バッドエンドから始まる物語~小野瀬編~
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~翼vision~
翼
「……小野瀬さん」
涙が溢れた。
翼
「私、小野瀬さんが好きでした」
両手でしがみつくように、私は小野瀬さんの服の背中を掴んだ。
小野瀬さんの胸に、私の涙が染み込んでゆく。
翼
「ずっと、ずっと、好きでした」
小野瀬
「……」
小野瀬さんの腕が、緩んだ。
小野瀬
「……もう、過去形なんだね」
小野瀬さんの冷たい指先が、私の涙を拭いてくれる。
小野瀬
「……俺ときみとは、恋をする時期を逃したみたい」
ああ、本当にそうだ。
半年前、こんな風に抱き寄せてくれていたら。
私が、こんな風に素直に想いを告げられたら。
きっと、私たちの今は変わっていたのに。
小野瀬
「さあ、行って。今なら間に合う」
小野瀬さんが、私の背中を押した。
小野瀬
「行って、今度こそ、しがみついて離すな」
私は拳で、涙を拭った。
翼
「はい」
私はバーを飛び出した。
さようなら、小野瀬さん。私はもう振り返らない。
前だけを見て、走り続ける。
翼
「室長!」
大通りに出た時、遠く、金髪で長身の彼の前に、タクシーが滑り込むのが見えた。
翼
「室長!」
驚いた顔で、室長が動きを止めた。
私は思い切り、その胸に飛び込む。
翼
「室長、室長、室長」
泣きじゃくる私の肩を、室長はそっと抱いた。
タクシーが離れて行く。
穂積
「馬鹿」
室長の指先が、私の頬をつまんだ。
穂積
「こういう時は、名前で呼ぶんだ」
泪さん。
穂積
「翼」
名前を呼ぼうとした唇は、室長の唇に塞がれた。
私を受け止めてくれる広い胸、力強い腕。
今度こそ、離さない。
私たちは、行き交う音と光の中で、いつまでも抱き合い、口づけを交わしあった。
~END~
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