『穂積←→小野瀬』
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06/12(Wed) 14:46
こちらを先にお読みください↓
*恋人の日・明智編*
小春
「キスの日~明智編~」に続いて、「Apple Town」清香さん、「刹那空間」せつなさんとのコラボです。
今回は、ドラマCD3キャンプ編を下地に置いています。元ネタを知らない方にも楽しんで頂けるよう気を付けたつもりですが、分かりにくかったら申し訳ありません。
いつもと違うシチュエーションで、ついつい暴走してしまうまーくんのお話でした。
そして、ここからは掲示板オリジナル、キャンプ2日目。
傷心のツートップをさらなる悲劇が襲います。
果たして二人の運命は?
ボチボチ書き進めていきますが、飛び入り&リレー方式を採用しますので、続きを思い付いた方は、ぜひ、ご遠慮なく書き込んでくださいませ。
*他の人と違う自分の色を決めて書き込んでください。
*書き込みが長文になりそうな場合は、先に掲示板に「続きを書きます」とひとこと書き込んでおいてくださると、被る確率が減ります。
*一応、「恋人の日~明智編~」がベースですが、設定や展開は更新してくださって構いません。むしろ超展開歓迎。
*続きは誰かが何とかしてくれます(過去のリレー参照)(  ̄▽ ̄)。
では、皆様のご参加をお待ちしております。
[削除]
06/12(Wed) 16:00
*掲示板リレーSS*穂積←→小野瀬
小春
~小野瀬vision~
小野瀬
「結局、明智くんを助けてあげちゃうんだね、穂積は」
俺はコンパスを手に山道を歩きながら、隣で地図を眺めていた穂積に声をかけた。
穂積
「あぁ?」
確かめるまでもなく、今朝の穂積は不機嫌だ。
いや、正確には、昨夜から感情がおさまらないはず。
何しろ、ずっと淡い想いを寄せてきた女の子の、濃厚なキスシーンを目撃しちゃったんだから。
しかも、相手は職場での右腕とも言える明智くんだ。
そして穂積は、明智くんにも櫻井さんにも自分の想いを打ち明けた事はなく、二人の恋愛に口を出せる立場ではない。
穂積
「……仕方ねえだろうが」
口答えの少なさが、逆に、穂積の内心の動揺を露呈している気がする。
ショックとか口惜しさとか未練とか、色々と暗い感情もあるはずなのに。
穂積が本気を出せば、落とせない女なんていないはずなのに。
自分の幸せよりも先に、二人の部下の幸せを願ってしまうあたりが、穂積らしいというかバカというか。
俺はなんだか穂積が愛しくなって、いきなり腕を組んだ。
小野瀬
「元気出せって」
穂積
「元気だよ。くっつくな」
穂積が嫌そうな顔をして、腕を抜こうとする。
小野瀬
「お前には俺がいるじゃん」
穂積
「気色悪ぃ事言うな!」
穂積が抵抗するので、だんだん楽しくなってきてしまった。
小野瀬
「照れるなよ。皆はもう先に行ったし、山の中で二人きりだよ。ねっ?」
穂積
「ばっ」
穂積が、抱きついた俺を押し返そうとしかけた、次の瞬間。
俺の足元が、ぐらりと揺れた。
違う。
崩れたんだ、と思うのと、穂積の手が俺の腕を凄い力で掴んだのとが同時だった。
気付いた時には、沢の水際に転がっていた。
冷たい石の川原に寝そべったまま、目だけで周りを見回してみる。
遊歩道のある位置から、雑木林の急斜面に、引っ掻いたように草が薙ぎ倒された跡が沢まで続いていて、その先に俺が転がっていた。
ああ、あそこから転がり落ちて来たんだな。
他人事のように冷静に分析していた俺の頭脳に、突然、閃くように命令が届いた。
穂積は?!
そうだ。
穂積がいたはずだ。
俺がバランスを崩した瞬間、穂積が俺の腕を掴んで凄い力で引き寄せ、頭と腰とを抱え込んでくれた。
だから、斜面を転がり落ちている間、俺の身体は穂積に守られていた。
俺は途中で意識を失ってしまったが、間違いなく近くにいるはず。
ところが、意識が覚醒し始めると、今まで感じなかった激痛が全身を襲った。
痛い。
頭が割れそうだ。
右手を上げて額を押さえると、ぬるりとした感触があった。
……血。
思わず呻いた。
声
「頭を打ってるんだ。急に動くな」
穂積の声ではなかった。
でも……どこかで聴いた事があるような、ないような。
濡れたハンカチが額に当てられて、気持ちいい。
同時に黒い影が、俺の顔を覆った。
声
「目を開けろ、小野瀬。そして、落ち着いて俺を見ろ」
……
俺はじっとして、言葉に従った。
やがて、徐々に、逆光になった相手の顔が見えて来た。
それは……
俺だった。
06/12(Wed) 17:13
お邪魔しますよ~
とも
声の主に言われるままにゆっくり目を開ける。
そこにいたのは、…………俺?
小野瀬
「今自分が置かれている状況がわかんないんだけど、キミは俺のそっくりさんなのかな?」
小野瀬?
「そっくりさんなわけあるか。ホンモノの小野瀬だよ。そんでお前は俺だ」
あぁ、頭を打ってるから相手の言ってることがさっぱりわからない。
全身の痛みはひどくなる一方だし、考える気力も残っていない。
いや、まてよ。
一瞬頭のなかで何かが閃いたが、まさかそれが正解だとは今の俺にはわからなかった。
最初なので展開的にはこんなかんじでしょうか?
さぁ今回もナイスアシスト賞めざします!
[削除]
06/12(Wed) 21:37
まさかの。
清香
目の前にいたのは確かに俺だった。
30年近く見続けて来た顔だ、間違うわけがない。
じゃあ、俺は?もしかして幽体離脱してるとか?
訳が分からないままズキズキと痛む頭に手をやると、自分の手がいつもと違う事に気がつく。
なんでこんなに肌が白いんだ?
頭から出血しているせいで血の気が末端にまで行き渡っていないのかと思ったのだが、手足に痺れも起きていなければ冷たくもなっていない。
手をまじまじと見ていると、俺は自分が着ている服が違う事に気がついた。
これって、もしかして。
頭から出血をしているから不用意に動かせないが、手のひらでぺたぺたと己の身体を確認してみると、明らかに体つきが違う事に気づく。
小野瀬?
「お、おい!あんまり触るな!」
目の前の俺はなぜだか慌てた様子で俺の手を止めたのだった。
[削除]
06/12(Wed) 21:47
ともさん、ありがとうございます♪
小春
ナイスアシスト賞目指してるだけあって、素晴らしいカンの良さ(´∇`)
さすがです。今回もよろしくお願いします。
小野瀬?
「そっちの身体は頭を打ってる。応急処置するから、大人しく寝てろ」
俺に命令してくる俺は、声も姿も、確かに俺だ。
小野瀬
「……」
俺は横になったまま、もう一度ゆっくりと右手を挙げ、顔の前に持って来た。
べったりと血のついた、けれど、白い肌の掌。
……視界に入ってきたのは、金色の髪。
小野瀬
「……穂積」
小野瀬?
「何だ。痛むか?」
穂積、という俺からの呼び掛けに、当たり前のように、目の前の俺が応えた。
それに、今の声は。
小野瀬
「……お前の声だ」
一つずつ現実を把握していく俺に、穂積は俺の姿のまま、辛抱強く頷いてくれる。
穂積
「分かってきたみたいだな」
俺の姿の穂積が、穂積である俺の手を取って、掌の血を拭ってくれた。
穂積
「俺たち、入れ替わってるぞ」
[削除]
06/12(Wed) 22:12
清香さん、ありがとうございます♪
小春
たったあれだけの説明なのに、本当に飲み込み早いですね。
お陰さまで助かります。今回もよろしくお願いしますm(__)m
小野瀬
「……どうして、こんな事に……」
穂積
「さーな。それより、俺の携帯壊れちまった。お前の借りるぞ」
返事をするより早く、穂積は俺のポケットから、携帯を取り出して操作を始めた。
原因を究明して解決を模索したい俺、現実を把握して混迷を打破しようとする穂積。
たとえ入れ替わっても、人間の身体というのは、意志がある方に従うらしい。
穂積
「……お前の携帯、女の番号ばっか」
小野瀬
「……女の子たちが勝手に登録するんだよ。いいから早く電話しろ。捜査室のメンバーを呼ぶんだろ」
穂積《声は小野瀬》
「あ、小笠原?チェックポイントCからDへ向かう途中の遊歩道から、二人して沢に転落。穂積が軽い怪我。この電話の位置情報分かる?……はい、了解」
穂積が通話を切った。
小野瀬
「……言っておくけど、お前の身体、結構重傷だよ」
俺はまだ痛みで動けないまま、穂積に文句を言った。
[削除]
06/13(Thu) 05:43
おはようございます
小春
昨日はともさん、清香さん、ありがとうございました。
今日もよろしくお願いしますm(__)m
小野瀬
「……顔に、傷、つけて、ごめん」
穂積が振り返る。
穂積
「頭だから出血はハデだが、髪の生え際辺りが2、3cm切れただけだ。跡なんか残らねえよ」
それだけじゃない。
小野瀬
「かばってくれて、……ありがとう」
穂積
「バーカ」
本当に呆れたような顔を俺に向けて、穂積が溜め息をついた。
穂積
「咄嗟の事で覚えてねえよ。それに、今、その身体で痛い思いをしてるのはお前だろ」
だからさ、と、止血を終えた穂積が、俺の傍らに腰を下ろした。
穂積
「俺の顔で、そんな殊勝な事言うなよ」
ああ。
俺の姿だけど、こいつは間違いなく穂積だ。
ようやく事態を理解すると、俺は可笑しくなってきた。
小野瀬
「でもさ。ここも、ここも、ここも痛いよ。ここなんか、凄く痛い」
穂積
「あちこち触るなって言ってるだろ」
小野瀬
「心配してあげてるんじゃない」
穂積
「お前の触り方は、なんかやらしいんだよ!」
小野瀬
「穂積の身体って、筋肉のつき方がカッコいいんだもん。力を入れない時はしなやかなんだね」
穂積
「……言い方までやらしい」
小野瀬
「俺の身体はどう?」
穂積
「…………」
殴られた。
穂積
「今度セクハラ発言したら、この身体で裸踊りしてやるからな!」
小野瀬
「お前の方がセクハラだ!そんな事したら、俺は◎$■≒するぞ!」
レベルの低い口喧嘩をしていると、遊歩道の方から、数人の声が聴こえてきた。
06/13(Thu) 08:45
おはようございます。
清香
いつものように携帯を握りしめたまま寝落ちしました。
穂積
「来たな。」
ホッとした様子で遊歩道を見上げている穂積の姿を見て、不安がよぎる。
怪我はもちろん心配だ。
打撲だけじゃなく、骨折もしているだろうから。
でも、俺の姿で仁王立ちする穂積と、穂積の姿のまま横たわる俺は果たして元に戻れるのだろうか。
入れ替わりなんて漫画や小説の中の話だけだと思っていたのに、まさか自分に起きるなんて。
小野瀬
「なぁ、穂積。」
動けないまま穂積を見上げると、穂積が心配を含んだ俺の顔で再びしゃがみこんだ。
穂積
「どうした?痛むのか?もう助けが来るから、気をしっかりもて。」
小野瀬
「いや、そうじゃないんだ。まぁ、痛いのは痛いけど。」
穂積
「じゃあ何だよ。」
小野瀬
「俺たちが入れ替わっちゃった事、どう説明するつもり?」
穂積
「あっ。」
小野瀬
「俺たちは自分を客観的に見られてるからすぐに気がつくというか、嫌でも納得できたけど、みんなは頭がおかしくなったと思うんじゃない?」
穂積
「…そうだな。」
俺の姿で頭を抱えているが、仕草は穂積そのものだ。
ガシガシと頭をかく姿などは、はたからみても違和感満載としかいいようがない。
「「おーい、室長ー!小野瀬さぁーん!!大丈夫ですかぁー!!」」
遠くから俺たちを呼ぶ藤守君たちの声が、妙に焦りを助長させるのだった。
[削除]
06/13(Thu) 08:54
初期設定はこんな感じか。
小春
小野瀬
「俺とお前が入れ替わってる事、黙ってる方がよくない?」
穂積
「え?しかし」
小野瀬
「あのね。これは異常な事態なの。お前みたいに、目覚めて2分で『なるほど入れ替わったんだな』なんて理解する方がおかしいの!」
穂積
「現実に入れ替わってるんだから仕方ないだろ」
こいつは本当に凄いな。
小野瀬
「とにかくダメ。小笠原あたりに理詰めで矛盾を突かれたら、このリレー破綻するし」
穂積
「???」
小野瀬
「櫻井さんがパニくっちゃうぞ」
穂積
「……!」
こっちの方が効いたか。
小野瀬
「泣き出すかもしれないぞ」
穂積
「……分かったよ」
到底「分かった」という表情ではないが、穂積は頷いた。
とりあえず、これでいい。
近付いてくる皆に手を振る俺の姿の穂積を見ながら、俺は内心ほくそ笑んだ。
それはいつかは戻りたいが、しばらくはこの状況を楽しまなくちゃ。
せっかく穂積になったんだから。
[削除]
06/13(Thu) 14:14
とりあえず。
清香
怪我をしていると連絡をしていた事もあり、藤守達に遅れること15分後には2台の救急車が遊歩道へと横付けされた。
この辺りの対応は捜査室も救急隊もさすがに手慣れたものだ。
動けない穂積の身体は救急隊にまかせ、比較的軽症で済んだ小野瀬の身体(中身は穂積)は藤守と明智が遊歩道まで連れて行った。
小笠原は警視庁へ連絡をし、如月と櫻井は穂積と小野瀬の荷物をまとめにキャンプ地へと戻る。
命に別条が無いのと研修中の事故という事で、穂積と小野瀬は都内の警察病院へと搬送され、研修はとんだ結末を迎えることとなったのだった。
~警察病院~
穂積
「どうだ、大丈夫か?」
一通りの検査と治療を終えた穂積が病室へと入ってきた。
小野瀬
「…ん、あぁ。」
穂積
「いいから、そのまま寝てろ。疲れたか。」
目をつむっていた小野瀬が身体を起こそうとするのを穂積が手で制す。
小野瀬
「あぁ。すごいよな、お前。」
穂積
「は?何がだよ。」
個室に入れられたものの、キャリア組の穂積が研修中、つまり就業中に怪我をしたという事で、様々な部所からお見舞いと称して見物にくる人が絶えなかった。
治療だけじゃない疲れが小野瀬にのしかかる。
小野瀬
「こんなに警視正クラスに会った日はないよ。」
穂積
「そうか、俺もな。」
ベッド脇のパイプ椅子にどっかりと腰を下ろし、穂積も疲れた表情を浮かべた。
穂積
「俺も今までに何度か入院したが、こんなに女性職員と看護師に囲まれた事はないぞ。」
小野瀬
「……。」
穂積
「着替えるの、手伝いましょうかって何人も言ってきたぞ。」
小野瀬
「………。」
穂積
「断ったら、『いつも脱がしてたから、今更恥ずかしがらないでもいいのに。』って言われた。」
小野瀬
「……えっと、ゴメン。」
それ以外の言葉が小野瀬には見つからなかった。
[削除]
06/13(Thu) 14:23
壁|д・)ほんの少しだけお邪魔します
エミ
すると、穂積が不意に振り向いた。
穂積
「…小野瀬。今、何か良からぬ事を考えなかったか?」
********************
黒小野瀬さんが垣間見えますね。
(*´艸`)
[削除]
06/13(Thu) 15:12
清香さん、エミさん、ありがとうございます。
小春
エミさん、消しませんよ( ̄ー ̄)
俺はぎくりとした。
小野瀬
「え?」
穂積はじっと俺を見つめてきた。
……なんだろう。
俺の姿の穂積に真顔で見つめられると、自分自身の良心に見つめられているような気分になる。
穂積
「……『看護師や女の子たちの見舞いをかわす煩わしさよりも、職場の上司に建前だけ心配されている方がいいかな』とか」
小野瀬
「う」
なにその鋭さ。
その頭脳は、俺のもののはずなのに。
怒っているかと思いきや、穂積は真剣な顔のまま、溜め息をついた。
穂積
「いずれにせよ、病院に運ばれた事で、おおごとになってきた。入れ替わりを打ち明けるタイミングは逃したな」
小野瀬
「……」
穂積
「お前の言う通り、ほとぼりが冷めるまでは当分、お互いの役をやり続けるしかないようだ」
小野瀬
「……だね」
どうやら、穂積も覚悟を決めたらしい。
何が幸いするか分からないものだ。
穂積
「仕事の事を訊かれて即答出来ない時には、『頭を打ったせいか、考え事をすると頭痛がしてしまいます』で通せ。知らない相手の時もそれで押し通せ。いいな」
小野瀬
「分かった」
穂積
「……じゃあな。また来る」
小野瀬
「そっちにも迷惑かけるな、ごめん」
椅子から立ち上がった穂積を追い掛けるように謝ると、『俺』はニヤリと笑った。
穂積
「この機会に、言い寄ってくる女を片っ端から身辺整理してやろうか?」
思わず「頼む」と言おうとしたら、「冗談だ」と先に返された。
穂積
「俺の身体だ、大切にして早く治せ。くれぐれも言っておくが、裸踊りされたくなかったら、どこそこ触ってみるんじゃねえぞ!」
06/13(Thu) 17:19
とも
その頃の捜査室~
如月
「それにしてもとんだ研修合宿になっちゃいましたねぇ。あの室長がケガするなんて、めったにないかも」
藤守
「せやけど、小野瀬さんを庇って一緒に落ちたんやろ?咄嗟のことでも室長スゴいで」
小笠原
「今頃病室はお偉いさんのお見舞いの対応で大変だろうね」
明智
「室長が入院している間は俺達がしっかりしないとな。気を引き締めていくぞ」
藤守
「あ~、明日からまた現実に戻されるんかぁ。合宿、結構楽しかったから嫌やなぁ」
如月
「それは俺も同じですよ。今度は普通にキャンプしたいですよね。ねっ、翼ちゃん」
櫻井
「え?あ、そうですね…」
私は、キャンプ場からの帰り道からずっと何かわからない違和感を感じていた。 室長と小野瀬さんがケガをしてしまったと聞いた時は本当に心配した。 命に別状はなくてホッとしたものの、私の首の後ろがチリッとするのはずっと収まらなかった。
[削除]
06/13(Thu) 18:15
ともさん、ありがとうございます♪
小春
~穂積《身体は小野瀬》vision~
翼
「小野瀬さん、お身体の様子はいかがですか……?」
個室の扉を開けて、そっと覗き込むように入って来たのは、櫻井。
遠慮がちに室内を見渡して、提げてきた小さな紙袋をさりげなく後ろ手に隠したのを、俺は見逃さない。
穂積
「ありがとう、順調だよ」
小野瀬って、こんな感じの喋り方でよかったっけ?
穂積
「…お見舞い、持ってきてくれたの?」
櫻井の手元をちらりと見遣ると、櫻井は頬を染めて、手にした袋をおずおずと俺に差し出した。
穂積
「催促したみたいでごめんね」
翼
「いえ、あの……小野瀬さんの病室には、きっとたくさんのお花やお見舞いの品物が届いてると思いまして……」
櫻井の声はだんだん小さくなってくる。
翼
「邪魔にならない小さいブーケとか、お菓子とか考えたんですけど……」
ようやく手元に届いた紙袋を受け取り、俺は、逸る気持ちを抑えて、袋の口を開いてみた。
穂積
「?」
よく分からない。
手を入れて、触れたものを取り出してみると。
翼
「あの……編みぐるみなん、です、けど……」
それは、掌におさまるほどの、小さな小さな白いクマ。
顔を上げて見ると、櫻井は真っ赤になって俯いている。
俺はその小さな肩を抱き締めたくなる衝動に駆られながらも、代わりにクマを握り締めた。
穂積
「ありがとう、嬉しい」
櫻井が、ぱあっと笑顔になった。
翼
「良かった!喜んでもらえて」
穂積
「お前の手作りだろ。嬉しいに決まってる」
櫻井は一瞬意外そうな表情をしたが、たちまち嬉しそうな笑顔に戻った。
翼
「本当に、良かった!小野瀬さんや室長には、子供っぽ過ぎるって言われるかと思って、心配だったんですけど……」
あ。
……そうか、これ、小野瀬のために作ったんだよな……。
膨らんだ気持ちが、一気に萎んだ。
翼
「それ、明智さんに作り方を教わったんです。お礼を言わなきゃ、ですね」
はしゃぐ櫻井の様子を目にし、明智の名前を聞いて、さらに失望が加速する。
穂積
「……じゃあ、その時には、俺が喜んでた事も伝えてね」
俺はどうにか笑顔を浮かべた。
翼
「はい!」
櫻井が、元気に頷く。
穂積
「……少し、疲れたな」
起こしていた背中を壁に預けると、櫻井の顔色が変わった。
翼
「あ、すみません、大騒ぎして。私、もうこれで失礼します」
穂積
「見送りしないけど、ごめんね」
とんでもないですお大事に、と言いながら、櫻井は平身低頭して病室を出ていった。
扉が閉まったのを見届けて、俺は、手にしたままだった編みぐるみのクマを見つめ、大切に胸に抱いた。
目を閉じると、涙が出そうになる。
俺はしばらくの間、小野瀬である事を忘れて、櫻井のくれたクマを抱き締めていた。
~扉の外~
小野瀬の病室を出た翼は、また、首筋がチリリとする、例の違和感を感じていた。
何なのか、は、分からない。
けれど、これが小野瀬に会ったせいなら、もう一度確かめてみるべきなのかもしれない。
さっき、小野瀬との会話の最中にも感じた、違和感の原因を。
でも、「疲れた」と言っていたし……。
迷った末に、翼は、もう一度こっそり、病室の扉を開いてみた。
ほんの僅かに、気付かれないように。
そうして中を窺った瞬間、翼は信じられない光景を見た。
小野瀬が、さっき受け取ってくれたばかりの編みぐるみのクマを、胸に抱き締めていた。
翼が思わず赤面してしまうほど、それはそれは愛しそうに。
翼はドキドキする胸を押さえながら、かろうじて音を立てずに扉を閉め、病室を離れた。
何だったんだろう、今の。
(お前の手作りだろ。嬉しいに決まってる)
何だったんだろう、今の。
違和感の原因は分からないまま、翼は逃げるようにして、指定された面会時間の迫る穂積の病室を目指した。
そこには、捜査室のみんなも集まって来ているはずだった。
[削除]
06/13(Thu) 21:13
うーん、被った(・ω・;)
清香
穂積の病室の前に着くと、見慣れた男性が反対側から小走りでやってくるのが見えた。
それは。
翼
「まー…、あ、明智さん!」
明智
「櫻井、大丈夫だったか?」
慌てて駆け寄ってきた明智は翼の両肩に手を置きながら、翼の洋服を前から後ろから確認した。
翼
「明智さ…ん?」
突然の行動に、さすがの翼も驚きを隠せない。
明智
「小野瀬の病室にお見舞いに行っていたんだろう?何もされなかったか?」
いつもの事とは言え、この心配っぷりに苦笑いが漏れる。
翼
「大丈夫だよ。編みぐるみを渡して来ただけだから。小野瀬さん、すごく喜んでくれたの。『明智君にも伝えて』だって。」
明智の心配を拭おうと、そっと指先を絡める。
翼
「だから、そんなに心配しないで?」
明智
「…そうだな、すまない。病室が個室だし、あの人はそこまで重傷じゃないから、つい。」
翼
「もう、まーくんったら。」
本当は、小野瀬さんの姿に感じた異変を伝えたかった。
自分一人では見つけられない何かを、明智となら見つけられるかもしれないと、心の何処かで思っていたから。
でも。
さっきの小野瀬さんの姿をどうしても思い浮かべてしまう。
いつものような綺麗な笑顔で受け取る姿くらいしか作っている間は考えていなかった。
それなのに。
あんなに大事そうに編みぐるみを抱いてくれるなんて、全く想像が出来なかった。
まるで愛おしい我が子を抱くような姿に、自分まで抱きしめられているような錯覚さえ覚える。
明智
「どうした?」
翼
「えっ?」
明智
「ボーッとして。疲れたか?」
翼
「…いえ、なんでもないです。さぁ、室長の所に行きましょう?」
再び湧き上がりそうな胸の高鳴りと、首の後ろのチリリとした違和感を押し隠すように、室長の病室のドアをノックしたのだった。
[削除]
06/13(Thu) 23:30
じわじわと黒小野瀬が…
とも
~小野瀬《体は穂積》vision~
コンコン。
お見舞いに来てくれた捜査室メンバーと談笑(不本意だけど穂積のオカマ口調を真似て)していると、扉がノックされた。今ここにいないメンバーで、来てくれそうなのは……
小野瀬
「どうぞ」
ゆっくりと開けられた扉の向こうには櫻井さんと明智くんがいた。
小野瀬
「あら、二人もお見舞いに来てくれたの?悪いわね」
明智
「室長も、顔色が少し良くなっているみたいでよかった」
小野瀬
「ええ。だいぶ痛みもとれてきたから、もう大丈夫よ」
櫻井
「それを聞いて安心しました。あ、これはささやかですがお見舞いです」
彼女はそういって小さな紙袋を差し出してきた。
小野瀬
「中身は何かしら?…あら、編みぐるみね。とても可愛らしいわ。ありがとう」
穂積がするようにニッコリ笑ってみせると、櫻井さんの顔はみるみる赤くなっていく。
小野瀬
「キミだと思って大事にするからね?」
彼女にしか聞こえない位の低い小さな声で囁くと、赤い顔は一気に暗い影を落とした。
おっと、櫻井さんは勘が鋭いからね。いつものクセが出そうになるのをあわてて抑える。
小野瀬
「さぁ、せっかく来てくれたんだけど、そろそろ面会時間は終わりよ。まだまだ皆には迷惑を掛けるけどよろしくね」
全員
「じゃあ、これで失礼します」
ふぅ。オカマのフリも楽じゃないな。
穂積はよくやってるよ。元凶は俺なんだだけど。
しかし、さっきので櫻井さんには気づかれちゃったかな?
表情から察すると、俺(正確には俺の姿をした穂積)のところに行った時も同じような事があったように見えるね。
何かはわからない違和感、てとこかな。
まだ穂積の体になってやりたいことを全くできてないからね。
もう少しだけ、このままでいさせてね。
[削除]
06/14(Fri) 07:27
おはようございます。
小春
昨日はともさん、清香さん、エミさん、ありがとうございました。皆様、本日も飛び入り歓迎。よろしくお願いします。
さあ、それぞれの作家たちの思惑が蠢き始めるリレー3日目。
寝落ちはありませんか?
被りも恐れず発進です!
~面会時間終了後~
~小野瀬《身体は穂積》vision~
静かさを取り戻した院内にノックの音がして、俺(小野瀬=身体は穂積)の病室に穂積(=身体は俺)が入って来た。
穂積
「よう」
近付いてくる穂積は、何となく元気が無い。
それでも、パイプ椅子を引いてベッドの傍らに座ると、真面目な顔になった。
穂積
「明智が来ただろ?仕事はどうだって?」
小野瀬
「今のところ、支障は無いそうだよ。研修合宿の為に、継続業務は処理してあったし。新規の捜査については、室長不在という事で、主権限を持たない、他の課の補助的な業務に当たっているらしいからね」
穂積
「それでいい」
頷く穂積には、聞く前から答えが分かっていたようだった。
穂積
「お前の……この身体の容態な。打撲と掠り傷だけで済んだようだ。明日にも退院していいってさ」
小野瀬
「ありがたいね。穂積が全身打撲を引き受けて、あちこち骨折してくれたおかげだよ」
俺はわざとふざけて笑ったが、穂積は微かに口元を緩めただけだった。
穂積
「……だが、鑑識は激務だからな。本人の体調が戻るまでという事で、数日の猶予をもらった」
その様子を見て、俺は、穂積の懸念を察した。
ひとつは、俺の(もとい、俺の身体の)体調だろう。
穂積のことだ、口には出さないが、せっかくの機会だから、一日でも長く休ませてやろうと思ってくれているに違いない。
もうひとつは、入れ替わっている事での仕事への影響だ。
今日一日、俺は、穂積の病室に来た大勢の見舞い客に穂積として応対したが、じつに半数以上が全く知らない相手だった。
幸い、病院側から重傷患者として扱われている為に、面会時間はごく短く設定されている。
しかも頭を打って包帯を巻いているので、相手が気を遣って、簡単な受け答えだけで帰って行った。
そのおかげでボロを出さずに済んだようなものだ。
穂積のアドバイス以降は、思い出そうとするのを諦めて、「頭を打ってしまって」「考え事をすると頭痛がしてしまうんです」を連発していた。
これは穂積も心配していた部分だったのだが、いくら頑張っても、穂積の持っている記憶を引き出す事は、俺には不可能だった。
という事は、穂積にも、俺の身体と知識を使って、専門職である鑑識の仕事をこなす事は出来ないという事になる。
穂積が復帰を渋るのはこの為だった。
だが、治ってしまえば退院しなければならない。
おそらく、もう、それほど猶予は無いはずだった。
残る問題は、退院によって、俺と穂積が離れるという事だろう。
入れ替わっている穂積と俺にとって、最も不便なのは、人格の違いだから。
それを裏付けるように、ベッドの周りを見渡していた穂積が、見舞いの品々の中から、櫻井さんのくれた小さな紙袋を抜き出した。
穂積
「……」
穂積は中からクリーム色のクマを取り出してしばらく見つめていたが、やがて、紙袋に戻して、俺の枕元に置いた。
小野瀬
「?」
穂積
「俺ならここに置く」
櫻井は毎日来るから。穂積はそう言った。
穂積
「お前はどの見舞いの品も同じように扱う。なら、俺はそうする。それでいいな」
穂積の真意を、俺がどこまで理解できたかは分からない。
けれど、穂積が、俺として行動しようとしている事は明白だった。
穂積が「小野瀬」として受け取った櫻井さんからのクマは、他の見舞いの品々の中に埋もれてゆくだろう。
俺と穂積が入れ替わっている事を気付かせないようにするために。
穂積自身が、彼女への想いを隠し通そうとするように。
穂積は、俺になってもやっぱりバカで。
俺はやっぱり、そんな穂積が愛おしい。
06/14(Fri) 08:55
ワクワク♪
くちびる
2トップの入れ替わり…ワクワクしながら読ませてもらってます。完全に出遅れてしまい、読みに専念させて頂いてます。これからの展開はどうなるのか!?
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06/14(Fri) 09:00
とも
~翌日~
穂積(身体は小野瀬)はたくさんの女性職員たちに見送られながら退院していった。
帰る間際に小野瀬(身体は穂積)の元へ立ち寄る。
穂積
「じゃあ俺は一旦お前の家に戻る。何か対応できないことが出てきたら携帯鳴らせよ」
小野瀬
「わかった。俺の家に行くのはいいが、散らかすなよ」
時間がないのでここまで。
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06/14(Fri) 09:16
くちびるさんいらっしゃーい♪
小春
ようこそお越しくださいました。ヽ(・∀・)ノ
しかし、ワクワクしながら読んでる場合じゃありません。
参加して下さい。
これからどうなるか?
私が聞きたい。(←オイ)
ともさんも、お忙しい中ありがとうございます(´ 3`)ちゅー
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06/14(Fri) 11:15
~入院5日目~
小春
~小野瀬《身体は穂積》vision~
藤守
「明日から、小野瀬さん出勤するらしいすよ」
毎日の歩行リハビリ、本日付き合ってくれたのは藤守くんだ。
骨折の治療直後から始まったリハビリは、一日に数回、個室のある廊下を体調に合わせて往復するだけ。
……なのに、これが結構きつい。
診察と投薬治療は続いているので、痛みはかなり抑えられているはずなのだが。
左腕と左手の甲を骨折しているので、松葉杖は右側だけ。
しかもそちら側の肋骨が折れてる。
一歩踏み出すたびに激痛が走る。汗だくの自分の姿に、泣きたくなってくる。
しかも、外見は穂積だから、どんなに痛くても苦しくても、涼しい顔をしてなきゃならない。
終業後に付き合ってくれている藤守くんには悪いが、……なんて面倒臭いんだ。
そんな風に俺が腐りそうになっていた時だっただけに、この「小野瀬さんが職場に復帰」という言葉は、劇的に効いた。
退院した穂積(身体は俺)は、丸々2日間自宅療養していた事になる。
その間、穂積が俺の自宅で何をしていたか。
俺には、穂積の行動が手に取るように分かった。
穂積は、警察官として、刑事としてなら、名実ともに全国でもトップクラスだ。
だが、鑑識官としての教育は全く受けていない。
しかも、毎日の仕事での接点はあるが、鑑識を訪れる刑事たちの中でも、穂積は鑑識のテリトリーに口を出さない事で知られている。
その穂積が、鑑識に個人ラボを構え、部下を抱える「俺」にならなければならないのだ。
出勤までの限られた時間、穂積はおそらく一睡もせず、鑑識官としての知識を基本から頭に叩き込んでいたに違いない。
俺の頭脳に入っている知識を使えない、そのジレンマとも戦いながら。
俺が今、歯を食い縛って「涼しい顔の穂積」を演じているように、穂積は明日から、「笑顔の小野瀬」を演じなければならないのだ。
それを思うと、リハビリに対する不満は雲散霧消してしまった。
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06/14(Fri) 11:30
うぅっ。
清香
室長を幸せにしたいけど、明智さんと付き合ってるのよね……。胸が痛いわ……(つД`)
穂積が「小野瀬葵」として退院して行ってから、俺は病室のベッドの上で考えた。
穂積として数日を過ごしてみて、長い付き合いをしていたのに知らなかった事がこんなにもあったのかと、驚いた。
何となく感じてはいたが、穂積はとにかく人望がある。普段は傍若無人な奴だが、礼節だけは忘れない男だという事を今回改めて実感させられた。
現実、俺の部屋は花束だらけらしいが、この部屋はコーヒー・ミネラルウォーター・新聞・エロ本も含めた雑誌・ゲームにタブレット端末まである。皆が皆、穂積の事を考えて用意してくれたのだろうと思うと、少しだけ申し訳ない気持ちになる。
それでも、『穂積泪』と言う男の新たな一面を垣間見る事ができた嬉しさも同じように湧き上がってくる。
本来ならもっと現実に向き合ってどうしたら元の身体に戻れるのかとか、数日後には鑑識で『小野瀬葵』として仕事をする穂積の事を考えなくていけないのに。
病室の窓ガラスに映る顔が『穂積』だからだろうか。
アイツの事ばかり、考えてしまう。
そんな物思いに耽っていると、病室のドアがノックされた。
途中だけど仕事だー(ノ;・ω・)ノ誰が来るのかはお任せしまーす(丸投げ)メモに下書きしてたら、店長のまーくんに見られたわ∑(゚Д゚)まぁ、いいや。裏じゃないし。
06/14(Fri) 20:01
繋がるかな。
清香
病室に入ってきたのは、俺の姿をした穂積だった。
予想していた通り、目の下にはクマを作っていて寝不足なのは明らかだ。足取りも幾分フラフラとしている。
それにしても、こう客観的に自分の姿を見るとなかなか物悲しいものがあるな。ましてや徹夜明け。
『今まで以上に身綺麗にしなくてはいけないな』と、さしずめ自分の振り見て我が振り直せと言った所だろうか。
小野瀬
「明日から復帰だって?」
穂積
「あぁ。」
パイプ椅子に腰を下ろした穂積にさっき藤守君から聞いた話を切り出す。
小野瀬
「大丈夫そう?」
穂積
「分からん。とりあえず一通りの下調べはした。あとは正直やってみるしかない…ってとこだな。」
何とも不安要素たっぷりな発言に、さすがに心配になる。
粗暴で粗野だけれど決して不器用ではないから少しは望みは持っていたのだが、いかんせん時間と情報が少なすぎる。
これでは細野と太田にバレるのも時間の問題だろう。
…本当は使いたくなかったんだけどな。
小野瀬
「なぁ、穂積、本棚見た?」
目頭を抑える穂積に聞くと、目を閉じたまま穂積は首を横に振る。
穂積
「いや、鑑識に必要な資料は読ませてもらったが、 それ以外は触っていないぞ。」
予想通りの答えに少しだけ安堵した。
小野瀬
「まぁ、お前ならそう言うと思ったよ。戻ったら本棚の一番下にある黒い背表紙の業務日誌を見てみろ。今までやった仕事の事が書いてあるから。」
穂積
「本当か?」
穂積がバッと顔を上げる。
小野瀬
「最近はやった事と個人的な事ばかりだけど、昔は分析をしていて行き詰まった事や解決策も書いていたから、役に立つかも。」
なんだか学生時代の卒業文集を見せるくらいの恥ずかしさを感じる。
それでも、穂積の表情がパァっと明るくなったのが見れると、恥ずかしさは何処かへと飛んで行ってしまった。
穂積
「ありがとう。」
小野瀬
「いいえ、どういたしまして。明日からよろしくお願いします。『小野瀬葵さん』」
穂積
「あぁ。お前もリハビリ頑張れよ。『穂積泪さん』」
お互い自分の顔に対して名前を呼び合うなんて、本当に不思議な感じではあるが、なんとなく穂積が俺に馴染んでいるんじゃないかと思えてきた。
握手をしていると看護師が面会終了の声をかけてきた。
なんとなく名残惜しいけど、あの怖い看護師長がバックに着いている以上、引き留めるわけにはいかない。
手を振って穂積を見送ると、俺はリハビリの疲れもあり、慣れ始めた病室のベッドへと沈み込んだのだった。
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06/15(Sat) 07:12
おはようございます。
小春
昨日はくちびるさん、ともさん、清香さん、ありがとうございました。
寝落ちしましたごめんなさいm(__)m。
リレーも4日目。
ツートップは仕事が出来る人達なので、職場に戻すには色々と面倒ですみません。
徐々にペースアップしますので、のんびりお待ちください。
そして、本日も飛び入り歓迎。
作家様、読者様、皆様よろしくお願いしまーす。
今朝のは今書いてます、少々お待ち下さいませ。(誰か待っててくれますように:(笑))
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06/15(Sat) 08:45
~警視庁~
小春
~穂積《身体は小野瀬》vision~
早朝4時。
小野瀬葵として小野瀬の家から出勤した俺は、真っ直ぐにラボに向かった。
警視庁は不夜城だが、それでも極力人の出入りの少ない時間を選んだのは、小野瀬の復帰を歓迎する誰かに見つかって、足を止めたくないからだ。
小野瀬の人気の凄まじさは、数日間の入院で身を以て体験した。
一人に呼び止められれば、あっという間に黒山の人だかりになってしまうだろう。
小野瀬を心配してくれるファンたちには申し訳無いが、今の俺は一分一秒が惜しい。
「小野瀬」が今朝から出勤する事は、身内しか知らない。
鑑識の小野瀬ラボでそれを知っているのは、二人だけ。
会いたいのはその二人だけだ。
穂積(身体は小野瀬)
「おはよう」
俺が首尾よく誰にも止められずにラボに辿り着くと、扉の向こうで二人が待ち構えていて、それぞれ、俺の腰と足とに縋りついてきた。
細野
「御大!」
太田
「御大!」
ガリガリとタプタプの二人に押し倒されそうになりながら、俺はラボの奥を覗いた。
奥は薄暗く、こいつらの他には誰もいない。
昨夜、電話で頼んでおいた約束が守られている事に安堵しながら、俺は、改めて細野と太田を見下ろした。
穂積
「二人とも、心配かけたね。すまなかった」
細野・太田
「自分たちこそ、お見舞いに伺えなくてすみませんでしたぁっ」
穂積
「俺がいなくて忙しかったんだから当たり前だよ。そんな事はどうでもいい。それより」
それから二人の肩を抱くようにしてしゃがみこむと、二人は自然と頭を寄せてきた。
小野瀬
「二人に頼みがある」
俺は、単刀直入に切り出した。
太田
「お電話でもそう言ってましたね。何すか?」
フトシは俺(小野瀬)の姿を見ただけで、すでに涙ぐんでいた。
頼みを言う前から、引き受けてくれる覚悟なのがよく分かる。
細野
「何でもしますよ」
ガリガリくんも真剣な表情。
さすが、小野瀬はいい部下を持ってるな。
実は昨日まで、俺は、こいつらだけには入れ替わりの事を正直に打ち明けて、力になってもらおうかと考えていた。
俺の能力が足りないせいで鑑識の仕事が滞り、小野瀬やこいつらの評価が下がる事は耐え難いと思ったからだ。
丸二日かけて小野瀬の家にあった鑑識関係の書物を読破し、鑑識の基礎となる知識は頭に詰め込んだ。
だが、鑑識官には「知識」だけではなく、「感性」や「経験」が必要だ。
それが本物の小野瀬にはあり、俺には無い。
昨日、仕事に復帰する事を報告に行った時、俺が不安を口にすると、小野瀬は、個人的な業務日誌の存在を教えてくれた。
自分が駆け出しの頃から毎日続けてきたもので、分析をしていて行き詰まった事や解決策、鑑識現場での実体験が書き込まれているという。つまり日記だ。
まさに俺が欲しかったもの。
昨夜の話だから、まだ最初の年の日記に目を通しただけだが、この手の記録を理解し記憶するのは得意だ。
しかし、仕事の内容が主だとはいえ、日記を他人に読ませるのは恥ずかしいものだろうと思う。
それをあえて俺に読ませてくれた小野瀬の為にも、俺は小野瀬としての務めを全うしなければ申し訳無い。
その為には、どうしても、この二人の協力が不可欠なのだ。
穂積
「……実は、崖から落ちたせいで、記憶に障害が出てるんだ」
細野・太田
「えっ」
二人とも、すまん。これは嘘ではないが、真実ではない。
穂積
「一時的な物だとは思うんだけど、仕事に支障をきたす可能性が高い。だから……」
言い終わる前に、二人が、無精髭の浮いた顔をぐっと近付けてきた。
細野
「水臭いですよ、御大!」
太田
「いつも助けて頂いているのは自分たちの方です。御大のお役に立てるなら、喜んで三徹でも五徹でもしますよ!」
細野
「仕事の事は僕たちに任せて下さい。御大には、まず全快して頂く事を考えていただかないと」
穂積
「……ありがとう」
目頭が熱くなった。
穂積
「お前たちがいてくれて、良かった。本当に、頼りにしている」
細野・太田
「御大!」
わあっと泣き出した二人が飛びついてきて、しゃがんだ体勢だった俺は、不意をつかれてひっくり返った。
小野瀬、足腰弱いぞ!
細野
「御大!僕、僕、嬉しいです」
穂積
「えっ?」
細野
「御大、今、『お前たち』って言ってくれました」
太田
「普段、『きみたち』なのに。御大が『お前』って呼ぶの、穂積さんにだけだと思ってたのに」
えっ。
わんわん泣く二人をなだめながら、俺は頭が冷えていくのを感じていた。
(普段、『きみたち』なのに。御大が『お前』って呼ぶの、穂積さんにだけだと思ってたのに)
知っていた。
気を付けていた。
だが、確かに最近、俺は、誰かに『お前』と言った気がする。
それが誰だったかを思い出して、俺は血の気が引いた。
こちらを先にお読みください↓
*恋人の日・明智編*
小春
「キスの日~明智編~」に続いて、「Apple Town」清香さん、「刹那空間」せつなさんとのコラボです。
今回は、ドラマCD3キャンプ編を下地に置いています。元ネタを知らない方にも楽しんで頂けるよう気を付けたつもりですが、分かりにくかったら申し訳ありません。
いつもと違うシチュエーションで、ついつい暴走してしまうまーくんのお話でした。
そして、ここからは掲示板オリジナル、キャンプ2日目。
傷心のツートップをさらなる悲劇が襲います。
果たして二人の運命は?
ボチボチ書き進めていきますが、飛び入り&リレー方式を採用しますので、続きを思い付いた方は、ぜひ、ご遠慮なく書き込んでくださいませ。
*他の人と違う自分の色を決めて書き込んでください。
*書き込みが長文になりそうな場合は、先に掲示板に「続きを書きます」とひとこと書き込んでおいてくださると、被る確率が減ります。
*一応、「恋人の日~明智編~」がベースですが、設定や展開は更新してくださって構いません。むしろ超展開歓迎。
*続きは誰かが何とかしてくれます(過去のリレー参照)(  ̄▽ ̄)。
では、皆様のご参加をお待ちしております。
[削除]
06/12(Wed) 16:00
*掲示板リレーSS*穂積←→小野瀬
小春
~小野瀬vision~
小野瀬
「結局、明智くんを助けてあげちゃうんだね、穂積は」
俺はコンパスを手に山道を歩きながら、隣で地図を眺めていた穂積に声をかけた。
穂積
「あぁ?」
確かめるまでもなく、今朝の穂積は不機嫌だ。
いや、正確には、昨夜から感情がおさまらないはず。
何しろ、ずっと淡い想いを寄せてきた女の子の、濃厚なキスシーンを目撃しちゃったんだから。
しかも、相手は職場での右腕とも言える明智くんだ。
そして穂積は、明智くんにも櫻井さんにも自分の想いを打ち明けた事はなく、二人の恋愛に口を出せる立場ではない。
穂積
「……仕方ねえだろうが」
口答えの少なさが、逆に、穂積の内心の動揺を露呈している気がする。
ショックとか口惜しさとか未練とか、色々と暗い感情もあるはずなのに。
穂積が本気を出せば、落とせない女なんていないはずなのに。
自分の幸せよりも先に、二人の部下の幸せを願ってしまうあたりが、穂積らしいというかバカというか。
俺はなんだか穂積が愛しくなって、いきなり腕を組んだ。
小野瀬
「元気出せって」
穂積
「元気だよ。くっつくな」
穂積が嫌そうな顔をして、腕を抜こうとする。
小野瀬
「お前には俺がいるじゃん」
穂積
「気色悪ぃ事言うな!」
穂積が抵抗するので、だんだん楽しくなってきてしまった。
小野瀬
「照れるなよ。皆はもう先に行ったし、山の中で二人きりだよ。ねっ?」
穂積
「ばっ」
穂積が、抱きついた俺を押し返そうとしかけた、次の瞬間。
俺の足元が、ぐらりと揺れた。
違う。
崩れたんだ、と思うのと、穂積の手が俺の腕を凄い力で掴んだのとが同時だった。
気付いた時には、沢の水際に転がっていた。
冷たい石の川原に寝そべったまま、目だけで周りを見回してみる。
遊歩道のある位置から、雑木林の急斜面に、引っ掻いたように草が薙ぎ倒された跡が沢まで続いていて、その先に俺が転がっていた。
ああ、あそこから転がり落ちて来たんだな。
他人事のように冷静に分析していた俺の頭脳に、突然、閃くように命令が届いた。
穂積は?!
そうだ。
穂積がいたはずだ。
俺がバランスを崩した瞬間、穂積が俺の腕を掴んで凄い力で引き寄せ、頭と腰とを抱え込んでくれた。
だから、斜面を転がり落ちている間、俺の身体は穂積に守られていた。
俺は途中で意識を失ってしまったが、間違いなく近くにいるはず。
ところが、意識が覚醒し始めると、今まで感じなかった激痛が全身を襲った。
痛い。
頭が割れそうだ。
右手を上げて額を押さえると、ぬるりとした感触があった。
……血。
思わず呻いた。
声
「頭を打ってるんだ。急に動くな」
穂積の声ではなかった。
でも……どこかで聴いた事があるような、ないような。
濡れたハンカチが額に当てられて、気持ちいい。
同時に黒い影が、俺の顔を覆った。
声
「目を開けろ、小野瀬。そして、落ち着いて俺を見ろ」
……
俺はじっとして、言葉に従った。
やがて、徐々に、逆光になった相手の顔が見えて来た。
それは……
俺だった。
06/12(Wed) 17:13
お邪魔しますよ~
とも
声の主に言われるままにゆっくり目を開ける。
そこにいたのは、…………俺?
小野瀬
「今自分が置かれている状況がわかんないんだけど、キミは俺のそっくりさんなのかな?」
小野瀬?
「そっくりさんなわけあるか。ホンモノの小野瀬だよ。そんでお前は俺だ」
あぁ、頭を打ってるから相手の言ってることがさっぱりわからない。
全身の痛みはひどくなる一方だし、考える気力も残っていない。
いや、まてよ。
一瞬頭のなかで何かが閃いたが、まさかそれが正解だとは今の俺にはわからなかった。
最初なので展開的にはこんなかんじでしょうか?
さぁ今回もナイスアシスト賞めざします!
[削除]
06/12(Wed) 21:37
まさかの。
清香
目の前にいたのは確かに俺だった。
30年近く見続けて来た顔だ、間違うわけがない。
じゃあ、俺は?もしかして幽体離脱してるとか?
訳が分からないままズキズキと痛む頭に手をやると、自分の手がいつもと違う事に気がつく。
なんでこんなに肌が白いんだ?
頭から出血しているせいで血の気が末端にまで行き渡っていないのかと思ったのだが、手足に痺れも起きていなければ冷たくもなっていない。
手をまじまじと見ていると、俺は自分が着ている服が違う事に気がついた。
これって、もしかして。
頭から出血をしているから不用意に動かせないが、手のひらでぺたぺたと己の身体を確認してみると、明らかに体つきが違う事に気づく。
小野瀬?
「お、おい!あんまり触るな!」
目の前の俺はなぜだか慌てた様子で俺の手を止めたのだった。
[削除]
06/12(Wed) 21:47
ともさん、ありがとうございます♪
小春
ナイスアシスト賞目指してるだけあって、素晴らしいカンの良さ(´∇`)
さすがです。今回もよろしくお願いします。
小野瀬?
「そっちの身体は頭を打ってる。応急処置するから、大人しく寝てろ」
俺に命令してくる俺は、声も姿も、確かに俺だ。
小野瀬
「……」
俺は横になったまま、もう一度ゆっくりと右手を挙げ、顔の前に持って来た。
べったりと血のついた、けれど、白い肌の掌。
……視界に入ってきたのは、金色の髪。
小野瀬
「……穂積」
小野瀬?
「何だ。痛むか?」
穂積、という俺からの呼び掛けに、当たり前のように、目の前の俺が応えた。
それに、今の声は。
小野瀬
「……お前の声だ」
一つずつ現実を把握していく俺に、穂積は俺の姿のまま、辛抱強く頷いてくれる。
穂積
「分かってきたみたいだな」
俺の姿の穂積が、穂積である俺の手を取って、掌の血を拭ってくれた。
穂積
「俺たち、入れ替わってるぞ」
[削除]
06/12(Wed) 22:12
清香さん、ありがとうございます♪
小春
たったあれだけの説明なのに、本当に飲み込み早いですね。
お陰さまで助かります。今回もよろしくお願いしますm(__)m
小野瀬
「……どうして、こんな事に……」
穂積
「さーな。それより、俺の携帯壊れちまった。お前の借りるぞ」
返事をするより早く、穂積は俺のポケットから、携帯を取り出して操作を始めた。
原因を究明して解決を模索したい俺、現実を把握して混迷を打破しようとする穂積。
たとえ入れ替わっても、人間の身体というのは、意志がある方に従うらしい。
穂積
「……お前の携帯、女の番号ばっか」
小野瀬
「……女の子たちが勝手に登録するんだよ。いいから早く電話しろ。捜査室のメンバーを呼ぶんだろ」
穂積《声は小野瀬》
「あ、小笠原?チェックポイントCからDへ向かう途中の遊歩道から、二人して沢に転落。穂積が軽い怪我。この電話の位置情報分かる?……はい、了解」
穂積が通話を切った。
小野瀬
「……言っておくけど、お前の身体、結構重傷だよ」
俺はまだ痛みで動けないまま、穂積に文句を言った。
[削除]
06/13(Thu) 05:43
おはようございます
小春
昨日はともさん、清香さん、ありがとうございました。
今日もよろしくお願いしますm(__)m
小野瀬
「……顔に、傷、つけて、ごめん」
穂積が振り返る。
穂積
「頭だから出血はハデだが、髪の生え際辺りが2、3cm切れただけだ。跡なんか残らねえよ」
それだけじゃない。
小野瀬
「かばってくれて、……ありがとう」
穂積
「バーカ」
本当に呆れたような顔を俺に向けて、穂積が溜め息をついた。
穂積
「咄嗟の事で覚えてねえよ。それに、今、その身体で痛い思いをしてるのはお前だろ」
だからさ、と、止血を終えた穂積が、俺の傍らに腰を下ろした。
穂積
「俺の顔で、そんな殊勝な事言うなよ」
ああ。
俺の姿だけど、こいつは間違いなく穂積だ。
ようやく事態を理解すると、俺は可笑しくなってきた。
小野瀬
「でもさ。ここも、ここも、ここも痛いよ。ここなんか、凄く痛い」
穂積
「あちこち触るなって言ってるだろ」
小野瀬
「心配してあげてるんじゃない」
穂積
「お前の触り方は、なんかやらしいんだよ!」
小野瀬
「穂積の身体って、筋肉のつき方がカッコいいんだもん。力を入れない時はしなやかなんだね」
穂積
「……言い方までやらしい」
小野瀬
「俺の身体はどう?」
穂積
「…………」
殴られた。
穂積
「今度セクハラ発言したら、この身体で裸踊りしてやるからな!」
小野瀬
「お前の方がセクハラだ!そんな事したら、俺は◎$■≒するぞ!」
レベルの低い口喧嘩をしていると、遊歩道の方から、数人の声が聴こえてきた。
06/13(Thu) 08:45
おはようございます。
清香
いつものように携帯を握りしめたまま寝落ちしました。
穂積
「来たな。」
ホッとした様子で遊歩道を見上げている穂積の姿を見て、不安がよぎる。
怪我はもちろん心配だ。
打撲だけじゃなく、骨折もしているだろうから。
でも、俺の姿で仁王立ちする穂積と、穂積の姿のまま横たわる俺は果たして元に戻れるのだろうか。
入れ替わりなんて漫画や小説の中の話だけだと思っていたのに、まさか自分に起きるなんて。
小野瀬
「なぁ、穂積。」
動けないまま穂積を見上げると、穂積が心配を含んだ俺の顔で再びしゃがみこんだ。
穂積
「どうした?痛むのか?もう助けが来るから、気をしっかりもて。」
小野瀬
「いや、そうじゃないんだ。まぁ、痛いのは痛いけど。」
穂積
「じゃあ何だよ。」
小野瀬
「俺たちが入れ替わっちゃった事、どう説明するつもり?」
穂積
「あっ。」
小野瀬
「俺たちは自分を客観的に見られてるからすぐに気がつくというか、嫌でも納得できたけど、みんなは頭がおかしくなったと思うんじゃない?」
穂積
「…そうだな。」
俺の姿で頭を抱えているが、仕草は穂積そのものだ。
ガシガシと頭をかく姿などは、はたからみても違和感満載としかいいようがない。
「「おーい、室長ー!小野瀬さぁーん!!大丈夫ですかぁー!!」」
遠くから俺たちを呼ぶ藤守君たちの声が、妙に焦りを助長させるのだった。
[削除]
06/13(Thu) 08:54
初期設定はこんな感じか。
小春
小野瀬
「俺とお前が入れ替わってる事、黙ってる方がよくない?」
穂積
「え?しかし」
小野瀬
「あのね。これは異常な事態なの。お前みたいに、目覚めて2分で『なるほど入れ替わったんだな』なんて理解する方がおかしいの!」
穂積
「現実に入れ替わってるんだから仕方ないだろ」
こいつは本当に凄いな。
小野瀬
「とにかくダメ。小笠原あたりに理詰めで矛盾を突かれたら、このリレー破綻するし」
穂積
「???」
小野瀬
「櫻井さんがパニくっちゃうぞ」
穂積
「……!」
こっちの方が効いたか。
小野瀬
「泣き出すかもしれないぞ」
穂積
「……分かったよ」
到底「分かった」という表情ではないが、穂積は頷いた。
とりあえず、これでいい。
近付いてくる皆に手を振る俺の姿の穂積を見ながら、俺は内心ほくそ笑んだ。
それはいつかは戻りたいが、しばらくはこの状況を楽しまなくちゃ。
せっかく穂積になったんだから。
[削除]
06/13(Thu) 14:14
とりあえず。
清香
怪我をしていると連絡をしていた事もあり、藤守達に遅れること15分後には2台の救急車が遊歩道へと横付けされた。
この辺りの対応は捜査室も救急隊もさすがに手慣れたものだ。
動けない穂積の身体は救急隊にまかせ、比較的軽症で済んだ小野瀬の身体(中身は穂積)は藤守と明智が遊歩道まで連れて行った。
小笠原は警視庁へ連絡をし、如月と櫻井は穂積と小野瀬の荷物をまとめにキャンプ地へと戻る。
命に別条が無いのと研修中の事故という事で、穂積と小野瀬は都内の警察病院へと搬送され、研修はとんだ結末を迎えることとなったのだった。
~警察病院~
穂積
「どうだ、大丈夫か?」
一通りの検査と治療を終えた穂積が病室へと入ってきた。
小野瀬
「…ん、あぁ。」
穂積
「いいから、そのまま寝てろ。疲れたか。」
目をつむっていた小野瀬が身体を起こそうとするのを穂積が手で制す。
小野瀬
「あぁ。すごいよな、お前。」
穂積
「は?何がだよ。」
個室に入れられたものの、キャリア組の穂積が研修中、つまり就業中に怪我をしたという事で、様々な部所からお見舞いと称して見物にくる人が絶えなかった。
治療だけじゃない疲れが小野瀬にのしかかる。
小野瀬
「こんなに警視正クラスに会った日はないよ。」
穂積
「そうか、俺もな。」
ベッド脇のパイプ椅子にどっかりと腰を下ろし、穂積も疲れた表情を浮かべた。
穂積
「俺も今までに何度か入院したが、こんなに女性職員と看護師に囲まれた事はないぞ。」
小野瀬
「……。」
穂積
「着替えるの、手伝いましょうかって何人も言ってきたぞ。」
小野瀬
「………。」
穂積
「断ったら、『いつも脱がしてたから、今更恥ずかしがらないでもいいのに。』って言われた。」
小野瀬
「……えっと、ゴメン。」
それ以外の言葉が小野瀬には見つからなかった。
[削除]
06/13(Thu) 14:23
壁|д・)ほんの少しだけお邪魔します
エミ
すると、穂積が不意に振り向いた。
穂積
「…小野瀬。今、何か良からぬ事を考えなかったか?」
********************
黒小野瀬さんが垣間見えますね。
(*´艸`)
[削除]
06/13(Thu) 15:12
清香さん、エミさん、ありがとうございます。
小春
エミさん、消しませんよ( ̄ー ̄)
俺はぎくりとした。
小野瀬
「え?」
穂積はじっと俺を見つめてきた。
……なんだろう。
俺の姿の穂積に真顔で見つめられると、自分自身の良心に見つめられているような気分になる。
穂積
「……『看護師や女の子たちの見舞いをかわす煩わしさよりも、職場の上司に建前だけ心配されている方がいいかな』とか」
小野瀬
「う」
なにその鋭さ。
その頭脳は、俺のもののはずなのに。
怒っているかと思いきや、穂積は真剣な顔のまま、溜め息をついた。
穂積
「いずれにせよ、病院に運ばれた事で、おおごとになってきた。入れ替わりを打ち明けるタイミングは逃したな」
小野瀬
「……」
穂積
「お前の言う通り、ほとぼりが冷めるまでは当分、お互いの役をやり続けるしかないようだ」
小野瀬
「……だね」
どうやら、穂積も覚悟を決めたらしい。
何が幸いするか分からないものだ。
穂積
「仕事の事を訊かれて即答出来ない時には、『頭を打ったせいか、考え事をすると頭痛がしてしまいます』で通せ。知らない相手の時もそれで押し通せ。いいな」
小野瀬
「分かった」
穂積
「……じゃあな。また来る」
小野瀬
「そっちにも迷惑かけるな、ごめん」
椅子から立ち上がった穂積を追い掛けるように謝ると、『俺』はニヤリと笑った。
穂積
「この機会に、言い寄ってくる女を片っ端から身辺整理してやろうか?」
思わず「頼む」と言おうとしたら、「冗談だ」と先に返された。
穂積
「俺の身体だ、大切にして早く治せ。くれぐれも言っておくが、裸踊りされたくなかったら、どこそこ触ってみるんじゃねえぞ!」
06/13(Thu) 17:19
とも
その頃の捜査室~
如月
「それにしてもとんだ研修合宿になっちゃいましたねぇ。あの室長がケガするなんて、めったにないかも」
藤守
「せやけど、小野瀬さんを庇って一緒に落ちたんやろ?咄嗟のことでも室長スゴいで」
小笠原
「今頃病室はお偉いさんのお見舞いの対応で大変だろうね」
明智
「室長が入院している間は俺達がしっかりしないとな。気を引き締めていくぞ」
藤守
「あ~、明日からまた現実に戻されるんかぁ。合宿、結構楽しかったから嫌やなぁ」
如月
「それは俺も同じですよ。今度は普通にキャンプしたいですよね。ねっ、翼ちゃん」
櫻井
「え?あ、そうですね…」
私は、キャンプ場からの帰り道からずっと何かわからない違和感を感じていた。 室長と小野瀬さんがケガをしてしまったと聞いた時は本当に心配した。 命に別状はなくてホッとしたものの、私の首の後ろがチリッとするのはずっと収まらなかった。
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06/13(Thu) 18:15
ともさん、ありがとうございます♪
小春
~穂積《身体は小野瀬》vision~
翼
「小野瀬さん、お身体の様子はいかがですか……?」
個室の扉を開けて、そっと覗き込むように入って来たのは、櫻井。
遠慮がちに室内を見渡して、提げてきた小さな紙袋をさりげなく後ろ手に隠したのを、俺は見逃さない。
穂積
「ありがとう、順調だよ」
小野瀬って、こんな感じの喋り方でよかったっけ?
穂積
「…お見舞い、持ってきてくれたの?」
櫻井の手元をちらりと見遣ると、櫻井は頬を染めて、手にした袋をおずおずと俺に差し出した。
穂積
「催促したみたいでごめんね」
翼
「いえ、あの……小野瀬さんの病室には、きっとたくさんのお花やお見舞いの品物が届いてると思いまして……」
櫻井の声はだんだん小さくなってくる。
翼
「邪魔にならない小さいブーケとか、お菓子とか考えたんですけど……」
ようやく手元に届いた紙袋を受け取り、俺は、逸る気持ちを抑えて、袋の口を開いてみた。
穂積
「?」
よく分からない。
手を入れて、触れたものを取り出してみると。
翼
「あの……編みぐるみなん、です、けど……」
それは、掌におさまるほどの、小さな小さな白いクマ。
顔を上げて見ると、櫻井は真っ赤になって俯いている。
俺はその小さな肩を抱き締めたくなる衝動に駆られながらも、代わりにクマを握り締めた。
穂積
「ありがとう、嬉しい」
櫻井が、ぱあっと笑顔になった。
翼
「良かった!喜んでもらえて」
穂積
「お前の手作りだろ。嬉しいに決まってる」
櫻井は一瞬意外そうな表情をしたが、たちまち嬉しそうな笑顔に戻った。
翼
「本当に、良かった!小野瀬さんや室長には、子供っぽ過ぎるって言われるかと思って、心配だったんですけど……」
あ。
……そうか、これ、小野瀬のために作ったんだよな……。
膨らんだ気持ちが、一気に萎んだ。
翼
「それ、明智さんに作り方を教わったんです。お礼を言わなきゃ、ですね」
はしゃぐ櫻井の様子を目にし、明智の名前を聞いて、さらに失望が加速する。
穂積
「……じゃあ、その時には、俺が喜んでた事も伝えてね」
俺はどうにか笑顔を浮かべた。
翼
「はい!」
櫻井が、元気に頷く。
穂積
「……少し、疲れたな」
起こしていた背中を壁に預けると、櫻井の顔色が変わった。
翼
「あ、すみません、大騒ぎして。私、もうこれで失礼します」
穂積
「見送りしないけど、ごめんね」
とんでもないですお大事に、と言いながら、櫻井は平身低頭して病室を出ていった。
扉が閉まったのを見届けて、俺は、手にしたままだった編みぐるみのクマを見つめ、大切に胸に抱いた。
目を閉じると、涙が出そうになる。
俺はしばらくの間、小野瀬である事を忘れて、櫻井のくれたクマを抱き締めていた。
~扉の外~
小野瀬の病室を出た翼は、また、首筋がチリリとする、例の違和感を感じていた。
何なのか、は、分からない。
けれど、これが小野瀬に会ったせいなら、もう一度確かめてみるべきなのかもしれない。
さっき、小野瀬との会話の最中にも感じた、違和感の原因を。
でも、「疲れた」と言っていたし……。
迷った末に、翼は、もう一度こっそり、病室の扉を開いてみた。
ほんの僅かに、気付かれないように。
そうして中を窺った瞬間、翼は信じられない光景を見た。
小野瀬が、さっき受け取ってくれたばかりの編みぐるみのクマを、胸に抱き締めていた。
翼が思わず赤面してしまうほど、それはそれは愛しそうに。
翼はドキドキする胸を押さえながら、かろうじて音を立てずに扉を閉め、病室を離れた。
何だったんだろう、今の。
(お前の手作りだろ。嬉しいに決まってる)
何だったんだろう、今の。
違和感の原因は分からないまま、翼は逃げるようにして、指定された面会時間の迫る穂積の病室を目指した。
そこには、捜査室のみんなも集まって来ているはずだった。
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06/13(Thu) 21:13
うーん、被った(・ω・;)
清香
穂積の病室の前に着くと、見慣れた男性が反対側から小走りでやってくるのが見えた。
それは。
翼
「まー…、あ、明智さん!」
明智
「櫻井、大丈夫だったか?」
慌てて駆け寄ってきた明智は翼の両肩に手を置きながら、翼の洋服を前から後ろから確認した。
翼
「明智さ…ん?」
突然の行動に、さすがの翼も驚きを隠せない。
明智
「小野瀬の病室にお見舞いに行っていたんだろう?何もされなかったか?」
いつもの事とは言え、この心配っぷりに苦笑いが漏れる。
翼
「大丈夫だよ。編みぐるみを渡して来ただけだから。小野瀬さん、すごく喜んでくれたの。『明智君にも伝えて』だって。」
明智の心配を拭おうと、そっと指先を絡める。
翼
「だから、そんなに心配しないで?」
明智
「…そうだな、すまない。病室が個室だし、あの人はそこまで重傷じゃないから、つい。」
翼
「もう、まーくんったら。」
本当は、小野瀬さんの姿に感じた異変を伝えたかった。
自分一人では見つけられない何かを、明智となら見つけられるかもしれないと、心の何処かで思っていたから。
でも。
さっきの小野瀬さんの姿をどうしても思い浮かべてしまう。
いつものような綺麗な笑顔で受け取る姿くらいしか作っている間は考えていなかった。
それなのに。
あんなに大事そうに編みぐるみを抱いてくれるなんて、全く想像が出来なかった。
まるで愛おしい我が子を抱くような姿に、自分まで抱きしめられているような錯覚さえ覚える。
明智
「どうした?」
翼
「えっ?」
明智
「ボーッとして。疲れたか?」
翼
「…いえ、なんでもないです。さぁ、室長の所に行きましょう?」
再び湧き上がりそうな胸の高鳴りと、首の後ろのチリリとした違和感を押し隠すように、室長の病室のドアをノックしたのだった。
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06/13(Thu) 23:30
じわじわと黒小野瀬が…
とも
~小野瀬《体は穂積》vision~
コンコン。
お見舞いに来てくれた捜査室メンバーと談笑(不本意だけど穂積のオカマ口調を真似て)していると、扉がノックされた。今ここにいないメンバーで、来てくれそうなのは……
小野瀬
「どうぞ」
ゆっくりと開けられた扉の向こうには櫻井さんと明智くんがいた。
小野瀬
「あら、二人もお見舞いに来てくれたの?悪いわね」
明智
「室長も、顔色が少し良くなっているみたいでよかった」
小野瀬
「ええ。だいぶ痛みもとれてきたから、もう大丈夫よ」
櫻井
「それを聞いて安心しました。あ、これはささやかですがお見舞いです」
彼女はそういって小さな紙袋を差し出してきた。
小野瀬
「中身は何かしら?…あら、編みぐるみね。とても可愛らしいわ。ありがとう」
穂積がするようにニッコリ笑ってみせると、櫻井さんの顔はみるみる赤くなっていく。
小野瀬
「キミだと思って大事にするからね?」
彼女にしか聞こえない位の低い小さな声で囁くと、赤い顔は一気に暗い影を落とした。
おっと、櫻井さんは勘が鋭いからね。いつものクセが出そうになるのをあわてて抑える。
小野瀬
「さぁ、せっかく来てくれたんだけど、そろそろ面会時間は終わりよ。まだまだ皆には迷惑を掛けるけどよろしくね」
全員
「じゃあ、これで失礼します」
ふぅ。オカマのフリも楽じゃないな。
穂積はよくやってるよ。元凶は俺なんだだけど。
しかし、さっきので櫻井さんには気づかれちゃったかな?
表情から察すると、俺(正確には俺の姿をした穂積)のところに行った時も同じような事があったように見えるね。
何かはわからない違和感、てとこかな。
まだ穂積の体になってやりたいことを全くできてないからね。
もう少しだけ、このままでいさせてね。
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06/14(Fri) 07:27
おはようございます。
小春
昨日はともさん、清香さん、エミさん、ありがとうございました。皆様、本日も飛び入り歓迎。よろしくお願いします。
さあ、それぞれの作家たちの思惑が蠢き始めるリレー3日目。
寝落ちはありませんか?
被りも恐れず発進です!
~面会時間終了後~
~小野瀬《身体は穂積》vision~
静かさを取り戻した院内にノックの音がして、俺(小野瀬=身体は穂積)の病室に穂積(=身体は俺)が入って来た。
穂積
「よう」
近付いてくる穂積は、何となく元気が無い。
それでも、パイプ椅子を引いてベッドの傍らに座ると、真面目な顔になった。
穂積
「明智が来ただろ?仕事はどうだって?」
小野瀬
「今のところ、支障は無いそうだよ。研修合宿の為に、継続業務は処理してあったし。新規の捜査については、室長不在という事で、主権限を持たない、他の課の補助的な業務に当たっているらしいからね」
穂積
「それでいい」
頷く穂積には、聞く前から答えが分かっていたようだった。
穂積
「お前の……この身体の容態な。打撲と掠り傷だけで済んだようだ。明日にも退院していいってさ」
小野瀬
「ありがたいね。穂積が全身打撲を引き受けて、あちこち骨折してくれたおかげだよ」
俺はわざとふざけて笑ったが、穂積は微かに口元を緩めただけだった。
穂積
「……だが、鑑識は激務だからな。本人の体調が戻るまでという事で、数日の猶予をもらった」
その様子を見て、俺は、穂積の懸念を察した。
ひとつは、俺の(もとい、俺の身体の)体調だろう。
穂積のことだ、口には出さないが、せっかくの機会だから、一日でも長く休ませてやろうと思ってくれているに違いない。
もうひとつは、入れ替わっている事での仕事への影響だ。
今日一日、俺は、穂積の病室に来た大勢の見舞い客に穂積として応対したが、じつに半数以上が全く知らない相手だった。
幸い、病院側から重傷患者として扱われている為に、面会時間はごく短く設定されている。
しかも頭を打って包帯を巻いているので、相手が気を遣って、簡単な受け答えだけで帰って行った。
そのおかげでボロを出さずに済んだようなものだ。
穂積のアドバイス以降は、思い出そうとするのを諦めて、「頭を打ってしまって」「考え事をすると頭痛がしてしまうんです」を連発していた。
これは穂積も心配していた部分だったのだが、いくら頑張っても、穂積の持っている記憶を引き出す事は、俺には不可能だった。
という事は、穂積にも、俺の身体と知識を使って、専門職である鑑識の仕事をこなす事は出来ないという事になる。
穂積が復帰を渋るのはこの為だった。
だが、治ってしまえば退院しなければならない。
おそらく、もう、それほど猶予は無いはずだった。
残る問題は、退院によって、俺と穂積が離れるという事だろう。
入れ替わっている穂積と俺にとって、最も不便なのは、人格の違いだから。
それを裏付けるように、ベッドの周りを見渡していた穂積が、見舞いの品々の中から、櫻井さんのくれた小さな紙袋を抜き出した。
穂積
「……」
穂積は中からクリーム色のクマを取り出してしばらく見つめていたが、やがて、紙袋に戻して、俺の枕元に置いた。
小野瀬
「?」
穂積
「俺ならここに置く」
櫻井は毎日来るから。穂積はそう言った。
穂積
「お前はどの見舞いの品も同じように扱う。なら、俺はそうする。それでいいな」
穂積の真意を、俺がどこまで理解できたかは分からない。
けれど、穂積が、俺として行動しようとしている事は明白だった。
穂積が「小野瀬」として受け取った櫻井さんからのクマは、他の見舞いの品々の中に埋もれてゆくだろう。
俺と穂積が入れ替わっている事を気付かせないようにするために。
穂積自身が、彼女への想いを隠し通そうとするように。
穂積は、俺になってもやっぱりバカで。
俺はやっぱり、そんな穂積が愛おしい。
06/14(Fri) 08:55
ワクワク♪
くちびる
2トップの入れ替わり…ワクワクしながら読ませてもらってます。完全に出遅れてしまい、読みに専念させて頂いてます。これからの展開はどうなるのか!?
[削除]
06/14(Fri) 09:00
とも
~翌日~
穂積(身体は小野瀬)はたくさんの女性職員たちに見送られながら退院していった。
帰る間際に小野瀬(身体は穂積)の元へ立ち寄る。
穂積
「じゃあ俺は一旦お前の家に戻る。何か対応できないことが出てきたら携帯鳴らせよ」
小野瀬
「わかった。俺の家に行くのはいいが、散らかすなよ」
時間がないのでここまで。
[削除]
06/14(Fri) 09:16
くちびるさんいらっしゃーい♪
小春
ようこそお越しくださいました。ヽ(・∀・)ノ
しかし、ワクワクしながら読んでる場合じゃありません。
参加して下さい。
これからどうなるか?
私が聞きたい。(←オイ)
ともさんも、お忙しい中ありがとうございます(´ 3`)ちゅー
[削除]
06/14(Fri) 11:15
~入院5日目~
小春
~小野瀬《身体は穂積》vision~
藤守
「明日から、小野瀬さん出勤するらしいすよ」
毎日の歩行リハビリ、本日付き合ってくれたのは藤守くんだ。
骨折の治療直後から始まったリハビリは、一日に数回、個室のある廊下を体調に合わせて往復するだけ。
……なのに、これが結構きつい。
診察と投薬治療は続いているので、痛みはかなり抑えられているはずなのだが。
左腕と左手の甲を骨折しているので、松葉杖は右側だけ。
しかもそちら側の肋骨が折れてる。
一歩踏み出すたびに激痛が走る。汗だくの自分の姿に、泣きたくなってくる。
しかも、外見は穂積だから、どんなに痛くても苦しくても、涼しい顔をしてなきゃならない。
終業後に付き合ってくれている藤守くんには悪いが、……なんて面倒臭いんだ。
そんな風に俺が腐りそうになっていた時だっただけに、この「小野瀬さんが職場に復帰」という言葉は、劇的に効いた。
退院した穂積(身体は俺)は、丸々2日間自宅療養していた事になる。
その間、穂積が俺の自宅で何をしていたか。
俺には、穂積の行動が手に取るように分かった。
穂積は、警察官として、刑事としてなら、名実ともに全国でもトップクラスだ。
だが、鑑識官としての教育は全く受けていない。
しかも、毎日の仕事での接点はあるが、鑑識を訪れる刑事たちの中でも、穂積は鑑識のテリトリーに口を出さない事で知られている。
その穂積が、鑑識に個人ラボを構え、部下を抱える「俺」にならなければならないのだ。
出勤までの限られた時間、穂積はおそらく一睡もせず、鑑識官としての知識を基本から頭に叩き込んでいたに違いない。
俺の頭脳に入っている知識を使えない、そのジレンマとも戦いながら。
俺が今、歯を食い縛って「涼しい顔の穂積」を演じているように、穂積は明日から、「笑顔の小野瀬」を演じなければならないのだ。
それを思うと、リハビリに対する不満は雲散霧消してしまった。
[削除]
06/14(Fri) 11:30
うぅっ。
清香
室長を幸せにしたいけど、明智さんと付き合ってるのよね……。胸が痛いわ……(つД`)
穂積が「小野瀬葵」として退院して行ってから、俺は病室のベッドの上で考えた。
穂積として数日を過ごしてみて、長い付き合いをしていたのに知らなかった事がこんなにもあったのかと、驚いた。
何となく感じてはいたが、穂積はとにかく人望がある。普段は傍若無人な奴だが、礼節だけは忘れない男だという事を今回改めて実感させられた。
現実、俺の部屋は花束だらけらしいが、この部屋はコーヒー・ミネラルウォーター・新聞・エロ本も含めた雑誌・ゲームにタブレット端末まである。皆が皆、穂積の事を考えて用意してくれたのだろうと思うと、少しだけ申し訳ない気持ちになる。
それでも、『穂積泪』と言う男の新たな一面を垣間見る事ができた嬉しさも同じように湧き上がってくる。
本来ならもっと現実に向き合ってどうしたら元の身体に戻れるのかとか、数日後には鑑識で『小野瀬葵』として仕事をする穂積の事を考えなくていけないのに。
病室の窓ガラスに映る顔が『穂積』だからだろうか。
アイツの事ばかり、考えてしまう。
そんな物思いに耽っていると、病室のドアがノックされた。
途中だけど仕事だー(ノ;・ω・)ノ誰が来るのかはお任せしまーす(丸投げ)メモに下書きしてたら、店長のまーくんに見られたわ∑(゚Д゚)まぁ、いいや。裏じゃないし。
06/14(Fri) 20:01
繋がるかな。
清香
病室に入ってきたのは、俺の姿をした穂積だった。
予想していた通り、目の下にはクマを作っていて寝不足なのは明らかだ。足取りも幾分フラフラとしている。
それにしても、こう客観的に自分の姿を見るとなかなか物悲しいものがあるな。ましてや徹夜明け。
『今まで以上に身綺麗にしなくてはいけないな』と、さしずめ自分の振り見て我が振り直せと言った所だろうか。
小野瀬
「明日から復帰だって?」
穂積
「あぁ。」
パイプ椅子に腰を下ろした穂積にさっき藤守君から聞いた話を切り出す。
小野瀬
「大丈夫そう?」
穂積
「分からん。とりあえず一通りの下調べはした。あとは正直やってみるしかない…ってとこだな。」
何とも不安要素たっぷりな発言に、さすがに心配になる。
粗暴で粗野だけれど決して不器用ではないから少しは望みは持っていたのだが、いかんせん時間と情報が少なすぎる。
これでは細野と太田にバレるのも時間の問題だろう。
…本当は使いたくなかったんだけどな。
小野瀬
「なぁ、穂積、本棚見た?」
目頭を抑える穂積に聞くと、目を閉じたまま穂積は首を横に振る。
穂積
「いや、鑑識に必要な資料は読ませてもらったが、 それ以外は触っていないぞ。」
予想通りの答えに少しだけ安堵した。
小野瀬
「まぁ、お前ならそう言うと思ったよ。戻ったら本棚の一番下にある黒い背表紙の業務日誌を見てみろ。今までやった仕事の事が書いてあるから。」
穂積
「本当か?」
穂積がバッと顔を上げる。
小野瀬
「最近はやった事と個人的な事ばかりだけど、昔は分析をしていて行き詰まった事や解決策も書いていたから、役に立つかも。」
なんだか学生時代の卒業文集を見せるくらいの恥ずかしさを感じる。
それでも、穂積の表情がパァっと明るくなったのが見れると、恥ずかしさは何処かへと飛んで行ってしまった。
穂積
「ありがとう。」
小野瀬
「いいえ、どういたしまして。明日からよろしくお願いします。『小野瀬葵さん』」
穂積
「あぁ。お前もリハビリ頑張れよ。『穂積泪さん』」
お互い自分の顔に対して名前を呼び合うなんて、本当に不思議な感じではあるが、なんとなく穂積が俺に馴染んでいるんじゃないかと思えてきた。
握手をしていると看護師が面会終了の声をかけてきた。
なんとなく名残惜しいけど、あの怖い看護師長がバックに着いている以上、引き留めるわけにはいかない。
手を振って穂積を見送ると、俺はリハビリの疲れもあり、慣れ始めた病室のベッドへと沈み込んだのだった。
[削除]
06/15(Sat) 07:12
おはようございます。
小春
昨日はくちびるさん、ともさん、清香さん、ありがとうございました。
寝落ちしましたごめんなさいm(__)m。
リレーも4日目。
ツートップは仕事が出来る人達なので、職場に戻すには色々と面倒ですみません。
徐々にペースアップしますので、のんびりお待ちください。
そして、本日も飛び入り歓迎。
作家様、読者様、皆様よろしくお願いしまーす。
今朝のは今書いてます、少々お待ち下さいませ。(誰か待っててくれますように:(笑))
[削除]
06/15(Sat) 08:45
~警視庁~
小春
~穂積《身体は小野瀬》vision~
早朝4時。
小野瀬葵として小野瀬の家から出勤した俺は、真っ直ぐにラボに向かった。
警視庁は不夜城だが、それでも極力人の出入りの少ない時間を選んだのは、小野瀬の復帰を歓迎する誰かに見つかって、足を止めたくないからだ。
小野瀬の人気の凄まじさは、数日間の入院で身を以て体験した。
一人に呼び止められれば、あっという間に黒山の人だかりになってしまうだろう。
小野瀬を心配してくれるファンたちには申し訳無いが、今の俺は一分一秒が惜しい。
「小野瀬」が今朝から出勤する事は、身内しか知らない。
鑑識の小野瀬ラボでそれを知っているのは、二人だけ。
会いたいのはその二人だけだ。
穂積(身体は小野瀬)
「おはよう」
俺が首尾よく誰にも止められずにラボに辿り着くと、扉の向こうで二人が待ち構えていて、それぞれ、俺の腰と足とに縋りついてきた。
細野
「御大!」
太田
「御大!」
ガリガリとタプタプの二人に押し倒されそうになりながら、俺はラボの奥を覗いた。
奥は薄暗く、こいつらの他には誰もいない。
昨夜、電話で頼んでおいた約束が守られている事に安堵しながら、俺は、改めて細野と太田を見下ろした。
穂積
「二人とも、心配かけたね。すまなかった」
細野・太田
「自分たちこそ、お見舞いに伺えなくてすみませんでしたぁっ」
穂積
「俺がいなくて忙しかったんだから当たり前だよ。そんな事はどうでもいい。それより」
それから二人の肩を抱くようにしてしゃがみこむと、二人は自然と頭を寄せてきた。
小野瀬
「二人に頼みがある」
俺は、単刀直入に切り出した。
太田
「お電話でもそう言ってましたね。何すか?」
フトシは俺(小野瀬)の姿を見ただけで、すでに涙ぐんでいた。
頼みを言う前から、引き受けてくれる覚悟なのがよく分かる。
細野
「何でもしますよ」
ガリガリくんも真剣な表情。
さすが、小野瀬はいい部下を持ってるな。
実は昨日まで、俺は、こいつらだけには入れ替わりの事を正直に打ち明けて、力になってもらおうかと考えていた。
俺の能力が足りないせいで鑑識の仕事が滞り、小野瀬やこいつらの評価が下がる事は耐え難いと思ったからだ。
丸二日かけて小野瀬の家にあった鑑識関係の書物を読破し、鑑識の基礎となる知識は頭に詰め込んだ。
だが、鑑識官には「知識」だけではなく、「感性」や「経験」が必要だ。
それが本物の小野瀬にはあり、俺には無い。
昨日、仕事に復帰する事を報告に行った時、俺が不安を口にすると、小野瀬は、個人的な業務日誌の存在を教えてくれた。
自分が駆け出しの頃から毎日続けてきたもので、分析をしていて行き詰まった事や解決策、鑑識現場での実体験が書き込まれているという。つまり日記だ。
まさに俺が欲しかったもの。
昨夜の話だから、まだ最初の年の日記に目を通しただけだが、この手の記録を理解し記憶するのは得意だ。
しかし、仕事の内容が主だとはいえ、日記を他人に読ませるのは恥ずかしいものだろうと思う。
それをあえて俺に読ませてくれた小野瀬の為にも、俺は小野瀬としての務めを全うしなければ申し訳無い。
その為には、どうしても、この二人の協力が不可欠なのだ。
穂積
「……実は、崖から落ちたせいで、記憶に障害が出てるんだ」
細野・太田
「えっ」
二人とも、すまん。これは嘘ではないが、真実ではない。
穂積
「一時的な物だとは思うんだけど、仕事に支障をきたす可能性が高い。だから……」
言い終わる前に、二人が、無精髭の浮いた顔をぐっと近付けてきた。
細野
「水臭いですよ、御大!」
太田
「いつも助けて頂いているのは自分たちの方です。御大のお役に立てるなら、喜んで三徹でも五徹でもしますよ!」
細野
「仕事の事は僕たちに任せて下さい。御大には、まず全快して頂く事を考えていただかないと」
穂積
「……ありがとう」
目頭が熱くなった。
穂積
「お前たちがいてくれて、良かった。本当に、頼りにしている」
細野・太田
「御大!」
わあっと泣き出した二人が飛びついてきて、しゃがんだ体勢だった俺は、不意をつかれてひっくり返った。
小野瀬、足腰弱いぞ!
細野
「御大!僕、僕、嬉しいです」
穂積
「えっ?」
細野
「御大、今、『お前たち』って言ってくれました」
太田
「普段、『きみたち』なのに。御大が『お前』って呼ぶの、穂積さんにだけだと思ってたのに」
えっ。
わんわん泣く二人をなだめながら、俺は頭が冷えていくのを感じていた。
(普段、『きみたち』なのに。御大が『お前』って呼ぶの、穂積さんにだけだと思ってたのに)
知っていた。
気を付けていた。
だが、確かに最近、俺は、誰かに『お前』と言った気がする。
それが誰だったかを思い出して、俺は血の気が引いた。
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