『ポケット小野瀬』
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07/11(Thu) 16:28
逆鱗。
小春
穂積
「明智、すまないが小野瀬と櫻井が心配だ。少し様子を見てくるから、お前はゆっくり休め」
明智を残して部屋を出る。
窓からの稲光と雷鳴が続く中、穂積の足取りは徐々に速くなった。
2人の所に向かう穂積はひどく胸騒ぎを覚えていた。
見えない何かが自分に向かって来る様なひどい違和感…。
穂積
「無事でいてくれ…。」
隣の部屋なのに、なぜこんなに遠いのだろうか。
扉に手をかけようとした、その時。
扉が横にスライドし、二人がいるはずの部屋から、翼が走り出て来た。
穂積
「櫻井?」
咄嗟に翼の手を掴む。
穂積と鉢合わせした翼は一瞬息を飲み、次の瞬間、穂積の手を振りほどいて駆け出そうとした。
穂積
「待て、櫻井!」
翼はいやいやと首を振り続けながら、さらに穂積から離れようとする。
だが、穂積の力は緩まない。
穂積
「どこへ行く?小野瀬は?」
翼
「小野瀬さん……、小野瀬さんが、私の事を!」
そこまで言うと、翼はわっと泣き出した。
穂積が室内を覗き込むと、そこでは、翼に突き飛ばされたらしい小野瀬が、全裸の身体にベッドから剥いだシーツを巻き、床から起き上がろうとしているところだった。
穂積
「小野瀬!お前、身体が元に戻ったのか?!」
翼
「さっき、落雷があった時です。でも、戻った途端、小野瀬さんは、私をベッドに押し倒そうとして」
小野瀬
「嘘だ!」
確かに、翼からは微かにだが、小野瀬のあの柑橘系の香りがする。
翼
「室長、私、室長に、こんな恥ずかしい嘘なんかつきません」
穂積
「櫻井……」
ぼろぼろと涙をこぼす翼を、穂積はじっと見つめる。
小野瀬
「穂積、騙されるな!そいつは櫻井さんじゃない。あの、怪しい医師の変装だ!」
穂積
「何だと?!」
腰にシーツを巻いて起き上がった小野瀬が、穂積の傍らの翼に指先を突きつけた。
小野瀬
「明智くんの入院以来、こいつは時に櫻井さんを操り、時に入れ替わり、俺たちの反応を楽しんでいたんだ」
穂積
「……」
穂積が絶句する。
小野瀬
「本物の櫻井さんは、どこかに眠らされているそうだ。そんな奴、どうでもいい。早く、櫻井さんを見つけて助け出さないと!」
穂積
「小野瀬……」
穂積は小野瀬を見、翼を見た。
確かに、今の翼は、この雷鳴の轟く中でも平然としている。
捜査室での落雷に怯え、穂積にしがみついてきた翼ではない。
それに、いくら小野瀬が好色でも、今までの流れの中で、翼を無理矢理自分のものにしようとするなど考えられない。
明らかに、翼の方が嘘をついているのだ。
今頃、本物の翼が、どこか知らない場所で一人で、大嫌いな雷の音に震えているかと思うと、たまらなくなった。
……だが。
穂積
「本物だ、小野瀬」
小野瀬
「え?」
翼
「きゃあっ!」
穂積は、掴んでいた翼の手首を背中側に捻り上げると、悲鳴を上げるのも構わず、床に膝をつかせた。
穂積
「櫻井が、いつ、どこで入れ替わっていたかは知らん。あのニセ医者が、櫻井をどう操ったかは知らん。だが、今、ここにいるこの櫻井は本物だ」
小野瀬
「いや、穂積、そのわりに、お前、扱いが……!」
まるで犯人を確保する時のような取り押さえ方に、小野瀬は気が気ではない。
何しろ、185cmの穂積に比べたら、翼の華奢な身体はあまりにも小さいのだ。
穂積
「本物だ。この距離で、俺が櫻井を見間違えるはずがない」
完全に翼の動きを封じておいて、穂積は声を張り上げた。
穂積
「藤守!如月!」
穂積の大声に、休憩室で待機していた二人がすっ飛んで来る。
穂積
「お前ら手錠持ってるだろ。藤守の手錠は櫻井の両手にかけろ。如月の手錠は、俺と櫻井とを繋げ」
藤守と如月は目をぱちくりしているが、もちろんすぐにそれに従う。
穂積
「小笠原」
穂積は、藤守と如月に少し遅れて到着した小笠原を呼び寄せた。
穂積
「顔認識システムにかけろ。必要ならDNA鑑定しろ」
穂積はそこまで指示を出してから、小野瀬に向き直った。
穂積
「小野瀬、カウンセリングを続けろ。俺は、ニセ医者の行方になんか興味はない。こいつを元に戻したいだけだ」
穂積から表情が消えている。
本気で怒っている証拠だ。
穂積
「簡単に入れ替わられたり、暗示にかけられたりしやがって。お前それでも刑事か!」
穂積は、手錠をかけられて廊下にへたりこみ、黙り込んでしまっている翼を怒鳴りつけた。
穂積
「明智以外は捜査室に戻るぞ!」
振り回され続けた穂積の凄まじい怒りに、全員は、無言で頷くしかなかった。
[削除]
07/11(Thu) 17:03
とも
朝からお話がすすんでるぅ~\(゜o゜;)/
そして室長に悪魔が降臨(`Δ´)Ψ
続きが気になる←他力本願ね♪
07/11(Thu) 18:55
ともさん、こんにちは。
小春
お疲れさまです。
お話動いてますよー。
引き続きよろしくお願いします(´∇`)
[削除]
07/11(Thu) 21:38
こんばんはー~(⌒‐⌒)
くちびる
小春さん(o^-^o)続き書いて頂いてありがとうございますぅ♪
室長を本気で怒らせてしまいましたね( ̄^ ̄)
物語もいよいよ大詰めですかね…?
頑張れー(=`ェ´=)ルイルイ・御大!!
[削除]
07/12(Fri) 06:41
おはようございます。
小春
昨日は清香さん、ともさん、くちびるさん、エミさん、ジュンさん、ありがとうございました。
捜査室に戻って、物語もいよいよ大詰め(毎日言ってる気がする)。
作家さま、読者さま、今日もよろしくお願いします!
[削除]
07/12(Fri) 08:22
おはようございます♪
くちびる
毎日暑い~(;>_<;)私の地域は本日37度です。うだる~(∋_∈)さあ~今日も仕事頑張りますね~(^〇^)
…………………………………
穂積に手錠で繋がれたまま、翼は不意に笑い始めた。
???
「僕を拘束してもマルガレーテは戻らないよ。」
穂積
「黙れ!!貴様こそ櫻井の身体から出ていけ!!
俺にはごまかしは通じないぞ!」
???
「やれやれ…参ったなあ~。」
翼は全く動じずむしろ平然と今の状況を楽しんでいる様子さえ伺える。
小笠原
「顔認識にかけるよ。」
……………………………………
[削除]
07/12(Fri) 08:30
やっぱり
とも
今の翼ちゃんは山田やったか。
~翼サイド~
気がつくと目の前は真っ暗で何も見えない。私、今まで何をしてたんだっけ…。
思い出せない。
目が慣れてきても辺りにはやっぱり何もなくて、音さえも聞こえてこない。
気持ちが冷静になればなるほど、今度は怖い気持ちが大きくなる。
ここは何処なの?怖いよ……。
誰か私を見つけて…。
そうつぶやいて、私はあの人の顔を思い浮かべた…。
07/12(Fri) 08:33
くちびるさん、ともさん、おはようございます。
小春
私はもうヤマダには騙されない。
[削除]
07/12(Fri) 08:59
昨日も寝落ち。
清香
おはようございます。
今日こそ完結できるか!?
~捜査室~
小笠原
「顔認識にかけたけど、櫻井さんのままだ。」
穂積
「可能性は?」
小笠原
「まだ試験的な活用だけど99.9%」
穂積
「でもほぼ確実ってことね。指紋は?」
如月
「翼ちゃんの使っていたボールペンを小野瀬さんが持って行きました。」
穂積
「分かった。ちょっと鑑識に行ってくるから、何かあったら携帯を鳴らしてちょうだい。」
穂積が捜査室を出ると、会議室前で中の様子を伺いながら立つ藤守がいた。
穂積
「どう?」
藤守
「まだカウンセリングしているようですわ。」
穂積は警察病院から無理矢理連れてきた精神科医の医師に、翼のカウンセリングをさせていた。
どうにかして元に戻してやる。
ただそれだけが願いだった。
[削除]
07/12(Fri) 09:54
室長の眼力を信じて。
小春
~小野瀬vision~
穂積に捕まってしばらくの間はあれほど饒舌だった櫻井さんの唇は、本人を認識する作業が進むうち徐々に言葉を発しなくなり、検査が全て終わる頃には、表情も消え、すっかり黙り込んでしまった。
穂積
「新しい暗示が与えられないからだろ。そのうち無反応になるんじゃないか」
精神科医療に関しては門外漢のはずの穂積だが、彼女が櫻井さん本人である事に対しては、全く自信が揺るがなかった。
その根拠は単純にして明快。
穂積
「俺が本人だと感じるからだ」
過去の血液検査との照合、歯の治療痕など、すぐに結果の出るものはもちろん、小笠原が研究中の顔認識、目の網膜、手の血管、DNAまで。
およそ、警視庁に過去の櫻井さんのデータがある全てのものについて、穂積は徹底的に検査し照合させた。
フルDNA鑑定には時間が掛かる。
しかし、それ以外の検査の結果は全て、彼女が櫻井さん本人である事を示した。
小笠原
「99.9、その下に9桁の9」
検査の結果に、穂積は眉ひとつ動かさなかったという。
一旦鑑識に出勤し、細野や太田に欠勤中の詫びと仕事の指示を出していた俺は、再び穂積に呼び出され、カウンセリングに加えられた。
カウンセリングの方は行き詰まっていた。
警察病院の精神科医は、日本でも指折りの名医だ。
けれど、貝のように塞ぎこんでしまった櫻井さんの感情を動かす事は、とうとう出来なかったのだ。
沈痛な面持ちで頭を下げた医師に礼を言い、病院まで送り届けてくれるよう如月くんたちに託した後、穂積と俺は、休憩室で溜め息をついていた。
櫻井さんは、俺と穂積に挟まれて、人形のような顔をして座っている。
彼女の前に置かれたオレンジジュースは、缶の周りについた水滴がすっかり落ち、水溜まりが出来ていた。
……続きも書いてますので、しばらくお待ちを。
[削除]
07/12(Fri) 11:11
こんにちは
ジュン
こんにちは。
いよいよ大詰めですね(><)
翼を元に戻すのは誰なのか!!
楽しみです(*^^*)
[削除]
07/12(Fri) 11:18
ジュンさん、こんにちは。
小春
今日も励ましのコメントありがとうございますヽ( ̄▽ ̄)ノ
エアコン故障中で汗だくですが歓迎のダンスを踊っています。
お陰さまでかなり来ましたね。
引き続きよろしくお願いします。m(__)m
07/12(Fri) 15:14
進んでますね~(^〇^)
くちびる
やっと休憩♪
翼ちゃんは元に戻れるんでしょうか!?(゜ロ゜)
いよいよ最大の?山場ですね~( ̄ー ̄)
続き期待してます~(⌒‐⌒)←読み逃げ♪
また夕方あたりに覗きに行きます~!
[削除]
07/12(Fri) 17:07
くちびるさん、こんにちは。
小春
頑張って書いてますよ。
もうしばらくお待ちくださいませ。
[削除]
07/12(Fri) 17:12
こんにちは(^-^)
とも
ラストまでもうすぐですね!
小春さん、続きを正座して待ってます♪ヽ(´▽`)/
[削除]
07/12(Fri) 17:15
ともさん、こんにちは。
小春
お待たせしてすみません。
出来れば一気に進めたいので、もうしばらくお待ちを。
ともさんの足が痺れないうちに何とかしたいわ(´∇`)
[削除]
07/12(Fri) 18:33
お疲れ様です♪
くちびる
私も正座してお待ちしてますよ~(〃^ー^〃)
夕方なのに日傘が必需品って…( ̄^ ̄)
今電車の冷房でやっと汗が引きました~d(⌒ー⌒)!
07/12(Fri) 21:54
お待たせしました。
小春
~小野瀬vision~
小野瀬
「……せっかく、彼女が本人に間違いないと証明されたのに、その先が八方塞がりだなんてね……」
穂積
「……」
俺の言葉に、さすがの穂積も考え込む。
が、穂積は不意に、何かを思い出したような顔をこちらに向けた。
穂積
「そう言えば、お前はどうやって元に戻ったんだ?あの時、聞きそびれたままだったけど」
小野瀬
「ああ……」
確かに。
あの時は、急に苦しくなったかと思うと身体が大きくなり始めて、しかも、櫻井さんだと思っていた相手に、突然、偽物だと言われて。
正直言って、何が何だか分からないうちに元に戻っていた。
だから、改めて尋ねられても、俺自身にも、説明のしょうがない。
ただ、その直前、俺は天国にいるように甘美な感覚を味わっていた気がする。
小野瀬
「……愛の力、とか……?」
穂積
「まさか、本当に押し倒してたんじゃねえだろうな」
穂積は嫌そうな顔をした。
穂積
「なんか裸だったし」
小野瀬
「服が小さくなってきたから脱いだだけだよ!無実だよ!ね、櫻井さん!」
穂積
「本当か?こいつ、普段の行いが悪いからな。なあ、櫻井?」
俺と穂積が笑いながら話しかけても、櫻井さんは何も答えない。
穂積
「櫻井……」
穂積は浮かべた笑顔を静かに消して、悲しげな表情でじっと、反応の無い櫻井さんを見つめた。
さっきまでは無理してふざけていたが、俺は、穂積の深い眼差しの意味を知っている。
穂積にはきっと見えているのだ。
彼女自身の中でもがいている、本当の彼女の姿が。
俺は櫻井さんの手を握り、目を閉じてみた。
俺には、穂積のように直感的に彼女を知る事は出来ない。
せめて感じたいと思った。
きっと彼女は今、暗闇の中でただ一人、怖い思いをしているに違いないから。
小野瀬
「櫻井さん……」
[削除]
07/12(Fri) 21:58
続き。
小春
廊下に靴音が響いてきて、俺と穂積は顔を上げた。
引き締まった長身が捜査室に向かいかけていた足を止め、こちらに方向転換して歩いて来る。
明智
「室長、小野瀬さん」
穂積
「明智!」
穂積が立ち上がった。
手を振って近付いて来る明智くんの後ろから、如月くんと藤守くんも笑顔で姿を現した。
如月
「精神科の先生を送って行ったら、ちょうど、明智さんがナースセンターで退院の打ち合わせをしていたんですよ」
藤守
「だから、車で一緒に帰って来たんです!」
小野瀬
「そうか。退院出来て良かったね、明智くん」
笑顔で迎えると、傍らに来た明智くんは俺と穂積に向かって、丁寧に頭を下げた。
明智
「ご心配をお掛けしました」
身を屈めたところで、明智くんは、俺と穂積の間に座ったまま身動ぎもしない櫻井さんの姿をちらりと見、探るように俺を見た。
明智
「……櫻井は、まだ……?」
俺が頷くと、明智くんは身体を起こし、心配そうな顔を穂積に向けた。
その視線を受けて、穂積は小さく溜め息をつく。
穂積
「まだだ。……その事で、明智に相談がある」
穂積は手招きで呼び寄せた明智くんの肩を叩いて、休憩室のベンチに座らせた。
藤守
「そしたら、俺ら、先に捜査室に戻ってますわ。行くで、如月」
如月
「あいさー」
藤守くんたちが背を向けると、穂積は明智くんの肩を抱くようにして引き寄せ、内緒話を始めた。
穂積
「なあ、明智」
明智
「はい」
囁くような低い声に、俺と明智くんは身を乗り出す。
穂積
「……俺と、取引をしないか」
小野瀬
「え?」
思わず俺が聞き返したが、穂積は明智くんから視線を逸らさない。
穂積
「このまま見逃してやる。その代わり、櫻井の暗示を解け」
明智
「……」
明智くんも低い声で返した。
明智
「……断れば、どうなりますか」
穂積
「俺に量刑10年の前科がつくだけだ。出来ればやりたくないがな」
穂積の鋭い眼が光るのを見た明智くんの端正な顔はほんの一瞬だけ強張ったが、やがて、その顔はゆっくりと微笑んだ。
明智
「おお怖い。……僕も、あなたを殺人犯にするのは嫌だな」
笑顔とともに、明智くんの声が変わる。
明智
「……なぜ、分かったの?」
穂積
「簡単だ。明智には『絶対に退院するな』と言ってある」
穂積はにこりともしない。
穂積
「藤守たちには『もしも明智が退院すると言ったら連れてこい』とだけ命じて、病院まで精神科医を送らせた」
明智
「なるほど」
明智くんが、にんまりと満足そうに笑う。
その、不敵な微笑みには見覚えがあった。
小野瀬
「……偽医者」
鳥肌が立った。
明智
「『山田』と呼んで下さい」
山田、と名乗ったその男は澄ました表情で俺に流し目を送り、それから、笑顔で穂積を見た。
山田
「……どうやら、マルガレーテを見つけたのは、ルイルイの方だったようだからね。いいよ。あなたの望みを叶えてあげる」
ホッと息を吐く穂積。
俺は急いで山田の膝を掴んだ。
小野瀬
「ひとつ頼みがある。もし、暗示を解く時に、きみが関わってからの彼女の記憶を消す事が出来るのなら、そうして欲しい」
俺の提案が意外だったのか、山田は首を傾げた。
山田
「おや、いいの?ほとんど、病院での、あなたと過ごした時間の記憶だよ。それを失う事は、この先、あなたに不利になるんじゃない?」
小野瀬
「他人に作られた思い出なんかいらない」
俺は山田をじっと見つめた。
小野瀬
「それに、穂積は俺に対して、ずっとフェアだった。俺も、穂積に負い目を持ちたくないんだ」
穂積
「小野瀬……」
穂積を真っ直ぐに見つめた俺に、山田は、ふうん、と鼻で笑った。
山田
「分かった。ただ、鑑識官どのの方の記憶は残るんだよ。かえって、辛い思いをすると思うけどな」
小野瀬
「分かってる」
山田は穂積の表情を伺い、穂積が頷くのを見届けると、櫻井さんを立ち上がらせ、耳元で、しばらく何かを囁いた。
山田
「では、今度こそごきげんよう」
パチン、と、山田が指を鳴らす。
山田
「再見、諸君」
その途端、櫻井さんの身体は糸が切れたように崩れ、両側で見守っていた俺と穂積の腕の中に倒れこんできた。
穂積
「櫻井!」
小野瀬
「櫻井さん!おい、山田……!」
俺が顔を上げた時にはもう、山田の姿はどこにも無かった。
[削除]
07/12(Fri) 22:04
さぁ、エンディングです。
清香
~翼vision~
気がつけば私は小野瀬さんのラボのソファーで横になっていた。
心配そうに見下ろす小野瀬さんと室長に何があったのか聞いても、二人とも『大丈夫だから、心配するな』としか言ってくれなかった。
記憶を辿ってみても、明智さんが病院へ運び込まれ駆けつけた所までしか憶えておらず、どうやって帰ってきたのかすら分からない。
誰も何も教えてくれなくて。
小野瀬さんが大きくなった事も、穂積くんが消えてしまった事も、全く記憶になくて。
全てが『ただの私の夢だったのかもしれない』と思ってもおかしくないくらいだ。
入院していた明智さんもすぐに退院し捜査室へと戻り、何もかもが元に戻って、すっぽりと抜け落ちてしまった記憶を抱えながらも日常を取り戻したある日。
穂積
「櫻井、頼んでいた分析ができたそうだから、小野瀬の所へ取りに行ってちょうだい?」
翼
「はい!」
勢いよく立ち上がり、捜査室を出ようとする私の背中に室長が声をかける。
穂積
「データをもらったら、すぐに戻ってくるのよ?長居したら碌なことにならないから気をつけなさい。」
翼
「はい。」
小笠原
「(小声)なら、自分で行けばいいのに。」
如月
「(小声)すごい三角関係。」
藤守
「(小声)ホンマや。」
穂積
「そこ、うるさい!!」
翼
「い、行ってきます!」
丸めた紙を幾つも投げる室長に返事をして、小野瀬さんのラボへと向かうと、いつものように笑顔で小野瀬さんが迎え入れてくれた。
細野さんも太田さんもいないようで、静かなラボに小野瀬さんの声が響く。
小野瀬
「あぁ、櫻井さん。穂積のお使いだね。今コピーをしているから、ちょっと待ってて?」
休んでいた分の仕事をこなしながらも、新たに舞い込んでくる分析に追われて相変わらず忙しそう。
ただ待ってるのもなぁ…と、手伝いを申し出たものの。
小野瀬
「いてくれるだけで充分だよ。」
と言われてしまう。
せめてコーヒーくらい…と思い、ラボのコーヒーメーカーでコーヒーを淹れていると、小野瀬さんがニコニコしながらこちらを見ていた。
翼
「あの…、何か?」
小野瀬
「もしかして何かしらしていないと、落ち着かないのかな?」
少しでも時間が空くと、どうしても失ってしまった記憶の欠片を探そうとしてしまうから、出来る限り考えないようにしていたのだった。
凄く大事な何かを忘れているような、言いようのない不安感が体にまとわりついているようで、これ以上皆に心配をかけないように、気持ちから目をそらしていたのに。
図星を突かれ、思わず顔が赤くなる。
翼
「もう、言わないで下さい!」
くすくす笑う小野瀬さんに背を向けると、
小野瀬
「ゴメンね、からかっているわけじゃないんだ。でも、何かしていたいなら、そこの棚にある一課のファイルを取ってもらえるかな?」
翼
「はい!」
気を紛らわせるために、いつも細野さんが出してくれた青い背表紙のファイルを書棚からみつける。
ちょっと高いけれど、これくらいは大丈夫だろうと背伸びをしてみるが。
翼
「………。」
届かない。
もう一回。
翼
「~~~!」
どうにか届いたけれど、みっちりと詰められたファイルを抜くことができない。
小野瀬
「あっ、ゴメン。届かなかったんだね。」
立ち上がって手伝おうとする小野瀬さんの腕を遮って、再びつま先立ちでファイルに手を伸ばすと。
翼
「あっ!」
小野瀬
「危ないッ!!」
ぎゅうぎゅうに詰められたファイルの均衡を崩したのか、目当ての物以外もバランスを失って落ちてくる。
逃げることも出来ず、ギュッと目を瞑って襲いかかるであろう衝撃に体を縮こまらせていると。
翼
「きゃあ!」
グイッと腕が引かれ、倒れながらも温かくていい匂いに包まれた。
小野瀬
「大丈夫!?」
翼
「は、はい。」
小野瀬
「良かった……、君が無事で…。」
不思議と懐かしさを感じる香りと、どこかで聞いたことのあるフレーズ。
心底安心したような口調と、抱きしめている腕の強さが、自分の記憶を揺さぶっているのがわかる。
翼
「小野瀬…さん……。」
小野瀬
「ん?なぁに?」
見上げた先にあったのは、綺麗な笑顔で。
ドクンッ
心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらい胸が高鳴り、それと同時に、ぞわりと肌が泡立つような痺れが体を駆け巡った。
どうして、こんな気持ちになるのか。
答えが出そうで出ないもどかしさを抱えながらも、たった一つの可能性が浮かんでくる。
それはきっと失った記憶に繋がっているはずだと、本能が示す。
確かめるように小野瀬の背に腕を回すと、不思議と涙が溢れた。
記憶は戻らないのに、体は全て覚えていたんだ。
翼
「こうやって抱きしめて貰うのは、2回目ですね…。」
小野瀬
「さ、櫻井さん、もしかして!?」
ガバッと体を起こして顔を覗きこむ小野瀬に、小さく首を横に振った。
翼
「思い出せてはいないんです。でも…。」
小野瀬の手を取って自分の頬に当てると、それだけでまだ涙が零れていく。
どうしてこんな気持ちになるのかは分からないけど、『こうして欲しい』と声にならない叫びが体から溢れてくる。
小野瀬
「本当に…君は……。」
チュッと鼻先に触れたくちびるをから視線を離せないでいると、小野瀬さんのパソコンが『ピーッ』っとデータのコピーが出来たと音を立てた。
そして、それを合図にしたかのように、私たちのくちびるは深く重なり、離れることはなかった…。
[削除]
07/12(Fri) 22:05
エンディンo(^_^)Oグッ
清香
~捜査室~
コチコチと時計の秒針が嫌な音をたてる。
音が響く度に、室長席の穂積からどす黒いオーラがゆらゆらと出るようだ。
小笠原
「(小声)櫻井さん、まだなの?」
藤守
「(小声)如月、お前ちょっと迎えに行ってこいや!」
如月
「(小声)イヤですよ!決定的瞬間なんて見たくないじゃないですか!」
ボソボソと繰り広げられる部下たちの小声の会話を遮るように、穂積がバンっと机に手をついて勢いよく立ち上がった。
穂積
「……便所行ってくる。」
3人
「「「は、はい!行ってらっしゃいませ!!」」」
どすどす歩きながら捜査室のドアから穂積が出ていくと、3人は一気にため息を吐いた。
如月
「怖かった…。」
藤守
「もしかしたら櫻井は小野瀬さんと…?」
小笠原
「可能性は…。」
悪魔のいなくなった隙に口々に話し始める3人に、それまで黙っていた明智が口を開く。
明智
「お前たち、そんな話をしている暇があるなら滞っていた書類を片付けろ。」
藤守・如月
「「は、はぁーい。」」
明智
「小笠原は顔認識プログラムの精度をあげて実践で活用できるようにするんだろう?」
小笠原
「…はい。」
明智
「やるべき事をきちんとやれ。話はそれからだ。」
3人
「はい…。」
トントンっと手元の書類を纏めると、明智は立ち上がって室長席へと書類を置いた。
藤守
「えっ、明智さん、もう終わったんスか?」
如月
「は、早えっ!」
明智
「こんなの当たり前だ。タバコ吸ってくる。」
そう言ってポケットの中のタバコを確認し、明智は捜査室を出た。
真っ直ぐ進めば、すぐに休憩室と喫煙所がある。それでも、明智は角を曲がって鑑識のあるブロックへと向かった。
きっと、穂積は小野瀬のラボへ向かっている。
そんな確信を明智は持っていた。
明智
「やっぱり…。」
予想通りに小野瀬のラボの前でドアに手をかけたまま佇む穂積がいた。
いつもの自信に溢れた顔はどこへやら、ドアを見つめる碧色の瞳はどこか揺れているようで。
くるりと振り返ると、明智は何も言わずに喫煙所へと足を向けた。
いつもよりゆっくりとタバコに火をつけ、胸の奥深くへ煙を吸い込んだ。
ふぅーっと吐いた煙が換気扇に吸い込まれて行くのをぼぉっと見ながら、コツコツと聞こえてくる足音に笑顔を向けた。
明智
「室長、一本いかがですか?」
穂積
「……あぁ。」
沈んだ顔の穂積にタバコの箱を差し出し、穂積が一本口に加えるとライターで火をつけた。
穂積
「さっき、俺の後をつけただろ。」
明智
「やはりばれていましたか。」
穂積
「当たり前だ。」
明智
「すみません。」
穂積
「…別に俺は振られてねぇから。」
明智
「はい。」
穂積
「告白してねぇし。」
明智
「はい。」
穂積
「…アイツが幸せなら、それでいい。」
明智
「…そうですね。」
それから二人で何も言わずに漂う煙を見ていると、穂積が大きく伸びをする。
穂積
「明智、お前は何とも思っていないのか?」
明智
「どうしてですか?」
穂積
「一応、お前の事が好きだって言ってただろ。」
モゴモゴしながら言う穂積に『あぁ。』と言うと、明智も大きく伸びをしながら立ち上がった。
明智
「俺は何とも思っていません。櫻井が暗示にかけられていたのは何と無く分かりましたし、室長と同じく櫻井が幸せになってくれるなら、いつまでも見守りますから。」
喫煙所のソファーに座ったまま明智を見上げる穂積に右手を差し出すと、穂積が明智の手を掴んで勢いよく立ち上がり、ため息をつく。
穂積
「なんだか、娘を嫁に出すみたいだ。」
明智
「そうですね、よく分かります。」
穂積
「じゃあ、お前も父親か。」
明智
「いや、父親は室長でしょう。俺はさしずめ心配性な母親です。」
明智がおどけて言うと、穂積が苦笑いしながら明智の肩を小突いた。
穂積
「なんだ、それ。」
明智
「すみません、調子に乗りました。」
穂積
「ったく、とんだ嫁をもらっちまったな。」
明智
「ありがとうございます。」
ぺこりと律儀に頭を下げる明智の背中を叩くと、穂積は捜査室へと足を向ける。
穂積
「さぁ、アホな息子達が働いてるか確認すっか。」
明智
「はい。」
その背中はいつもより少しだけ寂しそうではあったが、見えた穂積の横顔に憂いは微塵も感じられなかったのだった…。
-fin-
[削除]
07/12(Fri) 22:42
お疲れさまでした!
小春
清香さん、素敵なエンディングありがとうございました!
ともさん、今回もナイスアシストありがとうございました!
くちびるさん、たくさんのターニングポイントをありがとうございました!
ジュンさん、初参戦で善戦ありがとうございました!
エミさん、毎日読み逃げありがとうございました!
せつなさん、楽しんでいただけましたか?
関わってくださった全ての作家様と、全ての読者様に御礼申し上げます。
皆様、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました!
みんな大好き!(´ 3`)×1000
明日は恒例の反省会やりますよ!
ボツネタ持って集合!
07/12(Fri) 23:05
お疲れ様でした。
清香
今回は何が辛いって、2回も操作ミスでネタが吹っ飛んだことです。
やっぱりメモで作れば良かったわ(。´Д⊂)
とりあえずボツネタ用意しときます。
[削除]
07/12(Fri) 23:54
ありがとうございました(^-^)
とも
皆さんホンマにお疲れさまでした~♪ヽ(´▽`)/
一番の山場はいつもおまかせしちゃう私。
今回は上手く繋げられたか結構ドキドキしながらでしたが、無事に終われてよかったです(^-^)
[削除]
07/13(Sat) 07:55
おはようございます。
小春
~『ポケット小野瀬』反省会会場(捜査室)~
背筋を伸ばしてきちんと床に正座している明智、その向かいに正座させられて、小さい身体をさらに小さく縮めうなだれている小春。
明智
「小日向、説明してもらおうか」
小春
「ううう、すみません」
明智
「お前は、室長の次に俺が好きだといつも言ってくれている。それなのに、なぜ俺はリレーで毎回えらい目に遭うんだ」
小春
「……(全部読み返してる)ホントだ」
明智
「『創作室』のおじ様ネタで室長と小野瀬さんに脅され、『穂積と小野瀬』のアメリカ番外編ではゲイに惚れられ、『明智』スレッドなのに「穂積←→小野瀬」で室長に彼女を取られ、今また『創作室』で、告白されたと思ったらヤマダの陰謀で結局彼女は小野瀬さんに持っていかれた」
小春
「ご、ご愁傷さま……」
明智
「他人事か!」
小春
「いやー!でもアップも男前ー!」
ばーん!
清香登場。
清香
「明智さん、小春さんをタバコの箱の角でつつくのはやめてあげてください!」
小春
「あっ、清香さん。地味に痛いよう」
清香
「私は知っています。小春さんは半ば本気で明智オチにしようと考えてました」
小春
「あっ、ここは暴露で乗り切る作戦か」
清香
「そのため、あそこで私の愛するミニ穂積くんを消して、結果、私の『ミニ穂積×明智ラブラブ計画』をボツネタに追い込んだのです!」
明智
「あれは泣いたぞ」
清香
「くちびるさんのぶっ込みで明智エンドは免れたけど、ミニ穂積くんは戻らなかった。小春さん!私のミニ穂積くんを返せ!」
小春
「わー!味方だと思ったら敵!それに明智エンドと見せかけて、実は小野瀬エンド狙いだったのに!」
明智
「何だとー?!」
小春
「いやー!胸倉を掴むより寝技でお願いします!」
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07/13(Sat) 08:18
おはようございますぅ…ふるる……(∋_∈)
くちびる
あの~壁|(/ー ̄;)
反省会の会場は前回同様こちらでよろしいでしょうか!?
あっあっ明智さん…この度は大変申し訳ありませんでした~!
あれ~(〃^ー^〃)小春さん、清香さんもおみえだったんですね~!
…なんか微妙な空気…
明智さんピリピリしてるし…どどどどどうしよう…(∋_∈)
[削除]
07/13(Sat) 08:30
くちびるさん、おはようございます
小春
小春
「あっ、くちびるさんいらっしゃい!」
くちびる
「小春さん!大丈夫ですか?!」
小春
「今回、くちびるさんには、『書き込む前に更新するルール』の話とか、『翼ちゃんとヤマダの真相』とか、他にもいろいろ聞きたい事があったんですよ。でも、私、今、ご覧の通りですから、言いたい事は自らぶっちゃけてください。……ど、どうにか寝技に変えてくれないか交渉中なんです……」
くちびる
「小春さん……あんなに苦しそうなのに、ちょっと嬉しそうなのは何故?(; ̄Д ̄)?」
07/13(Sat) 10:05
龍鬼
こーんにちは!
毎回読み逃げしてた私です。
手土産にアイス持ってきましたよー。
1個100円となります。
07/13(Sat) 10:11
龍鬼さん、いらっしゃい
小春
タイミング悪くてごめんなさいね。
読み逃げしてくれてたんですね。全然OKですよ、ありがとうございます。
あ、アイス100円ね。
ソーダ味のをひとつください。
[削除]
07/13(Sat) 10:18
とも
ばーん。
とも
「ジャマするで~」
藤守
「ジャマするんやったら帰って~」
とも
「はいよ~」
藤守
「なんで新喜劇ネタで入ってくんねん!きっと誰もわからんし!」
とも
「え~、だって入りづらい雰囲気なんやもん。とりあえず隅っこにいよっと。あ、龍鬼さんや、私にもアイスください」
[削除]
07/13(Sat) 10:27
ともさん、いらっしゃい
小春
やっと寝技から解放されたわ(#´∇`))←嬉しそう
今回はともさんの「やっぱり」を外しちゃってごめんなさい。
今、明智さんのご機嫌とるから待っててね(  ̄▽ ̄)
[削除]
07/13(Sat) 10:45
明智さんに捧げるお話。
小春
~掲示板限定、『ポケット穂積』&『ポケット小野瀬』番外編~
昼休み。
あれ以来、何となく元気のない明智の元に、藤守、如月、小笠原の三人が、互いに小突きあいながら、こそこそと近寄ってゆく。
藤守
「あのう、明智さん」
結局、藤守が代表して声を掛けた。
明智が振り向く。
その鼻先に、小さい紙袋が差し出された。
明智
「?」
藤守
「開けて見てください。三人で作ったんです」
明智
「……?」
昔、小学校の家庭科の実習でクッキーを作った女子が、それを、ちょうどこんな雰囲気で休み時間に男子にプレゼントしていたのを思い出した。
同時に、クッキーなど職人のようにサクサク焼いてしまう自分の所には、とうとう誰も紙袋を差し出してくれなかった事も。
切ない時には、思い出す記憶までも切ない。
明智
「ありがとう」
明智は気の無い返事をしながら、それでも両手で袋を受け取り、中を覗いてみた。
そこに入っていたのは、穂積のミニサイズの人形。
いや、明智にとっては、ミニ穂積くんの人形、と言うべきか。
明智
「!」
思わず立ち上がった明智を、笑顔を浮かべた三人が嬉しそうに囲む。
藤守
「服はまだ持ってますよね?」
如月
「着せてみせてくださいよ♪」
小笠原
「着せたらこのスイッチを入れてみて」
明智
「?」
わいわい言われながら、小笠原の言う通りに人形の背中を押してみると。
泪
『明智いー』
明智
「うわ」
ミニ穂積そっくりな声が出て、明智は飛び上がりそうになる。
小笠原
「前に録音しておいたんだ」
泪
『腹が減ったよー』
明智
「は、はい。すぐに支度します」
嬉々として給湯室に行きかけ、けれど、明智はそこで足を止めた。
明智
「……っと、これは人形だったか……」
急に現実に戻り、悲しげに肩を落とした明智を見て、藤守たちもハッとしたように沈んだ面持ちになる。
藤守
「……なんか、かえって落ち込ませちゃいましたか……?」
如月
「すみません」
小笠原
「……失敗」
明智
「そ、そんな事はないぞ!これ、良く出来てる。大きさも同じだし、可愛いし、……そっくりだし……」
ミニ穂積の人形を中心に、四人の男たちの間に気まずい空気が流れた。
そこへ。
穂積
「ただいま」
翼
「ただいまです!」
小野瀬
「お弁当買ってきたよ」
仲良く買い出しから戻ってきたのは穂積と翼、何故か同行していた小野瀬。
そして。
泪
「ただいま、明智ー」
小さい穂積。
泪
「と、その仲間たち」
藤守・如月・小笠原
「まとめるな!」
泪
「何してるんだ?」
歩み寄ってきた穂積の胸ポケットから飛び降りようとしていた小さい穂積に、明智は掌を差し出した。
明智
「藤守たちが人形を作ってきてくれたんですよ」
泪(人形)
『良く出来てるだろ?』
小笠原が無表情で、ミニ穂積人形を掲げている。
輪の中に入ってきた四人は大笑いだ。
藤守
「何か、うまい事言うたぞ」
小笠原
「人工知能を搭載したからね。初期設定だけでも5,000パターンあるけど、話し掛ける言葉を学習して、どんどん賢くなるよ」
小野瀬
「最新技術だね。宇宙飛行士も退屈させないっていう会話システムだ」
藤守
「俺のフィギュアにそんなハイスペックなアイテムが……」
目を潤ませる藤守だが、小さい穂積は不満顔。
泪
「精密機械じゃプロレスの相手はさせられねえなあ」
如月
「それは小野瀬人形で」
泪
「仕方がない」
小野瀬
「無理して俺の人形をいじめなくてもいいから!」
穂積
「頼むぞ明智。小さい穂積は翼がなかなか離さないから、ミニ穂積はお前が賢く育ててくれ」
明智
「はい」
穂積に髪をくしゃりと撫でられ、掌の上から小さい穂積に見上げられて、明智は嬉しそうに笑う。
小笠原
「徐々にロボット化も構想している」
小野瀬
「本物の穂積より強く賢くなるかもね」
穂積
「確かにな。明智と小笠原に育てられたら、無敵に育つぞ」
泪
「ロケットパンチもつけてくれよな」
ぴょん、とミーティングテーブルの上に着地した小さい穂積が、隣に置かれたミニ穂積人形を眺めてから、明智を見上げた。
泪
「明智、腹減ったぞ」
泪(人形)
『なんか食わせてくれー』
一同がどっと笑う。
明智
「はい、すぐに支度します」
明智は破顔一笑すると、翼を伴って、全員で昼食を食べるため、お茶を淹れる準備に向かうのだった。
07/13(Sat) 11:02
こんにちは
ジュン
警視庁前に1人佇む女……
スマホの画面を見つめて独り言を洩らす。
「明智さん、よかったねぇ~。しかし、頑張ってここまで来たんやけど……捜査室ってどこにあるんやろ?」
それに反省会に参加してといいのか……
「誰か迎えに来てくれんかなぁ(涙)」
[削除]
07/13(Sat) 11:06
ジュンさん!
小春
迎えに来ましたよ!
さあさあどうぞ。
もう登録してありますからセキュリティも難なくクリア。
今ね、捜査室メンバーも小さい穂積も小野瀬人形もミニ穂積人形も揃ったところです。
龍鬼さんのアイス食べる?
[削除]
07/13(Sat) 11:34
わーい
ジュン
小春さーん!迎えに来てもらえて嬉しいです~。
皆さん、初めまして(о´∀`о)
龍鬼さんのアイスいただきます。
あっ、ともさん、私は新喜劇わかりますよ(*^o^)/\(^-^*)
[削除]
07/13(Sat) 11:51
(。´Д⊂) ウワァァァン!!
清香
明智さん、良かったねぇ。
ちょっとでいいから、ミニ穂積くん貸して?
大丈夫、イタズラしないから。
写真撮ったらすぐに返すから。
ふふっ。
穂積
「コラーッ!!そこ!何してる!?」
清香
「ちっ、バレたか。」
[削除]
07/13(Sat) 11:59
とも
ジュンさん!新喜劇ネタわかるんですか?
♪ヽ(´▽`)/
さぁさぁこちらへどうぞ。
それにしてもフィギュアよくできてるな~。
明智さんや翼ちゃんがかわいがるのわかる気がする…。
そして私にも作ってほしいわ。
ねえ、賢史くん?
逆鱗。
小春
穂積
「明智、すまないが小野瀬と櫻井が心配だ。少し様子を見てくるから、お前はゆっくり休め」
明智を残して部屋を出る。
窓からの稲光と雷鳴が続く中、穂積の足取りは徐々に速くなった。
2人の所に向かう穂積はひどく胸騒ぎを覚えていた。
見えない何かが自分に向かって来る様なひどい違和感…。
穂積
「無事でいてくれ…。」
隣の部屋なのに、なぜこんなに遠いのだろうか。
扉に手をかけようとした、その時。
扉が横にスライドし、二人がいるはずの部屋から、翼が走り出て来た。
穂積
「櫻井?」
咄嗟に翼の手を掴む。
穂積と鉢合わせした翼は一瞬息を飲み、次の瞬間、穂積の手を振りほどいて駆け出そうとした。
穂積
「待て、櫻井!」
翼はいやいやと首を振り続けながら、さらに穂積から離れようとする。
だが、穂積の力は緩まない。
穂積
「どこへ行く?小野瀬は?」
翼
「小野瀬さん……、小野瀬さんが、私の事を!」
そこまで言うと、翼はわっと泣き出した。
穂積が室内を覗き込むと、そこでは、翼に突き飛ばされたらしい小野瀬が、全裸の身体にベッドから剥いだシーツを巻き、床から起き上がろうとしているところだった。
穂積
「小野瀬!お前、身体が元に戻ったのか?!」
翼
「さっき、落雷があった時です。でも、戻った途端、小野瀬さんは、私をベッドに押し倒そうとして」
小野瀬
「嘘だ!」
確かに、翼からは微かにだが、小野瀬のあの柑橘系の香りがする。
翼
「室長、私、室長に、こんな恥ずかしい嘘なんかつきません」
穂積
「櫻井……」
ぼろぼろと涙をこぼす翼を、穂積はじっと見つめる。
小野瀬
「穂積、騙されるな!そいつは櫻井さんじゃない。あの、怪しい医師の変装だ!」
穂積
「何だと?!」
腰にシーツを巻いて起き上がった小野瀬が、穂積の傍らの翼に指先を突きつけた。
小野瀬
「明智くんの入院以来、こいつは時に櫻井さんを操り、時に入れ替わり、俺たちの反応を楽しんでいたんだ」
穂積
「……」
穂積が絶句する。
小野瀬
「本物の櫻井さんは、どこかに眠らされているそうだ。そんな奴、どうでもいい。早く、櫻井さんを見つけて助け出さないと!」
穂積
「小野瀬……」
穂積は小野瀬を見、翼を見た。
確かに、今の翼は、この雷鳴の轟く中でも平然としている。
捜査室での落雷に怯え、穂積にしがみついてきた翼ではない。
それに、いくら小野瀬が好色でも、今までの流れの中で、翼を無理矢理自分のものにしようとするなど考えられない。
明らかに、翼の方が嘘をついているのだ。
今頃、本物の翼が、どこか知らない場所で一人で、大嫌いな雷の音に震えているかと思うと、たまらなくなった。
……だが。
穂積
「本物だ、小野瀬」
小野瀬
「え?」
翼
「きゃあっ!」
穂積は、掴んでいた翼の手首を背中側に捻り上げると、悲鳴を上げるのも構わず、床に膝をつかせた。
穂積
「櫻井が、いつ、どこで入れ替わっていたかは知らん。あのニセ医者が、櫻井をどう操ったかは知らん。だが、今、ここにいるこの櫻井は本物だ」
小野瀬
「いや、穂積、そのわりに、お前、扱いが……!」
まるで犯人を確保する時のような取り押さえ方に、小野瀬は気が気ではない。
何しろ、185cmの穂積に比べたら、翼の華奢な身体はあまりにも小さいのだ。
穂積
「本物だ。この距離で、俺が櫻井を見間違えるはずがない」
完全に翼の動きを封じておいて、穂積は声を張り上げた。
穂積
「藤守!如月!」
穂積の大声に、休憩室で待機していた二人がすっ飛んで来る。
穂積
「お前ら手錠持ってるだろ。藤守の手錠は櫻井の両手にかけろ。如月の手錠は、俺と櫻井とを繋げ」
藤守と如月は目をぱちくりしているが、もちろんすぐにそれに従う。
穂積
「小笠原」
穂積は、藤守と如月に少し遅れて到着した小笠原を呼び寄せた。
穂積
「顔認識システムにかけろ。必要ならDNA鑑定しろ」
穂積はそこまで指示を出してから、小野瀬に向き直った。
穂積
「小野瀬、カウンセリングを続けろ。俺は、ニセ医者の行方になんか興味はない。こいつを元に戻したいだけだ」
穂積から表情が消えている。
本気で怒っている証拠だ。
穂積
「簡単に入れ替わられたり、暗示にかけられたりしやがって。お前それでも刑事か!」
穂積は、手錠をかけられて廊下にへたりこみ、黙り込んでしまっている翼を怒鳴りつけた。
穂積
「明智以外は捜査室に戻るぞ!」
振り回され続けた穂積の凄まじい怒りに、全員は、無言で頷くしかなかった。
[削除]
07/11(Thu) 17:03
とも
朝からお話がすすんでるぅ~\(゜o゜;)/
そして室長に悪魔が降臨(`Δ´)Ψ
続きが気になる←他力本願ね♪
07/11(Thu) 18:55
ともさん、こんにちは。
小春
お疲れさまです。
お話動いてますよー。
引き続きよろしくお願いします(´∇`)
[削除]
07/11(Thu) 21:38
こんばんはー~(⌒‐⌒)
くちびる
小春さん(o^-^o)続き書いて頂いてありがとうございますぅ♪
室長を本気で怒らせてしまいましたね( ̄^ ̄)
物語もいよいよ大詰めですかね…?
頑張れー(=`ェ´=)ルイルイ・御大!!
[削除]
07/12(Fri) 06:41
おはようございます。
小春
昨日は清香さん、ともさん、くちびるさん、エミさん、ジュンさん、ありがとうございました。
捜査室に戻って、物語もいよいよ大詰め(毎日言ってる気がする)。
作家さま、読者さま、今日もよろしくお願いします!
[削除]
07/12(Fri) 08:22
おはようございます♪
くちびる
毎日暑い~(;>_<;)私の地域は本日37度です。うだる~(∋_∈)さあ~今日も仕事頑張りますね~(^〇^)
…………………………………
穂積に手錠で繋がれたまま、翼は不意に笑い始めた。
???
「僕を拘束してもマルガレーテは戻らないよ。」
穂積
「黙れ!!貴様こそ櫻井の身体から出ていけ!!
俺にはごまかしは通じないぞ!」
???
「やれやれ…参ったなあ~。」
翼は全く動じずむしろ平然と今の状況を楽しんでいる様子さえ伺える。
小笠原
「顔認識にかけるよ。」
……………………………………
[削除]
07/12(Fri) 08:30
やっぱり
とも
今の翼ちゃんは山田やったか。
~翼サイド~
気がつくと目の前は真っ暗で何も見えない。私、今まで何をしてたんだっけ…。
思い出せない。
目が慣れてきても辺りにはやっぱり何もなくて、音さえも聞こえてこない。
気持ちが冷静になればなるほど、今度は怖い気持ちが大きくなる。
ここは何処なの?怖いよ……。
誰か私を見つけて…。
そうつぶやいて、私はあの人の顔を思い浮かべた…。
07/12(Fri) 08:33
くちびるさん、ともさん、おはようございます。
小春
私はもうヤマダには騙されない。
[削除]
07/12(Fri) 08:59
昨日も寝落ち。
清香
おはようございます。
今日こそ完結できるか!?
~捜査室~
小笠原
「顔認識にかけたけど、櫻井さんのままだ。」
穂積
「可能性は?」
小笠原
「まだ試験的な活用だけど99.9%」
穂積
「でもほぼ確実ってことね。指紋は?」
如月
「翼ちゃんの使っていたボールペンを小野瀬さんが持って行きました。」
穂積
「分かった。ちょっと鑑識に行ってくるから、何かあったら携帯を鳴らしてちょうだい。」
穂積が捜査室を出ると、会議室前で中の様子を伺いながら立つ藤守がいた。
穂積
「どう?」
藤守
「まだカウンセリングしているようですわ。」
穂積は警察病院から無理矢理連れてきた精神科医の医師に、翼のカウンセリングをさせていた。
どうにかして元に戻してやる。
ただそれだけが願いだった。
[削除]
07/12(Fri) 09:54
室長の眼力を信じて。
小春
~小野瀬vision~
穂積に捕まってしばらくの間はあれほど饒舌だった櫻井さんの唇は、本人を認識する作業が進むうち徐々に言葉を発しなくなり、検査が全て終わる頃には、表情も消え、すっかり黙り込んでしまった。
穂積
「新しい暗示が与えられないからだろ。そのうち無反応になるんじゃないか」
精神科医療に関しては門外漢のはずの穂積だが、彼女が櫻井さん本人である事に対しては、全く自信が揺るがなかった。
その根拠は単純にして明快。
穂積
「俺が本人だと感じるからだ」
過去の血液検査との照合、歯の治療痕など、すぐに結果の出るものはもちろん、小笠原が研究中の顔認識、目の網膜、手の血管、DNAまで。
およそ、警視庁に過去の櫻井さんのデータがある全てのものについて、穂積は徹底的に検査し照合させた。
フルDNA鑑定には時間が掛かる。
しかし、それ以外の検査の結果は全て、彼女が櫻井さん本人である事を示した。
小笠原
「99.9、その下に9桁の9」
検査の結果に、穂積は眉ひとつ動かさなかったという。
一旦鑑識に出勤し、細野や太田に欠勤中の詫びと仕事の指示を出していた俺は、再び穂積に呼び出され、カウンセリングに加えられた。
カウンセリングの方は行き詰まっていた。
警察病院の精神科医は、日本でも指折りの名医だ。
けれど、貝のように塞ぎこんでしまった櫻井さんの感情を動かす事は、とうとう出来なかったのだ。
沈痛な面持ちで頭を下げた医師に礼を言い、病院まで送り届けてくれるよう如月くんたちに託した後、穂積と俺は、休憩室で溜め息をついていた。
櫻井さんは、俺と穂積に挟まれて、人形のような顔をして座っている。
彼女の前に置かれたオレンジジュースは、缶の周りについた水滴がすっかり落ち、水溜まりが出来ていた。
……続きも書いてますので、しばらくお待ちを。
[削除]
07/12(Fri) 11:11
こんにちは
ジュン
こんにちは。
いよいよ大詰めですね(><)
翼を元に戻すのは誰なのか!!
楽しみです(*^^*)
[削除]
07/12(Fri) 11:18
ジュンさん、こんにちは。
小春
今日も励ましのコメントありがとうございますヽ( ̄▽ ̄)ノ
エアコン故障中で汗だくですが歓迎のダンスを踊っています。
お陰さまでかなり来ましたね。
引き続きよろしくお願いします。m(__)m
07/12(Fri) 15:14
進んでますね~(^〇^)
くちびる
やっと休憩♪
翼ちゃんは元に戻れるんでしょうか!?(゜ロ゜)
いよいよ最大の?山場ですね~( ̄ー ̄)
続き期待してます~(⌒‐⌒)←読み逃げ♪
また夕方あたりに覗きに行きます~!
[削除]
07/12(Fri) 17:07
くちびるさん、こんにちは。
小春
頑張って書いてますよ。
もうしばらくお待ちくださいませ。
[削除]
07/12(Fri) 17:12
こんにちは(^-^)
とも
ラストまでもうすぐですね!
小春さん、続きを正座して待ってます♪ヽ(´▽`)/
[削除]
07/12(Fri) 17:15
ともさん、こんにちは。
小春
お待たせしてすみません。
出来れば一気に進めたいので、もうしばらくお待ちを。
ともさんの足が痺れないうちに何とかしたいわ(´∇`)
[削除]
07/12(Fri) 18:33
お疲れ様です♪
くちびる
私も正座してお待ちしてますよ~(〃^ー^〃)
夕方なのに日傘が必需品って…( ̄^ ̄)
今電車の冷房でやっと汗が引きました~d(⌒ー⌒)!
07/12(Fri) 21:54
お待たせしました。
小春
~小野瀬vision~
小野瀬
「……せっかく、彼女が本人に間違いないと証明されたのに、その先が八方塞がりだなんてね……」
穂積
「……」
俺の言葉に、さすがの穂積も考え込む。
が、穂積は不意に、何かを思い出したような顔をこちらに向けた。
穂積
「そう言えば、お前はどうやって元に戻ったんだ?あの時、聞きそびれたままだったけど」
小野瀬
「ああ……」
確かに。
あの時は、急に苦しくなったかと思うと身体が大きくなり始めて、しかも、櫻井さんだと思っていた相手に、突然、偽物だと言われて。
正直言って、何が何だか分からないうちに元に戻っていた。
だから、改めて尋ねられても、俺自身にも、説明のしょうがない。
ただ、その直前、俺は天国にいるように甘美な感覚を味わっていた気がする。
小野瀬
「……愛の力、とか……?」
穂積
「まさか、本当に押し倒してたんじゃねえだろうな」
穂積は嫌そうな顔をした。
穂積
「なんか裸だったし」
小野瀬
「服が小さくなってきたから脱いだだけだよ!無実だよ!ね、櫻井さん!」
穂積
「本当か?こいつ、普段の行いが悪いからな。なあ、櫻井?」
俺と穂積が笑いながら話しかけても、櫻井さんは何も答えない。
穂積
「櫻井……」
穂積は浮かべた笑顔を静かに消して、悲しげな表情でじっと、反応の無い櫻井さんを見つめた。
さっきまでは無理してふざけていたが、俺は、穂積の深い眼差しの意味を知っている。
穂積にはきっと見えているのだ。
彼女自身の中でもがいている、本当の彼女の姿が。
俺は櫻井さんの手を握り、目を閉じてみた。
俺には、穂積のように直感的に彼女を知る事は出来ない。
せめて感じたいと思った。
きっと彼女は今、暗闇の中でただ一人、怖い思いをしているに違いないから。
小野瀬
「櫻井さん……」
[削除]
07/12(Fri) 21:58
続き。
小春
廊下に靴音が響いてきて、俺と穂積は顔を上げた。
引き締まった長身が捜査室に向かいかけていた足を止め、こちらに方向転換して歩いて来る。
明智
「室長、小野瀬さん」
穂積
「明智!」
穂積が立ち上がった。
手を振って近付いて来る明智くんの後ろから、如月くんと藤守くんも笑顔で姿を現した。
如月
「精神科の先生を送って行ったら、ちょうど、明智さんがナースセンターで退院の打ち合わせをしていたんですよ」
藤守
「だから、車で一緒に帰って来たんです!」
小野瀬
「そうか。退院出来て良かったね、明智くん」
笑顔で迎えると、傍らに来た明智くんは俺と穂積に向かって、丁寧に頭を下げた。
明智
「ご心配をお掛けしました」
身を屈めたところで、明智くんは、俺と穂積の間に座ったまま身動ぎもしない櫻井さんの姿をちらりと見、探るように俺を見た。
明智
「……櫻井は、まだ……?」
俺が頷くと、明智くんは身体を起こし、心配そうな顔を穂積に向けた。
その視線を受けて、穂積は小さく溜め息をつく。
穂積
「まだだ。……その事で、明智に相談がある」
穂積は手招きで呼び寄せた明智くんの肩を叩いて、休憩室のベンチに座らせた。
藤守
「そしたら、俺ら、先に捜査室に戻ってますわ。行くで、如月」
如月
「あいさー」
藤守くんたちが背を向けると、穂積は明智くんの肩を抱くようにして引き寄せ、内緒話を始めた。
穂積
「なあ、明智」
明智
「はい」
囁くような低い声に、俺と明智くんは身を乗り出す。
穂積
「……俺と、取引をしないか」
小野瀬
「え?」
思わず俺が聞き返したが、穂積は明智くんから視線を逸らさない。
穂積
「このまま見逃してやる。その代わり、櫻井の暗示を解け」
明智
「……」
明智くんも低い声で返した。
明智
「……断れば、どうなりますか」
穂積
「俺に量刑10年の前科がつくだけだ。出来ればやりたくないがな」
穂積の鋭い眼が光るのを見た明智くんの端正な顔はほんの一瞬だけ強張ったが、やがて、その顔はゆっくりと微笑んだ。
明智
「おお怖い。……僕も、あなたを殺人犯にするのは嫌だな」
笑顔とともに、明智くんの声が変わる。
明智
「……なぜ、分かったの?」
穂積
「簡単だ。明智には『絶対に退院するな』と言ってある」
穂積はにこりともしない。
穂積
「藤守たちには『もしも明智が退院すると言ったら連れてこい』とだけ命じて、病院まで精神科医を送らせた」
明智
「なるほど」
明智くんが、にんまりと満足そうに笑う。
その、不敵な微笑みには見覚えがあった。
小野瀬
「……偽医者」
鳥肌が立った。
明智
「『山田』と呼んで下さい」
山田、と名乗ったその男は澄ました表情で俺に流し目を送り、それから、笑顔で穂積を見た。
山田
「……どうやら、マルガレーテを見つけたのは、ルイルイの方だったようだからね。いいよ。あなたの望みを叶えてあげる」
ホッと息を吐く穂積。
俺は急いで山田の膝を掴んだ。
小野瀬
「ひとつ頼みがある。もし、暗示を解く時に、きみが関わってからの彼女の記憶を消す事が出来るのなら、そうして欲しい」
俺の提案が意外だったのか、山田は首を傾げた。
山田
「おや、いいの?ほとんど、病院での、あなたと過ごした時間の記憶だよ。それを失う事は、この先、あなたに不利になるんじゃない?」
小野瀬
「他人に作られた思い出なんかいらない」
俺は山田をじっと見つめた。
小野瀬
「それに、穂積は俺に対して、ずっとフェアだった。俺も、穂積に負い目を持ちたくないんだ」
穂積
「小野瀬……」
穂積を真っ直ぐに見つめた俺に、山田は、ふうん、と鼻で笑った。
山田
「分かった。ただ、鑑識官どのの方の記憶は残るんだよ。かえって、辛い思いをすると思うけどな」
小野瀬
「分かってる」
山田は穂積の表情を伺い、穂積が頷くのを見届けると、櫻井さんを立ち上がらせ、耳元で、しばらく何かを囁いた。
山田
「では、今度こそごきげんよう」
パチン、と、山田が指を鳴らす。
山田
「再見、諸君」
その途端、櫻井さんの身体は糸が切れたように崩れ、両側で見守っていた俺と穂積の腕の中に倒れこんできた。
穂積
「櫻井!」
小野瀬
「櫻井さん!おい、山田……!」
俺が顔を上げた時にはもう、山田の姿はどこにも無かった。
[削除]
07/12(Fri) 22:04
さぁ、エンディングです。
清香
~翼vision~
気がつけば私は小野瀬さんのラボのソファーで横になっていた。
心配そうに見下ろす小野瀬さんと室長に何があったのか聞いても、二人とも『大丈夫だから、心配するな』としか言ってくれなかった。
記憶を辿ってみても、明智さんが病院へ運び込まれ駆けつけた所までしか憶えておらず、どうやって帰ってきたのかすら分からない。
誰も何も教えてくれなくて。
小野瀬さんが大きくなった事も、穂積くんが消えてしまった事も、全く記憶になくて。
全てが『ただの私の夢だったのかもしれない』と思ってもおかしくないくらいだ。
入院していた明智さんもすぐに退院し捜査室へと戻り、何もかもが元に戻って、すっぽりと抜け落ちてしまった記憶を抱えながらも日常を取り戻したある日。
穂積
「櫻井、頼んでいた分析ができたそうだから、小野瀬の所へ取りに行ってちょうだい?」
翼
「はい!」
勢いよく立ち上がり、捜査室を出ようとする私の背中に室長が声をかける。
穂積
「データをもらったら、すぐに戻ってくるのよ?長居したら碌なことにならないから気をつけなさい。」
翼
「はい。」
小笠原
「(小声)なら、自分で行けばいいのに。」
如月
「(小声)すごい三角関係。」
藤守
「(小声)ホンマや。」
穂積
「そこ、うるさい!!」
翼
「い、行ってきます!」
丸めた紙を幾つも投げる室長に返事をして、小野瀬さんのラボへと向かうと、いつものように笑顔で小野瀬さんが迎え入れてくれた。
細野さんも太田さんもいないようで、静かなラボに小野瀬さんの声が響く。
小野瀬
「あぁ、櫻井さん。穂積のお使いだね。今コピーをしているから、ちょっと待ってて?」
休んでいた分の仕事をこなしながらも、新たに舞い込んでくる分析に追われて相変わらず忙しそう。
ただ待ってるのもなぁ…と、手伝いを申し出たものの。
小野瀬
「いてくれるだけで充分だよ。」
と言われてしまう。
せめてコーヒーくらい…と思い、ラボのコーヒーメーカーでコーヒーを淹れていると、小野瀬さんがニコニコしながらこちらを見ていた。
翼
「あの…、何か?」
小野瀬
「もしかして何かしらしていないと、落ち着かないのかな?」
少しでも時間が空くと、どうしても失ってしまった記憶の欠片を探そうとしてしまうから、出来る限り考えないようにしていたのだった。
凄く大事な何かを忘れているような、言いようのない不安感が体にまとわりついているようで、これ以上皆に心配をかけないように、気持ちから目をそらしていたのに。
図星を突かれ、思わず顔が赤くなる。
翼
「もう、言わないで下さい!」
くすくす笑う小野瀬さんに背を向けると、
小野瀬
「ゴメンね、からかっているわけじゃないんだ。でも、何かしていたいなら、そこの棚にある一課のファイルを取ってもらえるかな?」
翼
「はい!」
気を紛らわせるために、いつも細野さんが出してくれた青い背表紙のファイルを書棚からみつける。
ちょっと高いけれど、これくらいは大丈夫だろうと背伸びをしてみるが。
翼
「………。」
届かない。
もう一回。
翼
「~~~!」
どうにか届いたけれど、みっちりと詰められたファイルを抜くことができない。
小野瀬
「あっ、ゴメン。届かなかったんだね。」
立ち上がって手伝おうとする小野瀬さんの腕を遮って、再びつま先立ちでファイルに手を伸ばすと。
翼
「あっ!」
小野瀬
「危ないッ!!」
ぎゅうぎゅうに詰められたファイルの均衡を崩したのか、目当ての物以外もバランスを失って落ちてくる。
逃げることも出来ず、ギュッと目を瞑って襲いかかるであろう衝撃に体を縮こまらせていると。
翼
「きゃあ!」
グイッと腕が引かれ、倒れながらも温かくていい匂いに包まれた。
小野瀬
「大丈夫!?」
翼
「は、はい。」
小野瀬
「良かった……、君が無事で…。」
不思議と懐かしさを感じる香りと、どこかで聞いたことのあるフレーズ。
心底安心したような口調と、抱きしめている腕の強さが、自分の記憶を揺さぶっているのがわかる。
翼
「小野瀬…さん……。」
小野瀬
「ん?なぁに?」
見上げた先にあったのは、綺麗な笑顔で。
ドクンッ
心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらい胸が高鳴り、それと同時に、ぞわりと肌が泡立つような痺れが体を駆け巡った。
どうして、こんな気持ちになるのか。
答えが出そうで出ないもどかしさを抱えながらも、たった一つの可能性が浮かんでくる。
それはきっと失った記憶に繋がっているはずだと、本能が示す。
確かめるように小野瀬の背に腕を回すと、不思議と涙が溢れた。
記憶は戻らないのに、体は全て覚えていたんだ。
翼
「こうやって抱きしめて貰うのは、2回目ですね…。」
小野瀬
「さ、櫻井さん、もしかして!?」
ガバッと体を起こして顔を覗きこむ小野瀬に、小さく首を横に振った。
翼
「思い出せてはいないんです。でも…。」
小野瀬の手を取って自分の頬に当てると、それだけでまだ涙が零れていく。
どうしてこんな気持ちになるのかは分からないけど、『こうして欲しい』と声にならない叫びが体から溢れてくる。
小野瀬
「本当に…君は……。」
チュッと鼻先に触れたくちびるをから視線を離せないでいると、小野瀬さんのパソコンが『ピーッ』っとデータのコピーが出来たと音を立てた。
そして、それを合図にしたかのように、私たちのくちびるは深く重なり、離れることはなかった…。
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07/12(Fri) 22:05
エンディンo(^_^)Oグッ
清香
~捜査室~
コチコチと時計の秒針が嫌な音をたてる。
音が響く度に、室長席の穂積からどす黒いオーラがゆらゆらと出るようだ。
小笠原
「(小声)櫻井さん、まだなの?」
藤守
「(小声)如月、お前ちょっと迎えに行ってこいや!」
如月
「(小声)イヤですよ!決定的瞬間なんて見たくないじゃないですか!」
ボソボソと繰り広げられる部下たちの小声の会話を遮るように、穂積がバンっと机に手をついて勢いよく立ち上がった。
穂積
「……便所行ってくる。」
3人
「「「は、はい!行ってらっしゃいませ!!」」」
どすどす歩きながら捜査室のドアから穂積が出ていくと、3人は一気にため息を吐いた。
如月
「怖かった…。」
藤守
「もしかしたら櫻井は小野瀬さんと…?」
小笠原
「可能性は…。」
悪魔のいなくなった隙に口々に話し始める3人に、それまで黙っていた明智が口を開く。
明智
「お前たち、そんな話をしている暇があるなら滞っていた書類を片付けろ。」
藤守・如月
「「は、はぁーい。」」
明智
「小笠原は顔認識プログラムの精度をあげて実践で活用できるようにするんだろう?」
小笠原
「…はい。」
明智
「やるべき事をきちんとやれ。話はそれからだ。」
3人
「はい…。」
トントンっと手元の書類を纏めると、明智は立ち上がって室長席へと書類を置いた。
藤守
「えっ、明智さん、もう終わったんスか?」
如月
「は、早えっ!」
明智
「こんなの当たり前だ。タバコ吸ってくる。」
そう言ってポケットの中のタバコを確認し、明智は捜査室を出た。
真っ直ぐ進めば、すぐに休憩室と喫煙所がある。それでも、明智は角を曲がって鑑識のあるブロックへと向かった。
きっと、穂積は小野瀬のラボへ向かっている。
そんな確信を明智は持っていた。
明智
「やっぱり…。」
予想通りに小野瀬のラボの前でドアに手をかけたまま佇む穂積がいた。
いつもの自信に溢れた顔はどこへやら、ドアを見つめる碧色の瞳はどこか揺れているようで。
くるりと振り返ると、明智は何も言わずに喫煙所へと足を向けた。
いつもよりゆっくりとタバコに火をつけ、胸の奥深くへ煙を吸い込んだ。
ふぅーっと吐いた煙が換気扇に吸い込まれて行くのをぼぉっと見ながら、コツコツと聞こえてくる足音に笑顔を向けた。
明智
「室長、一本いかがですか?」
穂積
「……あぁ。」
沈んだ顔の穂積にタバコの箱を差し出し、穂積が一本口に加えるとライターで火をつけた。
穂積
「さっき、俺の後をつけただろ。」
明智
「やはりばれていましたか。」
穂積
「当たり前だ。」
明智
「すみません。」
穂積
「…別に俺は振られてねぇから。」
明智
「はい。」
穂積
「告白してねぇし。」
明智
「はい。」
穂積
「…アイツが幸せなら、それでいい。」
明智
「…そうですね。」
それから二人で何も言わずに漂う煙を見ていると、穂積が大きく伸びをする。
穂積
「明智、お前は何とも思っていないのか?」
明智
「どうしてですか?」
穂積
「一応、お前の事が好きだって言ってただろ。」
モゴモゴしながら言う穂積に『あぁ。』と言うと、明智も大きく伸びをしながら立ち上がった。
明智
「俺は何とも思っていません。櫻井が暗示にかけられていたのは何と無く分かりましたし、室長と同じく櫻井が幸せになってくれるなら、いつまでも見守りますから。」
喫煙所のソファーに座ったまま明智を見上げる穂積に右手を差し出すと、穂積が明智の手を掴んで勢いよく立ち上がり、ため息をつく。
穂積
「なんだか、娘を嫁に出すみたいだ。」
明智
「そうですね、よく分かります。」
穂積
「じゃあ、お前も父親か。」
明智
「いや、父親は室長でしょう。俺はさしずめ心配性な母親です。」
明智がおどけて言うと、穂積が苦笑いしながら明智の肩を小突いた。
穂積
「なんだ、それ。」
明智
「すみません、調子に乗りました。」
穂積
「ったく、とんだ嫁をもらっちまったな。」
明智
「ありがとうございます。」
ぺこりと律儀に頭を下げる明智の背中を叩くと、穂積は捜査室へと足を向ける。
穂積
「さぁ、アホな息子達が働いてるか確認すっか。」
明智
「はい。」
その背中はいつもより少しだけ寂しそうではあったが、見えた穂積の横顔に憂いは微塵も感じられなかったのだった…。
-fin-
[削除]
07/12(Fri) 22:42
お疲れさまでした!
小春
清香さん、素敵なエンディングありがとうございました!
ともさん、今回もナイスアシストありがとうございました!
くちびるさん、たくさんのターニングポイントをありがとうございました!
ジュンさん、初参戦で善戦ありがとうございました!
エミさん、毎日読み逃げありがとうございました!
せつなさん、楽しんでいただけましたか?
関わってくださった全ての作家様と、全ての読者様に御礼申し上げます。
皆様、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました!
みんな大好き!(´ 3`)×1000
明日は恒例の反省会やりますよ!
ボツネタ持って集合!
07/12(Fri) 23:05
お疲れ様でした。
清香
今回は何が辛いって、2回も操作ミスでネタが吹っ飛んだことです。
やっぱりメモで作れば良かったわ(。´Д⊂)
とりあえずボツネタ用意しときます。
[削除]
07/12(Fri) 23:54
ありがとうございました(^-^)
とも
皆さんホンマにお疲れさまでした~♪ヽ(´▽`)/
一番の山場はいつもおまかせしちゃう私。
今回は上手く繋げられたか結構ドキドキしながらでしたが、無事に終われてよかったです(^-^)
[削除]
07/13(Sat) 07:55
おはようございます。
小春
~『ポケット小野瀬』反省会会場(捜査室)~
背筋を伸ばしてきちんと床に正座している明智、その向かいに正座させられて、小さい身体をさらに小さく縮めうなだれている小春。
明智
「小日向、説明してもらおうか」
小春
「ううう、すみません」
明智
「お前は、室長の次に俺が好きだといつも言ってくれている。それなのに、なぜ俺はリレーで毎回えらい目に遭うんだ」
小春
「……(全部読み返してる)ホントだ」
明智
「『創作室』のおじ様ネタで室長と小野瀬さんに脅され、『穂積と小野瀬』のアメリカ番外編ではゲイに惚れられ、『明智』スレッドなのに「穂積←→小野瀬」で室長に彼女を取られ、今また『創作室』で、告白されたと思ったらヤマダの陰謀で結局彼女は小野瀬さんに持っていかれた」
小春
「ご、ご愁傷さま……」
明智
「他人事か!」
小春
「いやー!でもアップも男前ー!」
ばーん!
清香登場。
清香
「明智さん、小春さんをタバコの箱の角でつつくのはやめてあげてください!」
小春
「あっ、清香さん。地味に痛いよう」
清香
「私は知っています。小春さんは半ば本気で明智オチにしようと考えてました」
小春
「あっ、ここは暴露で乗り切る作戦か」
清香
「そのため、あそこで私の愛するミニ穂積くんを消して、結果、私の『ミニ穂積×明智ラブラブ計画』をボツネタに追い込んだのです!」
明智
「あれは泣いたぞ」
清香
「くちびるさんのぶっ込みで明智エンドは免れたけど、ミニ穂積くんは戻らなかった。小春さん!私のミニ穂積くんを返せ!」
小春
「わー!味方だと思ったら敵!それに明智エンドと見せかけて、実は小野瀬エンド狙いだったのに!」
明智
「何だとー?!」
小春
「いやー!胸倉を掴むより寝技でお願いします!」
[削除]
07/13(Sat) 08:18
おはようございますぅ…ふるる……(∋_∈)
くちびる
あの~壁|(/ー ̄;)
反省会の会場は前回同様こちらでよろしいでしょうか!?
あっあっ明智さん…この度は大変申し訳ありませんでした~!
あれ~(〃^ー^〃)小春さん、清香さんもおみえだったんですね~!
…なんか微妙な空気…
明智さんピリピリしてるし…どどどどどうしよう…(∋_∈)
[削除]
07/13(Sat) 08:30
くちびるさん、おはようございます
小春
小春
「あっ、くちびるさんいらっしゃい!」
くちびる
「小春さん!大丈夫ですか?!」
小春
「今回、くちびるさんには、『書き込む前に更新するルール』の話とか、『翼ちゃんとヤマダの真相』とか、他にもいろいろ聞きたい事があったんですよ。でも、私、今、ご覧の通りですから、言いたい事は自らぶっちゃけてください。……ど、どうにか寝技に変えてくれないか交渉中なんです……」
くちびる
「小春さん……あんなに苦しそうなのに、ちょっと嬉しそうなのは何故?(; ̄Д ̄)?」
07/13(Sat) 10:05
龍鬼
こーんにちは!
毎回読み逃げしてた私です。
手土産にアイス持ってきましたよー。
1個100円となります。
07/13(Sat) 10:11
龍鬼さん、いらっしゃい
小春
タイミング悪くてごめんなさいね。
読み逃げしてくれてたんですね。全然OKですよ、ありがとうございます。
あ、アイス100円ね。
ソーダ味のをひとつください。
[削除]
07/13(Sat) 10:18
とも
ばーん。
とも
「ジャマするで~」
藤守
「ジャマするんやったら帰って~」
とも
「はいよ~」
藤守
「なんで新喜劇ネタで入ってくんねん!きっと誰もわからんし!」
とも
「え~、だって入りづらい雰囲気なんやもん。とりあえず隅っこにいよっと。あ、龍鬼さんや、私にもアイスください」
[削除]
07/13(Sat) 10:27
ともさん、いらっしゃい
小春
やっと寝技から解放されたわ(#´∇`))←嬉しそう
今回はともさんの「やっぱり」を外しちゃってごめんなさい。
今、明智さんのご機嫌とるから待っててね(  ̄▽ ̄)
[削除]
07/13(Sat) 10:45
明智さんに捧げるお話。
小春
~掲示板限定、『ポケット穂積』&『ポケット小野瀬』番外編~
昼休み。
あれ以来、何となく元気のない明智の元に、藤守、如月、小笠原の三人が、互いに小突きあいながら、こそこそと近寄ってゆく。
藤守
「あのう、明智さん」
結局、藤守が代表して声を掛けた。
明智が振り向く。
その鼻先に、小さい紙袋が差し出された。
明智
「?」
藤守
「開けて見てください。三人で作ったんです」
明智
「……?」
昔、小学校の家庭科の実習でクッキーを作った女子が、それを、ちょうどこんな雰囲気で休み時間に男子にプレゼントしていたのを思い出した。
同時に、クッキーなど職人のようにサクサク焼いてしまう自分の所には、とうとう誰も紙袋を差し出してくれなかった事も。
切ない時には、思い出す記憶までも切ない。
明智
「ありがとう」
明智は気の無い返事をしながら、それでも両手で袋を受け取り、中を覗いてみた。
そこに入っていたのは、穂積のミニサイズの人形。
いや、明智にとっては、ミニ穂積くんの人形、と言うべきか。
明智
「!」
思わず立ち上がった明智を、笑顔を浮かべた三人が嬉しそうに囲む。
藤守
「服はまだ持ってますよね?」
如月
「着せてみせてくださいよ♪」
小笠原
「着せたらこのスイッチを入れてみて」
明智
「?」
わいわい言われながら、小笠原の言う通りに人形の背中を押してみると。
泪
『明智いー』
明智
「うわ」
ミニ穂積そっくりな声が出て、明智は飛び上がりそうになる。
小笠原
「前に録音しておいたんだ」
泪
『腹が減ったよー』
明智
「は、はい。すぐに支度します」
嬉々として給湯室に行きかけ、けれど、明智はそこで足を止めた。
明智
「……っと、これは人形だったか……」
急に現実に戻り、悲しげに肩を落とした明智を見て、藤守たちもハッとしたように沈んだ面持ちになる。
藤守
「……なんか、かえって落ち込ませちゃいましたか……?」
如月
「すみません」
小笠原
「……失敗」
明智
「そ、そんな事はないぞ!これ、良く出来てる。大きさも同じだし、可愛いし、……そっくりだし……」
ミニ穂積の人形を中心に、四人の男たちの間に気まずい空気が流れた。
そこへ。
穂積
「ただいま」
翼
「ただいまです!」
小野瀬
「お弁当買ってきたよ」
仲良く買い出しから戻ってきたのは穂積と翼、何故か同行していた小野瀬。
そして。
泪
「ただいま、明智ー」
小さい穂積。
泪
「と、その仲間たち」
藤守・如月・小笠原
「まとめるな!」
泪
「何してるんだ?」
歩み寄ってきた穂積の胸ポケットから飛び降りようとしていた小さい穂積に、明智は掌を差し出した。
明智
「藤守たちが人形を作ってきてくれたんですよ」
泪(人形)
『良く出来てるだろ?』
小笠原が無表情で、ミニ穂積人形を掲げている。
輪の中に入ってきた四人は大笑いだ。
藤守
「何か、うまい事言うたぞ」
小笠原
「人工知能を搭載したからね。初期設定だけでも5,000パターンあるけど、話し掛ける言葉を学習して、どんどん賢くなるよ」
小野瀬
「最新技術だね。宇宙飛行士も退屈させないっていう会話システムだ」
藤守
「俺のフィギュアにそんなハイスペックなアイテムが……」
目を潤ませる藤守だが、小さい穂積は不満顔。
泪
「精密機械じゃプロレスの相手はさせられねえなあ」
如月
「それは小野瀬人形で」
泪
「仕方がない」
小野瀬
「無理して俺の人形をいじめなくてもいいから!」
穂積
「頼むぞ明智。小さい穂積は翼がなかなか離さないから、ミニ穂積はお前が賢く育ててくれ」
明智
「はい」
穂積に髪をくしゃりと撫でられ、掌の上から小さい穂積に見上げられて、明智は嬉しそうに笑う。
小笠原
「徐々にロボット化も構想している」
小野瀬
「本物の穂積より強く賢くなるかもね」
穂積
「確かにな。明智と小笠原に育てられたら、無敵に育つぞ」
泪
「ロケットパンチもつけてくれよな」
ぴょん、とミーティングテーブルの上に着地した小さい穂積が、隣に置かれたミニ穂積人形を眺めてから、明智を見上げた。
泪
「明智、腹減ったぞ」
泪(人形)
『なんか食わせてくれー』
一同がどっと笑う。
明智
「はい、すぐに支度します」
明智は破顔一笑すると、翼を伴って、全員で昼食を食べるため、お茶を淹れる準備に向かうのだった。
07/13(Sat) 11:02
こんにちは
ジュン
警視庁前に1人佇む女……
スマホの画面を見つめて独り言を洩らす。
「明智さん、よかったねぇ~。しかし、頑張ってここまで来たんやけど……捜査室ってどこにあるんやろ?」
それに反省会に参加してといいのか……
「誰か迎えに来てくれんかなぁ(涙)」
[削除]
07/13(Sat) 11:06
ジュンさん!
小春
迎えに来ましたよ!
さあさあどうぞ。
もう登録してありますからセキュリティも難なくクリア。
今ね、捜査室メンバーも小さい穂積も小野瀬人形もミニ穂積人形も揃ったところです。
龍鬼さんのアイス食べる?
[削除]
07/13(Sat) 11:34
わーい
ジュン
小春さーん!迎えに来てもらえて嬉しいです~。
皆さん、初めまして(о´∀`о)
龍鬼さんのアイスいただきます。
あっ、ともさん、私は新喜劇わかりますよ(*^o^)/\(^-^*)
[削除]
07/13(Sat) 11:51
(。´Д⊂) ウワァァァン!!
清香
明智さん、良かったねぇ。
ちょっとでいいから、ミニ穂積くん貸して?
大丈夫、イタズラしないから。
写真撮ったらすぐに返すから。
ふふっ。
穂積
「コラーッ!!そこ!何してる!?」
清香
「ちっ、バレたか。」
[削除]
07/13(Sat) 11:59
とも
ジュンさん!新喜劇ネタわかるんですか?
♪ヽ(´▽`)/
さぁさぁこちらへどうぞ。
それにしてもフィギュアよくできてるな~。
明智さんや翼ちゃんがかわいがるのわかる気がする…。
そして私にも作ってほしいわ。
ねえ、賢史くん?