バッドエンドから始まる物語~穂積編~
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~翼vision~
室長は……穂積さんは、それからも時々、私を食事に誘ってくれるようになった。
穂積
「俺とお前は、もう、上司と部下じゃない。お前を誘うのは、穂積泪としてだ。……それでいいか?」
私が、一も二もなく頷いたのは言うまでもない。
相変わらず鈍感な私がこの言葉の意味に気付いたのは、だいぶ後になってからだけど。
穂積さんとの食事は、洒落たレストランの時もあれば、ラーメン屋の屋台の時もある。
買い物に付き合ってくれる時もあれば、バッティングセンターに連れて行ってくれる時もあった。
話題はいつも仕事とは関係の無い世間話や互いの趣味の話で、私はそれがとても楽しかった。
同じ職場にいた時には見せてくれなかった男っぽい顔や、知らなかった子供っぽい顔に出会うたび、私は改めて、彼に惹かれていくのを感じた。
穂積さんは、私が寮に帰る時も実家に帰る時も、必ず玄関まで送ってくれる。
玄関先で何度か話すうちに、さすがの父も、彼を中に入れてくれるまでになった。
父親
「穂積と交際しているのか?」
彼が帰り、テーブルに残った日本酒を干しながら、父が、ぽつりと訊いてきた。
私は少し考えて、首を横に振った。
翼
「好きです、って言った事はある。でも、ありがとうワタシもよ、って、軽く流されちゃった」
父
「いつだ」
翼
「捜査室にいた頃」
父
「その頃は、上司と部下じゃないか。そんなだからお前は……まあいい。最近はどうなんだ」
翼
「何度か会ってお話をして、夕食をご馳走になっただけ。お父さんが心配するような事は、何も無いよ」
当たり前だ、と怒鳴られるかと思ったら、父は静かに頷く。
父
「そうだろうな」
呟いて、父は、何度目かの訪問の時に穂積さんが返してくれて以来そこにある、紅葉の盆栽を眺めた。
小学生の穂積さんが父に無断で持ち出して、けれど、つい先日まで二十年近く育てていてくれた、立派な盆栽だ。
父
「あれは、なかなか骨のある男だ」
そんな、交際とも言えない交際が、半年になろうとした頃。
穂積
「なあ」
ホテルのレストランで食事を終えた後、その席で、穂積さんは私を真っ直ぐに見つめた。
穂積
「俺たち、いつまでも、このままじゃいけないよな」
私は、どきりとした。
このままじゃいけない?
私は怖くて、穂積さんから目が離せない。
どういう事?
ううん、意味は分かる。
大人の男女が交際していたら、こういう節目は何度か来るもののはず。
穂積
「お前はどうしたい?」
そして、彼は今、その答えを私に委ねてくれている。
穂積さん。
私は、
☆選択です。
「ずっと一緒にいたいです」……3へ
「このままじゃ、駄目ですか」……4へ
「捜査室に、戻りたいです」……16へ