バッドエンドから始まる物語~小野瀬編~
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~小野瀬vision~
翼
「小野瀬さん、その顔!」
鑑識室に残って待っていた櫻井さんが、俺の顔を見て悲鳴を上げた。
すぐに救急箱を開いて、手当てしてくれる。
小野瀬
「言っておくけど、これは自分でやったの。穂積にやられたんじゃないからね」
翼
「どっちでもいいです!血が滲んでるじゃないですか!」
どっちでもよくはないけど。
小野瀬
「……ごめん」
翼
「……」
小野瀬
「……穂積がね、きみを、返してくれた」
彼女の目から、涙が零れた。
翼
「……私、室長が好きでした」
小野瀬
「……穂積も、きみが好きだったよ」
ぽろぽろぽろ、彼女の頬を涙が伝う。
俺は、彼女を抱き締めた。
唇を重ね、頬の涙も掬いあげる。
翼
「私、小野瀬さんが好きです」
小野瀬
「俺の方が、きみを好きだよ」
櫻井さんが、俺にすがりついて、声を上げて泣いた。
俺はそれを抱き止めて、髪を撫でてやる。
ずっと、堪えてきたんだね。
ごめんね。
お互い、もっと早く素直になれれば良かったのに。
でも、この回り道は、きっと無駄じゃなかったはず。
だって、俺もきみも、半年前よりずっと、お互いの事を好きになってる。
俺は彼女の額に、頬にキスした後、唇に唇を重ね、ほとんど夢中になって、内側を丹念に舌でなぞった。
たどたどしく、それに応えようとする彼女がいじらしい。
俺はこの子の、こういうところが好きなんじゃないかな。
求めるばかりの、他の女の子たちとは違う。
身勝手な俺を受け入れて、頑なな心を温もりで溶かして、何かを与えてくれようとする。
可哀想なくらい純真で、ひたむきで清らかで、泣きたくなるほど、俺を想ってくれる。
野に咲く花のようなのに、時に、女神のように神々しい輝きを放つ、きみ。
俺のような罪深い男でも、きみは、その白い腕に抱いてくれるだろうか。
☆そしてまた始まる……11へ
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