『ポケット小野瀬』
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~小野瀬サイド~
小野瀬
「俺なら大丈夫だよ、櫻井さん」
ふらふらしながら小野瀬が笑うと、翼は目にうっすらと涙を浮かべたまま、穂積を睨んだ。
小野瀬
「本当に大丈夫だから。ね?それよりほら、これ見て?明智くんが手作りしてくれたパジャマだよ。ミニ穂積と色違いなのは気に入らないけど」
小野瀬が気をそらすように言って、白いパジャマを見せると、翼がちょっとだけ機嫌を直した。
翼
「とってもお似合いです」
小野瀬
「そう?ありがとう」
穂積
「……」
穂積はやっぱり面白くない。
穂積
「……ふん」
乱暴にドライヤーを引っ張ると、今度は偶然、スイッチが入ってしまった。
小野瀬
「わあっ」
再び飛ばされる小野瀬。
しかも運悪く、向かう先には開け放された窓がある。
穂積
「あっ!」
翼
「きゃあっ、小野瀬さん!」
風に煽られて、小野瀬が窓の外に落ちた。
穂積
「小野瀬!」
慌てて覗き込んだ穂積の目に、低い方から声が応えた。
小野瀬
「痛たた……」
穂積
「すまん、小野瀬!大丈夫か?!」
小野瀬
「大丈夫。ベランダがあって良かった」
穂積
「本当に、すまん」
小野瀬
「今のはわざとじゃない。分かってるよ」
手を伸ばして小野瀬をベランダから引き上げようとした穂積と翼の眼前を、突然、素早い影がよぎった。
小野瀬
「うわあっ!」
小野瀬をさらった影は、数メートル先に着地した。
それは……大きな猫。
小野瀬をくわえた猫は、咄嗟の事で呆気にとられる穂積と翼を尻目に、あっという間に、屋根伝いに姿を消した。
~ミニ穂積サイド~
一方、ミニ穂積の方はというと。
完全に湯疲れしてしまったらしく、ミニ穂積は色白な肌を真っ赤にして、くたりとしている。
ミニ穂積を風の通る窓際にタオルを敷いて寝かせ、明智はその可愛らしい寝顔に微笑む。
桜田門の悪魔も、今はただあどけない。
まさか、冗談で作っておいたパジャマが、こんなに早く役に立つとは。
明智は穂積に着せた青いパジャマを見ながら苦笑すると、窓際から離れた。
すやすや眠る穂積を、空から狙う黒い影があるとも気付かずに……。
07/04(Thu) 20:51
バタバタしててすみませんm(__)m
小春
ともさん、くちびるさん、ありがとうございます。
~ミニ穂積サイド~
部屋を出て給湯室に向かい、ミニ穂積とミニ小野瀬が入浴前に着ていた三つ揃いや小野瀬のシャツ、白衣から靴下まで手洗いしながら、明智は知らず知らず笑いを浮かべていた。
さっきまで裸ではしゃいでいた二人は、普段と違って、やんちゃな子供のようで。
小さな小さな二人の服は、丸っきり人形の服にしか見えなくて。
きれいに汚れを落として丁寧に干していると、本当に、自分がままごとのお母さん役を演じているような気持ちになる。
けれど、悪い気分ではなかった。
明智
「?」
全ての片付けを終えた明智が戻って来ると、何やら大騒ぎが起こっていた。
明智
「どうした?」
藤守
「明智さん!小野瀬さんが、猫に拐われました!」
明智
「はあ?」
穂積
「俺が悪いんだ。小野瀬をドライヤーの風でベランダに落としてしまって、そしたら猫が……」
その時。
ミニ穂積の寝ている窓の方から、何かが倒れる音がした。
明智
「?!」
明智はハッとして、ミニ穂積の元へ走る。
すると。
今まさに、ミニ穂積を両脚で掴んだ真っ黒なカラスが、窓辺を飛び立つところだった。
明智
「穂積くん!」
ミニ穂積はぴくりとも動かない。
明智はほとんど無意識に、デザートに切るつもりで手にしていたオレンジを、カラスめがけて投げつけた。
見事、オレンジは狙い違わずカラスの頭に当たる。
カラス
「カー!」
カラスは一瞬怯んだものの、ミニ穂積を離す事なく、まだ残照の残る空に飛び立った。
藤守
「あっ、待てやカラス!」
如月
「穂積くーん!」
明智
「そんな……」
小さな二人が、立て続けに拐われてしまった。
残された一同は顔を見合わせるや否や、猛スピードで善後策を話し合うのだった。
まさかの二元誘拐発生です。
作家の皆様、お好きなサイドでお進み下さいませ。
……何だこの展開。
[削除]
07/05(Fri) 00:03
まさかの展開~(`ロ´;)
くちびる
穂積
「マジかよ…。片方は猫で片方はカラスって!しかも方向はバラバラ…。」
翼は目にいっぱい涙を浮かべて、わなわなと震えていた。
穂積
「とにかく二手に別れて探すしかないわ。」
すると…小笠原がボソリと呟く。
「大丈夫。こんな事態を想定して、あの2
人に発信器着けといたから。」
小笠原以外の全員
「ハア~!?」
小笠原はしれっと続ける。
「今から追跡するから…早く出る準備したら?」
[削除]
07/05(Fri) 00:51
さすが、諒子。
清香
偉いわ(・ω・)bグッ
~捜査室~
穂積
「俺が責任を持って小野瀬を見つけてくる。アイツが攫われたのは俺のせいだから…。」
置きっぱなしにされたドライヤー。
開かれた窓。
全ては悪い偶然が重なりすぎていただけなのに。
GPSの受信画像をじっと見る穂積に誰も声をかける事が出来ないでいた。
翼
「私も、小野瀬さんを探しに行きます。」
ぎゅっと手を握りしめ、翼が一歩前に出た。
なんとなく翼も小野瀬を探しに行くと言い出すだろうと皆が予想していたので、異を唱える者などいるはずも無い。
如月
「じゃあ俺たちは穂積くんですね。」
藤守
「まぁ、俺達がふざけ過ぎて疲れさせちゃったからやもんな。」
片付け途中で放置されたタライに水鉄砲。
さっきまではあんなに楽しかったはずなのに、二人の顔には暗い影が落ちている。
穂積
「…明智はどうする?」
ミニ穂積が寝ていたタオルをぎゅっと握りしめたまま微動だにしない明智へ穂積が声をかけた。
ゆっくりと顔を上げた明智のいつもの鋭い眼に、光が宿る。
明智
「俺は…穂積くんを探しに行きます。必ず…、必ず見つけ出します。」
絞り出す様に出された言葉は、決意の表れでもあった。
穂積
「明智、アイツは私と同じよ。明智を、あんたを絶対に信じてる。…だから、きっと助けてくれると待ってるはずだわ。」
明智
「…室長。」
穂積
「よろしく頼んだわよ。」
明智
「はい…。必ずや………。」
目を離したことを悔やむように俯く明智の肩に手を置いた穂積が、一度だけくしゃりと髪を撫でた。
それはミニ穂積が明智の肩に乗せてもらった時によくやる仕草で。
穂積
「…待ってる。」
ミニ穂積はよく笑ってくれていた。
いつもは厳しい表情ばかりする室長と同じ顔なはずなのに、肩に乗っている時でも、書類作成をしている時でも、目が合えばニッコリ笑っていた。
それと同じ顔で、室長が笑ってくれた。
まるでミニ穂積くんみたいだ。
「待ってる。」
きっと彼は信じて待ってくれているはず。
だから、あの笑顔を守らなくちゃいけないんだ。
明智
「行ってきます!!!」
ジャケットを掴むと、明智は捜査室を飛び出して行った。
如月
「あっ、明智さん!」
藤守
「俺らも行きます!!」
後を追うように如月と藤守も捜査室を飛び出していく。
穂積
「じゃあ、私たちも行きましょうか。」
翼
「はいっ!」
小笠原
「俺は必然的に小野瀬さん捜索チームに入るって訳?」
上着を羽織る穂積に、小笠原が少し嫌そうに聞く。
穂積
「そうよ。捜索ポイントと、カラスと猫の行動パターンを徹底的に洗いだしてちょうだい。」
小笠原
「……どこで?」
穂積
「捜査車両で。」
小笠原
「車でパソコン使うと酔うんだけど。」
愛用のナナコをぎゅっと胸に抱えて、小笠原がイヤイヤとするように首を横に振る。
穂積
「甘ったれたこと言ってんじゃない!行くわよ!!」
渋る小笠原の首根っこを掴んで、穂積達も小野瀬の捜索へと出かけたのだった…。
[削除]
07/05(Fri) 00:57
という事で。
清香
穂積捜索ルートは明智・藤守・如月
小野瀬捜索ルートは穂積(大)・ヒロイン・小笠原
以上のメンバーでお願いします。
[削除]
07/05(Fri) 01:00
ヤダッ楽しい(~▽~@)♪♪♪
くちびる
小笠原の言葉に全員がハッとなった。
藤守
「なんや~小笠原!お前いつの間にそんなことしとったんや~!びっくりしたで~。」
小笠原
「別に。どうでもいいでしょ。」
如月
「ふーじーも-りーさーん。そんなことよりあの二人を救出する事の方が先ですよ~。」
藤守
「あ、ああ~そうやな。」
明智
「そうだな。」
穂積
「そうね。如月の言う通り、今は救出が先。小笠原は指示を出してちょうだい。櫻井、ボーっとしてないでワタシと一緒に助けに行くわよ。」
翼は気を取り直し「はいっ」と返事をして、ギュッと拳を握るのだった。
こんな感じで進めてみましたが…(; _ ;)/~~
もうこんな時間(-.-)Zzz・・・・
07/05(Fri) 01:06
あらっ(・_・;
くちびる
清香さんが先に書かれてたんですね~(;>_<;)
私の文すっ飛ばして下さいませ~\(>_<)/話が繋がらなくなるんで…(; _ ;)/~~
[削除]
07/05(Fri) 01:30
あらま。
清香
今回初の被りですね。
昨日のお昼の私と小春さんの書き込みはセーフだったっぽいんで。
脳内で順番入れ替えしてもらえれば、大丈夫かと思いますよ♪
[削除]
07/05(Fri) 04:17
くちびるさん、清香さん、ありがとうございます。
小春
全然セーフですよ。
それに、実は被る事こそリレーの醍醐味です。
作家側は慌ててしまいますが、読者様はドタバタしてるのを見てきっと大喜びしてくれます。┐( ̄▽ ̄)┌
恐れずに飛び込むのだ勇者たちよ(´∇`)○グッ
[削除]
07/05(Fri) 05:50
おはようございます。
小春
昨日は清香さん、ともさん、くちびるさん、ありがとうございました。
皆さん、いい仕事して下さってます。本当に素晴らしい・゜・(つД`)・゜・
新たな勇者の登場もお待ちしております。
書き込み前には更新もお忘れなくね(*ゝω・)
本日もよろしくお願いします。
~ミニ穂積サイド~
明智の運転する車には、助手席に藤守、後部座席に受信機を手にした如月。
普通なら明智が後ろだが、じっとしていられないと言って、自らハンドルを握ったものだ。
藤守も視界の広い助手席で、無駄とはしりつつ夜空を見たりゴミ集積所を見たり、とにかく視界に入る黒いものに反応していた。
後部座席で如月は渋い顔。
その表情をミラーで捉えた明智が、顔は前に向けたままで如月に声をかける。
明智
「どうした?まさか見失ったか?」
さらわれてすぐに追ってきたし、警視庁からも、まだそんなに離れていないはずなのだが。
如月は首を横に振った。
如月
「いえ、信号はとてもクリアです。ただ、10秒毎に更新されているはずなのに、さっきから全然動かなくなって」
明智と藤守は、一瞬だけ視線を合わせた。
明智
「どこだ」
如月
「かなり近くまで来てます。住宅地図と照合するよう切り替えますね」
如月が受信機を操作する音だけが車内に響く。
如月
「出ました。……明智さん、一度停車して下さい」
明智はすぐに反応して、車を路肩に寄せた。
ハザードランプを点けてから、後部座席を振り返る。
助手席側から、藤守も同じように振り返った。
如月が、タブレットを手に身を乗り出す。
如月
「その建物です」
指差す先には、夜だというのに真っ暗な5階建てのビル。窓にはガラスも入っておらず、どうやら廃屋らしい。
車を近くの駐車場に入れ、夜風に吹かれながら、三人はビルを見上げた。
明智
「如月、反応は?」
如月
「動きません」
藤守
「巣があるんかな」
初夏とはいっても、夜はまだ肌寒い。
明智の作ったパジャマ1枚の姿では、きっと寒い思いをしているに違いない。
湯冷めしないといいけど。
明智はまずそう思った。
藤守
「カラスも夜は寝るよな。夜明けになって、巣が空になってからの方が助けやすいやろか」
如月
「夜の方がいいですよ。カラスは危険です」
明智
「周りの建物からの明かりで、結構明るいしな。とにかく急ごう」
三人は、今度は受信機を持つ如月を先頭に、階段を昇り始めた。
如月
「まだ子育て期ですからね。気が立ってますし、本気で襲って来ますよ」
明智
「一番いいのは、穂積くんに自ら巣を脱出してきてもらう事なんだが」
藤守
「あの人寝たら起きひんで」
三人とも、『もうヒナのエサにされちゃったかも』とは考えない。
考えたくないし、たとえ小さくても、ミニ穂積はあの室長のコピーだ。
きっとまだ無事でいる。
三人はそう信じて、ついに屋上に到達したのだった。
[削除]
07/05(Fri) 07:59
失礼致します
ジュン
小春さん、ともさん、くちびるさん、初めまして。清香さん、ご無沙汰しております。(サイトでリクエスト経験あり。)
ポケット小野瀬くん、楽しく拝見しています。
いつもは、読み逃げ専門\(--;)オイなんですが、リレー明智で感想などある方が、作家さまのモチベーションが上がるとか上がるとか……
なので、図々しいかなっと思いつつ、まっいいよね♪←軽ッと書き込みさせていただきました。
ミニ穂積くんとカラス、ミニ小野瀬くんと猫の闘い(?)をハラハラ、ドキドキ
グフフッと楽しみにしています。
いつも素敵なお話をありがとうございます。
では、失礼しました。(((^^;)
07/05(Fri) 08:26
ジュンさん、ありがとうございます!!
小春
応援メッセージありがとうございます。
なぜか初めてのような気がしませんが、初めまして。小春です。
ようこそお越しくださいました。そして応援ありがとうございます。
リレー明智も読んでくださったんですね(涙)
おっしゃる通り、コメントを頂けるとモチベーション上がります。超上がります。私なんかリアルに「よっしゃ!」と叫びます。
サイトは基本的にこちら側から発信するので、リアクションは本当にうれしくてありがたいのです。
おおげさに感じられるかもしれませんけど。
「小春日和」では意識して皆様との交流の機会を持ちたいと思っておりますので、ぜひまたお立ち寄りくださいませ。
清香さんのファンの方が、私のサイトにも来てくださったことにも感謝します。
ジュンさん、清香さん、本当にありがとうございます!
私、頑張ってカラスや猫と戦うよ!!
ご覧の皆様も、一行からご参加お待ちしておりますので、ぜひこの機会に。
さー、頑張りますよ。(←仕事もな)
[削除]
07/05(Fri) 08:34
おはようございます♪
くちびる
清香さん(o^-^o)そう言ってもらえると嬉しいですぅ~(//∇//)
皆さん脳内で順番を変換して下さいね~!
一方のミニ小野瀬を追跡する穂積・翼・小笠原サイド
小笠原
「反応が無い…。猫にくわえられてる途中で外れたのかな?」
翼が青ざめる。
穂積
「小笠原っ!縁起悪りぃ事言ってんじゃねぇ~!だいたいすぐ外れるようなしょぼいの着けたのかよっ!」
小笠原はむっとして「あくまでも可能性を言っただけだよ。小野瀬さんは意識があるから、隙を見て逃げてる事も考えられる。」
翼
「そうですよ!小野瀬さんはきっと無事ですよ!」
絶対大丈夫…。
翼は窓の外を見るのだった。
その時…
小笠原
「あっ!」
穂積
「どうした?」
翼
「反応があったんですか?」
こんな感じでいいですかねぇ~f(^_^;
[削除]
07/05(Fri) 08:45
元気100倍!
とも
おはようございます~!
朝から応援メッセージもらって、みんなで作ってるって感じがして小躍りしそうですヽ(*´▽)ノ♪
~翼vision~
小笠原
「小野瀬さんのGPSはここから南へ300メートル先の公園の中から反応が出てる。この公園は木がたくさん生い茂ってるから猫が住みかにしてる可能性が高い」
穂積
「櫻井、小野瀬なら大丈夫よ。ワタシたちで必ず助けるってここまで来たんだから、そんな顔しないの」
不安な気持ちが顔に出てたのだろう、室長はそっと頭を撫でてくれた。
穂積
「さ、着いたわよ。小笠原、小野瀬のGPS反応は?」
小笠原
「正面の林から反応が出てるけど、ずっと動きがないよ」
穂積
「よし、ワタシと櫻井で捜索するわ。小笠原は何か動きがあったり、明智たちから連絡があったら知らせて」
小笠原
「わかった…ったぁ!」
小笠原の返事を聞くと同時に穂積のデコピンが炸裂する。
穂積
「敬語を使えって何度も言わせんな!櫻井、行くわよ」
櫻井
「ハイッ」
私は気合いを入れるために拳をギュッと握り、室長の後を追った。
[削除]
07/05(Fri) 08:58
おお~!
くちびる
ともさん繋げて下さってありがとうございますぅ♪
ハラハラする展開になって来て私もドキドキしながら書き込みしちゃってます~\(>_<)/←途中清香さんとかぶってしまいましたが~私の駄文が清香師匠(いつの間に!?)とかぶってしまい本当に失礼しました~(;>_<;)
この後の展開どうなる!?←切り替え早っ(・_・;
[削除]
07/05(Fri) 09:15
とも
くちびるさん、ちゃんと繋がってましたか?
書き込む前にくちびるさんがUPされてるのを見て少し直しました。
さぁ、今日も仕事やぁ~(T_T)
仕事中は携帯見れないからこのあとの展開を楽しみに頑張ってきます(^-^)v
07/05(Fri) 11:45
くちびるさん、ともさん、ありがとうございます(´ 3`)
小春
ナイスコンビネーション(o^-')b !
そして、二人ともそっち行ったのね。
じゃー、カラスは任せて下さい(笑)
~ミニ穂積サイド(明智・藤守・如月)~
屋上に出て周りを見渡すと、東の端に一段高くなっている場所があり、そこに、小さな鉄塔のような形のアンテナがある。
目を凝らしてみると、そのアンテナの根本に、直径70cm、厚さ30cmほどの、大きな皿状の巣が見えていた。
藤守
「(小声)でかっ」
確かに大きい。
そして、もうひとつ気になる事がある。
下から見上げた時は真っ暗だと思ったのだが、屋上に出てみると、思った以上に明るい。
こちらから見えるという事は、カラスからも見える可能性があるという事だ。
明智は舌打ちしたい気持ちになった。
如月
「カラスの縄張りは、巣を中心に半径20~100mって言いますからね。ここはもうあいつらのテリトリーです。巣を見上げたり、ただ近付いただけでも威嚇や攻撃を受ける事がありますよ」
北海道出身の野生児如月は、どうやら本土のカラスにも詳しいらしい。
如月
「どうします」
明智
「鉄塔のある段差まで、壁に点検用のハシゴがついてる。あれで登れるな。だが、三人同時には無理だ」
ほんの3mほどの段差だが、手を伸ばしただけでは届かないだろう。
藤守
「そしたら俺が登って行って、巣の中を覗いてみますわ」
如月
「ジャケットを脱いで行って、攻撃されそうになったら、振り回すといいかも。カラスがおとなしければ、そのままジャケットでくるんじゃう」
そう上手くいくだろうか。
如月ほどではないが、明智は都会のカラスの恐ろしさを知っている。
頭の上でガアガア鳴かれるだけでも不気味だが、空から木の枝や小石を落とされたという知人もいる。
何かカラスの気に障る事をしたのか、低空飛行で繰り返し脅され、後ろから何度も蹴られたり掴みかかられて逃げ惑っていたサラリーマンを目撃した事もある。
ましてや、巣の中に卵やヒナがいたら、いつ襲いかかってくるか分からない。
だが、発信器は間違いなくあの巣の中にある。
三人は顔を見合わせて、綿密な救出計画を練るのだった。
[削除]
07/05(Fri) 11:57
もう一本。
小春
~ミニ穂積サイド(明智・藤守・如月)~
結局、明智が救出に向かい、藤守と如月が下からジャケットを振り回して援護する事になった。
明智の手には、如月がポケットに入れてきた水鉄砲が握られている。
ついさっきまで、これで撃たれて歓声を上げていたミニ穂積の無邪気な笑顔が思い出されて、明智はまた唇を噛んだ。
明智
「必ず、助ける」
三人は顔を見合わせて頷くと、身体を低くし、巣に近付いた。
幸い気付かれずに近くまで行けたものの、明智が鉄骨のハシゴに手を掛けた途端、巣の中でカラスが身体を起こした。
カラス
「ガア!」
明智
「うわっ」
いきなり羽で顔を叩かれ、頭を突つかれそうになるのをギリギリでかわす。
バサバサと音を立ててカラスが羽ばたき、鋭い嘴を明智に向けた。
明智は水鉄砲で応戦してみたが、カラスの威嚇は止まない。
それでも、とにかく、ミニ穂積の所在を確かめなくては。
水鉄砲を放り投げて巣の中に手を突っ込むと、指先が卵に触れた。
しまった、と思った時にはもう遅かった。
カラスの顔つきが変わり、反撃が、これまでの威嚇から、明らかな怒りに変化した。
カラス
「ガア!ガアガア!」
明智の手が滅茶苦茶に突つかれ、カラスの爪が何度も食い込む。
明智
「くそっ、離せ!」
その時。
泪
「明智!」
耳を打つ激しい羽音や鳴き声の合間に、確かに小さい声が聞こえた。
明智
「穂積くん?!」
攻撃を防ぐ腕の隙間から、明智は、巣から這い出して来たミニ穂積が、パジャマの上着を脱ぐのを見た。
もはや明智しか見ていないカラスから、ミニ穂積はさらに視野から外れてゆく。
何をする気かと思った瞬間、ミニ穂積はいきなり、カラスの脚に飛び付いた。
あっという間にしがみつき、脱いだパジャマで、カラスの両脚を縛り上げる。
さらに、まるで束ねるように何周も縛りつけると、カラスはコテンとひっくり返った。
カラス
「カア?!」
カラスは戸惑うように、コンクリートの上で、じたばたと羽根をばたつかせている。
ミニ穂積
「明智、上まで登って来て、こいつを後ろから翼ごと掴め!」
明智
「は、はい」
言われるままによじ登り、大きなカラスを捕まえる。
立ち上がって覗いて見ると、巣の中にはウズラの卵を少し大きくしたような、カラスの卵が3つ並んでいた。
ミニ穂積はもう段差から下を見下ろして、如月を呼んでいる。
泪
「如月、受け止めてくれ」
如月
「穂積くん!了解!」
両手を広げる如月の腕の中に一旦飛びつくと、ミニ穂積はすぐに地面に降りた。
泪
「明智は手が塞がってる。藤守、手伝って下ろしてやってくれるか」
藤守
「了解!」
すぐに藤守が登って行って、明智が捕まえていたカラスを、自分のジャケットにくるんだ。
明智と藤守が降りてくるのを見守っていたミニ穂積は、ジャケット越しにカラスを撫でた。
泪
「とりあえず、下まで無事に着けるよう、連れて行こう。車に乗ったら放してやってくれ」
[削除]
07/05(Fri) 13:28
こんにちは
エミ
ちょっくら失礼します。
小春さん、サイト創設1周年おめでとうございます!
\(^∀^)/
第二次ルイルイブーム到来中の私にとって、なくてはならない栄養補給源でございます。
アブ恋を愛する皆さんと、こうして交流をもてる場所があるのも楽しいです。←自分はあまり絡めてないけど…(^-^;)
で、ミニ穂積くんとミニ小野瀬くんリレー。
ニヨニヨしながら楽しんでますよー。
(*´艸`)
じゃッ!(・∀・)ノ
(読み逃げスミマセン!)
[削除]
07/05(Fri) 13:37
あっ。(空振り)
小春
エミさんに逃げられた(・ε・` )=3
でも、応援コメントありがとうございます(///▽//)
そうなんですよ、もう1年になるんですね。
何もかも、来てくださる皆様のおかげです。
皆様と一緒に出来るだけ長く続けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
[削除]
07/05(Fri) 14:55
小春
~ミニ穂積サイド(明智・藤守・如月)~
カラスが無事に巣に帰ってゆくのを見送って、三人とミニ穂積は一旦、手当ての為に捜査室に戻る事にした。
怪我をしている明智に代わって如月が運転し、藤守が助手席に座る。
泪
「助けに来てくれてありがとう」
ミニ穂積は三人に向かってそう言って、一人ずつに順番に頭を下げた。
明智はミニ穂積を抱き上げて、膝に乗せる。
ミニ穂積は明智の傷だらけになった手や腕を、小さい手で懸命に撫でた。
泪
「怪我をさせてごめんな」
だが、そう言うミニ穂積自身も、身体じゅう傷だらけだ。
明智
「穂積くんこそ、あちこちひどい擦り傷ですよ」
泪
「あのカラス、巣に戻るなり、俺を巣の奥に突っ込んだからな。狭くて巣材の枝が入り組んでて、なかなか出られなかった」
明智
「ああ、それで」
助手席から藤守が振り返る。
藤守
「でもホンマ、食われんで良かった」
泪
「まだ卵だったから、命拾いしたんだ。あれがヒナなら、今頃は間違いなく食われてた」
ミニ穂積は、サラッと怖い事を言った。
泪
「アイツは俺を、ヒナの為に貯食するつもりだったのかも知れん。それとも、巣材にしたかったのかな」
如月
「コレクションに加えたかったのかも。ホラ、カラスって、光る物を集めるっていうじゃないですか」
明智は、ミニ穂積がさらわれた時の情景を思い出していた。
確かに、夕暮れが間近で、ミニ穂積の金髪が輝いていた。
その髪が、今はくしゃくしゃだ。
明智が左手の手のひらを向けて差し出すと、ミニ穂積は当たり前のようにそこに乗った。
明智
「とにかく、無事で良かった」
胸の高さまで持ち上げて、右手で髪を直してやると、ミニ穂積はニッコリ笑って、明智の胸ポケットに入って来た。
来てくれると信じてた。
明智にはその時、そう聴こえた気がした。
戻ってきた小さな温もりに、明智の胸に安堵感が広がる。
無事で良かった。
明智はもう一度、声に出して繰り返していた。
捜査室に戻って、再度入浴。
今度はさすがにふざけたりはしない。
傷の手当てをし、干してあった三つ揃いに戻る頃には、小野瀬が行方不明になっているという事実が、ミニ穂積にも告げられていた。
泪
「俺も探しに行く」
机の上で地団駄を踏むミニ穂積を、明智たちは懸命に止めなければならなかった。
明智
「室長と櫻井、小笠原が探してますから
如月」
「ひとまず連絡を待ちましょう」
藤守
「大丈夫、きっと見つかりますから」
泪
「……」
三人に止められ、小さな穂積は真っ暗になった窓の外に目をやりながら、唇を噛み締めていた。
07/05(Fri) 17:01
とも
~穂積・櫻井・小笠原サイド~
小笠原を残し、二人は公園の奥へ入っていった。日が暮れかかってきているためか風でざわつく木々が不気味に見え、櫻井は思わず身震いをした。
あと少しで反応のあった地点というところで、穂積の携帯が震える。
穂積
「はい、穂積。……そう、わかったわ。櫻井にも伝えとく」
櫻井
「小笠原さんですか?」
穂積
「ええ、明智たちが無事に穂積くんを救出したそうよ」
櫻井
「ホントですか?! わぁ、よかった」
翼の顔に安堵の表情がみてとれる。
次は自分たちの番だというようにギュッと拳を握る。
その時。
続きも思いついたのでちょいお待ちを。
[削除]
07/05(Fri) 17:40
続き
とも
何かが翼の足元を掠めた。
櫻井
「?」
目で後を追っていくと、暗闇にキラリと光るものがいくつもある。
櫻井
「(小声)室長、あそこに何かいます!私、ちょっと見てきますね」
穂積
「あっ、バカ待て!」
穂積の制止も聞かずに翼はどんどん奥へ入っていく。
目が暗さにだんだん慣れてくると、光るものの正体が表れた。
そこには何匹もの猫が一匹の猫を囲むようにしていた。
中央の猫の側には、
櫻井
「小野瀬さん!」
小野瀬
「その声は、櫻井さん?」
翼は猫の側にいる小野瀬を見つけて駆け出した。
すると、周りの猫が翼を敵とみなしたのか威嚇し、飛びかかってきた。
櫻井
「きゃあ!」
翼の手や足に鋭い爪を立てて引っ掻いていく。
穂積
「櫻井!」
小笠原へ状況を確認していた穂積が追いついた。
穂積
「櫻井は後ろに下がってろ。コイツらは全部メス猫だ。お前が小野瀬を奪おうとしていると思って襲ってくるんだ」
櫻井
「私はそんなつもりじゃ…」
小野瀬
「櫻井さん、ここは俺にまかせて」
小さい身体からでもパチンと音が聞こえそうなウインクをして、小野瀬は猫に向き直った。
そして、中央の猫の喉を撫でながらなにやら話しかけている。
櫻井
「小野瀬さん、猫と会話ができるんですか?」
穂積
「さぁ?でも人間でも猫でも小野瀬のフェロモンは抜群に効くみたいね」
呆れたように穂積がつぶやいてると、小野瀬がこちらへやってきた。
小野瀬
「終わったよ。もう俺を解放してくれるってさ」
小野瀬が小さな手で駆け寄ってきた翼の頭を撫でる。
小野瀬
「ごめんね、櫻井さん。キミに怪我をさせてしまった。あの猫はこのあたりのボスみたいでね、隙をみて逃げようと何度もしたんだけど、すぐに周りの猫たちに気づかれてダメだったんだ」
櫻井
「いいんです。小野瀬さんが無事だったら」
穂積
「良くないわよ!痕が残ったらどうするの」
櫻井
「うう、ごめんなさい」
こうしてミニ小野瀬を救出した穂積たちも小笠原と合流して捜査室へと戻った。
小野瀬さんが拐われた時、ぱっと思いついたのがコレでした~。彼といえばやっぱり身体中から出てるフェロモンですよ!
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07/05(Fri) 17:47
あらやだ。
清香
こんにちはー。
穂積ルートを書こうと思ったら小春さんと被り、小野瀬ルートに行こうとしたらともさんと被った清香です(爆笑)
昨日とうってかわって、今日は忙しいぜ!(働け)
ジュンさん、お久しぶりでございます!
「こんな生活も悪くない」でリクエストいただきましたねー。応援コメントをいただけるだけでも嬉しいのに、うちのアホサイトに来たことまで言ってくださるなんて、もう(号泣)
そしてくちびるさん、貴女まで私を師匠と呼びますか。という事は、いつかこの掲示板で裏を書かれるという事かしら?←オイ
色々楽しみです。
ともさん、朝から元気100倍でステキ(´∀`)私は息子の学校手伝いで布団を20組運んで倒れそうです(´Д` )小野瀬ルートは同じ流れで考えていたので笑ってしまいましたわ。こうなったら。
後は頼ん…だ _ノ乙(、ン、)_ バタッ
エミさん、待ってー(=゚ω゚)ノ
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07/05(Fri) 18:37
仕事終わりました~(o^-^o)
くちびる
話し進んでますね~(^〇^)
ミニ穂積&小野瀬無事救出されてひと安心~d(⌒ー⌒)!
さすが小野瀬さん小さくてもフェロモンは健在!!猫にまで通用
するなんて…ナイスですぅ~(//∇//)
清香師匠!!ワタクシ裏♪読むの好きだけど~←小春様のサイトで何て事を(゜ロ゜)(゜ロ゜)
うう裏何て書けません~(//∇//)
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07/05(Fri) 20:47
ともさん、ありがとうございます♪
小春
それにひきかえ、清香さんとくちびるさん。
よく言うけど、あなた方はこのサイトをどうしたいのか。
当方は通勤電車で後ろから覗かれても安心なサイトを信条にしてるんですから。
掲示板は鍵つけられないんですから。
裏は『特設展示室』でお願いしますよ。
どうですかこの寛大な発言。
私も大人になってきたなあ。
07/05(Fri) 22:49
~捜査室~
小春
数時間振りに全員集合した捜査室では、ミニ穂積捜索チーム、ミニ小野瀬捜索チームが、互いにそれぞれの捜索での出来事を報告しながら、遅い夕食の時間を迎えていた。
先に帰ってきたミニ穂積チームの藤守と如月が、人数分のコンビニ弁当を買い揃えておいてくれたのだ。
しかし本日は、いつもお茶を入れてくれる明智と翼の両方が、手に怪我をしている。
すると、なんと穂積が自ら進んで湯を沸かし、急須で緑茶を入れてくれた。
まさに驚天動地の出来事。
けれども、監督に任命された明智が感心するほど、穂積はまともなお茶を入れてきた。
穂積は無精だが不器用ではない。家事に関して、無知ではあっても無能ではない。
きちんと教えてやれば、その通りに出来る。
そのため、この日の夕食では、穂積が神妙な顔で差し出す湯呑みを、全員が起立して両手で受け取るという、珍しい光景が展開された。
小笠原
「室長、まだ責任感じてるのかな」
小笠原が、隣に座っている翼に、小声で囁いた。
翼
「あの時、小野瀬さんの事、真剣に心配してましたもんね」
如月
「明智さんを怪我させた事も、気にしてるんだよ」
明智
「室長のせいじゃないんだから、元気出して欲しいんだがな」
明智さんも心配顔。
すると。
並んで弁当を食べていた大小の穂積に、背後からそっと近付く二つの影。
本人たちは気付いていないが、こちらのギャラリーたちは全員、息を呑んだ。
穂積の背後から藤守が、ミニ穂積の背後からミニ小野瀬が、それぞれ手に何かを持って、そろりそろりと近付いてゆく。
小笠原
「あれ……」
如月
「しっ」
次の瞬間、背後の二人は、手にしていたものを、それぞれの穂積の背中に押しつけた。
藤守・小野瀬
「♪どうぞ、パピ◇♪」
穂積×2
「ぴゃあ!」
背中にボトル型のアイスを押しつけられた、大小二人の穂積が飛び上がった。
見ていた全員は大ウケだ。
穂積
「藤守、てめえっ!」
藤守
「デザートのアイスですやん!」
小野瀬
「やっぱり、パピ◇と身長同じくらいだね」
泪
「小~野~瀬~!」
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07/06(Sat) 06:52
やっぱり寝落ちしました(>_<)
清香
身体がバッキバキやねん…(泣)
あっ、小春さんパピコありがとうございます(*^^)v
~捜査室~
泪
「お前だって同じくらいだろうが!」
小野瀬
「わー、ゴメンゴメン。」
泪
「反省の色が見えん!!」
ミーティングテーブルの上をドタドタと走って追いかけまわる小野瀬とミニ穂積を見て、皆で大笑い。
同じように背中にアイスを押しつけられた穂積も笑いながらアイスを食べていた。
帰って来れて、助ける事が出来て本当に良かった。
誰もがその想いを胸に抱きながら、今日も捜査室に布団を並べ眠りについたのだった。
30分後
如月のイビキが響き、明智がうめき声を上げ始めた頃、布団から一つの背中が抜け出す。
小野瀬
「よいしょ…っと」
窓際に腰かけて空を見上げると、大きな満月がぽっかりと浮かんでいた。
さっきまで公園で猫に囲まれていただなんて思えないほど穏やかな夜。
嵐が過ぎ去った後だからだろうか。
小野瀬の心は驚くほど凪いでいた。
小野瀬
「良かった…か。」
差し伸べられて手に当たり前のように飛び込んだ。
『無事で良かった』ほほ笑まれて胸が高鳴った。
小さくなってからずっと抱えていたこの感情。
彼女が俺に好意をもってくれたら良いなとは思っていた。
それなのに。
…もしかしたら、俺の方が彼女に『恋』をしている…?
自問自答を繰り返していると、背後で何かが動く気配がした。
振り返ってみると、起き上がっていたのは小さな穂積で。
泪
「なんだ、小野瀬。眠れねぇの?」
布団から抜け出すと、さっき小野瀬がやったように器用に棚の取っ手を利用してするすると登り、窓際までやって来た。
小野瀬
「…うん、なんとなくね。」
泪
「そうか。まぁ、連れ去られて助けてもらって、普通の精神状態ではいられないからな。」
小野瀬
「まぁ、それもあるんだけど。」
メス猫に攫われた小野瀬とは違い、カラスの食料にさせられそうになったミニ穂積とは緊迫感がまるっきり違うのだが、攫われた身としては同じだ。
泪
「それも…って、他に何かあるのかよ。」
自分の方が危険だったのに、ミニ穂積が心配そうな表情で小野瀬の顔を覗きこむ。
その仕草はいつもの穂積のままで、身体は小さいはずなのに、何だか元に戻ったようだ。
小野瀬
「新人の時みたいだな。たまにこうやって話をした。」
泪
「あぁ、訳の分からない上からの指示に愚痴ったりして。」
小野瀬
「毎日下働きばっかりして走りまわって。」
泪
「お前は女遊びばかりして。」
小野瀬
「…そこまでしてないから。」
泪
「どうだか。」
くすくす笑うミニ穂積の横っ腹を小突いて、また空を見上げる。
小野瀬
「………。」
自分でも掴み切れていないこの感情を吐露すべきなのだろうか。
振り返って幸せそうに眠る翼を見ると胸が温かくなって、苦しくなる。
抱きしめられると、安心する。
彼女が笑うと、嬉しくなる。
泪
「…小野瀬?」
難しく考える必要は無いのかもしれない。
小野瀬
「穂積、俺もしかしたら、彼女が好きなのかもしれない。」
泪
「彼女が…って、櫻井のことか?」
小野瀬
「まだ、かもしれないってとこだけど。」
本当は『好き』なのに、『かもしれない』という逃げ道を作っているのは、言っている小野瀬も、もちろんミニ穂積も気がついていた。
泪
「…小さくなって、世話をして貰ってるからじゃねぇの?」
小野瀬
「それも頭をよぎったけどね、たぶん違うな。」
泪
「そうか…。」
『たぶん』と小野瀬は言っているが、答の早さが『絶対』だと表していた。
『なら』と言いながらミニ穂積が勢いをつけて立ち上がる。
泪
「早く元に戻れるようにしねぇとな。」
小野瀬
「…そうだね。」
翼との事を考えれば、元に戻り大きくなった姿で抱きしめたい。
そして
『好き』だと言いたい。
泪
「明日、またみんなで考えようぜ。」
小野瀬
「あぁ。」
来た道を戻るように下りていくと、ミニ穂積は明智と翼の間に潜り込んだ。
泪
「…おやすみ。」
小野瀬
「おやすみ、穂積。」
小野瀬も同じように元々寝ていた翼と穂積の間に滑り込むと、眠る翼の頬を小さな手で撫でた。
小野瀬
「…おやすみ、翼。」
薄く開いたくちびるに、そっとキスをするとタオルを被りながら穏やかな寝顔を見つめた。
好きな人の寝顔を見ていると、幸せなまま眠れる。
当たり前のような幸せを感じながら、小野瀬も眠りに落ちていったのだった。
穂積
「…………。」
背を向けて眠っていた穂積が起きていた事も知らずに。
07/06(Sat) 08:01
おはようございます。
小春
昨日はくちびるさん、清香さん、ジュンさん、エミさん、ともさん、ありがとうございました。
いろいろな体験や出来事を重ねながら、絆を深めてゆく小さな小野瀬とミニ穂積、そして捜査室の仲間たち。
小野瀬と穂積の翼への想い、まだまだ幼い翼の想いは、このあとどう育ってゆくのか。
カラスと猫の逆襲は?
まさかのNY組再登場は?
作家の強い味方、山田君は?
小野瀬はいつ元の姿に戻れるのか?
さらなる急展開はあるのかないのか?
ぶっこみ歓迎、波乱の予感のリレー4日目!
今日も作家陣を成長させてくれる勇者の登場を待つ!
清香さん、朝一番からありがとうございます。
作家様、読者様、本日もよろしくお願いします!
[削除]
07/06(Sat) 08:13
おはようございます♪
くちびる
小春さん(o^-^o)昨日は失礼しました~!
今日も暑い~(;>_<;)私もパピコ食べたい♪
穂積
…小野瀬が櫻井を好きだと!?…
動揺を隠せない。
櫻井は小野瀬が小さくなってからまるで母親の様に世話をしていた…。櫻井は小野瀬が好きだからっていう気持ちで接していない。
小野瀬は小さくなって無自覚に精神的に不安定になっているから…櫻井の優しさを好きだと錯覚してるんだ…。
そう自分に言い聞かせながら穂積は目を閉じた…。
さあ~今から仕事頑張って来ます♪
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07/06(Sat) 10:08
くちびるさん、ありがとうございます
小春
~翌日、捜査室~
大雨になりそうだった。
西の空から、真っ黒な雨雲がのそりのそりと迫ってくる。
小野瀬とミニ穂積は小さい身体を窓の縁に並べ、大画面の3Dを観るような感覚で、ガラス窓にぽつぽつと当たり始めた雨粒を眺めていた。
ごろごろごろ、と不気味な音が続く中、背後ではミーティングが行われている。
突然。
照明がチカッとしたかと思うと。
どーん。
閃光とともに雷鳴が轟き、地響きのように建物が揺れた。
翼
「きゃあっ!!」
翼の悲鳴に振り向けば、彼女は穂積にしっかりとしがみつき、がたがた震えている。
傍らに明智もしゃがみ込んでいるのが笑えるが。
穂積
「……近いわね」
右手にファイルを手にしていた穂積は、翼を落ち着かせるような声音で静かに言って、左手でそっと背中を撫でた。
穂積
「で、どうする?雷がおさまるまで、ワタシにくっついてるつもりなの、アンタは?」
翼
「あっ、す、すみません」
ごろごろごろ。
翼
「……」
離れなきゃいけない、でも離れるのは怖い。
上司の広い胸にくっついたままで百面相している翼に、全員が苦笑する。
結局はそのまま、ミーティングは再開された。
泪
「羨ましいだろ」
小野瀬の耳元で、ミニ穂積が笑いながら囁いた。
小さな彼らの内緒話は、他の誰にも聴こえない。
小野瀬
「……まあね」
泪
「あいつ、もしかして昨夜の俺たちの話、聞いていたかもな」
小野瀬
「え」
俺もしかしたら、彼女が好きなのかもしれない。
あれを、穂積が?
小野瀬
「……」
小野瀬は、穂積が、以前から翼に特別な想いを持っている事を知っていた。
昨夜は、つい、ミニ穂積に素直な気持ちを吐露してしまったが、穂積の気持ちを思えば、まだ、口にするべきではなかったのかもしれない。
小野瀬が翼に恋愛感情を持ったと知ったら、穂積はどうするのだろうか。
今、穂積があの腕にほんの少し力を込めて彼女を見つめるだけで、自分の恋は終わる。
小野瀬
「……」
小野瀬は、翼を優しく抱く穂積と、穂積の腕の中でなら雷に怯えずにいる翼の表情を見ながら、胸がざわめくのを覚えた。
このざわめく気持ちはなんだろう。
泪
「嫉妬なんて、誰かにされた事はあっても、自分がした事は無いだろ?」
小野瀬
「……嫉妬?」
ミニ穂積は、きょとんとする小野瀬に苦笑した。
泪
「しょうがねえな。今はハンデがあるし。俺、お前に協力してやるよ」
小野瀬
「えっ?!」
小野瀬は仰天した。
小野瀬
「だって……お前……」
穂積
「あいつは自力でなんとかするだろ」
ミニ穂積は、微かに顎を動かして穂積を示した。