『アメリカ外伝』
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05/18(Sat) 19:50
アフター5~柔道場~
清香
ロバート
『マーサ!すごい!本当にすごい!!カッコいいわぁ!!』
明智
『そ、そうか?普通だと思うんだが。』
道着を直しながら明智が傍らでタオルを手にして待っているロバートの元へと戻る。
待ち構えるロバートの手前でくるりと向きを変え、道場に深々と頭を下げる明智の姿に、ロバートの瞳からハートがいくつも零れ落ちた。
明智
『ありがとう、ロバート。』
ロバート
『いえ、どういたしまして。』
スポーツドリンクを差し出され、ゴクゴクと美味しそうに飲む明智の姿を見ながらロバートは甲斐甲斐しくタオルを渡したりしていた。
その二人の姿を如月と藤守が道場の床でノビたまま、見つめる。
逮捕術を教えてくれたロバートにお礼とばかりに明智が見せたのは、己の柔道の腕前だった。
学生時代には全国大会にまで出たほどの実力を持つ明智だが、如月とて柔道で大学進学を決めたほどの実力者だ。
そう簡単に負けはしないと思っていたのだが。
ロバート
『マーサ、そこよ!』
『マーサ、頑張って!!』
応援の力か、はたまた愛の成せる技か。
いつも以上の力を発揮した明智は次々と如月と藤守に大技を決めて見せたのだ。
藤守
「あ、明智さんってこんな強かったんか…。」
如月
「も…、無理…。」
バタンっと倒れると同時に、『ぐぅーー!」という音が道場に響き渡った。
ロバートが顔を真っ赤にして俯いている。
明智
『ははっ、さすがに腹が減ったな。夕飯、一緒に食べよう。』
ロバート
『えっ、いいの?』
明智
『もちろんだ。日本では「腹が減っては戦は出来ぬ」という言葉があるくらいだからな。元気になれるものをたくさん食べるといい。』
ロバート
『うん!たくさん食べるわ!』
明智
『それは頼もしいな。とりあえず汗を流そう。ロバート、こっちへ来い。』
ニコリと笑いながらシャワー室へ向かう明智をタオルを胸に抱えたロバートが追いかける。
藤守
「なぁ、如月…」
如月
「なんですか、藤守さん…。」
藤守
「俺らも…シャワー行くか?」
如月
「藤守さん…。10分待ちましょう。はち合わせしたらお互いに困るでしょ。」
藤守
「せやなぁ…。」
二人
「「ハァ……。」」
寝転がった二人のため息は、夜風にかき消されたのだった…。
05/18(Sat) 22:34
そういえば
とも
~少し前の捜査室~
ポール
『リョウはホントにスゴイわね~。このデータ、全部リョウが分析を任されてるんデショ?』
彼はナナコの前でカタカタとデータを打ち込んでいる小笠原に寄り添ってウットリしている。
小笠原
『別に。他の連中に任せても、結局俺のところにまわってくるからやってるだけ。そんなことはどうでもいいから、少し離れてくれない?目障りなんだけど』
ポール
『もう、イジワルするリョウもカワイイ♪』
小笠原
「…室長、見てないでどうにかしてよ」
穂積
「あら、二人があまりに楽しそうだからお邪魔かと思って。つーか敬語!」
ポール
『邪魔じゃないわ~。ルイも一緒だともっと楽しいと思うんだけど♪ねぇ、アオイも』
小野瀬
『あー、俺達はここでいいよ。小笠原くん、ポールに付いてもっと色々教わっときなさい』
その時穂積の携帯が鳴った。
穂積
「はい、穂積。…ん?ジョーか、……わかった、すぐにそっちに向かう。小野瀬、ジョーから呼び出しだ。一緒に来てくれ」
小野瀬
「ジョーからってことは、櫻井さんも一緒だよね。わかった、行くよ」
ポール
『ルイ、アオイ、リョウのことはワタシに任せてね!』
ポールが翼がいつもやるクセを真似て拳をギュッとした。
穂積
『おいポール、櫻井のマネなんかすんな!それをやってカワイイのはアイツだけだ!』
小野瀬
「穂積、最後の方は心の声が口に出てたよ」
穂積
「……うるせー。行くぞ。小笠原、それが終わったら帰っていいから」
小笠原
「えっ、ちょっと室長!置いてかないで!」
ちょいと今回出番が少ない小笠原クンを出してみました☆
[削除]
05/19(Sun) 04:38
おはようございます。
小春
昨日はくちびるさん、清香さん、ともさん、執筆ありがとうございました。
私は安定の寝落ちです(-_-)。
さあ、研修も軌道に乗ったという事でトントン行きたいと思います。
一気にエンディングに向かいますからね、思い残すことの無いよう「ぶっ込み」お願いします。
帰国のタイムリミットまで、アフター5中心で突っ走りますよ!(←すぐ寄り道したがる自分に言い聞かせている)
穂積と翼、ロバートと明智、ポールと小笠原の恋の行方は?
今日も仕事中にがんばるぞ!(働け)
皆様よろしくお願いします!
[削除]
05/19(Sun) 07:00
~捜査室~
小春
ニューヨークから来た3人の研修も、とうとう最終日。
今日の研修が終われば、明日の飛行機で、ジョーたちは帰国してしまうのだ。
ロバートとポールも、そして捜査室のメンバーも小野瀬も、研修が終わりに近づくにつれて、何となく口数が減っている。
後半の研修ではすっかり打ち解け、アフター5ではロバートと明智、藤守、如月との間で、逮捕術と射撃の訓練が日課となっていた。
一方のポールも、小野瀬や小笠原と研修を重ねるうちに、実は鉄道オタクで、しかも薄毛に悩んでいる事が発覚し、藤守、如月と秘かに固い握手を交わしていたものだ。
必然的にジョーは翼と穂積が受け持つ事になり、翼は初めて行くような部署や仕事場に同行し、ほとんど翼の研修のような毎日を送っていた。
それも、残すところ今日一日。
朝、翼が出勤すると、全員の机の上に、可愛らしいフラワーバスケットが置かれていた。
[削除]
05/19(Sun) 08:55
同じく安定の寝落ち。
清香
今日もよろしくお願いします。
翼
「これは…?」
穂積
「ワタシが出勤してきた時にはもう置いてあったのよ。」
立ち上がり翼に近づくと、翼に手の上に穂積がフラワーバスケットを乗せる。
いつも捜査室に一番早く出勤する穂積より早く置きに来れる人なんているのだろうか。
翼
「もしかして小野瀬さ…。」
小野瀬
「違うよ。」
声を被らせるようにドアを開いて小野瀬が入室してきた。その手にも可愛らしいフラワーバスケットがある。
小野瀬
「俺の机にも今朝置いてあったんだ。」
翼
「じゃあ、誰がこんな可愛いバスケットを置いていったんでしょう?」
穂積
「まぁ、大方アイツだろうけどな。」
心当たりがあるのか、穂積がバスケットを手に目を細める。
翼
「アイツ…って、もしかしてジョーさんですか?」
穂積
「いや、きっと…」
穂積が犯人を当てようとすると、廊下からガヤガヤとにぎやかな話し声が聞こえてきた。
時計を見れば、いつも皆が出勤してくる時間よりも幾分早いのだが。
如月
「おっはよ―ございまーす!」
藤守
「おはよーございまーす。」
明智
「おはようございます。」
小笠原
「…おはよう。朝からうるさいなぁ。」
次々に入室してくるなり、皆デスクに置かれたフラワーバスケットを手に取る。
如月
「これ、どうしたんですか?」
藤守
「むっちゃ可愛いやん。」
明智
「配色もバランスも良いな。」
小笠原
「………。」
一気に賑やかになる捜査室。
穂積
「なんだお前ら、いつもより早いじゃねぇか。」
話を遮られた穂積が花を覗きこんでる男達に声をかけた。
如月・藤守
「「最終日ですからね!!」」
明智
「最後まできちんと研修をしていってもらいたいですから。」
小笠原
「ポール達の研修だけど、俺たちも学ばせてもらってるんだから当然でしょ。」
至極当たり前のように、真っ直ぐ穂積を見る男たちの眼は嘘の欠片もない。
いつの間にか築きあげられていった絆。
皆多くは語らないけれど、それぞれ思う所があるのだろう。
小野瀬
『…だってさ。』
様子を見てた小野瀬が、ドアの外に向かって話しかけた。
翼
「えっ?」
大きく開かれたドアからそろそろと入って来たのは、顔を真っ赤にしたポールとロバートであった。
如月
「もしかして…。」
藤守
「この花って…。」
明智
『二人が作ってくれたのか。ありがとう。』
小笠原
『やっぱりね。すごく良くできてるよ。ビックリした。』
如月・藤守
「「えぇぇぇーー!!」」
ポールとロバートに近寄り、握手をする小笠原と明智。反対に驚きを隠せない如月と藤守は腰を抜かしていた。
小笠原
「なに、そんなに驚いているのさ。イギリスなんかじゃガーデニングは男の仕事だよ?」
藤守
「そうかもしれんけど!みんなアメリカ人やし!!普通女の子がやったんかな~って思うやん!」
明智
「発想が男尊女卑だぞ、藤守。」
如月
「というか、あのクマみたいな手でやったんだ…。」
愕然とする二人を尻目に、明智と小笠原はロバートとポールに礼を言っていた。
その様子をいつの間にか出勤してきたジョーがクスクスと笑いながら見つめている。
ジョー
『本当に楽しいわ、ここ。』
穂積
『そりゃ、どうも。』
「はぁっ」とため息をつく穂積の肩を、ジョーがポンっと叩く。
ジョー
『本当よ、ルイ。みんな真面目で、温かくて、仲間思いで、優しいわ。向上心もある。最高のメンバーだと思ってるんだけど?』
穂積
『……。』
小野瀬
『アメリカは良くも悪くも個人主義だからね。』
ジョー
『そう。チームでやる事はもちろんやるけれど、基本的に自分の時間を大事にするわ。でも、みんなはいつもお互いを気にかけてる。』
小野瀬
『リーダーの指導の賜物かな?』
ニヤリと笑った小野瀬が穂積の横っ腹を突く。
穂積
『うるせぇ!余計なことばっかり言ってないで、とっとと鑑識に帰れ!』
ジョー
『怒りんぼさん。』
小野瀬
『まったくだ。』
「ねー。」と声をそろえて翼にも同意の視線を求めるものの、ぎろりと穂積に睨まれてしまえば逃げるしかない。
翼
「コ、コーヒー淹れてきます!!」
ジョー
『あぁん、行っちゃった。』
小野瀬
「穂積が睨むから、俺達のお姫様が怯えちゃったじゃないか。」
穂積
「うるせぇ!本気で東京湾に沈めっぞ!」
「おお、怖いなぁ。」と言いながらも小野瀬は笑顔だ。ジョーもニコニコ笑うばかり。
穂積
「…ったく、ほら、アンタ達も遊んでないで!最終日はミッチリやるから覚悟しなさい!!!」
捜査室に響き渡る穂積の声に、談笑する声も、愚痴る声もピタリと止まる。
そして皆、姿勢を正す。
「「「「ハイっ!!!」」」」
敬礼で返す男たちの姿は、数日前よりも逞しく輝いて見える気がした…。
[削除]
05/19(Sun) 10:26
小春
~送別会・いつもの居酒屋~
そして、研修の全日程も無事終了。
最後は豪華に有名ホテルのディナーにしようか、という案もあった。
けれど、主賓であるニューヨークの3人が、歓迎会と同じあの場所で、と熱望した(特にロバートとポールが)ので、全員揃って、またいつもの居酒屋へと繰り出したのであった。
05/19(Sun) 10:51
小春
明智
『では、我々の敬愛するロバートとポール、そしてジョーの研修終了を祝して、乾杯』
全員
『乾杯!』
明智の音頭で、全員がグラスを持ち上げた。
歓迎会の時よりも親しくなった反面、今度はどうしても迫る別れの事を考えてしまい、何となくしんみりした乾杯になる。
藤守
『ポール、今度はプライベートで来いや。一緒に電車乗ろうな』
こういう場面に最も弱い藤守が、もう鼻にかかった声でポールの肩を叩く。
ポール
『ありがとう、ケンジ。アナタみたいに、私の趣味を理解してくれた人は初めてよ。アメリカには仲間が少ないの』
小笠原
『アメリカは車社会だから鉄道は少ないからね。ドイツにもフランスにも行って電車に乗ったけど、日本の鉄道が世界一だと思うよ』
物知りでセレブな小笠原は、子どもの頃から親の仕事の都合であちこち連れて行かれており、色々な国の鉄道にも詳しいらしい。
ポール
『その時は、リョウも一緒に乗りましょうね!』
小笠原
『やだよ、電車なんて』
ポール
『うーん、イジワル!』
[削除]
05/19(Sun) 11:06
とも
明智
『ロバート、今回3人が来てくれてとても勉強になったよ。ありがとう』
ロバート
『お礼ならワタシにも言わせて、マーク。アナタの作ってくれたお弁当、すごくおいしかったわ』
明智
『それはよかった。これもよかったら持っていってくれ。』
ロバート
『ピクルスね!うれしい!』
[削除]
05/19(Sun) 11:45
ともさん、ありがとうございます。
小春
如月
『ロバート、梅干し食べられるようになったの?』
ロバート
『これは、特別。愛情が込もっているもの』
梅干しの壺に頬擦りするロバート、それを嬉しそうに見つめる明智、さらにそれを眺めている穂積と小野瀬。
彼ら2人は、今日はあえて宴席の下座に並んでいる。
小野瀬
「みんな、すっかり仲良しになったねえ」
小野瀬の左隣には穂積。そこから時計回りに如月、藤守、上座に並ぶポールとロバート。
向かいの列には明智、小笠原、ジョー、そして末席に翼が座っている。
小野瀬が翼と向かい合う位置にいる格好だ。
その翼は、ずっと、ジョーと楽しそうに話をしている。
考えてみれば、彼女はいつもこの男ばかりの宴席に女性一人でいたわけで。
そこにジョーのように年上の優しい女性がいるというのは、嬉しい出来事に違いなかった。
何も言わないが、隣で緑茶を飲んでいる穂積も、おそらく、小野瀬と同じ事を考えているだろう。
[削除]
05/19(Sun) 12:21
清香
みんな仲良しやねぇ。
あちらこちらで思い出話より、また何をして楽しもうか話をしていた。
そう、これで終わりじゃないんだから。
穂積が上座のロバートや明智たちに呼ばれたのを機に、ジョーが、そっと、翼に身体を寄せた。
ジョー
『ツバサ、今度は私がニューヨークを案内してあげるわ。』
翼
『本当ですか?私、海外は行った事がないから不安だったんです。』
判事の父親は異動も多く、出かけるのは専ら父親の赴任先ばかりだった翼の幼少時代。大人になっても心配性の父親が海外旅行など許すはずもない。
ジョー
『そうなの。じゃあ、任せて。…あぁ、でも私の案内より。』
翼
『?』
チラリと視線を移したジョーの目線の先を追えば、そこにいたのはオイオイ泣く藤守の頭を小突く穂積の姿だ。
ジョー
『ルイの案内のほうがいいわよね。半年もいたんだもの、大丈夫でしょ。新婚旅行でいらっしゃい?』
最後の一文は内緒話のように耳元で。それでも翼の心を跳ねさせるには充分だ。
翼
『ジ、ジョーさん!!』
ジョー
『うふふ、可愛いいわぁ。本当にツバサは可愛くていい子。もう、大好き。』
ぎゅっと抱きしめられた腕は何だか母親を思い出させる。
ジョー
『でも、時には勇気も必要よ。いつまでも可愛いいおチビちゃんじゃ、幸せは手に入らないわ。』
翼
『…ジョーさん。』
ジョー
『一歩進めれば、きっと世界は変わる。それを忘れないで。』
翼
『勇気…出せるでしょうか?』
ジョーの言葉が何を示しているのか分からないほど翼も子どもではない。でも、不安なのは事実だ。
腕の中からそっとジョーを見上げると、青い瞳が柔らかく細まる。
ジョー
『じゃあ、私の勇気を分けてあげましょうか?』
翼
『本当に?お願いします!』
思わず大きくなってしまった翼の声に、皆が振り向く。しかし、翼にはもうジョーしか見えていなかった。
ジョー
『もちろん、喜んで♪』
チュッと音を立てて触れたくちびるに、何人もの男の悲鳴が上がった夜だった。
[削除]
05/19(Sun) 14:23
絶対にジョーはちゅーすると思ってたし>∀<b!
せつな
小野瀬 「やっぱり櫻井さんのこと狙ってたんだね。彼女」
ヒュゥと、小野瀬にしては下品な仕草で穂積をからかう。
穂積 「うるせぇ!!!ずっと警戒してたのに、・・・あの野郎!」
穂積のこめかみからは今にも血が噴出しそうなくらいの青筋が立っていた。
向かいの席にいた明智には恐ろしいほどの怒りのオーラが丸見えだったのだろう、慌てて穂積を牽制する。
明智 「し、室長、押さえてください!ここは公共の場です!!おまえら、手を貸せ!」
如月 「そうですよ!室長~~ここで暴力沙汰は国際的なスキャンダルになっちゃいますよ?!」
小笠原 「野郎じゃないと思うけど」
藤守 「馬鹿!死にたくなきゃ黙っとれや」
ロバート 『何、何?穂積に抱きついてもいいの?それは公認なのね?』
小野瀬 『OK、OK!遠慮なくHOLDしてやって』
穂積 「バカヤロー!!てめぇら、ふざけてんじゃねぇ!小野瀬、覚えてろよ!!!」
翼から、捜査室の面々の騒ぎを背中に隠すようにジョーは柔らかく抱擁を続けた。
ジョー 『ワタシのかわいいbabyちゃん。今のキスはあなたとルイに魔法をかけたわ。素敵な夜をあなたたちにプレゼントできたらいいのだけど』
翼 『ジョーさん、私・・・捜査室ではいつも女一人だったので、とても嬉しいです。こんな幸せな宴会になっただけでも、私にとっては素敵な夜です』
ジョー 『OH!なんていい子なの、翼。また・・・一緒に女子会しましょう?きっとよ。今度はNYで・・・ね?』
今度は約束のキス・・・そう言って、ジョーは再び翼に口付ける。両手を重ねるように手を取り合って。
金髪碧眼モデル並みの美しい女性に、別の魔法をかけられたような表情でうっとりと目を閉じる翼。
穂積 「櫻井!!!抵抗しろ!!このアホの・・・モガモガ」
捜査室の皆に押さえつけられ、罵声もロクに出せない穂積に対して、小野瀬がいたずらを楽しむような目をしてつぶやいた。
小野瀬 「あははは、きっと櫻井さんはアルコールも入ってるし、ジョーがだれかさんに容姿がよく似てる美女なせいで警戒心はゼロだね。おもしろいから黙っておこう」
小笠原 「聞こえてるけど、おもしろいから黙ってる」
ポール 『小笠原、GOOD JOB!』
ジョー 『お礼は先払いで頂いたわよ。穂積』
翼を胸に抱いたまま、ジョーが派手なウィンクを飛ばし、宴会はお開きとなったのだった。
あ!勝手に宴会を締めちゃったわΣ@@;
まだ、エピあったら、削除おねがいします!
我慢できずに仕事中参加しちゃった パラサイトせつな でした^^;
05/19(Sun) 14:38
せつなさん、ありがとうございます。
小春
ジョーはブルネットの髪に青い目だと書いて来ましたが、酔った翼ちゃんには金髪碧眼モデル並みに見えているのね。
せつなさんの面白いからもうそれでもいいや(笑)
[削除]
05/19(Sun) 14:40
せつなさんキター\(^o^)/
清香
車内~空港まで~
ジョー
『ねぇー。』
穂積
『……。』
ジョー
『ルイってばー。ゴメンって言ってるじゃない、許してよー。』
穂積
『……。だから、許したって言ってるじゃねぇか。』
ジョー
『まだ怒ってるー。もー。』
穂積
『………。』
昨日からこの二人はずっとこんな調子だ。
ジョーが謝り、穂積は許したと口では言うものの、ムッとした空気を隠そうとしない。
翼
「あ、あの…、私は気にしてませんから…。」
翼がジョーを庇おうと口を開くも、穂積の怒りは収まらない。それどころか、怒りの炎に油というかガソリンを注ぐようなものだ。
穂積
「そもそもだ!お前はもっと警戒心を持て!!ジョーは見た目は女でも、中身は小野瀬だと言っただろうが!」
翼
「す、すみません…。」
ジョーにキスされてからというものの、穂積は翼を傍らに置いていた。それは居酒屋だけではなく、帰り道の車内でも、こうして空港に向かう車内でも、だ。
翼
『す、すみません…。』
小野瀬もジョーも危険だからと翼が「乗れ。」と穂積に言われたのは、穂積の車の助手席だ。
ジョーは距離を取れるよう、運転席の真後ろに座らされている。
本来は一番身体の小さい翼が後部座席に座るべきなのに、穂積がそれだけは許さなかった。
「ここに座らないなら、見送りには連れて行かない」とまで言ってのける。
という事で、先ほどからジョーは運転席の後ろから手を伸ばし、穂積の髪を引っ張りながら謝り続けているのだ。
ジョー
『ルイってばー。』
穂積
『しーつーこーいー。』
ジョー
『もー。』
「はぁ…。」と小さくため息をつくと、翼の後ろから明智が飴を差し出してくる。
明智
「櫻井、気にするな。飲み会の席での事だ。事故もあるさ。」
翼
「明智さん…。」
そう。
そんな明智も、怒り狂った穂積を止める拍子になぜだかロバートに抱きつかれ、頬にキスされていたのだ。
穂積
「はぁ?あれのどこが事故だ!どう見たって、故意犯だろうが!お前の目は節穴か!」
ジョー
『だーかーらー、ゴメンってばー。』
徐々に騒がしくなる車内で、小笠原だけは目を瞑って眠っていたのだった。
小笠原
「…ZZz。」
[削除]
05/19(Sun) 14:57
ごめんなさぁい!
穴堀せつな
送信した後で、あれ?ジョーさんの容姿の設定ってどんなだっけ?って思い、今、読み返して穴掘りたくなっちゃった;;
先に読み返せよ!!
小春さん、勝手に捏造してごめんなさい;;
私のトコ削除してもらっても話が通じるので、すっぱり削除してくださいね><
[削除]
05/19(Sun) 14:59
うふふ。
小春
もったいないから消さない(  ̄▽ ̄)
[削除]
05/19(Sun) 15:49
すごい♪
くちびる
話めっちゃ進んでるし…。私もジョーは翼にキスすると思ってましたよ♪ヽ(´▽`)/いよいよ空港でのシーンですね♪またひと波乱あるかな?
05/19(Sun) 16:17
くちびるさん、ありがとうございます。
小春
さあ、ラスト見えてきましたよ。
皆さん、書き残したエピソードはありませんか?
もうじき締め切りますよー♪
[削除]
05/19(Sun) 18:57
みなさんジョーのキスに反応しすぎ(爆笑)
清香
成田空港までの1時間は、それはそれはとてつもなく居心地の悪い時間だった。
穂積から逃げるように小野瀬の車にいち早く乗り込んだ如月と藤守の策は当たりだったのだろう。
穂積の車から降りた明智と小笠原は既に疲れきった顔をしていた。
小笠原
「はぁ、やっと着いた…。」
明智
「だな…。」
翼
「本当にすみません…。」
謝りすぎて小さく消えてしまいそうな翼の肩をジョーがそっと抱く。
ジョー
『いいのよ、ツバサ。ルイが怒りんぼなだけなんだから。』
翼
『ジョーさん!』
穂積
『ジョー!!』
これ以上怒られたら堪らないと翼が逃げようとすると、車のトランクからジョーの荷物を下ろしていた穂積が再び怒りの声を上げる。
ジョー
『チッ、バレた。』
小野瀬
『ジョー、みんなのために櫻井さんにちょっかいを出すのは止めてくれないかな?』
ジョー
『ハイハイ、分かったわ。もうしない。』
両手を挙げて降参のポーズを取るジョーに、暴れそうな穂積を抑えていた藤守や如月も『頼んます。』と言いたげな表情だ。
小野瀬
『ほら、早く搭乗手続きをしておいで。』
ロバート・ポール・ジョー
『ハーイ!』
いつでもどこでも小野瀬は、自分はまるで引率の先生だなと感じてしまう。
これはさそり座A型の宿命なのかな…と千葉の空に呟いた。
ジョー
『オッケー!ギリギリだったけど、出来たわ。後は乗るだけね。』
ロバート
『…そうね。』
ポール
『…うん。』
穂積をニューヨークから見送る時は、行き先はロサンゼルスだった。遠くても、同じ国だと思えたから我慢出来た。しかも送る側だから『頑張れ!』と笑顔で送り出せた。
でも今度は逆だ。
刻一刻と近づく別れに目元が歪んで、一列に並んだ捜査室のメンバーと小野瀬が見えなくなる。
ロバート
『…本当に、本当にありがとう。こんなに幸せな一週間は……、もう、来な、か…も。』
明智
『ロバート…。』
涙をポロポロ流しながら話すロバートの肩を明智が抱き寄せた。
ロバート
『マーサ…!』
明智
『ロバート達の研修なのに、俺の方が本当に色々と学ばせてもらったよ。本当にありがとう。ロバートに教えて貰った事は、ロバートの事は絶対に忘れないっ…!』
ロバート
『わ、た…しも、マーサの事…忘れない、から……!』
ガッチリと背中に回された手が、離れ難い思いを表している。
藤守
『い、や…やなぁ、ロバート。俺…も、おるで?』
如月
『そう、だよ。俺だって…、いるよ!』
ロバート
『ケンジ…、コーヘイも…!みん…な、ありがとうッ!』
終業後、いつも4人で逮捕術や射撃訓練をしていた。
一緒にシャワーを浴び、牛丼屋やらラーメン屋、焼肉屋にだって行った。
正に彼らは同じ釜の飯を食った仲間だったのだ。
明智
『ほら、もう泣くな。』
ロバート
『…うん、マーサ。』
ロバートの涙をハンカチで拭いてやりながら、明智がロバートの頬を撫でる。
明智
『また必ず会えるから。だから、生きろ。』
ロバートの目が大きく見開かれる。
明智
『絶対に死ぬんじゃないぞ。次に会える時までに、必ず美味い糠床をロバートのために用意しておいてやるからな。』
ロバート
『マーサ!!』
治安が悪いからこそ身につけられたロバートの高い能力を、明智は誰よりも理解していたのだ。
再びその地に戻るという事は、またいつ危険な目にあうか分からないという事でもある。
明智
『だから、笑顔で「バイバイ」だ。』
ロバート
『…うん。』
ロバートのラフレシアのような笑顔が咲き誇る。
明智
『あぁ、いい笑顔だ。ロバート、元気でな。』
ロバート
『マーサも、ね。』
ガッチリと固い握手を交わした二人の手に、藤守と如月の手がそっと重ねられた。
藤守
『次は俺がロバートを落としたるからな?』
ロバート
『望むところよ。』
如月
『柔道なら負けないからね。』
ロバート
『死ぬ気で練習してやるわ。だから…』
『『『『バイバイ』』』』
僕らはまた必ず会えるから。
[削除]
05/19(Sun) 20:58
またしても私のターンだ。
清香
笑顔になったロバートを見て、逆にポールは涙を抑えられないでいた。
『素晴らしい技術を持っている』と言われていたロバートだが、それが毎日の練習の賜物でもあったから。
それをいつも傍らから見ていたポールにとって、明智や藤守達の言葉は自分のことのように嬉しいものだったのだ。
ポール
『良かったね、ロバート…。』
グスンっと鼻をすすろうとすると、目の前に鼻セレブのウサギのパッケージが見えた。
ポール
『…えっ?』
小笠原
『鼻はすすらないで、ちゃんとかんだ方がいいよ。』
ポール
『あ、ありがとう、リョウ。』
小笠原に背を向けてブビーンと鼻をかむと、ポールの気持ちも幾分かスッキリする。
小笠原
『落ち着いた?』
ポール
『えぇ、少しは。』
小笠原
『そう。それは良かった。ポールまで泣き続けたら始末におけないよ。』
ポール
『そ、そうよね、迷惑…よね。』
少しは仲良くなれたんじゃないのかな、と思っていた。
同じようにネット犯罪を調べる事が多くて、研修で分からない言葉はほとんど小笠原が訳してくれたり、一緒に捜査室で残業した夜だってあった。
机で寝てしまった小笠原をソファーに運んだ時、眼鏡を外した小笠原の姿が本当に可愛くて、こっそりiPhoneのロック画面にしたくらいだ。
ポール
『ご、ごめん…なさい…』
別に好きだとか、愛してるとか言われたいわけじゃない。
勝手に好意を持っているだけなんだから、我慢しなきゃと思っていても…涙が溢れてしまう。
小笠原
『本当に…、もうバカじゃないの?』
ポール
『…う、うぅっ…』
小野瀬
「小笠原、さすがに…」
それ以上は、と止めようとした小野瀬を、穂積が手で制した。
穂積の瞳はしっかりと小笠原を見据えている。
小笠原
『なんでそんなに泣く必要があるのさ。』
ポール
『…だ、だって、もういつ…会えるか、分からない…から。』
小笠原
『本気でそんな事、思っていたの?この仕事してて。』
ポール
『リョウ…?』
俯いていた顔を上げ、見えた小笠原の瞳はひどく優しかった。
小笠原
『海を越えても、ネットでいくらでも繋がれるじゃない。SkypeだってFaceTimeだって使えば、顔も見られる。』
ポール
『あっ…!!』
小笠原
『一秒で世界のどこへでも行ける時代なんだから、ニューヨークと東京なんて遠くない、じゃない?』
ポール
『ふふっ、そうね。忘れてたわ。』
再び差し出された鼻セレブで涙を拭えば、自然と笑顔になる。
小笠原
『そんな大事な事なのに忘れてたら仕方ないから、たまには俺からメール送るから!ちゃんとに返事してよね!しなかったら文句言いに行くよ!』
ポール
『えっ、ニューヨークまで?来てくれるの?』
小笠原
『だから、ニューヨークなんて遠くないよって言ってるじゃん!人の話、聞いてる?アマゾンの奥地じゃあるまいし、寝てたらあっという間に着くんだから!』
真っ赤な顔で反論する小笠原がおかしいのか、ポールのさっきまでの涙はどこへやら引っ込んでしまった。
そして、くすくすと笑いながら小笠原の頭を撫でる。
ポール
『分かったわよ、リョウ。そんなに怒らないで?』
小笠原
『もう!撫でる暇があるなら、早くアドレス送ってよね!』
ポール
『ハイハイ、今やるから。』
手早くアドレスを送りあうと、小笠原からの指摘は続く。
小笠原
『あと、これからもっとネット犯罪は複雑で巧妙になるんだから、健康に気をつけてよね!ちょっとは痩せるんだよ!』
ポール
『あら、ヒドイ。』
小笠原
『ヒドくない!健康管理も仕事のうちって言葉知らないの?ただでさえニューヨークのステーキは馬鹿でかいんだから、気をつけるんだよ?』
ポール
『えぇ。ルイに教えて貰った日本食レストランに行くわ。』
小笠原
『ダメだから!俺がよく行ってたレストランを紹介するから、そっちに行って!室長だって大飯食らいなんだから、信用出来ない!』
『あとは…』と思いつく限りの指摘を続ける小笠原をポールはニコニコと笑いながら聞いていた。
ジョー
『あれじゃ、ママンを心配する子どもみたい。』
小野瀬
『だね。』
穂積
『あれが小笠原なんだよ、いいじゃねえか。』
鼻息荒く講釈を述べる小笠原を皆で優しく見守っていると、アナウンスが流れる。
「日本航空006便、成田発ニューヨーク行きに搭乗のお客様、搭乗の準備が整いました。8番ターミナルまでお越し下さいませ。繰り返します…」
とうとう、別れの時がきた。
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05/19(Sun) 21:26
もうすぐ終わり…
とも
小野瀬
『ハイ、これからは俺からのプレゼント』
何やら3人に小さなラッピングがされた箱を手渡している。
小野瀬
『ニューヨークに帰ったら開けてね』
ジョー
『中身は何なの?』
小野瀬
『ヒミツだよ。今言ったら見たくなるだろうからね。それより3人が来てくれて俺も楽しかったよ。気をつけて帰ってね』
『『『アオイも元気でね~』』』
今回は熱烈なアプローチがあまりなかった小野瀬だったが、最後にロバートとポールから熱い抱擁とキスを受けた。
ちなみに小野瀬があげた箱の中身にはUSBメモリーが入っていて、ロバートとポールには捜査室メンバーを隠し撮りした写真が、ジョーには警視庁内のカワイイ女の子たちを撮った写真が入っており、3人は毎日眺めてたのだとか。
あとは室長と翼ちゃん、一体どうなる!?
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05/19(Sun) 21:29
ともさん、ありがとうございます。
小春
小野瀬さん、ナーイス(*TーT)b
05/19(Sun) 21:33
私も気になるヽ( ̄▽ ̄)ノ
くちびる
読者目線に戻りました。続きが気になるヽ( ̄▽ ̄)ノ
[削除]
05/19(Sun) 21:37
あら。
小春
くちびるさん、お疲れ様でした。
ご参加頂きありがとうございました!
ではでは、のんびり最後までお付き合いくださいませ。
[削除]
05/19(Sun) 22:50
後半絡めなかった…(涙)
桜夜
書いてる途中で寝落ちし…更新出来ずじまい…残念でした。
読む専になってまーす。
皆さまの更新楽しみにしてます。
私もジョーのキスには食い付きたかった!!
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05/19(Sun) 23:22
ともさん、くちびるさんありがとうございました。
清香
ジョー
『じゃあ…、いい?』
腕を広げながらジョーは穂積を見た。
それはもちろんお許しを請う為だ。
車を降りた時から翼は穂積の隣にいる事を命じられていた。「離れたら連れて帰らないからな。」とまで言われている。
穂積
『…チッ、2分だけだぞ。』
ジョー
『カップヌードルだって3分よ?』
穂積
『固麺のほうが美味いんだよ!』
そう言いながらも穂積は翼の背中を押してジョーの元へと送り出した。
翼
『ジョーさん!!』
大きく広げられたジョーの腕の中に、翼が飛び込む。
ジョー
『ツバサ、本当に、本当にアナタに会えて良かったわ。』
翼
『私もです。ジョーさんに出会えて、研修の付き添いをさせてもらえて、本当に勉強になりました。』
ジョー
『…ツバサ。』
翼
『仕事だけじゃない、楽しい事も、大事な事も、全部ジョーさんが教えてくれた気がします。』
たどたどしい英語でも、一生懸命に伝えようとする姿が、いじらしい。
そんな翼の頬を撫でながら、ジョーがほほ笑む。
ジョー
『ありがとう、ツバサ。初めてあなたを見た時はなんて可愛いお形さんだと思ったわ。可愛くて、飾っておきたいくらいのね。』
言葉の真意を量りながら、翼もジョーの言葉に必死に耳を傾ける。
ジョー
『でも、あなたは変わったわ。もちろんまだまだ知らないことはたくさんある。それでも、今回の研修を重ねるうちに、本当の意味で警察官になれたはずよ。お人形さんじゃない、本物の警察官にね。』
翼
『ジョー、さん…。』
ジョー
『これからもあなたの成長を心から願っているわ。』
翼
『ありがとうございます…!』
大きく優しく、姉のように包み込んでくれたジョーが、未熟だった翼を一回り大きく成長させてくれたのだろう。
ジョーの腕の中でこの一週間の出来事が走馬灯のように回り始めた翼の思考を、ジョーの提案が吹き飛ばす。
ジョー
『じゃあ、最終テストね。…勇気出せるわね?』
翼
『へ?』
ジョー
『もうあなたは一週間前の危うかったツバサじゃないわ。私の勇気も分けてあげたじゃない。いつやるの?』
翼
『い、いや…、それは、ちょっと…。』
ジョー
『今でしょ!!!』
片手で翼の肩を掴み、片手を前に出して決めポーズを作るジョーに圧倒されながらも翼は首を縦に振らない。
藤守
「…なんで某進学塾の現代文講師の真似してんねん!」
如月
「ジョーさん、翼ちゃんに何をさせるつもりなんでしょう?」
明智
「さぁ…?」
良く分からないといった雰囲気の捜査室メンバーとは対照的に、翼の顔は真っ赤だ。
ようするに、穂積に告白をしろ、とジョーは言いたいのだろう。
確かに一歩を踏み出さなくてはいけない、と言われた。
しかし、ここは成田空港!しかも時刻は午前10時40分!
こんな大勢の前で出来るわけがない!!
ジョー
『ツバサ…。女は度胸よ?』
翼
『む、無理…です…。』
ジョー
『私の勇気を昨日あげたじゃない?足りなかった?』
この場で告白できるほどの勇気を貰うならば、何百回キスされなくてはいけないんだろうと思わず計算してしまう。
ブンブンッと首を横に振ってどうにか時間稼ぎをしようかと目論んでいると。
ジョー
『仕方ない。かくなる上は…!!』
腕の中にいた翼の身体をくるりと反転させ、穂積の眼の前に押しやった。
ロバート
『…っ!あれは…、まさか!!!』
ポール
『ダメよ、ジョー!ツバサは知らない年代よ!』
ジョー
『大丈夫!どうにかなるわ!!』
なんだか良く分からないまま穂積の2メートル前で立たされていると、ジョーが背後から耳打ちをしてきた。
ジョー
『いい?最後のチャンスよ。「ずっと好きでした。お付き合いして下さい。」って言って、右手を出しなさい。きっとルイはツバサの手を取ってくれるはずよ!』
翼
『えぇっ!?』
それなんてね●とん?と思いながらも、搭乗時間はもう過ぎてしまっている。
下手したら3人とも飛行機に乗れなくなってしまうではないか。
しかも、翼の眼の前では穂積が「わけ分からん。」と言いたげな表情で、イライラと足を踏みならしている。
成長の証を見せる時なのか、はたまた年貢の納め時なのか。
ジョー
『大丈夫、周りは気にしないで。テレビを装ってカメラ回しておくから!』
気がつけばポールが秋葉原で買ったビデオカメラを嬉しそうに回しているではないか。
翼
『…データは絶対に削除してくださいね。』
ジョー
『…OK。』
ふぅ、と息を吐くと、変な汗と緊張感が身体を支配する。
それでも周りを皆に囲まれ、逃げ場はない。
どうにでもなれ!!
そんな気持ちだけが翼を動かしていた。
翼
「室長、…じゃなくて、穂積さん。」
いつものように室長ではなく、名前で呼び直したことに穂積も違和感と既視感を感じた。
穂積
「…ハイ。」
辺りが緊張に包まれる。
翼
「…ずっと、穂積さんが好きでした。良かったら付き合って下さい!!!」
穂積
「……!!!」
捜査室メンバー
「「「「……………!!!!!!」」」」
サッと出された翼の小さく白い手が遠目から見ても震えているのが分かる。
でも、声を出すわけにいかないと、藤守も如月も、明智や小笠原でさえも口に手を当てて必死で耐えていた。
翼
「……。」
返事が来るまで、こんなにも長いものなのだろうか。本当は編集で繋いでるんじゃないのかと思っていたのだが。
下を向いてるせいで、目に涙が溢れてくる。
やっぱり…、ダメだったのかな。
そう思っていると。
穂積
「……ごめんなさい。」
室長の金色の髪が私の頭以上に深々と下げられているのが見えた。
「「「「ええええええぇぇえええ!!」」」」
アフター5~柔道場~
清香
ロバート
『マーサ!すごい!本当にすごい!!カッコいいわぁ!!』
明智
『そ、そうか?普通だと思うんだが。』
道着を直しながら明智が傍らでタオルを手にして待っているロバートの元へと戻る。
待ち構えるロバートの手前でくるりと向きを変え、道場に深々と頭を下げる明智の姿に、ロバートの瞳からハートがいくつも零れ落ちた。
明智
『ありがとう、ロバート。』
ロバート
『いえ、どういたしまして。』
スポーツドリンクを差し出され、ゴクゴクと美味しそうに飲む明智の姿を見ながらロバートは甲斐甲斐しくタオルを渡したりしていた。
その二人の姿を如月と藤守が道場の床でノビたまま、見つめる。
逮捕術を教えてくれたロバートにお礼とばかりに明智が見せたのは、己の柔道の腕前だった。
学生時代には全国大会にまで出たほどの実力を持つ明智だが、如月とて柔道で大学進学を決めたほどの実力者だ。
そう簡単に負けはしないと思っていたのだが。
ロバート
『マーサ、そこよ!』
『マーサ、頑張って!!』
応援の力か、はたまた愛の成せる技か。
いつも以上の力を発揮した明智は次々と如月と藤守に大技を決めて見せたのだ。
藤守
「あ、明智さんってこんな強かったんか…。」
如月
「も…、無理…。」
バタンっと倒れると同時に、『ぐぅーー!」という音が道場に響き渡った。
ロバートが顔を真っ赤にして俯いている。
明智
『ははっ、さすがに腹が減ったな。夕飯、一緒に食べよう。』
ロバート
『えっ、いいの?』
明智
『もちろんだ。日本では「腹が減っては戦は出来ぬ」という言葉があるくらいだからな。元気になれるものをたくさん食べるといい。』
ロバート
『うん!たくさん食べるわ!』
明智
『それは頼もしいな。とりあえず汗を流そう。ロバート、こっちへ来い。』
ニコリと笑いながらシャワー室へ向かう明智をタオルを胸に抱えたロバートが追いかける。
藤守
「なぁ、如月…」
如月
「なんですか、藤守さん…。」
藤守
「俺らも…シャワー行くか?」
如月
「藤守さん…。10分待ちましょう。はち合わせしたらお互いに困るでしょ。」
藤守
「せやなぁ…。」
二人
「「ハァ……。」」
寝転がった二人のため息は、夜風にかき消されたのだった…。
05/18(Sat) 22:34
そういえば
とも
~少し前の捜査室~
ポール
『リョウはホントにスゴイわね~。このデータ、全部リョウが分析を任されてるんデショ?』
彼はナナコの前でカタカタとデータを打ち込んでいる小笠原に寄り添ってウットリしている。
小笠原
『別に。他の連中に任せても、結局俺のところにまわってくるからやってるだけ。そんなことはどうでもいいから、少し離れてくれない?目障りなんだけど』
ポール
『もう、イジワルするリョウもカワイイ♪』
小笠原
「…室長、見てないでどうにかしてよ」
穂積
「あら、二人があまりに楽しそうだからお邪魔かと思って。つーか敬語!」
ポール
『邪魔じゃないわ~。ルイも一緒だともっと楽しいと思うんだけど♪ねぇ、アオイも』
小野瀬
『あー、俺達はここでいいよ。小笠原くん、ポールに付いてもっと色々教わっときなさい』
その時穂積の携帯が鳴った。
穂積
「はい、穂積。…ん?ジョーか、……わかった、すぐにそっちに向かう。小野瀬、ジョーから呼び出しだ。一緒に来てくれ」
小野瀬
「ジョーからってことは、櫻井さんも一緒だよね。わかった、行くよ」
ポール
『ルイ、アオイ、リョウのことはワタシに任せてね!』
ポールが翼がいつもやるクセを真似て拳をギュッとした。
穂積
『おいポール、櫻井のマネなんかすんな!それをやってカワイイのはアイツだけだ!』
小野瀬
「穂積、最後の方は心の声が口に出てたよ」
穂積
「……うるせー。行くぞ。小笠原、それが終わったら帰っていいから」
小笠原
「えっ、ちょっと室長!置いてかないで!」
ちょいと今回出番が少ない小笠原クンを出してみました☆
[削除]
05/19(Sun) 04:38
おはようございます。
小春
昨日はくちびるさん、清香さん、ともさん、執筆ありがとうございました。
私は安定の寝落ちです(-_-)。
さあ、研修も軌道に乗ったという事でトントン行きたいと思います。
一気にエンディングに向かいますからね、思い残すことの無いよう「ぶっ込み」お願いします。
帰国のタイムリミットまで、アフター5中心で突っ走りますよ!(←すぐ寄り道したがる自分に言い聞かせている)
穂積と翼、ロバートと明智、ポールと小笠原の恋の行方は?
今日も仕事中にがんばるぞ!(働け)
皆様よろしくお願いします!
[削除]
05/19(Sun) 07:00
~捜査室~
小春
ニューヨークから来た3人の研修も、とうとう最終日。
今日の研修が終われば、明日の飛行機で、ジョーたちは帰国してしまうのだ。
ロバートとポールも、そして捜査室のメンバーも小野瀬も、研修が終わりに近づくにつれて、何となく口数が減っている。
後半の研修ではすっかり打ち解け、アフター5ではロバートと明智、藤守、如月との間で、逮捕術と射撃の訓練が日課となっていた。
一方のポールも、小野瀬や小笠原と研修を重ねるうちに、実は鉄道オタクで、しかも薄毛に悩んでいる事が発覚し、藤守、如月と秘かに固い握手を交わしていたものだ。
必然的にジョーは翼と穂積が受け持つ事になり、翼は初めて行くような部署や仕事場に同行し、ほとんど翼の研修のような毎日を送っていた。
それも、残すところ今日一日。
朝、翼が出勤すると、全員の机の上に、可愛らしいフラワーバスケットが置かれていた。
[削除]
05/19(Sun) 08:55
同じく安定の寝落ち。
清香
今日もよろしくお願いします。
翼
「これは…?」
穂積
「ワタシが出勤してきた時にはもう置いてあったのよ。」
立ち上がり翼に近づくと、翼に手の上に穂積がフラワーバスケットを乗せる。
いつも捜査室に一番早く出勤する穂積より早く置きに来れる人なんているのだろうか。
翼
「もしかして小野瀬さ…。」
小野瀬
「違うよ。」
声を被らせるようにドアを開いて小野瀬が入室してきた。その手にも可愛らしいフラワーバスケットがある。
小野瀬
「俺の机にも今朝置いてあったんだ。」
翼
「じゃあ、誰がこんな可愛いバスケットを置いていったんでしょう?」
穂積
「まぁ、大方アイツだろうけどな。」
心当たりがあるのか、穂積がバスケットを手に目を細める。
翼
「アイツ…って、もしかしてジョーさんですか?」
穂積
「いや、きっと…」
穂積が犯人を当てようとすると、廊下からガヤガヤとにぎやかな話し声が聞こえてきた。
時計を見れば、いつも皆が出勤してくる時間よりも幾分早いのだが。
如月
「おっはよ―ございまーす!」
藤守
「おはよーございまーす。」
明智
「おはようございます。」
小笠原
「…おはよう。朝からうるさいなぁ。」
次々に入室してくるなり、皆デスクに置かれたフラワーバスケットを手に取る。
如月
「これ、どうしたんですか?」
藤守
「むっちゃ可愛いやん。」
明智
「配色もバランスも良いな。」
小笠原
「………。」
一気に賑やかになる捜査室。
穂積
「なんだお前ら、いつもより早いじゃねぇか。」
話を遮られた穂積が花を覗きこんでる男達に声をかけた。
如月・藤守
「「最終日ですからね!!」」
明智
「最後まできちんと研修をしていってもらいたいですから。」
小笠原
「ポール達の研修だけど、俺たちも学ばせてもらってるんだから当然でしょ。」
至極当たり前のように、真っ直ぐ穂積を見る男たちの眼は嘘の欠片もない。
いつの間にか築きあげられていった絆。
皆多くは語らないけれど、それぞれ思う所があるのだろう。
小野瀬
『…だってさ。』
様子を見てた小野瀬が、ドアの外に向かって話しかけた。
翼
「えっ?」
大きく開かれたドアからそろそろと入って来たのは、顔を真っ赤にしたポールとロバートであった。
如月
「もしかして…。」
藤守
「この花って…。」
明智
『二人が作ってくれたのか。ありがとう。』
小笠原
『やっぱりね。すごく良くできてるよ。ビックリした。』
如月・藤守
「「えぇぇぇーー!!」」
ポールとロバートに近寄り、握手をする小笠原と明智。反対に驚きを隠せない如月と藤守は腰を抜かしていた。
小笠原
「なに、そんなに驚いているのさ。イギリスなんかじゃガーデニングは男の仕事だよ?」
藤守
「そうかもしれんけど!みんなアメリカ人やし!!普通女の子がやったんかな~って思うやん!」
明智
「発想が男尊女卑だぞ、藤守。」
如月
「というか、あのクマみたいな手でやったんだ…。」
愕然とする二人を尻目に、明智と小笠原はロバートとポールに礼を言っていた。
その様子をいつの間にか出勤してきたジョーがクスクスと笑いながら見つめている。
ジョー
『本当に楽しいわ、ここ。』
穂積
『そりゃ、どうも。』
「はぁっ」とため息をつく穂積の肩を、ジョーがポンっと叩く。
ジョー
『本当よ、ルイ。みんな真面目で、温かくて、仲間思いで、優しいわ。向上心もある。最高のメンバーだと思ってるんだけど?』
穂積
『……。』
小野瀬
『アメリカは良くも悪くも個人主義だからね。』
ジョー
『そう。チームでやる事はもちろんやるけれど、基本的に自分の時間を大事にするわ。でも、みんなはいつもお互いを気にかけてる。』
小野瀬
『リーダーの指導の賜物かな?』
ニヤリと笑った小野瀬が穂積の横っ腹を突く。
穂積
『うるせぇ!余計なことばっかり言ってないで、とっとと鑑識に帰れ!』
ジョー
『怒りんぼさん。』
小野瀬
『まったくだ。』
「ねー。」と声をそろえて翼にも同意の視線を求めるものの、ぎろりと穂積に睨まれてしまえば逃げるしかない。
翼
「コ、コーヒー淹れてきます!!」
ジョー
『あぁん、行っちゃった。』
小野瀬
「穂積が睨むから、俺達のお姫様が怯えちゃったじゃないか。」
穂積
「うるせぇ!本気で東京湾に沈めっぞ!」
「おお、怖いなぁ。」と言いながらも小野瀬は笑顔だ。ジョーもニコニコ笑うばかり。
穂積
「…ったく、ほら、アンタ達も遊んでないで!最終日はミッチリやるから覚悟しなさい!!!」
捜査室に響き渡る穂積の声に、談笑する声も、愚痴る声もピタリと止まる。
そして皆、姿勢を正す。
「「「「ハイっ!!!」」」」
敬礼で返す男たちの姿は、数日前よりも逞しく輝いて見える気がした…。
[削除]
05/19(Sun) 10:26
小春
~送別会・いつもの居酒屋~
そして、研修の全日程も無事終了。
最後は豪華に有名ホテルのディナーにしようか、という案もあった。
けれど、主賓であるニューヨークの3人が、歓迎会と同じあの場所で、と熱望した(特にロバートとポールが)ので、全員揃って、またいつもの居酒屋へと繰り出したのであった。
05/19(Sun) 10:51
小春
明智
『では、我々の敬愛するロバートとポール、そしてジョーの研修終了を祝して、乾杯』
全員
『乾杯!』
明智の音頭で、全員がグラスを持ち上げた。
歓迎会の時よりも親しくなった反面、今度はどうしても迫る別れの事を考えてしまい、何となくしんみりした乾杯になる。
藤守
『ポール、今度はプライベートで来いや。一緒に電車乗ろうな』
こういう場面に最も弱い藤守が、もう鼻にかかった声でポールの肩を叩く。
ポール
『ありがとう、ケンジ。アナタみたいに、私の趣味を理解してくれた人は初めてよ。アメリカには仲間が少ないの』
小笠原
『アメリカは車社会だから鉄道は少ないからね。ドイツにもフランスにも行って電車に乗ったけど、日本の鉄道が世界一だと思うよ』
物知りでセレブな小笠原は、子どもの頃から親の仕事の都合であちこち連れて行かれており、色々な国の鉄道にも詳しいらしい。
ポール
『その時は、リョウも一緒に乗りましょうね!』
小笠原
『やだよ、電車なんて』
ポール
『うーん、イジワル!』
[削除]
05/19(Sun) 11:06
とも
明智
『ロバート、今回3人が来てくれてとても勉強になったよ。ありがとう』
ロバート
『お礼ならワタシにも言わせて、マーク。アナタの作ってくれたお弁当、すごくおいしかったわ』
明智
『それはよかった。これもよかったら持っていってくれ。』
ロバート
『ピクルスね!うれしい!』
[削除]
05/19(Sun) 11:45
ともさん、ありがとうございます。
小春
如月
『ロバート、梅干し食べられるようになったの?』
ロバート
『これは、特別。愛情が込もっているもの』
梅干しの壺に頬擦りするロバート、それを嬉しそうに見つめる明智、さらにそれを眺めている穂積と小野瀬。
彼ら2人は、今日はあえて宴席の下座に並んでいる。
小野瀬
「みんな、すっかり仲良しになったねえ」
小野瀬の左隣には穂積。そこから時計回りに如月、藤守、上座に並ぶポールとロバート。
向かいの列には明智、小笠原、ジョー、そして末席に翼が座っている。
小野瀬が翼と向かい合う位置にいる格好だ。
その翼は、ずっと、ジョーと楽しそうに話をしている。
考えてみれば、彼女はいつもこの男ばかりの宴席に女性一人でいたわけで。
そこにジョーのように年上の優しい女性がいるというのは、嬉しい出来事に違いなかった。
何も言わないが、隣で緑茶を飲んでいる穂積も、おそらく、小野瀬と同じ事を考えているだろう。
[削除]
05/19(Sun) 12:21
清香
みんな仲良しやねぇ。
あちらこちらで思い出話より、また何をして楽しもうか話をしていた。
そう、これで終わりじゃないんだから。
穂積が上座のロバートや明智たちに呼ばれたのを機に、ジョーが、そっと、翼に身体を寄せた。
ジョー
『ツバサ、今度は私がニューヨークを案内してあげるわ。』
翼
『本当ですか?私、海外は行った事がないから不安だったんです。』
判事の父親は異動も多く、出かけるのは専ら父親の赴任先ばかりだった翼の幼少時代。大人になっても心配性の父親が海外旅行など許すはずもない。
ジョー
『そうなの。じゃあ、任せて。…あぁ、でも私の案内より。』
翼
『?』
チラリと視線を移したジョーの目線の先を追えば、そこにいたのはオイオイ泣く藤守の頭を小突く穂積の姿だ。
ジョー
『ルイの案内のほうがいいわよね。半年もいたんだもの、大丈夫でしょ。新婚旅行でいらっしゃい?』
最後の一文は内緒話のように耳元で。それでも翼の心を跳ねさせるには充分だ。
翼
『ジ、ジョーさん!!』
ジョー
『うふふ、可愛いいわぁ。本当にツバサは可愛くていい子。もう、大好き。』
ぎゅっと抱きしめられた腕は何だか母親を思い出させる。
ジョー
『でも、時には勇気も必要よ。いつまでも可愛いいおチビちゃんじゃ、幸せは手に入らないわ。』
翼
『…ジョーさん。』
ジョー
『一歩進めれば、きっと世界は変わる。それを忘れないで。』
翼
『勇気…出せるでしょうか?』
ジョーの言葉が何を示しているのか分からないほど翼も子どもではない。でも、不安なのは事実だ。
腕の中からそっとジョーを見上げると、青い瞳が柔らかく細まる。
ジョー
『じゃあ、私の勇気を分けてあげましょうか?』
翼
『本当に?お願いします!』
思わず大きくなってしまった翼の声に、皆が振り向く。しかし、翼にはもうジョーしか見えていなかった。
ジョー
『もちろん、喜んで♪』
チュッと音を立てて触れたくちびるに、何人もの男の悲鳴が上がった夜だった。
[削除]
05/19(Sun) 14:23
絶対にジョーはちゅーすると思ってたし>∀<b!
せつな
小野瀬 「やっぱり櫻井さんのこと狙ってたんだね。彼女」
ヒュゥと、小野瀬にしては下品な仕草で穂積をからかう。
穂積 「うるせぇ!!!ずっと警戒してたのに、・・・あの野郎!」
穂積のこめかみからは今にも血が噴出しそうなくらいの青筋が立っていた。
向かいの席にいた明智には恐ろしいほどの怒りのオーラが丸見えだったのだろう、慌てて穂積を牽制する。
明智 「し、室長、押さえてください!ここは公共の場です!!おまえら、手を貸せ!」
如月 「そうですよ!室長~~ここで暴力沙汰は国際的なスキャンダルになっちゃいますよ?!」
小笠原 「野郎じゃないと思うけど」
藤守 「馬鹿!死にたくなきゃ黙っとれや」
ロバート 『何、何?穂積に抱きついてもいいの?それは公認なのね?』
小野瀬 『OK、OK!遠慮なくHOLDしてやって』
穂積 「バカヤロー!!てめぇら、ふざけてんじゃねぇ!小野瀬、覚えてろよ!!!」
翼から、捜査室の面々の騒ぎを背中に隠すようにジョーは柔らかく抱擁を続けた。
ジョー 『ワタシのかわいいbabyちゃん。今のキスはあなたとルイに魔法をかけたわ。素敵な夜をあなたたちにプレゼントできたらいいのだけど』
翼 『ジョーさん、私・・・捜査室ではいつも女一人だったので、とても嬉しいです。こんな幸せな宴会になっただけでも、私にとっては素敵な夜です』
ジョー 『OH!なんていい子なの、翼。また・・・一緒に女子会しましょう?きっとよ。今度はNYで・・・ね?』
今度は約束のキス・・・そう言って、ジョーは再び翼に口付ける。両手を重ねるように手を取り合って。
金髪碧眼モデル並みの美しい女性に、別の魔法をかけられたような表情でうっとりと目を閉じる翼。
穂積 「櫻井!!!抵抗しろ!!このアホの・・・モガモガ」
捜査室の皆に押さえつけられ、罵声もロクに出せない穂積に対して、小野瀬がいたずらを楽しむような目をしてつぶやいた。
小野瀬 「あははは、きっと櫻井さんはアルコールも入ってるし、ジョーがだれかさんに容姿がよく似てる美女なせいで警戒心はゼロだね。おもしろいから黙っておこう」
小笠原 「聞こえてるけど、おもしろいから黙ってる」
ポール 『小笠原、GOOD JOB!』
ジョー 『お礼は先払いで頂いたわよ。穂積』
翼を胸に抱いたまま、ジョーが派手なウィンクを飛ばし、宴会はお開きとなったのだった。
あ!勝手に宴会を締めちゃったわΣ@@;
まだ、エピあったら、削除おねがいします!
我慢できずに仕事中参加しちゃった パラサイトせつな でした^^;
05/19(Sun) 14:38
せつなさん、ありがとうございます。
小春
ジョーはブルネットの髪に青い目だと書いて来ましたが、酔った翼ちゃんには金髪碧眼モデル並みに見えているのね。
せつなさんの面白いからもうそれでもいいや(笑)
[削除]
05/19(Sun) 14:40
せつなさんキター\(^o^)/
清香
車内~空港まで~
ジョー
『ねぇー。』
穂積
『……。』
ジョー
『ルイってばー。ゴメンって言ってるじゃない、許してよー。』
穂積
『……。だから、許したって言ってるじゃねぇか。』
ジョー
『まだ怒ってるー。もー。』
穂積
『………。』
昨日からこの二人はずっとこんな調子だ。
ジョーが謝り、穂積は許したと口では言うものの、ムッとした空気を隠そうとしない。
翼
「あ、あの…、私は気にしてませんから…。」
翼がジョーを庇おうと口を開くも、穂積の怒りは収まらない。それどころか、怒りの炎に油というかガソリンを注ぐようなものだ。
穂積
「そもそもだ!お前はもっと警戒心を持て!!ジョーは見た目は女でも、中身は小野瀬だと言っただろうが!」
翼
「す、すみません…。」
ジョーにキスされてからというものの、穂積は翼を傍らに置いていた。それは居酒屋だけではなく、帰り道の車内でも、こうして空港に向かう車内でも、だ。
翼
『す、すみません…。』
小野瀬もジョーも危険だからと翼が「乗れ。」と穂積に言われたのは、穂積の車の助手席だ。
ジョーは距離を取れるよう、運転席の真後ろに座らされている。
本来は一番身体の小さい翼が後部座席に座るべきなのに、穂積がそれだけは許さなかった。
「ここに座らないなら、見送りには連れて行かない」とまで言ってのける。
という事で、先ほどからジョーは運転席の後ろから手を伸ばし、穂積の髪を引っ張りながら謝り続けているのだ。
ジョー
『ルイってばー。』
穂積
『しーつーこーいー。』
ジョー
『もー。』
「はぁ…。」と小さくため息をつくと、翼の後ろから明智が飴を差し出してくる。
明智
「櫻井、気にするな。飲み会の席での事だ。事故もあるさ。」
翼
「明智さん…。」
そう。
そんな明智も、怒り狂った穂積を止める拍子になぜだかロバートに抱きつかれ、頬にキスされていたのだ。
穂積
「はぁ?あれのどこが事故だ!どう見たって、故意犯だろうが!お前の目は節穴か!」
ジョー
『だーかーらー、ゴメンってばー。』
徐々に騒がしくなる車内で、小笠原だけは目を瞑って眠っていたのだった。
小笠原
「…ZZz。」
[削除]
05/19(Sun) 14:57
ごめんなさぁい!
穴堀せつな
送信した後で、あれ?ジョーさんの容姿の設定ってどんなだっけ?って思い、今、読み返して穴掘りたくなっちゃった;;
先に読み返せよ!!
小春さん、勝手に捏造してごめんなさい;;
私のトコ削除してもらっても話が通じるので、すっぱり削除してくださいね><
[削除]
05/19(Sun) 14:59
うふふ。
小春
もったいないから消さない(  ̄▽ ̄)
[削除]
05/19(Sun) 15:49
すごい♪
くちびる
話めっちゃ進んでるし…。私もジョーは翼にキスすると思ってましたよ♪ヽ(´▽`)/いよいよ空港でのシーンですね♪またひと波乱あるかな?
05/19(Sun) 16:17
くちびるさん、ありがとうございます。
小春
さあ、ラスト見えてきましたよ。
皆さん、書き残したエピソードはありませんか?
もうじき締め切りますよー♪
[削除]
05/19(Sun) 18:57
みなさんジョーのキスに反応しすぎ(爆笑)
清香
成田空港までの1時間は、それはそれはとてつもなく居心地の悪い時間だった。
穂積から逃げるように小野瀬の車にいち早く乗り込んだ如月と藤守の策は当たりだったのだろう。
穂積の車から降りた明智と小笠原は既に疲れきった顔をしていた。
小笠原
「はぁ、やっと着いた…。」
明智
「だな…。」
翼
「本当にすみません…。」
謝りすぎて小さく消えてしまいそうな翼の肩をジョーがそっと抱く。
ジョー
『いいのよ、ツバサ。ルイが怒りんぼなだけなんだから。』
翼
『ジョーさん!』
穂積
『ジョー!!』
これ以上怒られたら堪らないと翼が逃げようとすると、車のトランクからジョーの荷物を下ろしていた穂積が再び怒りの声を上げる。
ジョー
『チッ、バレた。』
小野瀬
『ジョー、みんなのために櫻井さんにちょっかいを出すのは止めてくれないかな?』
ジョー
『ハイハイ、分かったわ。もうしない。』
両手を挙げて降参のポーズを取るジョーに、暴れそうな穂積を抑えていた藤守や如月も『頼んます。』と言いたげな表情だ。
小野瀬
『ほら、早く搭乗手続きをしておいで。』
ロバート・ポール・ジョー
『ハーイ!』
いつでもどこでも小野瀬は、自分はまるで引率の先生だなと感じてしまう。
これはさそり座A型の宿命なのかな…と千葉の空に呟いた。
ジョー
『オッケー!ギリギリだったけど、出来たわ。後は乗るだけね。』
ロバート
『…そうね。』
ポール
『…うん。』
穂積をニューヨークから見送る時は、行き先はロサンゼルスだった。遠くても、同じ国だと思えたから我慢出来た。しかも送る側だから『頑張れ!』と笑顔で送り出せた。
でも今度は逆だ。
刻一刻と近づく別れに目元が歪んで、一列に並んだ捜査室のメンバーと小野瀬が見えなくなる。
ロバート
『…本当に、本当にありがとう。こんなに幸せな一週間は……、もう、来な、か…も。』
明智
『ロバート…。』
涙をポロポロ流しながら話すロバートの肩を明智が抱き寄せた。
ロバート
『マーサ…!』
明智
『ロバート達の研修なのに、俺の方が本当に色々と学ばせてもらったよ。本当にありがとう。ロバートに教えて貰った事は、ロバートの事は絶対に忘れないっ…!』
ロバート
『わ、た…しも、マーサの事…忘れない、から……!』
ガッチリと背中に回された手が、離れ難い思いを表している。
藤守
『い、や…やなぁ、ロバート。俺…も、おるで?』
如月
『そう、だよ。俺だって…、いるよ!』
ロバート
『ケンジ…、コーヘイも…!みん…な、ありがとうッ!』
終業後、いつも4人で逮捕術や射撃訓練をしていた。
一緒にシャワーを浴び、牛丼屋やらラーメン屋、焼肉屋にだって行った。
正に彼らは同じ釜の飯を食った仲間だったのだ。
明智
『ほら、もう泣くな。』
ロバート
『…うん、マーサ。』
ロバートの涙をハンカチで拭いてやりながら、明智がロバートの頬を撫でる。
明智
『また必ず会えるから。だから、生きろ。』
ロバートの目が大きく見開かれる。
明智
『絶対に死ぬんじゃないぞ。次に会える時までに、必ず美味い糠床をロバートのために用意しておいてやるからな。』
ロバート
『マーサ!!』
治安が悪いからこそ身につけられたロバートの高い能力を、明智は誰よりも理解していたのだ。
再びその地に戻るという事は、またいつ危険な目にあうか分からないという事でもある。
明智
『だから、笑顔で「バイバイ」だ。』
ロバート
『…うん。』
ロバートのラフレシアのような笑顔が咲き誇る。
明智
『あぁ、いい笑顔だ。ロバート、元気でな。』
ロバート
『マーサも、ね。』
ガッチリと固い握手を交わした二人の手に、藤守と如月の手がそっと重ねられた。
藤守
『次は俺がロバートを落としたるからな?』
ロバート
『望むところよ。』
如月
『柔道なら負けないからね。』
ロバート
『死ぬ気で練習してやるわ。だから…』
『『『『バイバイ』』』』
僕らはまた必ず会えるから。
[削除]
05/19(Sun) 20:58
またしても私のターンだ。
清香
笑顔になったロバートを見て、逆にポールは涙を抑えられないでいた。
『素晴らしい技術を持っている』と言われていたロバートだが、それが毎日の練習の賜物でもあったから。
それをいつも傍らから見ていたポールにとって、明智や藤守達の言葉は自分のことのように嬉しいものだったのだ。
ポール
『良かったね、ロバート…。』
グスンっと鼻をすすろうとすると、目の前に鼻セレブのウサギのパッケージが見えた。
ポール
『…えっ?』
小笠原
『鼻はすすらないで、ちゃんとかんだ方がいいよ。』
ポール
『あ、ありがとう、リョウ。』
小笠原に背を向けてブビーンと鼻をかむと、ポールの気持ちも幾分かスッキリする。
小笠原
『落ち着いた?』
ポール
『えぇ、少しは。』
小笠原
『そう。それは良かった。ポールまで泣き続けたら始末におけないよ。』
ポール
『そ、そうよね、迷惑…よね。』
少しは仲良くなれたんじゃないのかな、と思っていた。
同じようにネット犯罪を調べる事が多くて、研修で分からない言葉はほとんど小笠原が訳してくれたり、一緒に捜査室で残業した夜だってあった。
机で寝てしまった小笠原をソファーに運んだ時、眼鏡を外した小笠原の姿が本当に可愛くて、こっそりiPhoneのロック画面にしたくらいだ。
ポール
『ご、ごめん…なさい…』
別に好きだとか、愛してるとか言われたいわけじゃない。
勝手に好意を持っているだけなんだから、我慢しなきゃと思っていても…涙が溢れてしまう。
小笠原
『本当に…、もうバカじゃないの?』
ポール
『…う、うぅっ…』
小野瀬
「小笠原、さすがに…」
それ以上は、と止めようとした小野瀬を、穂積が手で制した。
穂積の瞳はしっかりと小笠原を見据えている。
小笠原
『なんでそんなに泣く必要があるのさ。』
ポール
『…だ、だって、もういつ…会えるか、分からない…から。』
小笠原
『本気でそんな事、思っていたの?この仕事してて。』
ポール
『リョウ…?』
俯いていた顔を上げ、見えた小笠原の瞳はひどく優しかった。
小笠原
『海を越えても、ネットでいくらでも繋がれるじゃない。SkypeだってFaceTimeだって使えば、顔も見られる。』
ポール
『あっ…!!』
小笠原
『一秒で世界のどこへでも行ける時代なんだから、ニューヨークと東京なんて遠くない、じゃない?』
ポール
『ふふっ、そうね。忘れてたわ。』
再び差し出された鼻セレブで涙を拭えば、自然と笑顔になる。
小笠原
『そんな大事な事なのに忘れてたら仕方ないから、たまには俺からメール送るから!ちゃんとに返事してよね!しなかったら文句言いに行くよ!』
ポール
『えっ、ニューヨークまで?来てくれるの?』
小笠原
『だから、ニューヨークなんて遠くないよって言ってるじゃん!人の話、聞いてる?アマゾンの奥地じゃあるまいし、寝てたらあっという間に着くんだから!』
真っ赤な顔で反論する小笠原がおかしいのか、ポールのさっきまでの涙はどこへやら引っ込んでしまった。
そして、くすくすと笑いながら小笠原の頭を撫でる。
ポール
『分かったわよ、リョウ。そんなに怒らないで?』
小笠原
『もう!撫でる暇があるなら、早くアドレス送ってよね!』
ポール
『ハイハイ、今やるから。』
手早くアドレスを送りあうと、小笠原からの指摘は続く。
小笠原
『あと、これからもっとネット犯罪は複雑で巧妙になるんだから、健康に気をつけてよね!ちょっとは痩せるんだよ!』
ポール
『あら、ヒドイ。』
小笠原
『ヒドくない!健康管理も仕事のうちって言葉知らないの?ただでさえニューヨークのステーキは馬鹿でかいんだから、気をつけるんだよ?』
ポール
『えぇ。ルイに教えて貰った日本食レストランに行くわ。』
小笠原
『ダメだから!俺がよく行ってたレストランを紹介するから、そっちに行って!室長だって大飯食らいなんだから、信用出来ない!』
『あとは…』と思いつく限りの指摘を続ける小笠原をポールはニコニコと笑いながら聞いていた。
ジョー
『あれじゃ、ママンを心配する子どもみたい。』
小野瀬
『だね。』
穂積
『あれが小笠原なんだよ、いいじゃねえか。』
鼻息荒く講釈を述べる小笠原を皆で優しく見守っていると、アナウンスが流れる。
「日本航空006便、成田発ニューヨーク行きに搭乗のお客様、搭乗の準備が整いました。8番ターミナルまでお越し下さいませ。繰り返します…」
とうとう、別れの時がきた。
[削除]
05/19(Sun) 21:26
もうすぐ終わり…
とも
小野瀬
『ハイ、これからは俺からのプレゼント』
何やら3人に小さなラッピングがされた箱を手渡している。
小野瀬
『ニューヨークに帰ったら開けてね』
ジョー
『中身は何なの?』
小野瀬
『ヒミツだよ。今言ったら見たくなるだろうからね。それより3人が来てくれて俺も楽しかったよ。気をつけて帰ってね』
『『『アオイも元気でね~』』』
今回は熱烈なアプローチがあまりなかった小野瀬だったが、最後にロバートとポールから熱い抱擁とキスを受けた。
ちなみに小野瀬があげた箱の中身にはUSBメモリーが入っていて、ロバートとポールには捜査室メンバーを隠し撮りした写真が、ジョーには警視庁内のカワイイ女の子たちを撮った写真が入っており、3人は毎日眺めてたのだとか。
あとは室長と翼ちゃん、一体どうなる!?
[削除]
05/19(Sun) 21:29
ともさん、ありがとうございます。
小春
小野瀬さん、ナーイス(*TーT)b
05/19(Sun) 21:33
私も気になるヽ( ̄▽ ̄)ノ
くちびる
読者目線に戻りました。続きが気になるヽ( ̄▽ ̄)ノ
[削除]
05/19(Sun) 21:37
あら。
小春
くちびるさん、お疲れ様でした。
ご参加頂きありがとうございました!
ではでは、のんびり最後までお付き合いくださいませ。
[削除]
05/19(Sun) 22:50
後半絡めなかった…(涙)
桜夜
書いてる途中で寝落ちし…更新出来ずじまい…残念でした。
読む専になってまーす。
皆さまの更新楽しみにしてます。
私もジョーのキスには食い付きたかった!!
[削除]
05/19(Sun) 23:22
ともさん、くちびるさんありがとうございました。
清香
ジョー
『じゃあ…、いい?』
腕を広げながらジョーは穂積を見た。
それはもちろんお許しを請う為だ。
車を降りた時から翼は穂積の隣にいる事を命じられていた。「離れたら連れて帰らないからな。」とまで言われている。
穂積
『…チッ、2分だけだぞ。』
ジョー
『カップヌードルだって3分よ?』
穂積
『固麺のほうが美味いんだよ!』
そう言いながらも穂積は翼の背中を押してジョーの元へと送り出した。
翼
『ジョーさん!!』
大きく広げられたジョーの腕の中に、翼が飛び込む。
ジョー
『ツバサ、本当に、本当にアナタに会えて良かったわ。』
翼
『私もです。ジョーさんに出会えて、研修の付き添いをさせてもらえて、本当に勉強になりました。』
ジョー
『…ツバサ。』
翼
『仕事だけじゃない、楽しい事も、大事な事も、全部ジョーさんが教えてくれた気がします。』
たどたどしい英語でも、一生懸命に伝えようとする姿が、いじらしい。
そんな翼の頬を撫でながら、ジョーがほほ笑む。
ジョー
『ありがとう、ツバサ。初めてあなたを見た時はなんて可愛いお形さんだと思ったわ。可愛くて、飾っておきたいくらいのね。』
言葉の真意を量りながら、翼もジョーの言葉に必死に耳を傾ける。
ジョー
『でも、あなたは変わったわ。もちろんまだまだ知らないことはたくさんある。それでも、今回の研修を重ねるうちに、本当の意味で警察官になれたはずよ。お人形さんじゃない、本物の警察官にね。』
翼
『ジョー、さん…。』
ジョー
『これからもあなたの成長を心から願っているわ。』
翼
『ありがとうございます…!』
大きく優しく、姉のように包み込んでくれたジョーが、未熟だった翼を一回り大きく成長させてくれたのだろう。
ジョーの腕の中でこの一週間の出来事が走馬灯のように回り始めた翼の思考を、ジョーの提案が吹き飛ばす。
ジョー
『じゃあ、最終テストね。…勇気出せるわね?』
翼
『へ?』
ジョー
『もうあなたは一週間前の危うかったツバサじゃないわ。私の勇気も分けてあげたじゃない。いつやるの?』
翼
『い、いや…、それは、ちょっと…。』
ジョー
『今でしょ!!!』
片手で翼の肩を掴み、片手を前に出して決めポーズを作るジョーに圧倒されながらも翼は首を縦に振らない。
藤守
「…なんで某進学塾の現代文講師の真似してんねん!」
如月
「ジョーさん、翼ちゃんに何をさせるつもりなんでしょう?」
明智
「さぁ…?」
良く分からないといった雰囲気の捜査室メンバーとは対照的に、翼の顔は真っ赤だ。
ようするに、穂積に告白をしろ、とジョーは言いたいのだろう。
確かに一歩を踏み出さなくてはいけない、と言われた。
しかし、ここは成田空港!しかも時刻は午前10時40分!
こんな大勢の前で出来るわけがない!!
ジョー
『ツバサ…。女は度胸よ?』
翼
『む、無理…です…。』
ジョー
『私の勇気を昨日あげたじゃない?足りなかった?』
この場で告白できるほどの勇気を貰うならば、何百回キスされなくてはいけないんだろうと思わず計算してしまう。
ブンブンッと首を横に振ってどうにか時間稼ぎをしようかと目論んでいると。
ジョー
『仕方ない。かくなる上は…!!』
腕の中にいた翼の身体をくるりと反転させ、穂積の眼の前に押しやった。
ロバート
『…っ!あれは…、まさか!!!』
ポール
『ダメよ、ジョー!ツバサは知らない年代よ!』
ジョー
『大丈夫!どうにかなるわ!!』
なんだか良く分からないまま穂積の2メートル前で立たされていると、ジョーが背後から耳打ちをしてきた。
ジョー
『いい?最後のチャンスよ。「ずっと好きでした。お付き合いして下さい。」って言って、右手を出しなさい。きっとルイはツバサの手を取ってくれるはずよ!』
翼
『えぇっ!?』
それなんてね●とん?と思いながらも、搭乗時間はもう過ぎてしまっている。
下手したら3人とも飛行機に乗れなくなってしまうではないか。
しかも、翼の眼の前では穂積が「わけ分からん。」と言いたげな表情で、イライラと足を踏みならしている。
成長の証を見せる時なのか、はたまた年貢の納め時なのか。
ジョー
『大丈夫、周りは気にしないで。テレビを装ってカメラ回しておくから!』
気がつけばポールが秋葉原で買ったビデオカメラを嬉しそうに回しているではないか。
翼
『…データは絶対に削除してくださいね。』
ジョー
『…OK。』
ふぅ、と息を吐くと、変な汗と緊張感が身体を支配する。
それでも周りを皆に囲まれ、逃げ場はない。
どうにでもなれ!!
そんな気持ちだけが翼を動かしていた。
翼
「室長、…じゃなくて、穂積さん。」
いつものように室長ではなく、名前で呼び直したことに穂積も違和感と既視感を感じた。
穂積
「…ハイ。」
辺りが緊張に包まれる。
翼
「…ずっと、穂積さんが好きでした。良かったら付き合って下さい!!!」
穂積
「……!!!」
捜査室メンバー
「「「「……………!!!!!!」」」」
サッと出された翼の小さく白い手が遠目から見ても震えているのが分かる。
でも、声を出すわけにいかないと、藤守も如月も、明智や小笠原でさえも口に手を当てて必死で耐えていた。
翼
「……。」
返事が来るまで、こんなにも長いものなのだろうか。本当は編集で繋いでるんじゃないのかと思っていたのだが。
下を向いてるせいで、目に涙が溢れてくる。
やっぱり…、ダメだったのかな。
そう思っていると。
穂積
「……ごめんなさい。」
室長の金色の髪が私の頭以上に深々と下げられているのが見えた。
「「「「ええええええぇぇえええ!!」」」」