バッドエンドから始まる物語~小野瀬編~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~小野瀬vision~
彼女は俯いた。
翼
「……お付き合いしてる、事になると思います」
俺の全身から、力が抜けた。
翼
「私、お返事しましたし、室長は、とても優しくしてくれます」
小野瀬
「……そう」
……幸せなんだ。
小野瀬
「良かったね。穂積なら、きっと、大切にしてくれるよ」
翼
「……言わないでください」
小野瀬
「え」
俺はその時ようやく、彼女が膝の上に握り締めた拳が、震えているのに気付いた。
翼
「小野瀬さんには、言われたくありません」
彼女は、涙を堪えていた。
翼
「私、小野瀬さんの事、忘れようと努めてきたんです」
小野瀬
「櫻井さん……」
翼
「それを見守ってくれたのが、室長なんです」
俺は、彼女の頬に伸ばしかけた手を止めた。
もう、触れてはいけない。
俺に、彼女を惑わす資格は無い。
小野瀬
「……そうだね、ごめん」
俺は震える手を、彼女の肩に乗せた。
小野瀬
「ごめんね」
彼女が首を横に振る。
翼
「……私、もう、帰ります」
引き止める事さえ出来ず、俺は、小さい背中がバーを出ていくのを見送った。
力なくスツールに座り直した俺の前に、マスターが、綺麗な桜色をしたカクテルを置いてくれた。
マスター
「お付き合いしますよ、小野瀬くん」
マスターと乾杯したグラスの中身は、とろりと甘い。
舌の先がアルコールを感じて、俺は顔をしかめた。
けれどその痺れが全身を満たして、頭の芯がぼやけてくる。
マスター
「……お休みなさい」
カウンターに突っ伏すと、肩から毛布が掛けられたのが分かった。
女に振られて酔って寝るなんて、俺らしくない。
いや、俺らしいのかな。
明日からは仕事に集中して、早く科警研に帰ろう。
忙しく働いて、何もかも忘れて。
次に警視庁に来る時には、今まで通りの、いつもの小野瀬葵で、穂積や彼女に会えるように。
~END~
最初の分岐へ戻る → 7