は何だか少し嬉しそうに階段を下りて翼の元へと駆け寄った。
如月
「ハイハーイ!じゃ、この如月公平君が桜田門学園をご案内いたしまーす☆」
翼
「え、えぇ?」
如月
「ほら、本鈴が鳴ったら流石にマズイからね、とりあえず職員室まで送るよ。」
『急ごう。』
背中を押されて下駄箱まで行き、上履きに履き替えた瞬間に翼の手を引いて如月は小走りで駆けだした。
時折確認するかのようにチラリと振り返ってくれる瞳は何だか楽しそうで、遅刻してしまいそうな状況にも関わらず二人の口元には自然と笑みが浮かんでくる。
如月
「はい、着いた。ちょっと待っててね。」
階段を上がっていくつかの角を曲がった所に、『職員室』と書かれた扉があった。
先に中へと入り何やら教師達に話をする如月の声を聞きながら、走っただけではないドキドキが翼の胸へと広がっていく。
どんな学校なのだろう。
担任の先生は優しいといいな。
閉まる扉の前でそんな事を考えながら、期待と不安が膨らみすぎて翼の胸がパンクしそうになったその瞬間。
[削除]
08/30(Fri) 05:41
プロローグ4
清香
???
「遅いッ!一体何してたの!」
バンっと勢いよく職員室の扉を開いて出てきたのは、確実に見上げなくてはいけないほど背の高い男性だった。
明らかに不機嫌そうに腕を組んで翼を見下ろしてはいるが、その目は見た事もないくらい綺麗な淡い碧色で。
翼
「は、はぁ。」
透き通るような白い肌と、窓から射す光を集めたような金色の髪の美しさに、思わず言葉が出なくなる。
???
「はぁ、じゃないでしょ!いつまでたっても来ないから心配したじゃない!」
翼
「す、すみません。」
そして言葉が出なくなるのは、目の前の男性の美しさにだけではなく、その言葉づかいにも、だ。
(なんでオカマ言葉!?)
如月
「穂積センセ、怯えちゃってますよ。」
これ以上何も言えばいいのか分からないでいると、穂積と呼ばれた背中の後ろから如月が顔を出す。
???
「とりあえず登校して来たんですから。本鈴もそろそろですし、朝礼をしましょう。」
穂積
「明智、最初が肝心なのよ?」
穂積の横をすり抜けるようにして出てきた明智という教師も、穂積と同じくらい美しい顔立ちをしていた。
しかし怒りをあらわにする穂積とは対称的に、明智は心の読めない涼しい顔で何十枚ものプリントと辞書を持って佇んでいる。
一応フォローらしきものを入れてくれる如月はいるが、背の高い二人に囲まれ身体的にも精神的にも居心地の悪さを感じていると。
???
「おや、どうしたの?」
耳にすっと馴染む、きれいな声が不穏になり始めた空気を柔らかく包んでくれた。
と思っていたのだが。
穂積
「うちのクラスの事だ。お前には関係ない。」
明智
「それより早く授業の準備をなさったらいかがですか?小野瀬先生。」
さっきまでもオカマ言葉はどこへやら。
バッサリと言い切る穂積と、涼しい顔と同じくらい冷徹な言葉を放つ明智に、翼は言葉どころか開いた口を閉じることすら出来なくなっている。
しかし小野瀬と呼ばれた教師はそんな二人の言葉を聞いていないのか、ニッコリと微笑みながら翼の頭を撫でできた。
小野瀬
「君が今日来るって言っていた転校生なんだ。はじめまして、小野瀬です。よろしくね。」
初めてきちんとした挨拶をしてくれた先生なのに、なんでだか時空のどこかで警戒警報が鳴り響いている気がしてならず、『よろしくお願いします…。』と言い愛想笑いを浮かべるのが精一杯だ。
穂積
「こんなのとよろしくしなくていいから。ほら、教室へ行くわよ。」
そう言うと、穂積は翼の腕を取り自分の後ろへと隠してしまった。
一気に背中しか見えなくなってしまったが、担任が分かったという事だけで不思議と安心感が湧いてくる。
とりあえずこの背中を追いかけていればいいのだろうと思っていると。
如月
「ねぇ、どうして時間ギリギリだったの?もしかして寝坊しちゃった?」
『俺みたいに』と小さな声で付け加えながら如月が言うのだから、思わずおかしくなってしまう。
老人の事を言おうか言うまいか一瞬迷ったのだが、『まぁ変なことでもないし』と具合の悪そうな近所の老人の話をすると。
如月
「えっ、あのおじいさんを助けたの!?」
素っ頓狂な声を出して驚く如月に、思わず翼もつられて驚いてしまう。
そして前を歩く穂積と明智もすごい勢いで振り返ってきた。
穂積
「あのじいさんに声をかけられたのか!?」
翼
「い、いや、具合が悪そうなので私が声をかけたのですが…?」
明智
「また、あんな事をやってるとは!クソッ」
なんだか翼にはよく分からないが、どうやら学園内では要注意人物として認識されていたのだろうか。
憤慨する二人の教師の様子に戸惑っていると、のんびりと後ろからついてきた小野瀬がそっと翼の肩を抱いた。
小野瀬
「あの人はね、ウチの学園の校長なんだよ。転校生や新入生にいつもああやって構ってもらおうとするんだ。」
翼
「えぇっ!」
小野瀬
「まぁ、イマドキの子は人助けなんで滅多にしないから最近はやらなくなってたんだけどなぁ。」
穂積
「それでも人の良心につけ込もうとする所が気に入らん。」
明智
「また厳しく抗議しましょう。」
小野瀬
「まぁまぁ、良いように考えたら?」
顔を見合わせる穂積と明智に割って入るよう、小野瀬が先ほどと同じような綺麗な頬笑みを浮かべながら翼の肩を叩いた。
小野瀬
「転校初日に困っている老人を見過ごすことが出来ないような優しいお嬢さんだ。今、こうやって人の気持ちに寄り添える子は珍しいんじゃない?」
明智
「まぁ、そうですが…。」
穂積
「何が言いたいんだ?」
小野瀬
「人材不足で困っていた生徒会をお手伝いして貰うってのはどうかな?」
肩を押されて車座の中心に立つ事となった翼に、穂積は合点がいった顔をしながら頷き、明智も「なるほど。」と呟いていた。
『ね?』と小野瀬に微笑まれて、翼は思わず『はい?』っと言葉の真意を確かめるため聞き返したのだが。
穂積
「あっ、今『はい』って言ったな。よし、決定。生徒会を手伝え。」
翼
「えぇっ!」
如月
「いやったー!!初めての後輩だ!!よろしくね!!」
腕を取られブンブンと上下に振られると、ぐわんっと頭の中で何かが揺れる気がする。
何だか分からないまま進む話と、教室までの道のりは遠いのやら近いのやら。
キーンコーンカーンコーン
能天気に鳴る本鈴のチャイムによって、翼の新しい学校生活の幕は開いたのだった。
08/30(Fri) 05:48
学園パロなので。
清香
学園物語設定資料集
穂積泪:厳しいが教え方が上手だと評判の金髪碧眼の英語教師。なぜかオカマ言葉。野球部顧問。
小野瀬葵:女子生徒に大人気な白衣の似合う生物教師。口癖は「キミも解剖されたい?」穂積と同期。剣道部顧問。
明智誠臣:生真面目な国語教師。毎週漢字テストをすることにこだわりを持っている。家庭科部顧問。試合前になると柔道部の指導もする。
藤守賢史(弟):3年生。明るく人望ある生徒会長。陸上部キャプテン。穂積先生とは仲良し。(パシリとも言う)
小笠原諒:2年生。生徒会副会長。口数は決して多くないが、影で会長を支える生徒会のブレーン。ベンチャー企業を経営している。帰宅部。
如月公平:2年生。世話好きで優しい先輩。ヒロインが転校し、初登校で学校を案内してもらった人物。髪型を常に気にしている。柔道部所属。次期部長候補。
藤守慶史(兄):校則に厳しい社会科教師。毎朝校門で生徒をチェックしている。「絶対領域は死守する!」がモットー。
山田太郎:桜田門高校の校長。謎の多い人物。
櫻井翼(ヒロイン):父親の転勤に伴い、桜田門高校に転校してきた1年生。明るく素直。人の名前と顔を覚えるのが得意。運動はちょっと苦手。
転校初日から学園で人気の先生達に頼まれ、いきなり生徒会のお手伝いを!?
個性的な先生や先輩に囲まれて、毎日大騒ぎ!
教えて貰うのは勉強?
…それとも、恋?
キュンっと甘酸っぱい夏が、今、始まる!
『アブナイ☆恋の学園物語』
学園物なので、キャラクターはいくらでも増やせます。生徒・先生・PTAで参加したい方はどうぞ自分のキャラを登場させて下さい。
個人のキャラは出来るだけ個人の書き込みの範囲内でネタを完結していただけるようお願いします。
あくまでも翼ちゃんがメインと言う事を忘れない程度に楽しみましょう☆
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08/30(Fri) 14:40
清香さんありがとうございます♪
小春
転校初日の昼休み。
マンガや小説だと、転校生の翼の席の周りにはあっという間に人だかりが出来、質問攻めにあってしまったりするのだが……。
二学期ともなると、皆、すでに昼休みの過ごし方は決まっているらしくて。
授業が終わるとクラスメイトたちはそれぞれ昼食を摂るために散らばっていき、翼は自分の席でお弁当を食べようと、机の上を片付けていた。
そんな様子に気付いたのか、午前中最後の授業だった英語の教師であり、担任でもある穂積が、翼に声を掛けてきた。
穂積
「櫻井、もしかして一人でご飯食べるの?」
翼
「あ、先生。ありがとうございます、大丈夫です」
笑顔の翼の視線を追って、穂積が振り返る。
するとそこには、お弁当の包みを手にソワソワしている、小柄な女子生徒が立っていた。
髪は真っ黒でショートカット。野暮ったいぐらいに、きちんと規則通りに制服を着ている。
穂積と目が合うと、ぴょこんと頭を下げた。穂積の頬も思わず緩む。
穂積
「ああ、小春」
翼
「最初の休み時間に、自己紹介しに来てくれたんです。それで、お昼一緒に食べようって言ってくれて」
穂積
「なるほど」
微笑んだ穂積にちょいちょいと手招きされて、小春が素直に寄ってくる。
穂積は小春の頭に、ぽんと大きな手を乗せた。
穂積
「この子は真面目だし、性質も穏やかだから、きっと、最初の友達にはちょうどいいでしょう。……ちなみに、国語の成績だけは抜群よ。他は並。英語は赤点だけど」
小春
「きゃー!」
いきなり成績を暴露されて真っ赤になる小春と、笑いながら、小春の頭に乗せた手を下ろす穂積。
穂積
「ワタシが教えているのに、この子ときたら」
ぴん、と、軽いデコピン。
小春
「ううう、すみません」
穂積
「国語は出来るのに英文法が苦手、って何なのかしらね。まあ、じっくり教え直してあげるわ。ドリル見せなさいよ」
小春
「はい」
穂積
「じゃあね。小春、櫻井と仲良くしてあげてね」
小春
「はい」
穂積が去ると、小春はまだ赤い顔のまま、翼の前の席の生徒の机を借りて、向かい合うようにして座った。
小春
「……もう、恥ずかしい」
翼
「小春ちゃん、ドリルって何?」
翼に問われて、小春はさらに赤くなった。
小春
「……中学生の……英語ドリル」
ああ。
翼は、さっきの、穂積と小春の会話を思い出していた。
つまり、小春があまりにも出遅れているので、穂積は小春に市販の英語ドリルを買わせて、その復習と提出を義務付けているらしい。
小春
「先生が、答えのページを切り取って持ってるの」
翼は噴き出してしまった。
まるっきり中学校の宿題だ。
翼
「笑っちゃってごめんね」
小春
「ううん。先生にも迷惑かけてるって分かってるんだけど。……でも、穂積先生のおかげで、英語も好きになってきたかな。まだ苦手だけど」
ふうん、と相槌を打ちながらも、翼には直感があった。
翼
「……好きになってきたのは、英語?それとも、穂積先……」
小春
「きゃー!」
小春が、慌てて翼の口を押さえた。
しかし時すでに遅く、教室にまばらに残っているクラスメイトから、隠しきれない忍び笑いが聞こえる。
小春は色白なので、赤くなるとすぐに分かってしまう。
小春
「……翼ちゃんて鋭い」
翼
「うふふ、ごめんなさい」
小春
「ううん。当たり。穂積先生は厳しいけど、本当は優しいから、すごく人気あるんだよ。……小野瀬先生と、どっちが人気あるかなあ?」
翼
「小野瀬先生?」
小春
「生物の。今日の午後、小野瀬先生の授業あるよ」
そんな話をしながら、小春と翼はお弁当を広げ始めた。
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08/30(Fri) 17:32
今回も面白そう♪
とも
???
「失礼しまーす、穂積先生、いらっしゃいますか?」
教室の入り口から元気な声が聞こえてきた。
そこにはセミロングの髪を横で一つに束ね、うっすら日焼けした顔の女子生徒が立っていた。
小春
「あっ、とも。穂積先生ならついさっき職員室に戻ったところだよ」
とも
「え~、タッチの差? 今日の部活の練習メニュー、チェックしてもらおうと思ったのに、遅かったか~ってあれ?隣にいる子ってもしかして?」
小春
「うん、今日からうちの学校に転校してきた櫻井翼さん。櫻井さん、こちらはともちゃん。私たちと同じ一年で隣のクラスなんだけど、野球部のマネージャーをしてるんだよ」
櫻井
「はじめまして、ともさん」
とも
「アカンアカン、さん付けなんてやめてや~同級生なんやから。ともでええよ。私も翼って呼ぶし。なっ?」
櫻井
「わかった。じゃあとも、お昼まだなら一緒に食べない?その袋、お弁当でしょ?」
とも
「やった!ええの?んじゃ遠慮なく~」
こうして初日の昼休みは楽しく過ぎていったのだった。
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08/30(Fri) 21:54
小春さんと、ともさんは同級生…φ(・ω・ )カキカキ
清香
どこへ引っ越してきたのか、趣味は何なのか、好きな音楽は何なのか。
女の子同士の会話に『尽きる』という文字は無く、楽しい時間などあっという間だ。
小春
「あっ、そろそろ移動しないと!」
とも
「小春と翼のクラスは生物なんや。小野瀬先生のクラスは早よ行かな大変やからなぁ。」
翼
「…大変?」
うんうんと頷く二人に、翼は首を傾げるばかりだ。
翼
「小野瀬先生って、あの白衣を着た綺麗な声の優しい先生の事?」
とも
「せや。もう知っとんの?」
翼
「うん、今朝お会いしたよ。」
弁当箱を片付けながら生物の教科書とノートを揃えていると、教室の外を何人もの女子生徒が集団になって歩いてくるのが見えた。
その中心で、女の子達より頭ひとつ高い所で笑顔を振りまいているのが、噂の主の小野瀬だ。
小春
「噂をすれば何とやら…だね。」
とも
「相変わらず凄い人気やなぁ。」
ハルメンの笛吹きのように何人もの女の子達を引き連れて、小野瀬先生は理科準備室へと消えて行った。
小野瀬先生が通った後には女の子はおらず、羨ましそうに行列の後ろを見つめる男子生徒のため息と眼差しだけが残っている。
翼
「みんな何をしに行くの?ウチのクラスの子だけじゃなかったけど…」
小春
「みんな、授業の準備を手伝ってるの。小野瀬先生は人気者だから、そうでもしないとお話出来ないから。」
翼
「へぇ。」
とも
「ウチの学校では穂積先生と一、二を争う人気者やね。まぁ、私は穂積先生派やけど。」
ちらりと小春に目をやると、小春も頬を赤く染めながら頷いていた。
翼
「小春ちゃんも穂積先生派なんだね。」
小春
「えへへ、まぁね。」
(そんな人気のある先生が担任なんてラッキーだったのかなぁ)
まるで他人事のように感じながら、教室の前でともと別れた翼と小春は5限目の授業のため、理科室へと足を向けたのだった。
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08/30(Fri) 23:45
始まりましたねぇ!
くちびる
学園物だあ♪
雑談には参加出来なかったけどちゃんと見てますよ!
穂積先生と小野瀬先生はやっぱり学校でも人気を二分してますねえ~!
私は小春さん、ともさんより年上なので~多分
生徒はキツイなぁ!
でもリアルに社会科の教員免許持ってるんで、女教師で桜田門学園に赴任したいですねー♪
08/31(Sat) 06:59
くちびるさんいらっしゃいヽ( ̄▽ ̄)ノ
小春
教員免許!凄いですね!
ぜひ赴任してきて、アニと授業方針や歴史的解釈なんかについてバトルを繰り広げて頂きたいわ。
でもせっかくだから、別の設定で参加するのもアリですよ。
どちらにしても、くちびるさんの出番をお待ちしております!
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08/31(Sat) 09:50
☆理科室・小野瀬の授業☆
小春
小野瀬
「今日の実習は、前回の授業で学習した、『タンパク質である酵素は高熱に弱い』という事を理解する為に、肝臓中のカタラーゼを用いた比較実験をしてみるよ」
小野瀬は理科室の黒板に《カタラーゼの実験》という表題を書き、その下に実験の手順を書き始めた。
すでに今日の授業の段取りは頭に入っているらしく、何の資料も見ずにすらすらとチョークを滑らせる小野瀬の背中を、多くの女子たちがうっとりと見つめていた。
一方、男子生徒たちは面白くなさそうな顔をして、よそ見をしたり、仲間同士でこそこそ話し込んだりしている。
翼が隣の班の席を覗き見ると、板書を写し終えた小春は小野瀬にも男子生徒たちにも興味が無い様子で、実験に使う生のレバーを見ていた。
翼の視線に気付いて、顔を上げた小春はそっと微笑んできた。
こうして改めて見ると、小春には派手さはないが、お人形のように整った顔立ちをしている。
芸能人に似ているのかな?
最近、どこかで小春に似た顔を見た気がするんだけど……。
記憶を引き出しかけたところで、小野瀬から「では、各班、実験開始」の声が掛けられたので、翼はそこで意識を授業に戻した。
授業終了後、小春と並んで理科室を後にし、教室に戻るため廊下へ出てきた翼に、後ろから、小野瀬が声を掛けてきた。
小野瀬
「櫻井さん、小春さん。ちょっといいかな?」
二人が足を止めて振り向くと、小野瀬は甘い笑顔を浮かべる。
その小野瀬から少し離れた場所には、背後霊のようにファンクラブの女子生徒たちが一様にこちらを窺っていて、翼を震え上がらせた。
翼
「何でしょうか?」
小野瀬
「櫻井さんは、初めてだったから。俺の授業、どうだった?」
もっと自信満々の人かと思ったら、意外と可愛い事を訊いてくる。
翼は小野瀬に向けて顔を綻ばせた。
翼
「はい、とても分かりやすかったです」
小野瀬
「本当に?嬉しいな」
言葉通り、本当に嬉しそうな顔で笑う小野瀬に、翼は胸の内が温かくなるようだった。
こんなに一生懸命教えてくれる先生がいる事が、嬉しかった。
転校してきて良かったな。
翼がそう思った時。
小野瀬
「小春さんは?どうだった?」
小春
「面白かったです。レバーがもっと新鮮ならなお良かったです」
真面目な顔でおかしな事をいう小春に、小野瀬は声を立てて笑った。
小野瀬
「きみのそういう面白いとこ、俺、好きだな」
身体を屈めた小野瀬が、きれいな指先で小春の白く柔らかい頬を、つん、とつついた。
その直後。
小野瀬
「痛たたたた!」
小春の方に上体を傾けた不自然な体勢のまま、小野瀬が悲鳴を上げた。
見れば、さっき小春をつついた小野瀬の手首が誰かに掴まれて、腕もろともに、背中に着くほど捻り上げられている。
翼はびっくりして、小野瀬を掴んでいる腕の主を確かめようと振り向いた。
そこには、端正な顔を眉ひとつ動かさずに小野瀬を見据えている、長身で黒いスーツの男性。
……明智先生!
明智
「俺の妹に触らないで下さい」
……いもうとー?!
驚きながらも、翼は明智が国語教師だった事と、穂積が語った、小春の成績の話とを思い出していた。
そして、教師たちも生徒もみんな、小春を名字ではなく名前で呼んでいた事も。
それから、明智と小春の黒髪と整った顔立ちを見比べて、なるほど、並べてみれば確かにそっくりだと感心する。
その事に今まで気付かなかった自分が可笑しくてくすくす笑っていると、翼に向かって、小野瀬が悲鳴を絞り出した。
小野瀬
「櫻井さん!笑ってないで、助けて!」
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08/31(Sat) 18:22
今から帰宅なう
くちびる
小春さんは明智先生の妹なんですね♪
小野瀬先生は何処にいても悪い虫扱い....笑
続き期待してますねえ~他力本願~
思考回路がストップしてて続きが浮かびません!
読者モ-ドですが、ちょくちょく感想を入れますのでよろしくお願いします!
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08/31(Sat) 18:31
くちびるさんヽ( ̄▽ ̄)ノ
小春
お仕事お疲れ様です。
どんな形でもリアクリョンがあるのは大変嬉しいです。
ナビゲーションよろしくお願いしますね!(^-^ゞ
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08/31(Sat) 20:42
あらま。
清香
予想以上に早くバラしたのね(笑)
くちびるさん、桜田門学園では教師募集中ですよ。
「助けて!」と小野瀬に言われたものの、ろくに会話をした事のない明智にどう話しかければいいのか、転校したての翼にわかるはずも無い。
小春も「お、お兄ちゃん…」と言いながら明智のジャケットの裾を引っ張って止めようとしてはいるが、怒りのオーラを纏った明智の耳には届いていないようだった。
小野瀬のファンも、小春も翼もハラハラしながらどうしたらいいのか考えあぐねていると。
「ったく、またやってんの?あんた達は。」
呆れたような口調で集まり始めた生徒達をかき分け、小野瀬の腕をひねり上げる明智の手を離したのは穂積だった。
翼
「穂積先生!」
穂積
「どうせ性懲りも無く小春をからかって、明智にバレたんでしょ?」
まるで現場を見たかのようにちらりと明智と小春と小野瀬の顔を見ながら言う穂積の瞳には、言葉と同様に呆れた様子が浮かんでいる。
小野瀬
「俺は転校してきたばかりの櫻井さんに授業が分かったか確認しただけだよ?」
明智
「ならばうちの妹に触る必要はないはずだ。」
小野瀬
「少しだけでしょう?ねぇ?」
明智の背中から少しだけ顔を出した小春に弁護を求めるよう小野瀬がいつもの笑顔を向けるが。
明智
「寄るな。」
穂積
「小野瀬。」
噛みつかんばかりの早さで小野瀬を制する明智と、そんな小野瀬のシャツの首根っこを穂積が掴んだのはほぼ同時だった。
小野瀬
「ぐぇっ。苦しいよ、穂積。」
穂積
「ほら、とっとと職員室へ戻れ。これ以上騒ぎを起こすな。」
小野瀬
「はいはい。櫻井さん、驚かしてゴメンね?」
穂積によって強制的に職員室方向へと身体を向けさせられた小野瀬は、傍で小さくなっていた櫻井の頭を一つ撫でて『じゃあ、また明日。』とだけ言って去って行った。
残された明智は、小野瀬が角を曲がるまでその背中を睨み続けていたのだが。
穂積
「このアホが!」
明智
「…痛ッ!」
小野瀬の姿が見えなくなった瞬間、穂積が持っていた出席簿のファイルの角を明智の脳天に落としたのだった。
小春
「お、お兄ちゃん、大丈夫?」
ガツンッ!と響いた音と、しゃがみ込む明智の姿が穂積のファイルがもたらした威力を物語っている。
穂積が遠巻きに見つめる生徒達に出席簿を振って見せると、『同じ目にあったらたまったもんじゃない』と生徒達はまるで蜘蛛の子を散らすように教室へと逃げ帰って行った。
翼
「穂積先生…。」
穂積
「あら、アンタは逃げなかったのね。根性あるじゃない。」
教室へ戻らなかったものの、心配そうな顔で穂積を見上げる翼へ穂積はやっと笑顔を向けた。
翼
「なんとなくですけれど、先生にはきちんと考えがあってされた事だと思ったので…。」
穂積
「………えっ?」
翼
「あっ、違っていたらスミマセン!」
「余計な事を…」と呟きながら口元を押さえる翼に、思わず穂積の口から笑いが漏れた。
穂積
「ハハッ、そこまで考えてねぇよ。でも偉いな、櫻井は。」
ポンッと頭に置かれた手が、ゆっくりと翼の髪を撫でる。
少し熱い手のひらの感触と、ほんのりと赤く染まった穂積の耳が見えると。
翼
「…えっ。」
翼の胸の奥の、穏やかな水面のようだった心に波紋が広がっていく。
何がその波を引き起こしているのか、そして何を示しているのか、まだ幼い翼には分からない。
でも。
翼
「…うふふ。」
明智の頭を確認する穂積の背中を見ながら、この学校に来れて良かったと改めて感じたのだった。
08/31(Sat) 21:40
せっかくだ。
清香
私も参加するのでちょっとお待ちを。
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08/31(Sat) 22:47
こんばんは~
とも
やっぱりみんな自分を登場させたんや~(笑)
私も続きを考え中ですが高校生なんてもう○年前なんでね、高校生活どやったとかすっかり忘れてしもてるので、只今卒アル探してます(。・ω・。)ゞ
あっ、探してるのはええけどだんだん散らかってきた(-_-;)
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08/31(Sat) 23:49
エミ
壁|д・) こんばんは。
リレー読んでますよー。
学生時代……気がつけば遥か昔。あの頃、何してたっけ?と引き出しを探るにも錆びついてしまって中が見れません(笑)
どこかで参加できるように努力します。
(・∀・)ノシ
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09/01(Sun) 00:40
パラレルですから。
清香
そこまでリアルにしなくても大丈夫ですよ、と、どちらかと言えばPTAな私が言ってみる。
穂積
「ほら、見せてみろ。」
明智の傍に膝を着くと、穂積は出席簿を当てた辺りをそっと触った。
明智
「…ッ」
穂積
「……少し腫れてるか?加減出来なくて悪かったな。」
諍いを止める為とは言え、ケガをさせてしまったのは確かだ。
穂積は先に立ち上がると、明智の腕を引っ張り立ち上がらせ、そのまま何処かへと連れて行こうとする。
明智
「穂積先生!?」
穂積
「冷やした方がいい。保健室へ行こう。」
そう穂積が言うと、明らかに動揺した態度を明智は取った。
明智
「い、い、いや、大丈夫です。大した事ありません。本当です。」
明智の持っていた教科書や辞書を抱えた小春も、なんとなく落ち着かない様子で。
小春
「あ、あの、私が代わりにアイスノン貰って来ますから!!そ、それでいいよね、お兄ちゃん!?」
明智
「あああああ、そ、そうだな、そうして貰おうか。頼んだぞ、小春。」
明らかに挙動不審な兄妹に穂積は呆れたようなため息をつくと。
穂積
「そんなに苦手なのかよ、篠崎が。」
明智
「そ、そんな事は、な、無いですよ?な、なぁ、小春?」
小春
「う、う、う、うん、もちろんですとも。」
穂積
「お前ら、声が裏返ってる。」
はたから見ても下手くそな演技をする二人に、翼は明智のケガの具合よりも件の人物の方が気になってしまう。
翼
「あ、あの、篠崎さんって……?」
小さく手を挙げた翼に、穂積は『あぁ、』と説明をしてくれた。
穂積
「この学園の養護教諭。数少ない女性教師だし、会っておいた方がいいかもな。」
翼
「…はぁ。」
穂積
「ほら、俺と櫻井も一緒に行けば大丈夫だろうが。いい加減、観念しろ。」
穂積はどうにか逃げようと企む明智兄妹の首根っこを纏めて掴み、昇降口脇にある保健室まで文字通り引きずって行ったのだった。
~保健室~
穂積
「おーい、お客さんだぞ~。」
???
「はぁーい、いらっしゃい♪…って、その声は穂積君じゃない。もう部活の時間?」
窓際にあるデスクに向かって書類整理をしていた女性が、くるりと回転イスを回して振り返りながら腕時計を見た。
穂積
「いや、今日はすげぇ珍しいの連れて来た。明智先生だぞ。」
???
「えぇっ、本当!?」
一気に立ち上がり、コツコツとヒールの音を立てながら保健室の入り口へと駆け寄って来た女性が、養護教諭の篠崎だった。
篠崎
「あら、珍しい!普段自分で手当てしちゃって滅多に来てくれないのに、どういう風の吹きまわし?」
穂積
「頭をぶつけたんだが、タンコブになっちまったようなんだ。冷やしてやってくれよ。」
篠崎
「オッケー♪かしこまりました!」
緩くパーマのかかった長い髪をシュシュで手早く結ぶと、篠崎はニッコリと微笑んで4人を迎え入れた。
翼
「……ちょっと明るい普通の先生じゃない?」
小春
「悩みも聞いてくれるし、いい先生だとは思うんだけどさ……。」
入り口の近くで様子を見ながら小さな声で話す翼と小春の事など気にもせず、篠崎は『やっぱり大丈夫です!』と渋る明智の手を引っ張り強引にイスへ座らせた。
ぶつけられた箇所を確認する為に明智の頭へ手を伸ばし、血が出ていないか見ている。
…のだが。
篠崎
「この辺ですかー?」
明智
「………は、…はい。」
横からでも、背後からでも構わないだろうに、何故だか篠崎は明智の真正面から傷がないか確認をしていたのだった。
頭を覗きこむために近づく篠崎の距離に、明智の顔は徐々に赤くなり目が泳いでくる。
それもそのはず、明智の目の前には露骨に開かれた篠崎の胸元があったからだった。
篠崎
「少し傷になってますから、消毒だけしちゃいますねー。」
背伸びをして消毒をしようとしているのだが、胸元に頭を抱えこんでいるようにも見ようと思えば見えてしまい。
小春
「………(怒)」
翼
「こ、小春ちゃ…?」
背後に炎でも見えそうなくらい、小春は静かに怒っていた。
小春
「篠崎先生ったらあんなに近づかなくたっていいのに。ブラウスのボタンだってもう一つ留めてもいいじゃない。あれじゃあ胸の谷間を見せびらかしてるようなもんじゃない。お兄ちゃんもお兄ちゃんよ。赤くなっちゃって。」
ブツブツと文句を言う小春に呆気にとられた翼を、穂積がこっそり手招きをした。
穂積
「見た目はセクハラしそうな人っぽいけど、仕事は一応きちんとするから、何か私達に言いにくい悩みがあったらここで愚痴ると良いわよ。」
翼
「は、はい。」
穂積
「それと、小春はただ妬いてるだけだから放っておいて。ここはブラコンにシスコンの兄妹だから、面倒なのよ。」
翼
「は、はぁ。」
『大丈夫そうだろ?』と苦笑いしながら篠崎と明智の元へと行く穂積を見て、翼も苦笑いを浮かべたのだった。
09/01(Sun) 06:35
はーなーれーなーさーいー!!
小春
私が寝落ちしている間に何て事を!(怒)
穂積
「篠崎、そのくらいにしてやってくれ。小春が泣きそうだ」
篠崎
「あら」
穂積の言葉に、篠崎と、物凄い勢いで明智が小春を振り返る。
翼の隣に立っている小春は、穂積の言う通り、目にいっぱいの涙を溜めて唇を噛み、白くなるほど拳を握りしめていた。
いつもにこにこしている少女なだけに、小さな身体を震わせて堪えている姿は、見る者の胸を痛くさせるほどで。
明智
「こ、小春」
篠崎
「ああ、お待ちになって」
椅子から腰を浮かせかけた明智を押し戻すように再び座らせた篠崎は、手早く消毒を済ませ、軟膏を塗り込んだ。
篠崎
「はい、終了。しばらくは安静にして下さいね」
明智
「あ、どうも、ありがとうございました」
今度こそ立ち上がろうとした明智の膝が、篠崎の脚に微かに触れる。
篠崎
「あっ」
短い声とともに、篠崎の身体から力が抜け、明智に覆い被さるように倒れた。
明智の顔面に豊満な胸が押し付けられ、篠崎の腕はしっかりと明智に抱きつく。
「!!」
篠崎
「あらやだ。ごめんなさぁい?」
間近から、しがみついたままの篠崎に囁かれて、明智の顔はもう熟れたトマトのよう。
明智
「あ、や、だ、こ、こちらこそす、す、すみ」
篠崎
「明智先生って、やっぱり鍛えてらっしゃるから、すごい筋肉。す、て、き」
篠崎はなぜか薄笑い。
小春
「ーーーーー!!」
翼
「あ、小春ちゃん!」
密着する明智と篠崎を見ていられなくなったのか、小春は回れ右をして、物凄い勢いで保健室を飛び出して行った。
明智
「小春!」
くっつく篠崎を押し戻すようにして、明智も保健室を飛び出してゆく。
二人が出て行った扉を見ながら、どうしようかとおろおろしながら立ち尽くす翼の背後で。
篠崎
「本当に、仲の良いご兄妹よねー」
のんびりと呟いた篠崎の頭を、穂積が無言でぺちんと叩いた。
09/01(Sun) 06:47
リレー3日目。
小春
昨日はくちびるさん、清香さん、ともさん、エミさん、ありがとうございました。
桜田門学園で小野瀬さんと双璧を成すフェロモンの源、篠崎清香も新登場。
物語はどうなってゆくのか。
今日もよろしくお願いしますm(__)m
[削除]
09/01(Sun) 07:30
おはようございます!
くちびる
今から仕事なう!
おお♪篠崎先生登場デスネ。小野瀬先生とダブルでフェロモンだだもれですね♪
私的には明智兄妹がかなりツボですね♪
私もどこかに登場したいなあ…思案中です。
藤守兄弟も気になりますが。
[削除]
09/01(Sun) 08:12
くちびるさん(^-^ゞ
小春
お仕事ご苦労様です!
私も相変わらず仕事です。日本経済の為に、お互い頑張りましょうねっ。
今回は登場人物が多いので、ポジションは選び放題です。
ボケまくりの明智兄妹と、ツッコミ体質の藤守兄弟の直接対決はあるのか?!ないのか?!
引き続きよろしくお願いします。
(* ̄▽ ̄)ノシ ♪
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