バッドエンドから始まる物語~穂積編~
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~翼vision~
それから間もなく、私は捜査室に戻れる事になった。
交通課へは穂積室長が直接迎えに来てくれて、山田課長に頭を下げ、同僚たちの前で私の異動と、入籍とを宣言してくれた。
この日、警視庁に激震が走ったのは言うまでもない。
室長は、もちろん、先に上層部には報告してあったのだけれど、寝耳に水の一般職員たちが、天変地異の如く驚嘆したからだ。
女性職員は片っ端から泣き出すし、男性職員は手を叩いて大喜びだし、広報は『悪魔に花嫁』と号外をばら撒く始末。
数ヵ月経って、今はようやく余震もおさまってきたみたいだけど、オカマでも女嫌いでもないと分かった途端、室長の人気がさらに上がってしまったのには驚いた。
結婚相手としては、とても複雑。
小野瀬
「櫻井さん、コーヒーもらえるかな?」
翼
「はい、小野瀬さん。ちょうど出来たところですよ」
明智
「櫻井、頼んだ資料だけど、よく出来てる。ありがとう」
翼
「どういたしまして。明智さんのお役に立てたら嬉しいです」
私は仕事上、結婚後も旧姓を名乗る事にしたので、表向きは以前と何も変わらない。
小笠原
「櫻井さん、指名手配の更新」
翼
「いつもありがとうございます、小笠原さん」
ただ、肩の力が抜けたら、あの頃には見えなかったものが見えてきた。
藤守
「櫻井ー。下着泥棒の取り調べ、二時からやってみるか?」
翼
「はい。藤守さん、フォローお願いしますね」
任せとき、と声が返ってくる。
如月
「じゃあ翼ちゃーん、その前に聞き込み行くよー」
翼
「はい、如月さん」
仕事の事、みんなからの思いやり。自分が、どれだけ大切にされ、愛されていたのか。
だから今、とても幸せ。
室長席を見れば、ピアスを外した代わりに結婚指輪を付けた彼が、私の視線に気付いて顔を上げ、微笑んでくれる。
一生守って、幸せにする。
私は、これからも彼と、そして、みんなと歩いて行ける喜びを胸に、前を向いて、しっかりと足を踏み出した。
~END~
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