バッドエンドから始まる物語~小野瀬編~
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~小野瀬vision~
小野瀬
「待て!」
俺は、腰を浮かせた。
穂積は、冷ややかに俺を見下ろす。
穂積
「土下座なんかしたら蹴飛ばすぞ」
小野瀬
「……全部、聞いた。お前、あの子を抱いてないだろ」
立ち上がりながら俺が言うと、穂積は、チッ、と舌打ちした。
小野瀬
「彼女は爆破事件の後、お前や明智くんの処分の事、俺の異動……、それに、俺が突き放した事で、悩んでいた。……だからお前は、彼女に同情して、手を差し伸べた」
穂積
「……」
小野瀬
「お前以上に、櫻井さんを慰められる奴は居なかった。彼女はひどく傷付いていたから……」
穂積
「お前が傷付けたんだろうが!!」
俺は警戒していた。
だが、俺の反射より速く、穂積の電光石火の一本背負いが俺の身体を宙に浮かせ、俺は、背中から床に叩きつけられていた。
無防備に大技を食らってしまい、俺は全身が痺れるほど、強かに腰を打った。
しかし穂積は倒した俺を、さらに袈裟固めで絞め上げる。
穂積
「俺がお前を嫌いなのはな、そういうスカシた所だよ!」
ぎりぎりと絞め上げられて、気が遠くなりそうだ。くそう、馬鹿力め。
穂積
「好きな女を、何故、傷付ける?好かれていながら、何故、突き放す?俺なんかに筋を通しに来る前に、何故、一晩中抱いて、あいつの話を聞いてやらない?!」
小野瀬
「……穂積……」
穂積
「俺が、あいつを抱かなかったのは、怖かったからだ。望まないまま俺に抱かれて、お前があいつをまた拒んだら、今度こそ、あいつ、死んじまうじゃないか」
俺の顔に数滴、熱い雫が落ちた。
……穂積が。
金髪の合間に見えた碧色の目から、涙が溢れていた。
穂積
「俺は、あいつを失いたくないんだ。どうしてそんな簡単な事が分からないんだ、お前は!!」
穂積は俺から乱暴に手を放し、顔を覆った。
穂積
「……俺が、同情だけで、女に、好きだ、なんて、言うもんか………!」
小野瀬
「……穂積、お前……」
穂積
「……お前に返すから。……だから、頼むから……二度と、あいつを泣かすな」
気弱な声に次いで、こちらに向けたその顔は、だが、いつもの強気な顔だった。
穂積
「分かったら行け馬鹿!さっさと行かないと、本当に絞め殺すぞ!」
穂積は怒鳴って俺を蹴飛ばす。
俺がロッカールームに飛び込むと、しばらくして、穂積は道場から出て行った。
俺は穂積の言葉のひとつひとつを噛み締めた後、自分の額を思い切り壁に打ちつけた。
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